(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146861
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】アウトドアワークセット
(51)【国際特許分類】
A45F 4/02 20060101AFI20220928BHJP
A47C 9/10 20060101ALI20220928BHJP
A47C 3/16 20060101ALI20220928BHJP
A45C 9/00 20060101ALI20220928BHJP
A45F 3/02 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
A45F4/02
A47C9/10 Z
A47C3/16
A45C9/00 P
A45F3/02 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197111
(22)【出願日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2021046897
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年9月18日に、株式会社晋遊舎発行、MONOQLO、2021年11月号、第58頁において公開された。 令和3年10月29日に、CAMPFIRE(クラウドファンディングサイト):https://camp-fire.jp/projects/view/495450のウェブサイトにおいて公開された。
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】古川 智子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大輔
【テーマコード(参考)】
2E181
3B045
3B091
3B095
【Fターム(参考)】
2E181AA01
2E181BB02
2E181BC05
2E181BD01
3B045AA35
3B045FC04
3B045GA03
3B045JA03
3B091CA07
3B095AA01
3B095AA04
3B095CA10
(57)【要約】
【課題】コンパクトであり、簡易且つ軽量な構造で効率的な収納を実現し、思い立ったら屋外で気軽に仕事に関する作業を快適に行うことができるアウトドアワークセットを提供する。
【解決手段】アウトドアワークセット1は、屋外で作業が可能な携帯型であり、作業場所に載置する折り畳み可能なシート2と、作業者に日除け部10を提供する折り畳み可能なシェード4と、作業者が背負って持ち運び可能であり、それぞれ折り畳んだシート2及びシェード4が収納可能である収納空間24を有するリュック8とを備え、収納空間24は、作業者の背中に接する収納部26と、収納部26を外側から覆う蓋部28とにより区画され、リュック8は、収納部26に対して蓋部28を展開することにより、シート2に載置して使用するとともに作業者が背中をもたせ掛けて座する座椅子12の状態となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外で作業が可能な携帯型のアウトドアワークセットであって、
作業場所に載置する折り畳み可能なシートと、
作業者に日除け部を提供する折り畳み可能なシェードと、
前記作業者が背負って持ち運び可能であり、それぞれ折り畳んだ前記シート及び前記シェードが収納可能である収納空間を有するリュックと
を備え、
前記収納空間は、作業者の背中に接する収納部と、前記収納部を外側から覆う蓋部とにより区画され、
前記リュックは、前記収納部に対して前記蓋部を展開することにより、前記シートに載置して使用するとともに前記作業者が背中をもたせ掛けて座する座椅子の状態となる、アウトドアワークセット。
【請求項2】
前記収納部は、前記リュックの状態のときに、底面部、対向する両側面部、及び背面部から構成され、
前記蓋部は、前記リュックの状態のときに、前記底面部に屈曲可能に接続されるとともに前記背面部に対向する外面部と、前記外面部に屈曲可能に接続されるとともに前記底面部に対向する上面部とから構成され、前記収納部とともに前記収納空間を区画する、請求項1に記載のアウトドアワークセット。
【請求項3】
前記リュックの前記底面部及び前記外面部は、前記座椅子の状態のときに、座した前記作業者の下半身を保持する前記座椅子の座部となり、
前記リュックの前記背面部及び前記上面部は、前記座椅子の状態のときに、座した前記作業者の背中を保持する前記座椅子の背もたれとなり、
前記リュックの前記両側面部は、前記座椅子の状態のときに、座した前記作業者の上半身の左右側をそれぞれ覆う前記座椅子のサイドカバーとなる、請求項2に記載のアウトドアワークセット。
【請求項4】
前記リュックは、前記座椅子の状態のときに、前記背もたれ又は前記サイドカバーと前記座部とを接続する伸縮可能な第1調整紐を有する、請求項3に記載のアウトドアワークセット。
【請求項5】
前記シェードは、前記座椅子の状態のときに、前記シートの長手方向における前端部と、前記シェードの長手方向における前端部とを接続する伸縮可能な第2調整紐を有する、請求項3又は4に記載のアウトドアワークセット。
【請求項6】
前記シェードは、外縁に芯材を有し、前記芯材を折曲することにより折り畳み状態と展開状態との間を移行可能であり、前記座椅子の状態のときに、前記展開状態とすることにより前記日除け部を形成する、請求項5に記載のアウトドアワークセット。
【請求項7】
前記シェードは、
前記座椅子の状態のときの前記シェードの前記長手方向における後端部に設けられ、前記シートの前記長手方向における後端部が着脱可能に取り付けられる着脱部と、
前記座椅子の状態のときの前記シェードの前記長手方向における前記前端部と前記後端部との間に位置する中間部と、前記背もたれとを接続して保持する保持紐と
を有する、請求項6に記載のアウトドアワークセット。
【請求項8】
前記リュックは、前記背もたれの上部に、前記保持紐が通される取手を有し、
前記シェードは、前記展開状態において、前記着脱部に前記シートが取り付けられ、前記保持紐を前記取手に通して前記背もたれと前記シェードとを接続して保持し、さらに前記第2調整紐の長さを短く調整することにより、前記芯材が湾曲し、前記シェードの前記前端部に前記日除け部としての湾曲領域を形成する、請求項7に記載のアウトドアワークセット。
【請求項9】
前記シェードの前記長手方向における後端部を支持する一対のポールを備え、
前記リュックが前記座椅子の状態のときに、前記各ポールは、これらの下端が前記シート又は前記シートの載置面にそれぞれ当接し、前記各ポールが交差した状態で前記リュックの前記背もたれの上部に形成された取手に挿通される、請求項6に記載のアウトドアワークセット。
【請求項10】
前記リュックは、前記背もたれの幅方向における両側下部に、前記各ポールの下端が挿通されて保持される保持輪をそれぞれ有する、請求項9に記載のアウトドアワークセット。
【請求項11】
前記各ポールの下端を前記座椅子の前記座部側に引き寄せ、前記各ポールを前記座椅子の前記背もたれに沿って傾斜させる、請求項10に記載のアウトドアワークセット。
【請求項12】
前記シェードは、前記後端部の幅方向における両側部に、前記各ポールの上端が挿入されて保持されるポールスリーブをそれぞれ有する、請求項9から11の何れか一項に記載のアウトドアワークセット。
【請求項13】
交差した状態の前記各ポールの交差部は、前記取手の近傍に位置付けられる、請求項9から12の何れか一項に記載のアウトドアワークセット。
【請求項14】
前記各ポールは、それぞれ複数の分割ポール部から構成され、前記各分割ポール部を互いに着脱することにより分割状態と連結状態との間を移行可能である、請求項9から13の何れか一項に記載のアウトドアワークセット。
【請求項15】
前記各ポール部の前記連結状態のときに前記交差部を固定するとともに、前記各ポール部の前記分割状態のときに前記各分割ポール部を束ねる結束バンドを有する、請求項14に記載のアウトドアワークセット。
【請求項16】
前記シートに載置して使用するとともに折り畳み可能であり、前記収納空間に折り畳んで収納されるデスクをさらに備える、請求項1から15の何れか一項に記載のアウトドアワークセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトドアワークセットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コロナ禍の中、テレワークが推進され、多くのビジネスマンが在宅にて勤務を行っている。しかし、自宅で長時間に亘って仕事を続けることにより、飽きが生じてきたり、自宅に引き籠りがちになったりし、精神衛生上において好ましくない。従って、たまには外出して屋外の開放的な環境で仕事に係る作業を行うことにより、気分転換を図ることができ、作業効率の向上を期待することができる。
【0003】
特許文献1には、屋外でのスポーツ観戦時を想定し、展開時に座椅子となる部分の外側に予め収納部が形成されたリュックが開示されている。また、特許文献2には、旅行時や救急患者の緊急輸送時を想定した特許文献1と同様のリュックが開示されている。また、特許文献3には、登山やキャンプを行う時を想定し、展開するとシートになる座椅子が開示されている。また、特許文献4には、地震や火災等の災害発生時を想定し、展開するとマットとなるリュックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-18626号公報
【特許文献2】韓国実開2011-0002433号公報
【特許文献3】特開平9-103340号公報
【特許文献4】実用新案登録第3198792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から4のリュックや座椅子は、ユーザが屋外で気軽に仕事に係る作業を行う際に使用することを想定していない。具体的には、特許文献1、2に開示のリュックは、座椅子部分の外側に荷物を入れるための収納部が形成されている。従って、リュックが全体として大型になるとともに、リュックの構造が複雑になり、その重量も大きくならざるを得ない。
【0006】
また、特許文献3、4に記載の座椅子やリュックは収納部を備えていないため、作業を行うための荷物を別途、袋などに入れて持ち運ばなければならない。このように、ユーザが屋外で気軽に作業を行うための障壁を可能な限り排除するためには、簡易且つ軽量な構造で効率的な収納機能と、作業に支障を生じないための快適性とが求められる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、コンパクトであり、簡易且つ軽量な構造で効率的な収納を実現し、思い立ったら屋外で気軽に仕事に関する作業を快適に行うことができる、携帯型のアウトドアワークセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明のアウトドアワークセットは、屋外で作業が可能な携帯型であり、作業場所に載置する折り畳み可能なシートと、作業者に日除け部を提供する折り畳み可能なシェードと、作業者が背負って持ち運び可能であり、それぞれ折り畳んだシート及びシェードが収納可能である収納空間を有するリュックとを備え、収納空間は、作業者の背中に接する収納部と、収納部を外側から覆う蓋部とにより区画され、リュックは、収納部に対して蓋部を展開することにより、シートに載置して使用するとともに作業者が背中をもたせ掛けて座する座椅子の状態となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアウトドアワークセットによれば、コンパクトであり、簡易且つ軽量な構造で効率的な収納を実現し、思い立ったら屋外で気軽に仕事に関する作業を快適に行うことができるため、屋外において作業に必要な環境を迅速に創出可能であるとともに、働き方の選択肢に屋外が加わることによって働き方改革の促進に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るアウトドアワークセットの使用状態の一例となる斜視図である。
【
図2】作業者がリュックを背負った状態を示す図である。
【
図3】座椅子の状態となったリュックの斜視図である。
【
図7】(a):作業台となる樹脂シートの展開図であり、(b):天板及び各脚となる樹脂シートの展開図である。
【
図9】リュックから折り畳んだシート、シェード及びデスクを取り出し、シートを広げて作業場所に載置した状態を示す図である。
【
図10】シェードを展開して着脱部にてシートに結合した状態を示す図である。
【
図11】シェードを立ち上げ、バックルにおいて各第2調整紐を結合し、シェードに日除け部を形成した状態を示す図である。
【
図12】アウトドアワークセットの設置が完了した状態を示す図である。
【
図13】設置が完了したアウトドアワークセットにおいて、作業者がパソコンで作業を行う状態を示す図である。
【
図14】アウトドアワークセットにおいて、天板から作業台を取り外した状態でデスクを使用する場合を示す図である。
【
図15】アウトドアワークセットにおいて、デスクを使用しない作業形態を示す図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係るアウトドアワークセットの使用状態の一例となる斜視図である。
【
図18】第2実施形態に係るシェードの平面図である。
【
図20】各分割ポール部を束ねた状態を示す図である。
【
図21】第2実施形態に係るデスクの斜視図である。
【
図22】
図21のデスクの天板及び各脚となる樹脂シートの展開図である。
【
図23】
図22の各背面部を天面部に重ね合わせるようにして折り畳んだ状態を示す図である。
【
図24】樹脂シートを第4折込線及び第5折込線にて折り込んで各脚を立ち上げた状態を示す図である。
【
図26】各スナップボタンの嵌合を解除するとともに、各補強部の膨出部のそれぞれの切込と、各脚の切片のそれぞれの切込との係合を解除した状態を示す図である。
【
図27】
図26の状態の樹脂シートを第3~第5折込線にて折り込んだ状態を示す図である。
【
図28】
図27の状態の樹脂シートを折り畳んだ状態を示す図である。
【
図29】各ポールを立設して保持させた状態を示す図である。
【
図30】シェードを展開し、各ポールスリーブの保持部に各ポールの上端を挿入して保持させた状態を示す図である。
【
図31】シェードの前端部とシートの前端部と各第2調整紐を介して連結した状態を示す図である。
【
図32】作業者が座椅子に座した状態で、各ポールの下端の位置を調整するときを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るアウトドアワークセット(以下、単にセットともいう)の使用状態の一例となる斜視図を示す。セット1は、屋外で作業が可能な携帯型のセットであって、シート2、シェード4、デスク6、及びリュック8から構成されている。作業者は、これらセット1の構成物品を展開又は組み立てることにより、屋外の芝生の上などでパソコン作業などの仕事を行うことができる。
【0012】
シート2は、屋外の作業場所に載置して使用し、折り畳み可能である。シェード4は、シート2に着脱可能に取り付けられ、座した作業者に日除け部10を提供するとともに折り畳み可能である。デスク6は、シート2に載置して使用するとともに折り畳み可能である。リュック8は、作業者が背負って持ち運び可能であり、展開することにより座椅子12の状態となる。
【0013】
リュック8は、座椅子12の状態のときには座部14と背もたれ16とから構成され、シート2に載置して使用するとともに、作業者が背中をもたせ掛けて座することができる。背もたれ16とシェード4とは保持紐18により互いに接続されて保持される。保持紐18の両端は、シェード4の両側部の高さ方向における中央近傍にそれぞれ結合されている。保持紐18にはアジャスタ機能付きのバックル20が取り付けられ、バックル20において分離された保持紐18を背もたれ16の上部に形成されるループ状の取手22に通し、バックル20を結合することにより背もたれ16とシェード4とが互いに保持される。
【0014】
図2は、作業者がリュック8を背負った状態を示す。リュック8は、防水性、強靭性、及び可撓性などを備えた軽量な素材、例えばナイロン、ポリエステルの合成繊維などから形成される。保持紐18も同様の素材から形成される。リュック8の内部には、それぞれ折り畳んだシート2、シェード4、及びデスク6が収納される収納空間24が形成される。収納空間24は、作業者の背中に接する収納部26と、収納部26を外側から覆う蓋部28とにより区画されている。
【0015】
収納部26は、リュック8の状態のときに、底面部30、対向する両側面部32、及び背面部34から構成されている。蓋部28は、リュック8の状態のときに、外面部36と上面部38とから構成され、収納部26とともに収納空間24を区画する。外面部36は、底面部30に屈曲可能に接続されるとともに背面部34に対向する。上面部38は、外面部36に屈曲可能に接続されるとともに底面部30に対向する。外面部36にはジッパー(登録商標)などにより開閉可能な外面収納部40が設けられている。両側面部32に小物を収納可能なポケットを設けても良い。
【0016】
図3は、座椅子12の状態となったリュック8の斜視図を示す。リュック8の収納部26と蓋部28との境界にはジッパー(登録商標)などの開閉部42が形成され、開閉部42を開けることにより、収納部26に対して蓋部28が展開されて座椅子12の状態となる。リュック8の底面部30及び外面部36は、座椅子12の状態のときに、座した作業者の下半身を保持する座椅子12の座部14となり、リュック8の背面部34及び上面部38は、座した作業者の背中を保持する座椅子12の背もたれ16となる。背面部34には書類などを収容可能なポケット43が設けられている。
【0017】
リュック8の一対の側面部32は、座椅子12の状態のときに、座した作業者の上半身の左右側をそれぞれ覆う座椅子12のサイドカバー44となる。座椅子12の背もたれ16又はサイドカバー44の互いの境界近傍には、樹脂製又は金属製の細棒状をなす軽量の芯材46がそれぞれ内設されている。また、座椅子12の座部14の両側部、つまり、リュック8の外面部36の両側部にも、同様の芯材48がそれぞれ内設されている。
【0018】
各芯材46、48は、座椅子12の状態において、背もたれ16及び座部14の剛性を高めるとともに、リュック8の状態において、背面部34及び外面部36の剛性を高める。各芯材46、48によって、リュック8の状態のときに収納空間24が潰れることなく区画される。リュック8は、座椅子12の状態のときに、背もたれ16又はサイドカバー44と座部14とを接続する伸縮可能な第1調整紐50を有する。
【0019】
第1調整紐50は、リュック8と同様の素材から形成され、座椅子12の状態において作業者の座するスペースを遮ることなく、傾斜した配置で対をなして2つ設けられている。各第1調整紐50の一端は、背もたれ16と各サイドカバー44との境界における上部にそれぞれ取り付けられ、各第1調整紐50の他端は、座部14の両側部にそれぞれ取り付けられている。
【0020】
すなわち、各第1調整紐50は、前述した各芯材46と各芯材48とを実質的に連結する。これにより、作業者が背もたれ16に背中をもたせ掛けたときに、背もたれ16にかかる荷重が各芯材46、各第1調整紐50、及び各芯材48を介して座部14に分散される。座部14は、座した作業者の体重によって地面(作業場所)に押さえ付けられていることから、作業者が背もたれ16に背中をもたせかけときに座椅子12が横転することが防止される。
【0021】
各第1調整紐50にはアジャスタ52が取り付けられている。各アジャスタ52を操作することにより、各第1調整紐50が伸縮し、座部14に対する背もたれ16の角度、すなわち、座椅子12のリクライニング角度が調整される。なお、各第1調整紐50の一端が取り付けられるのは、背もたれ16と一対のサイドカバー44との境界がより好ましいが、背もたれ16又はサイドカバー44に取り付けても良い。
【0022】
図4は、シート2及びシェード4の平面図を示す。シート2及びシェード4は、防水性、強靭性、及び可撓性などを備えた軽量な素材、例えばナイロン、ビニール、ポリエステルなどから形成され、マジックテープ(登録商標)などの着脱部54において互いに容易に着脱可能である。シェード4の着脱部54を除く外縁には、樹脂製又は金属製の細棒状をなすとともに可撓性及び弾力性を有する軽量な芯材56が内設されている。
【0023】
より詳しくは、シート2は、長手方向Xにおいて、座椅子12の状態のときに、前側に位置する前端部2aと、後側に位置する後端部2bとを有する。シェード4は、長手方向Xにおいて、座椅子12の状態のときに、前側に位置する前端部4aと、後側に位置する後端部4bと、前端部4aと後端部4bとの間に位置する中間部4cとを有する。着脱部54は、座椅子の状態のときのシェード4の後端部4bに設けられ、シート2の後端部2bが着脱可能に取り付けられる。また、保持紐18は、シェード4の中間部4cと、座椅子12の背もたれ16とを取手22を介して接続して保持する。
【0024】
図5は、シェード4の折り畳み状態を示す。シェード4は、作業者が芯材56をその弾性力に抗して折曲することにより、
図5に示すようなコンパクトな円形状の折り畳み状態となる。折り畳み状態から作業者が少し力を加えることにより、シェード4は芯材56の弾性力によって自動的に
図4に示す状態に展開する。すなわち、シェード4は、いわばワンタッチテント、或いはポップアップテントのような構造を有している。
【0025】
シェード4には、座椅子12の状態のときに、シート2の前端部2aとシェード4の前端部4aとを接続する伸縮可能な第2調整紐58が設けられている。第2調整紐58は、第1調整紐50と同様の素材から形成され、座椅子12の状態において作業者の座するスペースを遮ることなく、傾斜した配置で対をなして2つ設けられている。一対の第2調整紐58は、シェード4の前端部4aにおける側部に取り付けられ、シート2の前端部2aにおける側部に接続される。
【0026】
各第2調整紐58には、それぞれアジャスタ機能付きのバックル60が取り付けられている。バックル60において各第2調整紐58を分離するとともに着脱部54を取り外すことにより、シート2とシェード4とを分離可能である。バックル60のアジャスタを操作することにより各第2調整紐58を伸縮させ、シート2及び座椅子12の座部14に対するシェード4の上部の湾曲角度を調整することができる。座椅子の状態のときに、各第2調整紐58の長さを短く調整すれば、シェード4の上部に日除け部10として機能する湾曲領域62が形成される。
【0027】
各第2調整紐58は、シェード4の各芯材56と、シート2の両側部とを実質的に連結する。シート2は、座した作業者の体重によって座椅子12の座部14を介して地面に押さえ付けられているため、バックル60のアジャスタで各第2調整紐58の長さを短く調整した際、各第2調整紐58に張力が発生し、シェード4に湾曲領域62、すなわち日除け部10が形成される。
【0028】
図6は、デスク6の斜視図を示す。デスク6は、天板64、一対の脚66、及び作業台68から構成されている。各脚66は、板状をなし、座した作業者の脚を天板64の下に入れ込み可能な高さ及び互いの離間距離で設けられ、天板64の両側部を支持する。作業台68は、パソコンや資料を傾斜状態で載置可能な載置面70を有し、天板64の上に固定される。天板64及び各脚66と、作業台68とは、それぞれ剛性があり且つ軽量の別個の樹脂シート72、74から形成されている。各樹脂シート72、74を折り込んで組み立てることによりデスク6が形成される。
【0029】
図7は、(a):作業台68となる樹脂シート72の展開図、(b):天板64及び各脚66となる樹脂シート74の展開図をそれぞれ示す。なお、図示した
図7(a)、(b)において、左右方向を各樹脂シート72、74の長手方向とし、上下方向を各樹脂シート72、74の幅方向として説明する。
図7(a)に示すように、作業台68となる樹脂シート72の長手方向の中央には、樹脂シート72の厚みを減じた第1折込線76が幅方向全域に亘って形成され、第1折込線76にて樹脂シート72を折り畳むことができる。
【0030】
樹脂シート72の第1折込線76を境目としたときの一方側、すなわち
図7(a)で見て右側には作業台68の支持部78が形成され、他方側、すなわち
図7(a)で見て左側には、作業台68の載置面70を有する載置部80が形成されている。支持部78における長手方向の中央には、樹脂シート72の厚みを減じた第2折込線82が幅方向全域に亘って形成され、第2折込線82にて樹脂シート72を折り畳むことができる。
【0031】
支持部78の第2折込線82に沿う2か所には第1係止爪84が切り欠かれている。載置部80の長手方向の中央よりも第1折込線76に近い位置には、幅方向の一部に亘って第2係止爪86が切り欠かれている。載置部80の長手方向における端縁に近い位置には、第2係止爪86と同様の第3係止爪88が切り欠かれている。
【0032】
第2係止爪86及び第3係止爪88は、樹脂シート72との境目(破線で示す)が厚みを減じられており、載置面70側に容易に折り起し可能である。また、載置部80の長手方向における端縁には、長手方向の外方に向けて2つの第4係止爪90が突出して形成されている。以下、樹脂シート72を作業台68に組み立てる手順を説明する。
【0033】
先ず、第1折込線76を樹脂シート72の載置面70とは反対側の裏面側に向けて折り込み、第2折込線82も同様に裏面側に向けて折り込む。次に、第2係止爪86を裏面側に折り起し、折り起した第2係止爪86に支持部78の端縁を係止する。これにより、作業台68の支持部78が形成される。さらに、第3係止爪88を載置面70側に折り起すことにより、第3係止爪88を載置面70に載置したパソコンや資料などの滑り止めとして機能させる。これにより、作業台68の載置部80が形成される。
【0034】
一方、
図7(b)に示すように、天板64及び各脚66となる樹脂シート74には、その長手方向の中央に樹脂シート74の厚みを減じた第3折込線92が幅方向全域に亘って形成され、第3折込線92にて樹脂シート74を折り畳むことができる。第3折込線92を境目としたとき、両側の樹脂シート74のそれぞれの長手方向の中央には、樹脂シート74の厚みを減じた第4折込線94及び第5折込線96がそれぞれ幅方向全域に亘って形成されている。
【0035】
これにより、第4折込線94及び第5折込線96にて樹脂シート74を折り畳むことができ、また、第4折込線94及び第5折込線96にて樹脂シート74を90°に折り込むことにより、天板64を挟む位置に板状の脚66がそれぞれ形成される。樹脂シート74は、天板64の天面部98を形成する部位を有する。樹脂シート74の幅方向における両端部には、それぞれ端縁から天面部98の面積を確保可能な小幅をなす位置に、樹脂シート74の厚みを減じた第6折込線100及び第7折込線102がそれぞれ長手方向全域に亘って形成されている。
【0036】
これにより、第6折込線100及び第7折込線102にて樹脂シート74を90°に折り込むことができる。これら折込部分は天板64及び各脚66の補強部104を形成する。第4折込線94の幅方向における両端縁から、それぞれ第6折込線100と第7折込線102とに至るまでの範囲、すなわち補強部104が形成される範囲には切込106が入れられている。第5折込線96の補強部104が形成される範囲にも同様の切込108が入れられている。
【0037】
補強部104の各切込106、108の長手方向における両側近傍にはスナップボタン110が取り付けられている。スナップボタン110は、対となるスタッド及びキャップから構成されている。デスク6を組み立てた状態において、これらスタッド及びキャップを嵌合することにより、天板64及び各脚66に補強部104の補強機能が提供される。
【0038】
樹脂シート74の天板64となる領域の幅方向における両端部には、第3折込線92を挟む位置に一対の係止孔112がそれぞれ形成されている。各一対の係止孔112は、それぞれ第6折込線100及び第7折込線102に沿う位置に形成されている。樹脂シート74の脚66となる各領域には、組み立てたデスク6を移動する際に指を入れるための指孔114が形成されている。
【0039】
以下、樹脂シート74を天板64及び各脚66に組み立てる手順を説明する。先ず、第6折込線100及び第7折込線102にて樹脂シートを90°に折り込み、さらに第4折込線94及び第5折込線96にて樹脂シートを90°に折り込む。次に、重なるようにして位置付けられた各スナップボタン110のキャップとスタッドとを嵌合させる。これにより、天板64及び各脚66が補強部104で補強された状態で組み立てられる。
【0040】
そして、天板64の各係止孔112に、組み立て済みの作業台68の各第1係止爪84と各第4係止爪90とを嵌め込んで係止することにより、天板64に対して作業台68が固定される。これにより、デスク6の組み立てが完了する。なお、作業台68の各第1係止爪84と各第4係止爪90とを天板64の各係止孔112から引き抜くことにより、天板64から作業台68を容易に取り外すことができる。
【0041】
図8は、デスク6の折り畳み状態を示す。デスク6の折り畳み手順は、先ず、作業台68の各第1係止爪84と各第4係止爪90とを天板64の各係止孔112から引き抜いて、作業台68を天板64から取り外し、樹脂シート72の状態に戻す。そして、樹脂シート72を第1及び第2折込線76、82にて折り畳む。
【0042】
次に、各スナップボタン110の嵌合を解除して天板64及び各脚66を樹脂シート74の状態に戻し、樹脂シート74を第3~第5折込線92、94、96にて折り畳む。そして、各樹脂シート72、74を重ねて折り畳む。これにより、コンパクト化されたデスク6をリュック8の収納空間24に収納することができる。なお、重ねて折り畳んだ各樹脂シート72、74をゴムバンドや紐などで結束しても良い。
【0043】
以下、
図9から
図13を参照して、セット1の設置手順を説明する。先ず、
図9に示すように、リュック8から折り畳んだ状態のシート2、シェード4及びデスク6を取り出し、シート2を広げて作業場所に載置する。次に、
図10に示すように、シェード4を展開して着脱部54にてシート2に結合する。次に、
図11に示すように、シェード4を立ち上げ、バックル60において各第2調整紐58を結合し、シェード4に日除け部10を形成する。
【0044】
次に、
図12に示すように、リュック8を展開して座椅子12の状態にし、リュック8の取手22にシェード4の保持紐18を通し、バックル20を結合することにより背もたれ16とシェード4とを互いに接続して保持する。併せて、デスク6を組み立ててシート2に載置し、セット1の設置が完了する。そして、
図13に示すように、作業者は座椅子12に座り、デスク6の作業台68に載置したパソコンで作業を行うことができる。
【0045】
なお、作業の合間に休憩する場合などには、
図14に示すように、天板64から作業台68を取り外した状態でデスク6を使用することが可能である。また、
図15に示すように、デスク6を使用しない作業形態もあり得る。
【0046】
以上のように、本実施形態のアウトドアワークセット1は、少なくともシート2、シェード4、及びリュック8から構成され、シート2及びシェード4は折り畳み可能であり、シェード4はシート2に着脱可能に取り付けられ、作業者に日除け部10を提供する。デスク6を使用する場合、このデスク6は折り畳み可能であってシート2に載置して使用し、リュック8は作業者が背負って持ち運び可能である。
【0047】
そして、リュック8は、それぞれ折り畳んだシート2、シェード4、及びデスク6が収納可能な収納空間24を有し、収納空間24は、作業者の背中に接する収納部26と、収納部26をリュック8の外側から覆う蓋部28とにより区画される。収納部26に対して蓋部28を展開することにより、リュック8はシート2に載置して使用するとともに作業者が背中をもたせ掛けて座する座椅子12の状態となる。
【0048】
リュック8の収納空間24を作業者の背中に接する収納部26と、収納部26をリュック8の外側から覆う蓋部28とにより区画したことにより、リュック8の外側への出っ張りを極めて薄くすることが可能である。これにより、リュック8に座椅子12の機能を提供しつつ、シート2、シェード4、及びデスク6と、パソコンや資料などの仕事に関わる荷物とを効率的に収納可能な収納空間24をアウトドアワークセット1において確保することができる。
【0049】
また、リュック8を座椅子12の状態にしたとき、シェード4の日除け部10によって屋外の日差しを遮ることができる。このようなアウトドアワークセット1は、コンパクトであり、簡易且つ軽量な構造の収納を実現するため、思い立ったら屋外で気軽に仕事に係る作業を快適に行うことができる。従って、屋外において作業に必要な環境を迅速に創出可能であるとともに、働き方の選択肢に屋外が加わることによって働き方改革の促進に貢献する。
【0050】
より詳しくは、収納部26は、リュック8の状態のときに、底面部30、対向する両側面部32、及び背面部34から構成される。また、蓋部28は、リュック8の状態のときに、底面部30に屈曲可能に接続されるとともに背面部34に対向する外面部36と、外面部36に屈曲可能に接続されるとともに底面部30に対向する上面部38とから構成され、収納部26とともに収納空間24を区画する。これにより、シート2、シェード4、及びデスク6と、その他の荷物とを収納可能な最低限の収納空間24を確実にリュック8に形成することができる。
【0051】
また、リュック8の底面部30、外面部36、及び上面部38は、座椅子12の状態のときに、座した作業者の下半身を保持する座部14となる。リュック8の背面部34は、座椅子12の状態のときに、座した作業者の背中を保持する背もたれ16となる。リュック8の両側面部32は、座椅子12の状態のときに、座した作業者の上半身の左右側をそれぞれ覆うサイドカバー44となる。これにより、座した作業者の快適性を確実に確保することができる。特にリュック8の両側面部32がサイドカバー44となることにより、座した作業者のホールド感が高まり、作業中の快適性をさらに向上することができる。
【0052】
また、アウトドアワークセット1は、座椅子12の状態のときに、背もたれ16とシェード4とを接続して保持する保持紐18を有する。これにより、シェード4が座椅子12側に固定され、屋外においてシェード4が風を受けて揺れることが抑制されるため、座した作業者の快適性をさらに向上することができる。
【0053】
また、リュック8は、座椅子12の状態のときに、背もたれ16又はサイドカバー44と座部14とを接続する伸縮可能な第1調整紐50を有する。これにより、第1調整紐50を伸縮させれば、座部14に対する背もたれ16の角度、すなわち、座椅子12のリクライニング角度を調整することができる。従って、作業者の好みのリクライニング角度に容易に調整可能となるため、座した作業者の快適性をさらに向上することができる。
【0054】
また、シェード4は、座椅子12の状態のときに、シート2の前端部2aとシェード4の前端部4aとを接続する伸縮可能な第2調整紐58を有する。これにより、立ち上げたシェード4がシート2側に固定され、屋外においてシェード4が風を受けて揺れることをさらに効果的に抑制可能である。また、第2調整紐58を伸縮させれば、日差しに応じて日除け部10の角度を調整可能となるため、座した作業者の快適性をさらに向上することができる。
【0055】
また、シェード4は、外縁に芯材56を有し、芯材56を折曲することにより折り畳み状態と展開状態との間を移行可能であり、座椅子12の状態のときに、展開状態とすることにより日除け部10を形成する。より詳しくは、シェード4は、展開状態において、着脱部54にシート2が取り付けられ、保持紐18をリュック8の取手22に通して背もたれ16とシェード4とを接続して保持する。
【0056】
さらに、第2調整紐58の長さを短く調整することにより、芯材56が湾曲し、シェード4の前端部4aに日除け部10としての湾曲領域62が形成される。これにより、シェード4の折り畳み及び展開を容易に行うことができ、第2調整紐58を伸縮させれば、日差しに応じて日除け部10の角度を容易に調整可能となる。従って、座した作業者の快適性をさらに向上することができる。
【0057】
<第2実施形態>
以下、
図16から
図32を参照して、本発明の第2実施形態に係るアウトドアワークセット1について説明する。なお、第1実施形態と共通する構成は、図面又は本文中に同符号を付すなどして説明を省略し、主として第1実施形態と異なる構成について説明する。
図16は、第2実施形態に係るセット1の使用状態の一例となる斜視図を示し、
図17は、
図16を後方から見た背面図を示す。
【0058】
座椅子12の状態のときに、各ポール120の下端がシート2又はシート2の載置面(地面)にそれぞれ当接する。座椅子12の状態のときに、各ポール120は、交差した状態でリュック8の取手22に挿通される。リュック8は、背もたれ16の幅方向における両側下部に、各ポール120の下端が挿通されて保持される保持輪122をそれぞれ有する。交差した状態の各ポール120の交差部124は、取手22の近傍に位置付けられ、交差部124は結束バンド126で固定される。また、リュック8の側部には、複数のサイドポケット128が形成されている。
【0059】
図18は、第2実施形態に係るシェード4の平面図を示す。本実施形態のシェード4は、第1実施形態の保持紐18及び着脱部54を有していないが、代わりに、後端部4bの幅方向における両端部にポールスリーブ130をそれぞれ有する。各ポールスリーブ130には、ポール120の保持部132が区画されている。各保持部132に各ポール120の上端が挿入されて保持される。本実施形態のシェード4は、展開状態でほぼ水平方向に設置される。従って、第1実施形態と異なり、シェード4の前端部4aに日除け部10としての湾曲領域62が形成されるのではなく、シェード4の全面を日除け部10として利用可能である。
【0060】
図19は、ポール120の組立図を示す。各ポール120は、それぞれ複数の、例えば3つの分割ポール部134,136,138から構成されている。各分割ポール部134~138を互いに着脱することにより、ポール120の分割状態と連結状態との間を移行可能である。具体的には、分割ポール部134は、一端に、軸線方向に突出した凸部134aを有する。
【0061】
分割ポール部136は、一端に、軸線方向において凸部134aが挿入される凹部136aを有し、他端に、軸線方向に突出した凸部136bを有する。分割ポール部138は、一端に、軸線方向において凸部136bが挿入される凹部138aを有する。凸部134aを凹部136aに挿入し、凸部136bを凹部138aに挿入することにより、各分割ポール部134~138が連結されたポール120となる。
【0062】
図20は、各分割ポール部134~138を束ねた状態を示す。座椅子12の状態のときに各ポール120の交差部124を固定する結束バンド126は、各分割ポール部134~138を束ねてコンパクトにリュック8に収納するために利用される。なお、ポール120の各分割ポール部134~138は、これらの分割及び連結に支障を来さない位置において図示しないワイヤ(例えばゴム紐)などで連結しても良い。
【0063】
この場合には、ワイヤで連結された各分割ポール部134~138を互いに取り外し、ワイヤで連結された状態の各ポール部134~138を屈曲するようにして束ねることによりポール120をコンパクト化する。これにより、各分割ポール部134~138の組み立てがさらに容易になるとともに、各分割ポール部134~138の紛失を防止可能である。
【0064】
図21は、第2実施形態に係るデスク140の斜視図を示す。
図21に示すデスク140は、作業台68を有しておらず、天板4の天面部98に作業台68を取り付けるための各係止孔112は形成されていない。また、各脚66に形成される指孔114は、第1実施形態のように樹脂シート74を穿孔するのではなく切り欠いて形成される。樹脂シート74には、指孔114の形成に伴い、折曲可能な切片142が形成される。
【0065】
図22は、
図21のデスク140の天板64及び各脚66となる樹脂シート74の展開図を示す。なお、図示した
図22において、左右方向を樹脂シート74の長手方向とし、上下方向を樹脂シート74の幅方向として説明する。本実施形態においては、天板64を形成する樹脂シート74の部位は、天面部98と背面部144とから構成される。背面部144を形成する樹脂シート74は、天面部98を形成する樹脂シート74から補強部104を隔てて幅方向に延設されている。
【0066】
樹脂シート74の幅方向における両側において、補強部104と背面部144との境界には、樹脂シート74の厚みを減じた第8折込線146及び第9折込線148がそれぞれ長手方向全域に亘って形成されている。これにより、第8折込線146及び第9折込線148にて樹脂シート74を折り込むことができる。
【0067】
また、樹脂シート74の幅方向における両端部には、それぞれ端縁から背面部144の面積を確保可能な小幅をなす位置に、樹脂シート74の厚みを減じた第10折込線150及び第11折込線152がそれぞれ長手方向全域に亘って形成されている。これにより、第10折込線150及び第11折込線152にて樹脂シート74を折り込むことができる。これら折込部分は天板64の補強部154を形成する。
【0068】
各補強部154の長手方向における両端には、幅方向に膨出した膨出部156がそれぞれ形成されている。各膨出部156には、それぞれ切込158が入れられている。一方、各脚66となる樹脂シート74には、切片142との境界に樹脂シート74の厚みを減じた第12折込線160がそれぞれ形成されている。第12折込線160にて切片142を折り込むことにより、各脚66に指孔114が形成される。また、各切片142の指孔114と対向する端縁には、それぞれ切込162が入れられている。
【0069】
以下、
図23及び
図24を参照して、樹脂シート74を天板64に組み立てる手順を説明する。なお、第1実施形態と同様の手順については説明を省略する。先ず、
図23に示すように、各背面部144を天面部96に重ね合わせるようにして矢印で示す方向に折り畳む。これにより、樹脂シート74が第6折込線100及び第7折込線102と、第8折込線146及び第9折込線148とにおいて90°に折り込まれる。
【0070】
さらに、樹脂シート74を第10折込線150及び第11折込線152にてそれぞれ90°に折り込むことにより、各補強部154が重ね合わせた状態で立設され、各補強部154を手で摘んで保持可能となる。この際、各補強部154に形成された膨出部156も重ね合わせられる。
【0071】
次に、
図24に示すように、樹脂シート74を第4折込線94及び第5折込線96にて折り込んで各脚66を矢印で示すように立ち上げる。そして、重ね合わせた各膨出部156のそれぞれの切込158を各脚66の切片142のそれぞれの切込162に入れ込んで係合させる。これにより、天面部96及び背面部14から天板64が形成されるとともに、天板64が各脚66に固定され、
図21に示すデスク140が組み立てられる。
【0072】
図25は、
図21のA-A方向から見た天板64の断面図を示す。天板64は、天面部96及び背面部14によって二重化されることにより剛性が向上する。また、天板64及び各脚66に、各補強部104に加えて各補強部154の補強機能が提供されるため、天板64の剛性がさらに向上する。また、天板64及び各脚66は、各スナップボタン110の嵌合により連結される。
【0073】
加えて、各補強部154の膨出部156のそれぞれの切込158と、各脚66の切片142のそれぞれの切込162との係合によって、天板64及び各脚66がより一層強固に連結される。これにより、デスク140に比較的重い物を置いたり、或いは、作業者が作業中に肘をデスク140についたりしても、デスク140が変形することはなく、デスク140の形状が安定的に維持される。
【0074】
以下、
図26から
図28を参照して、デスク140の折り畳み手順を説明する。先ず、
図26に示すように、各スナップボタン110の嵌合を解除するとともに、各補強部154の膨出部156のそれぞれの切込158と、各脚66の切片142のそれぞれの切込162との係合を解除する。次に、各脚66を天面部98に重ね合わせるようにして折り畳む。
【0075】
この際、各補強部104及び各補強部154も、天面部98に重ね合わせるようにして折り畳み、各補強部154の膨出部156は重ね合わせられる。これにより、背面部144が天面部98に重ね合わされて平坦な状態となるため、樹脂シート74を第3折込線92において折り曲げ可能となり、また、第4折込線94及び第5折込線96において折り曲げ可能となる。
【0076】
図27は、
図26の状態の樹脂シート74を折り込んだ状態を示す。樹脂シート74を第3折込線92において山折りに折り込み、さらに第4折込線94及び第5折込線96において谷折りに折り込む。
図28は、
図27の状態の樹脂シート74を折り畳んでコンパクト化した状態を示す。このように、本実施形態のデスク140も、第1実施形態の場合と同様に、コンパクトに折り畳んだ状態でリュック8の収納空間24に収納することができる。
【0077】
以下、
図29から
図32を参照して、セット1の設置手順を説明する。なお、第1実施形態と同様の手順については説明を省略する。先ず、
図29に示すように、リュック8から折り畳んだ状態のシート2、シェード4、及びデスク140と、束ねた状態の各分割ポール部134~138とを取り出し、リュック8を展開して座椅子12の状態にする。
【0078】
次に、各分割ポール部134~138を連結して各ポール120に組み立てる。次に、各ポール120を交差させることにより交差部124を形成し、交差部124を結束バンド126で結束した状態で、各ポール120をリュック8の取手22に挿通する。この際、交差部124は取手22の近傍に位置付けられる。併せて、各ポール120の下端をリュック8の保持輪122にそれぞれ挿通し、各ポール120の下端をシート2又は地面にそれぞれ当接させる。これにより、各ポール120が立設状態で保持される。
【0079】
次に、
図30に示すように、シェード4を展開し、各ポールスリーブ130の保持部132に各ポール120の上端を挿入して保持させる。これにより、シェード4の後端部4bが各ポール120に取り付けられる。シェード4は、軽量であるとともに芯材56が内設されているため、後端部4bにおいて各ポール120に片持ち支持される。
【0080】
次に、
図31に示すように、シェード4の前端部4aとシート2の前端部2aとをバックル60を接続することにより各第2調整紐58を介して連結する。バックル60のアジャスタを操作することにより各第2調整紐58を伸縮させ、シェード4の湾曲角度を調整することができる。また、
図32に示すように、作業者が座椅子12に座した状態で、各ポール120の下端の位置を調整することにより、シェード4の位置を長手方向Xにおける前後に調整可能である。
【0081】
各ポール120の下端はリュック8の保持輪122にそれぞれ挿通されるため、各ポール120の下端を移動させても、各ポール120ひいてはシェード4が倒れ込むことはない。また、各ポール120の下端を座椅子12の座部14側に引き寄せ、各ポール120を座椅子12の背もたれ16に沿って傾斜させるのが好ましい。これにより、シェード4がより一層安定した姿勢で支持される。
【0082】
以上のように、本実施形態のアウトドアワークセット1は、第1実施形態の場合と同様に、コンパクトであり、簡易且つ軽量な構造の収納を実現する。このため、セット1を用いることにより、思い立ったら屋外で気軽に仕事に係る作業を快適に行うことができる。従って、屋外において作業に必要な環境を迅速に創出可能であるとともに、働き方の選択肢に屋外が加わることによって働き方改革の促進に貢献する。
【0083】
特に本実施形態のセット1は、シェード4の長手方向Xにおける後端部4bを支持する一対のポール120を備える。リュック8が座椅子12の状態のときに、各ポール120の下端がシート2又は地面にそれぞれ当接する。また、各ポール120は、交差した状態でリュック8の背もたれ16の上部に形成された取手22に挿通される。
【0084】
これにより、シェード4は、各ポール120を介してリュック8及び地面に直接的に重量をかけた状態で支持される。従って、第1実施形態の場合に比して、シェード4がより一層安定的に支持される。また、シェード4と座椅子12との間には各ポール120が存在するだけであるため、通気性が良くなり、風を受けてのシェード4の揺れがさらに効果的に抑制され、座した作業者の快適性をさらに向上することができる。
【0085】
また、リュック8は、背もたれ16の幅方向における両側下部に、各ポール120の下端が挿通されて保持される保持輪122をそれぞれ有する。これにより、各ポール120の下端がリュック8において支持されるため、各ポール120ひいてはシェード4のさらなる安定支持が実現される。また、各ポール120の下端がリュック8の保持輪122にそれぞれ挿通されることにより、作業者が座椅子12に座した状態で、各ポール120の下端の位置を調整し、シェード4の位置を前後に調整可能である。
【0086】
これにより、日差しに応じてシェード4による日除け範囲を容易に調整することができる。特に、各ポール120の下端を座椅子12の座部14側に引き寄せ、各ポール120を座椅子12の背もたれ16に沿って傾斜させるのが好ましい。これにより、シェード4の重量の大部分は、各ポール120を介して地面にかかるとともに、各ポール120及び取手22を介してリュック8にかかる。従って、シェード4がより一層安定した姿勢で支持され、作業者が座椅子12から離座した場合であっても、各ポール120や背もたれ16がシェード4の重量により倒れ込むことはない。
【0087】
また、シェード4は、その後端部4bの幅方向における両側部に、各ポール120の上端が挿入されて保持されるポールスリーブ130をそれぞれ有する。これにより、各ポールスリーブ130を介してシェード4の後端部4bを各ポール120の上端に支持させることができる。また、各ポールスリーブ130で各ポール120の上端を支持することにより、シェード4を湾曲させることなく、シェード4の全面を日除け部10として利用可能となる。従って、日差しを効果的に遮ることができ、座した作業者の快適性をさらに向上することができる。
【0088】
さらに、交差した状態の各ポール120の交差部124は、リュック8の取手22の近傍に位置付けられる。これにより、各ポール120が交差部124の近傍において取手22に支持されるため、各ポール120ひいてはシェード4のさらなる安定支持が実現される。
【0089】
また、各ポール120は、それぞれ複数の分割ポール部134~138から構成され、各分割ポール部134~138を互いに着脱することにより分割状態と連結状態との間を移行可能である。これにより、各ポール120をコンパクトに分割し束ねた状態でリュック8の収納空間24に収納することができる。
【0090】
また、各ポール部120の連結状態のときに交差部124を固定するとともに、各ポール部120の分割状態のときに各分割ポール部134~138を束ねる結束バンド126を有する。これにより、交差状態の各ポール部120の安定化が図られるとともに、各ポール120を分割したときのさらなるコンパクト化が図られる。従って、セット1の組み立て時及びリュック8への収納時における作業員の作業性が向上する。
【0091】
以上で本発明の各実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、シート2、シェード4、デスク6、リュック8、及び各ポール120の形状、シェード4及びデスク6、140の折り畳み構造、リュック8の展開構造、及び各ポール120の連結及び分割構造は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、上記実施形態に厳密に限定されるものではない。
【0092】
また、上記実施形態で説明したアウトドアワークセット1は、屋外で仕事を行うときのみならず、屋外で行う様々なレジャー、例えば、ピクニック、サイクリング、釣り、海水浴などに携帯して、読書、休憩、食事などの際に利用することもでき、また、会社内での休憩スポットや仮眠スポットにも活用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 アウトドアワークセット
2 シート
2a 前端部
2b 後端部
4 シェード
4a 前端部
4b 後端部
4c 中間部
6 デスク
8 リュック
10 日除け部
12 座椅子
14 座部
16 背もたれ
18 保持紐
22 取手
24 収納空間
26 収納部
28 蓋部
30 底面部
32 側面部
34 背面部
36 外面部
38 上面部
44 サイドカバー
50 第1調整紐
54 着脱部
56 芯材
58 第2調整紐
62 湾曲領域
120 ポール
122 保持輪
124 交差部
126 結束バンド
130 ポールスリーブ
134 分割ポール部
136 分割ポール部
138 分割ポール部
X 長手方向