(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146897
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】圧電トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/14 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
G01D5/14 P
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022030813
(22)【出願日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】21164057.8
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ラフランキ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】トバイアス フロムメンヴィラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴィ―ス
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA41
2F077MM07
2F077VV03
2F077VV31
2F077VV33
2F077WW02
2F077WW03
(57)【要約】
【課題】測定変数を測定するための圧電トランスデューサを提供する。
【解決手段】圧電トランスデューサは、少なくとも1つの圧電要素及び少なくとも2つの電極を備えるトランスデューサ・ユニットを備え、圧電要素は、圧電材料で作られ、測定変数の影響を受けて分極電荷を生成し、電極は、特定の領域で圧電要素と直接接触し、分極電荷をピックアップする。圧電トランスデューサは、水密及び気密にトランスデューサ・ユニットを囲むハウジングを備え、電極に電気的に接続され、ハウジングを通してハウジングの外側の環境に信号として分極電荷を伝える信号取出し部を備える。圧電トランスデューサは、ハウジングの外側の環境に配置され、少なくとも2つの信号導体を備える信号ケーブルを備え、信号取出し部は支持要素を備え、少なくとも2つの導電路は支持要素に配置され、信号導体のうちの1つはそれぞれ、導電路のうちの1つと接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定変数を測定するための圧電トランスデューサ(1)であって、少なくとも1つの圧電要素(11.11~11.13)及び少なくとも2つの電極(11.21~11.26)を備えるトランスデューサ・ユニット(11)を備え、
前記圧電要素(11.11~11.13)が、圧電材料で作られ、前記測定変数の影響を受けて分極電荷を生成し、前記電極(11.21~11.26)が、特定の領域で、前記圧電要素(11.11~11.13)と直接接触し、前記分極電荷をピックアップし、
前記圧電トランスデューサ(1)は、水密及び気密の態様で前記トランスデューサ・ユニット(11)を囲むハウジング(12)を備え、前記圧電トランスデューサ(1)は、前記電極(11.21~11.26)に電気的に接続され、前記分極電荷を、前記ハウジング(12)を通して前記ハウジング(12)の外側の環境(0)に信号(S1~S4)として伝達する信号取出し部(13)を備え、
前記圧電トランスデューサ(1)が、前記ハウジング(12)の外側の前記環境(0)に配置され、少なくとも2つの信号導体(14.11~14.14)を備える信号ケーブル(14)を備え、
前記信号取出し部(13)が、支持要素(13.1)を備え、少なくとも2つの導電路(13.121~13.124)が、前記支持要素(13.1)に配置され、前記信号導体(14.11~14.14)のそれぞれが、前記導電路(13.121~13.124)のちょうど1つずつと接触することを特徴とする、圧電トランスデューサ(1)。
【請求項2】
前記信号取出し部(13)が、少なくとも2つの接続導体(13.21~13.24)を備え、前記トランスデューサ・ユニット(11)が、前記信号(S1~S4)が印加される少なくとも2つのトランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.84)を備え、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれが、前記トランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.84)のちょうど1つずつと接触し、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれが、前記導電路(13.121~13.124)のちょうど1つずつと接触することを特徴とする、請求項1に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項3】
各導電路(13.121~13.124)が、ちょうど1つずつの信号導体接触面(13.131~13.134)及びちょうど1つずつの接続導体接触面(13.141~13.144)を備え、前記信号導体(14.11~14.14)のそれぞれが、ちょうど1つずつの信号導体接触面(13.131~13.134)と接触し、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれが、ちょうど1つずつの接続導体接触面(13.141~13.144)と接触することを特徴とする、請求項2に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項4】
前記電極(11.21~11.24)が、少なくとも1つの第1の電極(11.21~11.23)及び少なくとも1つの更なる電極(11.24)を備え、前記第1の電極(11.21~11.23)が、少なくとも1つの第1の信号(S1~S3)を提供し、前記更なる電極(11.24)が、少なくとも1つの更なる信号(S4)を提供し、前記トランスデューサ・ユニット(11)が、前記第1の信号(S1~S3)が印加される少なくとも1つの第1のトランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.83)を備え、前記トランスデューサ・ユニット(11)が、前記更なる信号(S4)が印加される少なくとも1つの更なるトランスデューサ・ユニット接触面(11.84)を備え、前記接続導体(13.21~13.24)が、少なくとも1つの第1の接続導体(13.21~13.23)及び少なくとも1つの更なる接続導体(13.24)を備え、前記導電路(13.121~13.124)が、少なくとも1つの第1の導電路(13.121~13.123)及び少なくとも1つの更なる導電路(13.124)を備え、前記第1の接続導体(13.21~13.23)が、前記第1のトランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.83)及び前記第1の導電路(13.121~13.124)ときっちりと接触し、前記第1の信号(S1~S3)を伝達し、前記更なる接続導体(13.24)が、前記更なるトランスデューサ・ユニット接触面(11.84)及び前記更なる導電路(13.124)ときっちりと接触し、前記更なる信号(S4)を伝達することを特徴とする、請求項2又は3に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項5】
前記信号導体(14.11~14.14)が、少なくとも1つの第1の信号導体(14.11~14.13)及び少なくとも1つの更なる信号導体(14.14)を備え、前記第1の信号導体(14.11~14.13)が、第1の導電路(13.121~13.123)ときっちりと接触し、前記第1の信号(S1~S3)を伝達し、前記更なる信号導体(14.14)が、前記更なる導電路(13.124)ときっちりと接触し、前記更なる信号(S4)を伝達することを特徴とする、請求項4に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項6】
前記支持要素(13.1)が、電気絶縁性材料で作られた本体(13.11)を備え、前記導電路(13.121~13.124)が、前記本体(13.11)に直接施された導電性薄膜にパターニングされることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項7】
各導電路(13.121~13.124)が、ちょうど1つずつの信号導体接触面(13.131~13.134)及びちょうど1つずつの接続導体接触面(13.141~13.144)を備え、前記支持要素(13.1)が、第1の端面(13.111)及び更なる端面(13.112)を備え、前記信号導体接触面(13.131~13.134)が、前記第1の端面(13.111)及び前記更なる端面(13.112)に配置され、前記接続導体接触面(13.141~13.144)が、前記第1の端面(13.111)に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項8】
前記信号取出し部(13)が、信号導体開口部(13.4)及びキャスティング・コンパウンド(13.5)を備え、前記支持要素(13.1)が、前記信号導体開口部(13.4)内に保持する態様で挿入され、前記信号導体(14.11~14.14)の端部が、前記信号導体開口部(13.4)を通って突出し、前記キャスティング・コンパウンド(13.5)が、前記信号導体開口部(13.4)内の前記信号導体(14.11~14.14)に施され、信号取出し壁(13.3)に保持する態様で挿入された前記支持要素(13.1)を機械的に固定し、前記信号導体開口部(13.4)を水密及び気密の態様で封止することを特徴とする、請求項7に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項9】
各導電路(13.121~13.124)が、正確に1つずつの信号導体接触面(13.131~13.134)及び正確に1つずつの接続導体接触面(13.141~13.144)を備え、前記支持要素(13.1)が、第1の端面(13.111)、側面(13.113)、及び内面(13.114)を備える貫通開口部(13.4‘)を備え、前記信号導体接触面(13.131~13.134)が、前記内面(13.114)に配置され、前記接続導体接触面(13.141~13.144)が、前記側面(13.113)に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項10】
前記信号取出し部(13)が、信号導体開口部(13.4)及びキャスティング・コンパウンド(13.5)を備え、前記支持要素(13.1)が、前記信号導体開口部(13.4)に取り付けられ、前記信号導体開口部(13.4)と前記貫通開口部(13.4‘)が互いに一致し、前記信号導体(14.11~14.14)の端部が、前記信号導体開口部(13.4)を通って前記貫通開口部(13.4‘)に突出し、前記キャスティング・コンパウンド(13.5)が、前記貫通開口部(13.4‘)内の前記信号導体(14.11~14.14)に施され、前記貫通開口部(13.4’)を水密及び気密の態様で封止することを特徴とする、請求項9に記載の圧電トランスデューサ(1)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の圧電トランスデューサ(1)の組立の方法であって、
前記組立の第1のステップにおいて、信号取出し壁(13.3)を備える信号取出し部(13)及び少なくとも2つの信号導体(14.11~14.14)を備える信号ケーブル(14)が設けられ、前記信号取出し壁(13.3)が、信号導体開口部(13.4)を備え、前記信号導体(14.11~14.14)が、前記環境(0)の側から前記信号導体開口部(13.4)を通って挿入され、前記信号導体(14.11~14.14)の端部が、前記信号導体開口部(13.4)を通って突出し、
前記組立の第2のステップにおいて、2つの端面(13.111、13.112)を有する支持要素(13.1)が設けられ、前記端面(13.111、13.112)が、少なくとも2つの導電路(13.121~13.124)を備え、前記導電路(13.121~13.124)が、信号導体接触面(13.131~13.134)で終端となり、前記支持要素(13.1)が、前記信号導体(14.11~14.14)の前記端部が前記端面(13.111、13.112)の方に突出するように前記信号導体開口部(13.4)に配置され、前記信号導体(14.11~14.14)の前記端部が、前記信号導体接触面(13.131~13.134)と接続されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記信号取出し壁(13.3)が、少なくとも1つの保持要素(13.31、13.32)を備え、前記支持要素(13.1)が、少なくとも1つの案内要素(13.151、13.152)を備え、
前記組立の第3のステップにおいて、前記支持要素(13.1)が、前記案内要素(13.151、13.152)及び前記保持要素(13.31、13.32)によって前記信号取出し壁(13.3)に保持する態様で挿入され、
前記組立の第4のステップにおいて、前記信号導体接触面(13.131~13.134)が、キャスティング・コンパウンド(13.5)でキャスティングされ、前記キャスティング・コンパウンド(13.5)が、硬化及び/又は固定され、前記信号導体開口部(13.4)が、水密及び気密の態様で閉鎖され、前記キャスティング・コンパウンド(13.5)が、特定の領域において前記支持要素(13.1)及び前記信号取出し壁(13.3)に施され、前記信号取出し壁(13.3)に保持する態様で挿入された前記支持要素(13.1)が、機械的に固定されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組立の第5のステップにおいて、前記ハウジング(12)の部分が設けられ、前記ハウジング(12)の前記部分が、機械的に安定した態様で前記信号取出し壁(13.3)に接続され、機械的に安定した態様で前記信号取出し壁(13.3)に接続された前記ハウジング(12)の前記部分が、ハウジング内部(12.0)を形成し、
前記組立の第6のステップにおいて、トランスデューサ要素(11)が設けられ、前記トランスデューサ要素(11)が、前記ハウジング内部(12.0)に挿入され、前記ハウジング(12)に固定され、
前記組立の第7のステップにおいて、少なくとも2つの接続導体(13.21~13.24)が設けられ、前記トランスデューサ・ユニット(11)が、少なくとも2つのトランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.84)を備え、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれが、前記トランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.84)のちょうど1つずつと接続され、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれが、前記導電路(13.121~13.124)のちょうど1つずつと接続されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の圧電トランスデューサ(1)の組立の方法であって、
前記組立の第1のステップにおいて、ハウジング(12)の部分と、信号取出し壁(13.3)を備える信号取出し部(13)と、第1の端面(13.111)、側面(13.113)、及び内面(13.114)を備える貫通開口部(13.4‘)を備える支持要素(13.1)とが設けられ、
前記組立の第2のステップにおいて、前記ハウジング(12)の前記部分が、機械的に安定した態様で前記信号取出し壁(13.3)に取り付けられ、機械的に安定した態様で前記信号取出し壁(13.3)に取り付けられた前記ハウジング(12)の前記部分が、ハウジング内部(12.0)を画定し、前記第1の端面(13.111)が、少なくとも2つの導電路(13.121、13.124)を備え、前記導電路(13.121~13.124)が、信号導体接触面(13.131~13.134)で終端となり、前記信号導体接触面(13.131~13.134)が、前記内面(13.114)に配置され、
前記組立の前記第2のステップにおいて、前記信号導体開口部(13.4)と前記貫通開口部(13.4‘)が互いに一致するように、前記支持要素(13.1)が、前記信号導体開口部(13.4)に固定され、
前記組立の第3のステップにおいて、少なくとも2つの信号導体(14.11~14.14)を備える信号ケーブル(14)が設けられ、前記信号導体(14.11~14.14)が、前記環境(0)の側から前記信号導体開口部(13.4)及び前記貫通開口部(13.4‘)を通って挿入され、前記信号導体(14.11~14.14)の端部が、前記信号導体開口部(13.4)を通って前記貫通開口部(13.4‘)に突出し、前記端面(13.111、13.112)の方に突出し、
前記組立の第4のステップにおいて、前記信号導体(14.11~14.14)の前記端部と前記信号導体接触面(13.131~13.134)との間で接触が確立されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記組立の第4のステップにおいて、前記信号導体接触面(13.131~13.134)と接触している前記信号導体(14.11~14.14)が、キャスティング・コンパウンド(13.5)でキャスティングされ、前記キャスティング・コンパウンド(13.5)が、硬化及び/又は固定され、前記貫通開口部(13.4‘)が、水密及び気密の態様で封止され、
前記組立の第6のステップにおいて、トランスデューサ・ユニット(11)が設けられ、前記トランスデューサ・ユニット(11)が、前記ハウジング内部(12.0)に導入され、前記ハウジング(12)に固定され、
前記組立の第7のステップにおいて、少なくとも2つの接続導体(13.21~13.24)が設けられ、前記トランスデューサ・ユニット(11)が、少なくとも2つのトランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.84)を備え、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれ1つの前記トランスデューサ・ユニット接触面(11.81~11.84)のちょうど1つずつとの接触が確立され、前記接続導体(13.21~13.24)のそれぞれ1つの前記導電路(13.121~13.124)のちょうど1つずつとの接触が確立されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部に記載の圧電トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧電圧力トランスデューサとして使用するための圧電トランスデューサを開示している。圧電トランスデューサは、圧電材料で作られた少なくとも1つの圧電要素を備える。圧電要素は、検出対象となる測定変数の影響を受けて分極電荷を生成する。生成される分極電荷の数は測定変数の値に比例する。分極電荷は電極によってピックオフされ、信号として伝達される。
【0003】
圧電要素は、汚染(埃、水分など)などの環境影響に敏感で、それらによる恒久的な損傷を容易に受けることがある。このため、圧電トランスデューサは、機械的に抵抗力のある材料で作られたハウジングを備える。圧電要素及び電極は、ハウジングの内部に水密及び気密の態様で配置される。
【0004】
圧電トランスデューサは信号取出し部をさらに備える。信号取出し部は、ハウジングに機械的に接続され、ハウジングの内側から外側に信号を伝える。このため、信号取出し部は、ハウジングから電気的に絶縁された少なくとも1つの取出し導体を備える。この取出し導体は、ハウジング内部の少なくとも1つの電極に電気的に接続される。取出し導体は、ハウジングの外側の信号ケーブルの少なくとも1つの信号導体に電気的に接続することができる。
【0005】
この種の圧電トランスデューサは多種多様な用途を有する。例えば、圧電圧力トランスデューサは内燃機関の燃焼室内の圧力を測定する。一方、圧電力及びトルク・トランスデューサは、構成部品を接合する際の接合力を測定する。加えて、圧電加速度計は、取り付けられた物体の加速度及び振動を測定する。これらの多様な用途に共通する特徴は、圧電トランスデューサはできるだけ小さく且つ軽くすべきであるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第392103号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、外形寸法及び重量の小さな圧電トランスデューサを提供することである。さらに、本発明の第2の目的は、低コストで製造される圧電トランスデューサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、独立請求項の特徴によって達成される。
【0009】
本発明は、測定変数を測定するための圧電トランスデューサに関し、本圧電トランスデューサは、少なくとも1つの圧電要素及び少なくとも2つの電極を備えるトランスデューサ・ユニットを備え、前記圧電要素は圧電材料で作られ、前記測定変数の影響を受けて分極電荷を生成し、前記電極は、特定の領域で、圧電要素と直接接触し、分極電荷をピックオフし、本圧電トランスデューサは、水密及び気密の態様でトランスデューサ・ユニットを囲むハウジングを備え、電極に電気的に接続され、分極電荷を、ハウジングを通してハウジングの外側に位置する環境に信号として伝える信号取出し部を備え、本圧電トランスデューサは、ハウジングの外側の前記環境に配置され、少なくとも2つの信号導体を備える信号ケーブルを備え、前記信号取出し部は、少なくとも2つの導電路が配置された支持要素を備え、信号導体のそれぞれは、前記導電路のちょうど1つずつと接触する。
【0010】
支持要素は、導電路のための機械的支持部であり、前記導電路と信号ケーブルの信号導体との間で接触が確立される。支持要素及び導電路は、非常に小さな外形寸法で作成することができる。しかし、それでも、支持要素の導電路は、信号導体への接続のために容易にアクセス可能である。
【0011】
従属請求項は、本発明の更なる有利な実施例について言及する。
【0012】
例えば、従属請求項は、圧電トランスデューサの組立の方法、及び圧電トランスデューサにおける支持要素の使用について言及する。
【0013】
以下、例として図を参照しながら本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】圧電トランスデューサ1の第1の実施例の一部分の概略断面図である。
【
図2】圧電トランスデューサ1の第2の実施例の一部分の概略断面図である。
【
図3】圧電トランスデューサ1の第3の実施例の一部分の概略断面図である。
【
図4】
図1による圧電トランスデューサ1の支持要素13.1の第1の実施例の概略平面図である。
【
図5】
図3による支持要素13.1の第1の実施例を下から見た概略図である。
【
図6】
図2による圧電トランスデューサ1の支持要素13.1の第2の実施例の概略平面図である。
【
図7】
図5による支持要素13.1の第2の実施例を下から見た概略図である。
【
図8】
図3による圧電トランスデューサ1の支持要素13.1の第1の実施例の概略図である。
【
図9】
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例の組立の第1のステップの概略図であり、信号取出し壁13.3を備える信号取出し部13、及び信号ケーブル14が設けられ、信号ケーブル14の端部が信号取出し壁13.3の信号導体開口部13.4に挿入される。
【
図10】
図9による組立の第2のステップの概略図であり、信号ケーブル14の信号導体14.11~14.14と、
図4及び
図5による支持要素13.1の第1の実施例との間の接触が確立される。
【
図11】
図9及び
図10による組立の第3のステップの概略図であり、支持要素13.1は信号貫通壁13.3に挿入される。
【
図12】
図9から
図11による組立の第4のステップの概略図であり、支持要素13.1は、キャスティング・コンパウンドで信号取出し壁13.3にキャスティングされる。
【
図13】
図9~
図12による組立の第5のステップの概略図であり、ハウジング12の部分が設けられ、ハウジング12の前記部分が信号取出し壁13.3に固定される。
【
図14】
図9から
図13による組立の第6のステップの概略図であり、トランスデューサ・ユニット11がハウジング12内に設けられ固定される。
【
図15】
図9から
図14による組立の第7のステップの概略図であり、接続導体13.31~13.34が支持要素13.1及びトランスデューサ・ユニット11に接続される。
【
図16】接続導体13.31~13.34による接触を確立するための、支持要素13.1上の接続導体接点13.41~13.44、及びトランスデューサ・ユニット11上のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.84を示す
図15の拡大部の概略図である。
【
図17】
図9から
図15による組立の第8のステップの概略図であり、ハウジング開口部がハウジング・カバー12.3によって閉鎖される。
【
図18】
図3による圧電トランスデューサ1の実施例の組立の概略図であり、第1のステップにおいて、
図8による実施例におけるハウジング12の部分、信号取出し部13、及び支持要素13.1が設けられ、第2のステップにおいて、ハウジング12の前記部分は信号取出し壁13.3に固定され、支持要素13.1は信号貫通部13の信号貫通壁13.3に固定される。
【
図19】
図18による組立の概略図であり、第3のステップにおいて、信号導体14.11~14.14を備える信号ケーブル14が設けられ、信号導体14.11~14.14の端部が信号貫通壁13.3の信号導体開口部13.4及び支持要素13.1の貫通開口部13.4‘に挿入され、第4のステップにおいて、信号導体14.11~14.14と支持エレメント13.1の信号導体接触面13.131~13.134との接触が確立される。
【
図20】
図18及び
図19による組立の第5のステップの概略図であり、支持要素13.1の信号導体開口部13.4‘は、キャスティング・コンパウンドでキャスティングされる。
【
図21】
図18から
図20による組立の概略図であり、第6のステップにおいて、トランスデューサ・ユニット11が設けられ、前記トランスデューサ・ユニット11はハウジング12内に固定され、第7のステップにおいて、接続導体13.31~13.34と、支持要素13.1及びトランスデューサ・ユニット11との接触が確立される。
【
図22】
図18から
図21による組立の第8のステップの概略図であり、ハウジング開口部がハウジング・カバー12.3によって閉鎖される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面全体を通して、同一の物品は同一の参照符号によって示される。
【0016】
圧電トランスデューサ1は、トランスデューサ・ユニット11、ハウジング12、信号取出し部13、及び信号ケーブル14を備える。説明を明瞭にするために、圧電トランスデューサ1は、横方向軸線x、長手方向軸線y、及び鉛直方向軸線zとして示された3つの軸線x、y、zを有する直交座標系に配置されている。
トランスデューサ・ユニット
【0017】
図1~
図3は、圧電トランスデューサ1の3つの実施例を示す。
図1及び
図3による2つの実施例では、圧電トランスデューサ1によって検出される測定変数は加速度である。
図2による実施例では、圧電トランスデューサ1によって検出される測定変数は、圧力又は力又はトルクである。
【0018】
トランスデューサ・ユニット11は、圧電材料で作られた少なくとも1つの圧電要素11.11~11.13を備える。圧電材料の実例としては、水晶(SiO2単結晶)、ガロゲルマニウム酸カルシウム(Ca3Ga2Ge4O14又はCGG)、ランガサイト(La3Ga5SiO14又はLGS)、トルマリン、オルトリン酸ガリウム、圧電セラミックスなどが挙げられる。
【0019】
図1及び
図3に示すような圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、3つの圧電要素11.11~11.13、すなわち、第1の圧電要素11.11、第2の圧電要素11.12、及び第3の圧電要素11.13を備える。これらの圧電要素11.11~11.13のそれぞれは矩形断面を有する。
【0020】
図2に示すような圧電トランスデューサ1の実施例では、トランスデューサ・ユニット11は1つの圧電要素11.11を備える。圧電要素11.11は円盤状の断面を有する。
【0021】
トランスデューサ・ユニット11は、少なくとも2つの電極11.21~11.26を備える。電極11.21~11.26は導電性材料で作られる。導電性材料の実例としては、銅、銅合金、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。圧電要素11.11~11.13は、測定対象の測定変数の影響を受けて分極電荷を生成する。これらの分極電荷は、電極11.21~11.26によってピックアップされる。電極11.21~11.26のそれぞれ1つは、特定の領域で、圧電要素11.11~11.13の2つの対向する面のうちの1つと直接接触する。本発明の文脈では、動詞「接触する」は、電気的及び機械的に接続することを意味する。加えて、副詞「直接(directly)」は「じかに(immediately)」の意味を有する。電極11.21~11.26は、0.1mm以下の厚さを有することが好ましい。電極11.21~11.26は、熱ラミネートされた膜、金属蒸着物などからなる。
【0022】
トランスデューサ・ユニット11は、少なくとも1つの第1の電極11.21~11.23、及び少なくとも1つの更なる電極11.24~11.26を備える。
【0023】
図1及び
図3に示すような圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、3つの第1の電極11.21~11.23、及び3つの更なる電極11.24~11.26を備える。3つの第1の電極11.21~11.23のそれぞれは、圧電要素11.11~11.13から分極電荷をピックアップし、3つの第1の信号S1~S3のうちの1つを提供する。それぞれの更なる電極11.24~11.26は、圧電要素11.11~11.13から分極電荷をピックオフする。更なる電極11.24~11.26は電気的に短絡されて、共通の信号アースを形成する。信号アースS4は、更なる信号S4として供給される。
【0024】
図2に示すような圧電トランスデューサ1の実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、第1の電極11.21及び更なる電極11.24を備える。第1の電極11.21は、圧電要素11.11から分極電荷をピックアップし、信号S1を提供する。更なる電極11.24は、圧電要素11.11から分極電荷をピックアップし、更なる信号S4を提供する。
【0025】
図1及び
図3に示すような圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、基体11.3を備える。基体11.3は、Al
2O
3、セラミックス、Al
2O
3セラミックス、サファイアなどの機械的剛性の高い低密度の材料で作られることが好ましい。基体11.3は、6つの面を有する立方体の形状を有することが好ましい。トランスデューサ・ユニット11は、基体11.3を介してハウジング・ベース12.1に取り付けられる。
【0026】
図1及び
図3に示すような圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、3つの振動質量体11.41~11.43を備える。振動質量体11.41~11.43は、イリジウム、白金、タングステン、金などの高密度の材料で作られることが好ましい。各振動質量体11.41~11.43は、矩形断面を有する。第1の振動質量体11.41及び第1の圧電要素11.1は、基体11.3の第1の面に取り付けられる。第2の振動質量体11.42及び第2の圧電要素11.12は、基体11.3の第2の面に取り付けられる。第3の振動質量体11.43及び第3の圧電要素10.13は、基体11.3の第3の面に取り付けられる。このため、各圧電要素11.11~11.13は、これらの面のうちの1つと振動質量体11.41~11.43との間に配置される。
【0027】
図1及び
図3に示すような圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、少なくとも1つの変換器ユニット11.5を備える。変換器ユニット11.5は電気回路であり、少なくとも第1の信号S1~S3を変換する。第1の信号S1~S3の変換は、第1の信号S1~S3の電圧への電気的変換、第1の信号S1~S3の電気的増幅、第1の信号S1~S3のデジタル化のうち少なくとも1つを含む。変換器ユニット11.5は、基体11.3の6つの面のうちの1つに固定される。
【0028】
トランスデューサ・ユニット11は、少なくとも2つのトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.84を備える。信号S1~S4は、トランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.84に印加される。
【0029】
図1及び
図3に示すような圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、トランスデューサ・ユニット11の変換器ユニット11.5は、3つの第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.83、及び1つの更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84を備える。第1の信号S1~S3は、変換される第1の信号S1~S3として3つの第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.83に印加され、更なる信号S4は、更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84に印加される。
【0030】
図2による圧電トランスデューサ1の実施例では、トランスデューサ・ユニット11の第1の電極11.21は第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81を備え、トランスデューサ・ユニット11の更なる電極11.24は更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84を備える。第1の信号S1は、第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81に印加され、更なる信号S4は、更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84に印加される。
【0031】
図2による圧電トランスデューサ1の実施例では、トランスデューサ・ユニット1は、第1の絶縁要素11.61及び第2の絶縁要素11.62を備える。絶縁要素11.61、11.62は、Al
2O
3、セラミックス、Al
2O
3セラミックス、サファイアなどの機械的剛性の高い低密度の材料で作られることが好ましい。絶縁要素11.61、11.62は円筒形であることが好ましい。絶縁要素11.61、11.62のうちの1つはそれぞれ、鉛直方向軸線zに沿って電極11.21、11.24のうちの1つの外面に当接する。絶縁要素11.61、11.62は、圧電要素11.11及び電極11.21、11.24をハウジング12から電気的に絶縁する。
【0032】
図2に示すような圧電トランスデューサ1の実施例では、トランスデューサ・ユニット11は、第1の補償要素11.71及び第2の補償要素11.72を備える。補償要素11.71、11.72は、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金などの機械的剛性の高い材料で作られることが好ましい。補償要素11.71、11.72は、圧電要素11.11、電極11.21、11.24及びハウジング12の異なる熱膨張係数を補償するように働く。補償要素11.71、11.72は円筒形であることが好ましい。補償要素11.71、11.72のうちの1つはそれぞれ、鉛直方向軸線zに沿って絶縁要素11.61、11.62のうちの1つの外面に当接する。トランスデューサ・ユニット11は、補償要素11.71、11.72を介してハウジング12に固定される。
ハウジング
【0033】
ハウジング12は、トランスデューサ・ユニット11を汚染(埃、水分など)のような有害な環境影響からだけでなく、環境に由来する電磁放射の形態の電気的及び電磁的干渉効果からも保護する。ハウジング12は、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金などの機械的に抵抗力のある材料で作られる。ハウジング12は、ハウジング内部12.0を備える中空体である。ハウジング12は、ハウジング・ベース12.1、少なくとも1つのハウジング壁12.21~12.23、及びハウジング・カバー12.3の別個の部分から構成されることが好ましい。ハウジング12は、3つのハウジング壁12.21~12.23、すなわち、第1のハウジング壁12.21、第2のハウジング壁12.22、及び第3のハウジング壁12.23から構成されることが好ましい。第2のハウジング壁12.22のみが
図1~
図3による断面に示されている。しかしながら、
図17及び
図22による描写では、3つの全てのハウジング壁12.21~12.23が示されている。ハウジング12のそれらの部分は、溶接、はんだ付け、接着接合などの材料接合によって、機械的に安定した態様で互いに接続される。
図1から
図3に示すような3つの実施例では、ハウジング12は、6つの側壁を有する立方体の形状を有する。これらの6つの側壁のうちの5つの側壁は、ハウジング・ベース12.1、3つのハウジング壁12.21~12.23、及びハウジング・カバー12.3によって形成される。また、6つ目の側壁は、信号取出し部13の信号取出し壁13.3によって形成される。
【0034】
ハウジング内部12.0の大きさは、トランスデューサ・ユニット11を完全に中に収容することができるような大きさである。トランスデューサ・ユニット11は、ハウジング開口部を通してハウジング内部12.0に挿入することができる。ハウジング開口部は、ハウジング・カバー12.3によって閉鎖することができる。ハウジング12はアースされることが好ましい。ハウジング12によってアースされた圧電トランスデューサ1は、ローカルアースの電位を有する。したがって、ハウジング12は、環境0からの電磁放射に対してファラデー・ケージを形成する。
信号取出し部
【0035】
信号取出し壁13.3は、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金などの機械的に抵抗力のある材料で作られる。信号取出し壁13.3は、溶接、はんだ付け、接着接合など、機械的に安定した態様でのハウジング12への材料接合によって、ハウジング12に固定される。信号取出し壁13.3は、第1の面及び第2の面を備える。信号取出し壁13.3が機械的に安定した態様でハウジング12に接続されると、第1の面は、環境0に対する圧電トランスデューサ1の境界になり、第2の面はハウジング内部12.0の境界になる。環境0は、ハウジング12の外側に位置する。ハウジング12に機械的に安定した態様で接続された信号取出し壁13.3と共にハウジング12は、環境0に対して水密及び気密の態様でトランスデューサ・ユニット11を囲む。このようにして、ハウジング12は少なくとも3barの水圧又は気圧に耐えることができる。
【0036】
信号取出し壁13.3は、信号導体開口部13.4を備える。信号導体開口部13.4は、信号取出し壁13.3を貫通して第1の面から第2の面まで延在する。信号導体開口部13.4の断面は、信号ケーブル14の断面と合うことが好ましい。信号導体14.11~14.14の端部は、信号導体開口部13.4を通ってハウジング12.0の内部に突出する。
【0037】
信号取出し部13は、信号取出しフランジ13.6を備える。信号取出しフランジ13.6は、一方の側で信号導体開口部13.4の境界になる。保護シース14.3の一方の端部は、信号取出しフランジ13.6に接続されることが好ましい。保護シース14.3と信号取出しフランジ13.6との接続は、圧着などの摩擦接続によって達成される。保護シース14.3と信号取出しフランジ13.6との接続は、環境0に対して水密及び気密である。保護シース14.3と信号取出しフランジ13.6との接続は、保護シース14.3の歪みを緩和する。保護シース14.3のこの歪み緩和は、機械的応力が保護シース14.3からハウジング内部12.0に伝達されること(この場合、機械的応力は、接続導体13.21~13.24を引きちぎる、又は亀裂を生じさせるなどの損傷を引き起こす可能性がある)を防止する。このような機械的応力は、保護シース14.3のその長手方向軸線の周りの曲がり、捩れなどから生じる。
【0038】
信号取出し部13は、支持要素13.1を備える。
図4~
図8は、支持要素13.1の3つの実施例を示す。
【0039】
図4から
図7に示すような2つの実施例では、支持要素13.1の最大の軸方向延在部は、横方向軸線xに沿い、信号ケーブル14の断面に概ね対応することが好ましい。支持要素13.1の2番目に大きな軸方向延在部は、長手方向軸線yに沿って延在する。支持要素13.1の最小の軸方向延在部は、鉛直方向軸線zに沿って延在する。
【0040】
図8による実施例では、支持要素13.1は、横方向軸線x及び鉛直方向軸線zに沿う2つの最大の軸方向延在部を有することが好ましい。支持要素13.1の最小の軸方向延在部は、長手方向軸線yに沿って延在する。
【0041】
支持要素13.1は、6つの面を有する立方体として形作られることが好ましい。これらの面の大きさは異なる。6つの面のうちの2つは、支持要素13.1の最大の軸方向延長部及び2番目に大きな軸方向延長部に平行に延在する。これらは他の4つの面と比較して最も大きな表面積を有する。これらは、第1の端面13.111及び更なる端面13.112と称される。他の4つの面は、第1の端面13.111及び更なる端面13.112の両方に隣接し、第1の端面13.111と更なる端面13.112との間の移行領域を形成する。4つの面のうちの1つは、側面13.113と呼ばれる。
【0042】
支持要素13.1は、Al2O3、セラミックス、Al2O3セラミックス、繊維強化プラスチックなどの電気絶縁性材料で作られた本体13.11を備える。前記繊維強化プラスチックは、Flame Retardant(FR-4)などのエポキシ樹脂とガラス繊維織物の耐炎性及び難燃性複合材料であることが好ましい。
【0043】
図8による第3の実施例では、支持要素13.1は、貫通開口部13.4‘を備える。貫通開口部13.4‘は、長手方向軸線yに沿って、第1の端面13.111から更なる端面13.112まで延在する。貫通開口部13.4‘は、信号ケーブル14の断面に対応する断面を有することが好ましい。貫通開口部13.4‘は、内面13.114を備える。内面13.114は、第1の端面13.111から更なる端面13.112への移行領域を形成する。
【0044】
支持要素13.1 1.3は、導電路13.121~13.124を備える。導電路13.121~13.124は、本体13.11に直接配置される。導電路13.121~13.124は、本体13.11に直接施された導電性薄膜にパターニングされることが好ましい。導電性薄膜は、熱ラミネートされた金属膜、又は金属蒸着による膜からなる。金属としては、銅、銅合金、金、金合金、白金、白金合金などを使用することができる。金属蒸着は、化学蒸着、物理蒸着などによって行われる。本発明の文脈における用語「薄膜」は、好ましくは0.1mm以下の、平面的な延在部に垂直な方向の厚さを指す。導電路13.121~13.124のパターニングは、ステンシル、フォトリソグラフィ、及びレーザーアブレーションによって達成されることが好ましい。
【0045】
導電路13.121~13.124は、支持要素13.1の特定領域において互いに平行に延在することが好ましい。支持要素13.1のこの領域では、導電路13.121~13.124の相互距離は0.3mm以下であることが好ましい。
【0046】
各導電路13.121~13.124は、第1の端部及び第2の端部を備えることが好ましい。信号導体接触面13.131~13.134は第1の端部に配置され、接続導体接触面13.141~13.144は第2の端部に配置される。
【0047】
支持要素13.1は、少なくとも1つの第1の導電路13.121~13.123、及び少なくとも1つの更なる導電路13.124を備える。
【0048】
図4、
図5、及び
図8による支持要素13.1の2つの実施例では、支持要素13.1は、それぞれが第1の信号導体接触面13.131~13.133及び第1の接続導体接触面13.141~13.143を有する3つの第1の導電路13.121~13.123、並びに更なる信号導体接触面13.134及び更なる接続導体接触面13.144を有する1つの更なる導電路13.124を備える。
【0049】
図6及び
図7による支持要素13.1の実施例では、支持要素13.1は、第1の信号導体接触面13.131及び第1の接続導体接触面13.141を有する第1の導電路13.121、並びに更なる信号導体接触面13.134及び更なる接続導体接触面13.144を有する更なる導電路13.124を備える。
【0050】
図4及び
図5による支持要素13.1の第1の実施例では、2つの第1の導電路13.121、13.122は、第1の端面13.111に完全に配置され、第1の導電路13.123及び更なる導電路13.124は、第1の端面13.111、側面13.113、及び更なる端面13.112に配置される。2つの第1の信号導体接触面13.131、13.132及び全ての4つの接続導体接触面13.141~13.144は、第1の端面13.111に配置され、1つの第1の信号導体接触面13.133及び更なる信号導体接触面13.134は、第2の端面13.112に配置される。
【0051】
図6及び
図7による支持要素13.1の第2の実施例では、第1の導電路13.121は、第1の端面13.111に完全に配置され、更なる導電路13.124は、第1の端面13.111、側面13.113、及び更なる端面13.112に配置される。第1の信号導体接触面13.131及び全ての2つの接続導体接触面13.141、13.144は、第1の端面13.111に配置され、更なる信号導体接触面13.134は第2の端面13.112に配置される。
【0052】
図8による支持要素13.1の第3の実施例では、全ての4つの導電路13.121~13.124は、第1の端面13.111に配置される。全ての4つの接続導体接触面13.141~13.144は、側面13.113に配置される。接続導体接触面13.141~13.144は、側面13.113の切欠きとして形成されることが好ましい。さらに、全ての4つの信号導体接触面13.131~13.134は内面13.114に配置される。信号導体接触面13.131~13.134は、内面13.114の切欠きとして形成されることが好ましい。
【0053】
図4から
図7による2つの実施例では、支持要素13.1は、少なくとも1つの案内要素13.151、13.152を備える。支持要素13.1は、横方向軸線xに沿うその最大の軸方向延長部に沿って2つの端部を備えることが好ましい。第1の案内要素13.151は第1の端部に配置され、第2の案内要素13.152は第2の端部に配置される。案内要素13.151、13.152は長手方向軸線yに沿って延在する。案内要素13.151、13.152のそれぞれは、本体13.11における隆起部として形成されることが好ましい。隆起部は、長手方向軸線yに沿って延在する本体13.11の末端に対して一定の外半径を有する。案内要素13.151、13.152は、本体13.11に直接施された導電性薄膜にパターニングされることが好ましい。案内要素13.151、13.152は、0.1mm以下の厚さを有することが好ましい。
【0054】
図9から
図17による信号取出し壁13.3の第1の実施例では、支持要素13.1は、信号取出し開口部13.4に保持される。このため、信号取出し壁13.3は、少なくとも1つの保持要素13.31、13.32を備える。信号取出し壁13.3は、信号導体開口部13.4の周囲に溝として形作られた2つの保持要素13.31、13.32を備えることが好ましい。隆起状の案内要素13.151、13.152と、溝として形成された保持手段13.31、13.32は、互いに合うように作成される。支持要素13.1は、案内要素13.151、13.152によって保持要素13.31、13.32に挿入することができる。長手方向軸線yに沿う溝状の保持要素13.31、13.32の内半径の大きさは、隆起状の案内要素13.151、13.152の外半径の大きさに対応する。支持要素13.1は、案内要素13.151、13.152を保持要素13.31、13.32に挿入することによって信号取出し壁13.3に保持される。支持要素13.1は、確実な係合によって保持されることが好ましい。この保持によって、挿入された支持要素13.1が信号取出し壁13.3から脱落することが防止される。挿入された支持要素13.1は、定められた保持位置で保持要素13.31、13.32によって保持される。案内要素13.151、13.152及び保持手段13.31、13.32は金属製であり、したがって、支持要素13.1が保持されると、電気接触が生成される。
【0055】
図18から
図22による信号取出し壁13.3の第2の実施例では、支持要素13.1は、信号取出し壁13.3に取り付けられる。前記取付けは、エポキシド、ポリウレタン、シアノアクリレート、メチルメタクリレートなどからなる接着剤による材料接合によって達成されることが好ましい。支持要素13.1は、その更なる端面13.112によって信号取出し壁13.3の第2の面に取り付けられる。支持要素13.1は、信号導体開口部13.4と貫通開口部13.4‘が互いに一致するように信号取出し壁13.3に配置される。
【0056】
信号取出し壁13.3が、ハウジング12に機械的に安定した態様で接続されるとき、アースされることが好ましい、すなわち、信号取出し壁13.3とハウジング12はローカルアースの電位を有する。したがって、信号取出し壁13.3とハウジング12は、環境0からの電磁放射に対してファラデー・ケージを形成する。
【0057】
信号取出し部13は、少なくとも2つの接続導体13.21~13.24を備える。接続導体13.21~13.24は0.5mm以下の直径を有する。接続導体13.21~13.24は、信号S1~S4をトランスデューサ・ユニット11から信号取出し部13に伝える。少なくとも1つの第1の接続導体13.21~13.23は第1の信号S1~S3を伝達し、少なくとも1つの第2の接続導体13.24は更なる信号S4を伝達する。各接続導体13.21~13.24は、第1の端部及び第2の端部を備える。接続導体13.21~13.24は、トランスデューサ・ユニット11と信号取出し部13との接触を確立する。接触は、ワイヤ・ボンディング、はんだ付けなどの材料接続によって達成されることが好ましい。ワイヤ・ボンディングに適する方法としては、熱圧着ボンディング、超音波熱ボール・ウェッジ・ボンディング、超音波ウェッジ・ウェッジ・ボンディングなどが挙げられる。
【0058】
図1及び
図3による圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、各第1の接続導体13.21~13.23は、その第1の端部によって第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.83のちょうど1つずつと接触し、各第1の接続導体13.21~13.23は、その第2の端部によって第1の接続導体接触面13.141~13.143のちょうど1つずつと接触する。更なる接続導体13.24は、その1の端部によって更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84と接触し、更なる接続導体13.24は、その第2の端部によって更なる接続導体接触面13.144と接触する。
【0059】
図2によるトランスデューサ・ユニット11の実施例では、第1の接続導体13.21は、その第1の端部によって第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81と接触し、第1の接続導体13.21は、その第2の端部によって第1の接続導体接触面13.141と接触する。さらに、更なる接続導体13.24は、その第1の端部によって更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84と接触し、更なる接続導体13.24は、その第2の端部によって更なる接続導体接触面13.144と接触する。
信号ケーブル
【0060】
信号ケーブル14は、特定の領域で信号取出し部13に固定される。信号ケーブル14は、ハウジング12の外側の環境0に配置される。信号ケーブル14は、少なくとも2つの信号導体14.11~14.14、ケーブル絶縁部14.2、及び保護シース14.3を備える。
【0061】
図9から
図17による信号取出し壁13.3の第1の実施例では、信号導体14.11~14.14の端部は、信号導体開口部13.4を通ってハウジング内部12.0に突出する。
【0062】
図18から
図22による支持要素13.1の第3の実施例と組み合わさった信号取出し壁13.3の第2の実施例では、信号導体14.11~14.14の端部は、信号導体開口部13.4を通ってハウジング内部12.0の貫通開口部13.4‘に突出する。
【0063】
信号導体14.11~14.14は、銅、銅合金、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの導電性材料で作られる。各信号導体14.11~14.14は、電気絶縁性のシースを備えることが好ましい。信号導体14.11~14.14は0.5mm以下の直径を有する。
【0064】
信号ケーブル14は、少なくとも1つの第1の信号導体14.11~14.13、及び少なくとも1つの更なる信号導体14.14を備える。
図1及び
図3による圧電トランスデューサ1の2つの実施例では、信号ケーブル14は、3つの第1の信号導体14.11~14.13、及び1つの更なる信号導体14.14を備える。
図2による圧電トランスデューサ1の実施例では、信号ケーブル14は、第1の信号導体14.11、及び更なる信号導体14.14を備える。
【0065】
ケーブル絶縁部14.2は、信号導体14.11~14.14を半径方向に完全に取り囲む。ケーブル絶縁部14.2は、信号導体14.11~14.14を保護シース14.3から電気的に絶縁する。ケーブル絶縁部14.2は、Al2O3、セラミックス、Al2O3セラミックス、繊維強化プラスチックなどの電気絶縁性材料で作られる。
【0066】
保護シース14.3は、環境0に対してケーブル絶縁部14.2を水密及び気密の態様で半径方向に取り囲む。保護シース14.3は、ケーブル絶縁部14.2及び信号導体14.11~14.14を汚染(埃、水分など)及び電磁波などの有害な環境影響から保護する。保護シース14.3は、金属、プラスチックなどの機械的に抵抗力のある材料で作られる。
【0067】
信号ケーブル14の信号導体14.11~14.14のそれぞれは、支持要素13.1の導電路13.121~13.124のちょうど1つずつと接触する。接触は、はんだ付け、導電性ボンディング、ワイヤ・ボンディングなどの材料接続によって達成されることが好ましい。少なくとも1つの第1の信号導体14.11~14.13の1つの端部は、少なくとも1つの第1の信号導体接触面13.131~13.133と接触し、少なくとも1つの更なる信号導体14.14の1つの端部は、少なくとも1つの更なる信号導体接触面13.134と接触する。
【0068】
図8、及び
図18から
図22による支持要素13.1の第3の実施例では、信号導体接触面13.131~13.134は、貫通開口部13.4‘の内面13.114の切欠きとして形成される。これら切欠きは、信号導体14.11~14.14の直径に概ね対応する直径を有する。したがって、信号導体接触面13.131~13.134に配置された信号導体14.11~14.14は、切欠きによって確実な係止接続で保持される。
【0069】
信号S1~S4は、支持要素3.1の導電路13.121~13.124を経由して信号ケーブル14の信号導体14.11~14.14に伝達される。信号S1~S4は、アースから絶縁された態様で伝達されることが好ましい。本発明の文脈における用語「アースから絶縁される」は、圧電トランスデューサ1のアースに対して電気的に絶縁されていることを意味する。
【0070】
信号取出し部13は、キャスティング・コンパウンド13.5を備える。キャスティング・コンパウンド13.5は、化学的に硬化する接着剤、又は物理的に固定する接着剤、又は化学的に硬化する接着剤と物理的に固定する接着剤とを組み合わせたものである。キャスティング・コンパウンド13.5は、エポキシド、ポリウレタン、シアノアクリレート、メチルメタクリレートなどの接着剤からなることが好ましい。キャスティング・コンパウンド13.5は、10
12Ωmm
2/mより大きな電気抵抗率を有する電気絶縁体である。
図9から
図17による信号取出し壁13.3の第1の実施例では、信号導体開口部13.4の信号導体14.11~14.14に施されるキャスティング・コンパウンド13.5の量は、信号導体開口部13.4が完全に封止されるような量であることが好ましい。
【0071】
キャスティング・コンパウンド13.5は、信号導体開口部13.4において、支持要素13.1及びの信号取出し壁13.3に対して特定の領域でさらに施される。支持要素13.1及び信号取出し壁13.3の硬化及び/又は固定されたキャスティング・コンパウンド13.5は、保持する態様で信号取出し壁13.3に挿入される支持要素13.1を機械的に固定する。さらに、硬化及び/又は固定されたキャスティング・コンパウンド13.5は、水密及び気密の態様で信号導体開口部13.4を封止する。
【0072】
図18から
図22による支持要素13.1の第3の実施例と組み合わさった信号取出し壁13.3の第2の実施例では、貫通開口部13.4‘内の信号導体14.11~14.14に施されるキャスティング・コンパウンド13.5の量は、貫通開口部13.4’が完全に封止されるような量であることが好ましい。硬化及び/又は固定されたキャスティング・コンパウンド13.5は、導体開口部13.4‘を水密及び気密の態様で封止する。
【0073】
水晶などの圧電材料は吸湿性が強いので、水分が、信号導体14.11~14.14を経由してハウジング内部12.0に侵入し、圧電素子11.11~11.13に達すると、水分が圧電要素11.11~11.13の機能を損なう可能性があるが、この水密及び気密の封止はこれを防止する。
【0074】
キャスティング・コンパウンド13.5が硬化及び/又は固定されると、キャスティング・コンパウンド13.5は、信号導体14.11~14.14を歪み緩和された態様で固定する。信号導体14.11~14.14のこの歪み緩和は、機械的応力が信号導体14.11~14.14からハウジングの内部12.0に伝達されること(この場合、機械的応力は、接続導体13.21~13.24を引きちぎる、又は亀裂を生じさせるなどの損傷を引き起こす可能性がある)を防止する。このような機械的応力は、信号導体14.11~14.14の長手方向軸線の周りの曲がり、捩れなどから生じる。
組立方法
【0075】
圧電トランスデューサ1の組立は複数のステップで行われる。
【0076】
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例の組立は、
図9から
図17による図に示され、以下に説明される。
【0077】
図9は、信号取出し壁13.3を有する信号取出し部13と、信号導体14.11~14.14を有する信号ケーブル14とが設けられる組立の第1のステップを示す。信号取出し壁13.3は信号導体開口部13.4を備える。
【0078】
信号導体14.11~14.14の端部は外皮がむかれる。外皮がむかれた信号導体14.11~14.14の端部は、環境0が位置する側から信号導体開口部13.4を通して挿入される。外皮がむかれた信号導体14.11~14.14の端部は、信号導体開口部13.4を通って突出する。
【0079】
図10は、端面13.111、13.112に少なくとも2つの導電路13.121~13.124を有する支持要素13.1が設けられる組立の第2のステップを示す。導電路13.121~13.124は信号導体接触面13.131~13.134で終端となる。
【0080】
支持要素13.1は、信号導体14.11~14.14の端部が端面13.111、13.112の方に突出するように信号導体開口部13.4に配置される。少なくとも1つの第1の信号導体14.11~14.13の端部は、第1の端面13.111の方に突出し、少なくとも1つの更なる信号導体14.14の端部は、更なる端面13.112の方に突出する。本発明の文脈における用語「の方に突出する」は、信号導体14.11~14.14の端部の空間位置が、信号導体接触面13.131~13.134から鉛直方向軸線zに沿って1mm以下、好ましくは0.5mm以下の距離にあることを指す。
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例の
図10に示された描写は、2つの第1の信号導体14.11、14.12の端部が第1の端面13.111の2つの第1の信号導体接触面13.131、13.132の方に突出することのみを示している。更なる端面13.112の3つ目の第1の信号導体接触面13.133及び更なる信号導体接触面13.134の方に突出する3つ目の第1の信号導体14.13及び更なる信号導体14.14の端部は隠れており、したがって見えない。
【0081】
次に、信号導体接触面13.131~13.134と信号導体14.11~14.14の端部との間で接触が確立される。この接触は、はんだごて、はんだ付けトーチなどの工具を使用して達成される。
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例を示す
図10による描写では、3つの第1の信号導体14.11~14.13のそれぞれの1つの端部は、3つの第1の信号導体接触面13.131~13.133のちょうど1つずつに接続される。更なる信号導体14.14の端部は、更なる信号導体接触面13.134に接続される。
【0082】
図11は、支持要素13.1が信号取出し壁13.3に挿入される組立の第3のステップを示す。支持要素13.1は、信号取出し壁13.3の溝状の保持要素13.31、13.32に挿入される隆起部として形成された案内要素13.151、13.152を備える。案内要素13.151、13.152を保持要素13.31、13.32に挿入することは、支持要素13.1を長手方向軸線yの方向に信号導体開口部13.4内に押し込むことによって達成される。挿入された支持要素13.1は保持要素13.31、13.32によって信号取出し壁13.3に保持される。
【0083】
図12は、信号導体接触面13.131~13.134と接触している信号導体14.11~14.14が、キャスティング・コンパウンド13.5でキャスティングされる組立の第4のステップを示す。キャスティング・コンパウンド13.5は、信号導体開口部13.4全体を信号導体14.11~14.14まで、さらに、特定の領域では、支持要素13.1及び信号導体開口部13.4の周囲に施される。したがって、信号導体開口部13.4は、キャスティング・コンパウンド13.5によって完全に封止される。キャスティング・コンパウンド13.5は硬化及び/又は固定され、信号導体開口部13.4は水密及び気密の態様で封止される。
【0084】
加えて、硬化及び/又は固定されたキャスティング・コンパウンド13.5は、信号取出し壁13.3に支持された支持要素13.1を機械的に固定する。
【0085】
図13は、ハウジング12の部分が設けられる組立の第5のステップを示す。設けられるハウジング12のこれら部分は、ハウジング・ベース12.1、3つのハウジング壁12.21~12.23、及びハウジング・カバー12.3である。ハウジング・ベース12.1、及び3つのハウジング壁12.21~12.23のそれぞれは、機械的に安定した態様で信号取出し壁13.3に留められる。この機械的に安定した接続は、溶接工具、はんだ付け工具などの工具を使用して達成される。したがって、ハウジング・ベース12.1、3つのハウジング壁12.21~12.23、及び信号取出し壁13.3は、機械的に安定した態様で互いに接続された立方体ハウジング12の5つの側壁を表す。この機械的に安定した接続によってハウジング内部12.0が形成される。
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例を示す
図13から
図15による描写は、ハウジング・ベース12.1、第2のハウジング壁12.22、及び信号取出し壁13.3を示す。
図13から
図15による描写には、第1及び第3のハウジング壁12.21、12.23は示されていない。第1及び第3のハウジング壁12.21、12.23が示されていない唯一の理由は、ハウジング内部12.0を見せるためである。しかしながら、第1及び第3のハウジング壁12.21、12.23は、
図17による描写に示されている。さらに、
図13から
図15による描写は、ハウジング・カバー12.3がまだ機械的に安定した態様で取り付けられていないハウジング12を示している。ハウジング・カバー12.3がまだ取り付けられていないので、ハウジング12はハウジング開口部を備える。ハウジング内部12.0は、環境0からハウジング開口部を通してアクセスすることができる。
【0086】
図14は、トランスデューサ・ユニット11が設けられる組立の第6のステップを示す。トランスデューサ・ユニット11は、ハウジング内部12.0に挿入され、ハウジング12に取り付けられる。トランスデューサ・ユニット11は、基体11.3を介してハウジング・ベース12.1に固定されることが好ましい。
【0087】
図15及び
図14は、接続導体13.21~13.24が設けられる組立の第7のステップを示す。接続導体13.21~13.24と、トランスデューサ要素11のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.84、及び支持要素13.1の導電路13.121~13.124の接続導体接触面13.141~13.144との接触が確立される。これらの接触は、ワイヤ・ボンダなどの接触工具を用いて行われる。ハウジング内部12.0には、ハウジング開口部を通して接触工具によるアクセスが可能である。
【0088】
図16は、
図15の一部分の拡大図である。
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例を示す
図15及び
図16の描写では、3つの第1の接続導体13.21~13.23のそれぞれの第1の端部は、3つの第1のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.83のちょうど1つずつと接触しており、3つの第1の接続導体13.21~13.23のそれぞれの第2の端部は、3つの第1の接続導体接触面13.141~13.143のちょうど1つずつと接触している。更なる接続導体13.24の第1の端部は、更なるトランスデューサ・ユニット接触面11.84と接触しており、更なる接続導体13.24の第2の端部は、更なる接続導体接触面13.144と接触している。
【0089】
図17は、ハウジング12のハウジング開口部がハウジング・カバー12.3によって水密及び気密の態様で封止される組立の第8のステップを示す。この封止は、溶接、はんだ付け、接着接合などの材料接合によって達成される。したがって、ハウジング・カバー12.3は、ハウジング12の立方体の6番目で最後の側壁を形成する。
【0090】
図3による圧電トランスデューサ1の第3の実施例の組立は
図18~
図22に示され、以下に説明される。
【0091】
図18は、ハウジング12の部分、信号取出し壁13.3を備える信号取出し部13、及び支持要素13.1の部分が設けられる組立の第1のステップを示す。設けられるハウジング12の部分は、ハウジング・ベース12.1、3つのハウジング壁12.21~12.23、及びハウジング・カバー12.3である。
【0092】
図18は、ハウジング・ベース12.1及び3つのハウジング壁12.21~12.23のそれぞれが、機械的に安定した態様で信号取出し壁13.3に接続される組立の第2のステップを示す。この機械的に安定した接続は、溶接工具、はんだ付け工具などの工具を使用して達成される。したがって、ハウジング12の立方体の5つの側壁、すなわちハウジング・ベース12.1、3つのハウジング壁12.21~12.23、及び信号取出し壁13.3は、機械的に安定した態様で互いに接続される。この機械的に安定した接続によってハウジング内部12.0が画定される。
図18~
図21は、ハウジング・ベース12.1、第2のハウジング壁12.22、及び信号取出し壁13.3を示す
図3による圧電トランスデューサ1の第3の実施例を示す。
図18から
図21による描写には、第1及び第3のハウジング壁12.21、12.23は示されていない。第1及び第3のハウジング壁12.21、12.23が示されてない唯一の理由は、ハウジング内部12.0を見せるためである。しかしながら、第1及び第3のハウジング壁12.21、12.23は、
図22による描写に示されている。さらに、
図18から
図21に示すような描写では、ハウジング・カバー12.3は機械的に安定した態様でハウジング12にまだ接続されていない。ハウジング・カバー12.3がまだ取り付けられていないので、ハウジング12はハウジング開口部を備える。ハウジング内部12.0は、環境0からハウジング開口部を通してアクセス可能である。
【0093】
図18は、支持要素13.1が信号取出し壁13.3に取り付けられる組立の第2のステップを示す。支持要素13.1は、信号導体開口部13.4と貫通開口部13.4‘が互いに一致するように信号取出し壁13.3に配置される。
【0094】
図19は、信号導体14.11~14.14を備える信号ケーブル14が設けられる組立の第3のステップを示す。信号導体14.11~14.14の端部は外皮がむかれる。外皮がむかれた信号導体14.11~14.14の端部は、環境0の側から信号導体開口部13.4を通して挿入される。外皮がむかれた信号導体14.11~14.14の端部は、信号導体開口部13.4を通って貫通開口部13.4‘に突出し、切欠状の信号導体接触面13.131~13.134に突出する。
【0095】
図19は、信号導体14.11~14.14の端部と信号導体接触面13.131~13.134との間の接触が確立される組立の第4のステップを示す。この接触は、はんだごて、はんだ付けトーチなどの工具を使用して達成される。
図19は、
図1による圧電トランスデューサ1の第1の実施例の描写を示し、ここでは、3つの第1の信号導体14.11~14.13のそれぞれの1つの端部は、3つの第1の信号導体接触面13.131~13.133のちょうど1つずつに接続される。更なる信号導体14.14の端部は、更なる信号導体接触面13.134に接続される。
【0096】
図20は、信号導体接触面13.131~13.134と接触している信号導体14.11~14.14が、キャスティング・コンパウンド13.5でキャスティングされる組立の第5のステップを示す。キャスティング・コンパウンド13.5は、貫通開口部13.4‘全体を信号導体14.11~14.14まで、また、特定の領域では、支持要素13.1及び貫通開口部13.4’の周囲にも施される。このようにして、貫通開口部13.4‘は、キャスティング・コンパウンド13.5によって完全に封止される。キャスティング・コンパウンド13.5は硬化及び/又は固定され、貫通開口部13.4‘は水密及び気密の態様で封止される。
【0097】
図21は、トランスデューサ・ユニット11が設けられる組立の第6のステップを示す。トランスデューサ・ユニット11は、ハウジング内部12.0に導入され、ハウジング12に固定される。トランスデューサ・ユニット11は、基体11.3によってハウジング・ベース12.1に固定されることが好ましい。
【0098】
図21は、接続導体13.21~13.24が設けられる組立の第7のステップを示す。接続導体13.21~13.24と、トランスデューサ要素11のトランスデューサ・ユニット接触面11.81~11.84、及び支持要素13.1の導電路13.121~13.124の接続導体接触面13.141~13.144との接触が確立される。これらの接触は、ワイヤ・ボンダなどの接触工具を用いて達成される。ハウジング内部12.0は、ハウジング開口部を通して接触工具によってアクセスが可能である。
【0099】
図22は、ハウジング12のハウジング開口部がハウジング・カバー12.3によって水密及び気密の態様で封止される組立の第8のステップを示す。この封止は、溶接、はんだ付け、接着接合などの材料接合によって達成される。ハウジング・カバー12.3は、ハウジング12の立方体の6番目で最後の側壁を表す。
【符号の説明】
【0100】
0 環境
1 圧電トランスデューサ
11 トランスデューサ・ユニット
11.11~11.13 圧電要素
11.21~11.26 電極
11.3 基体
11.41~11.43 振動質量体
11.5 変換器ユニット
11.61、11.62 絶縁要素
11.71、11.72 補償要素
11.81~11.84 トランスデューサ・ユニット接触面
12 ハウジング
12.0 ハウジング内部
12.1 ハウジング・ベース
12.21~12.23 ハウジング壁
12.3 ハウジング・カバー
13 信号取出し部
13.1 支持要素
13.11 本体
13.111、13.112 端面
13.113 側面
13.114 内面
13.121~13.124 導電路
13.131~13.134 信号導体接触面
13.141~13.144 接続導体接触面
13.151、13.152 案内要素
13.21~13.24 接続導体
13.3 信号取出し壁
13.31、13.32 保持要素
13.4 信号導体開口部
13.4‘ 貫通開口部
13.5 キャスティング・コンパウンド
13.6 信号取出しフランジ
14 信号ケーブル
14.11~14.14 信号導体
14.2 ケーブル絶縁部
14.3 保護シース
S1~S4 信号
x 横方向軸線
y 長手方向軸線
z 鉛直方向軸線
【外国語明細書】