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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014702
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】トランス
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/28 20060101AFI20220113BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01F27/28 K
H01F30/10 C
H01F30/10 A
H01F30/10 D
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117204
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 薫平
(72)【発明者】
【氏名】箱田 康徳
【テーマコード(参考)】
5E043
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E043BA03
(57)【要約】
【課題】変換効率の損失を低減することができ、設計しやすいトランスを提供すること。
【解決手段】トランスは、第1コイルと、第1コイルに巻かれた第1分岐線と、第1コイルと異なる位置で巻かれ、第1コイルと巻き数が同じ第2コイルと、第2コイルに巻かれた第2分岐線と、を含む。第1コイルと、第1分岐線と、第2コイルと、第2分岐線とは連続した巻き線で形成される。第1分岐線と、第2分岐線とは並列に接続される。第1コイルと、第2コイルと、第1分岐線および第2分岐線とは、直列に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コイルと、
前記第1コイルに巻かれた第1分岐線と、
前記第1コイルと異なる位置で巻かれ、前記第1コイルと巻き数が同じ第2コイルと、
前記第2コイルに巻かれた第2分岐線と、を含み、
前記第1コイルと、前記第1分岐線と、前記第2コイルと、前記第2分岐線とは連続した巻き線で形成され、
前記第1分岐線と、前記第2分岐線とは並列に接続され、
前記第1コイルと、前記第2コイルと、前記第1分岐線および前記第2分岐線とは、直列に接続されている、
ことを特徴とするトランス。
【請求項2】
前記巻き線は、巻き数が3より大きい素数である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記第1コイルに挿入された第1コアと、
前記第2コイルに挿入された第2コアと、を含む、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のトランス。
【請求項4】
前記巻き線は、前記第1分岐線と前記第2分岐線の抵抗値が実質的に同一である、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のトランス。
【請求項5】
前記巻き線は、基板の表面に形成された配線である、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トランスに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスには、巻き線を複数の位置で巻いた構造がある。例えば、特許文献1には、2次巻線パターンは基板の支脚挿入穴外周に位置して該基板に形成される支巻線パターンを含むように形成することで、例えば、1次巻線パターンの2ターンに対し2次巻線パターンを2.5ターンにする積層トランスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-115734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、複数のコイルで1次側または2次側のコイルを構成することで、高さを低くすることができる。しかしながら、巻き線の巻き数を非整数とする場合でも、1次コイルと2次コイルの巻き数比によって割り振りが難しい場合や、構造が複雑になる場合がある。割り振りが難しい場合、各コイルの巻き線の巻き数のずれに起因して、変換効率の損失が生じ得る。
【0005】
本開示は、変換効率の損失を低減することができ、設計しやすいトランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のトランスは、第1コイルと、前記第1コイルに巻かれた第1分岐線と、前記第1コイルと異なる位置で巻かれ、前記第1コイルと巻き数が同じ第2コイルと、前記第2コイルに巻かれた第2分岐線と、を含み、前記第1コイルと、前記第1分岐線と、前記第2コイルと、前記第2分岐線とは連続した巻き線で形成され、前記第1分岐線と、前記第2分岐線とは並列に接続され、前記第1コイルと、前記第2コイルと、前記第1分岐線および前記第2分岐線とは、直列に接続されている、ことを特徴とする。
【0007】
前記巻き線は、巻き数が3より大きい素数である、ことを特徴とする。
【0008】
前記第1コイルに挿入された第1コアと、前記第2コイルに挿入された第2コアと、を含む、ことを特徴とする。
【0009】
前記巻き線は、前記第1分岐線と前記第2分岐線の抵抗値が実質的に同一である、ことを特徴とする。
【0010】
前記巻き線は、基板の表面に形成された配線である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、変換効率の損失を低減することができ、設計しやすいトランスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態のトランスの回路を模式的に示す回路構成図である。
図2図2は、第1実施形態のトランスの1次コイルユニットの分解斜視図である。
図3図3は、第1実施形態のトランスの1次コイルユニットの巻き線の巻き順を説明するための模式図である。
図4図4は、第2実施形態のトランスの回路を模式的に示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1を用いて、第1実施形態のトランスについて説明する。図1は、第1実施形態のトランスの回路を模式的に示す回路構成図である。
【0015】
図1に示すように、トランス1は、1次コイルユニット10と、2次コイルユニット20と、第1コア31と、第2コア32と、を含む。トランス1は、例えば、プリント基板の表面に1次コイルユニット10と、2次コイルユニット20とが形成されるプレーナトランスである。以下では、トランス1は、プレーナトランスであるものとして説明するが、本開示はこれに限定されない。トランス1は、通常の巻き線トランスであってもよい。
【0016】
1次コイルユニット10は、第1コイル11と、第2コイル12と、第1分岐線13と、第2分岐線14とを含む。1次コイルユニット10は、トランス1の1次側のコイルを構成する。第1コイル11と、第2コイル12と、第1分岐線13と、第2分岐線14とは、それぞれ、連続した巻き線で形成されている。第1コイル11と、第2コイル12とのそれぞれの抵抗値は、実質的に同一である。第1分岐線13と、第2分岐線14とのそれぞれの抵抗値は、実質的に同一である。1次コイルユニット10は、第1コア31と、第2コア32とが挿入されるように、所定回数巻かれた巻き線である。1次コイルユニット10の巻き数は、設計に応じて変化する。以下では、1次コイルユニット10の巻き数は、13T(巻き)である場合について説明するが、これに限定されない。
【0017】
第1コイル11は、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第1コイル11は、第1コア31が挿入されるように形成されている。第1コイル11の巻き数は、例えば、6Tである。第1コイル11は、第1分岐線13と、第2分岐線14とに分岐する分岐点P1を有する。
【0018】
第2コイル12は、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第2コイル12は、第2コア32が挿入されるように形成されている。第2コイル12の巻き数は、第1コイル11と同じである。すなわち、図1に示す例では、第2コイル12の巻き数は、6Tである。第2コイル12は、第1分岐線13と、第2分岐線14とが合流する合流点P2を有する。
【0019】
第1分岐線13は、分岐点P1から分岐し、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第1分岐線13は、第1コア31が挿入されるように形成されている。
【0020】
第2分岐線14は、分岐点P1から分岐し、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第2分岐線14は、第2コア32が挿入されるように形成されている。
【0021】
第1分岐線13と、第2分岐線14とは、並列に接続されている。1次コイルユニット10の巻き数13Tのうち、第1コイル11および第2コイル12の巻き数が6Tなので、残りの1Tを第1分岐線13と、第2分岐線14とで実現している。具体的には、第1分岐線13および第2分岐線14の巻き数は、それぞれ、0.5Tである。すなわち、1次コイルユニット10は、第1コア31および第2コア32が、それぞれ、巻き数が6.5Tのコイルに挿入されるように形成されている。
【0022】
第1コイル11と、第1分岐線13および第2分岐線14とは、直列に接続されている。第2コイル12と、第1分岐線13および第2分岐線14とは、直列に接続されている。
【0023】
1次コイルユニット10にV[V]の電位差が生じて、I[A]の電流が流れたとする。第1コイル11にI[A]の電流が流れた場合に、電流は分岐点P1で分岐し、第1分岐線13および第2分岐線14には、それぞれ、I/2[A]の電流が流れる。第1分岐線13および第2分岐線14をそれぞれ流れる電流は、合流点P2で合流するので、第2コイル12には、I[A]の電流が流れる。
【0024】
2次コイルユニット20は、コイル21と、コイル22とを含む。2次コイルユニット20は、トランス1の2次側のコイルを構成している。
【0025】
コイル21は、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。コイル21は、第1コア31が挿入されるように形成されている。図1に示す例では、コイル21の巻き数は、1Tである。
【0026】
コイル22は、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。コイル22は、第2コア32が挿入されるように形成されている。図1に示す例では、コイル22の巻き数は、例えば、1Tである。
【0027】
図2を用いて、第1実施形態のトランスの1次コイルユニットの詳細について説明する。図2は、第1実施形態のトランスの1次コイルの分解斜視図である。
【0028】
図2に示すように、1次コイルユニット10は、巻き線が巻かれた積層構造を有している。図2では、プリント基板内に形成されている1次コイルユニット10の構成のみを示し、プリント基板は省略して示している。1次コイルユニット10は、第1領域R1と、第2領域R2とを含む。第1領域R1は、第1コイル11と、第1分岐線13とが形成される領域である。第2領域R2は、第2コイル12と、第2分岐線14とが形成される領域である。本実施形態では、1次コイルユニット10をプリント基板の表面で積層構造とすることで、各コアが挿入されるコアの巻き線の巻き数を均等にすることができる。
【0029】
第1コア31は、例えば、UIコアである。具体的には、第1コア31は、第1U字型コア31aと、第1I字型コア31bとを含む。第1U字型コア31aは、第1側壁部311aと、第2側壁部312aと、を備える。第1コア31は、第1U字型コア31aを第1コイル11に挿入した状態で、第1I字型コアを第1側壁部311aと、第2側壁部312aに係合させることで構成されている。
【0030】
第1コイル11は、第1コア31が挿入される構造を有する。具体的には、第1コイル11は、第1側壁部311aが挿入される第1開口部101と、第2側壁部312aが挿入される第2開口部102とを有する。第1分岐線13は、第2側壁部312aが挿入される第2開口部102を有する。第1分岐線13は、第2開口部102を形成する巻き線の一部である。
【0031】
第2コア32は、例えば、UIコアである。第2コア32は、第2U字型コア32aと、第2I字型コア32bとを含む。第2U字型コア32aは、第1側壁部321aと、第2側壁部322aと、を備える。
【0032】
第2コイル12は、第2コア32が挿入される構造を有する。具体的には、第2コイル12は、第1側壁部321aが挿入される第3開口部103と、第2側壁部322aが挿入される第4開口部104とを有する。第2分岐線14は、第3開口部103を形成する巻き線の一部である。
【0033】
図3を用いて、第1実施形態のトランスの1次コイルユニットの巻き線の巻き順について説明する。図3は、第1実施形態のトランスの1次コイルユニットの巻き線の巻き順を説明するための模式図である。
【0034】
図3には、プリント基板の第1層41と、第2層42と、第3層43と、第4層44とが示されている。第1実施形態では、第1層41から第4層44までに渡って巻き線を巻くことにより1次コイルユニット10を形成する。以下では、第1層41から第4層44までの4層で1次コイルユニット10を形成するものとして説明するが、層の数は1次コイルユニット10の巻き線の巻き数に応じて、適宜調整可能である。
【0035】
まず、第1層41において、第1側壁部311aが挿入される第1開口部101を形成するように開始位置51からスルーホール71の位置まで巻き線61を巻くことで第1コイル11の1巻き目を形成する(ステップS1)。次に、第2層42において、第1開口部101を形成するようにスルーホール71の位置から巻き線61を巻くことで第1コイル11の2巻き目を形成する(ステップS2)。第1コイル11の1巻き目の巻き線61と、2巻き目の巻き線61とは、スルーホール71により電気的に接続されている。
【0036】
次に、第2層42において、第1コイル11の2巻き目を形成した後に続けて、第2側壁部312aが挿入される第2開口部102を形成するようにスルーホール72の位置まで巻き線61を巻くことで第1コイル11の3巻き目を形成する(ステップS3)。次に、第1層41において、第2開口部102を形成するようにスルーホール72の位置からスルーホール73の位置まで巻き線61を巻くことで第1コイル11の4巻き目を形成する(ステップS4)。第1コイル11の3巻き目の巻き線61と、第1コイル11の4巻き目の巻き線61とは、スルーホール72により電気的に接続されている。
【0037】
次に、第3層43において、第1開口部101を形成するようにスルーホール73の位置からスルーホール74の位置まで巻き線61を巻くことで第1コイル11の5巻き目を形成する(ステップS5)。第1コイル11の4巻き目の巻き線61と、5巻き目の巻き線61とは、スルーホール73により電気的に接続されている。次に、第4層44において、第2開口部102を形成するようにスルーホール74の位置からスルーホール75の位置まで巻き線61を巻くことで第1コイル11の6巻き目を形成する(ステップS6)。第1コイル11の5巻き目の巻き線61と、第1コイル11の6巻き目の巻き線61とは、スルーホール74により電気的に接続されている。ステップS1~ステップS6により、第1コイル11が形成される。
【0038】
次に、巻き線61は第1分岐線13と第2分岐線14とに分岐する。具体的には、第4層44において、第1コイル11の6巻き目を形成した後、第1側壁部321aが挿入される第3開口部103を形成するように分岐点P1からスルーホール76の位置まで巻き線61を巻くことで第2分岐線14を形成する(ステップ7a)。また、第3層43において、第2開口部102を形成するようにスルーホール75から合流点P2まで巻き線61で巻くことで第1分岐線13を形成する(ステップ7b)。ここで、第1分岐線13と、第2分岐線14とは、並列に接続されている。第1コイル11の6巻き目の巻き線61と、第1分岐線13とは、スルーホール75により電気的に接続されている。第1コイル11の6巻き目の巻き線61と、第2分岐線14とは、分岐点P1により電気的に接続されている。
【0039】
次に、第3層43において、第1側壁部321aが挿入される第3開口部103を形成するようにスルーホール76の位置からスルーホール77の位置まで巻き線61を巻くことで第2コイル12の1巻き目を形成する(ステップS8)。第2コイル12の1巻き目の巻き線61と、第1分岐線13とは、合流点P2により電気的に接続される。第2コイル12の1巻き目の巻き線61と、第2分岐線14とは、スルーホール76により電気的に接続される。次に、第4層44において、第2側壁部322aが挿入される第4開口部104を形成するようにスルーホール77の位置からスルーホール78の位置まで巻き線61を巻くことで第2コイル12の2巻き目を形成する(ステップS9)。第2コイル12の1巻き目の巻き線61と、第2コイル12の2巻き目の巻き線61とは、スルーホール77により電気的に接続されている。
【0040】
次に、第1層41において、第3開口部103を形成するようにスルーホール78の位置からスルーホール79の位置まで巻き線61を巻くことで第2コイル12の3巻き目を形成する(ステップS10)。第2コイル12の2巻き目の巻き線61と、第2コイル12の3巻き目の巻き線61とは、スルーホール78により電気的に接続されている。次に、第2層42において、第3開口部103を形成するようにスルーホール79の位置から巻き線61を巻くことで第2コイル12の4巻き目を形成する(ステップS11)。第2コイル12の3巻き目の巻き線61と、第2コイル12の4巻き目の巻き線61とは、スルーホール79により電気的に接続されている。
【0041】
次に、第2層42において、第2コイル12の5巻き目を形成した後に続けて、第4開口部104を形成するようにスルーホール80の位置まで巻き線61を巻くことで第2コイル12の5巻き目を形成する(ステップS12)。次に、第1層41において、第4開口部104を形成するようにスルーホール80の位置から終了位置52の位置まで巻き線61を巻くことで第2コイル12の6巻き目を形成する(ステップS13)。第2コイル12の5巻き目の巻き線61と、第2コイル12の6巻き目の巻き線61とは、スルーホール80により電気的に接続されている。ステップS8~ステップS13により第2コイル12が形成される。なお、図3を用いて、第1コイル11および第2コイル12の巻き方について説明したが、これは例示であり、本開示はこれに限られない。
【0042】
1次コイルユニット10の巻き数が13Tである場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示では、1次コイルユニット10の巻き数が、1次コイルユニット10に含まれるコアの数(コイルの数)で割り切れない場合に、好適に巻き線を巻くことができる。具体的には、1次コイルユニット10の巻き数をN、コアの数(コイルの数)をMとした場合に、各コイルにおいてN/Mの商を巻き数として、N/Mの余りを分岐線として並列に巻くようにすればよい。コイルの巻き数Nは、素数であることが好ましく、3以上の素数であることがより好ましい。これにより、1次コイルユニット10の巻き数が、1次コイルユニット10に含まれるコイルの数で割り切れない場合も、所望の巻き数比にすることができる。
【0043】
例えば、1次コイルユニット10の巻き数が9Tであり、コイルの数が2個である場合を考える。この場合、9/2の商である4がコイルの巻き数となる。そして、9/2の余りの1を2個の分岐線を設けて並列に接続した後、2個のコイルに直列に接続するようにすればよい。すなわち、1次コイルユニット10において、第1コイル11および第2コイル12の巻き数が、それぞれ、4.5Tとなる。
【0044】
上述のとおり、本実施形態では、1次コイルユニット10の巻き数が1次コイルユニット10に含まれる数で割りきれない非整数となる構成であっても、分岐線を設けることにより各コイルの巻き数を整数とすることができる。これにより、各コイルの巻き線の巻き数のずれに起因する変換効率の損失を低減することができる。また、本実施形態では、各コイルの巻き数を整数とすることができるので、設計しやすくなる。
【0045】
また、本実施形態では、コアの形状は、UIコアに限定されず、EIコア、EEコア、UUコアなどの様々な形状のコアを用いることができる。
【0046】
[第2実施形態]
図4を用いて、第2実施形態のトランスについて説明する。図4は、第2実施形態のトランスの回路を模式的に示す回路構成図である。
【0047】
図4に示すように、トランス1Aは、1次コイルユニット10Aと、2次コイルユニット20Aと、第1コア31Aと、第2コア32Aと、第3コア33と、を含む。トランス1Aは、1次コイルユニット10Aが3個のコイルを備える点と、2次コイルユニット20Aが3個のコイルを備える点と、3個のコアを備える点とで、図1に図示のトランス1と異なっている。
【0048】
1次コイルユニット10Aは、第1コイル11Aと、第2コイル12Aと、第1分岐線13Aと、第2分岐線14Aと、第3コイル15と、第3分岐線16とを含む。1次コイルユニット10Aの巻き数は、第1実施形態と同様に13Tであるものとするが、これに限定されない。
【0049】
第1コイル11Aは、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第1コイル11Aは、第1コア31Aが挿入されるように形成されている。第1コイル11Aの巻き数は、例えば、4Tである。第1コイル11Aは、第1分岐線13Aと、第2分岐線14Aと、第3分岐線16とに分岐する分岐点P1Aを有する。
【0050】
第2コイル12Aは、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第2コイル12Aは、第2コア32Aが挿入されるように形成されている。第2コイル12Aの巻き数は、第1コイル11Aと同じである。すなわち、図4に示す例では、第2コイル12Aの巻き数は、4Tである。第2コイル12Aは、第1分岐線13Aと、第2分岐線14Aと、第3分岐線16とが合流する合流点P2Aを有する。
【0051】
第3コイル15は、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第3コイル15は、第3コア33が挿入されるように形成されている。第3コイル15の巻き数は、第1コイル11Aおよび第2コイル12Aと同じである。すなわち、図4に示す例では、第3コイル15の巻き数は、4Tである。
【0052】
第1分岐線13Aは、分岐点P1Aから分岐し、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第1分岐線13Aは、第1コア31Aが挿入されるように形成されている。
【0053】
第2分岐線14Aは、分岐点P1Aから分岐し、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第2分岐線14Aは、第2コア32Aが挿入されるように形成されている。
【0054】
第3分岐線16は、分岐点P1Aから分岐し、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。第3分岐線16は、第3コア33が挿入されるように形成されている。
【0055】
第1分岐線13Aと、第2分岐線14Aと、第3分岐線16とは、並列に接続されている。1次コイルユニット10Aの巻き数13Tのうち、第1コイル11A、第2コイル12A、および第3コイル15の巻き数が4Tなので、残りの1Tを第1分岐線13A、第2分岐線14A、および第3分岐線16とで実現している。すなわち、第1分岐線13A、第2分岐線14A、および第3分岐線16の巻き数は、それぞれ、約0.33Tである。すなわち、1次コイルユニット10Aは、第1コア31A、第2コア32A、および第3コア33が、それぞれ、巻き線が約4.33Tのコイルに挿入されるように形成されている。
【0056】
第1コイル11Aと、第1分岐線13A、第2分岐線14A、および第3分岐線16とは、直列に接続されている。第1分岐線13A、第2分岐線14A、および第3分岐線16と、第2コイル12Aと、第3コイル15とは、直列に接続されている。このため、1次コイルユニット10AにV[A]の電位差が生じて、第1コイル11AにI[A]の電流が流れた場合に、電流は分岐点P1Aで分岐し、第1分岐線13A、第2分岐線14、Aおよび第3分岐線16には、それぞれ、I/3[A]の電流が流れる。第1分岐線13A、第2分岐線14A、および第3分岐線16をそれぞれ流れる電流は、合流点P2Aで合流する。そのため、第2コイル12Aと、第3コイル15とには、I[A]の電流が流れる。
【0057】
2次コイルユニット20Aは、コイル21Aと、コイル22Aと、コイル23とを含む。2次コイルユニット20Aは、トランス1の2次側のコイルを構成している。
【0058】
コイル21Aは、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。コイル21Aは、第1コア31Aが挿入されるように形成されている。コイル21Aの巻き数は、例えば、1Tである。
【0059】
コイル22Aは、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。コイル22Aは、第2コア32Aが挿入されるように形成されている。コイル22Aの巻き数は、例えば、1Tである。
【0060】
コイル23は、図示しないプリント基板の表面で巻かれた巻き線である。コイル23は、第3コア33が挿入されるように形成されている。コイル23の巻き数は、例えば、1Tである。
【0061】
上述のとおり、本実施形態では、1次コイルユニット10Aのように、コイルを3個含む場合であっても、分岐線を設けることにより各コイルの巻き数を整数とすることができる。また、本実施形態では、1次コイルユニット10Aが、4個以上のコイルを含む場合であっても、各コイルの分岐線を設けることにより各コイルの巻き数を整数とすることができるので、設計しやすくなる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1A トランス
10,10A 1次コイルユニット
11,11A 第1コイル
12 第2コイル
13 第1分岐線
14 第2分岐線
15 第3コイル
16 第3分岐線
20,20A 2次コイルユニット
21,21A,22,22A,23 コイル
31,31A 第1コア
311a,321a 第1側壁部
312a,322a 第2側壁部
32,32A 第2コア
33 第3コア
41 第1層
42 第2層
43 第3層
44 第4層
51 開始位置
52 終了位置
61 巻き線
71,72,73,74,75,76,77,78,79,80 スルーホール
図1
図2
図3
図4