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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146990
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】機器制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/04 20060101AFI20220929BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20220929BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F02D29/04 A
B60H1/32 623Z
F25D11/00 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048056
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森本 亮
【テーマコード(参考)】
3G093
3L045
3L211
【Fターム(参考)】
3G093BA32
3G093EB08
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045LA06
3L045LA16
3L045MA00
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L211AA07
3L211BA14
3L211EA22
3L211GA34
(57)【要約】
【課題】停車中に車両が発する動作音を低減させる。
【解決手段】機器制御装置1は、車両Sに搭載された冷蔵機2以外の補助機器3の動作状態を特定する機器状態特定部121と、冷蔵機2の動作状態と冷蔵機2が発する音との関係、及び補助機器3の動作状態と補助機器3が発する音との関係を示す動作音情報を記憶する記憶部11と、動作音情報を参照することにより、機器状態特定部121が特定した動作状態に対応する補助機器3が発する音を特定し、車両Sが停車中に補助機器3が発する音のレベルと冷蔵機2が発する音のレベルとの合計である停車中合計レベルが、車両Sが走行中に補助機器3が発する音のレベルと冷蔵機2が発する音のレベルとの合計である走行中合計レベルよりも低いレベルに近づくように、冷蔵機2又は補助機器3の少なくともいずれかの動作を制御する動作制御部122と、を有する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された冷蔵機以外の補助機器の動作状態を特定する機器状態特定部と、
前記冷蔵機の動作状態と前記冷蔵機が発する音との関係、及び前記補助機器の動作状態と前記補助機器が発する音との関係を示す動作音情報を記憶する記憶部と、
前記動作音情報を参照することにより、前記機器状態特定部が特定した前記動作状態に対応する前記補助機器が発する音を特定し、前記車両が停車中に前記補助機器が発する音のレベルと前記冷蔵機が発する音のレベルとの合計である停車中合計レベルが、前記車両が走行中に前記補助機器が発する音のレベルと前記冷蔵機が発する音のレベルとの合計である走行中合計レベルよりも低いレベルに近づくように、前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御する動作制御部と、
を有する機器制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、複数の前記補助機器それぞれが発する音を示す前記動作音情報を記憶し、
前記動作制御部は、複数の前記補助機器が発する音の合計レベルが大きいほど前記冷蔵機が発する音が小さくなるように前記冷蔵機の動作を制御する、
請求項1に記載の機器制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、時間帯に関連付けて前記停車中合計レベルの許容値をさらに記憶し、
前記動作制御部は、現在時刻を特定し、特定した現在時刻が含まれる時間帯に関連付けて前記記憶部に記憶された前記許容値以下に前記停車中合計レベルがなるように前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御する、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項4】
前記記憶部は、外気温に関連付けて前記停車中合計レベルの許容値をさらに記憶し、
前記動作制御部は、現在外気温を特定し、特定した現在外気温に関連付けて前記記憶部に記憶された前記許容値以下に前記停車中合計レベルがなるように前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御する、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項5】
前記記憶部は、エリアに関連付けて前記停車中合計レベルの許容値をさらに記憶し、
前記動作制御部は、前記車両の現在位置を特定し、特定した現在位置が含まれるエリアに関連付けて前記記憶部に記憶された前記許容値以下に前記停車中合計レベルがなるように前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御する、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された機器を制御する機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵機が搭載された車両が知られている。特許文献1には、冷蔵機が発する音が車両の停車中に聞こえにくくするために、冷蔵機で用いられる圧縮機の回転数を減少させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-279180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮機の回転数を減少させることで冷蔵機が発する音が小さくなるが、車両が発する音は冷蔵機だけではなく、エアコン又はバキュームポンプのような補助機器も音を発する。したがって、冷蔵機が発する音だけを小さくしても、停車中に車両が発する音が大き過ぎる場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、停車中に車両が発する動作音を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機器制御装置は、車両に搭載された冷蔵機以外の補助機器の動作状態を特定する機器状態特定部と、前記冷蔵機の動作状態と前記冷蔵機が発する音との関係、及び前記補助機器の動作状態と前記補助機器が発する音との関係を示す動作音情報を記憶する記憶部と、前記動作音情報を参照することにより、前記機器状態特定部が特定した前記動作状態に対応する前記補助機器が発する音を特定し、前記車両が停車中に前記補助機器が発する音のレベルと前記冷蔵機が発する音のレベルとの合計である停車中合計レベルが、前記車両が走行中に前記補助機器が発する音のレベルと前記冷蔵機が発する音のレベルとの合計である走行中合計レベルよりも低いレベルに近づくように、前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御する動作制御部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、複数の前記補助機器それぞれが発する音を示す前記動作音情報を記憶し、前記動作制御部は、複数の前記補助機器が発する音の合計レベルが大きいほど前記冷蔵機が発する音が小さくなるように前記冷蔵機の動作を制御してもよい。
【0008】
前記記憶部は、時間帯に関連付けて前記停車中合計レベルの許容値をさらに記憶し、前記動作制御部は、現在時刻を特定し、特定した現在時刻が含まれる時間帯に関連付けて前記記憶部に記憶された前記許容値以下に前記停車中合計レベルがなるように前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御してもよい。
【0009】
前記記憶部は、外気温に関連付けて前記停車中合計レベルの許容値をさらに記憶し、前記動作制御部は、現在外気温を特定し、特定した現在外気温に関連付けて前記記憶部に記憶された前記許容値以下に前記停車中合計レベルがなるように前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御してもよい。
【0010】
前記記憶部は、エリアに関連付けて前記停車中合計レベルの許容値をさらに記憶し、前記動作制御部は、前記車両の現在位置を特定し、特定した現在位置が含まれるエリアに関連付けて前記記憶部に記憶された前記許容値以下に前記停車中合計レベルがなるように前記冷蔵機又は前記補助機器の少なくともいずれかの動作を制御してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、停車中に車両が発する動作音を低減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る車両Sの構成を示す図である。
図2】記憶部11が記憶している動作音情報の一例を示す図である。
図3】機器制御装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[機器制御装置1の構成及び動作]
図1は、本実施形態に係る車両Sの構成を示す図である。車両Sは、機器制御装置1と、冷蔵機2と、一以上の補助機器3(図1においては補助機器3-1及び補助機器3-2)とを有する冷蔵車である。冷蔵機2は、収容する物品を冷蔵又は冷凍する装置であり、冷蔵車は冷凍車であってもよい。補助機器3-1は、例えばエアコンであり、補助機器3-2はバキュームポンプである。
【0014】
機器制御装置1は、車両Sに搭載された機器を制御するための装置である。機器制御装置1は、車両Sが停車している間に車両Sに搭載された機器が発する音(以下、「動作音」という場合がある)が、車両Sが走行している間に機器が発する音よりも小さくなるように、車両Sに搭載されている冷蔵機及び冷蔵機以外の補助機器の動作を制御する。本実施形態においては、動作音を発する機器として冷蔵機2、補助機器3-1及び補助機器3-2を例示するが、機器制御装置1は、冷蔵機2とともに、補助機器3-1又は補助機器3-2以外の他の補助機器を制御してもよい。
【0015】
機器制御装置1は、記憶部11及び制御部12を有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。記憶部11は、停車中に車両Sが発する動作音の合計レベルの許容値を記憶していてもよい。記憶部11は、例えば、時間帯、外気温、又は車両Sが走行するエリアの少なくともいずれかに関連付けて許容値を記憶する。
【0016】
また、記憶部11は、冷蔵機2の動作状態と冷蔵機が発する動作音との関係、及び冷蔵機2以外の機器(例えば補助機器3-1及び補助機器3-2)の動作状態と複数の機器が発する動作音との関係を示す動作音情報を記憶している。
【0017】
図2は、記憶部11が記憶している動作音情報の一例を示す図である。図2に示す動作音情報においては、機器名と、機器の動作状態と、動作状態ごとの動作音レベルが関連付けられている。動作状態ごとの動作音レベルは、機器が単体で動作した場合に発する音のレベルである。図2においては、機器の動作状態を「強」、「中」、「弱」、「停止」の4段階で示しているが、機器の動作状態は、より多くの段階に分けられていてもよい。すなわち、機器制御装置1は、機器の動作状態を連続的に変化させられるように構成されていてもよい。
【0018】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部12は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、機器状態特定部121及び動作制御部122として機能する。
【0019】
機器状態特定部121は、車両Sに搭載された冷蔵機2以外の機器の動作状態を特定する。図1に示した例の場合、機器状態特定部121は、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態を特定する。機器状態特定部121は、特定した動作状態を、機器を識別するための機器識別情報(例えば機器名)に関連付けて動作制御部122に通知する。
【0020】
動作制御部122は、冷蔵機2、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作を制御する。動作制御部122は、例えば、動作音情報を参照することにより、機器状態特定部121が特定した機器の動作状態に対応する動作音のレベルを特定する。そして、動作制御部122は、車両Sが停車中に補助機器3が発する動作音のレベルと冷蔵機2が発する動作音のレベルとの合計である停車中合計レベルが、車両Sが走行中に補助機器が発する動作音のレベルと冷蔵機2が発する動作音のレベルとの合計である走行中合計レベルよりも低いレベルに近づくように、冷蔵機2又は補助機器3の少なくともいずれかの動作を制御する。
【0021】
冷蔵機2が発する動作音レベルがL2、補助機器3-1が発する動作音レベルがL3、補助機器3-2が発する動作音レベルがL4である場合、動作制御部122は、以下の式により動作音の合計レベルLtを算出する。
Lt=10log(10L2/10+10L3/10+10L3/10
【0022】
一例として、図2に示す冷蔵機2、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「強」である場合、動作制御部122は、動作音情報が示す各動作状態に対応する動作音レベルを上記の式に代入することにより、動作音の合計レベルをLt=50.8dBと算出する。冷蔵機2、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「弱」である場合、動作制御部122は、動作音の合計レベルをLt=40.8dBと算出する。
【0023】
車両Sが停車する前の走行中に、冷蔵機2、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「強」であり、動作音の停車中合計レベルが50.8dBであった場合、動作制御部122は、停車中の動作音の走行中合計レベルを50.8dBよりも小さくなるように冷蔵機2の動作を制御する。動作制御部122は、走行中と停車中で補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態に変化がなく、補助機器3-1及び補助機器3-2が発する動作音の合計レベルが変化していない場合、冷蔵機2が発する動作音を小さくするように冷蔵機2の動作状態を「中」、「弱」、「停止」のいずれかに変更する。動作制御部122が冷蔵機2の動作状態を「中」に変化させると、動作音の合計レベルはLt=44.8dBになる。
【0024】
動作制御部122は、冷蔵機2の動作状態を変更する代わりに、いずれかの補助機器3の動作状態を変更してもよく、冷蔵機2及び一以上の補助機器3の動作状態を変更してもよい。動作制御部122は、例えば、冷蔵機2の出力を30%落として、補助機器3-1の出力を20%落として、補助機器3-2の出力を10%落として、車両Sが発するトータルの動作音を小さくしてもよい。
【0025】
他の例として、車両Sが走行中には冷蔵機2の動作状態が「強」であり、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「中」であったにもかかわらず、陽射しが強い場所で車両Sが停車したことにより補助機器3-1(例えばエアコン)の動作状態が「強」に切り替わったとする。この場合、走行中の動作音の合計レベルLtが50.1dBであったところ、停車中の動作音の合計レベルLtが50.5dBに上昇してしまう。そこで、動作制御部122は、冷蔵機2の動作状態を「中」に変更することで、Lt=43.2dBになる。
【0026】
一方、車両Sが走行中には冷蔵機2の動作状態が「中」であり、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「強」であったにもかかわらず、日陰で車両Sが停車したことにより補助機器3-1(例えばエアコン)の動作状態が「弱」に切り替わったとする。この場合、走行中の動作音の合計レベルLtが44.8dBであったところ、停車中の動作音の合計レベルLtが43.0dBに低下する。この場合、動作制御部122は、冷蔵機2の動作状態を変更しなくても停車中に車両Sが発する動作音の合計レベルが走行中よりも下がったと判定し、冷蔵機2の動作状態を変更しなくてもよい。動作制御部122がこのように動作することで、必要以上に冷蔵機2の動作が弱められないので、冷蔵機2の冷凍能力を十分に確保することが可能になる。
【0027】
ところで、車両Sの近辺にいる人にとっては、車両Sが停車中に発する動作音の合計レベルが小さければ小さいほど好ましい。そこで、動作制御部122は、複数の補助機器3が発する動作音の合計レベルが大きいほど冷蔵機2が発する動作音が小さくなるように冷蔵機2の動作を制御してもよい。
【0028】
動作制御部122は、例えば、複数の補助機器3の動作状態が「強」である場合、複数の補助機器3の動作状態が「弱」である場合よりも冷蔵機2の動作状態を弱める。具体的には、動作制御部122は、車両Sの走行中の冷蔵機2、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「強」である場合、車両Sの停車中における冷蔵機2の動作状態を「強」から「弱」に切り替えることで、動作音の合計レベルがLt=43.2dBになるようにする。
【0029】
動作制御部122は、補助機器3-1及び補助機器3-2の動作状態が「弱」である場合、車両Sの停車中における冷蔵機2の動作状態を「強」から「中」に切り替えることで、動作音の合計レベルがLt=40.1dBになるようにする。動作制御部122がこのように動作することで、補助機器3が発する動作音の合計レベルが大きい場合であっても、車両Sが発する動作音の合計レベルが小さくなる。
【0030】
[許容値に基づく制御]
動作制御部122は、記憶部11に記憶された、停車中に車両Sが発する動作音の合計レベルの許容値以下になるように冷蔵機2の動作を制御してもよい。動作制御部122は、例えば、現在時刻を特定し、停車中合計レベルが、特定した現在時刻が含まれる時間帯に関連付けて記憶部11に記憶された許容値以下になるように冷蔵機2の動作を制御する。
【0031】
一例として、朝又は夜間の時間帯における許容値が43dBであり、昼間の時間帯における許容値が50dBであるとする。また、複数の補助機器3の動作状態が「強」であるとする。この場合、動作制御部122は、昼間の時間帯においては、停車中における冷蔵機2の動作状態を「中」に切り替えることで、動作音の合計レベルがLt=44.8dBになるようにする。また、動作制御部122は、朝又は夜間の時間帯においては、停車中における冷蔵機2の動作状態を「停止」になるようにすることで、動作音の合計レベルがLt=43.0dBになるようにする。動作制御部122がこのように動作することで、車両Sが発する動作音を小さくする必要がある時間帯における動作音の合計レベルを許容値以下にすることができる。
【0032】
動作制御部122は、例えば車両Sに搭載された温度センサから出力される信号に基づいて、その時点での外気温を特定し、特定した外気温に関連付けて記憶部11に記憶された許容値以下に停車中合計レベルがなるように冷蔵機2の動作を制御してもよい。一例として外気温が30℃未満である場合の許容値が43dBであり、外気温が30℃以上である場合の許容値が50dBであるとする。
【0033】
この場合、動作制御部122は、外気温が30℃以上の場合、停車中における冷蔵機2の動作状態を「中」に切り替えることで、動作音の合計レベルがLt=44.8dBになるようにする。また、動作制御部122は、外気温が30℃未満の場合、停車中における冷蔵機2の動作状態を「停止」になるようにすることで、動作音の合計レベルがLt=43.0dBになるようにする。動作制御部122がこのように動作することで、冷蔵機2の冷凍能力を弱めることによる影響が小さい状況における動作音をできるだけ小さくすることができる。
【0034】
なお、外気温が高い状態で冷蔵機2の動作状態を弱め続けると、冷蔵機内の温度が上昇してしまうおそれがある。そこで、動作制御部122は、冷蔵機2の動作状態を弱めてから所定の時間が経過した場合に、冷蔵機2の動作状態を強めてもよい。この場合、動作制御部122は、車両Sが発する動作音の合計レベルが許容値以下になるように補助機器3の動作状態を弱めてもよい。
【0035】
動作制御部122は、車両Sが発する動作音の合計レベルが許容値以下になるように補助機器3の動作状態を弱める前に、車両Sの乗務員の許可操作を受け付ける画面をディスプレイに表示させ、乗務員が許可操作をしたことを条件として補助機器3の動作状態を弱めてもよい。動作制御部122は、補助機器3の動作状態を弱めた後に車両Sが走行を開始すると、補助機器3の動作状態を元の状態に戻してもよい。
【0036】
動作制御部122は、車両Sに搭載されたGPS(Global Positioning System)受信機から出力される信号に基づいて車両Sの現在位置を特定し、特定した現在位置が含まれるエリアに関連付けて記憶部11に記憶された許容値以下に停車中合計レベルがなるように冷蔵機2の動作を制御してもよい。一例として、現在位置が住宅街である場合の許容値が43dBであり、現在位置が住宅街以外である場合の許容値が50dBであるとする。
【0037】
この場合、動作制御部122は、車両Sが住宅街以外のエリア(例えば繁華街又は大通り沿い)に停車している場合、停車中における冷蔵機2の動作状態を「中」に切り替えることで、動作音の合計レベルがLt=44.8dBになるようにする。また、動作制御部122は、車両Sが住宅街に停車している場合、停車中における冷蔵機2の動作状態を「停止」になるようにすることで、動作音の合計レベルがLt=43.0dBになるようにする。動作制御部122がこのように動作することで、車両Sが発する動作音をできるだけ小さくする必要があるエリアにおいて車両Sが発する動作音を小さくすることができる。
【0038】
[機器制御装置1における処理の流れ]
図3は、機器制御装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、車両Sのエンジンが動作を開始した時点から開始している。
【0039】
機器状態特定部121は、定期的に冷蔵機2及び補助機器3の動作状態を特定し、特定した動作状態を記憶部11に記憶させる(S11)。機器状態特定部121は、車両Sが走行中であるか停車中であるかに関連付けて、動作状態を記憶部11に記憶させる。
【0040】
動作制御部122は、車両Sが停車中であるか否かを判定する(S12)。動作制御部122は、車両Sが停車中であると判定した場合(S12においてYES)、記憶部11に記憶された動作音情報を参照することにより、機器状態特定部121が特定した動作状態において車両Sが発する動作音の合計レベルを算出する(S13)。動作制御部122は、記憶部11に記憶された走行中の動作状態と、動作音情報とに基づいて、車両Sが停車する直前の走行中における動作音の合計レベルを算出する。動作制御部122は、車両Sが停車中でないと判定した場合(S12においてNO)、S11に処理を戻す。
【0041】
動作制御部122は、S13において算出した合計レベルが許容値よりも大きいか否かを判定する(S14)。動作制御部122は、合計レベルが許容値よりも大きいと判定した場合(S14においてYES)、冷蔵機2の動作状態を変更し(S15)、車両Sが発する動作音の合計レベルが走行中よりも小さくなるようにする。動作制御部122は、S13で算出した合計レベルが許容値以下である場合(S14においてNO)、冷蔵機2の動作状態を変更することなくS16に進んでもよい。
【0042】
続いて、動作制御部122は、車両Sが走行を開始したか否かを判定する(S16)。動作制御部122は、車両Sが走行を開始したと判定した場合(S16においてYES)、冷蔵機2の動作状態を、S15において変更する前の動作状態に変更する(S17)。制御部12は、その後、エンジンが動作している間(S18においてNO)、S11からS17までの処理を繰り返す。
【0043】
なお、記憶部11には、過去における冷蔵機2及び補助機器3の動作状態を記憶したまま保持してもよいが、機器状態特定部121は、エンジン3が停止してから再開するたびに、記憶部11に記憶された過去の動作状態を消去してもよい。機器状態特定部121がこのように動作することで、動作制御部122が、車両Sの周囲の状況が現時点と異なる可能性がある過去の動作状態に基づいて、現時点の周囲の状況に適していない動作状態に冷蔵機2の動作状態を変更してしまうことを防げる。
【0044】
[機器制御装置1による効果]
以上説明したように、動作制御部122は、記憶部11に記憶された動作音情報を参照することにより、機器状態特定部121が特定した動作状態に対応する補助機器3が発する動作音を特定し、車両Sが停車中に補助機器3が発する動作音のレベルと冷蔵機2が発する動作音のレベルとの合計である停車中合計レベルが、車両Sが走行中に補助機器3が発する動作音のレベルと冷蔵機2が発する動作音のレベルとの合計である走行中合計レベルよりも低くなるように、冷蔵機2又は補助機器3の少なくともいずれかの動作を制御する。動作制御部122がこのように動作することで、冷蔵機2以外の補助機器3が動作をしている場合であっても、停車中に車両Sが発する動作音を走行中に車両Sが発する動作音よりも小さくすることができる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0046】
1 機器制御装置
2 冷蔵機
3 補助機器
11 記憶部
12 制御部
121 機器状態特定部
122 動作制御部
図1
図2
図3