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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146968
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】操作インターフェース
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0338 20130101AFI20220929BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048018
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】514033770
【氏名又は名称】公立大学法人前橋工科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】朱 赤
(72)【発明者】
【氏名】田島 利基
(72)【発明者】
【氏名】李 沛譲
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AB02
5B087AB11
5B087BC12
5B087BC13
5B087BC26
(57)【要約】
【課題】安価で振動に強く且つ直感的な操作が可能な操作インターフェースを提供する。
【解決手段】この操作インターフェース80は、左レバー10Lと右レバー10Rに対する押す、引く、(横方向に)ズラすといった動作によって操作対象の操作を行う。これにより、操作者にとって簡単で直感的な操作が可能となる。また、この操作インターフェース80は、安価な位置センサ(左位置センサ24L、右位置センサ24R、横方向位置センサ44)を使用して、2自由度もしくは3自由度の操作内容を検出する。これにより、特に3自由度の操作インターフェース80では、6軸のカセンサと同等の操作インターフェースを極めて安価に構築することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が握って操作を行う左レバーと右レバーと、
前記左レバーを前後方向に移動可能な状態で保持する左筐体と、
前記右レバーを前後方向に移動可能な状態で保持する右筐体と、
前記左レバーを原点位置に付勢する左弾性部材と、
前記右レバーを原点位置に付勢する右弾性部材と、
前記左レバーの原点位置からの変位量をリニアに検出して出力する左位置センサと、
前記右レバーの原点位置からの変位量をリニアに検出して出力する右位置センサと、
を有し、前記左レバー及び右レバーの変位量から2自由度の力もしくはトルクを検出することを特徴とする操作インターフェース。
【請求項2】
左筐体と右筐体とを連結する連結部材と、
前記連結部材を左右方向に移動可能な状態で横方向原点位置に付勢する中央弾性部材と、
前記連結部材の横方向原点位置からの変位量をリニアに検出して出力する横方向位置センサと、をさらに有し、左レバー及び右レバーの変位量に加え前記連結部材の左右方向の変位量から3自由度の力もしくはトルクを検出することを特徴とする請求項1記載の操作インターフェース。
【請求項3】
中央弾性部材と横方向位置センサとを収容し設置対象に対する取付部を備えた中央筐体を有し、連結部材が前記中央筐体に対し左右方向に移動可能な状態で設置されてユニット化したことを特徴とする請求項2記載の操作インターフェース。
【請求項4】
取付部が設置対象に着脱可能なことを特徴とする請求項3記載の操作インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電動車イスや電動台車等を操縦するための2自由度もしくは3自由度の力もしくはトルクを検出する操作インターフェースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な車輪型移動ロボットが日常生活に溶け込んでいる。中でも電動車イスやシニアカーは、人力で漕ぐ動作(ハンドリム操作)が必要なく長距離の移動も容易であるため、高齢者や下肢に障害を持った身体障害者にとって有効な移動手段となっている。また、近年では少子高齢化の進行により車イス介護の需要は年々増加しているのに対し、介護職を志す若年層の割合は増加しておらず介護者への負担増が問題視されている。このため、電動車イスは介護者の負荷を軽減するためのツールとしても有用である。尚、一般的な電動車イスは、下記[特許文献1]に記載のように、利用者(搭乗者)が座席部のアームレストの先端部に設けられたジョイスティック式レバーにより操作するものが多い。
【0003】
また、近年では、全方向移動車イスの開発が盛んである。全方向移動車イスとは前後・左右・回転の3つの移動動作が可能であり、平面上をあらゆる方向に移動することができる。このため、日本の狭い住環境においてもストレスのない移動が可能となる。このような全方向移動車イスの操作インターフェースとしては、タッチパネルや6軸のカセンサを用いたものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-014325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、[特許文献1]に記載の発明のようなジョイスティックや全方向移動車イスで使用されているタッチパネル等の操作インターフェースは操作に一定の習熟度が必要であり、認知機能が低い高齢者や知的障害者の利用は難しい。また、瞬時の判断力が低下した高齢者が使用する際には事故の要因となり危険である。
【0006】
また、6軸のカセンサを用いた操作インターフェースは微小な範囲で力を検出でき、このカ情報によってモータを駆動するため手動車イスと同じように押す・引くといった簡単で直感的な操作が可能である。しかしながら、6軸のカセンサは非常に高価であり、また振動に弱く壊れ易いため、6軸のカセンサを搭載した車イスの商品化は難しい。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、安価で振動に強く且つ直感的な操作が可能な操作インターフェースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)操作者が握って操作を行う左レバー10Lと右レバー10Rと、前記左レバー10Lを前後方向に移動可能な状態で保持する左筐体16Lと、前記右レバー10Rを前後方向に移動可能な状態で保持する右筐体16Rと、前記左レバー10Lを原点位置に付勢する左弾性部材22Lと、前記右レバー10Rを原点位置に付勢する右弾性部材22Rと、前記左レバー10Lの原点位置からの変位量をリニアに検出して出力する左位置センサ24Lと、前記右レバー10Rの原点位置からの変位量をリニアに検出して出力する右位置センサ24Rと、を有し、前記左レバー10L及び右レバー10Rの変位量から2自由度の力もしくはトルクを検出することを特徴とする操作インターフェース80を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)左筐体16Lと右筐体16Rとを連結する連結部材30と、前記連結部材30を左右方向に移動可能な状態で横方向原点位置に付勢する中央弾性部材32と、前記連結部材30の横方向原点位置からの変位量をリニアに検出して出力する横方向位置センサ44と、をさらに有し、左レバー10L及び右レバー10Rの変位量に加え前記連結部材30の左右方向の変位量から3自由度の力もしくはトルクを検出することを特徴とする上記(1)記載の操作インターフェース80を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)中央弾性部材32と横方向位置センサ44とを収容し設置対象に対する取付部38を備えた中央筐体36を有し、連結部材30が前記中央筐体36に対し左右方向に移動可能な状態で設置されてユニット化したことを特徴とする上記(2)記載の操作インターフェース80を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)取付部38が設置対象に着脱可能なことを特徴とする上記(3)記載の操作インターフェース80を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る操作インターフェースは、左レバーと右レバーに対する押す、引く、(横方向に)ズラすといった動作によって操作対象の操作を行う。これにより、操作者にとって簡単で直感的な操作が可能となる。また、本発明に係る操作インターフェースは、安価な位置センサを使用して操作内容を検出する。これにより、操作インターフェースを極めて安価に構築することができる。特に、3つの位置センサを用いた構成では、6軸の操作インターフェースを極めて安価に構築することができる。また、振動に強く耐久性の高い操作インターフェースを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る操作インターフェースを説明する斜視図である。
図2】本発明に係る操作インターフェースを説明する図である。
図3】本発明に係る操作インターフェースを全方向移動車イスに適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る操作インターフェースの実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1(a)は本発明に係る操作インターフェース80の斜視図であり、図1(b)は部分的な透視図である。また、図2(a)は本発明を構成する左筐体の側面図であり、図2(b)は本発明の操作インターフェース80の背面図(操作者側の面から見た図)である。尚、図1図2では内部構造を図示するため、左右筐体16L、16R、中央筐体36の側壁を省略して図示している。
【0012】
図1図2に示す本発明に係る操作インターフェース80は、操作者が握って操作を行う左レバー10Lと右レバー10Rとを有し、例えば、全方向移動車イス、電動車イス、電動台車や配膳車などの移動体等、また、これら移動体やロボット等の遠隔操作用のコントローラやゲーム機、民生用、産業用ロボット、マニピュレータの操作インターフェース、その他の機器の操作インターフェースとして、幅広い機器へ適用することができる。また、工場や物流産業の運搬台車、配膳車などの移動体を操縦する作業者の負荷を軽減するためのパワーアシスト用の力を検出するツール(インタフェース)としても使用することができる。さらに、産業用ロボットまたはマニピュレータの手先に装着して2軸または3軸の力もしくはトルクの力覚センサとしても使用することができる。
【0013】
また、左レバー10Lと右レバー10Rは例えば略I型形状の保持部材12に固定しており、この保持部材12はスライドレール14を介して前後動が可能な状態で左筐体16L、右筐体16Rにそれぞれ保持されている。また、左右筐体16L、16Rの上面の少なくとも左右レバー10L、10Rの可動域は開口しており、これにより左右レバー10L、10Rは左右筐体16L、16Rに対して前後方向にスライド移動が可能となる。
【0014】
また、保持部材12の可動方向の前後にはバネ等の弾性部材(左弾性部材22L、右弾性部材22R)が設置される。そして、これら左右弾性部材22L、22Rの各一端は保持部材12と当接し、各他端は左右筐体16L、16Rの内面にそれぞれ当接する。これにより、左右弾性部材22L、22Rは保持部材12を前後方向から押圧し、左右レバー10L、10Rがフリーな状態では、前後の弾性部材が釣り合ったそれぞれの原点位置に保持部材12を位置させる。これにより、左右レバー10L、10Rは左右弾性部材22L、22Rによって前後方向に移動可能な状態で左右レバーの原点位置にそれぞれ付勢される。尚、保持部材12は原点位置にある時でも左右弾性部材22L、22Rから弾性力を受けていることが好ましい。この構成では、左レバー10L、右レバー10Rの遊びが無くなり、原点位置での左右レバー10L、10Rの振動を低減することができる。
【0015】
また、左筐体16Lには左位置センサ24Lが設けられ、左レバー10L(保持部材12)の原点位置を基準とした前方もしくは後方への変位量をリニアに検出し、後述のコントローラ122等の操作対象の制御部に出力する。また右筐体16Rには右位置センサ24Rが設けられ、右レバー10R(保持部材12)の原点位置を基準とした前方もしくは後方への変位量をリニアに検出し、操作対象の制御部に出力する。尚、このように左右レバー10L、10Rは左右弾性部材22L、22Rによって前後から付勢されている。よって、左右レバー10L、10Rはそれぞれの原点位置からの変位量が増大するに伴い左右弾性部材22L、22Rからの応力が大きくなり、変位量が大きくなる程、移動に強い力を要する。即ち、左右レバー10L、10Rの変位量は左右レバー10L、10Rにかかる力及びトルクと相関関係を有する。よって、操作インターフェース80は左右レバー10L、10Rにかかる力もしくはトルクを左右レバー10L、10Rの変位量として検出し出力することとなる。また、変位量から左右レバー10L、10Rにかかる力もしくはトルクを逆算して、力もしくはトルクの検出機構としても使用することができる。以上が、本発明に係る操作インターフェース80の2自由度の構成部分である。
【0016】
次に、本発明に係る操作インターフェース80の3自由度の構成部分を説明する。尚、この構成は必須のものではなく、上記の2自由度の構成部分のみで2自由度の操作インターフェース80としても良いし、下記の3自由度の操作インターフェース80の連結部材30と中央筐体36とを固定状態とすることで、3自由度の操作インターフェース80を2自由度の操作インターフェース80として使用しても良い。
【0017】
本発明に係る操作インターフェース80の3自由度の構成部分は、上記の2自由度の構成部分の左筐体16Lと右筐体16Rとが連結部材30によって連結される。また、この連結部材30は中央筐体36によって横方向(左右方向)に移動可能な状態で保持される。連結部材30の保持機構の一例としては、先ず、中央筐体36の上面にスライドレール34を固定するとともに、連結部材30の下面にこのスライドレール34と係合するスライダ37を設ける。そして、スライドレール34とスライダ37とを係合する。また、連結部材30の下面に例えば下に開いた略コの字型の保持部材35を設けるとともに、中央筐体36の上面に保持部材35の可動域よりも大きな所定の寸法の開口を設ける。そして、保持部材35を中央筐体36の開口を通して連結部材30に固定する。これにより、連結部材30はスライドレール34に沿って中央筐体36に対し横方向(左右方向)への移動が可能となる。尚、操作インターフェース80の設置対象や設置個所、使用状態によっては、左右レバー10L、10Rを介して連結部材30に大きな荷重やトルクが掛かる場合がある。よって、スライドレール34は左右レバー10L、10Rのスライドレール14よりも大型で耐荷重の大きなものを用いることが好ましい。
【0018】
尚、連結部材30の移動機構と前述の左右レバー10L、10Rの移動機構にスライドレール14、34を用いることで、保持部材12、35の移動時の摩擦が低減され、左右レバー10L、10R、連結部材30に対する微小な操作を円滑に行うことができる。これにより、操作対象への細かな操作が可能となる。
【0019】
また、保持部材35の可動方向の両側、即ち保持部材35の左右にはバネ等の中央弾性部材32が設けられる。そして、これら左右の中央弾性部材32の各一端は保持部材35と当接し、各他端は中央筐体36の内面に当接する。これにより、中央弾性部材32は保持部材35を左右方向から押圧し、連結部材30に横方向の力が掛からない状態では、左右の中央弾性部材32が釣り合った横方向原点位置に保持部材35を位置させる。これにより、連結部材30は中央弾性部材32によって左右方向に移動可能な状態で横方向原点位置に付勢される。尚、保持部材35は保持部材12と同様に、原点位置にある時でも中央弾性部材32から弾性力を受けていることが好ましい。この構成では、連結部材30の遊びが無くなり、原点位置における連結部材30の横方向の振動を低減することができる。
【0020】
また、中央筐体36には横方向位置センサ44が設けられ、保持部材35の横方向原点位置を基準とした左方向もしくは右方向への変位量をリニアに検出し、操作対象の制御部に出力する。尚、連結部材30には左右レバー10L、10Rが左右筐体16L、16Rを介して固定しているから、操作者が左右レバー10L、10Rを左右方向に移動させると連結部材30も左右方向に移動する。よって、横方向位置センサ44は左右レバー10L、10Rの左右方向の変位量を連結部材30を介して取得して出力することとなる。尚、このように連結部材30は中央弾性部材32によって左右から付勢され、連結部材30は横方向原点位置からの変位量が増大するに伴い中央弾性部材32からの応力が大きくなる。即ち、変位量が大きくなる程、移動に強い力を要する。よって、連結部材30の変位量は、連結部材30にかかる力及びトルクと相関関係を有する。このため、操作インターフェース80は連結部材30にかかる力もしくはトルクを連結部材30の変位量として検出し出力することとなる。また、操作インターフェース80は左右レバー10L、10R及び連結部材30の変位量から、これらにかかる力もしくはトルクを逆算して、3自由度の力もしくはトルクの検出機構としても使用することができる。
【0021】
また、中央筐体36の下方には操作インターフェース80を設置対象に固定するための取付部38が設けられる。尚、操作インターフェース80は、上記のように左レバー10Lを保持する左筐体16Lと、右レバー10Rを保持する右筐体16Rとを連結部材30に固定し、この連結部材30を中央筐体36がスライド移動可能な状態で保持している。よって、操作インターフェース80は1つの装置としてユニット化しており、中央筐体36の取付部38のみで設置対象に固定することができる。
【0022】
さらに、取付部38は設置対象に対して着脱可能に構成することが好ましい。この構成では、操作インターフェース80を必要に応じて着脱し、効率的な運用を行うことができる。例えば、全方向移動車イスを車イス利用者本人が操作する場合には操作インターフェース80を座面前方に設置して使用し、介護者が操作する場合には図3に示すように背面上部の持ち手部110の近傍に付け替えて設置する。これにより、1台の操作インターフェース80を利用者の使用時と介護者の使用時とで使い分けることができる。
【0023】
次に、本発明に係る操作インターフェース80の使用方法を全方向移動車イスに適用した例を用いて説明する。ここで、図3は操作インターフェース80を適用した全方向移動車イス100を示す図である。尚、図3では操作インターフェース80を背面上部の持ち手部110の間に設け介護者が操作する構成を説明する。また、図3では座面の図示を省略する。さらに、ここでは左右レバー10L、10Rの前方への変位量を正の変位量と記述し、後方への変位量を負の変位量として記述する。また、連結部材30の操作者から見て左方向への変位量を正の変位量と記述し、右方向への変位量を負の変位量として記述する。
【0024】
図3に示す全方向移動車イス100は、操作インターフェース80と、利用者が座る座面(図示せず)と、背板104と、アームレスト106と、介護者用の持ち手部110と、モータにより回転する左右の駆動車輪120L、120Rと、電源となるバッテリ124と、操作インターフェース80から入力する信号により駆動車輪120L、120Rを動作させるコントローラ122と、を有している。尚、本例では駆動車輪120L、120Rとして、2つのインホイールモータを使用した双輪キャスタモジュールを後輪に用いた例を示している。尚、双輪キャスタモジュールは2つのインホイールモータを個別の速度、方向で回転することが可能であり、この速度差によって自身の車輪の方向を回転させる。
【0025】
先ず、全方向移動車イス100の電源をオンする。これにより、バッテリ124から駆動車輪120L、120R及び操作インターフェース80に電力が供給される。次に、操作者(介護者)が図示しないブレーキを解除し、例えば左右レバー10L、10Rを前方にスライド移動させる。これにより、左位置センサ24L、右位置センサ24Rが左右レバー10L、10Rの原点位置からの正の変位量をそれぞれ取得してコントローラ122に出力する。コントローラ122は左位置センサ24Lからの前方方向への正の変位量と、右位置センサ24Rからの前方方向への正の変位量の情報を受けて、これらを合算した値と対応した回転数で駆動車輪120L、120Rを前進方向に回転させる。これにより、全方向移動車イス100は前進する。
【0026】
また、このときコントローラ122は左位置センサ24Lからの変位量と右位置センサ24Rからの変位量との差を算出する。そして、左位置センサ24Lからの変位量の方が大きい場合、即ち左レバー10Lのスライド量の方が大きい場合、その差の値に対応して左側の駆動車輪120Lの回転数が大きく、また右側の駆動車輪120Rの回転数が小さくなるように補正する。これにより、全方向移動車イス100は左右の変位量の差に応じた曲率で右折する。反対に右位置センサ24Rからの変位量の方が大きい場合、即ち右レバー10Rのスライド量の方が大きい場合、その差の値に対応して左側の駆動車輪120Lの回転数が小さく、また右側の駆動車輪120Rの回転数が大きくなるように補正する。これにより、全方向移動車イス100は左右の変位量の差に応じた曲率で左折する。
【0027】
また、操作者が左右レバー10L、10Rの双方を後方(操作者から見て手前側)にスライド移動させると、左右位置センサ24L、24Rは左右レバー10L、10Rの後方方向の負の変位量の情報をコントローラ122に出力する。コントローラ122はこれらの負の変位量の情報を受けて、これらを合算した値と対応した回転数で駆動車輪120L、120Rを後退方向に逆回転させる。これにより、全方向移動車イス100は後退する。
【0028】
また、このときコントローラ122は左位置センサ24Lからの変位量と右位置センサ24Rからの変位量との差を算出する。そして、左位置センサ24Lからの変位量の方が大きい場合、即ち左レバー10Lの後方へのスライド量の方が大きい場合、その差の値に対応して左側の駆動車輪120Lの回転数が大きく、また右側の駆動車輪120Rの回転数が小さくなるように補正する。これにより、全方向移動車イス100は左右の変位量の差に応じた曲率で後退しながら右折する。反対に右位置センサ24Rからの変位量の方が大きい場合、即ち右レバー10Rの後方へのスライド量の方が大きい場合、その差の値に対応して左側の駆動車輪120Lの回転数が小さく、また右側の駆動車輪120Rの回転数が大きくなるように補正する。これにより、全方向移動車イス100は左右の変位量の差に応じた曲率で後退しながら左折する。
【0029】
また、操作者が左右レバー10L、10Rの一方を前方に、もう一方を後方に、例えば左レバー10Lを前方に右レバー10Rを後方にスライド移動させると、左位置センサ24Lは左レバー10Lの前方方向の正の変位量の情報をコントローラ122に出力する。また、右位置センサ24Rは右レバー10Rの後方方向の負の変位量の情報をコントローラ122に出力する。コントローラ122はこれらの変位量の情報を受けて、左の駆動車輪120Lを左レバー10Lの正の変位量に応じた回転数で前進方向に回転させる。また、コントローラ122は右の駆動車輪120Rを右レバー10Rの負の変位量に応じた回転数で後退方向に逆回転させる。これにより、全方向移動車イス100は右回転する。以上が本発明に係る操作インターフェース80の2自由度の構成部分の動作である。
【0030】
次に、本発明に係る操作インターフェース80の3自由度の構成部分の動作を説明する。先ず、操作者が左右レバー10L、10Rの双方を横方向、例えば左方向にスライドさせると、この力は左右筐体16L、16Rを介して連結部材30に伝達し、連結部材30が保持部材35とともにスライドレール34に沿って操作方向(本例では左方向)にスライド移動する。横方向位置センサ44はこの連結部材30(保持部材35)の原点位置からの左方向の正の変位量を取得してコントローラ122に出力する。コントローラ122は横方向位置センサ44からの正の変位量の情報を受けると、先ず駆動車輪120L、120Rの2つのインホイールモータのうち右側のインホイールモータを所定量正転(前進方向)し、もう一つの左側のインホイールモータを所定量逆転させる。これにより、駆動車輪120L、120Rは回転し全方向移動車イス100に対して左方向を向く。次に、コントローラ122は横方向位置センサ44からの正の変位量と対応した回転数で駆動車輪120L、120Rを前進方向に回転させる。これにより、全方向移動車イス100は左方向にスライド移動する。
【0031】
また、操作者が左右レバー10L、10Rの双方を右方向にスライドさせると、連結部材30が保持部材35とともに右方向にスライド移動する。横方向位置センサ44はこの連結部材30の横方向原点位置からの右方向の負の変位量を取得してコントローラ122に出力する。コントローラ122は横方向位置センサ44からの負の変化量を受けると、先ず駆動車輪120L、120Rの2つのインホイールモータのうち左側のインホイールモータを所定量正転(前進方向)し、もう一つの右側のインホイールモータを所定量逆転させる。これにより、駆動車輪120L、120Rは回転し全方向移動車イス100に対して右方向に向く。次に、コントローラ122は横方向位置センサ44からの負の変位量の情報と対応した回転数で駆動車輪120L、120Rを前進方向に回転させる。これにより、全方向移動車イス100は右方向にスライド移動する。
【0032】
また、本発明に係る操作インターフェース80は、車イスの後方の使用者(介護者)が操縦するだけでなく、本発明の第二実施形態として、車いすの前方に装着して(図示せず)、車イスの利用者である高齢者または障害者が自ら操縦することもできる。
【0033】
以上のように、本発明に係る操作インターフェース80は、左レバー10Lと右レバー10Rに対する押す、引く、(横方向に)ズラすといった動作によって操作対象の操作を行う。これにより、操作者にとって簡単で直感的な操作が可能となる。また、本発明に係る操作インターフェース80は、安価な位置センサ(左位置センサ24L、右位置センサ24R、横方向位置センサ44)を使用して、2自由度もしくは3自由度の操作内容を検出する。これにより、特に3自由度の操作インターフェース80では、6軸のカセンサと同等の操作インターフェースを極めて安価に構築することができる。また、位置センサとスライドレール14、34を用いることで、6軸のカセンサと比較して極めて振動に強く耐久性の高い操作インターフェース80を構築することができる。
【0034】
さらに、本発明に係る操作インターフェース80は、連結部材30と中央筐体36とを固定する、もしくは中央筐体36の構成を無くすことにより、3自由度(3方向)の操作インターフェース80を2自由度で使用することも可能となる。これにより、車イスや台車などの移動体は全方向移動ではなく、前後と回転の2方向での操縦も可能となる。また、2軸の力もしくはトルクセンサとしても使用でき、産業ロボットやマニピュレータの手先に装着して、力制御も可能となる。
【0035】
尚、本例で示した操作インターフェース80は一例であり、各部の形状、構成、機構、動作、コントローラ122の制御方法等は上記の例に限定されるわけではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
10L 左レバー
10R 右レバー
16L 左筐体
16R 右筐体
22L 左弾性部材
22R 右弾性部材
24L 左位置センサ
24R 右位置センサ
30 連結部材
32 中央弾性部材
36 中央筐体
38 取付部
44 横方向位置センサ
80 操作インターフェース
図1
図2
図3