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特開2022-146946反応評価装置、反応評価システム、反応評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146946
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】反応評価装置、反応評価システム、反応評価方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20220928BHJP
【FI】
A61B5/16 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070746
(22)【出願日】2022-04-22
(62)【分割の表示】P 2021046742の分割
【原出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】521119898
【氏名又は名称】株式会社iFlasco
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木内裕基
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PR01
4C038PR04
4C038PS07
(57)【要約】
【課題】簡易に反応速度を評価する反応評価装置、反応評価システム、反応評価方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、ユーザの反応時間を評価する反応評価装置であって、前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する動画像データ記憶部と、前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価部と、を備えることを特徴とする反応評価装置、を提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの反応時間を評価する反応評価装置であって、
前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する動画像データ記憶部と、
前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価部と、
を備えることを特徴とする反応評価装置。
【請求項2】
前記刺激は光、振動のいずれかであること、
を特徴とする、請求項1に記載の反応評価装置。
【請求項3】
前記動画像データは、音声データを含み、
前記刺激は音であること、
を特徴とする、請求項1に記載の反応評価装置。
【請求項4】
前記第2時点を特定する反応判定部をさらに備え、
前記反応判定部は、前記動画像データから前記ユーザの身体の部位または前記ユーザが操作する道具を特定し、前記動画像データを構成するフレームの内、前記部位または前記道具が、既定の基準値を超えて動いたフレームを、前記ユーザが反応した反応後フレームと判定し、前記第2時点を特定すること、
を特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の反応評価装置。
【請求項5】
前記反応判定部は、前記部位または道具の動きの速さを算定し、前記反応後フレームと、それより前の時点の反応前フレームと、の間で、前記第2時点を、前記部位の動きの速さから計算して特定すること、
を特徴とする、請求項4に記載の反応評価装置。
【請求項6】
ユーザの反応時間を評価する反応評価システムであって、
前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する記憶機能と、
前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価機能と、
を備えることを特徴とする反応評価システム。
【請求項7】
ユーザの反応時間を評価する反応評価方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する記憶ステップと、
前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価ステップと、
を備えることを特徴とする反応評価方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反応評価装置、反応評価システム、反応評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何らかの刺激に対し、人がその刺激を認知し、どの程度の時間で反応できるか、を示す反応速度(反射神経とも言われている)は、身体能力の中でも重要な指標である。
【0003】
特許文献1には被検者が左右の手に持ったパッドを、特定の位置に動かす指示をだし、被検者がパッドを動かすことによって、反射神経を測定する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2006-41876公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、特殊な装置を用いる必要があり、誰もが簡易に反応速度を測定できる装置、システム、方法の提供が期待されるところである。
【0006】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易に反応速度を評価する反応評価装置、反応評価システム、反応評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、ユーザの反応時間を評価する反応評価装置であって、前記ユーザに指示を提示する指示提示部と、前記指示と併せて刺激を提示する刺激提示部と、前記指示に対する前記ユーザの反応と、前記刺激または前記刺激による影響と、を含む画像から前記刺激が提示された時点を判定する刺激判定部と、前記画像から前記ユーザの反応が起きた時点を判定する反応判定部と、前記刺激判定部と前記反応判定部が判定した時点をもとに、ユーザの反応を評価する評価部と、を備えることを特徴とする、反応評価装置、が提供される。
【0008】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、反応速度を簡易に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る反応評価システムの全体構成例を示す図である。
図2】同実施形態に係るサーバ装置1のハード構成例を示す図である。
図3】同実施形態に係るサーバ装置1の機能構成例を示す図である。
図4】同実施形態に係るユーザ情報記憶部131に記憶される情報の構成例を示す図である。
図5】同実施形態に係る指示情報記憶部132に記憶される情報の構成例を示す図である。
図6】同実施形態に係るアドバイス情報記憶部135に記憶される情報の構成例を示す図である。
図7】同実施形態に係る反応評価システムの処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
[項目1]
ユーザの反応時間を評価する反応評価装置であって、
前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する動画像データ記憶部と、
前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価部と、
を備えることを特徴とする反応評価装置。
[項目2]
前記刺激は光、振動のいずれかであること、
を特徴とする、項目1に記載の反応評価装置。
[項目3]
前記動画像データは、音声データを含み、
前記刺激は音であること、
を特徴とする、項目1に記載の反応評価装置。
[項目4]
前記第2時点を特定する反応判定部をさらに備え、
前記反応判定部は、前記動画像データから前記ユーザの身体の部位または前記ユーザが操作する道具を特定し、前記動画像データを構成するフレームの内、前記部位または前記道具が、既定の基準値を超えて動いたフレームを、前記ユーザが反応した反応後フレームと判定し、前記第2時点を特定すること、
を特徴とする、項目1から3のいずれかに記載の反応評価装置。
[項目5]
前記反応判定部は、前記部位または道具の動きの速さを算定し、前記反応後フレームと、それより前の時点の反応前フレームと、の間で、前記第2時点を、前記部位の動きの速さから計算して特定すること、
を特徴とする、項目1から4のいずれかに記載の反応評価装置。
[項目6]
ユーザの反応時間を評価する反応評価システムであって、
前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する記憶機能と、
前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価機能と、
を備えることを特徴とする反応評価システム。
[項目7]
ユーザの反応時間を評価する反応評価方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザに対して動作が指示されたことを示す刺激の発生と、前記指示に対する前記ユーザの前記動作の発生と、が撮影された動画像データを記憶する記憶ステップと、
前記動画像データから、前記刺激が発生した第1時点及び前記動作が発生した第2時点を特定し、前記第1時点から前記第2時点までの前記反応時間を評価する評価ステップと、
を備えることを特徴とする反応評価方法。
<実施の形態の詳細>
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
本実施形態におけるサーバ装置1は、ユーザに対して端末を通じて指示を出し、当該指示に対するユーザの反応を捉え、指示が提示されてから反応にかかった時間(反応時間)を算出することで、ユーザの反応を評価するものである。
【0014】
ここで、反応時間に関してはミリ秒レベルでの測定が必要とされる。通常、一般的な、C/S構成のシステムでは、サーバで指示を出すAPIを呼び出してから、クライアントに指示が提示されるまでには、通信上の遅延が起きる。また、C/S構成に限らず、スタンドアローンアプリなどにおいても、指示を出すコードを実行してから、出力する端末に指示が提示されるまでの時間は、プロセッサの使用状況によって、遅れが生じ得るし、ばらつきが生じる。本実施形態におけるサーバ装置1は、ユーザへの指示を出すAPIを呼び出す、またはコードを実行し、実際に出力端末に指示が出力されるまでに生じる、上記に一例を示した時間差を補正する機能を有する。
【0015】
本実施形態におけるサーバ装置1は、ユーザに対して端末を通じて指示が出た時間とほぼ同時(撮影における1フレーム分の時間以内であることが望ましい)または一定の時間差で刺激が提示される機能を有し、当該刺激を捉えることで、当該指示がユーザに提示された時点を特定する。このことにより、当該指示に対するユーザの反応を捉え、指示が提示されて(つまり刺激を捉えたタイミング)から反応にかかった時間(反応時間)を算出することで、ユーザの反応を評価するものである。
【0016】
更に、一般的なスマートフォン等の撮像端末においてはフレームレートが30fps程度であるため、フレーム同士の間は実に33m秒もの間が開いている。本実施形態におけるサーバ装置1は、ユーザの反応を撮像した画像から、反応の起点を捉える。更に、フレーム間のどの時点で反応が起きたかを推測する機能を有する。
【0017】
==概要==
図1は反応評価システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、反応評価システムは、サーバ装置1、ユーザ端末3、刺激端末4、撮像端末5を含む。サーバ装置1は、ネットワーク2を介してユーザ端末3、刺激端末4、撮像端末5と接続される。ユーザ端末3、刺激端末4、撮像端末5は1台だけ示してあるが、これ以上存在してもよいことは言うまでもない。
【0018】
==ユーザ端末3==
ユーザ端末3は、反応速度の評価対象となるユーザやその支援者が操作するコンピュータである。ユーザ端末3は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであるが、それに限定されずその他電子機器であってもよい。ユーザは、たとえばユーザ端末3で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。なお、ユーザ端末3は、ユーザ端末3から発する表示や音などが発せられてからユーザの感覚器で捉えるまでにかかる時間が無視できる程度に短くなるよう、ユーザの近傍で使用されることが望ましいが、これに限定されない。
【0019】
==刺激端末4==
刺激端末4は、ユーザに対して刺激を提示するコンピュータである。刺激端末4は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであるが、それに限定されずその他電子機器であってもよい。また、刺激端末4は、ユーザ端末3を兼ねていてもよい。なお、刺激端末4は、刺激端末4から発する光や音などが発せられてからユーザの感覚器で捉えるまでにかかる時間が無視できる程度に短くなるよう、ユーザの近傍で使用されることが望ましいが、これに限定されない。
【0020】
==撮像端末5==
撮像端末5は、反応速度の評価を行っているユーザを含む映像を撮影するコンピュータである。撮像端末5は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。また、撮像端末5は、ユーザ端末3を兼ねていてもよい。更に、また、撮像端末5は、刺激端末4を兼ねていてもよい。更に、撮像端末5は、ユーザ端末3と刺激端末4を兼ねていてもよい。
【0021】
以下、サーバ装置1の構成について説明する。
【0022】
図2は、本実施形態のサーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。サーバ装置1は、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、ネットワーク2に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、たとえばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどを通じてデータの入力を受け付ける装置である。出力装置106は、データを出力する、たとえば、ディスプレイやプリンタ、スピーカーなどを備える。
【0023】
図3は、サーバ装置1の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、サーバ装置1は、ユーザ情報取得部111と、指示提示部112と、刺激提示部113と、画像データ取得部114と、刺激判定部115と、反応判定部116と、評価部117と、アドバイス送信部118と、の各処理部と、ユーザ情報記憶部131と、指示情報記憶部132と、画像データ記憶部133と、標準情報記憶部134と、アドバイス情報記憶部135と、の各記憶部と、を含んで構成される。
【0024】
なお、上記各処理部は、サーバ装置1が備えるプロセッサ101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、上記各記憶部は、サーバ装置1が備えるメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0025】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報記憶部131と、指示情報記憶部132と、画像データ記憶部133と、標準情報記憶部134と、アドバイス情報記憶部135と、のデータ構成について示す。
【0026】
ユーザ情報記憶部131は、ユーザ情報取得部111が受け付けた、図4に一例を示すユーザ情報を記憶する。図4に示すように、ユーザ情報は、一例として、氏名、年齢、性別、身長、体重、家族構成、基礎疾患の有無(有の場合は疾患名)、経験期間、熟練度、現在の運動状況、反応評価を行う目的などの情報から構成される。
【0027】
指示情報記憶部132は、指示提示部112がユーザに提示する、指示情報を記憶する。当該指示情報は、テキスト情報等からなる。指示情報は、一例として、「右手をあげる」、「左足を前に出す」、「左を見る」、「声を出す」、「ボールを投げる」などの、ユーザの身体部位を動作させるもの(ユーザの身体部位を指定しないが、行動の指示、道具を動かす指示など、その指示に従うと、結果的に身体部位が動作、身体部位の位置が変化するものも含む)を含むが、これらに限定されない。
【0028】
画像データ記憶部133は、ユーザに提示された刺激と、ユーザの反応と、を捉えるように撮像された画像を記憶する。当該画像は、動画像で、音声を含んでいてもよい。当該画像は、ユーザの身体の全体または部位、道具などを含み、当該刺激が画像解析により認識できるものであれば、刺激端末4の刺激を提示する部分を含んでいてもよいが、音などの画像解析により認識できない刺激であれば、刺激端末4は含まなくてもよい。また、当該動画は、ユーザの反応(動作や操作など)によって動く道具を含んでいれば、ユーザの身体の全体または部位が含まれていなくてもよい。また、当該動画が撮像されるタイミングは、前記指示がユーザ端末3に提示される時点(刺激が提示される時点)と、ユーザが反応をした時点を含んでいればよい。例えば、当該動画が撮像されるタイミングは、前記指示が提示される前から、前記指示が提示されて所定の時間が過ぎるまで、等である。
【0029】
標準情報記憶部134は、ユーザの反応時間と比較する、標準的な反応時間を記憶する。標準情報は、前記指示情報と対応付けて、例えば、「右手をあげる」に対する反応時間を記憶する。標準情報は、また、年齢、性別、経験、体格などに分けて記憶されていてもよい。
【0030】
アドバイス情報記憶部135は、アドバイス送信部118が送信する、図5に一例を示すアドバイス情報を記憶する。アドバイス情報は、反応時間を維持・改善するためのトレーニング、反応時間が遅いことによって生じる課題、不具合等の回避、解決方法や、回避、解決するための製品やサービス等の情報を含むが、これらに限定されない。更に、アドバイス情報は、ユーザが指定する目的に合わせて、前述した内容をカスタマイズした内容であってもよい。
【0031】
以上がサーバ装置1のデータ構成についての説明である。
【0032】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報取得部111と、指示提示部112と、刺激提示部113と、画像データ取得部114と、刺激判定部115と、反応判定部116と、評価部117と、アドバイス送信部118と、の各処理部の機能について示す。
【0033】
ユーザ情報取得部111は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3にユーザ情報に関する入力フォームを提示し、ユーザに関する情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。また、当該ユーザ情報の一部または全体を、サーバ装置1を用いて事業を行う事業者が、前記ユーザへのヒアリングやアンケート等で回収した情報をサーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して、当該事業者の使用する端末から入力してもよい。
【0034】
指示提示部112は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3から、ユーザに対する指示を提示する。当該指示は、ユーザ端末3が有する出力手段を通じて、ユーザに提示される。
【0035】
刺激提示部113は、ネットワーク2を介して、刺激端末4から、刺激を提示する。ここでいう刺激とは、刺激端末4に備わる各種装置によって発せられるものであり、例えば、音、光、振動、電磁波などを含むが、これらに限定されない。また、当該光は、刺激端末4に備わるライト等から発する光や、刺激端末4に備わるディスプレイ等から発する光(ディスプレイの表示)であってもよい。
【0036】
なお、指示提示部112と、刺激提示部113は、ユーザ端末3から前記指示、刺激端末4から前記刺激が出力されるように機能する。このことにより、指示は、刺激が提示された時点で提示された、と見做すことができる。
【0037】
画像データ取得部114は、ネットワーク2を介して、撮像端末5によって撮像された画像を取得し、画像データ記憶部133に記憶する。
【0038】
刺激判定部115は、画像データ取得部114が取得した画像を解析し、前記刺激が刺激端末4から提示された時点(第1時点)を特定する。刺激判定部115は、刺激が音の場合は、当該画像に含まれる音声を解析し、当該刺激として出された音を判別し、その時点を特定する。刺激判定部115は、刺激が光の場合は、当該画像から、当該光を判別し、その時点を特定する。刺激判定部115は、刺激が振動の場合は、当該画像から、当該振動によって発生した画面揺れなどを判定してもよいし、当該画像に含まれる音声から、当該振動によって発生した音を解析してもよく、その時点を特定する。
【0039】
刺激判定部115は、画像データ取得部114が取得した画像を解析することで、前記刺激が刺激端末4から提示された時点(ユーザ端末3から指示が提示された時点とほぼ同時)を判定する。これは、指示提示部112がユーザ端末3に対して指示を提示する指示をしたのち、実際にユーザ端末3上で指示が提示されるまでには、前述したように、通信上の、または、システム上のわずかな遅延や、プロセッサの使用状況による時間のずれが発生するためである。刺激提示部113の指示により刺激端末4から刺激が提示される場合にも、同様にわずかな遅延または時間のずれが発生するため、指示提示部112の機能による指示と、刺激提示部113の刺激はほぼ同時期にユーザに提示される。当該刺激を画像中から捉えることで、ユーザに指示が提示された時点と見做すことができ、正確な反応時間の評価を行うことに繋がる。
【0040】
反応判定部116は、画像データ取得部114が取得した画像を解析し、ユーザの反応を判定する。反応判定部116は、指示提示部112がユーザに対して提示した指示に対応する、身体部位の動きや、身体部位の動きに伴う道具の動き、発生した音などを解析し、ユーザの反応が起きたことを判定し、その時点(第2時点)を特定する。また、反応判定部116が判定する対象は、例えば、特定の身体の部位の動作、特定の身体姿勢を取れたかどうか、表情の変化、目線の動き、スポーツなどで使う道具の動作、ユーザが操作する機械の動作などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0041】
反応判定部116は、一例として、画像データ取得部114が取得した画像(映像を構成する各フレームに対応する画像)から、身体の部位を特定し、その座標情報を取得する。身体の部位や道具と座標情報を特定する技術は、一般的な画像解析技術を実装すればよく、ここでは説明を省略する。例えば、反応判定部116は、ユーザに提示された指示が「右手をあげる」であった場合、ユーザの右手を特定する。反応判定部116は、特定した右手が事前に定められた閾値を超えて動いたかどうかを判定し、動き始めを捉えたフレームを特定することで、反応が起きた時間を特定する。
【0042】
また、反応判定部116は、一例として、画像データ取得部114が取得した画像(映像を構成する各フレームに対応する画像)から、道具を特定し、その座標情報を取得する。当該道具が、事前に定めた閾値を超えて動いたかどうかを判定し、動き始めを捉えたフレームを特定することで、反応が起きた時間を特定してもよい。当該道具は、人が操作する道具、機械などであればよい。例えば、バット、競技カルタ、竹刀など、スポーツや競技、遊戯、演技、格闘などにおいて用いるものでもよいし、自転車や自動車などの移動手段でもよい。
【0043】
また、反応判定部116は、目的に応じて指示後の反応に伴って生ずる現象を捉えてもよい。例えば、クレー射撃であれば、音と共にクレーが放出される(指示であり、刺激である。刺激判定部115はこの時点を捉え、第1時点となる)が、目的が「発砲までの反応速度を改善したい」であれば、反応判定部116は、銃が発射された時点(反応判定部116は、トリガーを引く指の動きや、発砲による反動で体が急激に揺れることなど、を動画から判定する)を第2時点としてもよい。また、目的が「クレーが放出されてから落ちるまでの間で、できるだけ早い時間で命中させたい」であれば、反応判定部116は、クレーが破壊された時点を反応として判定し、第2時点としてもよい。更に、反応判定部116は、複数の現象を反応としても捉えてもよく、その場合第2時点が複数存在することとなる。具体的には、反応判定部116は、上述したクレー射撃の例に記載した目的に応じたそれぞれの現象を反応として判定してもよい。反応判定部116は、一例として、前記閾値の設定によって、動き始めを捉える場合だけでなく、動きが完遂した状態を捉えてもよい。なお、当該目的は、ユーザ情報記憶部131に記憶されている目的でもよいし、指示または指示の対象となる競技ごとに設定されるもの(クレー射撃であれば、クレーを射撃すること、音に反応して射撃すること、などはゴールやルールなどとして設定されている)でもよい。また、目的に対応する、動作を捉える身体の部位や道具などが、サーバ装置1に記憶されていてもよく、反応判定部116は、当該記憶をもとに、目的に対応する当該部位や当該道具の動きを捉えてもよい。
【0044】
なお、一般的なスマートフォンでは30fpsで撮像することが多く、各フレームは33ミリ秒の間があるため、ユーザの反応がフレームとフレームの間で起こることも想定される。また、スマートフォンを含む撮像端末の機種や製造元などによって、撮像時のフレームレートは異なる。このため、反応判定部116は、フレームとフレームの間のどの時点で反応が起きたかを推定してもよい。この場合、反応判定部116は、反応が起きたフレームAと、それよりも前の時点のフレームBにおいて、それぞれの前記部位または道具の座標から、前記部位または道具の動きの速度を求め、フレームAとフレームBの間の時間において、反応が起きた時間を推定し、その時点を第2時点と特定してもよい。
【0045】
評価部117は、刺激判定部115が特定した刺激を捉えた時点(第1時点)と、反応判定部116が特定したユーザの反応が起こった時点(第2時点)の情報をもとに、ユーザが実際に指示を受けた後に反応までかかった時間を算定する。
【0046】
なお、評価部117は、部位の動きが指示通りのものであるかどうかを評価した上で、動き出しの反応を判定してもよい。例えば、評価部117は、「右手を上げてください」という指示が提示された場合に、最終的に右手の位置が肩の高さよりも上などの、事前に定められた基準を超えた場合に、その前に起こった、部位が止まった状態から動き出したことを、指示に対する反応であると評価してもよい。これは、偶然、ユーザの意識外で手ブレなどが閾値よりも大きく起こってしまった際の手ブレや、間違った行動と共に右手が動いてしまった場合などに、評価部117が、その手ブレや誤った右手の動きを、指示に対する反応と判定してしまうと正しい評価にはならない。このため、実際に右手が上がったことを動画から判定し、その直前の、部位が止まった状態から動き出したことを、指示に対する反応であると判定してもよい。
【0047】
アドバイス送信部118は、前記ユーザ情報と、前記標準情報と、評価部117が評価した反応にかかった時間の情報をもとに、ユーザ端末3にアドバイス情報を送信する。アドバイス送信部118は、評価部117が評価した反応時間と、前記標準情報と比較し、前記標準情報との優劣、または優劣の程度を判定し、前記ユーザ情報に含まれる目的の情報と対応するアドバイスを、アドバイス情報記憶部135より読み出し、ユーザ端末3に提示する。アドバイス送信部118は、一例として、当該目的が「自動車運転時の反応速度トレーニング」であり、当該反応時間が標準情報よりも著しく劣っていた場合、「事故を起こす可能性があるので、反応時間を早める訓練をしましょう。」などのアドバイスを、ユーザ端末3に提示する。
【0048】
図6を用いて、本実施形態の代表的な処理の流れを説明する。まず、ユーザ情報取得部111がユーザ情報を受け付ける(1001)。次に、指示提示部112がユーザ端末3に指示を提示する(1002)。また、刺激提示部113が刺激端末4に刺激を提示する(1003)。画像データ取得部114が、ユーザの反応と刺激を捉えた画像を取得する(1004)。刺激判定部115は、前記画像から刺激を判定し、刺激のあった時点を特定する(1005)。反応判定部116は、前記画像からユーザの反応を判定し、反応が起きた時点を特定する(1006)。評価部117は、刺激判定部115と反応判定部116が特定した時点の情報から、ユーザの反応時間を評価する(1007)。アドバイス送信部118はユーザにアドバイスを送信する(1008)。
【0049】
なお、ユーザ端末3、刺激端末4、撮像端末5は、同一の端末であってよい。このとき、ユーザ端末3を置く場所やユーザの位置、さらに刺激の種類によっては、端末が発した刺激を、当該端末が備える撮影手段で捉えることができない場合もある。例えば、ユーザの近い背後に反射体や壁などの構造物があれば、ユーザ端末3のディスプレイから刺激として赤色の表示をし、ディスプレイ側に配されたカメラを用いて撮像した場合に、当該反射体または壁に赤い光が映った時点を、刺激判定部115の働きにより、第1時点を捉えることができる。しかしながら、そのような条件が整わない場合に、動画像から捉えることのできない刺激を選択してしまうと第1時点を捉えられない場合も想定される。従って、ユーザ端末3、刺激端末4、撮像端末5が同一の端末の場合においては、動画像から捉えにくい刺激(例えば光など)だけでなく、刺激提示部113は、音や振動などの刺激をユーザ端末3から同時に発してもよい。刺激判定部115は、得られた動画像から、前述の手順で複数の第1時点を推定してもよい。また、ユーザ端末3、刺激端末4、撮像端末5は、同一の端末の場合に限らず、刺激提示部113は、複数の刺激を同時に提示してもよい。
【0050】
変形例として、指示と刺激は同一でもよい。例えば、指示情報が、「音が出たら手を上げる」、「画面が光ったら左を見る」、「音楽に合わせた振り付け」など、事前にユーザに対して取り決めがなされたものなどである。当該指示(刺激)はテキスト以外にも、音や光、振動などの刺激が、ユーザに対して提示されるものである。この場合、刺激提示部113が、刺激端末4を通じて刺激を提示する。例えば、具体的には、競技の開始時などに、スピーカーなどを通じて出される音などである。
【0051】
なお、指示と刺激は同一の場合、刺激提示部113が、刺激端末4を通じて刺激を提示しない場合も含んでもよい。この場合の刺激は、例えば、具体的には、競技の開始時または終了時における、手を叩く音や、「用意、スタート」、「止め」などの人が出す声、ピストルの音、笛の音などであるが、これらに限定されない。
【0052】
また、他の変形例として、刺激判定部115は、指示と紐づかない刺激を判定してもよい。刺激判定部115は、例えば、画像に含まれる、音(例えば事故や花火の音など)、光(例えば車のヘッドライトや、雷など)、振動(例えば地震など)などを刺激と判定し、当該刺激からユーザが反応するまでの時間を反応時間と判定してもよい。なお、この場合、刺激端末4はコンピュータ以外のものであってもよい。
【0053】
また、他の変形例として、刺激判定部115は、例えば画像以外の、指示、刺激、反応のいずれかまたは複数を含む電子ファイルから、刺激と反応を判定してもよい。この場合、画像データ取得部114は、画像ではない音声ファイルなどを取得してもよい。
【0054】
また、他の変形例として、反応判定部116は、動物を捉えた画像を解析することで、人ではなく動物の動きをもとに、動物の反応を判定してもよい。例えば、刺激提示部113が、動物を忌避するための音などを刺激として刺激端末4を通じて出し、反応判定部116は動物の反応を判定することで、当該音の最適化などを行うことができるが、用途はこれに限定されない。
【0055】
また、他の変形例として、反応判定部116は、ゲームなどの画像を解析することで、ユーザの反応を判定してもよい。この場合、例えば、ゲームの画面上や、スピーカーを通じてテキストまたは音声等で指示または刺激(指示と刺激が同一の場合も含む)が提示される。また、画像データ取得部114は、ユーザの操作によって新たに表示される、または表示を変えるなどの、ゲーム画面上のキャラクターなどを含む画像を取得する。反応判定部116は、当該ゲームの画面の画像中のキャラクターの動きや、カーソルの動きなど、ユーザの操作と連動する描写を判定する。
【0056】
また、他の変形例として、サーバ装置1は、ユーザの反応を捉えた一つの動画像から、一つ以上の指示と、一つ以上の刺激と、一つ以上の反応を判定し、評価してもよい。例えば、短距離走のスタート時などは、ピストルの音が指示(刺激でもある)であり、反応はスタート台から足が離れること、地面から手が離れること、頭の位置が上方向に上がる事、などである。反応判定部116は、これら複数の反応のそれぞれを判定し、評価部117は、刺激からそれぞれの反応までの時間を評価してもよい。また、評価部117は、それぞれの反応同士の間の時間を評価してもよい。
【0057】
また、アドバイス送信部118は、前記ユーザ情報と、前記標準情報と、評価部117が評価した反応に係った時間の情報と、の一部または全部の情報を、ユーザに対して指導、支援を行う支援者(トレーナーや介護士、指導員など)が用いる情報端末に提示してもよい。また、アドバイス送信部118は、前記ユーザ情報と、前記標準情報と、評価部117が評価した反応に係った時間の情報をもとに、ユーザ端末3に提示するアドバイス情報を、当該情報端末に提示してもよい。当該支援者は、これらの情報をもとに、ユーザに対してアドバイスを行ってもよいし、当該情報端末から、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3に提示してもよい。また、アドバイス送信部118は、当該支援者から、当該情報端末に提示したアドバイス情報の修正や追記などの編集を受付けてもよい。アドバイス送信部118は、当該支援者から送信の指示を受付け、当該編集後のアドバイス情報を、ユーザ端末3に提示してもよい。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ装置1の各機能部および各記憶部は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0060】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0061】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0062】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0063】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 ユーザ端末
4 刺激端末
5 撮像端末
101 プロセッサ
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 ユーザ情報受付部
112 指示提示部
113 刺激提示部
114 画像データ取得部
115 刺激判定部
116 反応判定部
117 評価部
118 アドバイス送信部
131 ユーザ情報記憶部
132 指示情報記憶部
133 標準情報記憶部
134 アドバイス情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7