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特開2022-146953粘着テープ、電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146953
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】粘着テープ、電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220928BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20220928BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20220928BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/06
C09J133/14
C09J11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124109
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2022537076の分割
【原出願日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021047310
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】足立 絢
(72)【発明者】
【氏名】緒方 雄大
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
(72)【発明者】
【氏名】新井 祥人
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CB03
4J004CC02
4J004EA05
4J004FA08
4J040DF031
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA26
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA06
4J040LA08
4J040NA16
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】粗面に対して優れた粘着力を発揮できる粘着テープを提供する。また、該粘着テープを用いた電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法を提供する。
【解決手段】アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、前記アクリル共重合体は、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を30重量%以上含み、1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を0.01重量%以上、30重量%以下含む粘着テープ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記アクリル共重合体は、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を30重量%以上含み、1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を0.01重量%以上、30重量%以下含む
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記アクリル共重合体は、前記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を50重量%を超えて含むことを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記アクリル共重合体は、前記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を70重量%以上含むことを特徴とする請求項2記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記アクリル共重合体は、前記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び前記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を50重量%を超えて含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記アクリル共重合体は、炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が50重量%以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記アクリル共重合体は、更に、ガラス転移温度が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記アクリル共重合体は、前記ガラス転移温度が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位を5重量%以上、70重量%以下含むことを特徴とする請求項6記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の粘着テープ。
【請求項9】
前記アクリル共重合体は、前記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を0.01重量%以上、20重量%以下含むことを特徴とする請求項8記載の粘着テープ。
【請求項10】
前記架橋性官能基を有するモノマーは、水酸基を有するモノマーを含有し、前記アクリル共重合体は、前記水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を0.01重量%以上、20重量%以下含むことを特徴とする請求項8又は9記載の粘着テープ。
【請求項11】
前記アクリル共重合体は、重量平均分子量が20万以上、200万以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の粘着テープ。
【請求項12】
前記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の粘着テープ。
【請求項13】
前記粘着剤層は、界面活性剤を含有しないことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の粘着テープ。
【請求項14】
前記粘着剤層は、ゲル分率が10重量%以上、70重量%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の粘着テープ。
【請求項15】
前記粘着剤層は、生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の粘着テープ。
【請求項16】
電子機器部品又は車載機器部品の固定に用いられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15記載の粘着テープ。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16記載の粘着テープを用いて電子機器部品又は車載機器部品を固定することを特徴とする電子機器部品又は車載機器部品の固定方法。
【請求項18】
請求項17記載の電子機器部品又は車載機器部品の固定方法を含むことを特徴とする電子機器又は車載機器の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ、電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品、車輌、住宅及び建材において部品を固定する際に、粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープが広く用いられている(例えば、特許文献1~3)。具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために粘着テープが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-052050号公報
【特許文献2】特開2015-021067号公報
【特許文献3】特開2015-120876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着テープには、アクリル共重合体を含有するアクリル系粘着剤が広く用いられている。アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。しかしながら、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含むアクリル共重合体を含有する粘着剤は、平滑面に対する粘着力には優れていても、粗面に対する粘着力に劣ることがある。
【0005】
本発明は、粗面に対して優れた粘着力を発揮できる粘着テープを提供することを目的とする。また、本発明は、該粘着テープを用いた電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、上記アクリル共重合体は、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を30重量%以上含み、1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を0.01重量%以上、30重量%以下含む粘着テープである。
なお、本明細書中において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。アクリル共重合体は、メタクリル共重合体であってもよい。
以下、本発明を詳述する。
【0007】
本発明者らは、アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープにおいて、粗面に対する粘着力が低い原因について検討した結果、粘着剤層の凹凸に対する追従性が低いこと、又は、凹凸に対する追従性は高くても凝集力が低く柔らかすぎることにより容易に剥離してしまうことが原因であることを見出した。更に、本発明者らは、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位をそれぞれ特定の含有量で含むアクリル共重合体を用いることにより、粘着剤層の凹凸に対する追従性と凝集力とをいずれも高め、粗面に対して優れた粘着力を発揮できる粘着テープが得られることを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の粘着テープは、アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する。
上記アクリル共重合体は、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を30重量%以上含み、1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を0.01重量%以上、30重量%以下含む。これにより、本発明の粘着テープは、粗面に対して優れた粘着力を発揮できる粘着テープとなる。
【0009】
この理由は定かではないが、以下のように考えることができる。まず、n-ヘプチル(メタ)アクリレートのn-ヘプチル基は炭素数が奇数であるため、炭素数が偶数のn-炭化水素基よりも分子同士のパッキングが生じにくく、アクリル共重合体とした際にガラス転移温度が低下し、柔軟性を発揮しやすいと考えられる。しかし、n-ヘプチル基は直鎖状であるため、分枝鎖状の炭化水素基に比べて、アクリル共重合体とした際に絡み合い点が多くなりやすく、凹凸に対する追従性には限界がある。
一方、1-メチルヘプチル(メタ)アクリレートは、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに非常に近い構造だが、その1-メチルヘプチル基が主鎖近傍で分枝鎖構造をとる。したがって、1-メチルヘプチル(メタ)アクリレートは、直鎖状のモノマーに比べると分子の剛直性が高く、アクリル共重合体とした際のガラス転移温度はより高いものの、分枝鎖構造が分子同士のパッキングを阻害するので、凹凸に対する追従性を発揮しやすいと考えられる。
このように、上記アクリル共重合体が上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加えて、上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を少量含むことで、驚くべきことではあるが、上記粘着剤層の凝集力と凹凸に対する追従性とがバランスよく発揮されると考えられる。これにより、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなるのではないかと考えられる。
【0010】
上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位におけるn-ヘプチル(メタ)アクリレートは、n-ヘプチルアクリレートであってもn-ヘプチルメタクリレートであってもよいが、n-ヘプチルアクリレートがより好ましい。
上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位におけるn-ヘプチル(メタ)アクリレートは、石油由来のn-ヘプチル(メタ)アクリレートであってもよいし、生物由来のn-ヘプチル(メタ)アクリレートであってもよい。
上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位におけるn-ヘプチル(メタ)アクリレートが生物由来のn-ヘプチル(メタ)アクリレートを含んでいれば、石油資源を節約する観点や、二酸化炭素の排出量を削減する観点で好ましい。
【0011】
上記生物由来のn-ヘプチル(メタ)アクリレートは、生物由来のn-ヘプチルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化により合成することができる。上記生物由来のn-ヘプチルアルコールは、例えば、動植物等から採取される材料(例えば、ひまし油由来のリシノール酸等)を原料として、これをクラッキングすることにより入手することができる。
【0012】
上記アクリル共重合体における上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、下限が30重量%である。上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が30重量%以上であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は48重量%である。上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、50重量%を超えることがより好ましく、更に好ましい下限は60重量%、更により好ましい下限は70重量%、一層好ましい下限は80重量%である。
上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されず、好ましい上限は99重量%、より好ましい上限は97重量%である。
【0013】
上記アクリル共重合体における上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0014】
上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位における1-メチルへプチル(メタ)アクリレートは、1-メチルへプチルアクリレートであっても1-メチルへプチルメタクリレートであってもよいが、1-メチルへプチルアクリレートがより好ましい。
上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位における1-メチルへプチル(メタ)アクリレートは、石油由来の1-メチルへプチル(メタ)アクリレートのみからなっていてもよいが、生物由来の1-メチルへプチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。1-メチルへプチル(メタ)アクリレートが生物由来の1-メチルへプチル(メタ)アクリレートを含んでいれば、上述したn-ヘプチル(メタ)アクリレートの場合と同様に、石油資源を節約する観点で好ましく、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
【0015】
上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位における1-メチルへプチル(メタ)アクリレートが生物由来の1-メチルへプチル(メタ)アクリレートを含む場合、該1-メチルへプチル(メタ)アクリレートは、生物由来の1-メチルへプチルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化により合成されることが好ましい。
上記生物由来の1-メチルへプチルアルコールは、例えば、動植物等から採取される材料(例えば、ひまし油由来のリシノール酸等)を原料として、これをクラッキングすることにより得ることができる。
【0016】
上記アクリル共重合体における上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、下限が0.01重量%、上限が30重量%である。上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が上記範囲内であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は28重量%であり、より好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は25重量%であり、更に好ましい下限は10重量%、更に好ましい上限は20重量%である。
【0017】
上記アクリル共重合体における上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、熱分解GC-MSにより算出することができる。
より具体的には、1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が既知の標準サンプルの熱分解GC-MS測定を行い、測定された1-オクテンのピーク高さにより検量線を作成し、作成した検量線を用いて1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量を算出することができる。
更に具体的には、まず、検量線は、次のように作成することができる。n-ヘプチル(メタ)アクリレートと1-メチルへプチル(メタ)アクリレートとの配合比を調整した1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が既知のアクリル共重合体(標準サンプル)を準備する。標準サンプルを秤取し、下記の条件で熱分解GC-MS測定を行い、それぞれのトータルイオンカレントクロマトグラムを取得する。横軸に1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量、縦軸にトータルイオンカレントクロマトグラムにおける1-オクテンのピーク強度を取ることで、検量線を作成できる。次いで、測定対象のアクリル共重合体を、検量線作成時の標準サンプルと同量秤取し、下記の条件で熱分解GC-MS測定を行う。得られたトータルイオンカレントクロマトグラムにおける1-オクテンのピーク強度と、作成した検量線とから、1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量を算出する。
【0018】
<熱分解GC-MS測定条件>
装置 PY-3030D(FRONTIER LAB社製)
熱分解温度 550℃
GC-MS装置 Agilent 7890B(Agilent Technologies社製)&JMS-Q1500(日本電子社製)
注入口温度 300℃
サンプル量 0.2mg精秤
カラム Ultra-ALLOY-1(無極性)0.25mmφ×30m×0.25μm
He流量 1.0mL/min(スプリット比1:50)
カラム温度 40℃(3min)→10℃/min→300℃(5min)
MS温度 イオン源;230℃,インターフェイス;250℃
MS測定範囲 35~600
イオン化法 EI法
測定モード スキャン
イオン化電圧 70eV
【0019】
上記アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記アクリル共重合体が架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することで、上記粘着剤層の凝集力が上がり、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。
【0020】
上記架橋性官能基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、グリシジル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、ニトリル基を有するモノマー等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層のゲル分率の調節が容易であることから、水酸基を有するモノマー及びカルボキシル基を有するモノマーが好ましく、水酸基を有するモノマーがより好ましい。
上記水酸基を有するモノマーとして、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。上記カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。上記グリシジル基を有するモノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。上記アミド基を有するモノマーとして、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。上記ニトリル基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
これらの架橋性官能基を有するモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記アクリル共重合体における上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は20重量%である。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量が上記範囲内であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%であり、更に好ましい下限は0.5重量%、更に好ましい上限は5重量%である。
【0022】
上記アクリル共重合体が上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位のなかでも特に上記水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を有する場合、上記アクリル共重合体における上記水酸基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は20重量%である。上記水酸基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の凝集力と凹凸に対する追従性とがよりバランスよく発揮される。上記水酸基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%であり、更に好ましい下限は0.5重量%、更に好ましい上限は5重量%である。
【0023】
上記アクリル共重合体における上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0024】
上記アクリル共重合体は、上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位以外の、他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、例えば、n-ヘプチル(メタ)アクリレート及び1-メチルへプチル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチルブチル)オクタノール-1と(メタ)アクリル酸とのエステル、直鎖状の主鎖に1又は2のメチル基を有する総炭素数18のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ベヘニル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記アクリル共重合体における、上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び上記1-メチルへプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量(合計含有量)は特に限定されないが、好ましい下限は30重量%、より好ましい下限は48重量%である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量(合計含有量)は、50重量%を超えることが更に好ましく、更により好ましい下限は60重量%、一層好ましい下限は70重量%、より一層好ましい下限は80重量%である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量(合計含有量)の上限は特に限定されないが、好ましい上限は99重量%、より好ましい上限は97重量%である。
【0026】
また、上記他のモノマーとして、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等も挙げられる。更に、上記他のモノマーとして、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルや、スチレン等の一般のアクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーも用いることができる。これらの他のモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記アクリル共重合体は、炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有していてもよい。
上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは特に限定されず、上述したもののなかでは、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチルブチル)オクタノール-1と(メタ)アクリル酸とのエステル、直鎖状の主鎖に1又は2のメチル基を有する総炭素数18のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ベヘニル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
上記アクリル共重合体における上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましい上限は70重量%である。上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量が70重量%以下であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量のより好ましい上限は50重量%、更に好ましい上限は48.5重量%、更により好ましい上限は40重量%、特に好ましい上限は30重量%である。
上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量の下限は特に限定されず、0重量%であってもよい。上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する場合、その含有量の好ましい下限は1重量%、より好ましい下限は5重量%である。即ち、上記アクリル共重合体における上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の好ましい含有量は、1重量%以上、70重量%以下である。
【0029】
上記アクリル共重合体における上記炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量も、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0030】
上記アクリル共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。
上記アクリル共重合体がガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位を有することで、上記粘着剤層の粘着力がより高くなる。なお、ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーとは、ホモポリマーとしたときに該ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-35℃以上となるモノマーであり、該ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量測定により求めることができる。
【0031】
上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーのガラス転移温度(Tg)は、より好ましくは-15℃以上である。上記ガラス転移温度(Tg)の上限は特に限定されないが、好ましい上限は180℃、より好ましい上限は150℃である。
【0032】
上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーは特に限定されないが、架橋性官能基を有さないモノマーが好ましく、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等が挙げられる。なかでも、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0033】
上記アクリル共重合体における上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、好ましくは5重量%以上、70重量%以下である。上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位の含有量が70重量%以下であれば、上記粘着剤層の凹凸に対する追従性がより高くなる。上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい上限は65重量%、更に好ましい上限は60重量%、更により好ましい上限は55重量%、特に好ましい上限は50重量%である。
上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位を含有する場合、その含有量の好ましい下限は5重量%、より好ましい下限は10重量%である。
【0034】
上記アクリル共重合体における上記ガラス転移温度(Tg)が-35℃以上のモノマーに由来する構成単位の含有量も、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0035】
上記アクリル共重合体は、環構造を有するモノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記アクリル共重合体が環構造を有するモノマーに由来する構成単位を有することで、光学用粘着テープとして粘着テープを好適に用いることができる。
上記環構造は特に限定されず、例えば、脂環式構造、芳香環構造、複素環構造等が挙げられる。上記環構造を有するモノマーとして、上述したもののなかでは、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレートが好ましい。なかでも特に、生物由来のモノマーが好ましく、生物由来のイソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0036】
上記架橋性官能基を有するモノマー、及び、上記他のモノマーは、生物由来のモノマーを含むことが好ましいが、石油由来のモノマーのみからなっていてもよい。
理論的には、上記アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーを、全て生物由来のモノマーとすることも可能である。粘着テープのコストや生産性の観点からは、比較的安価で入手の容易な生物由来のモノマーを採用し、これに石油由来のモノマーを組み合わせてもよい。
【0037】
上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、-20℃以下であることが好ましい。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)が-20℃以下であれば、上記粘着剤層の凹凸に対する追従性が向上するため、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-30℃以下であることがより好ましく、-40℃以下であることが更に好ましく、-50℃以下であることが更により好ましい。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)の下限は特に限定されず、通常-90℃以上であり、-80℃以上であることが好ましい。
上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量測定により求めることができる。
【0038】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は20万、好ましい上限は200万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量が上記範囲内であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は180万であり、更に好ましい下限は50万、更に好ましい上限は150万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量が50万以上であれば、粘着テープの粘着力、特に高温でせん断方向に荷重がかかったときの保持力がより高くなる。
なお、重量平均分子量とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミッションクロマトグラフィ)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。具体的には、アクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈し、得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過することにより、測定サンプルを調製する。次に、この測定サンプルをゲルパーミッションクロマトグラフ(Waters社製、商品名「2690 Separartion Model」又はその同等品)に供給して、サンプル流量1mL/分、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行う。アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、この値をアクリル共重合体の重量平均分子量とする。
【0039】
上記アクリル共重合体は、原料となるモノマー混合物を重合開始剤の存在下にてラジカル反応させることによって得ることができる。
ラジカル反応の方式は特に限定されず、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。リビングラジカル重合によれば、フリーラジカル重合と比較してより均一な分子量及び組成を有する共重合体が得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができることから、上記粘着剤層の凝集力が上がり、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。
重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。重合方法として、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、UV重合、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなることから、溶液重合及びUV重合が好ましい。更に、得られたアクリル共重合体に対して粘着付与樹脂を混合しやすく、粘着テープの粘着力を更に高くすることができることから、溶液重合がより好ましい。
【0040】
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、リビングラジカル重合の場合には、上記重合開始剤として、例えば、有機テルル重合開始剤が挙げられる。上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。なお、リビングラジカル重合においても、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として上記重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。
【0042】
上記粘着剤層は、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
上記粘着剤層が界面活性剤を含有しないことにより、粘着テープの粘着力、特に高温での粘着力がより高くなる。なお、上記粘着剤層が界面活性剤を含有しないとは、上記粘着剤層における界面活性剤の含有量が3重量%以下であることを意味し、好ましくは1重量%以下である。
上記粘着剤層が界面活性剤を含有しないためには、上記アクリル共重合体を得る際に界面活性剤を使用しないことが好ましい。このためには、例えば、上記アクリル共重合体を得る際の重合方法として、溶液重合、UV重合等を採用すればよい。
【0043】
上記界面活性剤の含有量は、例えば、上記粘着剤層について液体クロマトグラフィー質量分析計(例えば、島津製作所社製NEXCERA、Thermo Fisher Scientific社製Exactive等)を用いて測定することで求めることができる。より具体的には、上記粘着剤層の酢酸エチル溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過する。得られた濾液約10μLを液体クロマトグラフィー質量分析計に注入して下記条件で分析する。上記粘着剤層に占める上記界面活性剤に対応するピークの面積比から、上記界面活性剤の含有量を求めることができる。なお、界面活性剤種ごとに上記粘着剤層中の上記界面活性剤の含有量が既知のサンプルを作製し、界面活性剤含有量とピーク面積比との関係を示す検量線を作成し、分析することが好ましい。
カラム Thermo Fisher Scientific社製、Hypersil GOLD(2.1×150mm)
移動相 アセトニトリル
カラム温度 40℃
流速 1.0mL/min
イオン化方法 ESI
キャピラリー温度 350℃
【0044】
上記粘着剤層は、ゲル分率を適度に調節できる観点から、更に、架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層が被着体への密着性に優れることから、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
上記架橋剤の分子量は特に限定されないが、製造上の観点から、分子量は2000未満が好ましく、100以上が好ましい。
【0045】
上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は0.05重量部、好ましい上限は7重量部である。上記架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、上記粘着剤層のゲル分率が適度に調節され、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
なお、上記架橋剤の含有量は、上記架橋剤の固形分の量を示す。
【0046】
上記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含有することが好ましい。上記粘着剤層が上記粘着付与樹脂を含有することにより、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、例えば、ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、クマロンインデン系粘着付与樹脂、脂環族飽和炭化水素系粘着付与樹脂、C5系石油粘着付与樹脂、C9系石油粘着付与樹脂、C5-C9共重合系石油粘着付与樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ロジンエステル系粘着付与樹脂及びテルペン系粘着付与樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0047】
上記ロジンエステル系粘着付与樹脂としては、例えば、重合ロジンエステル系樹脂、水添ロジンエステル系樹脂等が挙げられる。上記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂等が挙げられる。
上記ロジンエステル系粘着付与樹脂及び上記テルペン系粘着付与樹脂は、生物由来であることが好ましい。生物由来のロジンエステル系粘着付与樹脂として、例えば、松脂等の天然樹脂に由来するロジンエステル系粘着付与樹脂が挙げられる。生物由来のテルペン系粘着付与樹脂として、例えば、植物の精油等に由来するテルペン系粘着付与樹脂等が挙げられる。
【0048】
上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が上記範囲内であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記粘着付与樹脂の含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は50重量部であり、更に好ましい上限は35重量部である。
【0049】
上記粘着剤層は、必要に応じて、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤等を含有していてもよい。
【0050】
上記粘着剤層は、生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であることが好ましい。生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であることが「バイオベース製品」であることの目安となる。上記生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であれば、石油資源を節約する観点や、二酸化炭素の排出量を削減する観点から好ましい。上記生物由来の炭素の含有率のより好ましい下限は40重量%以上、更に好ましい下限は60重量%である。上記生物由来の炭素の含有率の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。
なお、生物由来の炭素には一定割合の放射性同位体(C-14)が含まれるのに対し、石油由来の炭素にはC-14がほとんど含まれない。そのため、上記生物由来の炭素の含有率は、上記粘着剤層に含まれるC-14の濃度を測定することによって算出することができる。具体的には、多くのバイオプラスチック業界で利用されている規格であるASTM D6866-20に準じて測定することができる。
【0051】
上記粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は70重量%である。上記ゲル分率が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の凹凸に対する追従性と凝集力とがいずれも高くなり、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記ゲル分率のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は60重量%である。
上記ゲル分率は、次のようにして測定される。
まず、粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材(PETフィルム)の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0052】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は3μm、好ましい上限は300μmである。上記粘着剤層の厚みが上記範囲内であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は5μm、更に好ましい下限は10μmである。上記粘着剤層の厚みのより好ましい上限は200μm、更に好ましい上限は100μmである。
【0053】
本発明の粘着テープは、基材を有しないノンサポートテープであってもよく、基材の一方の面に上記粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよく、基材の両面に上記粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。
上記基材としては特に限定されず、従来公知の基材を用いることができるが、粘着テープ全体としての生物由来材料の含有率を高くするためには、生物由来の基材を用いることが好ましい。
上記生物由来の基材としては、例えば、植物由来のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等のポリエステル(PES)からなるフィルム及び不織布等が挙げられる。また、植物由来のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロース、ポリアミド(PA)等からなるフィルム及び不織布等も挙げられる。
【0054】
上記基材は、基材強度の観点からは、PESからなるフィルム又はPAからなるフィルムが好ましい。更に、耐熱性や耐油性の観点からは、PAからなるフィルムが好ましい。
上記PAからなるフィルムの構成物として、例えば、ひまし油を原料とするナイロン11、ナイロン1010、ナイロン610、ナイロン510、ナイロン410等や、セルロースを原料とするナイロン56等が挙げられる。
【0055】
また、新たな石油資源の使用量を減らし、二酸化炭素の排出量を抑えることで環境負荷低減を図る観点では、再生資源を使用した基材を用いてもよい。資源の再生方法としては、例えば、包装容器、家電、自動車、建設資材、食品等の廃棄物や、製造工程で発生した廃棄物を回収し、取り出された材料を、洗浄、除染、又は、加熱や発酵による分解により、再び原料として使用する方法が挙げられる。再生資源を使用した基材としては、例えば、回収したプラスチックを再樹脂化したものを原料として使用した、PET、PBT、PE、PP、PA等からなるフィルム及び不織布等が挙げられる。また、回収した廃棄物を燃焼させ、基材やその原料の製造に関わる熱エネルギーとして利用してもよく、回収した上記廃棄物に含まれる油脂を石油に混合し、分留、精製したものを原料に利用してもよい。
【0056】
上記基材は、圧縮特性を向上させる観点から、発泡体基材であってもよい。
上記発泡体基材としては、PE、PP及び/又はPUからなる発泡体基材が好ましく、柔軟性と強度とを高度に両立させる観点から、PEからなる発泡体基材がより好ましい。PEからなる発泡体基材の構成物として、例えば、サトウキビを原料とするPE等が挙げられる。
【0057】
上記発泡体基材の製造方法は特に限定されないが、例えば、サトウキビを原料とするPEを含有するPE樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を調製し、押出機を用いて発泡性樹脂組成物をシート状に押出加工する際に発泡剤を発泡させ、得られたポリオレフィン発泡体を必要に応じて架橋する方法が好ましい。
【0058】
上記発泡体基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は50μm、好ましい上限は1000μmである。上記発泡体基材の厚みがこの範囲内であると、高い耐衝撃性を発揮しながら、被着体の形状に沿って密着させて貼り合わせることができる高い柔軟性を発揮することができる。上記発泡基材の厚みのより好ましい上限は300μmである。
【0059】
本発明の粘着テープは、粘着テープの総厚み(基材と粘着剤層の厚みの合計)の好ましい下限が3μm、好ましい上限が1200μmである。粘着テープの総厚みが上記範囲内であれば、粘着テープの粗面に対する粘着力がより高くなる。本発明の粘着テープの総厚みのより好ましい上限は500μmである。
【0060】
本発明の粘着テープは、JIS Z 0237:2009に準拠して測定したSUS304-BA板に対する180°剥離力の好ましい下限が5N/25mm、より好ましい下限が7N/25mmである。上記180°剥離力の上限は特に限定されず、高いほど好ましいが、実質的には25N/25mm程度である。
上記JIS Z 0237:2009に準拠して測定したSUS304-BA板に対する180°剥離力は、次のようにして測定される。まず、幅25mm×長さ75mmに粘着テープを裁断し、試験片を作製する。この試験片をSUS304-BA板にその粘着剤層がSUS304-BA板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより貼り合わせる。その後、23℃、50%湿度で20分養生し、試験サンプルを作製する。JIS Z 0237:2009に準じて、23℃、50%湿度の条件下、この試験サンプルを引張速度300mm/minの条件で180°方向に剥離し、剥離力(N/25mm)を測定する。
なお、粘着テープが、基材を有しないノンサポートテープ又は基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープの場合、他方(測定しない側)の粘着剤層表面に、厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(例えばフタムラ化学社製、FE2002又はその同等品)を裏打ちした後にSUS304-BA板への貼り合わせを行う。
【0061】
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法により製造することができる。例えば、基材を有する両面粘着テープの場合には、以下のような方法が挙げられる。
まず、上記アクリル共重合体と、必要に応じて上記架橋剤や上記粘着付与樹脂等に溶剤を加えて粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に、上記と同様の要領で作製した粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された基材の裏面に、粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、該粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0062】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、該粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得てもよい。
【0063】
また、同様の要領で作製した粘着剤の溶液を離型フィルムの離型処理面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層を形成した後、この粘着剤層を離型フィルムの離型処理面に重ねることによって、基材を有しないノンサポートテープを得てもよい。
【0064】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、平滑面に対する粘着力にも粗面に対する粘着力にも優れることから、電子機器部品又は車載機器部品の固定に用いられることが好ましい。具体的には、大型の携帯電子機器における電子機器部品の接着固定、車載機器部品(例えば、車載用パネル)の接着固定等に、本発明の粘着テープを好適に用いることができる。
【0065】
本発明の粘着テープを用いて電子機器部品又は車載機器部品を固定する電子機器部品又は車載機器部品の固定方法もまた、本発明の1つである。本発明の電子機器部品又は車載機器部品の固定方法を含む電子機器又は車載機器の製造方法もまた、本発明の1つである。これらの方法によれば、電子機器部品又は車載機器部品を強固に固定できる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、粗面に対して優れた粘着力を発揮できる粘着テープを提供することができる。また、本発明によれば、該粘着テープを用いた電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0068】
(実施例1)
(1)アクリル共重合体の製造
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入した。n-ヘプチルアクリレート(C7)30重量部、1-メチルへプチルアクリレート1重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA、三菱ケミカル社製)63.9重量部、アクリル酸(AAc、日本触媒社製)5重量部及び2-ヒドロキシルエチルアクリレート(2-HEA、大阪有機化学工業社製)0.1重量部を2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、アクリル共重合体含有溶液を得た。
なお、n-ヘプチルアクリレート(C7)は、n-ヘプチルアルコール(東京化成工業社製)とアクリル酸(AAc、日本触媒社製)とをエステル化することにより調製し、1-メチルへプチルアクリレートは、1-メチルヘプチルアルコール(東京化成工業社製)とアクリル酸(AAc、日本触媒社製)とをエステル化することにより調製した。
【0069】
得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミッションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量を求めた。
【0070】
(2)粘着テープの製造
得られたアクリル共重合体含有溶液に、アクリル共重合体100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製、コロネートL-45)の固形分が0.5重量部となるよう加え、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を厚み75μmの離型処理したPETフィルムの離型処理面に、乾燥後の粘着剤層の厚みが50μmとなるように塗工した後、110℃で5分間乾燥させた。この粘着剤層を、厚み75μmの離型処理したPETフィルムの離型処理面に重ねて、40℃で48時間養生し、粘着テープ(ノンサポートタイプ)を得た。
【0071】
(3)粘着剤層のゲル分率の測定
得られた粘着テープの一方の面の離型フィルムを剥がし、厚み23μmのPETフィルム(フタムラ化学社製、FE2002)に貼り合わせ、20mm×40mmの平面長方形状に裁断した。更に粘着テープのもう一方の面の離型フィルムを剥がして、試験片を作製し、重量を測定した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材(PETフィルム)の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0072】
(実施例2~11、比較例1~7)
アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーの種類及び配合量、粘着付与樹脂及び架橋剤の種類及び配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0073】
なお、比較例2では、n-ブチルアクリレート(BA、三菱ケミカル社製)を用いた。また、実施例7では、粘着付与樹脂として、テルペンフェノール樹脂Aを10重量部、重合ロジンエステル樹脂Bを10重量部及び水添ロジンエステル樹脂Cを10重量部用いた。粘着付与樹脂としては、以下の生物由来の粘着付与樹脂を用いた。
・テルペンフェノール樹脂A(ヤスハラケミカル社製、G150、軟化点:150℃、生物由来炭素含有率67重量%)
・重合ロジンエステル樹脂B(水酸基価:46、軟化点:152℃、生物由来炭素含有率95重量%)
・水添ロジンエステル樹脂C(荒川化学工業社製、KE359、水酸基価:40、軟化点:100℃、生物由来炭素含有率95重量%)
【0074】
(実施例12、13)
アクリル共重合体の重量平均分子量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0075】
<評価>
実施例及び比較例で得た粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1~2に示した。
【0076】
(1)粗面に対する剥離力
JIS Z 0237:2009に準拠して、粗面としての耐水研磨紙(ノリタケコーテッドアブレーシブ社製、C947H、粒度360、表面粗さRa=10.8μm)に対する粘着テープの180°剥離力を測定した。
具体的には、まず、耐水研磨紙の裏面を測定用粘着テープ(積水化学工業社製、#560)を用いてSUS304板に貼り合わせた。次に、粘着テープの一方の面(測定しない側)を厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2002)で裏打ちした後に、幅25mm×長さ75mmに裁断し、試験片を作製した。この試験片をSUS304板に貼り合わせた耐水研磨紙の研磨面に、その粘着剤層(測定する側)が研磨面に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより貼り合わせた。その後、23℃、50%湿度で20分養生し、試験サンプルを作製した。JIS Z 0237:2009に準じて、23℃、50%湿度の条件下、この試験サンプルを引張速度300mm/minの条件で180°方向に剥離し、剥離力(N/25mm)を測定した。
剥離力が10N/25mm以上であった場合を〇、10N/25mm未満であった場合を×とした。
なお、耐水研磨紙の表面粗さRaは、レーザ顕微鏡(KEYENCE社製、カラー3Dレーザ顕微鏡、VK-8710)を用いて測定した。
【0077】
(2)高温せん断保持力
実施例1、12及び13にかかる粘着テープについて、保持力を測定し、結果を表2に示した。JIS Z 0237:2009に準拠して、粘着テープの高温せん断保持力を測定した。
具体的には、まず、粘着テープの一方の面(測定しない側)を厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2002)で裏打ちした後に、幅25mm×長さ75mmに裁断し、試験片を作製した。この試験片を、その粘着剤層(測定する側)が厚さ2mm、幅50mm、長さ80mmのSUS304-2B板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより貼り合わせた。その後、23℃、50%湿度で20分養生し、試験サンプルを作製した。試験サンプルを80℃、50%湿度の環境下に置き、15分間静置した後、JIS Z 0237:2009に準じて、この試験サンプルのポリエチレンテレフタレートフィルムにせん断方向の荷重がかかるように1kgのおもりを取り付けた。おもりを取り付けてから1時間後に、粘着剤層のSUS304-2B板への貼り合わせ位置からのせん断方向へのずれ量を測定した。
ずれ量が0.5mm以下であった場合を〇、0.5mmを超えた場合を△とした。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、粗面に対して優れた粘着力を発揮できる粘着テープを提供することができる。また、本発明によれば、該粘着テープを用いた電子機器部品又は車載機器部品の固定方法、及び、電子機器又は車載機器の製造方法を提供することができる。