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特開2022-146846計測システム、計測方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146846
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】計測システム、計測方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20220928BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G08C15/06 H
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125153
(22)【出願日】2021-07-30
(62)【分割の表示】P 2021046744の分割
【原出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】517425446
【氏名又は名称】リンクウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オストロウモフ ゲオルギー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昭英
【テーマコード(参考)】
2F073
3C707
【Fターム(参考)】
2F073AA29
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC03
2F073CC05
2F073CC10
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE08
2F073DE17
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG07
2F073GG08
3C707BS10
3C707CY40
3C707HS27
3C707KS07
3C707KS22
3C707KS36
3C707KV01
3C707LV01
3C707LV14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロボットアームの先端に搭載されたセンサーを用いた計測作業において、計測作業の計測精度を向上させるには、センサーの計測動作とロボットの動作を同期させることが求められる。しかし、センサーとロボットの組み合わせを任意に選択する場合には、センサーとロボットの動作を同期させるための計測システムを構築することは容易ではなかった。
【解決手段】ロボット2に搭載されたセンサー23により計測を行う計測システム100であって、ロボット2を制御するロボット制御部102からロボット2に送信されるロボット駆動信号を取得し、前記ロボット駆動信号に前記ロボット2に駆動開始させる指令信号が含まれる場合に前記センサー23の計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成する同期処理部104を備える計測システム100である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測システムであって、
ロボットを制御するロボット制御部からロボットに送信されるロボット駆動信号を取得
し、前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始させる指令信号が含まれる場合に前
記センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成する同期処理部を備え
る計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記ロボットに駆動開始させる指令信号は、前記ロボットに搭載されたモーターを駆動す
るための指令パルス信号又はエンコーダパルス信号を含む、計測システム。
【請求項3】
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測システムであって、
ロボットの動作実績に関する動作データを取得し、前記動作データが所定条件を満たす
場合に、前記センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成する同期処
理部を備える計測システム。
【請求項4】
請求項3に記載の計測システムであって、
前記動作データが所定条件を満たす場合とは、前記動作データが、前記ロボットが動作
を開始したことを示す情報を含む場合、センサーの設置位置が事前に設定した位置に達し
たことを示す情報を含む場合、前記センサーの移動速度が事前に設定した値となったこと
を示す情報を含む場合の少なくともいずれかを含む、計測システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の計測システムであって、
前記トリガ信号に基づいて前記センサーが取得した計測データと、前記ロボット駆動信号
に基づいて動作した前記ロボットの動作データと、を取得して計測結果情報を生成する計
測結果生成部を備える計測システム。
【請求項6】
請求項5に記載の計測システムであって、
前記計測データおよび前記動作データはそれぞれクロック情報を含み、
前記計測結果生成部は、前記計測データに含まれるクロック情報と、前記動作データに含
まれるクロック情報に基づいて、前記計測データと前記動作データを対応づけた前記計測
結果情報を生成する計測システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の計測システムであって、
前記計測結果情報は、前記センサーの計測対象の位置及び形状の情報を含む計測システム
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の計測システムであって、
前記同期処理部は、前記トリガ信号として前記センサー駆動信号を生成し、
前記センサーの前記駆動信号を取得して、当該駆動信号を前記センサーへ出力するセンサ
ー制御部を備える計測システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測システムであって、
ロボットの動作指令に基づいて前記ロボット駆動信号を生成し、前記ロボット駆動信号
を前記ロボットに送信する駆動信号生成部を備える計測システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の計測システムであって、
前記同期処理部は、
前記トリガ信号として周期的なパルス信号であるセンサー駆動信号を生成し、
前記センサーの位置と速度の少なくともいずれかが予め定めた条件を満たすことを示す前
記ロボット駆動信号を取得した場合に、前記センサー駆動信号のパルス信号の周期を変更
する計測システム。
【請求項11】
請求項3又は4に記載の計測システムであって、
前記同期処理部は、
前記トリガ信号として周期的なパルス信号であるセンサー駆動信号を生成し、
前記センサーの位置と速度の少なくともいずれかが予め定めた条件を満たすことを示す前
記動作データを取得した場合に、前記センサー駆動信号のパルス信号の周期を変更する計
測システム。
【請求項12】
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測方法であって、
ロボットを制御するロボット制御部からロボットに送信されるロボット駆動信号を取得
するステップと、
前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始させる指令信号が含まれる場合に、前記
センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成するステップと、
を含む、計測方法。
【請求項13】
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測方法であって、
ロボットの動作実績に関する動作データを取得するステップと、
前記動作データが所定条件を満たす場合に、前記センサーの計測動作を開始させるトリガ
となるトリガ信号を生成するステップと、
を含む、計測方法。
【請求項14】
計測方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記計測方法として、
ロボットに送信されるロボット駆動信号を取得するステップと、
前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始させる指令信号が含まれる場合に、前記
センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
計測方法をコンピュータに実行さえるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記計測方法として、
ロボットの動作実績に関する動作データを取得するステップと、
前記動作データが所定条件を満たす場合に、前記センサーの計測動作を開始させるトリガ
となるトリガ信号を生成するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測システム、計測方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロボットに装着されたセンサーを利用した計測作業が行われていた(例えば
、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-203273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなロボットを用いた計測作業は、センサーとロボットの組み合わせを変更する
ことで様々な計測用途に用いることが可能である。一方で、計測作業の計測精度を向上さ
せるには、センサーの計測動作とロボットの動作を同期させることが求められる。しかし
、センサーとロボットの組み合わせを任意に選択する場合には、センサーとロボットの動
作を同期させるための計測システムを構築することは容易ではなかった。
【0005】
特許文献1では、ロボットのモーターへ出力するモーター駆動信号に同期信号を組み込
むことが開示されているものの、モーター駆動信号を生成するロボット側のプログラム変
更が必要となるという課題があった。
【0006】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、容易に構築可能なセンサーとロ
ボットの動作を同期可能な計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、ロボットに搭載されたセンサーによ
り計測を行う計測システムであって、ロボットを制御するロボット制御部からロボットに
送信されるロボット駆動信号を取得し、前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始
させる指令が含まれる場合に前記センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信
号を生成する同期処理部を備える計測システムである。
【0008】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面に
より明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に構築可能なセンサーとロボットの動作を同期可能な計測システ
ムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の計測システム100の一例を示す図である。
図2】本実施形態の計測システム100の各構成要素の機能を示す図である。
図3】本実施形態の計測システムの制御フローチャートを示す図である。
図4】本実施形態における計測システムで計測対象の外観形状を計測する場合の一例を示す図である。
図5】本実施形態において図4に示す方法で丸穴が空いた計測対象物を計測した場合の計測データとXY平面上におけるセンサー位置の情報を示すグラフである。
図6】本実施形態において同期処理部でセンサー駆動信号を生成する方法の一例を示す図である。
図7】本実施形態において同期処理部でセンサー駆動信号を生成する他の方法の一例を示す図である。
図8】本実施形態においてロボットの動作データに基づいてセンサーを同期させる場合の各構成要素の機能を示す図である。
図9】本実施形態における計測システムの他の制御フローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば以下のような構成を
備える。
【0012】
[項目1]
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測システムであって、
ロボットを制御するロボット制御部からロボットに送信されるロボット駆動信号を取得
し、前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始させる指令信号が含まれる場合に前
記センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成する同期処理部を備え
る計測システム。
[項目2]
項目1に記載の計測システムであって、
前記ロボットに駆動開始させる指令信号は、前記ロボットに搭載されたモーターを駆動す
るための指令パルス信号又はエンコーダパルス信号を含む、計測システム。
[項目3]
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測システムであって、
ロボットの動作実績に関する動作データを取得し、前記動作データが所定条件を満たす
場合に、前記センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成する同期処
理部を備える計測システム。
[項目4]
項目3に記載の計測システムであって、
前記動作データが所定条件を満たす場合とは、前記動作データが、前記ロボットが動作
を開始したことを示す情報を含む場合、センサーの設置位置が事前に設定した位置に達し
たことを示す情報を含む場合、前記センサーの移動速度が事前に設定した値となったこと
を示す情報を含む場合の少なくともいずれかを含む、計測システム。
[項目5]
項目1乃至4のいずれか1項に記載の計測システムであって、
前記トリガ信号に基づいて前記センサーが取得した計測データと、前記ロボット駆動信号
に基づいて動作した前記ロボットの動作データと、を取得して計測結果情報を生成する計
測結果生成部を備える計測システム。
[項目6]
項目5に記載の計測システムであって、
前記計測データおよび前記動作データはそれぞれクロック情報を含み、
前記計測結果生成部は、前記計測データに含まれるクロック情報と、前記動作データに含
まれるクロック情報に基づいて、前記計測データと前記動作データを対応づけた前記計測
結果情報を生成する計測システム。
[項目7]
項目5又は6に記載の計測システムであって、
前記計測結果情報は、前記センサーの計測対象の位置及び形状の情報を含む計測システム

[項目8]
項目1乃至7のいずれか1項に記載の計測システムであって、
前記同期処理部は、前記トリガ信号として前記センサー駆動信号を生成し、
前記センサーの前記駆動信号を取得して、当該駆動信号を前記センサーへ出力するセンサ
ー制御部を備える計測システム。
[項目9]
項目1乃至8のいずれか1項に記載の計測システムであって、
ロボットの動作指令に基づいて前記ロボット駆動信号を生成し、前記ロボット駆動信号
を前記ロボットに送信する駆動信号生成部を備える計測システム。
[項目10]
項目1又は2に記載の計測システムであって、
前記同期処理部は、
前記トリガ信号として周期的なパルス信号であるセンサー駆動信号を生成し、
前記センサーの位置と速度の少なくともいずれかが予め定めた条件を満たすことを示す前
記ロボット駆動信号を取得した場合に、前記センサー駆動信号のパルス信号の周期を変更
する計測システム。
[項目11]
項目3又は4に記載の計測システムであって、
前記同期処理部は、
前記トリガ信号として周期的なパルス信号であるセンサー駆動信号を生成し、
前記センサーの位置と速度の少なくともいずれかが予め定めた条件を満たすことを示す前
記動作データを取得した場合に、前記センサー駆動信号のパルス信号の周期を変更する計
測システム。
[項目12]
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測方法であって、
ロボットを制御するロボット制御部からロボットに送信されるロボット駆動信号を取得
するステップと、
前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始させる指令信号が含まれる場合に、前記
センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成するステップと、
を含む、計測方法。
[項目13]
ロボットに搭載されたセンサーにより計測を行う計測方法であって、
ロボットの動作実績に関する動作データを取得するステップと、
前記動作データが所定条件を満たす場合に、前記センサーの計測動作を開始させるトリガ
となるトリガ信号を生成するステップと、
を含む、計測方法。
[項目14]
計測方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記計測方法として、
ロボットに送信されるロボット駆動信号を取得するステップと、
前記ロボット駆動信号に前記ロボットに駆動開始させる指令信号が含まれる場合に、前記
センサーの計測動作を開始させるトリガとなるトリガ信号を生成するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
[項目15]
計測方法をコンピュータに実行さえるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記計測方法として、
ロボットの動作実績に関する動作データを取得するステップと、
前記動作データが所定条件を満たす場合に、前記センサーの計測動作を開始させるトリガ
となるトリガ信号を生成するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0013】
<実施の形態の詳細>
本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の具体例を、以下に図面を参照しつ
つ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に
よって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれること
が意図される。以下の説明では、添付図面において、同一または類似の要素には同一また
は類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に
関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに
矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0014】
<計測システムの全体構成>
図1は、本実施形態の計測システム100の一例を示す図である。図1に示されるよう
に、本実施形態の計測システム100では、端末1、協調制御部101、ロボット制御装
部102、センサー制御部103、同期処理部104、ロボット2を有している。ロボッ
ト2は、例えば、複数のモーターにより複数リンクが構成される多関節ロボットアームで
構成されており、アーム21にはセンサー23が設けられる。センサー23としては、あ
らゆる計測装置が適用可能であるが、本実施形態では、一例として対象物のとの距離を計
測する距離計測センサーを用いた例を説明する。
【0015】
端末1と協調制御部101は、有線または無線により互いに通信可能に接続され、例えば
端末1の入力部を介してユーザが入力した計測開始指令が協調制御部101に送信される
。また、協調制御部101により生成された計測結果の情報は、端末1に送信されて端末
の表示部に表示される。ここで、図1では端末1と協調制御部101を分けて記載してい
るが、これらは同一の装置に実装することも可能である。協調制御部101は、更にロボ
ット制御部102とセンサー制御部103にそれぞれ通信可能に接続されている。協調制
御部101からロボット制御部102にはロボットの駆動開始に関する情報が送信され、
ロボット制御部102から協調制御部101にロボットの動作実績に関する情報が送信さ
れる。またセンサー制御部103から協調制御部101には、センサー23で検出された
計測データに関する情報が送信される。ロボット制御部102は、更にロボット2と同期
制御部104と通信可能に接続されており、ロボットを駆動させるためのロボット駆動信
号がロボット制御部102からロボット2及び同期処理部104に送信される。同期処理
部104は更にセンサー制御部103と通信可能に接続されており、同期処理部104で
生成したセンサーの動作指令に関する情報はセンサー制御部103に送信される。センサ
ー制御部103は同期処理部104から受信した動作指令はセンサー23に送信される。
なお、図1は例示にすぎず、図示の構成に限定されない。
【0016】
図1に示す、端末1、協調制御部101、ロボット制御装部102、センサー制御部1
03、同期処理部104は、例えば、プロセッサ、メモリ、送受信部等のハードウェアを
有する汎用コンピュータで構成してもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによ
って論理的に実現されてもよい。
【0017】
<計測システムの機能>
図2は、本実施形態の計測システム100の各構成要素の機能を示す図である。協調制
御部101は、ロボット動作指令部1011と計測結果生成部1012を備えている。端
末1から計測開始指令を受信するとロボット動作指令部1011はロボットの動作を開始
するトリガとなるロボット動作指令を生成してロボット制御部102に当該ロボット駆動
指令を送信する。計測結果生成部1012は、センサー制御部103から受信した計測デ
ータに基づいて、センサーと計測対象の相対距離の情報を取得する。更に、ロボット制御
部102から受信したロボットの動作実績に関する情報に基づいて、ロボットのアームに
設置されたセンサーの位置座標の情報を取得する。計測結果生成部1012は、更に、計
測データに含まれる計測開始時刻の情報と、動作実績に関する情報に含まれる動作開始時
刻の情報に基づいて、各センサーの位置座標と、センサーと計測対象の相対距離の情報を
対応付けた計測結果情報を生成して、端末1に送信する。
【0018】
ロボット制御部102は、駆動信号生成部1021と信号出力部1022を備えている
。ロボット駆動信号生成部1021は、ロボット動作指令部1011から送信されたロボ
ット動作指令を受信するとロボット駆動信号をロボット2及び同期処理部104に送信す
る。ここで、ロボット駆動信号は、ロボット2を搭載されたモーターの動作開始時にHigh
信号となるパルス信号で合っても良いし、モーターの駆動期間中にHighとLowが繰り返し
発生する周期的なパルス信号であっても良い。ロボット2は、受信したロボット駆動信号
に従って、モーターを駆動することにより、センサー23が搭載されたアーム21を動作
させる。
【0019】
同期処理部104は、信号検出部1041とセンサー駆動信号生成部1042を備えて
いる。信号検出部1041は、受信したロボット駆動信号に駆動開始を示す信号が含まれ
ていることを検出し、駆動開始を示す信号が含まれている場合には、センサー動作開始信
号を送信する。センサー駆動信号生成部1042は、センサー動作開始信号を受信すると
、センサー駆動信号を生成してセンサー制御部103に送信する。ここで、センサー駆動
信号は、例えば、センサー23のセンシング動作期間中にHigh信号とLow信号が繰り返し
発生する周期的なパルス信号であっても良い。この場合、センサー23は、High信号を受
信したタイミングでセンシングを行い、センサー駆動信号のパルス信号周期に従って、セ
ンシング周期が変更可能となるように構成しても良い。
【0020】
センサー制御部103は、信号出力部1031と計測データ受信部1032を備えてい
る。信号出力部103は、受信したセンサー駆動信号をセンサー23に送信する。計測デ
ータ受信部1032は、センサー23により計測された計測データを受信して協調制御部
101の計測結果生成部1012に送信する。
【0021】
<計測システムの制御フローチャート>
図3は、本実施形態における計測システムの制御フローチャートを示す図である。図3
は、端末1から計測開始指令を受信したロボット動作指令部1011がロボット動作指令
を送信する場合を、フローチャートのスタートと定義した場合の図を示している。ロボッ
ト駆動信号生成部1021は、ロボット動作指令を受信した場合に、ロボット駆動指令を
生成する(ステップ301)。次に、ロボット駆動信号生成部1021は、ロボット駆動
信号をロボット2及び同期処理部104に送信する(ステップ302)。ロボット2は受
信したロボット駆動信号に従いロボットに搭載された複数のモーターを駆動する(ステッ
プ303)。ロボット制御部102の信号出力部1022は、ロボット2から動作実績に
関する情報を含む動作データを取得する(ステップ304)。
【0022】
同期処理部104の信号検出部1041は、ステップ302においてロボット駆動信号
生成部1021から受信したロボット駆動信号にロボット駆動が開始されたことを示す指
令信号が含まれているか否かを検出する(ステップ305)。信号検出部1041が上記
指令信号がロボット駆動信号に含まれていると判断した場合に、センサー駆動信号生成部
1042はセンサー駆動信号を生成して、センサー制御部103の信号出力部に送信する
(ステップ306)。センサー23は、信号出力部1031を介して受信したセンサー駆
動信号に従ってセンサーを駆動してセンシングを実施する(ステップ307)。センサー
制御部103の計測データ受信部1032は、センサー23から計測データを取得する(
ステップ308)。
【0023】
計測結果生成部1012は、ロボット制御部102の信号出力部1022から動作デー
タを、計測データ受信部1032から計測データをそれぞれ取得して、計測結果データを
生成する。ここで、計測結果生成部1012は、計測データに含まれる計測開始時刻の情
報と、動作データに含まれる動作開始時刻の情報を対応づけることにより、計測対象に関
する計測結果データを生成する。このように計測開始時刻に基づいて計測データと動作デ
ータの対応付けを行うことにより、計測データを構成する複数の検出値と、当該検出値を
取得したときのセンサーの位置座標情報、速度情報、もしくは姿勢の情報を対応付けて取
得することができる。
【0024】
<計測方法>
図4は、本実施形態における計測システムで計測対象の外観形状を計測する場合の一例
を示す図である。図4に示す例では、ロボットアームに設置された距離計測センサーで鉛
直方向(Z軸方向)下方の計測対象物までの距離を所定周期でセンシングしながら、ロボ
ットアームを駆動して距離計測センサーを予め設定されたXY平面上のセンシング走査ルー
ト(図中の矢印)に沿って移動させることで、計測対象の3次元形状を計測する例を示し
ている。図4における点は周期的にセンシングされる各センシング位置を示している。
【0025】
計測を開始する際には、距離計測センサーはXY平面上で図4のスキャン開始位置(黒色の
点)に位置しており、ロボット駆動信号生成部からロボット駆動信号が出力されると同期
処理部104を介してセンサー駆動信号がセンサーに入力されて、センサーによるスキャ
ンが開始される。図4に示す例では、中央部に丸穴が空いた計測対象物を計測しているた
め、丸穴の位置をセンシングした場合の計測データ(Z軸方向のセンサーと計測対象物間
の距離)は、丸穴が空いていない位置の計測データよりも大きな値となる。センシング走
査ルートの終点までセンシング動作を実行することで、各センシング位置における計測デ
ータを取得することができるため、図4に示す通り、丸穴が空いている領域と空いていな
い領域を特定することができ、更にこれらの情報に基づいて、丸穴の中心座標値を演算に
より得ることが可能である。
【0026】
<計測データと動作データ>
図5は、本実施形態において図4に示す方法で丸穴が空いた計測対象物を計測した場合
の計測データとXY平面上におけるセンサー位置(動作データ)の情報を示すグラフの模式
図である。図5の上段のグラフは、各時刻における計測データを示すグラフ、中央のグラ
フは、各時刻におけるX軸方向のセンサー位置を示すグラフ、下段のグラフは、各時刻に
おけるY軸方向のセンサー位置を示すグラフである。計測データのグラフにおいて、丸穴
の位置を計測した時刻では、計測データが相対的に大きくなっている。また、センサーが
図4に示すようなセンシング走査ルートを移動する場合には、X軸方向のセンサー位置は
図5中央のグラフに示す通り階段状に増加する。また、Y軸方向のセンサー位置は図5
下段のグラフに示す通りノコギリ状に増減を繰り返す。
【0027】
<センサー駆動信号の生成方法>
図6は、本実施形態において同期処理部で生成されるセンサー駆動信号の一例を示す図
である。図6の上段からロボット駆動信号、センサー動作開始信号、センサー動作停止信
号、センサー駆動信号、センサーの実動作をそれぞれ示している。ロボット駆動信号はロ
ボット制御部102のロボット駆動信号生成部1021で生成される信号であり、駆動開
始を指示するパルス信号と駆動終了を指示するパルス信号を有する信号である。
【0028】
センサー動作開始信号とセンサー動作停止信号とセンサー駆動信号は、同期処理部104
内のセンサー駆動信号生成部1042で生成される信号である。センサー動作開始信号は
、センサーの動作開始を指示するパルス信号を含む信号であり、同期処理部内の信号検出
部が取得したロボット駆動信号内に駆動開始のパルス信号を検出すると、即座にセンサー
動作開始信号としてセンサーの動作開始を指示するパルス信号が生成される。同様に、セ
ンサー動作停止信号は、センサーの動作停止を指示するパルス信号を含む信号であり、同
期処理部内の信号検出部が取得したロボット駆動信号内に駆動終了のパルス信号を検出す
ると、即座にセンサー動作開始信号としてセンサーの動作停止を指示するパルス信号が生
成される。ロボット駆動信号内に駆動開始パルス信号や駆動終了パルス信号が発生してか
らセンサー動作開始信号やセンサー動作停止信号にパルス信号が生成されるまでには若干
の遅延時間が生じることがある。
【0029】
センサー駆動信号生成部は、センサー動作開始信号に動作開始のパルス信号を生成する
と同時に、HighとLowを周期的に繰り返すセンサー駆動信号を生成する。そのため、セン
サー動作開始信号の動作開始パルス信号の立ち上がりタイミングと、センサー駆動信号の
パルス信号の立ち上がりタイミングはほぼ同時となる。センサー駆動信号のHigh側信号は
センサーにセンシング動作を行う指示であり、Low側信号はセンサーにセンシング動作を
指示しない信号であるため、センサーの実動作はセンサー駆動信号のHighとLowのタイミ
ングでセンシング動作実行とセンシング動作停止を繰り返し実施することになる。
【0030】
なお、センサー駆動信号生成部は、任意のタイミングでパルスが立ち上がり、かつ任意
の周期のパルス信号をセンサー駆動信号として生成できるように構成することができる。
つまり、内部クロックと同期した基準パルス信号を予め準備しておいて当該基準パルス信
号のパルス立ち上がりのタイミングでセンサー駆動信号のパルスを立ち上げるのではなく
、ロボット駆動信号の駆動開始のパルス信号を受信した際に即座に立ち上がるパルス信号
を生成することにより、ロボット駆動信号の駆動開始信号立ち上がりからセンサー駆動信
号の立ち上がりまでの遅延時間のばらつきを低減することができ、また演算処理能力の十
分に高いハードウェアを用いる場合には、パルス生成の処理時間に起因する遅延時間を無
視できるレベルまで低減して実質ゼロにすることも可能である。
【0031】
上述したように、ロボットを駆動させるための信号を取得してセンサーが駆動を開始す
るトリガとなる信号を生成する同期処理部を備えることにより、ロボットとセンサーの同
期を行うために、ロボット制御部のソフトウェア等の変更を不要もしくは少なくすること
ができる。更には、任意のロボットと任意のセンサーの組み合わせに対して同期処理を行
う際にも、センサーの駆動開始に関する指令を生成する同期処理部を適切に設計すれば、
ロボット制御部やセンサー制御部のソフトウェア変更を加える必要なくなる、又は加える
変更の量を少なくすることが可能となる。
【0032】
図7は、本実施形態において同期処理部でセンサー駆動信号を生成する他の方法の一例
を示す図であり、特にエンコーダパルス信号に基づいてセンサー駆動信号を生成する例を
示す図である。図6では、同期処理部が、ロボットの駆動開始を指示するパルス信号と駆
動終了を指示するパルス信号を有する信号を取得する例を示したが、図7では、モーター
の駆動期間中にHighとLowが繰り返し発生する周期的なパルス信号(例えばエンコーダパ
ルス信号)を取得する例を説明する。この場合、同期処理部の信号検出部1041は、ロ
ボット駆動信号のパルスの立ち上がりを検出して、センサー駆動信号生成部でセンサー動
作開始信号を生成することができる。また、駆動開始時と同様に、駆動終了時においても
、ロボット駆動信号のパルスが所定時間以上出現しないことを検出して、センサー駆動信
号生成部でセンサー動作停止信号を生成することができる。
【0033】
<変形例>
図8は、本実施形態においてロボットの動作データに基づいてセンサーを同期させる場
合の各構成要素の機能を示す図である。図2では、同期処理部が、ロボット制御部からロ
ボットに送信されるロボット駆動信号を取得して、当該ロボット駆動信号に基づいてセン
サー駆動信号を生成する例を説明したが、図8では、ロボットから取得した動作データに
基づいて、センサー駆動信号を生成する例を説明する。以下に、図8に示す変形例の図2
とは異なる部分について説明する。
【0034】
ロボットから出力される動作データは、ロボットの動作実績に関する情報であって、例
えば、ロボットの動作開始に関する情報を含む情報とすることができる。この場合には、
同期処理部504内の信号検出部5041は、動作データを取得して、ロボットが動作を
開始したことを示す情報を含む場合に、センサー動作開始信号を生成してセンサー駆動信
号生成部に送信する。
【0035】
動作データの他の例として、センサーの位置座標情報を含む情報とすることができる。
この場合には、信号検出部5041は、動作データを取得して、センサーの位置座標が事
前に設定した位置に達したことを示す情報を含む場合に、センサー動作開始信号を生成し
てセンサー駆動信号生成部に送信する。
【0036】
動作データの更に他の例として、センサーの速度情報を含む情報とすることができる。
センサーの速度情報としては、モーターの電流又は電圧又はこれらの組合せの情報であっ
ても良い。この場合には、信号検出部5041は、動作データを取得して、センサーの速
度が事前に設定した値に達したことを示す情報を含む場合に、センサー動作開始信号を生
成してセンサー駆動信号生成部に送信する。
【0037】
上記した動作データを受信して、信号検出部5041がセンサー動作開始信号を生成し
てセンサー駆動信号生成部に送信すると、センサー駆動信号生成部はセンサー駆動信号を
生成して、センサー制御部にセンサー駆動信号を送信する。
【0038】
また、センサー駆動信号の周期を任意の値に変更することができるようにセンサー駆動
信号生成部を構成する場合には、受信した動作データが予め定められた条件を満たすか否
かを信号検出部で検出することにより、センサー駆動信号の周期を変更するようにしても
良い。例えば、センサーの位置が、他エリアよりも高い精度でセンシングを行いたいエリ
アに進入したことをセンサーの位置座標情報により検出して、他エリアよりもセンサー駆
動信号の周期を短くすることで、計測対象エリアの中で任意のエリアについて高精度な計
測を行うことが可能となる。また、他の例として、センサーの位置センシング走査ルート
上の折り返しエリアに位置することをセンサーの位置座標情報により検出して、他エリア
よりもセンサー駆動信号の周期を短くすることで、ロボットアームが直線動作ではない複
雑な動作を行う期間について高精度な計測を行うことが可能となる。更に他の例として、
センサーの移動速度が、所定速度よりも高くなった場合に、センサー駆動信号の周期を短
くすることで、速度変化によるセンシングの位置間隔のばらつきを低減することが可能と
なる。
【0039】
図9は、本実施形態における計測システムの他の制御フローチャートの一例を示す図で
ある。図9は、端末1から計測開始指令を受信したロボット動作指令部1011がロボッ
ト動作指令を送信する場合を、フローチャートのスタートと定義した場合の図を示してい
る。ロボット駆動信号生成部1021は、ロボット動作指令を受信した場合に、ロボット
駆動指令を生成する(ステップ901)。次に、ロボット駆動信号生成部1021は、ロ
ボット駆動信号をロボット2に送信する(ステップ902)。ロボット2は受信したロボ
ット駆動信号に従いロボットに搭載された複数のモーターを駆動する(ステップ903)
。ロボット2は、ロボット2の動作実績に関する情報を含む動作データを同期処理部の信
号検出部5041及びロボット制御部の信号出力部1022に送信する(ステップ904
)ロボット制御部102の信号出力部1022は、ロボット2から動作実績に関する情報
を含む動作データを取得する(ステップ905)。
【0040】
同期処理部504の信号検出部5041は、ステップ904においてロボット2から送信
された動作データが所定の条件を満たしているか否かを検出する。例えば、動作データが
ロボットの動作が開始されたことを示す情報を含む、又はセンサーの位置座標が事前に設
定した位置に達したことを示す情報を含む、又はセンサーの速度が事前に設定した値に達
したことを示す情報を含む場合には、これを検出する(ステップ906)。信号検出部5
041により動作データが所定の条件を満たしていると判断した場合に、センサー駆動信
号生成部5042はセンサー駆動信号を生成して、センサー制御部103の信号出力部に
送信する(ステップ907)。センサー23は、信号出力部1031を介して受信したセ
ンサー駆動信号に従ってセンサーを駆動してセンシングを実施する(ステップ908)。
センサー制御部103の計測データ受信部1032は、センサー23から計測データを取
得する(ステップ909)。
【0041】
計測結果生成部1012は、ロボット制御部102の信号出力部1022から動作デー
タを、計測データ受信部1032から計測データをそれぞれ取得して、計測結果データを
生成する。ここで、計測結果生成部1012は、計測データに含まれる計測開始時刻の情
報と、動作データに含まれる動作開始時刻の情報を対応づけることにより、計測対象に関
する計測結果データを生成する。このように計測開始時刻に基づいて計測データと動作デ
ータの対応付けを行うことにより、計測データを構成する複数の検出値と、当該検出値を
取得したときのセンサーの位置座標情報、速度情報、もしくは姿勢の情報を対応付けて取
得することができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするため
のものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸
脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 端末
2 ロボット
21 アーム
23 センサー
100 計測システム
101 協調制御部
102 ロボット制御部
103 センサー制御部
104 同期処理部
1011 ロボット動作指令部
1012 計測結果生成部
1021 ロボット駆動信号生成部
1022 信号出力部
1031 信号出力部
1032 計測データ受信部
1041 信号検出部
1042 センサー駆動信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9