(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147098
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】空調ユニット及び空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20220929BHJP
F24F 3/147 20060101ALI20220929BHJP
F24F 1/0087 20190101ALI20220929BHJP
F24F 1/0358 20190101ALI20220929BHJP
【FI】
F24F7/08 101
F24F3/147
F24F7/08 A
F24F1/0087
F24F1/0358
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048210
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000120401
【氏名又は名称】荏原実業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301062226
【氏名又は名称】株式会社日本設計
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(72)【発明者】
【氏名】福村 貴司
(72)【発明者】
【氏名】大串 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】星野 聡基
(72)【発明者】
【氏名】中川 優一
【テーマコード(参考)】
3L050
3L053
【Fターム(参考)】
3L050AA08
3L053BC03
3L053BC08
(57)【要約】
【課題】 低価格でありながら、省エネルギーを確保しつつ、室内温湿度条件を快適に保持することが可能な空調ユニット及び空調システムを提供する。
【解決手段】 空調ユニット1は、空気の温度及び湿度を調節する空調機で処理された外気を取り入れる処理空気取入部23と、外気OAを給気SAとして対象とする室に供給する給気部24と、室からの還気RAを取り入れる還気取入部25と、処理空気取入部23と給気部24の間、及び、空気流れ方向における還気取入部25の下流に設置され、外気OAと還気RAとを除湿再生可能なデシカント部12と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(
図5,6に対応)
空気の温度及び湿度を調節する空調機で処理された外気を取り入れる処理空気取入部と、
前記外気を給気として対象とする室に供給する給気部と、
前記室からの還気を取り入れる還気取入部と、
前記処理空気取入部と前記給気部の間、及び、空気流れ方向における前記還気取入部の下流に設置され、前記外気と前記還気とを除湿再生可能なデシカント部と、
を備える
ことを特徴とする空調ユニット。
【請求項2】
外気を取り入れ前記空調機へ送風する空気取入部と、
前記還気を排気として排出する排気部と、
をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の空調ユニット。
【請求項3】
(
図7に対応)
前記還気取入部と前記排気部をつなぐ連通部をさらに備え、
前記連通部は、前記空気取入部へ前記還気の一部を送風することが可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の空調ユニット。
【請求項4】
(
図2に対応)
空気の温度及び湿度を調節する空調機へ空気取入部21から取り入れた前記外気を送風する送風部と、
前記還気取入部と前記排気部をつなぐ連通部と、
前記空気取入部と前記送風部の間、及び、前記連通部と前記排気部の間に設置され、前記外気と前記還気とを全熱交換可能な全熱交換器と、
を備え、
前記デシカント部は、前記処理空気取入部と前記給気部の間、及び、前記還気取入部と前記連通部の間に設置される
ことを特徴とする請求項2に記載の空調ユニット。
【請求項5】
前記給気部に設置される第1送風機と、
前記排気部に設置される第2送風機と、
を備える
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つに記載の空調ユニット。
【請求項6】
(
図4-7に対応)
空気流れ方向における前記処理空気取入部の上流に、前記空調機を収納する収納部を備える
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の空調ユニット。
【請求項7】
前記デシカント部は、軸を鉛直方向とし、ローターを水平に設置する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の空調ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の空調ユニットと、
前記空調機と、
を備える
ことを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱処理と顕熱処理を分離して行う潜熱顕熱分離用の空調ユニット及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潜熱処理と顕熱処理を分離して行う潜熱顕熱分離用の空調システムにおいて、熱源システムとデシカント素子を一体化した技術が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、デシカント素子の再生のために排気を加熱し、必要とする絶対湿度まで外気を除湿するために最初に冷却し、最後にデシカント素子にて除湿する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、同時に加熱と冷却を行うため、複雑で高価な熱源が必要となる。
【0005】
また、特許文献1に記載の技術は、屋外機がなく、冷却により奪った熱とコンプレッサの投入エネルギーをすべて排気の過熱で外部に排出しなければならず、吸排気量の比率を大きく変更することができない。例えば、製品化されているデシカント空調機の排気率は、一般に90%以上である。トイレ排気を考慮した一般的な建物で必要とされる70%~80%の排気率を達成するためには、別途外気を空調してトイレに供給しなければならない。この供給空気は、排気を利用できず、全熱交換器等での熱交換もできないため、単純に冷却または加熱・加湿するしかない。したがって、空調システム全体の効率が低下することになる。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の技術は、2台のデシカント素子にそれぞれ給気及び排気を行い、除湿が終了すると逆の経路に切り替えるバッチ方式である。切り替え時には、熱容量によるエネルギーロスが発生するため、機構が複雑で高価になる。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術では、すべての部材が一体化されているため、設置箇所への装置の吊り込みは容易である。しかしながら、屋内に吊り込むためには小型なものに限られてしまう。
【0008】
本発明は、低価格でありながら、省エネルギーを確保しつつ、居室内温湿度条件を快適に保持する空調ユニット及び空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる空調ユニットは、
空気の温度及び湿度を調節する空調機で処理された外気を取り入れる処理空気取入部と、
前記外気を給気として対象とする室に供給する給気部と、
前記室からの還気を取り入れる還気取入部と、
前記処理空気取入部と前記給気部の間、及び、空気流れ方向における前記還気取入部の下流に設置され、前記外気と前記還気とを除湿再生可能なデシカント部と、
を備える
ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる空調ユニットは、
外気を取り入れ前記空調機へ送風する空気取入部と、
前記還気を排気として排出する排気部と、
をさらに備える
ことを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる空調ユニットは、
前記還気取入部と前記排気部をつなぐ連通部と、
をさらに備え、
前記連通部は、前記空気取入部へ前記還気の一部を送風することが可能である
ことを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる空調ユニットは、
空気の温度及び湿度を調節する空調機へ空気取入部21から取り入れた前記外気を送風する送風部と、
前記還気取入部と前記排気部をつなぐ連通部と、
前記空気取入部と前記送風部の間、及び、前記連通部と前記排気部の間に設置され、前記外気と前記還気とを全熱交換可能な全熱交換器と、
を備え、
前記デシカント部は、前記処理空気取入部と前記給気部の間、及び、前記還気取入部と前記連通部の間に設置される
ことを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる空調ユニットは、
前記給気部に設置される第1送風機と、
前記排気部に設置される第2送風機と、
を備える
ことを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる空調ユニットは、
空気流れ方向における前記処理空気取入部の上流に、前記空調機を収納する収納部を備える
ことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる空調ユニットでは、
前記デシカント部は、軸を鉛直方向とし、ローターを水平に設置する
ことを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる空調システムは、
前記空調ユニットと、
前記空調機と、
を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる空調ユニット及び空調システムによれば、低価格でありながら、省エネルギーを確保しつつ、居室内温湿度条件を快適に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】第1実施形態の空調システムの概念図を示す。
【
図3】第1実施形態の空調ユニットを用いた一例の空気線図を示す。
【
図4】第2実施形態の空調システムの概念図を示す。
【
図5】第3実施形態の空調システムの概念図を示す。
【
図6】第4実施形態の空調システムの概念図を示す。
【
図7】第5実施形態の空調システムの概念図を示す。
【
図8】他の実施形態の全熱交換器又はデシカント部のうちのいずれか1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明にかかる空調ユニット1の実施形態を説明する。本実施形態の空調ユニット1は、汎用品の空調機3を組み合わせて空調システム100として使用することができる。
【0020】
図1は、第1実施形態の空調ユニット1を示す。
図2は、第1実施形態の空調システム100の概念図を示す。なお、
図1において、空調ユニット1の内部は、上面を透過して示している。
【0021】
第1実施形態の空調ユニット1は、ケース2と、ケース2内に設置され、外気OAと還気RAとの間で熱交換する全熱交換器11と、ケース2内に設置され、除湿機能を有するデシカント部12と、を備える。
【0022】
ケース2は、外気OAを取り入れる空気取入部21と、潜熱処理を行った空気を空調機3へ送風する送風部22と、空調機3からの空気を取り入れる処理空気取入部23と、居室内に給気SAを供給する給気部24と、居室内からの還気RAを取り入れる還気取入部25と、還気取入部25につながる連通部26と、連通部26につながり還気RAを排気する排気部27と、を備える。
【0023】
全熱交換器11は、空気取入部21と送風部22の間、及び、連通部26と排気部27の間に設置される。デシカント部12は、処理空気取入部23と給気部24の間、及び、空気流れ方向における前記還気取入部の下流である還気取入部25と連通部26の間に設置される。デシカント部12は、再生空気を加熱せずに排気するだけで再生する常温再生方式を用いればよい。
【0024】
外気OAは、空気取入部21から全熱交換器11を通過して、送風部22から空調機3へ送風される。空調機3から戻った空気は、処理空気取入部23からデシカント部12を通過して、給気部24へ送風され、対象となる室へ給気SAとして供給される。
【0025】
還気RAは、還気取入部25からデシカント部12を通過して、連通部26へ送風される。連通部26を通過した空気は、全熱交換器11を通過して、排気部27から排気EAとして外部へ排出される。
【0026】
本実施形態の全熱交換器11は、軸を中心に回転する全熱交換ローターでよく、静止型全熱交換器でもよい。全熱交換器11は、外気OAと還気RAとの間で熱交換する。
【0027】
例えば、冬期の場合、暖かく湿った還気RAは、全熱交換器11の排気ゾーンを通過することによって、還気RAに含まれる全熱(顕熱と潜熱)がローターに蓄熱される。還気RAは、冷却及び減湿されて屋外に排気EAとして排出される。
【0028】
外気OAは、全熱交換器11の給気ゾーンを通過すると、全熱交換器11に蓄えられていた全熱を受け取って、暖かく湿った空気となる。
【0029】
また、夏期の場合、冷たい低湿度の還気RAは、全熱交換器11の排気ゾーンを通過することによって、還気RAに含まれる全熱(顕熱と潜熱)がローターに蓄熱される。還気RAは暖かく湿った空気となり、屋外に排気EAとして排出される。
【0030】
外気OAは、全熱交換器11の給気ゾーンを通過することによって、全熱交換されて、予冷及び減湿された空気となり、空調機3へ送風される。
【0031】
このように、第1実施形態の空調ユニット1は、低価格でありながら、省エネルギーを確保しつつ、居室内温湿度条件を快適に保持することができる。また、第1実施形態の空調ユニット1は、空調機3、第1送風機13及び第2送風機14を別体とした構造のため、各機器寸法及び重量を低減することができ、所定の位置に、容易に設置することができる。
【0032】
なお、第1送風機13は、空気取入部21及び給気部24のうちの少なくとも一つに設置してもよく、第2送風機14は、還気取入部25及び排気部27のうちの少なくとも一つに設置してもよい。
【0033】
図3は、第1実施形態の空調ユニット1を用いた一例の空気線図を示す。実線は第1実施形態の常温再生方式の状態線図、破線は冷却除湿方式の状態線図である。
【0034】
第1実施形態の空調ユニット1を用いた空調システム100では、以下のように処理する。
(1)空調ユニット1は、外気OAを空気取入部21に取り入れる。
(2)外気OAは、全熱交換器11で全熱交換される。その後、全熱交換された空気は、送風部22から空調機3へ送風される。
(3)空調ユニット1は、空調機3で処理された空気を処理空気取入部23から取り入れる。
(4)空調ユニット1は、空調機3で処理された空気をデシカント部12で除湿する。その後、除湿された空気は、給気部24から居室へ第1送風機13によって送風される。
(5)空調ユニット1は、居室から還気RAを還気取入部25に取り入れる。
(6)還気RAは、デシカント部12で加湿され、連通部26へ送風される。
(7)還気RAは、全熱交換器11で全熱交換される。その後、全熱交換された空気は、排気EAとして排気部27から第2送風機14によって排出される。
【0035】
従来の冷却除湿方式と比較すると、本実施形態の空調ユニット1は、常温再生方式のため、以下のようなコスト面での効果が得られる。
【0036】
本実施形態の空調ユニット1は、再生用排気を加熱する必要がなく、一般のデシカント方式で採用されている冷暖同時取り出しの熱源よりも安価な冷房/暖房切り替えの熱源を使用することができる。
【0037】
また、本実施形態の空調ユニット1は、熱源の空調機3として、汎用の外気処理パッケージ空調機等を使用することができるので、新たに熱源を開発する必要が無く、安価な既存製品を利用することができる。
【0038】
さらに、本実施形態の空調ユニット1は、再生加熱用のコイルも不要なため、コストダウンすることができる。また、本実施形態の空調ユニット1は、ファン等の送風機も汎用品を用いることができ、コストダウンすることができると共に、幅広い機外静圧/風量に対応することができる。
【0039】
本実施形態の空調ユニット1は、コスト面に加えて、以下のような省エネルギー面での効果も得られる。
【0040】
本実施形態の空調ユニット1のデシカント部12の入口(3)の温度と、従来の冷却除湿方式の出口温度の差は、2.23℃である。この差を負荷換算すると、本実施形態の空調ユニット1は、従来の冷却除湿方式よりも16.3%負荷が小さくなる。加えて、出口温度は、常温再生方式である本実施形態の空調ユニット1の方が高いため、冷凍機の効率も向上する。
【0041】
また、一般に、中間期などで過冷却にならないようにするためには、少なくとも13~16℃程度の吹出温度が好ましい。本実施形態の空調ユニット1の吹出温度は、17.2℃である。従来の冷却除湿方式は、出口温度を同じ温度まで再熱する場合、5.5℃上げる必要がある。この温度を冷却負荷の差を加えて負荷換算すると、本実施形態の空調ユニット1は、従来の冷却除湿方式よりも27.8%小さくなる。
【0042】
さらに、外気温湿度条件が室温に近く、又は、より小さくなれば、全体負荷は減る。しかしながら、デシカント部12による除湿量はそのままであることから、相対的な負荷の差は大きくなる。例えば、外気23℃、相対湿度71%では、再熱を入れない場合で24%、再熱を入れた場合で38.4%、本実施形態の空調ユニット1が従来の冷却除湿方式よりも負荷が小さくなる。
【0043】
表1は、本実施形態の空調システム100のモード毎の稼働状態を示す。本実施形態の空調システム100は、例えば、表1に示すような複数のモードを設定することができる。
【表1】
【0044】
室内より外気エンタルピが高い場合、空調システム100は、第1デシカントモードを使用する。第1デシカントモードは、
図3に示した空気線図において、実線で描かれた状態線図のように稼働する。第1デシカントモードでは、全熱交換器11及びデシカント部12が稼働される。空調機3の吹出温度及び風量は、デシカント部12で使用される乾燥剤に応じたデシカント用温度と的確な設定風量とする。
【0045】
室内より外気エンタルピが低い場合、空調システム100は、第2デシカントモードを使用する。第2デシカントモードでは、デシカント部12のみが稼働される。空調機3の吹出温度は、デシカント部12で使用される乾燥剤に応じたデシカント用温度とする。空調機3の風量は、最大風量とする。
【0046】
暖房時、空調システム100は、全熱交換モードを使用する。全熱交換モードでは、全熱交換器11のみが稼働される。空調機3の吹出温度及び風量は、全熱交換器で使用される材料に応じた全熱交換用温度と的確な設定風量とする。なお、全熱交換モードの設定風量は、第1デシカントモードの設定風量と同じでよい。
【0047】
湿度が低い場合、空調システム100は、外気冷房モードを使用する。外気冷房モードでは、全熱交換器11及びデシカント部12は稼働しない。空調機3は、最大風量で送風のみ行う。
【0048】
このように、第1実施形態の空調システム100は、様々な状況に対応して稼働することができる。
【0049】
図4は、第2実施形態の空調システム100の概念図を示す。
【0050】
第2実施形態の空調システム100は、空調ユニット1のケース2の空気流れ方向における処理空気取入部23の上流に、空調機3を収納する収納部28を設けたものである。収納部28は、送風部22と処理空気取入部23の間に設けられる。空調機3は、送風部22から送風された外気OAを処理し、処理空気取入部23へ送風する。
【0051】
また、第2実施形態の空調システム100は、第1送風機13を給気部24に設置し、第2送風機14を排気部27に設置したものである。なお、第1送風機13と第2送風機14は、空調ユニット1と別体でもよい。また、どちらか1つを空調ユニット1内に設け、他の1つを別体に設けてもよい。さらに、第1送風機13は、空気取入部21に設置してもよく、第2送風機14は、還気取入部25に設置してもよい。
【0052】
このように、第2実施形態の空調ユニット1は、汎用の空調機3、第1送風機13及び第2送風機14等をケース2内に収納することができ、汎用品と一体のユニットとして扱うことができる。また、第1送風機13及び第2送風機14を空調ユニット1に一体としても別体としても設置できるので、設計の自由度を向上させることができる。
【0053】
図5は、第3実施形態の空調システム100の概念図を示す。
【0054】
第3実施形態の空調システム100は、全熱交換付きの空調機3と、空調ユニット1と、を用いた例を示す。全熱交換付きの空調機3は、外気OAと還気RAとで熱交換する全熱交換器311と、空気の温度及び湿度を調節する直膨コイル315と、を有する。全熱交換付きの空調機3は、汎用のものでよい。
【0055】
空調ユニット1は、全熱交換付きの空調機3へ送風する外気OAを取り入れる空気取入部21と、空調機3で処理された処理空気を取り入れる処理空気取入部23と、外気OAを給気SAとして居室に供給する給気部24と、居室からの還気RAを取り入れる還気取入部25と、デシカント部12を通過した還気RAを空調機3へ送風する連通部26と、空調機3で処理された処理空気を排気として排出する排気部27と、空気流れ方向における処理空気取入部23の上流で空調機3を収納する収納部28と、処理空気取入部23と給気部24の間及び還気取入部25と連通部26の間に設置され、外気OAと還気RAとを除湿再生可能なデシカント部12と、を有する。なお、第3実施形態の空調ユニット1の空気取入部21は、第1及び第2実施形態の送風部22の機能を兼ねる。
【0056】
外気OAは、全熱交換付きの空調機3に取り入れられると、全熱交換器311を通過し、その後、直膨コイル315を通過し、空調機3から排出される。次に、外気OAは、管等を通り、空調ユニット1の処理空気取入部23に取り入れられる。続いて、外気OAは、デシカント部12を通過し、第1送風機13によって給気部24から室へ給気SAとして供給される。
【0057】
還気RAは、還気取入部25に取り入れられると、デシカント部12を通過し、連通部26へ排出される。次に、還気RAは、管等を通り、全熱交換付き空調機3に取り入れられ、全熱交換器11を通過し、第2送風機14によって排気EAとして排気部27から排出される。
【0058】
なお、
図5の仮想線で示したように、第2送風機14は換気取入部25に設置してもよい。この場合、空気取入部21及び排気部27は、設けなくてもよいので、ケース2を小型化することができる。この場合、外気OAは、直接空調機3に取り入れられ、還気RAは、空調機3から直接排出される。また、収納部28を設けず、空調機3を空調ユニット1とは別体に設けてもよい。
【0059】
このように、第3実施形態の空調ユニット1は、汎用の全熱交換付き空調機3に対して、全熱交換器11を設置することなく、デシカント部12のみを有するシンプルな構造で用いることができる。
【0060】
図6は、第4実施形態の空調システム100の概念図を示す。
【0061】
第4実施形態の空調システム100は、空調機3と、空調ユニット1と、を用い、全熱交換器を用いない例を示す。空調機3は、汎用のものでもよい。
【0062】
空調ユニット1は、空調機3へ送風する外気OAを取り入れる空気取入部21と、空調機3で処理された処理空気を取り入れる処理空気取入部23と、外気OAを給気SAとして居室に供給する給気部24と、居室からの還気RAを取り入れる還気取入部25と、デシカント部12を通過した還気RAを排気として排出する排気部27と、空気流れ方向における処理空気取入部23の上流で空調機3を収納する収納部28と、処理空気取入部23と給気部24の間及び空気流れ方向における還気取入部25の下流で還気取入部25と排気部27の間に設置され、外気OAと還気RAとを除湿再生可能なデシカント部12と、を有する。なお、第4実施形態の空調ユニット1の空気取入部21は、第1及び第2実施形態の送風部22の機能を兼ねる。また、第4実施形態の空調ユニット1の排気部27は、第1乃至第3実施形態の連通部26の機能を兼ねる。
【0063】
外気OAは、空調機3を通過し、管等を通り、空調ユニット1の処理空気取入部23に取り入れられる。続いて、外気OAは、デシカント部12を通過し、第1送風機13によって給気部24から室へ給気SAとして供給される。
【0064】
還気RAは、還気取入部25に取り入れられると、デシカント部12を通過し、第2送風機14によって排気EAとして排気部27から排出される。
【0065】
なお、
図6の仮想線で示したように、第2送風機14は換気取入部25に設置してもよい。この場合、空気取入部21及び排気部27は、設けなくてもよいので、ケース2を小型化することができる。そして、外気OAは、直接空調機3に取り入れられ、還気RAは、デシカント部12から直接排出される。また、収納部28を設けず、空調機3を空調ユニット1とは別体に設けてもよい。
【0066】
このように、第4実施形態の空調ユニット1は、汎用の空調機3に対して、全熱交換器11を使用することなく、デシカント部12のみを有する低コスト且つシンプルな構造で用いることができる。
【0067】
図7は、第5実施形態の空調システム100の概念図を示す。
【0068】
第5実施形態の空調システム100は、空調機3と、空調ユニット1と、を用い、全熱交換器を用いず、還気を再利用する例を示す。空調機3は、汎用のものでもよい。
【0069】
空調ユニット1は、空調機3へ送風する外気OA及び還気RAを取り入れる空気取入部21と、空調機3で処理された処理空気を取り入れる処理空気取入部23と、外気OAを給気SAとして居室に供給する給気部24と、居室からの還気RAを取り入れる還気取入部25と、デシカント部12を通過した還気RAを第1取入れ部21又は排気部27へ通過させる連通部26と、還気RAを排気として排出する排気部27と、空気流れ方向における処理空気取入部23の上流で空調機3を収納する収納部28と、処理空気取入部23と給気部24の間及び空気流れ方向における還気取入部25の下流で還気取入部25と排気部27の間に設置され、外気OAと還気RAとを除湿再生可能なデシカント部12と、外気OAと混合する還気RAを調整するバイパスダンパ29を有する。なお、第5実施形態の空調ユニット1の空気取入部21は、第1及び第2実施形態の送風部22の機能を兼ねる。
【0070】
外気OAは、空調機3を通過し、管等を通り、空調ユニット1の処理空気取入部23に取り入れられる。続いて、外気OAは、デシカント部12を通過し、第1送風機13によって給気部24から室へ給気SAとして供給される。
【0071】
還気RAは、還気取入部25に取り入れられると、デシカント部12を通過し、連通部26へ送風される。その後、還気RAは、一部がバイパスダンパ29を通過し、空気取入部21へ送風され、残りが第2送風機14によって排気EAとして排気部27から排出される。
【0072】
なお、収納部28を設けず、空調機3を空調ユニット1とは別体に設けてもよい。また、
図7の仮想線で示したように、第2送風機14は換気取入部25に設置してもよい。この場合、排気部27は、設けなくてもよいので、ケース2を小型化することができる。
【0073】
このように、第5実施形態の空調ユニット1は、汎用の空調機3に対して、全熱交換器11を使用することなく、さらに還気RAを再利用することで、デシカント部12のみを有する低コスト且つシンプルな構造で用いることができる。
【0074】
図8は、他の実施形態のデシカント部12を示す。
図8(a)は、他の実施形態のデシカント部12を側方から見た図、
図8(b)は、他の実施形態のデシカント部12を上方から見た図である。
【0075】
図8に示す実施形態のデシカント部12は、ローターを水平に設置したものである。ローターは、軸を鉛直方向とし、吸気面及び排気面を水平方向とする。なお、鉛直方向及び水平方向は多少の誤差があってもよい。空気は、上方から下方へ通過、又は下方から上方へ通過する。なお、全熱交換器11もローターを使用し、
図6のように、設置してもよい。
【0076】
このように、
図8に示す実施形態の空調ユニット1は、高さのない空間等、スペースにあわせて有効に設置することができる。
【0077】
本実施形態の空調ユニット1は、空気の温度及び湿度を調節する空調機で処理された外気を取り入れる処理空気取入部23と、外気OAを給気SAとして対象とする室に供給する給気部24と、室からの還気RAを取り入れる還気取入部25と、処理空気取入部23と給気部24の間、及び、空気流れ方向における還気取入部25の下流に設置され、外気OAと還気RAとを除湿再生可能なデシカント部12と、を備える。したがって、本実施形態の空調ユニット1は、低価格でありながら、省エネルギーを確保しつつ、居室内温湿度条件を快適に保持することができる。また、本実施形態の空調ユニット1は、空調機3、第1送風機13及び第2送風機14を別体とした構造のため、各機器寸法及び重量を低減することができ、所定の位置に、容易に設置することができる。
【0078】
本実施形態の空調ユニット1は、外気OAを取り入れ空調機3へ送風する空気取入部21と、還気RAを排気EAとして排出する排気部27と、をさらに備える。したがって、本実施形態の空調ユニット1は、空気の取入れと排出を的確に行うことができる。
【0079】
本実施形態の空調ユニット1は、還気取入部25と排気部27をつなぐ連通部26をさらに備え、連通部26は、空気取入部21へ還気RAの一部を送風することが可能である。したがって、還気RAを利用し、より省エネルギーを確保することができる。
【0080】
本実施形態の空調ユニット1は、空気の温度及び湿度を調節する空調機3へ空気取入部21から取り入れた外気OAを送風する送風部22と、還気取入部25と排気部27をつなぐ連通部26と、空気取入部21と送風部22の間、及び、連通部26と排気部27の間に設置され、外気OAと還気RAとを全熱交換可能な全熱交換器11と、を備え、デシカント部12は、処理空気取入部23と給気部24の間、及び、還気取入部25と連通部26の間に設置される。したがって、居室内温湿度条件をより快適に保持することができる。
【0081】
本実施形態の空調ユニット1は、給気部24に設置される第1送風機13と、排気部27に設置される第2送風機14と、を備える。したがって、汎用の第1送風機13及び第2送風機14をケース2内に収納することができ、汎用品と一体のユニットとして扱うことができる。
【0082】
本実施形態の空調ユニット1は、空気流れ方向における前記処理空気取入部の上流に、空調機3を収納する収納部28を備える。したがって、汎用の空調機3をケース2内に収納することができ、汎用品と一体のユニットとして扱うことができる。
【0083】
本実施形態の空調ユニット1は、デシカント部12は、軸を鉛直方向とし、ローターを水平に設置する。したがって、本実施形態の空調ユニット1は、高さのない空間等、スペースにあわせて有効に設置することができる。
【0084】
本実施形態の空調システム100は、前記空調ユニット1と、空調機3と、を備える。したがって、本実施形態の空調システム100は、汎用の空調機3を使用することができ、低価格でありながら、省エネルギーを確保しつつ、居室内温湿度条件を快適に保持することができる。
【0085】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…空調機
11…全熱交換器
12…デシカント部
13…第1送風機
14…第2送風機
15…直膨コイル
2…ケース
21…空気取入部
22…送風部
23…処理空気取入部
24…給気部
25…還気取入部
26…連通部
27…排気部
28…収納部
29…バイパスダンパ
3…空調機
100…空調システム