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特開2022-146916改善された企業運営のためのデータにおける早期パターン検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146916
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】改善された企業運営のためのデータにおける早期パターン検出
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220928BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220928BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q30/02 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022042329
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/164,159
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】516172237
【氏名又は名称】アクセンチュア グローバル ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】グアン,ラン
(72)【発明者】
【氏名】ション,グアンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ウェンシャン
(72)【発明者】
【氏名】カン,スクリヨール
(72)【発明者】
【氏名】パルチュリ,アンウィタ
(72)【発明者】
【氏名】ブリューワー,ジン スー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,イヴァン エー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,クリストファー イェンチュー
(72)【発明者】
【氏名】モファット,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】サブラモニア,ジャヤシュリー
(72)【発明者】
【氏名】バレール,ルイス ノリーン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049BB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】企業の運営を改善するための早期パターン検出プラットフォームと、イベント及びアクションを生成するコンピュータに実装された方法を提供する。
【解決手段】方法は、目標を受信し、目標の少なくとも一部に応じる問題固有ナレッジグラフを提供し、問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定し、イベントスコアのセットを提供するために、第1の機械学習(ML)モデルを通して、イベントのセット内の個別のイベントに関連するイベントのセット内のイベントを表すデータを処理し、イベントスコアのセットに基づきイベントのサブセットを決定し、イベントのサブセット内の各イベントについて、第2のMLモデルを通してアクションのシーケンスを処理することにより少なくとも1つのアクションを決定し、イベントのサブセット及びアクションのセットを、アクションのセット内の少なくとも1つのアクションの実行のために出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されたネットワークのデータにおけるパターン認識に基づきイベントおよびアクションを生成する、コンピュータに実装された方法であって、前記方法は、
目標を受信するステップと、
前記目標の少なくとも一部に応じる問題固有ナレッジグラフを提供するステップと、
前記問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定するステップと、
イベントスコアのセットを提供するために、第1の機械学習(ML)モデルを通して、前記イベントのセット内のイベントを表すデータを処理するステップであって、前記イベントスコアのセット内の各イベントスコアは、前記イベントのセット内の個別のイベントに関連する、前記処理するステップと、
前記イベントスコアのセットに基づきイベントのサブセットを決定するステップと、
前記イベントのサブセット内の各イベントについて、第2のMLモデルを通してアクションのシーケンスを処理することにより少なくとも1つのアクションを決定するステップと、
前記イベントのサブセットおよびアクションのセットを、前記アクションのセット内の少なくとも1つのアクションの実行のために出力するステップと
を含む、コンピュータに実装された方法。
【請求項2】
前記問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定するステップは、
前記目標のエンティティの少なくとも一部を前記問題固有ナレッジグラフ内のノードにマッピングするステップと、
前記問題固有ナレッジグラフの中の、前記ノードを含む経路を特定するステップと
を含む、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項3】
イベントは、前記問題固有ナレッジグラフ内の少なくとも1つのノードの個別のインスタンスとして決定される、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項4】
前記第1のMLモデルは、個別のイベントのイベントスコアを提供するために、埋め込み層を通して疎な特徴セットの少なくとも一部を処理し、隠れ層を通して密な特徴セットを処理する、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項5】
前記第2のMLモデルは、個別のイベントに関連するアクションのシーケンスを受信し、前記個別のイベントについて前記アクションのシーケンス内の次のアクションを予測する、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項6】
前記第2のMLモデルは、前記アクションのシーケンスを処理するトランスフォーマのセットを含む、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項7】
前記イベントのセット内の各イベントについて、前記イベントを表すデータを、ウェブセンシングを通して抽出するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータに実装された方法。
【請求項8】
1つ以上のプロセッサに結合され、命令が格納されている非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサにより実行されると前記1つ以上のプロセッサに、接続されたネットワークのデータにおけるパターン認識に基づきイベントおよびアクションを生成するための動作を実行させ、前記動作は、
目標を受信することと、
前記目標の少なくとも一部に応じる問題固有ナレッジグラフを提供することと、
前記問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することと、
イベントスコアのセットを提供するために、第1の機械学習(ML)モデルを通して、前記イベントのセット内のイベントを表すデータを処理することであって、前記イベントスコアのセット内の各イベントスコアは、前記イベントのセット内の個別のイベントに関連する、前記処理することと、
前記イベントスコアのセットに基づきイベントのサブセットを決定することと、
前記イベントのサブセット内の各イベントについて、第2のMLモデルを通してアクションのシーケンスを処理することにより少なくとも1つのアクションを決定することと、
前記イベントのサブセットおよびアクションのセットを、前記アクションのセット内の少なくとも1つのアクションの実行のために出力することと
を含む、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項9】
前記問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することは、
前記目標のエンティティの少なくとも一部を前記問題固有ナレッジグラフ内のノードにマッピングすることと、
前記問題固有ナレッジグラフの中の、前記ノードを含む経路を特定することと
を含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項10】
イベントは、前記問題固有ナレッジグラフ内の少なくとも1つのノードの個別のインスタンスとして決定される、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項11】
前記第1のMLモデルは、個別のイベントのイベントスコアを提供するために、埋め込み層を通して疎な特徴セットの少なくとも一部を処理し、隠れ層を通して密な特徴セットを処理する、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項12】
前記第2のMLモデルは、個別のイベントに関連するアクションのシーケンスを受信し、前記個別のイベントについて前記アクションのシーケンス内の次のアクションを予測する、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項13】
前記第2のMLモデルは、前記アクションのシーケンスを処理するトランスフォーマのセットを含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項14】
動作は、前記イベントのセット内の各イベントについて、前記イベントを表すデータを、ウェブセンシングを通して抽出することをさらに含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項15】
コンピューティングデバイスと、
前記コンピューティングデバイスに結合され、命令が格納されているコンピュータ可読ストレージデバイスと
を含むシステムであって、前記命令は、前記コンピューティングデバイスにより実行されると前記コンピューティングデバイスに、接続されたネットワークのデータにおけるパターン認識に基づきイベントおよびアクションを生成するための動作を実行させ、前記動作は、
目標を受信することと、
前記目標の少なくとも一部に応じる問題固有ナレッジグラフを提供することと、
前記問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することと、
イベントスコアのセットを提供するために、第1の機械学習(ML)モデルを通して、前記イベントのセット内のイベントを表すデータを処理することであって、前記イベントスコアのセット内の各イベントスコアは、前記イベントのセット内の個別のイベントに関連する、前記処理することと、
前記イベントスコアのセットに基づきイベントのサブセットを決定することと、
前記イベントのサブセット内の各イベントについて、第2のMLモデルを通してアクションのシーケンスを処理することにより少なくとも1つのアクションを決定することと、
前記イベントのサブセットおよびアクションのセットを、前記アクションのセット内の少なくとも1つのアクションの実行のために出力することと
を含む、システム。
【請求項16】
前記問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することは、
前記目標のエンティティの少なくとも一部を前記問題固有ナレッジグラフ内のノードにマッピングすることと、
前記問題固有ナレッジグラフの中の、前記ノードを含む経路を特定することと
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
イベントは、前記問題固有ナレッジグラフ内の少なくとも1つのノードの個別のインスタンスとして決定される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のMLモデルは、個別のイベントのイベントスコアを提供するために、埋め込み層を通して疎な特徴セットの少なくとも一部を処理し、隠れ層を通して密な特徴セットを処理する、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のMLモデルは、個別のイベントに関連するアクションのシーケンスを受信し、前記個別のイベントについて前記アクションのシーケンス内の次のアクションを予測する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2のMLモデルは、前記アクションのシーケンスを処理するトランスフォーマのセットを含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本願は、全般的に、企業の運営を改善するための早期パターン検出プラットフォームと、接続されたネットワークのデータにおけるパターン認識に基づきイベントおよびアクションを生成するための、コンピュータに実装された方法とに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2021年3月22日出願の米国特許仮出願第63/164,159号の優先権を主張し、その開示全体が、参照により本願明細書に明示的に援用される。
【背景技術】
【0003】
企業は、複数の企業および顧客のネットワークを含み得る接続された環境の中で業務を遂行する。例として、数あるコンテキストの中でも特に、企業はビジネス間(B2B:business-to-business)のコンテキストおよび/または企業対消費者(B2C:business-to-consumer)で運営する場合がある。B2Bのコンテキストでは、企業は他の企業に商品および/またはサービスを提供する。B2Cのコンテキストでは、企業は個人に商品および/またはサービスを提供する。
【0004】
デジタル化され接続された今日の世界では、企業間および企業と顧客との間の相互作用は、複数のネットワークおよび複数のプラットフォームにまたがる。さらに、そのような接続性の結果として、相互作用のダイナミクスが増すとともに、相互作用を表す膨大な量のデータが生成される。例として、B2Cのコンテキストでは、企業は入手可能な製品を複数の電子商取引プラットフォームにわたって提供することができ、各電子商取引プラットフォームは、企業の運営に影響を与え得る製品レビューを提供する。例として、製品レビューが影響を与え得るのは製品を提供する企業だけでなく、製品を提供するサプライチェーンの中の企業にも影響を与え得る。つまり、B2Cのコンテキストでの相互作用がB2Bのコンテキストに影響を与えることも、その逆のこともある。
【0005】
このことを考慮して、企業の運営に影響を与え得るダイナミクス(例えば新たに発生している市場動向)を検出しようとして、企業はデータの分析を図る。いわゆるビッグデータ解析をサポートするために、コンピュータに実装される様々なツールが開発されているが、そうしたツールには技術的な不備がある。例として、従来のツールは企業間の依存関係を検出しようとするが、ノイズの多いデータから有用な徴候を捕捉すること、および/または不完全な情報のインスタンスにおけるパターンを認識することはできない。さらに、そのようなツールにより使用されるモデルは、接続性が強まる企業と顧客との、接続性とリアルタイムの相互作用とから生じるダイナミクスに、遅れずに対応することができていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実装は、全般的に、企業の運営を改善するための早期パターン検出プラットフォームを対象とする。特に、本開示の実装は、ナレッジグラフの構築および更新と、人工知能(AI:artificial intelligence)を活用したウェブベースのデータの抽出と、ナレッジグラフおよびウェブベースのデータに基づくドメイン関連のパターンの検出とを行う、早期パターン検出プラットフォームを対象とする。一部の実装において、早期パターン検出プラットフォームは、イベントを特定し、企業の運営を改善するために企業により実行可能なアクションを出力する。
【0007】
一部の実装においてアクションは、目標を受信することと、目標の少なくとも一部に応じる問題固有ナレッジグラフを提供することと、問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することと、イベントスコアのセットを提供するために、第1の機械学習(ML:machine learning)モデルを通して、イベントのセット内のイベントを表すデータを処理することであって、イベントスコアのセット内の各イベントスコアは、イベントのセット内の個別のイベントに関連する、処理することと、イベントスコアのセットに基づきイベントのサブセットを決定することと、イベントのサブセット内の各イベントについて、第2のMLモデルを通してアクションのシーケンスを処理することにより少なくとも1つのアクションを決定することと、イベントのサブセットおよびアクションのセットを、アクションのセット内の少なくとも1つのアクションの実行のために出力することとを含む。この側面の他の実装は、対応するシステムと、装置と、方法のアクションを実行するように構成されコンピュータストレージデバイス上にエンコーディングされたコンピュータプログラムとを含む。
【0008】
これらおよび他の実装はそれぞれ、次の特徴のうちの1つ以上を任意選択で含むことができる:問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することが、目標のエンティティの少なくとも一部を問題固有ナレッジグラフ内のノードにマッピングすることと、問題固有ナレッジグラフの中の、ノードを含む経路を特定することとを含むこと、イベントが、問題固有ナレッジグラフ内の少なくとも1つのノードの個別のインスタンスとして決定されること、第1のMLモデルが、個別のイベントのイベントスコアを提供するために、埋め込み層を通して疎な特徴セットの少なくとも一部を処理し、隠れ層を通して密な特徴セットを処理すること、第2のMLモデルが、個別のイベントに関連するアクションのシーケンスを受信し、個別のイベントについてアクションのシーケンス内の次のアクションを予測すること、第2のMLモデルが、アクションのシーケンスを処理するトランスフォーマのセットを含むこと、アクションが、イベントのセット内の各イベントについて、イベントを表すデータを、ウェブセンシングを通して抽出することをさらに含むこと。
【0009】
当然のことながら、本開示による方法は、本願明細書に記載される側面および特徴の任意の組み合わせを含むことができる。つまり、例として、本開示による装置および方法は、本願明細書に具体的に記載される側面および特徴の組み合わせに限定されず、示される側面および特徴の任意の組み合わせも含み得る。
【0010】
本開示の1つ以上の実装の詳細が、添付の図面および下記の説明に記載される。この説明、図面、および特許請求の範囲から、本開示の他の特徴および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実装を実行することができる例示のシステムを示す。
図2】本開示の実装による早期パターン検出プラットフォームを含む例示の概念アーキテクチャを示す。
図3A】ナレッジグラフの構築およびその一部の更新の例示の表現を示す。
図3B】ナレッジグラフの構築およびその一部の更新の例示の表現を示す。
図3C】ナレッジグラフの構築およびその一部の更新の例示の表現を示す。
図3D】ナレッジグラフの構築およびその一部の更新の例示の表現を示す。
図4】本開示の実装による、人工知能(AI)を使用したウェブセンシングの例示のアーキテクチャを示す。
図5】本開示の実装による、イベントをスコアリングする例示の機械学習(ML)モデルを示す。
図6】本開示の実装による、イベントについてのアクションを決定する例示のMLモデルを示す。
図7】本開示の実装により実行可能な例示のプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
個々の図面内の同じ参照番号および名称は、同様の構成要素を示す。
【0013】
本開示の実装は、全般的に、企業の運営を改善するための早期パターン検出プラットフォームを対象とする。特に、本開示の実装は、ナレッジグラフの構築および更新と、人工知能(AI)を活用したウェブベースのデータの抽出と、ナレッジグラフおよびウェブベースのデータに基づくドメイン関連のパターンの検出とを行う、早期パターン検出プラットフォームを対象とする。一部の実装において、早期パターン検出プラットフォームは、イベントを特定し、企業の運営を改善するために企業により実行可能なアクションを出力する。一部の実装においてアクションは、目標を受信することと、目標の少なくとも一部に応じる問題固有ナレッジグラフを提供することと、問題固有ナレッジグラフからイベントのセットを決定することと、イベントスコアのセットを提供するために、第1の機械学習(ML)モデルを通して、イベントのセット内のイベントを表すデータを処理することであって、イベントスコアのセット内の各イベントスコアは、イベントのセット内の個別のイベントに関連する、処理することと、イベントスコアのセットに基づきイベントのサブセットを決定することと、イベントのサブセット内の各イベントについて、第2のMLモデルを通してアクションのシーケンスを処理することにより少なくとも1つのアクションを決定することと、イベントのサブセットおよびアクションのセットを、アクションのセット内の少なくとも1つのアクションの実行のために出力することとを含む。
【0014】
本開示の実装に関するさらなるコンテキストを提供すると、上記で提示されたように、企業は、複数の企業および顧客のネットワークを含み得る接続された環境の中で業務を遂行する。例として、数あるコンテキストの中でも特に、企業はビジネス間(B2B)のコンテキストおよび/または企業対消費者(B2C)で運営する場合がある。B2Bのコンテキストでは、企業は他の企業に商品および/またはサービスを提供する。B2Cのコンテキストでは、企業は個人に商品および/またはサービスを提供する。
【0015】
デジタル化され接続された今日の世界では、企業間および企業と顧客との間の相互作用は、複数のネットワークおよび複数のプラットフォームにまたがる。さらに、そのような接続性の結果として、相互作用のダイナミクスが増すとともに、相互作用を表す膨大な量のデータが生成される。例として、B2Cのコンテキストでは、企業は入手可能な製品を複数の電子商取引プラットフォームにわたって提供することができ、各電子商取引プラットフォームは、企業の運営に影響を与え得る製品レビューを提供する。例として、製品レビューが影響を与え得るのは製品を提供する企業だけでなく、製品を提供するサプライチェーンの中の企業にも影響を与え得る。つまり、B2Cのコンテキストでの相互作用がB2Bのコンテキストに影響を与えることも、その逆のこともある。
【0016】
このことを考慮して、企業の運営に影響を与え得るダイナミクス(例えば新たに発生している市場動向)を検出しようとして、企業はデータの分析を図る。いわゆるビッグデータ解析をサポートするために、コンピュータに実装される様々なツールが開発されているが、そうしたツールには技術的な不備がある。例として、従来のツールは企業間の依存関係を検出しようとするが、ノイズの多いデータから有用な徴候を捕捉すること、および/または不完全な情報のインスタンスにおけるパターンを認識することはできない。さらに、そのようなツールにより使用されるモデルは、接続性が強まる企業と顧客との、接続性とリアルタイムの相互作用とから生じるダイナミクスに、遅れずに対応することができていない。
【0017】
上記の事項を考慮して、本開示の実装は、企業の運営を改善するための早期パターン検出プラットフォームを提供する。特に、本開示の実装は、例として、ナレッジグラフの構築および更新と、AIを活用したウェブベースのデータの抽出と、ナレッジグラフおよびウェブベースのデータに基づくドメイン関連のパターンの検出とを行うことにより、従来のアプローチの技術的な不備を打開する、早期パターン検出プラットフォームを対象とする。一部の実装において、早期パターン検出プラットフォームは、ドメイン関連のパターンからイベントを特定し、企業の運営を改善するために企業により実行可能なアクションを出力する。
【0018】
本願明細書にさらに詳細に記載されているように、本開示の早期パターン検出プラットフォームは、イベントの特定、エンリッチメント、および優先順位付けのため、企業間および/または企業と顧客との間の依存関係を表すナレッジグラフの構築、ネットワーク分析(例えばウェブセンシング)から提供される関連徴候(例えばデータにおいて代表的なもの)のデータベース、ならびに推論およびパターン認識モデルの適用を可能にする。本開示の実装は、手動によるアプローチ、および/またはコンピュータに実装されたツールであって、技術的な欠陥のあるもの(例えばノイズの多いデータおよび/または不完全な情報を効果的に処理しないもの、ダイナミクスへの応答性が低いかまたは応答が遅いモデルを使用するもの)を使用するのに比べ、ユーザが、新たに発生しているイベントの微妙なパターンをより効果的且つ正確に検出することを可能にする。本開示の実装はさらに、ナレッジグラフを定期的にリフレッシュし、基礎をなすモデルを継続的に更新することにより、市場における動向のダイナミクス(例えば動向の新たな発生)にシームレスに適応することを可能にする。
【0019】
本開示の各実装が、例示のコンテキストを参照して、本願明細書にさらに詳細に記載される。例示のコンテキストは、企業運営を改善するべく、イベントとしてのリードを生成し、イベントの実行のためのアクションを提供するために、パターンを認識することを含む。例示のコンテキストにおいて、リードは、セールスリード(例えば顧客と相互作用する機会)を含むことができ、アクションは、リードに対する1つ以上の品目の提案を含むことができる。なお、本開示の実装は、任意の適切なコンテキストにおいて実現可能であると考えられる。例として、本開示の実装は、商業のコンテキストを参照して本願明細書に記載されるが、本開示の実装は、商業以外のコンテキストにおいて実現可能である。
【0020】
図1は、本開示の実装を実行することができる例示のシステム100を示す。例示のシステム100は、コンピューティングデバイス102、バックエンドシステム108、およびネットワーク106を含む。一部の例においてネットワーク106は、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、ワイドエリアネットワーク(WAN:wide area network)、インターネット、またはそれらの組み合わせを含み、ウェブサイト、デバイス(例えばコンピューティングデバイス102)、およびバックエンドシステム(例えばバックエンドシステム108)を接続する。一部の例において、ネットワーク106には、有線および/またはワイヤレスの通信リンク上でアクセス可能である。
【0021】
一部の例においてコンピューティングデバイス102は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、携帯電話、ネットワークアプライアンス、カメラ、スマートフォン、拡張汎用パケット無線サービス(EGPRS:enhanced general packet radio service)モバイル電話、メディアプレーヤ、ナビゲーションデバイス、電子メールデバイス、ゲーム機、またはこれらのデバイスもしくは他のデータ処理デバイスの任意の2つ以上の適切な組み合わせなど、任意の適切なタイプのコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0022】
示されている例においてバックエンドシステム108は、少なくとも1つのサーバシステム112およびデータストア114(例えばデータベースおよびナレッジグラフ構造)を含む。一部の例においてバックエンドシステム108は、ユーザがコンピューティングデバイスを使用して相互作用できる、コンピュータに実装された1つ以上のサービスをホストする。例としてバックエンドシステム108は、本開示の実装による早期パターン検出プラットフォームをホストすることができる。本例においてユーザ120は、1つ以上の目標を入力として早期パターン検出システムに提供する企業の或る主体(例えば従業員)を含むことができ、応答として早期パターン検出システムは、1つ以上のイベントと、各イベントについて、目標を達成するために実行可能な1つ以上のアクションとを提供する。さらに、本例においてユーザ122は、イベントおよびアクションを提供するために早期検出プラットフォームにより使用されるナレッジグラフ(KG:knowledge graph)の作成および/または更新のための入力を提供することができる、企業の或る主体(例えば従業員)を含むことができる。
【0023】
本願明細書にさらに詳細に記載されているように、本開示の早期パターン検出プラットフォームは、イベントの生成、エンリッチメント、および優先順位付けのため、企業の依存関係のKGの構築、関連徴候のデータベース、ならびに推論およびパターン認識モデル(MLモデル)の適用を行う。例示のコンテキストにおいて早期パターン検出プラットフォームは、従来のツールを使用し且つ/または手動で実行されるものに比べ、より効率的、効果的、且つ正確に、新たに発生しているイベントの微妙なパターンをユーザが検出することを可能にする。
【0024】
図2は、本開示の実装による早期パターン検出プラットフォームを含む例示の概念アーキテクチャ200を示す。図2の例において概念アーキテクチャ200は、イベント生成ワークベンチ202、イベント生成エンジン204、目標パースエンジン206、ウェブセンシングモジュール208、イベントスコアリングモジュール210、イベントアクション予測モジュール212、イベントストア220、アクションストア222、KGモデリングワークベンチ214、グラフモデリングエンジン216、グラフエンリッチメントエンジン218、問題固有KGストア224、およびドメイン固有KGストア226を含む。
【0025】
上記で提示された非限定的な例示のコンテキストにおいて、イベントは、本願明細書ではリードとも呼ばれるセールスリードを含むことができる。例として早期パターン検出フレームワークは、(例えばウェブセンシングモジュール208から提供された)ウェブベースのデータをまとめ、(例えばグラフモデリングエンジン216およびグラフエンリッチメントエンジン218から提供される)問題固有KGおよびドメイン固有KGを構築して、1つ以上の企業が作用できる1つ以上のイベントの存在を認識し、(例えばイベントスコアリングモジュール210およびイベント予測モジュール212を使用して)1つ以上のイベントの実行のための1つ以上のアクションを予測する。
【0026】
さらに詳細には、目標は、イベント生成ワークベンチ202を通して早期パターン検出プラットフォームに提供可能である。例としてユーザ120は、コンピューティングデバイス102を通してイベント生成ワークベンチと相互作用し、目標を入力することができる。商業のコンテキストの例において、例示の目標としては、中小企業(SMB:small-to-medium sized business)が特定の宣伝広告ネットワーク(広告ネットワーク)を通してオンラインビデオゲームに配置する宣伝広告の数を増加させることが挙げられるが、限定はされない。一部の例において目標は、イベント生成エンジン204に提供され、イベントの特定と、特定された各イベントについてのアクションの予測とをトリガする。
【0027】
一部の実装においてイベント生成エンジン204は、目標を目標パースエンジン206に提供し、目標パースエンジン206は、目標を処理して、目標をエンティティとエンティティ間の関係とのセットへとパースする。上記の例示の目標を非限定的に参照すると、例示のエンティティとしては、宣伝広告、SMB、広告ネットワーク、およびオンラインビデオゲームを挙げることができる。
【0028】
上記で提示されたように、早期パターン検出プラットフォームは、KGに基づきイベントを検出する。一般に、KGは、データの集合として記述可能であり、エンティティと、エンティティ間の関係とを表現するスキーマに基づき関連付け可能である。データは(表形式でも提供されるとしても)グラフとして論理的に記述可能であり、別個のエンティティそれぞれが個別のノードにより表現され、エンティティのペア間の関係それぞれがノード間のエッジにより表現される。各エッジは関係に関連付けられ、エッジの存在は、そのエッジにより接続されたノード間に、その関連付けられた関係が存在することを表現する。例として、ノードAがアルファという会社を表現し、ノードBがベータという製品を表現し、エッジEが関係「製造者(is manufactured by)」に関連付けられている場合、グラフ内でエッジEに、ノードAからノードBに向かう方向にノードを接続させることは、アルファがベータを製造している会社であることを表現する。一部の例において、ナレッジグラフはスキーマに関係するナレッジを用いて拡張可能である(例えば、アルファは会社という概念であり、チャーリーは会社という概念であり、「供給先(supplies to)」は2つのエンティティ間/会社という概念のインスタンス間のプロパティまたは関係である)。スキーマに関係する情報の追加は、推論結果の評価をサポートする。ナレッジグラフは、多様な物理データ構造のいずれかにより表現可能である。例としてナレッジグラフは、トリプルにより表現可能であり、それぞれが2つのエンティティを順に、さらに第1のエンティティから第2のエンティティへの関係を表現する。例として、[アルファ,ベータ,製造者]または[アルファ,製造者,ベータ]は、同じ事実を表現する選択可能な形である。各エンティティおよび各関係は、複数のトリプルに含まれることが、可能であるとともに、一般的には含まれることになる。
【0029】
一部の例において各エンティティは、例としてレコードまたはオブジェクトとしてなど、ノードとしていったん格納されると、そのエンティティが有するすべての関係と、そのエンティティが関係する他のすべてのエンティティとに、リンクリストデータ構造を通してリンクされることが可能である。より具体的には、ナレッジグラフは、隣接情報が関係情報を含む隣接リストとして格納可能である。一部の例において、それぞれの別個のエンティティおよびそれぞれの別個の関係は、個別の一意の識別子を用いて表現される。ナレッジグラフにより表現されるエンティティは、有形の物または具体的な人である必要はない。エンティティは、特定の人、場所、物、芸術作品、概念、イベント、またはその他のタイプのエンティティを含むことができる。したがって、ナレッジグラフは、会社(例えばサプライチェーンの中のサプライヤ)間の関係を定義するデータ、会社と物との間の関係(例えば特定の製品が特定の会社により生産されていること)を定義するデータ、場所と物との間の関係(例えば特定の製品が特定の地理的位置から来ていること)を定義するデータ、会社と場所との間の関係(例えば会社の本社が特定の都市にあること)を定義するデータ、およびエンティティ間の他の種類の関係を含むことができる。
【0030】
一部の実装において各ノードは、ノードが表現するエンティティの種類に基づくタイプを有し、タイプはそれぞれ、そのタイプのノードによって表現されるエンティティについて保持可能なデータの種類と、データがどのように格納されるべきかとを規定する、スキーマを有することができる。例として、会社を表現するタイプのノードは、所在地、業界などの情報のためのフィールドを定義するスキーマを有することができるであろう。そのような情報は、タイプ特有のデータ構造のフィールドにより、またはノード-関係-ノードのトリプルのようなトリプルにより(例えば[会社の識別子,所在する,業界内(company identifier,is located,in industry)])、またはその他任意のあらかじめ定義された都合の良い形で、表現可能である。一部の例において、或るタイプのスキーマにより規定される情報の一部または全部が、ナレッジグラフ内のノードへのリンクにより表現可能である。例として、[1つの会社の識別子,その子会社,別の会社の識別子(one company identifier,subsidiary of,another company identifier)]では、別の会社の識別子はグラフ内のノードである。
【0031】
本開示の実装によれば、例示のKGは、ドメイン固有KGおよび問題固有KGを含む。一部の例においてドメイン固有KGは、個別のドメイン(例えば電気通信、モバイルゲーム、デジタル宣伝広告)の中のエンティティと、エンティティ間の関係とを表現する。一部の例において、問題固有KGは、対処されるべき個別の問題を考慮した、個別のドメインの中のエンティティと、エンティティ間の関係とを表現する。本開示の実装のコンテキストにおいて、問題は、早期パターン検出において達成されるべき目標として提供される。
【0032】
図2を引き続き参照する。1つ以上のドメイン固有KGが、グラフモデリングエンジン216を通して提供され、ドメイン固有KGストア226に格納される。一部の例において、ドメイン固有KGは全体的に作成される。一部の例において、ドメイン固有KGは更新される(つまり、既存のドメイン固有KGが更新されてノードおよび/またはエッジが追加/除去される)。
【0033】
一部の実装において、ドメイン固有KGは、ナレッジ抽出プロセスおよびナレッジ融合プロセスを通して提供される。一部の例において、ナレッジ抽出プロセスは、特定のドメインの中のエンティティと、エンティティ間の関係とを表すデータをそれぞれが含む、複数のデータソースに基づく。例示のデータソースとしては、構造化データソース(例えばリレーショナルデータベース)、半構造化データソース(例えば拡張マークアップ言語(XML:extensible markup language)ドキュメント、Javascriptオブジェクト表記(JSON:Javascript object notation)ドキュメント)、および非構造化データソース(例えばレポート、ウェブサイト)を挙げることができるが、限定はされない。一部の例において、(例えばナレッジ抽出エンジンにより)複数のデータソースそれぞれからのデータが受信され、ナレッジ抽出エンジンは、エンティティ抽出、関係抽出、および属性抽出においてデータを処理する。エンティティ抽出は、データの中のエンティティのセットを特定するために実行される。例示のエンティティとしては、企業(例えばSMB、広告ネットワーク、パブリッシャ、開発者、広告主)および製品(例えばゲーム、モバイルアプリケーション(APP:application)、動画)を挙げることができるが、限定はされない。関係抽出プロセスは、エンティティのセット内のエンティティ間の関係を表現する関係のセットを特定するために実行される。例示の関係としては、企業間の関係(例えば購入先(buy from)/販売先(sell to)、担当の開発者(developer for)/そのパブリッシャ(publisher of))、企業と製品との間の関係(例えばその開発者(developer of)/その生産者(producer of))を挙げることができるが、限定はされない。属性抽出は、1つ以上の属性を各エンティティおよび/または関係に割り当てるために実行される。
【0034】
一部の例において、ドメイン固有KGを提供(または更新)するために、エンティティのセットおよび関係のセットがナレッジ融合プロセスを通して処理される。一部の例において、(例えばナレッジ抽出エンジンからナレッジ抽出エンジンにより)エンティティのセットおよび関係のセットが受信され、このエンジンは、エンティティアラインメント、データ統合、およびコンフリクト解決を通してエンティティのセットおよび/または関係のセットを処理する。一部の例において、エンティティアラインメントは、エンティティの曖昧さを解消し、且つ/またはエンティティの重複を排除するために実行される。一部の例において、データ統合は、アラインメント後のエンティティおよび異種の関係を既存のドメイン固有KGにマージして、ドメイン固有KGの更新されたバージョンを提供するために実行される。一部の例において、コンフリクト解決は、エンティティおよび/または関係間のコンフリクトを解決し、且つ/またはドメイン固有KGからのエンティティおよび/または関係をフィルタリングするために実行される。
【0035】
図2を引き続き参照する。1つ以上の問題固有KGが、グラフエンリッチメントエンジン216を通して提供され、問題固有KGストア226に格納される。一部の例において問題固有KGは、問題固有ノードおよび関係と、各問題固有ノードに関しノードにより表現されるエンティティに関連性のある1つ以上のインスタンスとを用いて、ドメイン固有KGをエンリッチングすることにより作成される。各例について、図3A図3Dを参照して本願明細書にさらに詳細に記載される。
【0036】
一部の実装において、ドメイン固有KGの作成および/もしくは更新、ならびに/または問題固有KGの作成および/もしくは更新は、ユーザ122から提供される手動入力を部分的に含むことができる。例としてユーザ122は、KGモデリングワークベンチ214と相互作用して、ドメイン固有KGの作成および/もしくは更新、ならびに/または問題固有KGの作成および/もしくは更新のための入力を提供することができる。例示の入力としては、エンティティおよび/または関係間のコンフリクトを解決するコンフリクト解決を挙げることができるが、限定はされない。
【0037】
図3A図3Dは、ドメイン固有KGの構築およびその一部の更新と、問題固有KGの提供との、例示の表現を示す。図3A図3Dの例は、デジタル宣伝広告のエコシステムにおける広告ネットワークの非限定的なコンテキストを表現する。一部の例において、広告ネットワークとは、広告主と、宣伝広告を配信したいデジタルメディア(例えばウェブサイト、APP、デジタルゲーム、動画)とを結び付ける企業である。広告ネットワークの主要な役割は、パブリッシャからの広告供給を集約し、その供給と、広告主の需要とをマッチングすることである。パブリッシャの広告スペースを集約して広告主に販売するという現象は、オンラインスペースで最もよく見られるため、「オンライン広告ネットワーク」を指すために「広告ネットワーク」という用語だけが使用されることが増加している。
【0038】
図3Aを詳細に参照する。ドメイン固有KG300(またはその少なくとも一部)が示されており、広告ネットワークノード302、広告主ノード304、パブリッシャノード306、および開発者ノード308を含む。ドメイン固有KG300は、ノード間の関係をさらに含む。例として、広告ネットワークノード302により表現される広告ネットワークは、広告主ノード304により表現される広告主に対して「広告掲載」の関係を有し、広告主は、広告ネットワークに対して「支払い」の関係を有する。したがって、ドメイン固有KGは、宣伝広告を掲載させるために広告主が広告ネットワークに支払いをするという関係を表現する。
【0039】
図3Bは、ドメイン固有KG300’を提供するためのドメイン固有KG300に対する更新の例を示す。図3Bの例では、広告代理店ノード310が追加されることで、ドメイン固有300が作成または最後に更新された後の、オンライン広告ネットワークに追加されたエンティティ(つまり宣伝広告代理店)、および広告代理店とオンライン広告ネットワーク内の既存のエンティティと間の関係が表現されている。図3Bの例において、ドメイン固有KG300’は、宣伝広告を掲載させるために広告代理店が広告ネットワークに支払いをするという関係と、宣伝広告の作成のために広告主が広告代理店に支払いをするという関係とを表現する。
【0040】
したがって、図3Aから図3Bへの進行は、ドメイン固有KGの更新の例を表現する。一部の例において、ドメインは動的である場合もあり、比較的高い頻度で変化する場合もある。このことを考慮して、ドメイン固有KGは、あらかじめ定義された間隔(例えば毎時、毎日、毎週、毎月)で、且つ/または1つ以上のトリガ(例えばユーザコマンド)に応答して、更新可能である。
【0041】
図3Cおよび図3Dを詳細に参照して、問題固有KGを提供する例について説明する。上記で提示されたように、問題固有KGは、問題固有ノードと、各問題固有ノードに関しノードにより表現されるエンティティに関連性のある1つ以上のインスタンスとを用いて、ドメイン固有KGをエンリッチングすることにより、ドメイン固有KGから提供される。図3Cの例では、部分的にエンリッチングされたドメイン固有KG320が示されており、図3Bのドメイン固有KG300’に基づいている。図3Cの例では、ドメイン固有KG300’が、広告主の個別のカテゴリを表現するノード312a、312bと、開発者の個別のカテゴリを表現するノード314a、314b、314cとを用いてエンリッチングされて、部分的にエンリッチングされたドメイン固有KG320が提供されている。部分的にエンリッチングされたドメイン固有KG320は、ノード312a、312b、314a、314b、314cそれぞれの1つ以上のインスタンスを含むようにさらにエンリッチングされて、図3Dの問題固有KG320’が提供される。すなわち、ノード312a、312b、314a、314b、314cがインスタンスを用いてエンリッチングされて、エンリッチングされたノード312a’、312b’、314a’、314b’、314c’が提供される。各インスタンスは、個別のノードのエンティティカテゴリに関係する実世界のエンティティである。例として、図3Dの例では、インスタンスXXX、XXY、およびXXZは、広告を出す企業であり、大手ブランドとみなされており、インスタンスYYX、YYY、およびYYZは、広告を出す企業であり、SMBとみなされている。
【0042】
図3A図3Dの例は、比較的少数のノードを備えた比較的単純なKGに基づくことがわかる。しかしながら、本開示の実装は、はるかに多い数のノード(例えば百、数千、数百万)、ならびにそれらの間の関係を含むことができる、より複雑なKGを用いて実現可能であると考えられる。
【0043】
図2を再び参照する。目標に応答して、イベント生成エンジン204は、問題固有KGストア224から問題固有KGを取得する。一部の例においてイベント生成エンジン204は、目標からパースされた1つ以上のエンティティに基づき問題固有KGストア224に問い合わせを行い、問題固有KGストア224は、問い合わせに応答して問題固有KGを返す。例として、本願明細書における非限定的な例を参照すると、問題固有KGストア224は、宣伝広告、SMB、および広告ネットワークのうちの1つ以上を含む問い合わせに応答して、図3Dの問題固有KG320’を返す。
【0044】
一部の実装においてイベント生成エンジン204は、問題固有KGを処理して、イベントのセット(例えば1つ以上のイベント)を特定する。一部の例では、イベントのセットは、問題固有KGの中の経路発見問題としての目標に基づき決定される。例として、目標から決定されたエンティティが問題固有KG内のノードにマッピングされる(例えば、word2vecなどの単語埋め込みによるコサイン類似度スコアにより対応するノードを発見する)。対応するノードのノード値はコサイン類似度スコアになるように割り当てられ、その一方で、他の任意のノードのノード値はゼロである。本願明細書における非限定的な例を使用すると、例示の目標のSMB、広告ネットワーク、およびゲームが、ノード312b’、302、314b’にマッピングされることが可能である。これを考慮して、目標を満たし重要な用語をカバーする(つまり特定されたノードを含む)、問題固有KG中の1つ以上の経路が判断される。使用されるべき特定の経路を決定するために、問題は、グラフ上の最小発見経路として定式化されて解かれる。一部の例において、最小経路は、いわゆる巡回セールスマン問題のように、全ペア最短経路を発見することにより対応するノードのあらゆる特定のペア間の最小距離を計算し、続いて、対応する全ノードを接続する最短距離の経路を特定することにより、判断される。一部の例において、最小経路の平均ノード値が判断され、閾値と比較される。平均ノード値が閾値を超えていれば、その経路が返される。その他の場合は、失敗が示される。
【0045】
一部の例において、返された経路から提供される入力目標のターゲットノードから、インテントに関連性があるであろうイベントが判断される。図3Dの例では、ノード312b’のインスタンスYYX、YYY、およびYYZが、イベント(例えば例示のコンテキストにおけるリード)として返されることが可能である。例として、SMBが特定の広告ネットワークを通してオンラインビデオゲームに配置する宣伝広告の数を増加させるという例示の目標の場合、ノード312b’のインスタンスYYX、YYY、およびYYZは、宣伝広告を増加できるであろうSMBを表現する。
【0046】
一部の例において、イベント生成エンジン204の出力は、イベントのセット(例えば1つ以上のイベント)である。イベントのセットはイベントスコアリングモジュール210に提供され、イベントスコアリングモジュール210は、各イベントのイベントスコアを提供する。より具体的には、イベントスコアリングモジュールは、複数のデータソースからのイベントに関連するデータに基づき、各イベントをスコアリングする。一部の実装において、ウェブクローリングの機能性を実行し、AIを活用してイベントを表すデータを取得するウェブセンシングモジュール208によって、データが提供される。イベントがリード(例えば販売先となり得る企業)を含む例示のコンテキストにおいて、データは、リード(企業)を表すデータを含む。
【0047】
図4は、本開示の実装による、人工知能(AI)を使用したウェブセンシングの例示のアーキテクチャ400を示す。図4の例においてアーキテクチャ400は、並列フェッチモジュール402、パースモジュール404、確認モジュール406、リンク重複排除モジュール408、ジョブキューストア410、ページストア412、およびデータストア414を含む。一部の例では、アーキテクチャは、ユニフォームリソースロケータ(URL:uniform resource locator)のセットの中のURL 416を処理し、基礎をなすリソース(例えばウェブページ)からデータを抽出し、そのデータをデータストア414に格納する。一部の例において、企業内部の捕捉されたシステムもしくは企業のパートナーもしくはサードパーティベンダーから供給されたシステムから抽出されたURL、既知のSMBの名称を問い合わせることにより検索エンジンの結果から得られたURL、または他の任意の公開ウェブサイトからのリンクから入手されたURLを含め、URLは1つまたは複数のソースに由来してもよい。
【0048】
さらに詳細には、各URLについて、ジョブキューが生成され、ジョブキューストア410に格納される。ジョブが処理されるとき、並列フェッチモジュール402は、URL(例えばウェブページ)をフェッチしてそこからデータを抽出する。図4の例において並列フェッチモジュール402は、IPローテーションサブモジュール420、ログインハンドラモジュール422、およびリトライ戦略モジュール424を含む。IPローテーションサブモジュール420は、(例えば、スクレイピング対策を抑制するために)URLのリクエストが行われる元となるIPアドレスのローテーションを実行することができる。一部の例において、ログインハンドラ422は、ログイン(例えばユーザ名/パスワードの入力)を要求するURLへのログインを管理する。一部の例において、リトライ戦略サブモジュール424は、フェッチが当初失敗した場合にURLをフェッチするための1つ以上のリトライ戦略を実装する。URLから取得されたウェブページは、ページストア412に格納される。
【0049】
各ウェブページは、パースモジュール404に提供され、パースモジュール404は、ウェブページを処理してそこからデータを抽出する。図4の例においてパースモジュール404は、カテゴリ理解サブモジュール426、リンクフィルタサブモジュール428、リンクパーサブモジュール430、コンテンツ理解モジュール432、製品抽出モジュール434、および配送抽出モジュール436を含む。一部の例において、カテゴリ理解サブモジュール426、コンテンツ理解モジュール432、製品抽出モジュール434、および配送抽出モジュール436のそれぞれは、AI(例えばMLモデルを使用したデータの処理)を用いて自動化され、ウェブページを処理してカテゴリおよびコンテンツを特定し、さらに製品データおよび出荷データを抽出する。さらに、ウェブページ内に提供されるリンク(例えば他のウェブページへのURL)は、フィルタリングされ、パースされ、リンク重複排除モジュール408に提供される。このように、ウェブページから抽出されたURLは、個別のジョブとして処理可能であり、一部は、すでに処理されている他のURLと重複していれば、処理から除外される(つまり一意のURLのみが処理される)。
【0050】
一部の実装において製品データおよび出荷データは、さらに処理して最終的にデータストア414に格納するために、確認モジュール406に提供される。一部の例において製品データは、製品名、カテゴリ、説明、製品番号(例えば製品に割り当てられた一意の識別子)、および同様のものを含むが、限定はされない。一部の例において製品は、物理的な製品またはサービスとすることができる。一部の例において出荷データは、製品が提供される形(例えば住所への物理的な出荷、オンラインでのダウンロード)を表すデータを含むが、限定はされない。図4の例において確認モジュール406は、データ重複排除サブモジュール438およびデータ検証サブモジュール440を含み、これは、製品データおよび出荷データを処理して重複する任意のデータ(例えばすでに考慮されてデータストア214に格納されたデータ)を除去し、データが妥当である(例えばさらなる処理に適したフォーマットである)ことを確実にする。
【0051】
一部の実装において、イベントスコアが各イベントについて判断され、閾値イベントスコアを上回るイベントスコアを有する各イベントについてアクションが決定される。イベントのイベントスコアは、図4を参照して本願明細書に記載されているように、ウェブセンシングを通して取得される、イベントを表すデータに基づき判断される。一部の実装においてイベントスコアは、MLモデルを通してデータを処理することにより判断され、MLモデルは、個別のイベントのイベントスコアを提供する。
【0052】
図5は、本開示の実装による、イベントをスコアリングする例示のMLモデル500を示す。例示のMLモデル500は、イベントを表す疎な特徴セット502および密な特徴セット504を受信し、それぞれを処理してイベントスコア506を提供する。図5の例においてMLモデル500は、埋め込み層510、因数分解機層512、隠れ層514、およびシグモイド関数516を含む。
【0053】
一部の実装において、疎な特徴セット502および密な特徴セット504はそれぞれ、(図4を参照して本願明細書において説明された)ウェブセンシングから個別のイベントについて抽出されたデータから提供される。したがって、特定のイベントについて、疎な特徴セット502および密な特徴セット504が提供され、それに基づき個別のイベントスコア506が生成される。イベントが売り込み先となる企業などのセールスリードである、リードの例示のコンテキストでは、疎な特徴セット502内の例示の疎な特徴は、一定の値のセットを備えたカテゴリ属性であり、これには住所情報(例えば州、都市、国)、収益データ、従業員数、業界タイプ、製品、および同様のものが含まれ得るが、限定はされない。密な特徴セット504内の例示の密な特徴は、典型的には数値的な属性であり、これにはウェブサイトの統計(例えばウェブサイトのトラフィック)、レビュースコア、および同様のものが含まれ得るが、限定はされない。
【0054】
一部の実装において、疎な特徴のサブセットは、埋め込み層510に提供され、埋め込み層510は、疎な特徴のサブセット内のそれぞれの疎な特徴について埋め込みを提供する。一部の例において埋め込みは、個別の疎な特徴の多次元表現(例えば多次元ベクトル)として提供される。疎な特徴のサブセット内の疎な特徴およびそれらの個別の埋め込みは、因数分解機層512に提供され、因数分解機層512はそれぞれを処理して、シグモイド関数516に対する出力としてスカラ値のセットを提供する。一部の実装において、それぞれの埋め込みおよび密な特徴セット504内のそれぞれの密な特徴の各部分は、隠れ層514に対する入力として提供され、隠れ層514は、一連の非線形変換(例えばN層の非線形変換)を通してそれぞれを処理し、シグモイド関数516に対する出力を提供する。シグモイド関数516は、因数分解機層512および隠れ層514から受信された入力を処理して、イベントのスコア(例えばスカラ値)を提供する。このプロセスは、(例えば図3Dを参照して本願明細書に記載された)目標から特定される各イベントに対して実行され、スコアリングされたイベントのセット(例えばイベント-スコアのペア)が提供される。
【0055】
一部の実装においてイベントは、個別のスコアに基づきランキングされる。一部の例において、より高いスコアを有するイベントが、より低いスコアを有するイベントに比べ、より高くランキングされる。ランキングされたイベントは、より有望な成果のためにターゲットとされるアクションが決定されることを可能にする。例として、より高くランキングされたイベントは、より低くランキングされたイベントに比べ、イベントが目標を達成する可能性がより高いことを、ウェブセンシングから取得されたデータに基づき示す。一部の例において、閾値スコアを使用して、さらなる処理(例えば実行可能なアクションの決定)のために考慮されるべきイベントを決定することができる。例として、スコアが閾値スコアを満たすかまたは上回る当該イベントのみに対して、1つ以上のアクションが決定される。
【0056】
図6は、本開示の実装による、イベントについてのアクションを決定する例示のMLモデル600を示す。図6の例において、MLモデル600は、埋め込み層602、トランスフォーマ層604、線形層606、ソフトマックス層608、および位置エンコーダ610を含む。MLモデル600は、アクションシーケンス620を受信し、アクションシーケンス620を処理してアクションシーケンスにおける次のアクション622を予測する。本開示のコンテキストにおいて、次のアクション622とは、イベントに関して実行可能なアクションを表現する。例として、リードの事例では、次のアクション622は、リード(企業)への製品またはサービスの販売を促すための取り組みの一環としてリードに伝えられることが可能な製品またはサービスである。
【0057】
一部の実装では、シーケンスアクション予測において、U={u,u,u}はイベントのセットを示し、I={i,i,i}はアクションのセットを示し、S=[i ,…i ,…i ]はイベントu∈Uについての時系列順の相互作用シーケンスを示し、i(u)∈Iは時間ステップtにてuが相互作用したアクションであり、Tはイベントuの相互作用シーケンスの長さである。アクションのセットはMLモデル600に入力され、MLモデル600は、所与の入力シーケンスについてのアクションiを予測する。つまり、イベントuについて、アクションiは次にとられるべきアクションである。イベントをリードとする例示のコンテキストにおいて、アクションは、企業(つまりリード)に提案可能な製品またはサービスを含むことができ、アクションiは、所与の入力シーケンスを考慮して提案されるべき特定の製品/サービスである。
【0058】
さらに詳細には、予測されるべきアクションiに対するマスクを含むアクションシーケンス620が、埋め込み層602に対する入力として提供される。一部の例において位置エンコーダ610は、埋め込み層602に入力される前に、アクションシーケンス620の中のアクションの個別の位置をエンコーディングする。一部の例において埋め込み層は、アクションシーケンス620内の各アクションについて、埋め込み(例えばベクトル表現など、アクションの多次元表現)を提供する。埋め込みはそれぞれ、複数層のトランスフォーマ630を含むトランスフォーマ層604に対する入力として提供される。例としてトランスフォーマ層630は、各層がm個のトランスフォーマ630を有するn層のトランスフォーマ630を含むことができる。したがって、トランスフォーマのセットは1,1からn,mに及ぶことができる。
【0059】
例示のトランスフォーマ630の詳細が、図6に示されている。トランスフォーマ630は、埋め込み層602からの出力データの各パートの重要度を差分重み付けするアテンションの機構を適用する、深層学習(DL)モデルとして説明可能である。最後のトランスフォーム630’(例えばトランスフォーマn,m)の出力はベクトルであり、その後、全結合線形層606、続いてソフトマックス層608を介して、単一値出力のアクションの予測アクションi622を生成する。
【0060】
本開示の実装によれば、アクションをとる対象として特定された各イベントについて少なくとも1つのアクションが決定される。一部の実装において、アクションは、イベントからの応答を引き起こすための取り組みの一環として実行される。例示のコンテキストにおいて、イベントは、リード(企業)であり、アクションは、リードに提案される製品/サービスである。例として、アクションに基づき行動する(例えば製品/サービスを購入する)かどうかを決定するよう、イベントに直接連絡が行われて、アクションが提案されることが可能である。別の例としてアクションは、1つ以上の電子通信チャネルを通してイベントに提案可能である。例として、イベントからの応答を引き起こすための取り組みの一環として、イベントに関連する主体が使用するユーザインターフェース(UI:user interface)にアクションに関する宣伝広告を表示可能である。
【0061】
図7は、本開示の実装において実行可能な例示のプロセス700を示す。一部の例において例示のプロセス700は、1つ以上のコンピューティングデバイスにより実行される1つ以上のコンピュータ実行可能プログラムを使用して提供される。
【0062】
ドメイン固有KGが提供される(702)。例として、本願明細書に記載されているように、1つ以上のドメイン固有KGが、図2のグラフモデリングエンジン216を通して提供され、ドメイン固有KGストア226に格納される。一部の例において、ドメイン固有KGは全体的に作成される。一部の例において、ドメイン固有KGは更新される(つまり、既存のドメイン固有KGが更新されてノードおよび/またはエッジが追加/除去される)。一部の例において、ドメイン固有KGは、ナレッジ抽出プロセスおよびナレッジ融合プロセスを通して提供される。
【0063】
目標が受信される(704)。例として、本願明細書に記載されているように、目標は、イベント生成ワークベンチ202を通して早期パターン検出プラットフォームに提供可能である。例としてユーザ120は、コンピューティングデバイス102を通してイベント生成ワークベンチと相互作用し、目標を入力することができる。商業のコンテキストの例において、例示の目標としては、SMBが特定の広告ネットワークを通してオンラインビデオゲームに配置する宣伝広告の数を増加させることを挙げることができるが、限定はされない。一部の例において目標は、イベント生成エンジン204に提供され、イベントの特定と、特定された各イベントについてのアクションの予測とをトリガする。
【0064】
問題固有KGが提供される(706)。例として、本願明細書に記載されているように、1つ以上の問題固有KGが、グラフエンリッチメントエンジン216を通して提供され、問題固有KGストア226に格納される。一部の例において問題固有KGは、問題固有ノードおよび関係と、各問題固有ノードに関しノードにより表現されるエンティティに関連性のある1つ以上のインスタンスとを用いて、ドメイン固有KGをエンリッチングすることにより作成される。
【0065】
イベントのセットが問題固有KGから決定される(708)。例として、本願明細書に記載されているように、イベント生成エンジン204は、問題固有KGを処理して、イベントのセット(例えば1つ以上のイベント)を特定する。一部の例では、イベントのセットは、問題固有KGの中の経路発見問題としての目標に基づき決定される。イベントのセット内の各イベントに関連性のあるデータが、ウェブセンシングを使用して抽出される(710)。例として、本願明細書に記載されているように、ウェブクローリングの機能性を実行し、AIを活用してイベントのセット内の各イベントを表すデータを取得するウェブセンシングモジュール208によって、データが提供される。
【0066】
イベントのセット内のイベントがスコアリングされる(712)。例として、本願明細書に記載されているように、イベントのセットおよび個別のイベントを表すデータがイベントスコアリングモジュール210に提供され、イベントスコアリングモジュール210は、各イベントのイベントスコアを提供する。より具体的には、イベントスコアリングモジュールは、複数のデータソースからのイベントに関連するデータに基づき、各イベントをスコアリングする。一部の例において、図5のMLモデル500は、各イベントについて、個別のイベントを表す疎な特徴セット502および密な特徴セット504を受信し、それぞれを処理して、個別のイベントのイベントスコア506を提供する。イベントのサブセットが、スコアに基づき特定される(714)。例として、本願明細書に記載されているように、イベントは個別のスコアに基づきランキングされ、閾値スコアを使用してイベントのサブセット(つまり、さらなる処理のために考慮されるべきイベント)を決定することができる。
【0067】
1つ以上のアクションが、イベントのサブセット内の各イベントについて予測される(716)。例として、本願明細書に記載されているように、イベントについてのアクションを決定するためにMLモデル600が使用され、MLモデル600は、個別のイベントに関連性のあるアクションシーケンス620を受信し、アクションシーケンス620を処理して、個別のイベントについてアクションシーケンス内の次のアクション622を予測する。本開示のコンテキストにおいて、次のアクション622とは、イベントに関して実行可能なアクションを表現する。アクションが実行される(718)。例として、本願明細書に記載されているように、アクションに基づき行動するかどうかを決定するよう、イベントに直接連絡が行われて、アクションが提案されることが可能であり、さらに/またはアクションは、1つ以上の電子通信チャネルを通してイベントに提案されることが可能である。
【0068】
本明細書に記載された実装およびすべての機能動作は、デジタル電子回路構成において、または本明細書で開示された構造およびその構造上の等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはそれらのうちの1つ以上の組み合わせにおいて実現され得る。実装は、1つ以上のコンピュータプログラム製品(つまりデータ処理装置により実行されまたはデータ処理装置の動作を制御するようコンピュータ可読媒体上にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュール)として実現されてもよい。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号をもたらす物質の構成、またはそれらのうちの1つ以上の組み合わせとされてもよい。「コンピューティングシステム」という用語は、データを処理するすべての装置、デバイス、および機械を含み、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む。装置は、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプログラム(例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つ以上の任意の適切な組み合わせを構成するコード)の実行環境を作り出すコードを含んでもよい。伝播信号とは、適切な受信機装置に送信される情報をエンコーディングするために生成される人工的に生成された信号(例えば機械生成された電気信号、光信号、または電磁信号)である。
【0069】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイル型またはインタープリタ型言語を含む任意の適切な形態のプログラミング言語で書かれてもよく、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてを含め、任意の適切な形態で展開されてもよい。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応するとは限らない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保有するファイルの一部(例えば、マークアップ言語ドキュメントに格納される1つ以上のスクリプト)、対象のプログラム専用の単一ファイル、または複数の連携ファイル(例えば1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの各部分を格納する複数ファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つの場所に位置するかもしくは複数の場所に分散され通信ネットワークにより相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるよう展開されてもよい。
【0070】
本明細書に記載されたプロセスおよび論理フローは、入力データに作用し出力を生成することにより機能を実行する1つ以上のコンピュータプログラムを実行する、1つ以上のプログラマブルプロセッサにより実行されてもよい。プロセスおよび論理フローは、専用論理回路構成(例えばFPGA(field programmable gate array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路))によっても実行でき、装置は専用論理回路構成としても実装できる。
【0071】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用両方のマイクロプロセッサと、任意の適切な種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサとを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたは両方から、命令およびデータを受信する。コンピュータの構成要素は、命令を実行するプロセッサと、命令およびデータを格納する1つ以上のメモリデバイスとを含むことができる。一般に、コンピュータはさらに、データを格納する1つ以上の大容量ストレージデバイス(例えば磁気、光磁気ディスク、または光ディスク)を含むか、またはそれからデータを受信するよう、もしくはそれにデータを転送するよう動作可能に結合されるか、またはその両方である。なお、コンピュータはそのようなデバイスを有しなくてもよい。さらにコンピュータは、別のデバイス(例えばモバイル電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオプレーヤ、グローバルポジショニングシステム(GPS:Global Positioning System)受信機)に組み込まれてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体は、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含み、例としては半導体メモリデバイス(例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、ならびにCD ROMおよびDVD-ROMディスクが挙げられる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路構成により補完されてもよく、またはそれに組み込まれてもよい。
【0072】
ユーザとの相互作用を提供するために、情報をユーザに表示するディスプレイデバイス(例えばCRT(cathode ray tube:陰極線管)、LCD(liquid crystal display:液晶ディスプレイ)モニタ)ならびにユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボードおよびポインティングデバイス(例えばマウス、トラックボール、タッチパッド)を有するコンピュータ上で、各実装が実現されてもよい。他の種類のデバイスが、同じくユーザとの相互作用を提供するために使用されてもよい。例として、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の適切な形態の感覚フィードバック(例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、触覚フィードバック)であってもよく、ユーザからの入力は、音響、発話、または触覚入力を含め、任意の適切な形態で受信されてもよい。
【0073】
実装は、バックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えばデータサーバとして)、ミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えばアプリケーションサーバ)、および/もしくはフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えばユーザが実装と相互作用するのに用いることができるグラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、またはそのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、もしくはフロントエンドコンポーネント1つ以上の任意の適切な組み合わせにおいて実現されてもよい。システムのコンポーネントは、任意の適切な形態または媒体のデジタルデータ通信(例えば通信ネットワーク)により相互接続されてもよい。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、および例えばインターネットなどのワイドエリアネットワーク(「WAN」)を含む。
【0074】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含んでもよい。クライアントおよびサーバは、一般に、互いに遠隔にあり、典型的には通信ネットワークを通して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、個別のコンピュータ上で実行され相互にクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムにより生じる。
【0075】
本明細書は多数の詳述を含むが、これらは、本開示の範囲または特許請求の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実装に特有の特徴の記載として解釈されるべきである。別々の実装のコンテキストにおいて本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実装に組み合わせても実装可能である。逆に、単一の実装のコンテキストにおいて記載されている様々な特徴は、複数の実装において別々に、または任意の適切な一部組み合わせにおいて実装されることも可能である。さらに、各特徴は、特定の組み合わせで動作するよう上述されていることもあり、当初そのように請求されていることもあるが、一部の事例では、請求されている組み合わせの特徴1つ以上が、その組み合わせから削除されることが可能であり、請求されている組み合わせは、一部組み合わせまたは一部組み合わせの変形物を対象とし得る。
【0076】
同じく、各動作は図面内に特定の順序で示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、当該の動作が示されている特定の順序もしくは順番で実行されること、または示されているすべての動作が実行されることを要求するものと理解されてはならない。特定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利なこともある。さらに、上述の実装における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実装においてそのような分離を要求するものと理解されてはならず、当然のことながら、記載されているプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合されても、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよい。
【0077】
いくつかの実装が記載された。しかし、当然のことながら、本開示の意図および範囲から逸脱することなく、様々な変更が加えられ得る。例として、ステップが並べ替え、追加、または除去された、上記で示されたフローの様々な形態が使用されてもよい。よって、他の実装は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】