(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146920
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータの可視化
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20220928BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20220928BHJP
A61B 5/339 20210101ALI20220928BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20220928BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20220928BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B18/12
A61B5/339
G06F3/04842
A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022043546
(22)【出願日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】17/208,762
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】アハロン・ツルゲマン
(72)【発明者】
【氏名】ナタン・シャロン・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ザール
(72)【発明者】
【氏名】ヤイル・パルティ
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
5E555
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127GG05
4C127GG13
4C127HH13
4C160KK03
4C160KL07
4C160MM38
5E555AA26
5E555BA22
5E555BB22
5E555BC17
5E555DB03
5E555DB53
5E555DB55
5E555DC09
5E555DC35
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータの可視化を改善するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】あるシステムが、プロセッサと、ディスプレイとを含む。プロセッサは、(i)患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することと、(ii)第1の視覚的属性を第1の特性に割り当て、第2の視覚的属性を第2の特性に割り当てることと、(iii)第1の視覚的属性及び第2の視覚的属性のオーバーレイを含む器官のマップを生成することと、を行うように構成されている。ディスプレイは、マップを表示するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータを可視化するためのシステムであって、
プロセッサであって、(i)患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び前記器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することと、(ii)第1の視覚的属性を前記第1の特性に割り当て、第2の視覚的属性を前記第2の特性に割り当てることと、(iii)前記第1の視覚的属性及び前記第2の視覚的属性のオーバーレイを含む前記器官のマップを生成することと、を行うように構成されている、プロセッサと、
前記マップを表示するように構成されているディスプレイと、を備える、システム。
【請求項2】
前記第1のデータセットは、前記第1の特性の第1の測定値を含み、前記第2のデータセットは、前記第2の特性の第2の測定値を含み、前記第1の視覚的属性は、複数のカラーを含むカラーグループを含み、前記第2の視覚的属性は、複数のテクスチャタイプを含むテクスチャグループを含み、前記プロセッサは、前記第1の測定値を前記カラーグループのそれぞれのカラーにマッピングし、前記第2の測定値を前記テクスチャグループのそれぞれのテクスチャにマッピングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マップは、前記器官の表面上の複数のセクションを含み、前記複数のセクションの各々は、前記第1の測定値及び前記第2の測定値のうちの少なくとも1つを含み、前記プロセッサは、前記複数のセクションの各々において、(a)前記第1の測定値及び前記第2の測定値についてチェックすることと、(b)前記マップに、(i)前記第1の測定値に対応する前記それぞれのカラーのうちの、あるカラー、及び(ii)前記第2の測定値に対応する前記テクスチャのうちの、あるテクスチャ、のうちの少なくとも一方を割り当てることと、を行うように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記器官は心臓を含み、前記第1の特性及び前記第2の特性は、電圧、局所活性化時間(LAT)、心房細動のサイクル長(CL)、及び前記CLの標準偏差(STD)からなる特性のリストから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータを可視化するための方法であって、
患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び前記器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することと、
第1の視覚的属性を前記第1の特性に割り当て、第2の視覚的属性を前記第2の特性に割り当てることと、
前記第1の視覚的属性及び前記第2の視覚的属性のオーバーレイを含む前記器官のマップを生成することと、
前記マップを表示することと、を含む、方法。
【請求項6】
前記第1のデータセットを受信することは、前記第1の特性の第1の測定値を受信することを含み、前記第2のデータセットを受信することは、前記第2の特性の第2の測定値を受信することを含み、(i)前記第1の視覚的属性を割り当てることは、複数のカラーを含むカラーグループを割り当て、前記第1の測定値を前記カラーグループのそれぞれのカラーにマッピングすることを含み、(ii)前記第2の視覚的属性を割り当てることは、複数のテクスチャタイプを含むテクスチャグループを割り当て、前記第2の測定値を前記テクスチャグループのそれぞれのテクスチャにマッピングすることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マップは、前記器官の表面上の複数のセクションを含み、前記複数のセクションの各々は、前記第1の測定値及び前記第2の測定値のうちの少なくとも1つを含み、前記第1の視覚的属性及び前記第2の視覚的属性を割り当てることは、前記複数のセクションの各々において、(a)前記第1の測定値及び前記第2の測定値についてチェックすることと、(b)前記マップに、(i)前記第1の測定値に対応する前記それぞれのカラーのうちの、あるカラー、及び(ii)前記第2の測定値に対応する前記テクスチャのうちの、あるテクスチャ、のうちの少なくとも一方を割り当てることと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記器官は心臓を含み、前記第1の特性及び前記第2の特性は、電圧、局所活性化時間(LAT)、心房細動のサイクル長(CL)、及び前記CLの標準偏差(STD)からなる特性のリストから選択される、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には医療処置に関するものであり、具体的には解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータの可視化を改善するための方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
解剖学的マップ上で情報を可視化するための様々な技術が公開されている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2019/0099098号には、心臓マップを提示するように構成された表示デバイスと、処理ユニットとを含むシステムが記載されている。この処理ユニットは、電気信号を受信し、心臓マップを生成し、心臓マップの表示を容易にするように構成され、各電気信号はマップ位置に対応する。処理ユニットはまた、心臓マップのうちの選択された部分のユーザ選択を受信するように構成され、選択された部分はマップ位置のセットを含み、マップ位置のセットの各々は、受信された電気信号のサブセットである信号のセットの電気信号に対応する。マップ位置のセットは第1の空間配置を有し、処理ユニットは、電気信号表現のセットの表示を容易にするように構成され、各表現は電気信号のセットのうちの1つに対応し、電気信号表現のセットは、第1の空間配置に対応する第2の空間配置を有する。
【0004】
米国特許出願公開第2017/0202469号には、表示画面上に心臓情報のグラフィック表現を生成する方法が記載されている。この方法は、複数の心臓位置を含む心臓の解剖学的モデルを電子的に作成又は取得することと、複数の心臓位置における心臓活動に対応するソース情報のデータセットを電子的に決定することと、表示画面上に複数の心臓位置に関連するソース情報のデータセットを電子的にレンダリングすることと、を含む。
【0005】
米国特許第10,470,682号には、電子制御ユニットを含んだ電気生理学的データを決定するためのシステムが記載されている。この電子制御ユニットは、1つ以上のカテーテルの複数の電極から電気生理学信号を取得し、複数の局所的な電場データ点を決定するために、複数の電極から電極の少なくとも1つのクリークを選択し、複数の電極の位置及び配向を決定し、少なくとも1つのクリークからの電気生理学信号を、双極子サブクリークの全セットから処理して、電極の少なくとも1つのクリークに関連付けられた局所的な電場データ点を導出し、電極の少なくとも1つのクリークからの少なくとも1つの配向独立信号を、電位図信号の加重された部分に対応する情報コンテンツから導出し、カテーテル配向独立電気生理学情報をユーザ又はプロセスに表示又は出力するように構成されている。
【0006】
米国特許出願公開第2013/0151275号には、地理的条件に従って配置されたアイコンの形態で、種々の地理的位置において利用可能な臨床能力を試験計画者が可視化することを可能にするシステム及び方法が記載されている。特定の態様では、本発明は、複数の地理的領域における研究能力を示すアイコンを含んだ表示を提供する。各アイコンは、地理的領域に位置する複数の研究所の総合的な容量を示す態様を有する。当該容量は、利用可能な患者集団、臨床能力、又は局所的な環境に関連し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、プロセッサとディスプレイとを含むシステムを提供する。プロセッサは、(i)患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することと、(ii)第1の視覚的属性を第1の特性に割り当て、第2の視覚的属性を第2の特性に割り当てることと、(iii)第1の視覚的属性及び第2の視覚的属性のオーバーレイを含む器官のマップを生成することと、を行うように構成されている。ディスプレイは、マップを表示するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1のデータセットは、第1の特性の第1の測定値を含み、第2のデータセットは、第2の特性の第2の測定値を含み、第1の視覚的属性は、複数のカラーを含むカラーグループを含み、第2の視覚的属性は、複数のテクスチャタイプを含むテクスチャグループを含み、プロセッサは、第1の測定値をカラーグループのそれぞれのカラーにマッピングし、第2の測定値をテクスチャグループのそれぞれのテクスチャにマッピングするように構成されている。いくつかの実施形態では、マップは、器官の表面上の複数のセクションを含み、複数のセクションの各々は、第1の測定値及び第2の測定値のうちの少なくとも1つを含み、プロセッサは、複数のセクションの各々において、(a)第1の測定値及び第2の測定値についてチェックすることと、(b)マップに、(i)第1の測定値に対応するそれぞれのカラーのうちの、あるカラー、及び(ii)第2の測定値に対応するテクスチャのうちの、あるテクスチャ、のうちの少なくとも一方を割り当てることと、を行うように構成されている。更に他の実施形態では、器官は心臓を含み、第1の特性及び第2の特性は、電圧、局所活性化時間(LAT)、心房細動のサイクル長(CL)、及びCLの標準偏差(STD)からなる特性のリストから選択される。
【0009】
本発明の実施形態によれば、患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することを含む方法が更に提供される。第1の視覚的属性は第1の特性に割り当てられ、第2の視覚的属性は第2の特性に割り当てられる。第1の視覚的属性及び第2の視覚的属性のオーバーレイを含む器官のマップが生成及び表示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による、それぞれのパラメータを示し、患者心臓のマップ上にオーバーレイされた複数の仮想属性の概略描写図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、心臓マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータを提示するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概論
心臓アブレーションなどの低侵襲医療処置の間、医師は、医師がアブレーションを実施するのに役立ち得る表示パラメータと共に、患者の心臓の解剖学的マップを使用し得る。
【0012】
いくつかの処置は、解剖学的マップ全体にわたって複数のパラメータを表示することを必要とする。原則として、いくつかの解剖学的マップが表示され得、異なるパラメータが各マップの上に表示され得る。しかしながら、この方法は、医師が処置中にマップ間で切り替えることを必要とし、その結果、処置を実行する際にエラーが発生する可能性がある。例えば、医師が心臓の不正確な位置における特定のパラメータ(パラメータの群の中でも)の値を仮定するときに、エラーが発生する可能性がある。
【0013】
以下に記載される本発明の例示的な実施形態は、1つの解剖学的マップ上にオーバーレイされる複数のパラメータを提示するための改善された技術を提供する。そのような提示は、解剖学的マップの領域の全体にわたる異なる領域において、すべての必要なパラメータの数値の指標を医師に提供することになる。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態では、心臓アブレーションシステムは、心臓の複数のそれぞれの特性に対応する複数のデータセットを受信するように構成されたプロセッサを備える。各データセットは、心臓のそれぞれのセクションに関連付けられた心臓の複数のセクションで取得された測定値などの複数のデータポイントを含む。各セクションは、心臓の解剖学的マップの表面上の異なる領域に対応する。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、解剖学的マップ上にオーバーレイされる、測定値及び/又は他のパラメータを示す視覚的属性を含んだマップを生成するように構成されている。プロセッサは、システムのディスプレイ上に、解剖学的マップ上にオーバーレイされる視覚的属性を表示するように更に構成されている。
【0016】
いくつかの例示的な実施形態では、データセットは、心臓の様々なセクションで取得された様々な心臓パラメータの測定値及び/又は計算値を含み得る。例えば、心臓パラメータは、心房細動における局所活性化時間(LAT)、ピーク間電圧、サイクル長(CL)、及びサイクル長の標準偏差(STD)を含み得る。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態では、データセットは、システム(例えば、医師)のユーザによって定義されたパラメータに基づいて、心臓内心電図(IC-ECG)における複雑性分裂心房電位(CFAE)の検出を可能にする1つ以上のアルゴリズムの出力を含み得る。例えば、(i)IC-ECG信号における2つの連続するCFAEの間の最短間隔の値を計算するための最短コンプレックス間隔(SCI)が、また、(ii)IC-ECG信号が2つ以上の隣接するCFAEコンプレックスを含む場合は間隔信頼度レベル(ICL)が、CFAE間隔の数を提供する。追加的に、あるいは代替的に、経時的(ms)に電圧(mV)で測定される心房細動のリップル頻度において、データセットは、(i)検出されたピークの数、及び(ii)事前定義された閾値よりも高い電圧を有する信号のパーセンテージを含み得る。
【0018】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、解剖学的マップと、解剖学的マップ上にオーバーレイされるそれぞれのパラメータの2つ以上の視覚的属性と、を含むマップを生成するように構成されている。プロセッサは、心臓アブレーションシステムのディスプレイ上にマップを表示するように更に構成されている。例えば、医師は、上述の一対のパラメータ(例えば、LAT及びピーク間電圧、又はCL及びCLのSTD、又はSCI及びICL)を選択することができ、プロセッサは、選択されたパラメータの各々に視覚的属性を割り当て、心臓の解剖学的マップ上にその視覚的属性を表示する。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、ディスプレイからパラメータのうちの少なくとも1つを交換又は除去するように、また、心臓の解剖学的マップ上に、あるいは問題の任意の他の器官の任意の他のタイプのマップ上に表示されるパラメータの任意の好適な組み合わせを選択するように構成されている。
【0020】
開示された技術は、解剖学的マップ上にオーバーレイされるパラメータの任意の選択されたセットを提示する能力を医師に提供し、したがって、(i)心臓アブレーション処置又は問題の器官のマップ上で複数のパラメータを表示することを必要とする任意の他の医療処置の質を改善し、(ii)そのような処置のサイクル時間を短縮するのに役立つ。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステム20の概略描画図である。
【0022】
いくつかの実施形態では、システム20は、本例では心臓カテーテルであるカテーテル22と、制御コンソール24と、を備える。本明細書に記載されている例示的な実施形態では、カテーテル22は、心臓26内の組織のアブレーションなどの任意の好適な治療目的及び/又は診断目的で使用され得る。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態では、コンソール24は、カテーテル22を介して信号を受信するのに好適であり、かつ本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するのに好適である、フロントエンド回路及びインターフェース回路38を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ41を含む。コンソール24は、プロセッサ41から心臓26のマップ27を受信するように、またマップ27を表示するように構成されたユーザディスプレイ35を更に備える。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態では、マップ27は、任意の好適な技術を使用して生成された任意の好適なタイプの解剖学的マップを含み得る。例えば、解剖学的マップは、適切な医療用撮像システムを使用することによって生成された解剖学的画像を使用して、あるいはBiosenseWebsterInc.(Irvine,Calif.)によって生産されたCARTO(商標)システムを使用して高速解剖学的マッピング(FAM)技術を用いて、あるいは任意の他の好適な技術を用いて、あるいは上記の任意の好適な組み合わせを用いて生成され得る。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ41は、心臓26の複数のそれぞれの特性に対応する複数のデータセットを受信するように構成されている。各データセットは、心臓26の複数のセクションにおいて取得された測定値又は心臓26のそれぞれのセクションに関連付けられる他の種類のパラメータなど、複数のデータポイントを含む。各セクションは、マップ27の表面上の異なる領域に対応する。
【0026】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ41は、マップ27上にオーバーレイされる、測定値及び/又は他のパラメータを示す視覚的属性(VA)を含んだマップ27を生成するように構成されている。プロセッサ41は、例えば、以下の
図2に詳細に示され、表されるように、マップ27上にオーバーレイされるVAをディスプレイ35上に表示するように更に構成されている。
【0027】
心臓組織のアブレーションなどのいくつかの例示的な実施形態では、医師30は、処置を事前にかつ/又はアブレーション処置中に計画するために、マップの上にオーバーレイされたVAを有するマップ27を使用し得る。
【0028】
ここで、挿入
図23を参照する。いくつかの例示的な実施形態では、アブレーション処置を実施するとき、医師30は、テーブル29に横臥する患者28の脈管系を通して、カテーテル22を挿入する。カテーテル22は、その遠位端に装着された1つ又は2つ以上のアブレーション電極40を含む。電極40は、心臓26の標的位置において組織をアブレーションするように構成されている。医師30は、カテーテル22を操作するためのマニピュレータ32を使用することによって、心臓26内の標的位置に近接して遠位端をナビゲートする。
【0029】
他の例示的な実施形態では、カテーテル22は、心臓26の組織内で電気生理学的(EP)信号を感知したことに応答して、感知されたEP信号を示す信号を生成するように構成された感知電極(図示せず)を備え得る。そのような実施形態では、カテーテル22の近位端は、これらの信号をプロセッサ41に伝送するために、とりわけ、インターフェース回路38に接続される。
【0030】
いくつかの例示的な実施形態において、心臓腔内の遠位端の位置は、磁気位置追跡システムの位置センサー(図示せず)を使用して測定される。本例では、コンソール24は駆動回路34を備え、この駆動回路34は、テーブル29に横臥する患者28の体外の既知の位置、例えば患者の胴体の下に配置された磁場発生器36を駆動するように構成されている。位置センサは、遠位端に結合されており、磁場発生器36からの感知された外部磁場に応答して位置信号を生成するように構成されている。位置信号は、位置追跡システムの座標系におけるカテーテル22の遠位端の位置を示す。
【0031】
この位置感知の方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれている。
【0032】
いくつかの例示的な実施形態では、位置追跡システムの座標系は、システム20及びマップ27の座標系と位置合わせされ、その結果、プロセッサ41は、マップ27上にカテーテル22の遠位端の位置を表示するように構成されている。
【0033】
いくつかの例示的な実施形態において、プロセッサ41は、典型的には、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされた汎用コンピュータを含む。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0034】
システム20のこの特定の構成は、本発明の例示的な実施形態が対処する特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を明示するために、例として示されている。しかしながら、本発明の例示的な実施形態は、この特定の種類の例示的なシステムに限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、他の種類の医療システムにも、同様に適用され得る。
【0035】
解剖学的マップ上にオーバーレイされる仮想属性
図2は、本発明の例示的な実施形態による、それぞれのパラメータを示し、心臓26のマップ27上にオーバーレイされた複数の仮想属性の概略描写図である。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ41は、心臓26の異なるセクションで測定された2つのパラメータに対応する2つのデータセットを受信する。本例では、第1のパラメータは局所活性化時間(LAT)に対応し、第2のパラメータは電圧に対応する。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、電圧という用語は、心臓26の組織内で測定されたピーク間電圧、又は心臓26の任意の組織若しくは患者28の任意の他の器官の組織内で測定された任意の他の電圧であり得る。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ41は、(i)第1の視覚的属性(VA)55をLAT測定値に割り当て、(ii)第2のVA66を電圧測定値に割り当てるように構成されている。
【0038】
本実施例では、VA55は、複数のカラー及びカラー勾配を有するカラースケールで配置されたカラーグループを含み、各カラーは、事前定義された基準LATに対するLATの対応する範囲を示す。例えば、カラー52(例えば、赤色勾配)は約-50ms~-10msのLATを示し、カラー54(例えば、黄色勾配)は約10ms~50msのLATを示し、カラー56(例えば、緑色勾配)は約50ms~90msのLATを示し、カラー58(例えば、青色勾配)は約90ms~130msのLATを示す。LATの負の値(例えば、赤色勾配の約-50ms~-10ms)は、前述の事前定義された基準LATに対して測定されることに留意されたい。
【0039】
いくつかの例示的な実施形態では、VA66は、複数のタイプのテクスチャを有するテクスチャスケールを含み、各テクスチャは、対応する電圧範囲を示す。本例では、VA66は、(i)波の形状を有し、低電圧(例えば、約0.05mV~0.5mV)を示すテクスチャ60、(ii)「X」形状のアレイを有し、中電圧(例えば、約0.5mV~1.5mV)を示すテクスチャ62、及び(iii)ブランクであり(すなわち、パターンを有さない)、高電圧(例えば、約1.5mm mV)を示すテクスチャ64を含む。本出願においてカラーを表すために、グレースケール、陰影、及び/又は陰影が利用される。
【0040】
本開示の文脈において及び特許請求の範囲において、任意の数値又は数値の範囲について用いられる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態では、データセット並びに割り当てられたVA55及び66に基づいて、プロセッサ41は、マップ27の各セクションごとにVA55及び66のオーバーレイを含むマップ27を生成するように、またディスプレイ35上にマップを表示するように構成されている。例えば、(i)セクション「A」は、カラー54及びテクスチャ64を有し、(ii)セクション「B」は、カラー52及びテクスチャ62を有し、(iii)セクション「C」は、カラー52及びテクスチャ64を有し、(iv)心臓26の小孔50に近接して位置付けられたセクション「D」は、カラー56及びテクスチャ60を有する。
【0042】
いくつかの例示的な実施形態では、オーバーレイされたLAT及び電圧を有するマップ27は、心臓26の各セクションにおける2つ以上のパラメータを示す提示を医師30に提供する。例えば、セクション「B」とセクション「C」は近接しており、同様のLATを有するが、異なる電圧を有し、低電圧を有するセクション「D」は、中電圧と主要な高電圧を有するセクションで囲まれている。
【0043】
原則として、各々が心臓26のマップ上にオーバーレイされる1つのパラメータを有する複数のマップを生成することが可能であるが、しかしながら、そのような提示では、心臓26の関心のあるセクションにおいて、2つ以上のパラメータの提示された組み合わせを医師に提供することができない。
【0044】
他の例示的な実施形態では、プロセッサ41は、例えば、各タイプのパラメータに対して異なるパターンのセット及び/又は数及び/又は任意の他の適切な通知を使用して、3つ以上のパラメータを有するマップ27を生成するように構成されている。
【0045】
それに代わる例示的な実施形態では、LAT及び電圧の代わりに、あるいはそれに加えて、プロセッサ41は、限定するものではないが、心房細動のサイクル長及び前述のサイクル長の標準偏差などの他のパラメータを示す他の視覚的属性を有するマップ27を生成するように構成される。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、データセットは、医師30によって定義されたパラメータに基づいて、心臓内心電図(IC-ECG)における複雑性分裂心房電位(CFAE)の検出を可能にする1つ以上のアルゴリズムの出力を含み得る。例えば、(i)IC-ECG信号における2つの連続するCFAEの間の最短間隔の値を計算するための最短コンプレックス間隔(SCI)が、また、(ii)IC-ECG信号が2つ以上の隣接するCFAEコンプレックスを含む場合は、間隔信頼度レベル(ICL)が、CFAE間隔の数を提供する。追加的に、あるいは代替的に、経時的(ms)に電圧(mV)で測定される心房細動のリップル頻度において、データセットは、(i)検出されたピークの数、及び(ii)事前定義された閾値よりも高い電圧を有する信号のパーセンテージを含み得る。
【0047】
視覚的属性、例えば、
図2に示されかつ/又は上述されたカラー及び/又はテクスチャのこの特定のセットは、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するために、またそのようなシステムの性能を向上させる上でこれらの実施形態が適用されることを実証するために、例として示されている。本発明の実施形態は、しかしながら、この特定の種類の例示的なパラメータ及び/又は視覚的属性に限定されるものではなく、また、本明細書に記載される原理は、任意の他の好適なパラメータ及び/又は視覚的属性を有する他の種類のマップにも同様に適用され得る。
【0048】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、マップ27上にオーバーレイされる複数のパラメータを提示するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【0049】
この方法は、患者28の心臓26又は任意の他の器官の第1の特性及び第2の特性に対応する第1のデータセット及び第2のデータセットを受信するように構成されたプロセッサ41(又は任意の他の適切なデバイス)を用いて、データセット受信ステップ100において開始し、本例では、パラメータは、上記の
図1及び
図2に詳細に記載されたように、心臓26内で取得された測定値を含み得る。
【0050】
視覚属性割り当てステップ102において、プロセッサ41(又は任意の他の適切なデバイス)は、上記の
図2に詳細に記載されたVA55及び66などの第1の視覚的属性及び第2の視覚的属性をそれぞれ第1の特性及び第2の特性(例えば、LAT及び電圧)に割り当てる。
【0051】
マップ生成ステップ104において、プロセッサ41(又は任意の他の適切なデバイス)は、心臓26又は上述のような任意の他の器官のマップ27を生成する。いくつかの例示的な実施形態では、マップ27は、解剖学的マップ上にオーバーレイされたVA55及び66を有する心臓26(任意の好適な技術を使用して取得された)の解剖学的マップを含む。
【0052】
本方法の最後となるマップ表示ステップ106において、プロセッサ41(又は任意の他の適切なデバイス)は、限定するものではないが、上記の
図2に詳細に記載されたようにディスプレイ35などの任意の好適な出力デバイス上にマップ27を表示する。
【0053】
本明細書に記載された例示的な実施形態は、主に心臓の解剖学的マップ上に心房細動(AF)パラメータを提示することに対処するものであるが、本明細書に記載の方法及びシステムは、サイクル長(CL)の標準偏差(STD)と共にAF中の通常のCLを表示する際など、AFの他のパラメータにも使用され得るものであり、CLの最小値及びCLのSTDを有するセクションは、アブレーションされることが意図されている。更に、本明細書に記載の方法及びシステムはまた、心室細動の複数のパラメータ、又は問題の任意の器官の任意の解剖学的マップ上に提示される任意の他の2つ以上のパラメータを、解剖学的マップの上に提示する際など、他の用途にも用いられ得る。
【0054】
したがって、上に述べた例示的な実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータを可視化するためのシステムであって、
プロセッサであって、(i)患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び前記器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することと、(ii)第1の視覚的属性を前記第1の特性に割り当て、第2の視覚的属性を前記第2の特性に割り当てることと、(iii)前記第1の視覚的属性及び前記第2の視覚的属性のオーバーレイを含む前記器官のマップを生成することと、を行うように構成されている、プロセッサと、
前記マップを表示するように構成されているディスプレイと、を備える、システム。
(2) 前記第1のデータセットは、前記第1の特性の第1の測定値を含み、前記第2のデータセットは、前記第2の特性の第2の測定値を含み、前記第1の視覚的属性は、複数のカラーを含むカラーグループを含み、前記第2の視覚的属性は、複数のテクスチャタイプを含むテクスチャグループを含み、前記プロセッサは、前記第1の測定値を前記カラーグループのそれぞれのカラーにマッピングし、前記第2の測定値を前記テクスチャグループのそれぞれのテクスチャにマッピングするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記マップは、前記器官の表面上の複数のセクションを含み、前記複数のセクションの各々は、前記第1の測定値及び前記第2の測定値のうちの少なくとも1つを含み、前記プロセッサは、前記複数のセクションの各々において、(a)前記第1の測定値及び前記第2の測定値についてチェックすることと、(b)前記マップに、(i)前記第1の測定値に対応する前記それぞれのカラーのうちの、あるカラー、及び(ii)前記第2の測定値に対応する前記テクスチャのうちの、あるテクスチャ、のうちの少なくとも一方を割り当てることと、を行うように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記器官は心臓を含み、前記第1の特性及び前記第2の特性は、電圧、局所活性化時間(LAT)、心房細動のサイクル長(CL)、及び前記CLの標準偏差(STD)からなる特性のリストから選択される、実施態様1に記載のシステム。
(5) 解剖学的マップ上にオーバーレイされた複数のパラメータを可視化するための方法であって、
患者の器官の第1の特性に対応する第1のデータセット、及び前記器官の第2の特性に対応する第2のデータセットを受信することと、
第1の視覚的属性を前記第1の特性に割り当て、第2の視覚的属性を前記第2の特性に割り当てることと、
前記第1の視覚的属性及び前記第2の視覚的属性のオーバーレイを含む前記器官のマップを生成することと、
前記マップを表示することと、を含む、方法。
【0056】
(6) 前記第1のデータセットを受信することは、前記第1の特性の第1の測定値を受信することを含み、前記第2のデータセットを受信することは、前記第2の特性の第2の測定値を受信することを含み、(i)前記第1の視覚的属性を割り当てることは、複数のカラーを含むカラーグループを割り当て、前記第1の測定値を前記カラーグループのそれぞれのカラーにマッピングすることを含み、(ii)前記第2の視覚的属性を割り当てることは、複数のテクスチャタイプを含むテクスチャグループを割り当て、前記第2の測定値を前記テクスチャグループのそれぞれのテクスチャにマッピングすることを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記マップは、前記器官の表面上の複数のセクションを含み、前記複数のセクションの各々は、前記第1の測定値及び前記第2の測定値のうちの少なくとも1つを含み、前記第1の視覚的属性及び前記第2の視覚的属性を割り当てることは、前記複数のセクションの各々において、(a)前記第1の測定値及び前記第2の測定値についてチェックすることと、(b)前記マップに、(i)前記第1の測定値に対応する前記それぞれのカラーのうちの、あるカラー、及び(ii)前記第2の測定値に対応する前記テクスチャのうちの、あるテクスチャ、のうちの少なくとも一方を割り当てることと、を含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記器官は心臓を含み、前記第1の特性及び前記第2の特性は、電圧、局所活性化時間(LAT)、心房細動のサイクル長(CL)、及び前記CLの標準偏差(STD)からなる特性のリストから選択される、実施態様5に記載の方法。
【外国語明細書】