(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146929
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法及びホログラフィックディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G03H 1/04 20060101AFI20220928BHJP
G03H 1/22 20060101ALI20220928BHJP
G11B 7/0065 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G03H1/04
G03H1/22
G11B7/0065
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044068
(22)【出願日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0036806
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】513246872
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】文 錫壹
(72)【発明者】
【氏名】柳 東憲
(72)【発明者】
【氏名】南 勝祐
(72)【発明者】
【氏名】李 竝浩
(72)【発明者】
【氏名】李 彰健
(72)【発明者】
【氏名】李 泓錫
【テーマコード(参考)】
2K008
5D090
【Fターム(参考)】
2K008AA09
2K008BB00
2K008CC00
2K008EE01
2K008HH01
2K008HH25
5D090BB16
(57)【要約】
【課題】ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法及びホログラフィックディスプレイシステムを提供する。
【解決手段】ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法及びホログラフィックディスプレイシステムに係り、該ホログラフィックディスプレイシステムは、ホログラフィックディスプレイ装置及びホログラム生成装置を含み、該ホログラム生成装置は、ホログラムプレーンセグメントそれぞれに対応する収差をそれぞれモデリングすることにより、生成されたカーネルを利用し、ホログラムセグメントを伝播することにより、収差を補償し、ホログラムを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラムを生成するための方法において、
ホログラムプレーンのホログラムプレーンセグメントに対応する収差をモデリングすることにより、カーネルを生成する段階と、
前記ホログラムプレーンの前記ホログラムプレーンセグメントに対応するマスクを生成する段階と、
前記マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得する段階と、
前記カーネルを利用し、前記ホログラムセグメントを伝播することにより、第1イメージセグメントを獲得する段階と、
前記第1イメージセグメントと第2イメージセグメントとの比較に基づき、前記ホログラムをアップデートする段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記カーネルを生成する段階は、
前記ホログラムプレーンセグメントに対応する前記収差をゼルニケ多項式を利用し、モデリングする段階と、
前記ゼルニケ多項式それぞれに基づき、前記カーネルをそれぞれ生成する段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホログラムプレーンセグメントに対応する前記収差をそれぞれの前記ゼルニケ多項式を利用し、モデリングする段階は、
前記ホログラムプレーンセグメントのうち隣接するホログラムプレーンセグメントについてモデリングされたゼルニケ係数を補間することにより、前記ホログラムプレーンセグメントのうち少なくとも1つのホログラムプレーンセグメントに係わるゼルニケ係数を決定する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カーネルを生成する段階は、
前記ホログラムプレーンセグメントのうち少なくともいずれか1つのホログラムプレーンセグメントを分割することにより、分割されたホログラムプレーンセグメントを生成する段階と、
前記分割されたホログラムプレーンセグメントに基づき、前記カーネルを生成する段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カーネルを生成する段階は、
前記ホログラムプレーンセグメントのうち少なくともいずれか2つのホログラムプレーンセグメントを併合することにより、併合されたホログラムプレーンセグメントを生成する段階と、
前記カーネルのうち、前記併合されたホログラムプレーンセグメントに基づき、カーネルを生成する段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マスクを生成する段階は、
それぞれのホログラムプレーンセグメントに対応する通過領域、及び残り領域である遮断領域を含むように構成された少なくとも1つのマスクを生成する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マスクを生成する段階は、
前記通過領域のエッジ領域のピクセル値と、前記通過領域の中心領域のピクセル値とが互いに異なるように構成された少なくとも1つのマスクを生成する段階をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マスクを生成する段階は、
前記遮断領域と接する前記通過領域の第1エッジ領域は、前記通過領域の中心領域とピクセル値が異なるように構成され、前記遮断領域と接しない前記通過領域の第2エッジ領域は、前記通過領域の前記中心領域とピクセル値が同じになるように構成された少なくとも1つのマスクを生成する段階をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1イメージセグメントを獲得する段階は、
前記ホログラムセグメントを並列に伝播することにより、前記第1イメージセグメントを獲得する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ホログラムをアップデートする段階は、
前記第1イメージセグメントの強度と、前記第2イメージセグメントの強度との差に基づき、損失関数を決定する段階と、
前記損失関数を最適化させるように、前記ホログラムをアップデートする段階と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ホログラムプレーンセグメントは、前記ホログラムプレーンの空間的セグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2イメージセグメントは、ストレージから獲得されたレファレンスイメージセグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ホログラムを生成するための方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体において、
前記方法は、
ホログラムプレーンのホログラムプレーンセグメントに対応する収差をモデリングすることにより、カーネルを生成する段階と、
前記ホログラムプレーンの前記ホログラムプレーンセグメントに対応するマスクを生成する段階と、
前記マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得する段階と、
前記カーネルを利用し、前記ホログラムセグメントを伝播することにより、第1イメージセグメントを獲得する段階と、
前記第1イメージセグメントと第2イメージセグメントとの比較に基づき、前記ホログラムをアップデートする段階と、
を含む、非一時的な記録媒体。
【請求項14】
ホログラフィックイメージを再生するために、光を放出するように構成された光源と、
前記ホログラフィックイメージを空間的にフォーカシングするように構成された光学系と、
前記ホログラフィックイメージを再生するホログラムを生成するように構成されたプロセッサと、
前記ホログラムに基づき、前記光を変調するように構成された空間光変調器と、
を含み、
前記プロセッサは、
ホログラムプレーンのホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差をそれぞれモデリングすることにより、カーネルを生成し、
前記ホログラムプレーンの前記ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応するマスクを生成し、
前記マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得し、
前記カーネルを利用し、前記ホログラムセグメントを伝播することにより、第1イメージセグメントを獲得し、
前記第1イメージセグメントと第2イメージセグメントとの比較に基づき、前記ホログラムをアップデートするように構成された、ホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記ホログラムプレーンセグメントに対応する前記収差をそれぞれのゼルニケ多項式を利用し、モデリングし、前記それぞれのゼルニケ多項式に基づき、前記カーネルをそれぞれ生成するように構成された、請求項14に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記ホログラムプレーンセグメントのうち隣接するホログラムプレーンセグメントについてモデリングされたゼルニケ係数を補間することにより、前記ホログラムプレーンセグメントのうち少なくとも1つのホログラムプレーンセグメントに係わるゼルニケ係数を決定するように構成された、請求項15に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記ホログラムプレーンセグメントのうち少なくともいずれか1つのホログラムプレーンセグメントを分割することにより、分割されたホログラムプレーンセグメントを生成し、前記分割されたホログラムプレーンセグメントに基づき、前記カーネルを生成するように構成された、請求項14に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記ホログラムプレーンセグメントのうち少なくともいずれか2つのホログラムプレーンセグメントを併合することにより、併合されたホログラムプレーンセグメントを生成し、前記カーネルのうち前記ホログラムプレーンセグメントのうち前記併合されたホログラムプレーンセグメントに基づき、カーネルを生成するように構成された、請求項14に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、それぞれのホログラムプレーンセグメントに対応する通過領域、及び残り領域である遮断領域を含むように構成された少なくとも1つのマスクを生成するように構成された、請求項14に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記通過領域のエッジ領域のピクセル値と、前記通過領域の中心領域のピクセル値とが互いに異なるように構成された少なくとも1つのマスクを生成するように構成された、請求項19に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記ホログラムセグメントを並列に伝播することにより、前記第1イメージセグメントを獲得するように構成された、請求項14に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記第1イメージセグメントの強度と、前記第2イメージセグメントの強度との差に基づき、損失関数を決定し、前記損失関数を最適化させるように、前記ホログラムをアップデートするように構成された、請求項14に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項23】
ホログラフィックディスプレイ装置において、
1以上の命令を保存するメモリと、
前記1以上の命令を実行するように構成されるプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
ホログラムプレーンの1以上のホログラムプレーンセグメントに対応する1以上のカーネルを生成し、
前記1以上のホログラムプレーンセグメントに対応する1以上のマスクを生成し、
ホログラムに前記1以上のマスクを適用し、1以上のホログラムセグメントを獲得し、
前記1以上のカーネルに基づき、前記ホログラムセグメントを伝播することにより、1以上のイメージセグメントを獲得し、
前記1以上のイメージセグメントと、1以上のレファレンスイメージセグメントとの比較に基づき、前記ホログラムをアップデートする、ホログラフィックディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法及びホログラフィックディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィ(holography)は、物体から反射された物体ビーム(object beam)と参照ビーム(reference beam)とが出合って起こす干渉現象を利用し、三次元イメージを記録する技術である。ホログラムは、ホログラフィによる干渉パターンの記録である。ホログラフィには、アナログホログラフィ及びデジタルホログラフィがある。アナログホログラフィは、物体ビームと参照ビームとの干渉パターンを直接記録する技術である。デジタルホログラフィは、デジタル処理を利用し、物体ビームと参照ビームとの干渉パターンを生成する技術である。
【0003】
CGH(computer generated holography)は、デジタルホログラフィの一種である。CGHにおいては、干渉パターンがコンピュータによって計算されることにより、ホログラムが生成される。ホログラムがホログラフィックディスプレイ装置によってディスプレイされることにより、三次元イメージが再生される。
【0004】
該ホログラフィックディスプレイ装置の光学収差により、三次元イメージの品質が低下されるが、それを防止するための方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法及びホログラフィックディスプレイシステムを提供するところにある。また、前記方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供するところにある。解決すべき技術的課題は、前述のような技術的課題に限定されるものではなく、他の技術的課題が存在しうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法は、ホログラムプレーンの空間的セグメントであるホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差をそれぞれモデリングすることにより、カーネルを生成する段階と、前記ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応するマスクを生成する段階と、前記マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得する段階と、前記カーネルを利用し、前記ホログラムセグメントを伝播することにより、イメージセグメントを獲得する段階と、前記イメージセグメントと、既定のイメージセグメントとの比較に基づき、前記ホログラムをアップデートする段階と、を含むものでもある。
【0007】
他の側面による、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、前述の方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含むものでもある。
【0008】
さらに他の側面によるホログラフィックディスプレイシステムは、ホログラフィックイメージを再生するために、光を放出するように構成された光源と、前記ホログラフィックイメージを空間的にフォーカシングするように構成された光学系と、前記光学系の収差が補償されるように、前記ホログラフィックイメージの再生に利用されるホログラムを生成するように構成されたプロセッサと、前記ホログラムに基づき、前記光を変調するように構成された空間光変調器と、を含み、前記プロセッサは、ホログラムプレーンの空間的セグメントであるホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差をそれぞれモデリングすることにより、カーネルを生成し、前記ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応するマスクを生成し、前記マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得し、前記カーネルを利用し、前記ホログラムセグメントを伝播することにより、イメージセグメントを獲得し、前記イメージセグメントと、既定のイメージセグメントとの比較に基づき、前記ホログラムをアップデートするようにも構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態によるホログラフィックディスプレイシステムを概略的に示す構成図である。
【
図3A】一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法を示す図である。
【
図3B】一実施形態による、ホログラム及びホログラムセグメントを示す図である。
【
図4】一実施形態による、収差により、ホログラムプレーンセグメント上に形成されたパターンを示す図である。
【
図5A】一実施形態による、ホログラムプレーンセグメントの併合を示す図である。
【
図5B】一実施形態による、ホログラムプレーンセグメントの分割を示す図である。
【
図7A】一実施形態による曇り処理のためのマスクを示す図である。
【
図7B】一実施形態による曇り処理のためのマスクを示す図である。
【
図8】一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための最適化ループを示す図である。
【
図9】一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法のフローチャートである。
【
図10】一実施形態による、最適化ループを含むホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法のフローチャートである。
【
図11A】一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成する方法を適用した実験結果を示す図である。
【
図11B】一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成する方法を適用した実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態で使用される用語は、可能な限り、現在汎用される一般的な用語を選択しているが、それは、当業者の意図、判例、または新たな技術の出現などによっても異なる。また、特定の場合、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、当該説明部分において、詳細にその意味を記載する。従って、明細書で使用される用語は、単なる用語の名称としてではなく、その用語が有する意味と、明細書の全般にわたる内容とを基に定義されなければならない。
【0011】
本実施形態で使用される、「構成される」または「含む」のような用語は、明細書上に記載されたさまざまな構成要素、またはさまざまな段階を必ずしもいずれも含むと解釈されるものではなく、そのうち、一部の構成要素、または一部の段階は、含まれず、またはさらなる構成要素または段階をさらに含んでもよいと解釈されなければならない。
【0012】
以下においては、添付図面を参照し、本実施形態について詳細に説明する。しかし、本実施形態は、さまざまに異なる形態にも具現され、ここで説明する例に限定されるものではない。
【0013】
図1は、一実施形態によるホログラフィックディスプレイシステム100を概略的に示す構成図である。
【0014】
一実施形態によるホログラフィックディスプレイシステム100は、ホログラフィックディスプレイ装置110及びホログラム生成装置120を含む。ホログラフィックディスプレイ装置110は、光源111、光学系112及び空間光変調器113を含んでもよい。また、ホログラム生成装置120は、プロセッサ121及びメモリ122を含んでもよい。
【0015】
ホログラフィックディスプレイシステム100は、空間光変調器113に位置するホログラムプレーンHP、観察者の瞳孔に位置する基準プレーンRP、及びホログラフィックイメージが位置するイメージプレーンIPに基づき、ホログラムを生成し、ホログラフィックイメージを再生するようにも構成される。
【0016】
ホログラフィックディスプレイ装置110は、ホログラム生成装置120から提供されたホログラムに基づき、ホログラフィックイメージをイメージプレーンIP上にディスプレイするようにも構成される。イメージプレーンIPは、多数のレイヤによっても構成される。
【0017】
光源111は、ホログラフィックイメージを再生するために、光を放出するようにも構成される。光源111は、レーザダイオードまたは発光ダイオードを含んでもよいが、それらに制限されるものではない。例えば、一実施形態によれば、光源111は、多数の光源アレイによっても構成される。他の実施形態によれば、光源111は、レーザダイオード及び発光ダイオードを含んでもよい。
【0018】
光学系112は、ホログラフィックイメージを空間的にフォーカシングするようにも構成される。光学系112は、空間光変調器113によって変調されて形成された再生光Lを空間的にフォーカシングするようにも構成される。例えば、光学系112は、基準プレーンRPに再生光Lをフォーカシングするようにも構成される。
【0019】
光学系112は、固定された焦点距離を有する固定焦点光学系、または焦点距離が変化する可変焦点光学系を含んでもよい。一実施形態によれば、光学系112は、固定焦点光学系及び可変焦点光学系の組み合わせを含んでもよい。また、光学系112は、屈折式レンズ要素または回折レンズ要素を含んでもよい。一実施形態によれば、光学系112は、屈折式レンズ要素及び回折レンズ要素の組み合わせを含んでもよい。
空間光変調器113は、ホログラムに基づいて光を変調するようにも構成される。空間光変調器113は、ホログラム生成装置120から提供されたホログラムに基づき、光を回折させて変調するためのホログラムパターンを形成することができる。空間光変調器113は、振幅変調器及び/または位相変調器を含んでもよい。
【0020】
ホログラム生成装置120は、ホログラムを生成するようにも構成される。ホログラム生成装置120は、CGH(computer generated holography)に基づき、ホログラムを生成するようにも構成される。ホログラム生成装置120は、ホログラフィックディスプレイ装置110の収差を補償し、ホログラムを生成するようにも構成される。具体的には、ホログラム生成装置120は、光学系112の収差を補償し、ホログラムを生成するようにも構成される。
【0021】
プロセッサ121は、ホログラムを生成するようにも構成される。プロセッサ121は、多数の論理ゲートのアレイによっても具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサで実行されうるプログラムが保存されたメモリとの組み合わせによっても具現される。
【0022】
プロセッサ121は、ホログラムプレーンHPの空間的セグメントであるホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応するマスクを生成することができる。プロセッサ121は、ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差をそれぞれモデリングすることにより、カーネルを生成することができる。プロセッサ121は、マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得することができる。プロセッサ121は、カーネルを利用し、ホログラムセグメントをイメージプレーンに伝播することにより、イメージセグメントを獲得することができる。プロセッサ121は、イメージセグメントと、既定のイメージセグメントとの比較に基づき、ホログラムをアップデートすることができる。
【0023】
メモリ122は、ホログラム及び/またはプロセッサ121が実行するプログラムを保存するようにも構成される。メモリ122は、DRAM(dynamic random access memory)・SRAM(static random access memory)のようなRAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、CD-ROM(compact disc read-only memory)、ブルーレイ、または他の光学ディスクストレージ、HDD(hard disk drive)、SSD(solid static drive)、あるいはフラッシュメモリを含んでもよい。さらには、ホログラム生成装置120にアクセスされうる外部の他のストレージデバイスを含んでもよい。
【0024】
図2は、光学系112の収差を例示的に示す断面図である。
【0025】
ホログラフィックディスプレイ装置には、収差が存在しうる。ここで、該収差は、光の波動特性、及び/またはホログラフィックディスプレイ装置によって生じうる全ての光学的収差を称しうる。例えば、該収差は、球面収差(spherical aberration)、非点収差(astigmatism)、コマ収差(coma)、歪曲(distortion)及び像面湾曲(curvature of field)を含むものでもあるが、それらに制限されるものではない。
【0026】
例えば、球面収差により、光学系112で回折された光L1,L2,L3の焦点位置が異なってしまう。収差により、鮮明ではないホログラフィックイメージが再生されてしまうので、収差を補償するための方法が要求される。
【0027】
図3Aは、一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法を示す。
【0028】
311段階において、プロセッサは、カーネルを生成することができる。ホログラフィックディスプレイ装置の収差は、ホログラムプレーンに均一には示されない。さらに正確に収差をモデリングするためには、ホログラムプレーンセグメントそれぞれに対応する収差をモデリングする必要がある。一実施形態によれば、該ホログラムプレインセグメントは、ホログラムプレーンの空間的セグメントである。そのために、該プロセッサは、該ホログラムプレーンセグメントに対応する収差がモデリングされるように、カーネルを生成することができる。収差モデリングには、ゼルニケ多項式(Zernike polynomials)が利用されうる。空間的に細分化し、収差がモデリングされることにより、収差が高い正確度にモデリングされうる。
【0029】
312段階において、プロセッサは、マスクを生成することができる。該プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントそれぞれに対応するマスクを生成することができる。
313段階において、プロセッサは、ホログラムをマスキングすることができる。すなわち、313段階において、該プロセッサは、312段階で生成されたマスクをホログラムに適用することができる。ホログラムがマスキングされることにより、ホログラムプレーンセグメントそれぞれに対応するホログラムセグメントが生成されうる。
図3Bを参照すれば、例示的に、ホログラム321がマスク322によってフィルタリングされることにより、ホログラムセグメント323が生成されうる。
【0030】
図3Aを参照すれば、314段階において、プロセッサは、収差を反映させ、ホログラムセグメントを伝播することができる。ホログラムプレーンセグメントに対応する収差がカーネルにモデリングされている。従って、該カーネルを利用し、ホログラムセグメントを伝播することにより、ホログラムプレーンセグメントに対応する収差を反映させ、該ホログラムセグメントを伝播することができる。該ホログラムセグメントが伝播されることにより、イメージセグメントが生成されうる。
【0031】
315段階において、プロセッサは、ホログラムをアップデートすることができる。該プロセッサは、イメージセグメントとレファレンスイメージセグメントとの比較に基づき、ホログラムをアップデートすることができる。該レファレンスイメージセグメントは、既定のイメージセグメントでもある。一実施形態によれば、該レファレンスイメージセグメントは、ストレージに事前に保存されてもあり、比較を行いながら、ストレージから獲得されうる。既定のイメージセグメントは、既定のイメージを空間分割することによっても生成される。既定のイメージは、ホログラムプレーンと同一に、空間分割されうる。ホログラムのアップデートには、損失関数が使用されうる。一実施形態において、損失関数は、イメージセグメントの強度(intensity)と、既定のイメージセグメントの強度との差からも決定される。該損失関数最適化のために、アップデートされたホログラムを利用し、313段階ないし315段階を反復するプロセスが遂行されうる。
【0032】
図4は、一実施形態による、収差により、ホログラムプレーンセグメント上に形成されたパターンを示す。
【0033】
ホログラムプレーン400は、ホログラムプレーンセグメントにも分割される。
図4は、ホログラムプレーン400が、5x5アレイのホログラムプレーンセグメントに分割された例を図示する。ホログラムプレーン400は、多様な個数、及び多様な大きさのホログラムプレーンセグメントにも分割される。
【0034】
ホログラフィックディスプレイ装置の収差は、ホログラムプレーン400に、空間的に均一に影響を及ぼさないのである。それにより、それぞれの点光源から、それぞれのホログラムプレーンセグメントに光を伝播したとき、ホログラムプレーンセグメントに、互いに異なるパターンが示されうる。
【0035】
プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差がモデリングされたカーネルを生成することができる。例えば、該プロセッサは、ホログラムプレーンセグメント411に対応する収差がモデリングされたカーネルと、ホログラムプレーンセグメント412に対応する収差がモデリングされたカーネルをそれぞれ生成することができる。
【0036】
プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差を、それぞれのゼルニケ多項式にモデリングし、それぞれのゼルニケ多項式に基づき、カーネルをそれぞれ生成することができる。一実施形態において、該カーネルは、数式1のようにモデリングされうる。
【数1】
数式1において、h
iはi番目ホログラムプレーンセグメントに対応するカーネルであり、B(r)は、光学伝播の基本波面がモデリングされた関数であり、rは、伝播距離であり、W
iは、i番目ホログラムプレーンセグメントに対応する収差による波面がモデリングされた関数である。例えば、球面波によって光が伝播される場合、B(r)は、exp(jkr)/rにもモデリングされる。このとき、「exp」は指数(exponential)を意味する。
【0037】
収差による波面の関数W
iは、数式2のようにもモデリングされる。
【数2】
数式2において、αは、ゼルニケ係数を示し、Zは、ゼルニケ多項式を示し、jは、ゼルニケ多項式のインデックス(index)を示す。ゼルニケ多項式のインデックスは、多様な基準によっても決定される。例えば、ゼルニケ多項式のインデックスは、OSA/ANSIインデックス、Fringeインデックス、Nollインデックス及びWyantインデックスなどが使用されうる。
【0038】
表1は、OSA/ANSIインデックスによるゼルニケ多項式の例を示す。
【0039】
【0040】
表1において、φは、方位角(azimuthal angle)を示し、ρは、半径距離(radial distance)を示す。さらに高いインデックスまで利用し、ゼルニケ多項式を構成するほどさらに複雑な形状の波面がモデリングされうる。プロセッサは、収差を分析するプログラムを利用し、ゼルニケ多項式のインデックス及び係数を決定するようにも構成される。または、該プロセッサは、ユーザ入力から、ゼルニケ多項式のインデックス及び係数を獲得することにより、カーネルを生成することができる。
【0041】
プロセッサは、隣接するホログラムプレーンセグメントについてモデリングされたゼルニケ係数を補間することにより、少なくとも1つのホログラムプレーンセグメントに係わるゼルニケ係数を決定することができる。例えば、該プロセッサは、ホログラムプレーンセグメント414と隣接するホログラムプレーンセグメント413,415に対応するゼルニケ係数を補間することにより、ホログラムプレーンセグメント414のゼルニケ係数を決定することができる。補間を利用し、ゼルニケ係数を獲得することにより、計算時間が短縮される。また、空間的隣接性に基づく補間を利用し、ゼルニケ係数を獲得することにより、収差モデリングの正確度が阻害されないのである。
【0042】
図5Aは、一実施形態による、ホログラムプレーンセグメントの併合を示す。
【0043】
プロセッサは、複数のホログラムプレーンセグメントを併合することにより、併合されたホログラムプレーンセグメントを生成することができる。
【0044】
プロセッサは、少なくともいずれか2つのホログラムプレーンセグメントを併合することにより、 併合されたホログラムプレーンセグメントを生成することができる。例えば、該プロセッサは、相対的に収差が少ないホログラムプレーンセグメント511,512,513及び514を併合することにより、併合されたホログラムプレーンセグメント510を生成することができる。
【0045】
プロセッサは、併合されたホログラムプレーンセグメント510に対応するカーネルを生成することができる。
【0046】
ホログラムプレーンセグメントの個数が増加するほど、さらに多くのプロセスを並列に処理しなければならないのである。2以上のホログラムプレーンセグメントを併合し、ホログラムプレーンセグメントの個数を減らすことにより、並列プロセッシングのロードを減らすことができる。また、収差の大きさを考慮し、ホログラムプレーンセグメントを併合することにより、収差モデリングの正確度が阻害されないのである。
【0047】
図5Bは、一実施形態による、ホログラムプレーンセグメントの分割を示す。
【0048】
プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントを分割することにより、分割されたホログラムセグメントを生成することができる。
【0049】
プロセッサは、少なくともいずれか1つのホログラムプレーンセグメントを分割することにより、分割されたホログラムプレーンセグメントを生成することができる。例えば、該プロセッサは、相対的に収差が大きいホログラムプレーンセグメント520を分割することにより、分割されたホログラムプレーンセグメント521,522,523及び524を生成することができる。
【0050】
プロセッサは、分割されたホログラムプレーンセグメント521~524にそれぞれ対応するカーネルを生成することができる。空間的に細分化され、収差がモデリングされることにより、収差が高い正確度にモデリングされうる。
【0051】
図6は、一実施形態によるマスク621~623を示す。
【0052】
プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントそれぞれに対応するマスクを生成することができる。例えば、該プロセッサは、ホログラムプレーン600のホログラムプレーンセグメント611に対応するマスク621、ホログラムプレーンセグメント612に対応するマスク622、及びホログラムプレーンセグメント613に対応するマスク623を生成することができる。
【0053】
マスク621は、ホログラムプレーンセグメントに対応する通過領域621a、及び残り領域である遮断領域621bを含むようにも構成される。一実施形態によれば、マスク621は、通過領域621aが1を有し、遮断領域621bが0を有するバイナリマスクでもあるが、それに限定されるものではない。
【0054】
図7A及び
図7Bは、一実施形態による曇り処理のためのマスク710,720を示す。
【0055】
図7Aを参照すれば、マスク710は、ホログラムセグメントがソフトなエッジを有するように、ホログラムをフィルタリングするようにも構成される。そのために、一実施形態において、マスク710は、通過領域711のエッジ領域711aのピクセル値と、通過領域の中心領域711bのピクセルと値が互いに異なるようにも構成される。例えば、エッジ領域711aのピクセル値は、0.8であり、中心領域711bのピクセル値は、1でもある。
【0056】
図7Aを参照した説明以外にも、マスク710には、ホログラムセグメントがソフトなエッジを有するように、ホログラムをフィルタリングするための多様なフィルタリング方式が利用されうる。
【0057】
ホログラムセグメントがソフトなエッジを有することにより、ホログラムセグメントから生成されたイメージセグメントが結合されたとき、イメージセグメント間の境界線が除去されうる。
【0058】
図7Bを参照すれば、マスク720は、他のホログラムセグメントと接するホログラムセグメントがソフトなエッジを有するように、ホログラムをフィルタリングするようにも構成される。遮断領域722と接する通過領域721のエッジ領域721bは、セグメント間の境界に対応するので、曇り処理される必要があるが、遮断領域722と接しない通過領域721のエッジ領域721aは、セグメント間の境界に該当しないので、曇り処理される必要がない。そのために、一実施形態において、マスク720は、遮断領域722と接するエッジ領域721bは、中心領域721cとピクセル値が異なるように構成され、遮断領域722と接しないエッジ領域721aは、中心領域721cとピクセル値が同じになるようにも構成される。例えば、遮断領域722と接するエッジ領域721bのピクセル値は0.8であり、遮断領域722と接しないエッジ領域721aと中心領域721cとのピクセル値は、1でもある。
【0059】
図8は、一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための最適化ループを示す。
【0060】
最適化ループを遂行するのに先立ち、プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントに対応するN個のカーネル(hi)、及びN個のマスク(Mi)を生成することができる。また、該プロセッサは、ランダム化された位相データ及び振幅データにより、ホログラム(φ)を生成することができる。
【0061】
最適化ループにおいて、プロセッサは、マスク(Mi)を利用し、ホログラム(φ)をマスキングすることにより、N個のホログラムセグメント(Miφ)を生成することができる。
【0062】
プロセッサは、ホログラムプレーンHPからイメージプレーンIPにホログラムセグメント(Miφ)を伝播することにより、N個のイメージセグメント(fi)を生成することができる。ホログラムセグメントが並列に伝播されることにより、イメージセグメントが獲得されうる。または、ホログラムセグメントが直列に伝播されることにより、イメージセグメントが獲得されうる。伝播は、ホログラムセグメント(Miφ)とカーネル(hi)のコンボリューション演算によってもなされる。カーネル(hi)には、ホログラムプレーンセグメントに対応する収差がモデリングされているので、カーネル(hi)に基づき、ホログラムセグメント(Miφ)が伝播されることにより、ホログラムプレーンセグメントに対応する収差を反映させ、ホログラムセグメント(Miφ)が伝播されうる。
プロセッサは、イメージセグメント(fi)とレファレンスイメージセグメントとの差によって定義された損失関数を最適化させるように、ホログラム(φ)をアップデートすることができる。該レファレンスイメージセグメントは、既定のイメージセグメント(Pi)でもある。既定のイメージセグメント(Pi)は、既定のイメージを、ホログラムプレーンHPと同一に空間分割することによっても獲得される。または、既定のイメージセグメント(Pi)は、マスク(Mi)を利用し、既定のイメージをマスキングすることによっても獲得される。
【0063】
損失関数は、イメージセグメント(f
i)の強度と、既定のイメージセグメント(P
i)の強度との差によっても定義される。該損失関数は、イメージセグメント(f
i)の強度と、既定のイメージセグメント(P
i)の強度との差の二乗平均平方根(root mean square)によっても定義される。一実施形態において、該損失関数は、数式3のようにも定義される。
【数3】
数式3において、Lは、損失関数を示し、
【数4】
は、イメージセグメントの強度を示し、
【数5】
は、既定のイメージセグメントの強度を示す。
【0064】
一実施形態において、ホログラム(φ)は、数式4に基づいてもアップデートされる。
【数6】
数式4において、bは、任意の定数である。カーネル(h
i)がゼルニケ多項式によって構成されるので、損失関数は、微分可能である。従って、数式4に基づき、ホログラム(φ)がアップデートされうる。
【0065】
図9は、一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法のフローチャートである。
910段階において、プロセッサは、ホログラムプレーンの空間的セグメントであるホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応する収差をそれぞれモデリングすることにより、カーネルを生成することができる。該プロセッサは、ゼルニケ多項式を利用し、カーネルを生成することができる。
【0066】
プロセッサは、収差の大きさに基づき、ホログラムプレーンセグメントを併合したり分割したりすることができる。例えば、収差の大きさは、ゼルニケ係数の大きさからも決定される。他の例を挙げれば、収差の大きさは、ユーザの視覚的判断からも決定される。該プロセッサは、併合されたホログラムプレーンセグメントに対応するカーネル、及び分割されたホログラムプレーンセグメントに対応するカーネルを生成することができる。
【0067】
920段階において、プロセッサは、ホログラムプレーンセグメントにそれぞれ対応するマスクを生成することができる。該マスクは、ホログラムプレーンセグメントに対応する通過領域、及び残り領域に該当する遮断領域を含んでもよい。また、該マスクは、ホログラムセグメントがソフトなエッジを有するように、ホログラムをフィルタリングするために、通過領域のエッジ領域と、通過領域の中心領域とのピクセル値が異なるようにも生成される。
【0068】
930段階において、プロセッサは、マスクを利用し、ホログラムを空間フィルタリングすることにより、ホログラムセグメントを獲得することができる。
【0069】
940段階において、プロセッサは、カーネルを利用し、ホログラムセグメントを伝播することにより、イメージセグメントを獲得することができる。該プロセッサは、カーネルとホログラムセグメントとをコンボリューション演算することにより、ホログラムセグメントをホログラムプレーンからイメージプレーンに伝播することができる。該カーネルには、収差がモデリングされているので、該収差を反映させ、ホログラムセグメントが伝播されうる。
【0070】
950段階において、プロセッサは、イメージセグメントと、既定のイメージセグメントとの比較に基づき、ホログラムをアップデートすることができる。該プロセッサは、イメージセグメントの強度と、既定のイメージセグメントの強度との差に基づき、損失関数を決定し、損失関数を最適化させるように、ホログラムをアップデートすることができる。
【0071】
図10は、一実施形態による、最適化ループ1030を含むホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成するための方法のフローチャートである。
最適化ループ1030に先立ち、1010段階において、プロセッサは、マスク及びカーネルを生成することができる。1020段階において、プロセッサは、ホログラムを初期化することができる。該ホログラムは、任意の位相データ及び振幅データを有するようにも初期化される。
【0072】
1031段階において、プロセッサは、ホログラムセグメントを獲得することができる。該プロセッサは、マスクを利用し、ホログラムを空間分割することにより、ホログラムセグメントを獲得することができる。
【0073】
1032段階において、プロセッサは、イメージセグメントを獲得することができる。該プロセッサは、カーネルを利用し、ホログラムセグメントを伝播することにより、イメージセグメントを獲得することができる。
【0074】
1033段階において、プロセッサは、損失関数を決定することができる。例えば、該プロセッサは、イメージセグメントの強度と、既定のイメージセグメントの強度との差の二乗平均平方根を損失関数として決定することができる。
【0075】
1034段階において、プロセッサは、ホログラムをアップデートすることができる。該プロセッサは、損失関数を最適化させるように、ホログラムをアップデートすることができる。
【0076】
1035段階において、プロセッサは、最適化の完了を決定することができる。該プロセッサは、損失関数の値に基づき、最適化の完了を決定することができる。一実施形態によれば、該プロセッサは、該損失関数の値が基準値を満足する場合、最適化の完了を決定することができる。または、該プロセッサは、最適化ループ1030の反復回数に基づき、最適化の完了を決定することができる。一実施形態によれば、該プロセッサは、最適化ループ1030の反復回数が基準値を満足する場合、最適化の完了を決定することができる。
【0077】
図11A及び
図11Bは、一実施形態による、ホログラフィックディスプレイ装置の収差を補償し、ホログラムを生成する方法を適用した実験結果を示す。
【0078】
該実験において、532nmの波長を有する光源、512x512のピクセルを有するレファレンスイメージ1110、及び3.6μmのピクセル間隔を有する空間光変調器が利用された。また、該実験において、伝播距離は、8mmに設定され、ホログラムプレーンは、5x5のアレイに空間分割された。一実施形態によれば、レファレンスイメージ1110は、既定のイメージである。
【0079】
図11Aには、レファレンスイメージ1110、一実施形態による方法に基づき、ホログラフィックディスプレイ装置の収差が補償されるように生成されたホログラム1120、及びホログラム1120によって再生されたホログラフィックイメージ1130が図示されている。
図11Bには、最適化ループの反復回数による、ホログラフィックイメージ1130のPSNR(peak-signal ratio)のグラフが図示されている。
【0080】
図11A及び
図11Bを参照すれば、肉眼でもって、レファレンスイメージ1110とホログラフィックイメージ1130との違いを見出し難いほど、すぐれた品質を有するホログラフィックイメージ1130が獲得されることが確認された。また、ソフトなエッジを有するように、フィルタリングされることによって生成されたホログラムセグメントを利用することにより、ホログラフィックイメージ1130に、イメージセグメント間の境界線が生じないことが確認された。ホログラフィックイメージ1130の品質は、PSNRによっても裏付けられる。
【0081】
本実施形態は、コンピュータによって実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータによって実行可能な命令語を含む記録媒体の形態によっても具現される。コンピュータで読み取り可能な可能媒体は、コンピュータによってもアクセスされる任意の可用媒体でもあり、揮発性及び不揮発性の媒体、分離型及び非分離型の媒体をいずれも含む。また、コンピュータで読み取り可能な可能媒体は、コンピュータ記録媒体及び通信媒体をいずれも含んでもよい。該コンピュータ記録媒体は、コンピュータで読み取り可能な可能命令語、データ構造、プログラムモジュール、またはその他データのような情報保存のための任意の方法または技術によって具現された揮発性及び不揮発性、分離型及び非分離型の媒体をいずれも含む。該通信媒体は、典型的に、コンピュータで読み取り可能な可能命令語、データ構造、プログラムモジュールのような変調されたデータ信号のその他データ、またはその他伝送メカニズムを含み、任意の情報伝達媒体を含む。
【0082】
また、本明細書において、「部」は、プロセッサまたは回路のようなハードウェア構成(hardware component)、及び/またはプロセッサのようなハードウェア構成によって実行されるソフトウェア構成(software component)でもある。
【0083】
前述の本明細書の説明は、例示のためのものであり、本明細書の内容が属する技術分野の当業者であるならば、本発明の技術的思想や、必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述された実施形態は、全ての面において例示的なものであり、限定的ではないと理解されなければならない。例えば、単一型に説明されている各構成要素は、分散されても実施され、同様に、分散されていると説明されている構成要素も、結合された形態にも実施される。
【0084】
本実施形態の範囲は、前述の詳細な説明よりは、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味、範囲及びその均等概念から導き出される全ての変更または変形された形態が含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0085】
100 ホログラフィックディスプレイシステム
110 ホログラフィックディスプレイ装置
111 光源
112 光学系
113 空間光変調器
120 ホログラム生成装置
121 プロセッサ
122 メモリ
321,1120 ホログラム
322,621,622,623,710,720 マスク
323 ホログラムセグメント
400,600,HP ホログラムプレーン
1110 レファレンスイメージ
1130 ホログラフィックイメージ
IP イメージプレーン
RP 基準プレーン