(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147108
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】皮膚貼付用ゲルシート
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20220929BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220929BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220929BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220929BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220929BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/92
A61K8/34
A61Q19/00
A61K9/70 401
A61K47/36
A61K47/32
A61P17/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048225
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 千恵
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA71
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076EE30
4C076EE36
4C076EE51
4C076FF35
4C076FF57
4C083AA082
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC482
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD341
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB12
4C083CC02
4C083DD12
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE05
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】時間が経過しても保湿性が維持され、また、ゲルシートとしての強度を維持しながら、使用者の塗擦によりシートが滑らかに崩壊し、肌になじませることができる、皮膚貼付用ゲルシートを提供する。
【解決手段】次の成分(A)~(C):(A) アルギン酸(塩)、フコイダン、アガロース、およびカラギーナンから選択される少なくとも1種 0.1~20質量%(B) 油剤 0.1~40%質量%(C) 多価アルコール 40~90質量%を含有し、かつ水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする、皮膚貼付用ゲルシート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C):
(A) アルギン酸(塩)、フコイダン、アガロース、およびカラギーナンから選択される少なくとも1種 0.1~20質量%
(B) 油剤 0.1~40%質量%
(C) 多価アルコール 40~90質量%
を含有し、かつ水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする、皮膚貼付用ゲルシート。
【請求項2】
前記成分(B)が25℃において固形または半固形の油剤を含む、請求項1に記載の皮膚貼付用ゲルシート。
【請求項3】
前記成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))は、5以上である、請求項1または2に記載の皮膚貼付用ゲルシート。
【請求項4】
前記成分(C)がグリセリンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ゲルシート。
【請求項5】
前記成分(A)がアルギン酸塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ゲルシート。
【請求項6】
さらに、成分(E)ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ゲルシート。
【請求項7】
さらに、成分(F)有効成分を0.01~10質量%含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ゲルシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚貼付用ゲルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
保湿成分や有効成分等を含有するシートを皮膚に接触させ、一定時間経過後に当該シートを除去することで、保湿成分、有効成分等を皮膚に浸透させる化粧品や医薬品が知られている。
【0003】
このようなシートにおいて、不織布などの支持体を用いずに、ゲル状組成物をシート状とする形態がある。かような形態においては、ゲルがシート形状に保持されている必要があり、成形されたゲルが形状を維持し、一定程度の強度を有することを要する。特許文献1では、カラギーナンおよび/またはキサンタンガムと、グルコマンナンおよび/またはジェランガムおよび/またはタマリンドガムと、寒天とから成る第1の組成物と、カルボキシル基を1つ以上有する有機酸、および/または、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子から成る第2の組成物と、アルコール類から成る第3の組成物と、精製水とから成る、皮膚貼付用外用ゲル組成物が開示されている。当該ゲル組成物によって得られるシートは、ゲル強度、引張強度が高いとされている。また、特許文献2には、基材としてカラギーナン/マンナンを用い、これにジェランガム/寒天/アガロースを組み合わせる、水系の外用ゲル組成物が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3では、ポリビニルアルコール、アクリル酸系ポリマー、多価アルコール、固形/半固形状の油剤および水を10質量%以下とする、皮膚貼付用ゲルシートが開示されている。特許文献3では、このような構成とすることで、保湿効果、使用性およびシートの成形性に優れるとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-50298号公報
【特許文献2】特開2002-87993公報
【特許文献3】国際公開第2019/131484号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、膜強度は担保されているものの、皮膚にシートを貼付した後に、使用者がマッサージ等で力を加えて肌になじませることは難しい。また、特許文献2の技術においては、水系のゲルシートであるため、時間経過後の保湿性の維持が十分なものではなかった。さらに、特許文献3の技術では、水を加えて成分を肌へなじませるという使用方法が想定され、水への高い溶解性を課題としており、使用の際に水を用いる必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、時間が経過しても保湿性が維持され、また、ゲルシートとしての強度を維持しながら、使用者の塗擦によりシートが滑らかに崩壊し、肌になじませることができる、皮膚貼付用ゲルシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の成分(A)~(C):(A)アルギン酸(塩)、フコイダン、アガロース、およびカラギーナンから選択される少なくとも1種 0.1~20質量%、(B)油剤 0.1~40%質量%、(C)多価アルコール 40~90質量%を含有し、かつ水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする、皮膚貼付用ゲルシートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚貼付用ゲルシートによれば時間が経過しても保湿性が維持され、また、ゲルシートとしての強度を維持しながら、水を使用しなくとも使用者の塗擦によりゲルシートが滑らかに崩壊し、肌になじませることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。
【0011】
本発明は、次の成分(A)~(C):(A)アルギン酸(塩)、フコイダン、アガロース、およびカラギーナンから選択される少なくとも1種 0.1~20質量%、(B)油剤 0.1~40%質量%、(C) 多価アルコール 40~90質量%、を含有し、かつ水の含有量が10質量%以下であることを特徴とする、皮膚貼付用ゲルシートである。以下、皮膚貼付用ゲルシートを単にゲルシートとも称する。以下、水を成分(D)とも称する。
【0012】
ゲルシートは、通常剥離基材フィルム上にゲルシートが積層された形態を使用者が剥離基材フィルムからゲルシートを剥離し、当該ゲルシートを肌上に転写して使用される。通常は、所定時間経過後、ゲルシートは肌から剥されて除去されることが多い。一方、本発明のゲルシートは、使用者がマッサージするようにゲルシートに肌上で力を加えると、容易にゲル構造が崩れ、クリーム状(軟膏様)に変化する。したがって、ゲルシートの成分を化粧クリームのように肌になじませることができる。ゆえに、本発明のゲルシートは、いわゆるパックのような態様と、(化粧・医薬)クリームのような態様とを兼ね備えたものであり、両者の効果を発現させることが可能となる。
【0013】
一般的には、ゲルシートの形状を保持するためのゲル強度と、ゲル構造の崩壊性(崩れやすさ)とは、トレードオフの関係にあり、両立させることが困難である。また、ゲル構造が力の負荷により壊れても、ゲルが破断するように崩壊する(ゲルがぼろぼろと崩壊する)場合には、肌上でゲル状物を刷り込ませる必要があり、肌になじませにくい。一方で、本発明の構成とすることで、ゲルシートとしての強度を維持しながら、使用者の塗擦によりゲルシートが滑らかに崩壊して、クリーム状となり、肌になじませやすくなる。さらには、パックのように肌上でゲルシートを一定時間静置した後に、ゲルシートを崩してゲルシートの成分を肌になじませることができるため、保湿効果の持続性を高めることができる。
【0014】
ゲルシートは、動的粘弾性測定において、35℃、周波数50Hzで1%のひずみを加えた際の貯蔵弾性率G’が20,000Pa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率G’が20,000Pa以下であることで、ゲルシートに使用者が力を加える(肌上でマッサージする)と、容易にゲル構造が崩れ、クリーム状となって肌になじませやすくなる。同様の理由から、35℃、50Hzで1%のひずみを加えた際の貯蔵弾性率G’は、10,000Pa以下であることがより好ましい。なお、50Hzで1%のひずみを加えた際の貯蔵弾性率G’の下限は、特に限定されるものではないが、通常、1000Pa以上となる。
【0015】
以下、各成分について説明する。
【0016】
(成分(A):アルギン酸(塩)、フコイダン、アガロース、およびカラギーナンから選択される少なくとも1種)
成分(A)は、ゲルシートのシート状構造の維持、ならびに肌に貼付した後に、ゲルシートのゲル構造を手で容易に崩すために重要な役割を果たす。成分(A)が存在しないと、手で力を加えても、ゲル構造が崩れにくかったり、破断するように崩れるため、肌になじませにくい(後述の比較例1)。あるいは、成分(A)が存在しないと、ゲル強度が担保されにくい(後述の比較例3、4)。
【0017】
アルギン酸は褐藻などに含まれ、マンヌロン酸およびグルクロン酸の2種のウロン酸によって構成される酸性多糖類である。アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンなどと結合した中性塩がアルギン酸塩となる。アルギン酸塩としては、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0018】
フコイダンは、L-フコースが数十~数十万個以上繋がった化合物で硫酸基を有する多糖類であり、その平均分子量は一般的に100,000~30,000,000と言われている。そして、フコイダンは、U-フコイダン、F-フコイダンおよびG-フコイダン等に分類される。一般的に、U-フコイダンは基本糖残基のフコースの他にグルクロン酸を含む硫酸多糖であり、F-フコイダンは基本糖残基のL-フコースから構成される硫酸多糖であり、G-フコイダンは基本糖残基のL-フコースの他にガラクトースを含む硫酸多糖である。
【0019】
アガロースは、D-ガラクトースと3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース残基がβ-(1→4)結合とα-(1→3)結合で交互に反復結合した直鎖構造を持つ多糖である。
【0020】
カラギーナンは紅藻類から抽出される多糖類で、D-ガラクトースがα-1,3結合またはβ-1,4結合を交互に繰り返した構造を有する。カラギーナンは硫酸基の数とアンヒドロ結合の有無により、ι、λ、κ型の3つに分類される。本発明においては、ι(イオタ)、λ(ラムダ)、κ(カッパー)型のいずれのカラギーナンを用いることができる。
【0021】
成分(A)は、アルギン酸塩、フコイダン、アガロース、およびカラギーナンから選択される少なくとも1種であることが好ましく、ゲル強度や肌へのなじませやすさ(膜構造の崩れやすさ)の点から、アルギン酸塩であることがより好ましく、アルギン酸ナトリウムであることが特に好ましい。
【0022】
成分(A)は、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0023】
成分(A)の含有量は、0.1~20質量%である。成分(A)の含有量が0.1質量%未満であると、ゲル構造が滑らかに崩れにくく、肌なじみの効果が得られにくい。また、成分(A)の含有量が20質量%を超えると、ゲル強度が高くなりすぎて、手で力を加えてもゲル構造が崩れにくかったり、破断するように崩れるため、肌になじませにくくなる。成分(A)の含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、ゲル強度の点から、1.0質量%以上であることがより好ましい。また、成分(A)の含有量は、15質量%以下であることが好ましく、ゲルの崩壊性、肌なじみ、保湿効果の持続性が一層向上することから、10質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
(成分(B):油剤)
本明細書において、油剤とは、水に不溶(難溶性)の油溶性化合物を指し、例えば、水への溶解度(1013.25hPa、20℃)が2g/100gH2O未満の物質を指す。油剤を用いることで、保湿効果を付与することが可能であり、これにより、ゲルシートにおいて保湿効果の向上に寄与できる。
【0025】
油剤としては、特に限定されるものではないが、成分(B)が25℃において固形または半固形の油剤を含むことが好ましく、固形の油剤を含むことがより好ましい。25℃において固形または半固形の油剤は、ゲルシートの膜強度を高め、またシート化前のO/Wエマルション組成物に粘度を付与する役割を果たすため、成形性の向上にも寄与している。また、固形および/または半固形の油剤を含有させることで、保湿効果の持続性が一層向上する。また、水への溶解性、水膨潤による崩壊性や成形性またはこれら組み合わせについても良好に調整されたゲルシートを得ることができる。
【0026】
25℃において固形または半固形の油剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、炭化水素系油、エステル系油、高級アルコール系油、エーテル系油、およびシリコーン系油等が挙げられる。25℃において固形または半固形の油剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0027】
なお、本発明でいう半固形とは、レオメーター(不動工業社製)により測定したゲル硬度(検体保存温度25℃、感圧軸(アダプター)の針径5mmφ、針入速度60mm/minにおける針入度試験において、感圧軸を深さ5mmまで押し込む際に感圧軸にかかる最大荷重が13N未満であり、25℃で流動性を示さないものをいう。固形油とは、上記針入度試験において、感圧軸を深さ5mmまで押し込む際に感圧軸にかかる最大荷重が13N以上のものをいう。
【0028】
25℃で固形の油剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系固形油、水添ホホバ油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、α-オレフィン・ビニルピロリドン共重合体、トリベヘン酸グリセリル等のエステル系固形油、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール系固形油、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)等のシリコーン系固形油が挙げられる。中でも固形油としては、炭化水素系固形油、エステル系固形油、高級アルコール系固形油であることが好ましい。
【0029】
また、25℃で半固形の油剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ワセリン等の炭化水素系半固形油、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油等の硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル等のコレステロール脂肪酸エステル、オレイン酸フィトステリル、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル等のフィトステロール脂肪酸エステル、水添ヤシ油、水添パーム油等の水添植物油、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ペンタヒドロキシステアリン酸スクロース、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等のエステル系半固形油、ヒドロキシアルキルダイマーシリノレイルエーテル等のエーテル系半固形油、トリベヘニン等のトリグリセリド系半固形油、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーン系半固形油等が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、膜強度および成形性の面から、固形油の融点は、45~100℃であることが好ましく、45~70℃であることがより好ましい。融点が上記下限以上であることで、製膜性が良好となり、また、融点が上記上限以下であることで、力を加えた時に膜構造が崩れやすい。なお、配合される固形油全ての融点が上記好適な範囲内に入っていることが好ましい。
【0031】
固形および/または半固形の油剤の含有量は、上記効果を考慮すると、ゲルシート中、0.1~20質量%であることが好ましく、0.5~15質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることがさらにより好ましい。
【0032】
油剤としては、25℃において液状の油剤(以下、「液状油剤」ともいう)を用いることも好ましい。液状油剤を用いることで、保湿効果を付与することが可能であり、これにより、ゲルシートにおいて保湿効果の向上に寄与できる。また、液状油剤を用いることで、膜の可塑性が一層向上する。さらには、上記固形および/または半固形の油剤と、液状油剤と、を組み合わせて用いることが、ゲル構造の形成の観点から好ましい。
【0033】
液状油剤は、25℃で流動性を有する油剤を意味するものであり、化粧料等に使用されるものであれば、特に限定されない。25℃において液状油剤として、例えば、揮発性、非揮発性や、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素油類、油脂類、紫外線吸収剤も含むエステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられるが、これらに限定されない。これらから、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0034】
25℃において液状油剤として、具体的には、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、アボカド油、メドゥフォーム油等の油脂類;ホホバ油、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、2-エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、トリメリト酸トリトリデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2-オクチルドデシル)等のエステル類;イソテアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等の高級アルコール類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、;低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルジメチコン)、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類;イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素油類、等が挙げられる。これらから、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0035】
液状油剤の含有量は、ゲルシート中、柔軟性および膜強度が良好なゲルシートを得ることができることから、0.1~30質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがより好ましい。
【0036】
また、液状油剤が、20℃における粘度が500mPa・s以下である低粘度液状油を含むと更に好ましく、特に200mPa・s以下である低粘度液状油を含むとさらにより好ましい。これらの低粘度液状油は、液状油剤中に30~100質量%であることが好ましい。このような低粘度液状油によって、油溶性有効成分を配合した際に、皮膚への浸透を促進する役割を果たすことが可能である。
【0037】
20℃における粘度が500mPa・s以下である低粘度液状油としては、流動パラフィン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジメチルポリシロキサン、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、イソノナン酸イソノニル、リノール酸エチル、および乳酸セチル、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルジメチコン)等が挙げられる。これらから1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0038】
尚、液状油剤の粘度は、次の方法で求められる。ブルックフィールド型粘度計である、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標)(芝浦システム社製)を使用して測定する。測定方法は、測定試料を外径45mm、内径38mm、高さ82mmのガラス製ビンにエアスペースが生じないように充填し、ふたをして20℃恒温槽にて一昼夜放置する。翌日、20℃に調整した室内で、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(登録商標)にて、付属の1~4号ローターを用い、6~30回転で1分後の測定値を読み取り、各々の乗数を乗し、粘度値を得る。
【0039】
成分(B)の配合量は、ゲルシート中、0.1~40質量%である。油剤が0.1質量%未満であると、乾燥時にゲルが著しく収縮し、また、保湿効果が維持されない。ゲル構造および保湿効果の持続性を考慮すると、成分(B)の配合量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらにより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、ゲル構造の形成、ゲル構造の崩れやすさを考慮すると、成分(B)の配合量は、40質量%以下であり、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらにより好ましい。
【0040】
(成分(C):多価アルコール)
多価アルコールは、皮膚貼付用ゲルシートを形成する主溶媒であり、皮膚に対して高い保湿効果を付与することが可能である。
【0041】
多価アルコールは、骨格にヒドロキシル基を2つ以上有する構造のアルコールである。成分(C)としては、骨格の炭素数が3~9であることが好ましい。また、成分(C)としては、骨格内にアルキル基またはアルキレングリコール部分を1~3つ有する構造であることが好ましく、さらに当該アルキル基またはアルキレン部分の炭素数は3~6であることがより好ましい。また、成分(C)は、骨格内にヒドロキシ基を2つまたは3つ以上有する構造が好ましく、ヒドロキシ基を2~4有する構造がより好ましい。
【0042】
多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、および1,2-ペンタンジオール等が挙げられる。多価アルコールは1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0043】
肌なじみの観点から、成分(C)がグリセリンを含むことが好ましく、グリセリン、および1,3-ブチレングリコールを組み合わせて用いることがより好ましい。グリセリン、および1,3-ブチレングリコールを組み合わせて用いる場合、両者の含有質量比(グリセリン/1,3-ブチレングリコール)は、0.5~30であることが好ましく、1~20であることがより好ましい。
【0044】
多価アルコールの含有量は、ゲルシート中40~90質量%である。多価アルコールの含有量が90質量%を超えると、膜の連続性が著しく低下し、剥離基材フィルムからゲルシートが剥がしにくくなる(後述の比較例5参照)。また、ゲルシート中、多価アルコールの含有量が40質量%未満であると、成分(A)を可塑化できず、ゲル構造が崩れにくくなり、製剤が肌になじみにくくなる(後述の比較例6参照)。また、同様の理由で、ゲルシート中、多価アルコールの含有量は、好ましくは、45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。さらに同様の理由で、ゲルシート中、多価アルコールの含有量は、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
【0045】
ゲルシート中の三価アルコールの含有量は、特に限定されないが、25~90質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましい。
【0046】
ゲルシート中の二価アルコールの含有量は、特に限定されないが、1~40質量%であることが好ましく、3~35質量%であることがより好ましい。
【0047】
また、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))は、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。両者の含有質量比が上記下限以上であることで、成分(C)の可塑効果が十分に発揮され、塗擦により、容易にゲル構造が崩れ、肌なじみが向上する。また、保湿効果の維持の点からも一層好ましい。成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))の上限は、膜の硬さ(肌に伸ばしたときに製剤が滑らかに伸びること)を考慮すると、例えば200以下であり、180以下であることが好ましい。
【0048】
(成分(D):水)
水は、特に限定されないが、例えば精製水、蒸留水、イオン交換水、水道水、温泉水、海洋深層水等があげられる。
【0049】
成分(D)の含有量は、ゲルシート中、10質量%以下(下限0質量%)である。ゲルシート中、成分(D)が10質量%を超えるとシートの成形性が低下し、剥離基材からはがしにくくなる。皮膚貼付用ゲルシート中、成分(D)の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。成分(D)の含有量の下限は、ゲルシート中、0質量%であるが、肌へのなじみの観点から、0質量%を超えてもよく、0.1質量%以上であってもよい。
【0050】
成分(D)の含有量は、本技術のO/Wエマルション組成物からゲルシートを形成させるときに、乾燥等により10~0質量%に調整することが可能である。
【0051】
成分(D)の量の調整は、調製されたO/Wエマルション組成物を、所望の厚さ、形状のシートに成形した後、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、吸引乾燥、蒸気乾燥、ホットプレート乾燥、冷凍乾燥等の公知の乾燥方法により、水分を乾燥除去することにより行うことが可能である。
【0052】
<水含量の測定方法:カールフィッシャー法>
本発明の皮膚貼付用ゲルシートにおける水の含有量は、JIS K 0068:2001記載のカールフィッシャー法を用いて測定することができる。本発明では、カールフィッシャー法を用いた水分計としては、カールフィッシャー容量法水分計(平沼産業社製の微量水分測定装置(AQV-7)等)等を使用することができ、溶媒としてはメタノールを使用する。
【0053】
(成分(E):ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種)
さらに、成分(E)として、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。成分(E)をさらに含むことで、成分(A)との組み合わせにより、力を加えた時のゲル構造の崩壊が一層容易であり、肌に製剤を一層滑らかになじませやすい。より好ましくは、成分(E)はポリビニルアルコールである。成分(E)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0054】
ポリビニルアルコールは、化粧料や医薬品等の原料として公知のものであり、水性の皮膜形成剤として汎用されるものである。ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルのアセチル基をケン化することにより製造され、ほぼ完全にケン化を行った完全ケン化型と、アセチル基をある程度残した部分ケン化型とに大きく分けられる。一般的に完全ケン化型(98mol%超)、中間ケン化型(90mol%超98mol%以下)、部分ケン化型(70mol%以上90mol%以下)に分類されている。また、本発明において、ケン化度の異なるポリビニルアルコールを適宜組み合わせて使用することが可能である。また、本発明で用いられるポリビニルアルコールは、10~30℃程度の水で溶解可能な水溶性ポリビニルアルコールが好適である。本発明においては、いずれのケン化型のものも使用することができるが、ケン化度の下限値として、好適には70mol%以上、より好適には75mol%以上、さらに好適には80mol%以上、よりさらに好適には85mol%以上であり、ケン化度の上限値として、好適には98mol%以下、より好適には97mol%以下、さらに好適には95mol%以下、よりさらに好適には90mol%以下であり、当該数値範囲として、より好適には70~90mol%、さらに好適には80~90mol%、よりさらに好適には85~90mol%である。当該範囲内にすることにより、柔軟性および膜強度が良好なゲルシートを得ることができる。
【0055】
<ケン化度の測定方法>
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:-OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)で定義される。ケン化度は、JIS K 6726:1994に準拠して求めることができる。
【0056】
ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されず、市販品の範囲内のものを使用することができ、好適には重合度100~4000、より好適には100~2000、さらに好適には100~1000、よりさらに好適には200~700である。
【0057】
ポリビニルアルコールは、上述したケン化度および重合度の両方を調整したものでもよく、好適には部分ケン化型かつ重合度100~4000であり、より好適にはケン化度80~90mol%かつ重合度100~1000、よりさらに好適にはケン化度80~90mol%かつ重合度200~700である。ポリビニルアルコールの重合度はJIS K6726:1994(ポリビニールアルコール試験方法)に準拠して溶液粘度測定法によって測定することができる。
【0058】
ポリビニルアルコールの市販品として、例えば、クラレポバール5-88、クラレポバール22-88、クラレポバール30-88、クラレポバール44-88(いずれもケン化度88mol%、クラレ社製)やゴーセノールEG-05、ゴーセノールEG-40(いずれもケン化度88mol%、日本合成社製)等が挙げられる。
【0059】
本発明においては、好ましくは、ポリビニルアルコールとアクリル酸系ポリマーとを組み合わせて用いる形態は除く。
【0060】
ポリビニルピロリドンは、N-ビニル-2-ピロリドンを重合した高分子化合物である。ポリビニルピロリドンは、天然、半合成、合成のいずれであっても使用することができる。本発明においては、ゲル構造崩壊性の観点から、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、900,000~2,000,000であることが好ましく、1,000,000~1,800,000であることがより好ましい。なお、これらの分子量とは、SEC法により測定される重量平均分子量を指す。
【0061】
ポリビニルピロリドンの市販品として、例えば、ルビスコールK12、ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールL60、ルビスコールK80、ルビスコールK90(BASF社製);PVP K15、PVP K17、PVP K30、PVP K60、PVP K90、PVP K120(以上、アシュランド社製)等が挙げられる。
【0062】
成分(E)の含有量は、ゲルシート中、5質量%未満であることが好ましい。少量の成分(E)を成分(A)と組み合わせて用いることで、ゲル構造が崩れやすく、肌になじませやすいものとなる。成分(E)の含有量は、本願発明の効果を考慮すると、ゲルシート中、0.1質量%以上5質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%未満であることがより好ましい。
【0063】
成分(A)に対する成分(E)の含有質量比((E)/(A))は、ゲル構造の崩れやすさを考慮すると、0.01~15であることが好ましく、0.05~10であることがより好ましく、0.1~3であることがより好ましい。
【0064】
(成分(F):有効成分)
本実施形態のゲルシートは全量を肌になじませることができるため、効率的に有効成分が肌に吸収される。ゆえに、本発明のゲルシートは、有効成分を含むことが好ましい。
【0065】
成分(F)としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等の抗菌剤;アルブチン、エラグ酸、リノール酸、ビタミンC(アスコルビン酸)およびその誘導体(L-アスコルビン酸2-グルコシドなど)、ビタミンEおよびその誘導体、グリチルリチン酸およびその誘導体(グリチルリチン酸ジカリウムなど)、グリチルレチン酸およびその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザイシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物等の美白剤;レチノール、レチノイン酸、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのレチノイド、ニコチン酸およびその誘導体(ニコチン酸アミドなど)等のビタミンB類、クエン酸、フルーツ酸、グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸、α-ヒドロキシ酸コレステロール、ルチン糖誘導体、N-メチルセリン、エラスチン、コラーゲン、セリシン、ツボクサエキス、黄金エキス等の抗シワ剤;イオウおよびその誘導体、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等の抗炎症剤;カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテインおよびその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類又はそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等の細胞賦活剤;スーパーオキシドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキンおよびその誘導体、ルチンおよびその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノールおよびその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類、チアミンおよびその誘導体、リボフラビンおよびその誘導体、ピリドキシンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体等のビタミンB類、トコフェロールおよびその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエンおよびブチルヒドロキシアニソール等の活性酸素除去剤;エラスチン、ケラチン等のタンパク質又はそれらの誘導体、加水分解並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスオアラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸およびそれらの誘導体、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖およびその誘導体、デキストリンおよびその誘導体、ハチミツ等の糖類、D-パンテノールおよびその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等の保湿剤;などが挙げられる。
【0066】
本発明のゲルシートは水の含有量が少ないことを特徴としており、水分を含む肌に貼付すると、水溶性の成分が効率よく肌に移行することが見込まれる。よって、成分(F)としては、より本発明の効果が期待できることから、水溶性の成分であることが好ましく、ニコチン酸アミド、グリチルリチン酸ジカリウム、ビタミンC(アスコルビン酸)およびその誘導体、およびトラネキサム酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0067】
成分(F)の含有量は、有効成分の効果または効果の飽和を考慮すると、0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~7質量%であることがより好ましい。
【0068】
(成分(G):界面活性剤)
本発明においては、後述するようにエマルション組成物を製造することが好ましく、良好なエマルション組成物を容易に作製する観点から、成分(G)として界面活性剤をさらに用いることが好ましい。
【0069】
界面活性剤は、特に限定されないが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(親油性および親水性)が挙げられ、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。さらに、以下の例のうちから、1種又は2種以上を用いることができる。
【0070】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0071】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等);塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0072】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等);リン脂質(例えば、レシチン、水添レシチン等)等が挙げられる。なお、レシチンの由来として、大豆、卵等が挙げられる。
【0073】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);ポリグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0074】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル、POE-フィトステロールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0075】
このうち、界面活性剤としては、少なくともリン脂質(好適には、レシチン、水添レシチン等)を用いることが好ましい。この際、リン脂質と他の界面活性剤とを組み合わせることも好適な一実施形態であり、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(好適には、ステアロイルメチルタウリンナトリウム等)およびリン脂質を組み合わせて用いる形態;POE-アルキルエーテル類(好適には、POE-フィトステロールエーテル等)およびリン脂質を組み合わせて用いる形態がより好ましい。
【0076】
また、本発明における界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、皮膚貼付用ゲルシート中、好適には0.05質量%以上、より好適には0.1質量%以上、さらに好適には0.5質量%以上であり、また、好適には3質量%以下、より好適には2.5質量%以下、さらに好適には2質量%以下である。
【0077】
(任意成分)
本発明の皮膚貼付用ゲルシートには、本発明の効果を妨げない範囲で通常の皮膚外用剤に含有される任意成分、例えば、成分(A)、(E)以外の水溶性高分子、粉末成分、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、中和剤、有機アミン、pH調製剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0078】
成分(A)、(E)以外の水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ペクチン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等)、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等の天然の水溶性高分子;半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸プロピレングリコールエステル等の成分(A)以外のアルギン酸系高分子等の半合成の水溶性高分子;ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシエチレン系高分子;ポリエチレンイミン;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アクリルアミドと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマー、アクリル酸と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマー、アクリル酸とアクリル酸アルキルエステルの共重合体、アクリル酸・アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルの共重合体、アクリル酸・メタクリル酸およびアクリル酸アルキルエステルの共重合体、アクリル酸・アクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸ポリエチレングリコールエステルの共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体、イタコン酸・アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体、アクリル酸・アクリル酸アルキルエステルおよびイタコン酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体、アクリルアミド・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体等のアクリル酸系ポリマー等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
【0079】
次に、本発明の皮膚貼付用ゲルシートの原料組成物および皮膚貼付用ゲルシートの製造方法について説明する。
【0080】
本発明の皮膚貼付用ゲルシートは、(i)成分(A)~成分(D)および適宜前記成分(E)~(G)ならびに任意成分を含むO/Wエマルション組成物を作製すること、(ii)当該O/Wエマルション組成物をシート状にして所定の水分量まで乾燥させること、により得ることができる。なお、一実施形態においてはゲルシートを得る際に水分量を乾燥させるため、O/Wエマルション組成物における水(=成分(D))の含有割合は、ゲルシートにおける成分(D)の含有割合と必ずしも一致するものではない。
【0081】
前記(i)における組成物をエマルション化する製造方法は、公知のエマルション化の方法を用いればよい。
【0082】
本発明に用いられるO/Wエマルション組成物は、成分(A)~成分(D)、および適宜成分(E)~(G)ならびに任意成分を混合等によって乳化させることで得ることができる。より具体的には、当該O/Wエマルション組成物は、成分(B)油剤を少なくとも含む油相と、成分(A)、成分(C)多価アルコール、成分(D)水を少なくとも含む水相とを、乳化させることにより、得ることができる。
【0083】
また、O/Wエマルション組成物の製造方法の一例として、成分(C)多価アルコールおよび成分(D)水を含む水系中に、成分(A)を溶解させ、この水系に、成分(B)油剤を分散させて得ることができる。この製造工程において、適宜、成分(E)~(G)ならびに任意成分を添加して分散性を向上させたり、効果を期待する成分を添加してもよい。
【0084】
また、O/Wエマルション組成物の製造方法の一例として、成分(A)を溶解させた成分(D)水を含む水相に、成分(B)油剤と成分(C)多価アルコールとを含む油相を添加し乳化させて得ることができる。この製造工程において、適宜、成分(E)~(G)ならびに任意成分を添加して分散性を向上させたり、効果を期待する成分を添加してもよい。
【0085】
また、O/Wエマルション組成物の製造方法の一例として、成分(D)水および成分(G)界面活性剤を含む分散液と、成分(B)油剤とを混合分散させ、この分散液に、成分(A)、成分(C)多価アルコールおよび水を含む水系を分散させて得ることができる。この製造工程において、適宜、成分(E)~(G)ならびに任意成分を添加して分散性を向上させたり、効果を期待する成分を添加してもよい。
【0086】
O/Wエマルション組成物に使用する水の量は、O/Wエマルション形成可能な量でかつ乾燥後に所望の水分含量のゲルシートに形成可能な量になるように、調整することができる。水分量は特に限定されないが、O/Wエマルション組成物中に、10~50質量%になるように調整することが好適である。
【0087】
皮膚貼付用シートは、O/Wエマルション組成物を、所望の厚さ、形状のシートに成形した後、公知の乾燥方法(例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、吸引乾燥、蒸気乾燥、ホットプレート乾燥、冷凍乾燥等)により、水分を所望の含有量になるように、乾燥除去することにより、得ることができる。
【0088】
本発明の皮膚貼付用ゲルシートを成形する手法としては、例えば、ゲルシート形成用の組成物を剥離基材フィルム上に均一の厚みとなるように展開し、加熱乾燥後に、切断をして所定形状のシートを得る方法(キャスト法)、ロール、ブレード、カレンダーなどを用いて、前記組成物を剥離基材フィルムに所望の厚みでコーティングを行い、加熱乾燥後に、切断をして所定形状のシートを得る方法(コーティング法)、樹脂等で形成してある枠部(トレイ)に前記組成物を充填し、その後加熱乾燥することにより所定形状のシートを得る製造する方法、ゲルシートの形状に対応した開孔が形成されている孔版を用い、前記開孔に前記組成物を充填し、剥離基材フィルム上に前記組成物を印刷した後に、加熱乾燥することにより所定形状のシートを得る製造する方法(孔版印刷)等が挙げられるが、いずれの手法も用いることができる。また、本発明の皮膚貼付用ゲルシートは剥離基材をつけた状態でプラスチック製等の包装容器に収納または密封されていてもよい。また、剥離基材は、本発明の皮膚貼付用ゲルシートが使用時に剥離できる基材が好ましく、フィルムに特に限定されずトレイ等でもよく、その材質も特に限定されない。
【0089】
使用する剥離基材フィルムやトレイの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、紙、等が例示でき、また本発明の皮膚貼付用ゲルシートが剥離しやすいよう、表面にシリコーンやフッ素等、各種コーティングを施すことができる。
【0090】
ゲルシートの形状としては、貼付対象部位に貼付しやすいよう最適な形状にすればよく、円形、楕円形、スクエア状、勾玉状、フェイス状等、自由に成形することができる。
【0091】
上述のようにして皮膚貼付用ゲルシートの製造方法にて得られた皮膚貼付用ゲルシートは、保湿効果と使用性(膜強度、膜の負担感のなさ、水への溶解性)、シートの成形性に優れるという効果を有する。さらに、得られた皮膚貼付用ゲルシートは、保湿性に優れながらも、柔軟性と強度を兼ね備えるために、支持体が不要で使用性に優れ、さらに高い水溶性により、容易に水に溶解し肌になじませることが可能である。
【0092】
<皮膚貼付用ゲルシートの使用方法>
本発明の皮膚貼付用ゲルシートの使用方法としては、シート単独での使用はもちろんのこと、シートを皮膚に貼付した後に、使用者がゲルシートをマッサージしながら肌になじませるという使用も可能である。これにより、容易にシートが崩壊し、各有効成分を皮膚に効果的に吸収させることが可能となる。本発明の皮膚貼付用ゲルシートは、支持体がなくてもシート成形が可能であり、力を加えずとも滑らかにゲルが崩壊するため、肌になじませやすい。
【0093】
本発明の皮膚貼付用ゲルシートは、成分(A)、成分(C)多価アルコールおよび成分(D)水および適宜任意成分から構成されている外相に、成分(B)の油剤が分散している形態である。このため、油剤による可塑効果によりゲルが柔らかくなっている。
【0094】
本発明の皮膚貼付用ゲルシートの膜の厚みは、適宜設定することができるが、例えば、50~2000μmであり、100~1000μmであることが好ましい。
【0095】
なお、本発明におけるゲルシートの膜の厚みは、デジタルマイクロメーター(ミツトヨ社製:MDE-25MJ)を用いてゲルが乾燥した後に測定を行った値である。
【実施例0096】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0097】
<実施例1~16および比較例1~6:皮膚貼付用ゲルシート>
表1に示す組成の皮膚貼付用ゲルシートを下記製造方法により調製し、「肌への転写性」「塗膜の硬さ」「肌へのなじみ」「保湿効果の持続性」の各項目について、以下に示す評価方法および判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
(製造方法)
(1):成分(11)~(16)を90℃に加熱して均一に混合溶解する。
(2):成分(7)~(10)、(18)、(19)を70℃に加熱して均一に混合溶解後、(1)と混合する。
(3):成分(2)~(6)、(17)、(20)、(21)に処方外の精製水30%を加え、70℃に加熱して均一に混合溶解する。
(4):70℃にて(2)で得られた混合物を撹拌しながら(3)で得られた混合物を加え乳化した後、室温に冷却する。
(5):成分(1)に処方外の精製水を5%添加し溶解した後、(4)に添加混合し、O/W乳化型の組成物を得る。
(6):(5)で得られた組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にドクターブレードにて均一な厚さになるよう展延成形し、60℃の送風乾燥機にて1時間加熱乾燥させ水を10%以下とし、室温で冷却することにより、厚さ200μmの皮膚貼付用ゲルシートを得た。
【0098】
なお、製造途中で添加する水の添加割合は、ゲルシートを構成する成分(1)~(22)を100%とした場合の割合である。以下、他の実施例においても同様である。
【0099】
(評価方法1:肌への転写性(ゲルシートの強度))
各シートについて、剥離基剤フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルムより剥離する際のシートの強度を、専門評価者10名が、以下の3段階判定基準に従って評価し、その平均点を算出して、下記判定に従って評価した。なお評価基準で用いる一枚膜とは、シートがちぎれずに一枚の膜として存在している状態を意味する。
(評点):
3点:ゲルシートに亀裂がまったく入らず一枚膜としてきれいに転写できている、
2点:ゲルシートに亀裂が入るが一枚膜として転写できており使用に問題はない、
1点:ゲルシートが剥離基剤フィルムに付着し、非常に剥離しにくく、一枚膜とならない。
(判定):
◎(優):2.5点以上、
〇(良):2点以上2.5点未満、
×(不良):2点未満。
【0100】
(評価方法2:ゲルシートの貯蔵弾性率)
ストレス制御式レオメーターを用い、35℃で、Frequencyを50Hzとし1%のひずみをかけた際の貯蔵弾性率G’を測定し、以下、評価基準にしたがって分類した。貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置Discovery HR20(TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
(判定)
◎:G’≦10000Pa、
○:10000Pa<G’≦20000Pa、
△:20000Pa<G’≦40000Pa、
×:G’>40000Pa。
【0101】
(評価方法3:肌へのなじみ)
一辺2cmの正方形に裁断した各ゲルシートを前腕内側部に貼付し、貼付から5分後に指でマッサージし、ゲルシートの膜構造を崩した際の肌へのなじませやすさを、専門評価者10名が、以下の4段階判定基準にしたがって評価した。
【0102】
(評点):(評価)
4点:マッサージすると膜構造が容易に崩れ、なめらかに肌になじませられる、
3点:少し力を入れる必要があるが、マッサージすると膜構造が崩れなじませられる、
2点:マッサージすると膜構造は崩れるが、膜が破断しぼろぼろとしたカスのようになり肌になじませにくい、
1点:マッサージしても膜構造が崩れない。
(判定):(評点の平均値)
◎(優):3.5点以上、
〇(良):2.5点以上3.5点未満、
△(やや不良):1.5点以上2.5点未満、
×(不良):1.5点未満。
【0103】
(評価方法4:保湿効果の持続性)
前腕内側部において何も塗布されていない皮膚の初期水分量を、SKICON-200EX(アイ・ビイ・エス社製)にて測定した後、一辺2cmの正方形に裁断した各ゲルシートを前腕内側部に貼付し、貼付30分後に肌に塗り込み、塗り込んでから6時間後の皮膚水分量を測定した。各サンプルは、5人の健常人にて測定し、初期状態の水分量を100とした場合、塗り込んだ6時間後の水分量を相対値として算出し、各パネルの相対値平均水分量により以下の4段階判定基準に従って保湿効果を評価した。
(判定):(初期水分量に対する相対値平均水分量)
◎150%以上、
○150%未満130%以上、
△130%未満110%以上、
×110%未満。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
*1:スノーアルギンM(富士化学工業社製)
*2:カラギーナンJ(旭東化学産業社製)
*3:SeaPure Agarose(ロンザ社製)
*4:メトローズ65SH-4000(信越化学工業社製)
*5:パインフロー S(松谷化学工業社製)
*6:WHITE BEES WAX(三木化学社製)
*7:PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジーズ社製)
*8:セトステアリルアルコール(高級アルコール工業社製)
*9:PLANDOOL-S(日本精化社製)
*10:CARNAION(SONNEBORN,LLC社製)
*11:クラレポバール5-88(ケン化度88モル%、重合度500、クラレ社製)
*12:レシノール S-10(日光ケミカルズ社製)
*13:ニッコール SMT(日光ケミカルズ社製)
*14:CARBOPOL 980(Lubrizol Advanced Materials社製)。
【0108】
上記表から理解されるように、実施例1~16の皮膚貼付用ゲルシートは、「肌への転写性」「肌へのなじみ」「保湿効果の持続性」のすべてにおいて優れているものであった。また、貯蔵弾性率は、20000Pa以下であった。一方、成分(A)が存在しない比較例1は、手でマッサージしても膜構造が容易に崩すことが困難であった。また、成分(A)の配合量が上限を超える比較例2は、肌へのなじみ、保湿効果の持続性のいずれも劣るものであり、また貯蔵弾性率も高いものであった。また、成分(A)を他の多糖類に変更した比較例3、4では、膜の強度が低く、肌への転写性が著しく劣るものであった。多価アルコール量が90質量%を超える比較例5では、肌にゲルシートを転写させることが困難であった。逆に多価アルコール量が40質量%を下回る比較例6では、肌へのなじみ、保湿効果の持続性のいずれも劣るものであり、また貯蔵弾性率も高いものであった。また、水系のゲルシートである比較例7は、膜の連続性に欠け肌にゲルシートを転写させることが困難であり、また、保湿性にも欠けるものであった。なお、実施例1と実施例13とでは、実施例13のほうがより肌へのなじみに優れ、力を崩した際により滑らかなクリーム状に変化するものであった。
【0109】
実施例17:皮膚貼付用ゲルシート
(成分) (質量%)
1.グリチルリチン酸ジカリウム(成分(F)) 0.1
2.フコイダン(成分(A)) *15 0.5
3.グリセリン(成分(C)) 55.0
4.1,3-ブチレングリコール(成分(C)) 10.0
5.トリプロピレングリコール(成分(C)) 5.0
6.1,2-ペンタンジオール(成分(C)) 0.5
7.合成ワックス(融点80~88℃)(成分(B):固形油) *A 3.0
8.セトステアリルアルコール(融点50~63℃)(成分(B):固形油) *8 3.0
9.パラフィン(融点56~61℃)(成分(B):固形油) *B 1.0
10.ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(成分(B):半固形油) *C 0.5
11.ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2 *D 3.0
12.イソノナン酸イソトリデシル(成分(B):液状油) *E 2.0
13.デシルテトラデカノール(成分(B):液状油) *F 2.0
14.水添レシチン *12(成分(G)) 1.0
15.ステアロイルメチルタウリンNa(成分(G)) *13 0.3
16.ポリビニルアルコール(成分(E)) *G 4.0
17.(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー *H 0.4
18.水酸化ナトリウム 0.2
19.香料 0.1
20.精製水(成分(D)) 残量(7.4)
*15:オキナワモズクフコイダン(サウスプロダクト社製)
*A:CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
*B:PARACERA256(PARAMELT社製)
*C:SOFTISAN 649(SASOL GERMANY GMBH社製)
*D:コスモール 43V(日清オイリオグループ社製)
*E:サラコス 913(日清オイリオグループ社製)
*F:リソノール 24SP(高級アルコール工業社製)
*G:クラレポバール44-88(クラレ社製)
*H:PEMUREN TR-1(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)
(製造方法)
(1):成分(7)~(13)を90℃に加熱して均一に混合溶解する。
(2):成分(3)~(6)、(14)、(15)を70℃に加熱して均一に混合溶解後、(1)と混合する。
(3):成分(2)、(16)~(18)に水30%を加え、70℃に加熱して均一に混合溶解する。
(4):70℃にて(2)で得られた混合物を撹拌しながら(3)で得られた混合物を加え乳化した後、室温に冷却する。
(5):成分(1)に水を5%添加し溶解した後、(4)に添加混合する。
(6):(5)で得られた混合物に成分(19)を添加混合し、O/W乳化型の原料組成物を得る。
(7):勾玉形状の穴を空けたメタルマスクを用い、厚さ50μmのポリ塩化ビニル基材上に(6)で得られた組成物を孔版印刷した後、真空乾燥させ水を10%以下とすることで、厚さ400μmの皮膚貼付用ゲルシートを得た。
【0110】
実施例17の皮膚貼付用ゲルシートは、「肌への転写性」「肌へのなじみ」「保湿効果の持続性」のすべてにおいて優れているものであった。また、貯蔵弾性率は、20000Pa以下であった。なお、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))は141であった。
【0111】
実施例18:皮膚貼付用ゲルシート
(成分) (質量%)
1.トラネキサム酸((成分(F)) 0.5
2.アルギン酸Na((成分(A)) *1 5.0
3.グリセリン(成分(C)) 65.0
4.1,3-ブチレングリコール(成分(C)) 10.0
5.マイクロクリスタリンワックス(融点76~83℃)(成分(B):固形油) *I
1.0
6.セトステアリルアルコール(融点50~63℃)(成分(B):固形油) *8
3.0
7.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(成分(B):半固形油)*J 2.0
8.ジフェニルジメチコン(成分(B):液状油)*K 2.0
9.リンゴ酸ジイソステアリル(成分(B):液状油) *L 2.0
10.イソノナン酸イソノニル(成分(B):液状油) *M 2.0
11.ジメチルポリシロキサン(成分(B):液状油) *N 0.2
12.水添レシチン(成分(G)) *12 1.0
13.ステアロイルメチルタウリンNa(成分(G)) *13 0.3
14.(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー *O 0.4
15.水酸化ナトリウム 0.2
16.香料 0.1
17.精製水(成分(D)) 残量(5.3)
*I:MULTIWAX W445(SONNEBORN社製)
*J:エルデュウ PS-306(味の素社製)
*K:KF-54(信越化学工業社製)
*L:コスモール 222(日清オイリオグループ社製)
*M:サラコス 99(日清オイリオグループ社製)
*N:KF-96-100CS(信越化学工業社製)
*O:CARBOPOL 1382LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)
(製造方法)
(1):成分(5)~(11)を90℃に加熱して均一に混合溶解する。
(2):成分(3)、(4)、(12)、(13)を70℃に加熱して均一に混合溶解後、(1)と混合する。
(3):成分(2)、(14)~(15)に水30%を加え、70℃に加熱して均一に混合溶解する。
(4):70℃にて(2)で得られた混合物を撹拌しながら(3)で得られた混合物を加えて乳化した後室温に冷却する。
(5):成分(1)に水を5%添加し溶解した後、(4)に添加混合する。
(6):(5)で得られた混合物に成分(16)を添加混合し、O/W乳化型の原料組成物を得る。
(7):勾玉形状の凹みをつけたポリスチレン製のトレイの底面にポリプロピレンフィルムを敷き、その上から(6)で得られた組成物を流し込み、60℃にて一時間加熱乾燥させることで、厚さ400μmの皮膚貼付用ゲルシートを得た。
【0112】
実施例18の皮膚貼付用ゲルシートは、「肌への転写性」「肌へのなじみ」「保湿効果の持続性」のすべてにおいて優れているものであった。また、貯蔵弾性率は、20000Pa以下であった。なお、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))は15であった。
【0113】
実施例19:皮膚貼付用ゲルシート
(成分) (質量%)
1.L-アスコルビン酸2-グルコシド(成分(F)) 2.0
2.クエン酸(成分(F)) 0.03
3.クエン酸ナトリウム 0.2
4.アルギン酸Na(成分(A)) *1 5.0
5.グリセリン(成分(C)) 45.0
6.1,3-ブチレングリコール(成分(C)) 10.0
7.ジプロピレングリコール(成分(C)) 20.0
8.ミツロウ(融点60~67℃)(成分(B):固形油) *6 3.0
9.ベヘニルアルコール(融点65~73℃)(成分(B):固形油) 2.0
10.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(成分(B):半固形油) *9 1.0
11.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(ジメチコン溶解物) *P
1.0
12.ミリスチン酸イソプロピル(成分(B):液状油) *Q 2.0
13.2-エチルヘキサン酸セチル(成分(B):液状油) *R 1.0
14.ジメチルポリシロキサン(成分(B):液状油) *N 0.2
15.水添レシチン(成分(G)) *12 1.0
16.ステアロイルメチルタウリンNa(成分(G)) *13 0.3
17.アクリルアミドと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーの40%分散物 *S 0.5
18.水酸化ナトリウム 0.3
19.メチルパラベン 0.05
20.精製水(成分(D)) 残量(5.72)
*P:KSG-16(信越化学工業社製)
*Q:IPM-EX(日本サーファクタント工業社製)
*R:サラコス 816T(日清オイリオグループ社製)
*S:SEPIGEL 305(SEPIC社製)
(製造方法)
(1):成分(8)~(14)を90℃に加熱して均一に混合溶解する。
(2):成分(5)~(7)、(15)、(16)を70℃に加熱して均一に混合溶解後、(1)と混合する。
(3):成分(4)、(17)~(19)に水30%を加え、70℃に加熱して均一に混合溶解する。
(4):70℃にて(2)で得られた混合物を撹拌しながら(3)で得られた混合物を加えて乳化した後室温に冷却する。
(5):成分(1)~(3)に水を10%添加し溶解した後、(4)に添加混合し、O/W乳化型の原料組成物を得る。
(6):(5)で得られた組成物を厚さ50μmのポリプロピレンフィルム上にキャスト機にて均一な厚さになるよう加熱乾燥しながら展延成形し、厚さ400μmの皮膚貼付用ゲルシートとした後に、勾玉状に裁断した。
【0114】
実施例19の皮膚貼付用ゲルシートは、「肌への転写性」「肌へのなじみ」「保湿効果の持続性」のすべてにおいて優れているものであった。また、貯蔵弾性率は、20000Pa以下であった。なお、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))は15であった。
【0115】
実施例20:皮膚貼付用ゲルシート
(成分) (質量%)
1.ニコチン酸アミド 5.0
2.アルギン酸Na(成分(A)) 7.0
3.グリセリン(成分(C)) 65.0
4.1,3-ブチレングリコール(成分(C)) 5.0
5.エチレン・プロピレンコポリマー(融点95℃)(成分(B):固形油) *T 2.0
6.セトステアリルアルコール(融点50~63℃)(成分(B):固形油) 3.0
7.マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル(成分(B):半固形油) *U 2.0
8.ポリブテン(30℃の粘度:400,000mm2/s)(成分(B):液状油) 1.0
9.オクチルドデカノール(成分(B):液状油) *W 1.0
10.流動パラフィン(成分(B):液状油) *X 5.0
11.水添レシチン(成分(G)) *13 1.0
12.ポリオキシエチレンフィトステロール(成分(G)) *Y 0.3
13.精製水 残量(4.7)
*T:EP-700(BakerPetrolite社製)
*U:PLANDOOL-MAS(日本精化社製)
*W:リソノール 20SP(高級アルコール工業社製)
*X:KLEAROL WHITE MINERAL OIL(Sonneborn社製)
*Y:ニッコール BPS-30(日光ケミカルズ社製)
(製造方法)
(1):成分(5)~(10)を90℃に加熱して均一に混合溶解する。
(2):成分(3)、(4)、(11)、(12)を70℃に加熱して均一に混合溶解後、(1)と混合する。
(3):成分(2)に水30%を加え、70℃に加熱して均一に混合溶解する。
(4):70℃にて(2)で得られた混合物を撹拌しながら(3)で得られた混合物を加えて乳化した後室温に冷却する。
(5):成分(1)に水を10%添加し溶解した後、(4)に添加混合し、O/W乳化型の原料組成物を得る。
(6):勾玉形状の凹みをつけたポリスチレン製のトレイの底面にポリ塩化ビニリデンフィルムを敷き、その上から(5)で得られた組成物を流し込み、60℃にて一時間加熱乾燥させることで、厚さ200μmの皮膚貼付用ゲルシートを得た。
【0116】
実施例20の皮膚貼付用ゲルシートは、「肌への転写性」「肌へのなじみ」「保湿効果の持続性」のすべてにおいて優れているものであった。また、貯蔵弾性率は、20000Pa以下であった。なお、成分(A)に対する成分(C)の含有質量比((C)/(A))は10であった。