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特開2022-146994チャック装置およびピストンロッドの製造方法
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  • 特開-チャック装置およびピストンロッドの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146994
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】チャック装置およびピストンロッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/20 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B23B31/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048062
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 孝明
(72)【発明者】
【氏名】大貫 巧真
(72)【発明者】
【氏名】辻見 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和彦
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032BB12
3C032JJ01
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性を向上させることが可能となるチャック装置およびピストンロッドの製造方法を提供する。
【解決手段】筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面115が設けられたチャック爪102と、チャック爪102の少なくとも一部が内包され、チャック爪102の第1テーパ面115と対向するように傾斜する第2テーパ面145を内周に有すると共にチャック爪102の軸方向に相対移動することによりチャック爪102の内径を縮小させるチャックホルダ103と、第1テーパ面115および第2テーパ面145の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材104と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面が設けられたチャック爪と、
前記チャック爪の少なくとも一部が内包され、該チャック爪の前記第1テーパ面と対向するように傾斜する第2テーパ面を内周に有すると共に前記チャック爪の軸方向に相対移動することにより前記チャック爪の内径を縮小させるチャックホルダと、
前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材と、
を備えるチャック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチャック装置であり、
前記軸受部材は、
前記配設対象テーパ面に対して回転可能に摺動し、
配設対象テーパ面に対向する、前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか他方の対向テーパ面に対して面方向に摺動可能に設けられることを特徴とするチャック装置。
【請求項3】
請求項2に記載のチャック装置であり、
前記配設対象テーパ面に設けられる溝部を有し、
前記軸受部材は、
前記溝部に嵌合され回転可能に摺動する円柱状部と、
前記溝部から突出し、前記対向テーパ面と摺動する平面状の軸受面と、
を有する半円柱部材であることを特徴とするチャック装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチャック装置であり、
前記軸受部材は、前記チャック爪または前記チャックホルダと異なる材質で形成されていることを特徴とするチャック装置。
【請求項5】
緩衝器に使用されるピストンロッドを製造する製造方法であり、
筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面が設けられたチャック爪と、
前記チャック爪の少なくとも一部が内包され、該チャック爪の前記第1テーパ面と対向するように傾斜する第2テーパ面を内周に有すると共に前記チャック爪の軸方向に相対移動することにより前記チャック爪の内径を縮小させるチャックホルダと、
前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材と、
を備えるチャック装置により前記ピストンロッドを保持し、該ピストンロッドの加工または移動を行うことを特徴とするピストンロッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック装置およびピストンロッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリッパ爪の開放と締め込みを行うコレットチャック構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-152509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャック装置において、メンテナンス性の向上が望まれている。
【0005】
したがって、本発明は、メンテナンス性を向上させることが可能となるチャック装置およびピストンロッドの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るチャック装置の一態様は、筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面が設けられたチャック爪と、前記チャック爪の少なくとも一部が内包され、該チャック爪の前記第1テーパ面と対向するように傾斜する第2テーパ面を内周に有すると共に前記チャック爪の軸方向に相対移動することにより前記チャック爪の内径を縮小させるチャックホルダと、前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材と、を備える。
【0007】
本発明に係るピストンロッドの製造方法の一態様は、筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面が設けられたチャック爪と、前記チャック爪の少なくとも一部が内包され、該チャック爪の前記第1テーパ面と対向するように傾斜する第2テーパ面を内周に有すると共に前記チャック爪の軸方向に相対移動することにより前記チャック爪の内径を縮小させるチャックホルダと、前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材と、を備えるチャック装置により前記ピストンロッドを保持し、該ピストンロッドの加工または移動を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第1実施形態のチャック装置を示す部分断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態のチャック装置を用いて製造されるピストンロッドを備えた緩衝器を示す断面図である。
図3】本発明に係る第2実施形態のチャック装置を示す部分断面図である。
図4】本発明に係る第2実施形態のチャック装置を示す部分断面図であって、チャックホルダに対してチャック爪が傾斜した状態を示すものである。
図5】本発明に係る第3実施形態のチャック装置を示す部分断面図である。
図6】本発明に係る第4実施形態のチャック装置を示す部分断面図である。
図7】本発明に係る第5実施形態のチャック装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を図1および図2を参照しつつ以下に説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態のチャック装置101を示すものである。チャック装置101は、いずれも金属製のチャック爪102とチャックホルダ103と軸受部材104とを備えている。
【0012】
チャック爪102は、筒状をなしており、その内周側に、例えば軸状の被把持部材が軸方向に沿って挿入される。チャック爪102には、軸方向一端側の先端部111から被把持部材が挿入される。チャック爪102の先端部111には、図示は略すが、先端面112から軸方向に延びる割溝が、周方向に等間隔で複数形成されており、よって、チャック爪102の先端部111は周方向において複数に分かれている。
【0013】
チャック爪102は、内周に円筒状の内周面113が設けられている。また、チャック爪102は、軸方向一端側の先端部111の外周に先端面112側ほど小径となるように傾斜する第1テーパ面115(配設対象テーパ面)が設けられている。また、チャック爪102は、第1テーパ面115よりも軸方向における先端面112とは反対側の外周に円筒状の外周円筒面116が設けられている。内周面113と第1テーパ面115と外周円筒面116とは中心軸線を一致させている。
【0014】
そして、チャック爪102には、第1テーパ面115に、第1テーパ面115の軸方向に延び、第1テーパ面115の径方向に沿って内方に凹む溝部121が形成されている。言い換えれば、溝部121は、第1テーパ面115に設けられている。第1テーパ面115には、周方向に等間隔で複数の溝部121が設けられている。溝部121は、上記した割溝に対して、第1テーパ面115の周方向における位置をずらして例えば交互に配置されている。
【0015】
溝部121は、第1テーパ面115の軸方向に沿って広がる平面状をなし、互いに平行に広がって対向する一対の矩形状の溝壁面122と、これら溝壁面122の第1テーパ面115の径方向における内端縁部同士を結ぶ平面状の溝底面123と、溝底面123の第1テーパ面115の軸方向における両端縁部から第1テーパ面115の径方向における外方に延出する一対の平面状の端壁面124と、を有している。
【0016】
溝底面123は、溝部121の第1テーパ面115の位置における直線状の両側の開口縁部に対し等距離離れて平行をなす平面状である。溝底面123は、溝底面123の第1テーパ面115の周方向における中央を通り、第1テーパ面115の中心軸線を含む基準平面での断面が直線状をなしており、この基準平面に対し垂直に広がっている。一対の溝壁面122は、この基準平面に対して平行に広がっており、この基準平面に対して対称位置にこの基準平面から等距離離れて設けられている。一対の端壁面124は、この基準平面に対して垂直であり、溝底面123に対しても垂直であって、互いに平行に広がって対向している。
【0017】
軸受部材104は、第1テーパ面115に設けられた溝部121に嵌合されることで第1テーパ面115に設けられている。軸受部材104は、平面状をなし、平行に広がって互いに反対に向く一対の矩形平面状の側面131と、これら側面131の長手方向に延びる一縁部同士を結ぶ矩形平面状の軸受面132と、一対の側面131の長手方向に延びる他縁部同士を結ぶ矩形平面状の当接面133と、一対の側面131と軸受面132と当接面133とを結ぶ一対の矩形平面状の端面134と、を有している。軸受面132と当接面133とは平行に広がって互いに反対に向いている。一対の端面134も平行に広がって互いに反対に向いている。
【0018】
一対の側面131は、溝部121の一対の溝壁面122に対して面接触するように、一対の溝壁面122の間隔よりも若干狭い間隔となっている。一対の端面134は、溝部121の一対の端壁面124に対して面接触するように、一対の端壁面124の間隔よりも若干狭い間隔となっている。 軸受面132と当接面133との間隔は、溝部121の深さよりも長くなっている。
【0019】
軸受部材104は、溝部121に嵌合され、当接面133が溝底面123に面接触した状態で、第1テーパ面115よりも径方向外側に軸受面132側が突出する。しかも、この状態で、軸受部材104は、軸受面132が、溝部121の第1テーパ面115の位置における直線状の両側の開口縁部に対し等距離離れて平行に広がる状態になる。軸受部材104は、チャック爪102に設けられた複数の溝部121と同数設けられ、溝部121に一対一で摺動可能に嵌合される。軸受部材104は、直方体形状の角柱状部材である。
【0020】
チャックホルダ103は、筒状であり、チャック爪102の少なくとも一部が内包される。チャックホルダ103は、チャック爪102の先端面112と軸方向における同側に向く先端面141を有する先端部142と、先端部142の軸方向における先端面141とは反対側に設けられた胴部143とを有している。先端部142は、その内周に、軸方向における先端面141側ほど小径となる第2テーパ面145(対向テーパ面)を有している。先端部142は、軸方向における先端面141とは反対側が、平面状の段面146となっている。段面146は、第2テーパ面145の軸方向における先端面141とは反対側の端縁部から径方向外側に広がっている。
【0021】
第2テーパ面145の径方向内側に、チャック爪102の第1テーパ面115が設けられている。第2テーパ面145と第1テーパ面115とは、同様に傾斜して軸方向の位置を重ね合わせている。第2テーパ面145と第1テーパ面115とは、同等のテーパ、言い換えれば中心軸線に対して同等の傾斜角度となっている。よって、第2テーパ面145は、チャック爪102の第1テーパ面115と径方向に対向するように傾斜している。
【0022】
チャックホルダ103の胴部143は、円筒状であり、内径が第2テーパ面145の最大内径よりも大径となっている。胴部143の内周は、円筒状の円筒面148となっている。円筒面148は、段面146の径方向外側の端縁部から、軸方向における先端面141とは反対側に延出している。
【0023】
ここで、軸受部材104は、チャック爪102またはチャックホルダ103とは異なる材質で形成されている。軸受部材104は、例えば、チャック爪102およびチャックホルダ103よりも耐摩耗性が低い材質で形成されている。具体的に、軸受部材104の材質は、例えば、銅、青銅、鉄、ニッケルなどの金属材に黒鉛が均一に分散された材料であり、チャック爪102の材質は、例えば、銅合金(クロム銅)であり、チャックホルダ103の材質は、例えば、銅合金(クロム銅)である。
【0024】
上記のようにチャック爪102の複数の溝部121に嵌合された複数の軸受部材104が、それぞれの軸受面132において、チャックホルダ103の第2テーパ面145に線接触で当接する。この状態で、チャックホルダ103は、チャック爪102に対し、チャック爪102の軸方向すなわちチャックホルダ103の軸方向に相対移動することによりチャック爪102の内径を拡大および縮小させる。
【0025】
具体的に、チャック爪102が変形していない待機状態で、チャック装置101は、図1に示すようにチャック爪102の先端部111が、チャックホルダ103の先端面141よりも所定量突出している。
【0026】
この状態から、チャック爪102の先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を大きくするように、チャックホルダ103がチャック爪102に対しチャック爪102の軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104に対しても軸受面132を第2テーパ面145に線接触させたまま同様にチャックホルダ103の軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって、複数の軸受部材104を介してチャック爪102をその内径すなわち内周面113の径が小さくなるように変形させる。これにより、チャック装置101は、そのチャック爪102が、その内周面113において被把持部材に当接して、被把持部材を径方向外側から把持する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104に対してチャック爪102の軸方向に相対移動する際に、複数の軸受部材104は、それぞれの軸受面132が、第2テーパ面145に対して線接触を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。言い換えれば、複数の軸受部材104は、第2テーパ面145の面方向に摺動可能に設けられている。
【0027】
また、このように被把持部材を把持する状態から、チャック爪102の先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を小さくするように、チャックホルダ103がチャック爪102に対しチャック爪102の軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104に対しても軸受面132を第2テーパ面145に線接触させたまま同様にチャック爪102の軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって複数の軸受部材104を介するチャック爪102への径方向内方への押圧を解除することになり、よって、チャック爪102は、その弾性変形の戻りによりその内径すなわち内周面113の径を大きくする。これにより、チャック装置101は、そのチャック爪102において把持していた被把持部材の把持を解除する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104に対してチャック爪102の軸方向に相対移動する際にも、複数の軸受部材104は、それぞれの軸受面132が、第2テーパ面145に対して線接触を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0028】
図2は、第1実施形態のチャック装置101を用いて製造されるピストンロッド10を備えた緩衝器11(Shock Absorber)を示すものである。この緩衝器11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられる緩衝器であり、具体的には自動車のストラット型サスペンションに用いられる緩衝器である。緩衝器11は、円筒状の内筒12と、内筒12よりも大径で内筒12の外周側に設けられ内筒12との間にリザーバ室13を形成する有底円筒状の外筒14と、外筒14の外周側に溶接により取り付けられるブラケット15と、を有している。内筒12と外筒14とが円筒状のシリンダ17を構成している。外筒14は、金属製の一部材からなる一体成形品であり、円筒状の側壁部21と、側壁部21の軸方向の一端側を閉塞する底部22と、側壁部21の底部22とは反対側の開口部23とを有している。
【0029】
緩衝器11は、内筒12の軸方向の一端部に取り付けられる円環状のボディ部材30と、内筒12の軸方向の他端部に取り付けられる円環状のロッドガイド31と、を有している。内筒12は、ボディ部材30を介して外筒14の底部22に嵌合しており、ロッドガイド31を介して外筒14の側壁部21の開口部23側に嵌合している。この状態で、内筒12は、外筒14に対して径方向および軸方向に位置決めされている。
【0030】
緩衝器11は、ロッドガイド31に対して底部22とは反対側に、円環状のシール部材33を有している。このシール部材33は、側壁部21の開口部23側の内周部に嵌合されている。側壁部21の底部22とは反対の端部には、カール加工によって径方向内方に塑性変形させられた係止部34が形成されており、シール部材33は、この係止部34とロッドガイド31とに挟持されている。
【0031】
緩衝器11は、内筒12内に摺動可能に嵌装されるピストン35を有している。ピストン35は、内筒12内に第1室38と第2室39とを画成している。第1室38は、内筒12内のピストン35とロッドガイド31との間に設けられ、第2室39は、内筒12内のピストン35とボディ部材30との間に設けられている。内筒12内の第2室39は、ボディ部材30によってリザーバ室13と画成されている。内筒12内の第1室38および第2室39には作動流体である油液が充填されており、内筒12と外筒14との間のリザーバ室13には作動流体であるガスと油液とが充填されている。
【0032】
緩衝器11は、一側がピストン35に結合され、他側が外筒14から開口部23を介して外部に延出するピストンロッド10を有している。ピストンロッド10には、ピストン35がナット43によって連結されている。ピストンロッド10は、ロッドガイド31およびシール部材33を通って内筒12および外筒14から外部へと延出している。ピストンロッド10は、外筒14から外部に延出する部分が車体側に連結される。ピストンロッド10は、ロッドガイド31に案内されて、内筒12および外筒14に対して、ピストン35と一体に軸方向に移動する。シール部材33は、外筒14とピストンロッド10との間を閉塞して、内筒12内の油液と、リザーバ室13内のガスおよび油液とが外部に漏出するのを規制する。
【0033】
ピストン35には、軸方向に貫通する通路44および通路45が形成されている。通路44,45は、第1室38と第2室39とを連通可能となっている。緩衝器11は、ピストン35に当接することで通路44を閉塞可能な円環状のディスクバルブ46を、ピストン35の軸方向における底部22とは反対側に有している。また、緩衝器11は、ピストン35に当接することで通路45を閉塞可能な円環状のディスクバルブ47を、ピストン35の軸方向における底部22側に有している。
【0034】
ディスクバルブ46は、ピストンロッド10が内筒12および外筒14内への進入量を増やす縮み側に移動しピストン35が第2室39を狭める方向に移動して第2室39の圧力が第1室38の圧力よりも所定値以上高くなると通路44を開くことになり、その際に減衰力を発生させる縮み側の減衰バルブである。ピストン35およびディスクバルブ46のうちの少なくとも一方には、ディスクバルブ46が通路44を最も閉塞した状態でも通路44を介して第1室38と第2室39とを連通させる図示略の固定オリフィスが形成されている。
【0035】
ディスクバルブ47は、ピストンロッド10が内筒12および外筒14からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン35が第1室38を狭める方向に移動して第1室38の圧力が第2室39の圧力よりも所定値以上高くなると通路45を開くことになり、その際に減衰力を発生させる伸び側の減衰バルブである。ピストン35およびディスクバルブ47のうちの少なくとも一方には、ディスクバルブ47が通路45を最も閉塞した状態でも通路45を介して第1室38と第2室39とを連通させる図示略の固定オリフィスが形成されている。
【0036】
ボディ部材30には、軸方向に貫通する通路52および通路53が形成されている。通路52,53は第2室39とリザーバ室13とを連通可能となっている。緩衝器11は、ボディ部材30の軸方向の底部22側に、ボディ部材30に当接することで通路52を閉塞可能な円環状のディスクバルブ55を有しており、ボディ部材30の軸方向の底部22とは反対側に、ボディ部材30に当接することで通路53を閉塞可能な円環状のディスクバルブ56を有している。
【0037】
ディスクバルブ55は、ピストンロッド10が縮み側に移動しピストン35が第2室39を狭める方向に移動して第2室39の圧力がリザーバ室13の圧力よりも所定値以上高くなると通路52を開くことになり、その際に減衰力を発生させる縮み側の減衰バルブである。ディスクバルブ56は、ピストンロッド10が伸び側に移動しピストン35が第1室38側に移動して第2室39の圧力がリザーバ室13の圧力より低下すると通路53を開くことになるが、その際にリザーバ室13から第2室39内に実質的に減衰力を発生させずに作動液体を流すサクションバルブである。
【0038】
第1実施形態のピストンロッド10の製造方法は、被把持部材としてのピストンロッド10を上記したチャック装置101により保持し、ピストンロッド10の加工または移動を行う。
【0039】
すなわち、待機状態のチャック装置101のチャック爪102の径方向内側に、ピストンロッド10をその軸方向に沿って挿入する。チャック装置101は、この状態で、チャック爪102の先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を大きくするように、チャックホルダ103をチャック爪102に対し軸方向に相対移動させる。すると、上記したように、チャックホルダ103が複数の軸受部材104を介してチャック爪102をその内径すなわち内周面113の径が小さくなるように変形させる。これにより、チャック装置101は、そのチャック爪102が、内周面113においてピストンロッド10の外周面に当接して、ピストンロッド10を径方向外側から把持する。この状態で、ピストンロッド10の加工または移動を行う。
【0040】
また、ピストンロッド10の加工または移動を行った後、チャック装置101は、チャック爪102の先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を小さくするように、チャックホルダ103をチャック爪102に対し相対移動させる。すると、上記したように、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104を介するチャック爪102への径方向内方への押圧を解除することになり、よって、チャック爪102は、その弾性変形の戻りによりその内径すなわち内周面113の径を大きくする。これにより、チャック装置101は、そのチャック爪102において把持していたピストンロッド10の把持を解除する。
【0041】
例えば、ピストンロッド10をチャック装置101により保持しチャック装置101を回転させてピストンロッド10を切削加工したり、研磨加工したりする。また、例えば、ピストンロッド10をチャック装置101により保持してピストンロッド10にメッキ加工を施したり、工程間の移動を行ったりする。
【0042】
特許文献1には、グリッパ爪の開放と締め込みを行うコレットチャック構造が開示されている。このコレットチャック構造は、グリッパ爪の開放と締め込みを行う際に、グリッパ爪に設けられたテーパ面とグリッパホルダに設けられたテーパ面とを直接摺動させている。このため、テーパ面同士が直接摺動することによって摩耗が発生した際には、グリッパ爪、グリッパホルダ自体を交換する必要があった。よって、メンテナンス性に劣り、メンテナンスコストが増大してしまうという課題があった。
【0043】
これに対し、第1実施形態のチャック装置101およびこれを用いたピストンロッド10の製造方法によれば、チャック装置101が、筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど小径になるよう傾斜する第1テーパ面115が設けられたチャック爪102と、チャック爪102の少なくとも一部が内包され、チャック爪102の第1テーパ面115と対向するように傾斜する第2テーパ面145を内周に有すると共にチャック爪102の軸方向に相対移動することによりチャック爪102の内径を縮小させるチャックホルダ103と、第1テーパ面115に設けられて第2テーパ面145に当接する軸受部材104と、を備えている。これにより、軸受部材104に摩耗を発生させることができ、チャック爪102およびチャックホルダ103に生じる摩耗を抑制することができる。そして、メンテナンス時には軸受部材104のみの交換で対応できる。したがって、メンテナンス性を向上させることが可能となり、メンテナンスコストを低減することが可能となる。
【0044】
また、複数の軸受部材104は、角柱状であるため、製造が容易となる。したがって、メンテナンスコストを一層低減することが可能となる。
【0045】
また、複数の軸受部材104は、チャック爪102またはチャックホルダ103と異なる材質で形成されているため、例えば、複数の軸受部材104を、摺動するチャックホルダ103よりも耐摩耗性の低い材質で形成することで、チャックホルダ103の摩耗を抑制することができる。したがって、メンテナンス性を一層向上させることが可能となり、メンテナンスコストを一層低減することが可能となる。
【0046】
なお、軸受面132は、平面状ではなく、第1テーパ面115と同様に湾曲する湾曲面であっても良い。例えば、軸受面132を、端面134と平行な面での断面が一定の円弧状をなすように円筒面の一部の形状としても良い。
【0047】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態を主に図3および図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0048】
第2実施形態のチャック装置101Aには、第1実施形態のチャック爪102とは一部異なるチャック爪102Aと、第1実施形態の軸受部材104とは一部異なる軸受部材104Aとが、これらにかえて設けられている。
【0049】
チャック爪102Aは、チャック爪102に対して溝部121とは異なる溝部121Aが溝部121にかえて設けられている点が相違している。溝部121Aは、第1テーパ面115から外周円筒面116にかけて形成されている。溝部121Aは、第1テーパ面115の軸方向および径方向に沿って広がる平面状をなし、互いに平行で対向する一対の略半円状の溝壁面122Aと、これら溝壁面122Aの第1テーパ面115の径方向における内端縁部同士を結ぶ溝底面123Aとを有している。
【0050】
溝底面123Aは、溝壁面122A同士を結ぶ方向に中心軸線を有する円筒面の一部の形状をなしている。言い換えれば、溝底面123Aは、溝底面123Aの第1テーパ面115の周方向における中央を通り、第1テーパ面115の中心軸線を含む基準平面での断面が円弧状をなしている。一対の溝壁面122Aは、この基準平面に対して平行に広がっており、この基準平面に対して対称位置にこの基準平面から等距離離れて設けられている。
【0051】
軸受部材104Aは、第1テーパ面115に設けられた溝部121Aに嵌合されることで第1テーパ面115に設けられている。軸受部材104Aは、平面状をなし、平行で互いに反対に向く一対の半円状の側面131Aと、これら側面131Aの直線状の端縁部同士を結ぶ軸受面132Aと、一対の側面131Aの半円状の縁部同士を結ぶ回動面133Aとを有している。
【0052】
一対の側面131Aは、溝部121Aの一対の溝壁面122Aに対して面接触して摺動するように、一対の溝壁面122Aの間隔よりも若干狭い間隔となっている。軸受面132Aは、側面131A同士を結ぶ方向に広がる平面状である。回動面133Aは、側面131A同士を結ぶ方向に中心軸線を有する円筒面の半分の形状をなしている。回動面133Aの径は、溝底面123Aに面接触して摺動可能となるように溝底面123Aの径よりも若干小径となっている。軸受部材104Aは、回動面133Aが溝底面123Aに面接触すると、回動面133Aが溝底面123Aと中心軸線を一致させることになり、回動面133Aが溝底面123Aに面接触したまま摺動する。その際に、回動面133Aは、溝底面123Aと中心軸線を一致させた状態のまま回転する。言い換えれば、軸受部材104Aは、第1テーパ面115に対して回転可能に摺動する。軸受部材104Aは、いわゆる半月キーである。
【0053】
軸受部材104Aは、溝部121Aに嵌合され、回動面133Aが溝底面123Aに面接触した状態で、第1テーパ面115よりも径方向外側に軸受面132A側が突出する。この状態で、軸受部材104Aは、軸受面132Aが、この軸受部材104Aが設けられた溝部121Aの第1テーパ面115の位置における直線状の両側の開口縁部に対し等距離離れて平行に広がる状態になることが可能となっている。軸受部材104Aは、チャック爪102に設けられた複数の溝部121Aと同数設けられ、溝部121Aに一対一で摺動可能に嵌合される。一対の半円状の側面131Aと回動面133Aとは、軸受部材104Aにおいて溝部121Aに対し嵌合され回転可能に摺動する円柱状の円柱状部137Aに設けられている。軸受部材104Aは、この円柱状部137Aと、溝部121Aから突出する平面状の軸受面132Aとを有する半円柱部材である。
【0054】
ここで、軸受部材104Aも、第1実施形態の軸受部材104と同様の材質で形成されており、チャック爪102Aも第1実施形態のチャック爪102と同様の材質で形成されている。
【0055】
チャック爪102Aの複数の溝部121Aに嵌合された複数の軸受部材104Aが、それぞれの軸受面132Aによって、チャックホルダ103の第2テーパ面145に線接触で当接する。この状態で、チャックホルダ103は、チャック爪102Aに対し、チャック爪102Aの軸方向すなわちチャックホルダ103の軸方向に相対移動することによりチャック爪102Aの内径を拡大および縮小させる。
【0056】
具体的に、チャック爪102Aが変形していない待機状態で、チャック装置101Aは、チャック爪102Aの先端部111が、チャックホルダ103の先端面141よりも所定量突出している。
【0057】
この状態から、チャック爪102Aの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を大きくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Aに対しチャック爪102Aの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Aに対しても軸受面132Aを第2テーパ面145に線接触させたまま同様にチャック爪102Aの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって、複数の軸受部材104Aを介してチャック爪102Aをその内径すなわち内周面113の径が小さくなるように変形させる。これにより、チャック装置101Aは、そのチャック爪102Aにおいてピストンロッド10等の被把持部材を径方向外側から把持する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Aに対してチャック爪102Aの軸方向に相対移動する際に、複数の軸受部材104Aは、それぞれの軸受面132Aが、第2テーパ面145に対して線接触を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0058】
また、このようにピストンロッド10等の被把持部材を把持する状態から、チャック爪102Aの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を小さくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Aに対しチャック爪102Aの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Aに対しても軸受面132Aを第2テーパ面145に線接触させたまま同様にチャック爪102Aの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって複数の軸受部材104Aを介するチャック爪102Aへの径方向内方への押圧を解除することになり、よって、チャック爪102Aは、その弾性変形の戻りによりその内径すなわち内周面113の径を大きくする。これにより、チャック装置101Aは、そのチャック爪102Aにおいて把持していたピストンロッド10等の被把持部材の把持を解除する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Aに対してチャック爪102Aの軸方向に相対移動する際にも、複数の軸受部材104Aは、それぞれの軸受面132Aが、第2テーパ面145に対して線接触を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0059】
ここで、複数の軸受部材104Aは、第1テーパ面115に対して回転可能であるため、図4に示すように、チャック爪102Aがチャックホルダ103に対して同軸状ではなく傾斜してしまっても、この傾斜に追従して溝底面123Aに対して回動面133Aを摺動させて第1テーパ面115に対して回転することにより、軸受面132Aを第2テーパ面145に線接触させた状態を維持しながら第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動させることができる。
【0060】
第2実施形態のチャック装置101Aおよびこれを用いたピストンロッド10の製造方法においても、軸受部材104Aに摩耗を発生させることができるため、チャック爪102Aおよびチャックホルダ103に生じる摩耗を抑制することができる。そして、メンテナンス時には軸受部材104Aのみの交換で対応できる。したがって、メンテナンス性を向上させることが可能となり、メンテナンスコストを低減することが可能となる。
【0061】
また、複数の軸受部材104Aは、第1テーパ面115に対して回転可能に摺動し、第1テーパ面115に対向する第2テーパ面145に対して傾斜する面方向に摺動可能に設けられている。このため、図4に示すように、チャック爪102Aがチャックホルダ103に対して同軸状ではなく傾斜してしまっても、複数の軸受部材104Aは、この傾斜に追従して第1テーパ面115に対して回転することにより、軸受面132Aを第2テーパ面145に線接触させた状態を維持しながら第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動させることができる。よって、複数の軸受部材104Aの偏摩耗を抑制することができる。したがって、複数の軸受部材104Aの寿命を延ばすことができるため、メンテナンスコストを一層低減することが可能となる。
【0062】
また、複数の軸受部材104Aは、第1テーパ面115に設けられた溝部121Aに嵌合され回転可能に摺動する円柱状部137Aと、溝部121Aから突出し、第2テーパ面145と摺動する平面状の軸受面132Aと、を有する半円柱部材であるため、製造が容易となる。したがって、メンテナンスコストを一層低減することが可能となる。
【0063】
なお、軸受面132Aは、平面状ではなく、第1テーパ面115と同様に湾曲することが可能な湾曲面であっても良い。例えば、軸受面132Aを、一対の側面131を結ぶ方向に沿う平行な面での断面が一定の円弧状をなすように円筒面の一部の形状としても良い。
【0064】
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態を主に図5に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0065】
第3実施形態のチャック装置101Bには、第2実施形態のチャック爪102Aとは一部異なるチャック爪102Bと、第2実施形態の軸受部材104Aとは一部異なる軸受部材104Bとが、これらにかえて設けられている。
【0066】
チャック爪102Bは、チャック爪102Aに対して溝部121Aとは異なる溝部121Bが溝部121Aにかえて設けられている点が相違している。溝部121Bは、第1テーパ面115の軸方向および径方向に沿って広がる平面状をなし、互いに平行で対向する一対の矩形状の溝壁面122Bと、これら溝壁面122Bの第1テーパ面115の径方向における内端縁部同士を結ぶ平面状の溝底面123Bと、溝底面123Bの第1テーパ面115の軸方向における両端縁部から第1テーパ面115の径方向外方に延出する一対の平面状の端壁面124Bと、を有している。
【0067】
溝底面123Bは、溝部121Bの第1テーパ面115の位置における直線状の両側の開口縁部に対して等距離離れて平行をなす平面状である。溝底面123Bは、溝底面123Bの第1テーパ面115の周方向における中央を通り、第1テーパ面115の中心軸線を含む基準平面での断面が直線状をなしており、この基準平面に垂直に広がっている。一対の溝壁面122Bは、この基準平面に対して平行に広がっており、この基準平面に対して対称位置にこの基準平面から等距離離れて設けられている。一対の端壁面124Bは、この基準平面に対して垂直であり、溝底面123Bに対しても垂直であって、互いに平行に広がって対向している。
【0068】
軸受部材104Bは、第1テーパ面115に設けられた溝部121Bに嵌合されることで第1テーパ面115に設けられている。軸受部材104Bは、平面状をなし、平行に広がって互いに反対に向く一対の半円状の側面131Bと、これら側面131Bの半円状の縁部同士を結ぶ軸受面132Bと、一対の側面131Bの直線状の縁部同士を結ぶ平面状の当接面133Bと、を有している。
【0069】
一対の側面131Bは、溝部121Bの一対の溝壁面122Bに対して面接触するように、一対の溝壁面122Bの間隔よりも若干狭い間隔となっている。軸受面132Bは、一対の側面131Bを結ぶ方向に中心軸線を有する半円筒面状である。当接面133Bは、側面131B同士を結ぶ方向に広がる平面状である。当接面133Bの長手方向の長さは、一対の端壁面124B間に嵌合可能となるように一対の端壁面124B同士の距離よりも若干短い長さとなっている。軸受部材104Bは、平面状の当接面133Bが平面状の溝底面123Bに面接触するため、第1テーパ面115に対して回転不可である。軸受部材104Bも、いわゆる半月キーである。
【0070】
軸受部材104Bは、溝部121Bに嵌合され、当接面133Bが溝底面123Bに面接触した状態で、第1テーパ面115よりも径方向外側に軸受面132B側が突出する。軸受部材104Bは、複数の溝部121Bと同数設けられ、溝部121Bに一対一で嵌合される。
【0071】
ここで、軸受部材104Bも第1実施形態の軸受部材104と同様の材質で形成されており、チャック爪102Bも第1実施形態のチャック爪102と同様の材質で形成されている。
【0072】
チャック爪102Bの複数の溝部121Bに嵌合された複数の軸受部材104Bが、それぞれの軸受面132Bによって、チャックホルダ103の第2テーパ面145に当接する。この状態で、チャックホルダ103は、チャック爪102Bに対し、チャック爪102Bの軸方向すなわちチャックホルダ103の軸方向に相対移動することによりチャック爪102Bの内径を拡大および縮小させる。
【0073】
具体的に、チャック爪102Bが変形していない待機状態で、チャック装置101Bは、チャック爪102Bの先端部111が、チャックホルダ103の先端面141よりも所定量突出している。
【0074】
この状態から、チャック爪102Bの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を大きくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Bに対しチャック爪102Bの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Bに対しても軸受面132Bを第2テーパ面145に接触させたまま同様にチャック爪102Bの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって、複数の軸受部材104Bを介してチャック爪102Bをその内径すなわち内周面113の径が小さくなるように変形させる。これにより、チャック装置101Bは、そのチャック爪102Bにおいてピストンロッド10等の被把持部材を径方向外側から把持する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Bに対してチャックホルダ103の軸方向に相対移動する際に、複数の軸受部材104Bは、それぞれの軸受面132Bが、第2テーパ面145に対して当接状態を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0075】
また、このようにピストンロッド10等の被把持部材を把持する状態から、チャック爪102Bの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を小さくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Bに対しチャック爪102Bの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Bに対しても軸受面132Bを第2テーパ面145に接触させたまま同様にチャック爪102Bの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって複数の軸受部材104Bを介するチャック爪102Bへの径方向内方への押圧を解除することになり、よって、チャック爪102Bは、その弾性変形の戻りによりその内径すなわち内周面113の径を大きくする。これにより、チャック装置101Bは、そのチャック爪102Bにおいて把持していたピストンロッド10等の被把持部材の把持を解除する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Bに対してチャック爪102Bの軸方向に相対移動する際にも、複数の軸受部材104Bは、それぞれの軸受面132Bが、第2テーパ面145に対して当接状態を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0076】
ここで、複数の軸受部材104Bは、軸受面132Bが円弧状であるため、チャック爪102Bがチャックホルダ103に対して同軸状ではなく傾斜してしまっても、軸受面132Bを、第2テーパ面145に接触させた状態を維持しながら第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動させることができる。
【0077】
第3実施形態のチャック装置101Bおよびこれを用いたピストンロッド10の製造方法においても、軸受部材104Bに摩耗を発生させることができるため、チャック爪102Bおよびチャックホルダ103に生じる摩耗を抑制することができる。そして、メンテナンス時には軸受部材104Bのみの交換で対応できる。したがって、メンテナンス性を向上させることが可能となり、メンテナンスコストを低減することが可能となる。
【0078】
なお、軸受面132Bは、円筒面状ではなく、側面視円形で、第1テーパ面115と同様に湾曲する湾曲面であっても良い。例えば、軸受面132Bを、半円状の軸受部材104Bの中心軸線を含む面での断面が一定の円弧状をなす形状としても良い。
【0079】
[第4実施形態]
本発明に係る第4実施形態を主に図6に基づいて第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0080】
第4実施形態のチャック装置101Cには、第3実施形態の軸受部材104Bとは一部異なる軸受部材104Cが、これにかえて設けられている。
【0081】
軸受部材104Cは、第1テーパ面115に設けられた溝部121Bに嵌合されることで第1テーパ面115に設けられている。軸受部材104Cは、平面状をなし、平行で互いに反対に向く一対の略半円状の側面131Cと、これら側面131Cの円弧状の縁部同士を結ぶ軸受面132Cと、一対の側面131Cの長手方向に延びる直線状の縁部同士を結ぶ平面状の当接面133Cと、一対の側面131Cと軸受面132Cと当接面133Cとを結ぶ一対の端面134Cと、を有している。
【0082】
一対の側面131Cは、溝部121Bの一対の溝壁面122Bに対して面接触するように、一対の溝壁面122Bの間隔よりも若干狭い間隔となっている。軸受面132Cは、一対の側面131Cを結ぶ方向に中心軸線を有する円筒面の一部の形状をなしている。当接面133Cは、一対の側面131C同士を結ぶ方向に広がる平面状をなしている。軸受面132Cと当接面133Cとは反対に向いている。一対の端面134Cは、一対の側面131C同士を結ぶ方向に広がる平面状をなしている。一対の端面134Cは、平行に広がっており、互いに反対に向いている。一対の端面134Cは、当接面133Cの長手方向の両端縁部から当接面133Cに対して垂直に延びている。当接面133Cの長手方向の長さ、言い換えれば一対の端面134C間の距離は、一対の端壁面124B間に嵌合可能となるように一対の端壁面124B間の距離よりも若干短い長さとなっている。軸受部材104Cは、平面状の当接面133Cが平面状の溝底面123Bに面接触するため、第1テーパ面115に対して回転不可である。
【0083】
軸受部材104Cは、溝部121Bに嵌合され、当接面133Cが溝底面123Bに面接触した状態で、第1テーパ面115よりも径方向外側に軸受面132C側が突出する。軸受部材104Cは、複数の溝部121Bと同数設けられ、溝部121Bに一対一で嵌合される。ここで、軸受部材104Cも第1実施形態の軸受部材104と同様の材質で形成されている。
【0084】
上記のようにチャック爪102Bの複数の溝部121Bに嵌合された複数の軸受部材104Cが、それぞれの軸受面132Cによって、チャックホルダ103の第2テーパ面145に当接する。この状態で、チャックホルダ103は、チャック爪102Bに対し、チャック爪102Bの軸方向すなわちチャックホルダ103の軸方向に相対移動することによりチャック爪102Bの内径を拡大および縮小させる。
【0085】
具体的に、チャック爪102Bが変形していない待機状態で、チャック装置101Bは、チャック爪102Bの先端部111が、チャックホルダ103の先端面141よりも所定量突出している。
【0086】
この状態から、チャック爪102Bの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を大きくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Bに対しチャック爪102Bの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Cに対しても軸受面132Cを第2テーパ面145に接触させたまま同様にチャック爪102Bの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって、複数の軸受部材104Cを介してチャック爪102Bをその内径すなわち内周面113の径が小さくなるように変形させる。これにより、チャック装置101Cは、そのチャック爪102Bにおいてピストンロッド10等の被把持部材を径方向外側から把持する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Cに対してチャック爪102Bの軸方向に相対移動する際に、複数の軸受部材104Cは、それぞれの軸受面132Cが、第2テーパ面145に対して当接状態を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0087】
また、このようにピストンロッド10等の被把持部材を把持する状態から、チャック爪102Bの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を小さくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Bに対しチャック爪102Bの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Cに対しても軸受面132Cを第2テーパ面145に接触させたまま同様にチャック爪102Bの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって複数の軸受部材104Cを介するチャック爪102Bへの径方向内方への押圧を解除することになり、よって、チャック爪102Bは、その弾性変形の戻りによりその内径すなわち内周面113の径を大きくする。これにより、チャック装置101Cは、そのチャック爪102Bにおいて把持していたピストンロッド10等の被把持部材の把持を解除する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Cに対してチャック爪102Bの軸方向に相対移動する際にも、複数の軸受部材104Cは、それぞれの軸受面132Cが、第2テーパ面145に対して当接状態を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0088】
ここで、複数の軸受部材104Cは、軸受面132Cが円弧状であるため、チャック爪102Bがチャックホルダ103に対して同軸状ではなく傾斜してしまっても、軸受面132Cを、第2テーパ面145に接触させた状態を維持しながら第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動させることができる。
【0089】
第4実施形態のチャック装置101Cおよびこれを用いたピストンロッド10の製造方法においても、軸受部材104Cに摩耗を発生させることができるため、チャック爪102Bおよびチャックホルダ103に生じる摩耗を抑制することができる。そして、メンテナンス時には軸受部材104Cのみの交換で対応できる。したがって、メンテナンス性を向上させることが可能となり、メンテナンスコストを低減することが可能となる。
【0090】
なお、軸受面132Cは、円筒面状ではなく、側面視円形で、一対の側面131C同士を結ぶ方向に沿う平面での断面が、軸受面132Bと同様に湾曲する湾曲面であっても良い。
【0091】
[第5実施形態]
本発明に係る第5実施形態を主に図7に基づいて第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0092】
第5実施形態のチャック装置101Dには、第3実施形態のチャック爪102Bとは一部異なるチャック爪102Dと、第3実施形態の軸受部材104Bとは一部異なる軸受部材104Dとが、これらにかえて設けられている。
【0093】
チャック爪102Dは、チャック爪102Bに対して溝部121Bとは長さおよび深さが異なる溝部121Dが溝部121Bにかえて設けられている点が相違している。溝部121Dは、溝壁面122Bよりも第1テーパ面115の軸方向における長さが短く第1テーパ面115の径方向における長さが長い一対の溝壁面122Dと、これら溝壁面122Dの第1テーパ面115の径方向における内端縁部同士を結ぶ溝底面123Dと、溝底面123Dの第1テーパ面115の軸方向における両端縁部から第1テーパ面115の径方向外方に延出する一対の端壁面124Dと、を有している。溝底面123Dおよび一対の端壁面124Dは、溝壁面122D同士を結ぶ方向に広がる平面状をなしている。溝底面123Dは、溝部121Dの第1テーパ面115の位置の両側の直線状の開口縁部に対し等距離離れて平行をなしている。一対の端壁面124Dは、溝底面123Dに対し垂直であり、互いに平行に広がって対向している。
【0094】
軸受部材104Dは、第1テーパ面115に設けられた溝部121Dに嵌合されることで第1テーパ面115に設けられている。軸受部材104Dは、平面状をなし、平行で互いに反対に向く一対の円形状の側面131Dと、これら側面131Dの外周縁部同士を結ぶ軸受面132Dと、を有している。
【0095】
一対の側面131Dは、溝部121Dの一対の溝壁面122Dに対して面接触して摺動するように、一対の溝壁面122Dの間隔よりも若干狭い間隔となっている。軸受面132Dは、一対の側面131Dを結ぶ方向に中心軸線を有する円筒面状である。軸受面132Dは、一対の端壁面124D間に嵌合可能となるように一対の端壁面124D同士の距離よりも若干短い外径となっている。軸受部材104Dは、円形の軸受面132Dが平面状の溝底面123Dおよび一対の端壁面124Dに面接触するため、第1テーパ面115に対して回転可能である。
【0096】
軸受部材104Dは、溝部121Dに嵌合され、軸受面132Dの一部が溝底面123Dに接触した状態で、第1テーパ面115よりも径方向外側に軸受面132Dの他の一部が突出する。軸受部材104Dは、複数の溝部121Dと同数設けられ、溝部121Dに一対一で嵌合される。
【0097】
ここで、軸受部材104Dも第1実施形態の軸受部材104と同様の材質で形成されており、チャック爪102Dも第1実施形態のチャック爪102と同様の材質で形成されている。
【0098】
上記のようにチャック爪102Dの複数の溝部121Dに嵌合された複数の軸受部材104Dがそれぞれの軸受面132Dによって、チャックホルダ103の第2テーパ面145に当接する。この状態で、チャックホルダ103は、チャック爪102Dに対し、チャック爪102Dの軸方向すなわちチャックホルダ103の軸方向に相対移動することによりチャック爪102Dの内径を拡大および縮小させる。
【0099】
具体的に、チャック爪102Dが変形していない待機状態で、チャック装置101Dは、チャック爪102Dの先端部111が、チャックホルダ103の先端面141よりも所定量突出している。
【0100】
この状態から、チャック爪102Dの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を大きくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Dに対しチャック爪102Dの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Dに対しても軸受面132Dを第2テーパ面145に接触させたまま同様にチャック爪102Dの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって、複数の軸受部材104Dを介してチャック爪102Dをその内径すなわち内周面113の径が小さくなるように変形させる。これにより、チャック装置101Dは、そのチャック爪102Dにおいてピストンロッド10等の被把持部材を径方向外側から把持する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Dに対してチャック爪102Dの軸方向に相対移動する際に、複数の軸受部材104Dは、それぞれの軸受面132Dが、第2テーパ面145に対して当接状態を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0101】
また、このようにピストンロッド10等の被把持部材を把持する状態から、チャック爪102Dの先端部111のチャックホルダ103の先端面141からの突出量を小さくするように、チャックホルダ103がチャック爪102Dに対しチャック爪102Dの軸方向に相対移動すると、チャックホルダ103は、複数の軸受部材104Dに対しても軸受面132Dを第2テーパ面145に接触させたまま同様にチャック爪102Dの軸方向に相対移動する。すると、チャックホルダ103は、第2テーパ面145の傾斜によって、複数の軸受部材104Dを介するチャック爪102Dへの径方向内方への押圧を解除することになり、よって、チャック爪102Dは、その弾性変形の戻りによりその内径すなわち内周面113の径を大きくする。これにより、チャック装置101Dは、そのチャック爪102Dにおいて把持していたピストンロッド10等の被把持部材の把持を解除する。このようにチャックホルダ103が複数の軸受部材104Dに対してチャック爪102Dの軸方向に相対移動する際にも、複数の軸受部材104Dは、それぞれの軸受面132Dが、第2テーパ面145に対して当接状態を維持したまま第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動する。
【0102】
ここで、複数の軸受部材104Dは、軸受面132Dが円形状であるため、チャック爪102Dがチャックホルダ103に対して同軸状ではなく傾斜してしまっても、軸受面132Dを、第2テーパ面145に接触させた状態を維持しながら第2テーパ面145の傾斜する面方向に摺動させることができる。
【0103】
第5実施形態のチャック装置101Dおよびこれを用いたピストンロッド10の製造方法においても、軸受部材104Dに摩耗を発生させることができるため、チャック爪102Dおよびチャックホルダ103に生じる摩耗を抑制することができる。そして、メンテナンス時には軸受部材104Dのみの交換で対応できる。したがって、メンテナンス性を向上させることが可能となり、メンテナンスコストを低減することが可能となる。
【0104】
なお、軸受面132Dは、円筒面状ではなく、側面視円形で、第1テーパ面115と同様に湾曲する湾曲面であっても良い。例えば、軸受面132Dを、軸受部材104Dの中心軸線を含む平面での断面が一定の円弧状をなす形状としても良い。
【0105】
以上の第1~第5実施形態では、チャック爪102,102A,102B,102Dの第1テーパ面115に、溝部121,121A,121B,121Dおよび軸受部材104,104A~104Dを設ける場合を例にとり説明したが、第1テーパ面115ではなく、チャックホルダ103の第2テーパ面145に溝部121,121A,121B,121Dおよび軸受部材104,104A~104Dを設けても良い。また、第1テーパ面115および第2テーパ面145の両方に、溝部121,121A,121B,121Dおよび軸受部材104,104A~104Dを設けても良い。
【0106】
また、以上の第1~第5実施形態では、チャック爪102,102A,102B,102Dの第1テーパ面115が、先端面112側ほど小径となるように傾斜するようにしたが、先端面112側ほど大径となるように傾斜させても良い。この場合、チャックホルダ103の第2テーパ面145も同様に、軸方向における先端面141側ほど大径となるように傾斜させることになる。
【0107】
以上に述べた実施形態のチャック装置の第1の態様は、筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面が設けられたチャック爪と、前記チャック爪の少なくとも一部が内包され、該チャック爪の前記第1テーパ面と対向するように傾斜する第2テーパ面を内周に有すると共に前記チャック爪の軸方向に相対移動することにより前記チャック爪の内径を縮小させるチャックホルダと、前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材と、を備える。これにより、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0108】
実施形態のチャック装置の第2の態様は、第1の態様において、前記軸受部材は、前記配設対象テーパ面に対して回転可能に摺動し、配設対象テーパ面に対向する、前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか他方の対向テーパ面に対して面方向に摺動可能に設けられる。
【0109】
実施形態のチャック装置の第3の態様は、第2の態様において、前記配設対象テーパ面に設けられる溝部を有し、前記軸受部材は、前記溝部に嵌合され回転可能に摺動する円柱状部と、前記溝部から突出し、前記対向テーパ面と摺動する平面状の軸受面と、を有する半円柱部材である。
【0110】
実施形態のチャック装置の第4の態様は、第1乃至第3のいずれか一態様において、前記軸受部材は、前記チャック爪または前記チャックホルダと異なる材質で形成されている。
【0111】
実施形態のピストンロッドの製造方法の第1の態様は、緩衝器に使用されるピストンロッドを製造する製造方法であり、筒状をなし一端が複数に分かれると共に、一端側の外周に端側ほど大径もしくは小径になるよう傾斜する第1テーパ面が設けられたチャック爪と、前記チャック爪の少なくとも一部が内包され、該チャック爪の前記第1テーパ面と対向するように傾斜する第2テーパ面を内周に有すると共に前記チャック爪の軸方向に相対移動することにより前記チャック爪の内径を縮小させるチャックホルダと、前記第1テーパ面および前記第2テーパ面の少なくともいずれか一方の配設対象テーパ面に設けられる軸受部材と、を備えるチャック装置により前記ピストンロッドを保持し、該ピストンロッドの加工または移動を行う。これにより、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0112】
10 ピストンロッド
11 緩衝器
101,101B~101D チャック装置
102,102B,102D チャック爪
103 チャックホルダ
104,104B~104D 軸受部材
115 第1テーパ面
121,121B,121D 溝部
132,132B~132D 軸受面
137A 円柱状部
145 第2テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7