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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147117
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】見守りシステムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220929BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220929BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220929BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20220929BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
H04M11/00 301
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048234
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167276
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】森岡 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】後藤 仁志
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 博
(72)【発明者】
【氏名】宮本 俊彦
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K201
5L099
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA44
5C086BA01
5C086EA40
5C086EA43
5C086EA45
5C086FA17
5C087AA10
5C087DD03
5C087DD24
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG51
5C087GG70
5C087GG83
5K201BA02
5K201CB13
5K201CC10
5K201EC06
5K201ED07
5K201ED09
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】水道の使用量に基づいて対象者の生活状況を利用者がネットワークを介して確認できるようにする見守りシステムにおいて、利用者に対する通知の頻度を調整できるようにする技術を提供する。
【解決手段】見守りシステムは、前記対象者の前記水道の使用量の計測結果を送信する水道監視部と、前記対象者の水道の使用状況に関する通知を前記利用者の連絡先に送信する通知処理を実行する管理サーバとを備える。前記管理サーバは、前記通知処理の通知設定の変更を受け付け、前記通知処理において、前記対象者の水道の使用状況における異常の発生が検出されていないことを報せる通常通知、または、前記異常の発生が検出されたことを報せる異常通知のいずれかを定期的なタイミングで送信する定期通知、または、前記通常通知は送信せず、前記異常通知は送信する不定期通知のいずれかを前記通知設定の選択に従って実行する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道の使用量に基づいて対象者の生活状況を利用者がネットワークを介して確認できるようにする見守りシステムであって、
前記対象者の前記水道の使用量の計測結果を、前記ネットワークを通じて送信する水道監視部と、
前記水道監視部からの前記計測結果を受信し、前記計測結果に基づく前記対象者の前記水道の使用状況に関する通知を、予め登録されている前記利用者の連絡先に、前記ネットワークを通じて送信する通知処理を実行する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバは、
前記計測結果と予め定められた判定条件とに基づいて、前記対象者の前記水道の使用状況における異常の発生を検出する機能と、
前記通知処理の実行条件を定める通知設定の変更を受け付ける機能と、
前記通知処理において、前記通知として、前記異常の発生が検出されていないことを報せる通常通知、または、前記異常の発生が検出されたことを報せる異常通知のいずれかを、定期的なタイミングで送信する定期通知、または、前記通常通知は送信せず、前記異常の発生が検出されたときに前記異常通知を前記通知として送信する不定期通知のいずれかを、前記通知設定に設定されている選択に従って実行する機能と、
を有する、見守りシステム。
【請求項2】
請求項1記載の見守りシステムであって、
前記管理サーバは、前記判定条件を、前記対象者ごとに可変に設定可能である、見守りシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の見守りシステムであって、
前記管理サーバは、前記利用者の連絡先への前記対象者の前記異常の発生の有無に関する前記通知の送信を休止する通知休止期間の設定を、前記通知設定の一つとして受け付ける、見守りシステム。
【請求項4】
請求項3記載の見守りシステムであって、
前記管理サーバは、前記通知休止期間が設定されている間に、前記計測結果に基づいて、前記対象者の前記水道の使用履歴を示す使用判定条件が満たされたと判定したときには、前記通知休止期間の設定を解除し、前記通知の実行を再開する、見守りシステム。
【請求項5】
水道の使用量に基づいて対象者の生活を見守る見守りシステムの制御方法であって、
前記対象者の前記水道の使用量の計測結果を、ネットワークを通じて受信する工程と、
前記計測結果に基づく前記対象者の前記水道の使用状況に関する通知を、前記ネットワークを通じて、予め登録されている利用者の連絡先に送信する通知処理の実行条件を定める通知設定の変更を受け付ける工程と、
前記計測結果と予め定められた判定条件とに基づいて、前記対象者の前記水道の使用状況における異常の発生を検出する工程と、
前記通知処理において、前記通知として、前記異常の発生が検出されていないことを報せる通常通知、または、前記異常の発生が検出されたことを報せる異常通知のいずれかを、定期的なタイミングで送信する定期通知、または、前記通常通知は送信せず、前記異常の発生が検出されたときに前記異常通知を送信する不定期通知のいずれかを、前記通知設定に設定されている選択に従って実行する工程と、
を備える、見守りシステムの制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、見守りシステムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者等の見守りの対象となるような人の生活状況を、ネットワーク技術を利用して、別居の親族等が確認できるようにする種々の見守りシステムが提案されている。例えば、下記の特許文献1には、水道の使用状況の監視システムを、そうした見守りシステムとして利用する技術が開示されている。こうした見守りシステムでは、見守りを依頼した利用者に、見守りの対象者の生活状況を報せる情報が、Eメール等によって通知される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-153721号公報
【特許文献2】特開2019-109572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような見守りシステムにおいては、異常を報せる通知とは異なる通知がシステムから利用者に頻繁に送信されると、利用者による通知内容の確認が疎かになり、対象者の異常を報せる通知を利用者が見落としてしまう状況が生じる可能性がある。その一方で、利用者によっては、システム側からの通知が長期間ないと対象者の安否について不安に感じてしまう場合もある。このように、見守りシステムにおいては、対象者の状況を報せる通知が、それぞれの利用者にとって適度な頻度で送信されることが望ましい。見守りシステムからの利用者に対する通知の頻度を調整することについては依然として改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の技術の一形態は、水道の使用量に基づいて、対象者の生活状況を、利用者がネットワークを介して確認できるようにする見守りシステムとして提供される。この形態の見守りシステムは、前記対象者の前記水道の使用量の計測結果を、前記ネットワークを通じて送信する水道監視部と、前記水道監視部からの前記計測結果を受信し、前記計測結果に基づく前記対象者の前記水道の使用状況に関する通知を、予め登録されている前記利用者の連絡先に、前記ネットワークを通じて送信する通知処理を実行する管理サーバと、を備える。前記管理サーバは、前記計測結果と予め定められた判定条件とに基づいて、前記対象者の前記水道の使用状況における異常の発生を検出する機能と、前記通知処理の実行条件を定める通知設定の変更を受け付ける機能と、前記通知処理において、前記通知として、前記異常の発生が検出されていないことを報せる通常通知、または、前記異常の発生が検出されたことを報せる異常通知のいずれかを定期的なタイミングで送信する定期通知、または、前記通常通知は送信せず、前記異常の発生が検出されたときに前記異常通知を前記通知として送信する不定期通知のいずれかを、前記通知設定に設定されている選択に従って実行する機能と、を有する。
この形態の見守りシステムによれば、対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無について、定期的に通知を受け取るか、あるいは、異常の発生が検出されたときにのみ通知を受け取るか、を利用者が任意に選択できる。よって、利用者は、自身にとって適度な頻度で、見守りシステムからの通知を受け取ることが可能になる。
【0007】
(2)上記形態の見守りシステムにおいて、前記管理サーバは、前記判定条件を、前記対象者ごとに可変に設定可能であるとしてもよい。
この形態の見守りシステムによれば、対象者ごとに、日常の水道の使用傾向に適合させた判定条件を設定することができるため、水道の使用量に基づく異常発生の検出精度を高めることができる。よって、対象者が無事であるのにも関わらず、異常の発生を報せる通知が利用者に頻繁に送信され、利用者による通知の確認が疎かになる状況や、対象者に異常が生じているにも関わらず、利用者に通知が送信されない状況が生じることを抑制できる。
【0008】
(3)上記形態の見守りシステムにおいて、前記管理サーバは、前記利用者の連絡先への前記対象者の前記異常の発生の有無に関する前記通知の送信を休止する通知休止期間の設定を、前記通知設定の一つとして受け付けてもよい。
この形態の見守りシステムによれば、例えば、対象者が自宅を長期にわたって不在にする場合など、対象者によって水道が平常通りに使用されない期間が続く場合に、通知休止期間を予め設定しておくことができる。これにより、対象者が平常通りに水道を使用しない状況にあることを利用者が把握しているのにも関わらず、対象者の異常の発生を報せる通知が利用者に送信されてしまうことを抑制できる。よって、利用者に不要な通知や、誤った内容の通知が送信される頻度を低減することができる。
【0009】
(4)上記形態の見守りシステムにおいて、前記管理サーバは、前記通知休止期間が設定されている間に、前記計測結果に基づいて、前記対象者の前記水道の使用履歴を示す使用判定条件が満たされたと判定したときには、前記通知休止期間の設定を解除し、前記通知の実行を再開するものとしてもよい。
この形態の見守りシステムによれば、設定された通知休止期間中に、対象者が通常通りの生活を再開しているのにもかかわらず、利用者への通知が休止されたままになる状況が生じることを抑制できる。
【0010】
(5)本開示の技術の他の形態は、水道の使用量に基づいて対象者の生活を見守る見守りシステムの制御方法として提供される。この形態の制御方法は、前記対象者の前記水道の使用量の計測結果を、ネットワークを通じて受信する工程と、前記計測結果に基づく前記対象者の前記水道の使用状況に関する通知を、前記ネットワークを通じて、予め登録されている利用者の連絡先に送信する通知処理の実行条件を定める通知設定の変更を受け付ける工程と、前記計測結果と予め定められた判定条件とに基づいて、前記対象者の前記水道の使用状況における異常の発生を検出する工程と、前記通知処理において、前記通知として、前記異常の発生が検出されていないことを報せる通常通知、または、前記異常の発生が検出されたことを報せる異常通知のいずれかを定期的なタイミングで送信する定期通知、または、前記通常通知は送信せず、前記異常の発生が検出されたときに前記異常通知を送信する不定期通知のいずれかを、前記通知設定に設定されている選択に従って実行する工程と、を備える。
この形態の見守りシステムの制御方法によれば、見守りの対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無について、定期的に通知を受け取るか、異常が発生したときのみに通知を受け取るかを、利用者が任意に選択できる。よって、利用者は、自身にとって適度な頻度で、見守りシステムからの通知を受け取ることが可能になる。
【0011】
本開示の技術は、見守りシステムやその制御方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、見守りシステムを制御するサーバや、見守りシステムやその制御方法の機能をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのプログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】見守りシステムの構成を示す概略図。
図2】水道監視部の構成を示す概略機能ブロック図。
図3】管理サーバの構成を示す概略機能ブロック図。
図4】見守りシステムの制御処理のフローチャート、
図5】管理サーバが実行する通知処理のフローチャート。
図6】通知処理において実行される通知休止期間処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態:
図1は、本実施形態における見守りシステム100の構成を示す概略図である。見守りシステム100は、見守りサービスの提供を依頼した利用者が、見守りの対象である対象者の生活状況を、当該対象者による水道の使用量に基づいて確認できるようにするネットワークシステムである。
【0014】
本実施形態では、見守りシステム100は、ネットワークNTとしてインターネットを利用しており、IoT(Internet of Things)技術の導入により、見守りの対象者の水道の使用量の情報を収集する。また、見守りシステム100は、予め登録された利用者の連絡先に、対象者の水道の使用状況に関する通知を、ネットワークNTを通じて送信する。利用者に対する通知は、例えば、Eメールや、電話番号を利用したメッセージサービス、SNS(Social Networking Service)を利用したメッセージ機能等によって送信される。
【0015】
見守りシステム100は、見守りの対象者の住居施設に設置され、ネットワークNTに接続されている水道監視部10と、ネットワークNTに接続され、見守りシステム100を制御する管理サーバ50と、を備える。
【0016】
水道監視部10は、対象者の住居施設における水道の使用量を計測する水道メータ11と、水道メータ11に接続され、水道メータ11の計測結果を、ネットワークNTを通じて管理サーバ50に送信する受信器12と、を備える。水道メータ11および受信器12の構成の詳細については後述する。
【0017】
管理サーバ50は、ネットワークNTに接続されており、ネットワークNTを通じて水道監視部10から水道の使用量の計測結果を受信し、対象者ごとにその計測結果を管理する。また、管理サーバ50は、水道監視部10から受信した計測結果に基づく対象者の水道の使用状況に関する通知を、予め設定された後述する通知設定に従って、予め登録されている利用者の連絡先に、ネットワークNTを通じて送信する通知処理を実行する。管理サーバ50の詳細な構成や、管理サーバ50による見守りシステム100の制御の内容、及び、通知処理については後述する。
【0018】
見守りシステム100の利用者は、ネットワークNTに接続された自身の利用者端末UTを介して見守りシステム100からの通知を受け取ることができる。利用者端末UTは、ネットワークNTに接続可能なデバイスによって構成される。利用者端末UTは、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されてもよいし、タブレット端末や、スマートフォン、スマートフォン以外の携帯電話などによって構成されてもよい。
【0019】
図2は、水道監視部10の構成を示す概略機能ブロック図である。上述したように、水道監視部10は、水道メータ11と受信器12とを備える。水道メータ11は、例えば、電子式水道メータによって構成される。水道メータ11は、検出部20と、メータ制御部21と、通信部24と、表示部26と、操作部28と、を備える。
【0020】
検出部20は、水道の配管に設置され、当該配管における水の流量を表すパルス信号を生成してメータ制御部21に出力する。本実施形態では、水道メータ11は、接線流羽根車式の計測方法を採用しており、検出部20は、配管内に設置される羽根車の回転により、水の流量を表すパルス信号を生成する。なお、水道メータ11の計測方式は特に限定されることはなく、水道メータ11には、接線流羽根車式以外の計測方式が採用されてもよい。水道メータ11の計測方式としては、軸流羽根車式が採用されもよいし、羽根車を用いることなく、水の流れに磁界をかけて計測する電磁式が採用されもよい。
【0021】
メータ制御部21は、集積回路(LSI)によって構成され、上述した検出部20や、以下に説明する水道メータ11の各構成部24,26,28を制御する機能を有する。また、メータ制御部21は、検出部20の出力信号に基づいて、現在の瞬間流量と、単位時間あたりの水道の使用量と、その水道使用量の積算値と、を算出する演算部23としての機能を有する。現在の瞬間流量とは、例えば、数秒以下の微小単位時間あたりに流れる水の量を意味する。
【0022】
通信部24は、メータ制御部21の制御下において、受信器12との通信を実行する。本実施形態では、通信部24は、伝送線TLを通じて受信器12のメータ用通信部33と信号をやり取りする。メータ制御部21は、通信部24を介して検出部20が出力するパルス信号を、水道メータ11の計測結果として受信器12に送信する。また、メータ制御部21は、通信部24を介して、演算部23の演算結果や、水道メータ11の駆動状況を表すステータス情報を受信器12に送信する。
【0023】
なお、他の実施形態では、通信部24は、伝送線TLを用いず、受信器12と無線通信を実行するものとしてもよい。また、メータ制御部21は、演算部23の演算結果のみを水道メータ11の計測結果として受信器12に送信してもよい。
【0024】
表示部26は、液晶パネルや種々のLEDランプ等によって構成される。表示部26は、メータ制御部21の制御下において、水道の使用量の積算値を表示する。また、表示部26は、メータ制御部21の制御下において、水道メータ11の駆動状況や受信器12との通信状態等を示すサインを表示可能である。
【0025】
操作部28は、各種のボタンやスイッチ類によって構成され、水道メータ11の起動操作や、計測値のリセット操作、その他の水道メータ11を制御する操作やメンテナンス等のための操作を受け付ける。操作部28は、受け付けた操作に応じた電気信号をメータ制御部21に出力する。メータ制御部21は、操作部28の出力信号に応じて、水道メータ11の各構成部を制御する。
【0026】
受信器12は、受信器制御部30と、メータ用通信部33と、サーバ用通信部35と、表示部36と、操作部38と、を備える。受信器制御部30は、中央処理装置(CPU)と主記憶装置(RAM)と、記憶部とを備える回路によって構成され、受信器12の各構成部を制御する機能を有する。
【0027】
また、受信器制御部30は、水道メータ11との通信や水道メータ11の駆動状態を管理するメータ管理部31と、水道メータ11から受信した計測結果を処理する計測処理部32として機能する。メータ管理部31は、水道メータ11からの受信信号に基づいて、水道メータ11の故障や、漏水、逆流の発生を検出する機能を有する。計測処理部32は、水道メータ11から受信したパルス信号に基づいて、現在の瞬間流量と、単位時間あたりの水道の使用量と、その水道使用量の積算値と、を算出し、その算出結果を計測結果として記憶する。計測処理部32は、先入れ先出し方式により、予め定められた期間の計測結果を記憶・保管する。
【0028】
メータ用通信部33は、伝送線TLに接続されており、受信器制御部30の制御下において、水道メータ11との通信を実行する。上述したように、メータ用通信部33は、伝送線TLを介することなく、水道メータ11の通信部24と無線通信を実行するように構成されていてもよい。
【0029】
サーバ用通信部35は、ネットワークNTと接続可能であり、受信器制御部30の制御下において、ネットワークNTを通じて管理サーバ50との通信を実行する。サーバ用通信部35は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)によってネットワークNTに無線接続する。受信器制御部30は、サーバ用通信部35を介して、管理サーバ50からの要求を受信する。また、受信器制御部30は、管理サーバ50からの要求に応じて、計測処理部32が記録している計測結果や、水道メータ11または受信器12の駆動状態に関する情報を送信する。
【0030】
表示部36は、液晶パネルや種々のLEDランプによって構成される。表示部36は、受信器制御部30の制御下において、水道の使用量の積算値や、現在の瞬間流量等、水道メータ11の計測結果を表示する。また、表示部36は、受信器制御部30の制御下において、受信器12の駆動状態や、水道メータ11の駆動状態、水道メータ11または管理サーバ50との通信状態等を示すサインを表示可能である。
【0031】
操作部38は、各種のボタンやスイッチ類によって構成され、受信器12の起動操作やリセット操作、水道メータ11との接続操作、表示部36の表示内容の切換操作、その他の受信器12の制御操作やメンテナンス等のための操作を受け付ける。操作部38は、受け付けた操作に応じた電気信号を受信器制御部30に出力する。受信器制御部30は、操作部38が出力する電気信号に応じて、受信器12の各構成部を制御する。
【0032】
なお、他の実施形態では、水道監視部10は、水道メータ11と受信器12とが一体化された構成を有していてもよい。水道監視部10は、ネットワークNTに接続可能な通信機能を有し、水道配管に設置される水道メータによって構成されてもよい。また、受信機12は、専用の水道メータ11と接続可能な構成に限定されることはない。受信機12は、例えば、既存の水道メータに後付けされ、当該水道メータの計測結果を読み取り、管理サーバ50に送信可能な通信端末として構成されてもよい。
【0033】
図3は、管理サーバ50の構成を示す概略機能ブロック図である。管理サーバ50は、コンピュータ端末によって構成され、見守りシステム100の管理者による操作を受け付ける。管理サーバ50は、制御部51と、通信部56と、入力部57と、表示部58と、記憶部60と、を備える。各構成部51,56,57,58,60はバス接続されている。
【0034】
図示は省略するが、管理サーバ50は、プロセッサーとしてのCPUとRAMとを備えており、当該CPUが、RAM上に予め準備された命令やプログラムを読み込んで実行することにより、制御部51として機能する。制御部51は、後述する見守りシステム100の制御処理を実行する。また、制御部51は、見守りシステム100の制御処理において、計測結果管理部52と、判定部53と、通知制御部55として機能する。
【0035】
計測結果管理部52は、水道監視部10から対象者の水道使用量の計測結果を収集し、その計測結果を記憶部60に格納して管理する。判定部53は、対象者の水道使用量の計測結果と、予め設定された判定条件とに基づいて、対象者の水道使用状況における異常の発生の有無を判定する。本実施形態では、判定条件は対象者ごとに可変に設定可能であり、判定部53は、対象者ごとの判定条件の設定・変更を受け付ける機能を有する。通知制御部55は、利用者ごとの通知処理の実行条件を定める通知設定に従って通知処理を実行する。通知設定は利用者ごとに可変に設定可能であり、通知制御部55は、利用者ごとの通知設定の設定・変更を受け付ける機能を有する。計測結果管理部52、判定部53、および、通知制御部55が実行する処理内容の詳細については後述する。
【0036】
通信部56は、制御部51の制御下において、ネットワークNTを通じた管理サーバ50の通信を制御する。入力部57は、例えば、キーボードやマウス、タッチパッド等によって構成され、管理サーバ50に対する管理者の入力操作を受ける。表示部58は、ディスプレイ装置によって構成され、管理者に対して、見守りシステム100に関する情報をはじめとする種々の情報を表示する。
【0037】
記憶部60は、ハードディスクやソリッドステートディスクなど、情報を不揮発的に記憶する、つまり、情報を一時的ではなく通電停止後にも保持可能に記憶する大容量の記憶装置によって構成される。記憶部60には、計測結果情報D1と、連絡先情報D2と、通知設定情報D3と、判定条件情報D4と、が格納されている。
【0038】
計測結果情報D1は、水道監視部10から収集され、対象者ごとに管理されている、一定期間の水道の使用量の計測結果を含む情報に相当する。連絡先情報D2は、予め登録された利用者のネットワークNT上での連絡先を含む情報に相当する。通知設定情報D3は、利用者ごとに設定された通知設定を含む情報に相当する。判定条件情報D4は、対象者ごとに設定された判定条件を含む情報に相当する。通知設定および判定条件については後述する。
【0039】
記憶部60には、それらの情報D1,D2,D3,D4を、利用者と対象者とに紐づけて管理するデータベースが構築されている。なお、記憶部60は、管理サーバ50とは別体として構成され、ネットワークNTを介して管理サーバ50に接続されるネットワークストレージによって構成されてもよい。
【0040】
図4は、管理サーバ50の制御部51が実行する見守りシステム100の制御処理のフローチャートである。
【0041】
ステップS10は、見守りシステム100の利用を開始する利用者と、その利用者の見守りの対象となる対象者の登録を受け付ける処理である。管理者は、利用者からの依頼に基づいて、この登録処理を実行し、利用者と対象者とを紐づけて登録するとともに、利用者と対象者とに紐づけられた各種の情報を登録する。
【0042】
ステップS10では、少なくとも、利用者に対する通知の宛先であるネットワークNT上での連絡先が、連絡先情報D2として記憶部60に登録される。連絡先情報D2には、連絡手段の種別と、その連絡手段に対す通知の宛先の情報とが記録される。連絡手段の種別には、例えば、Eメールや、携帯電話、SNS等が含まれる。連絡手段に対す通知の宛先の情報には、例えば、Eメールアドレスや、携帯電話の番号、SNSのアカウント情報等が含まれる。
【0043】
ステップS10において利用者および対象者が登録されると、制御部51は、その対象者についての水道の使用量の計測結果の計測結果情報D1への記録を開始する。また、後述する通知処理による利用者に対する通知サービスを開始する。
【0044】
ステップS20,S25は、制御部51が見守りシステム100の設定変更を受け付ける処理である。制御部51は、管理者が入力部57を通じて、見守りシステム100の設定を変更する操作をしたとき、または、利用者が利用者端末UTを通じて管理サーバ50にログインして設定を変更する操作をしたときに、ステップS20,S25を実行する。
【0045】
ステップS20は、制御部51の通知制御部55が、通知処理の利用者ごとの実行条件を定める通知設定の変更を受け付ける処理に相当する。通知設定は、管理者が利用者からの依頼に基づいて、または、利用者が利用者端末UTを用いて変更可能である。通知制御部55は、ステップS10で受け付けた設定の変更内容に基づいて、記憶部60の通知設定情報D3を更新する。
【0046】
本実施形態の見守りシステム100では、利用者は、通知処理として、以下に説明する定期通知と不定期通知のいずれかを選択することができる。通知設定には、その利用者による選択が含まれる。
【0047】
「定期通知」は、対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無を報せる通知を、利用者に定期的に送信する処理に相当する。利用者が通知設定において定期通知を選択している場合には、予め定められた通知タイミングが到達したときに、当該利用者に対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無を報せる通知が送信される。定期通知が選択されている場合において、後述する異常判定処理によって異常の発生が検出されなかった場合には、当該異常の発生が検出されていないことを報せる通常通知が、前記の通知タイミングが到達したときに、利用者に送信される。通常通知には、例えば、対象者が平常通りに水道を使用していることを報せるメッセージや、対象者による水道の使用量等の水道の使用状況を示す情報が含まれる。定期通知が選択されている場合において、後述する異常判定処理によって異常の発生が検出された場合には、その通知タイミングでの定期的な通知によって、利用者に、その異常の発生を報せる異常通知が送信される。定期通知の通知は、例えば、1日単位の周期で、指定された時刻に送信される。定期通知による通知の周期や通知の時刻は、通知設定として、利用者ごとに任意に設定可能であるとしてもよい。
【0048】
「不定期通知」は、異常判定処理において異常の発生が検出されていないときには、上記の通常通知に相当する通知は送信せず、異常の発生が検出されたときに、上記の異常通知に相当する通知を利用者に送信する処理に相当する。不定期通知では、異常判定処理において異常の発生が検出されたときだけでなく、対象者の水道の使用状況に関するその他の事象の発生を検出したときに、その事象の発生を報せる通知が送信されてもよい。また、不定期通知が設定されている場合には、異常通知以外にも、例えば、月単位などの予め定められた周期で、例えば、対象者の水道使用量を報告する定期的な通知が利用者に送信されてもよい。この場合の定期的な通知は、対象者に異常の発生の有無を報せるものでない点において、上記の定期通知における定期的な通知とは異なる。また、この場合の定期的な通知の通知周期は、定期通知における通知の周期より長い周期であるとしてもよい。
【0049】
また、本実施形態の見守りシステム100では、通知設定として、通知休止期間の設定が可能である。詳細は後述するが、この通知休止期間が設定された場合には、その設定が解除されるまで、定期通知と不定期通知のいずれが選択されている場合でも、利用者に対する対象者の水道使用状況における異常の発生の有無に関する通知の送信が休止される。
【0050】
ステップS25は、制御部51の判定部53が、異常判定処理で使用される対象者ごとの判定条件の変更を受け付ける処理に相当する。異常判定処理は、記憶部60に格納されている対象者の水道使用量の計測結果と、予め定められた判定条件と、に基づく判定により、対象者の水道の使用状況における異常の発生を検出する処理に相当する。本実施形態では、異常判定処理の判定条件は、管理者が利用者からの依頼に基づいて変更可能である。判定条件は、利用者が、利用者端末UTを通じて任意に変更可能であるとしてもよい。判定部53は、ステップS25で受け付けた判定条件を判定条件情報D4として記憶部60に格納する。判定条件には、少なくとも、異常の発生が見込まれる水道使用量の閾値と、判定の対象とする水道使用量の計測期間とが含まれる。
【0051】
本実施形態では、判定条件における水道使用量の閾値として、下限値と上限値が設定される。下限値は、対象者による水道の不使用が続いていることが見込まれる値に設定されることが好ましい。下限値は0L(リットル)より大きいことが好ましい。これにより、水道が使用されていないにも関わらず、水道管における水圧変動によって水道の使用が誤検出さてしまうことを抑制できる。上限値は、対象者による水道の使用量が通常時よりも著しく増大していることが明らかである値に設定されることが好ましい。上限値は、例えば、通常時における平均水道使用量を基準として、その平均水道使用量よりも大きい値に設定されることが好ましい。上限値は、例えば、平均水道使用量に1~5L程度の値を加算した値としてもよい。
【0052】
本実施形態では、判定条件に含まれる、判定の対象とする水道使用量の計測期間として、1日のうちの計測時間帯を指定することができる。利用者は、例えば、対象者が平常、水道を使用する頻度が高い時間帯を計測期間として設定することができる。なお、計測時間帯は、例えば、1時間単位で指定できるものとしてもよいし、30分単位など、分単位での指定もできるものとしてもよい。また、計測期間としては、前述の計測時間帯での計測結果を積算する計測日数を指定できるものとしてもよい。
【0053】
ステップS30では、制御部51の計測結果管理部52は、各水道監視部10から各対象者の水道使用量の計測結果を収集し記録する。計測結果管理部52は、予め定められた周期で、各水道監視部10に計測結果の送信を要求する。各水道監視部10の受信器12は、その要求に対する応答として記録した計測結果を送り返す。計測結果管理部52は、受け取った計測結果を、記憶部60に計測結果情報D1として格納する。ステップS30は、予め定められた実行周期で実行される。この実行周期は、水道監視部10ごとに設定されてもよい。
【0054】
ステップS40では、制御部51の通知制御部55が利用者ごとの通知処理を実行する。通知処理は、利用者ごとの通知設定に応じて予め定められた実行タイミングで、利用者ごとに周期的に実行される。
【0055】
図5は、管理サーバ50の通知制御部55が実行する通知処理のフローチャートである。ステップS100では、通知制御部55は、記憶部60に格納されている通知設定情報D3から、通知の送信対象である利用者に紐づけられている通知設定を読み込む。また、記憶部60に格納されている判定条件情報D4から、当該利用者に紐づけられている対象者の判定条件を読み込む。
【0056】
ステップS110では、通知制御部55は、記憶部60に格納されている計測結果情報D1から、利用者に紐づけられている対象者の計測結果の情報を読み込む。通知制御部55は、計測結果の情報として、予め定められた期間における単位時間ごとの対象者による水道の使用量を取得する。ここでの「予め定められた期間」は、例えば、利用者ごとに定められた通知処理の実行周期に相当する期間であり、該当する利用者に対する前回の通知処理の実行時から今回の通知処理の実行時までの間の期間に相当する期間である。通知処理が1日周期で実行される場合、「予め定められた期間」は、例えば、1日であるとしてもよい。また、前記の「単位時間」は、例えば、1時間であるとしてもよい。
【0057】
ステップS120では、通知制御部55は、通知設定において通知休止期間が設定されているか否かを判定する。通知休止期間が設定されている場合には、通知制御部55は、ステップS125において通知休止期間処理を実行する。通知休止期間処理については後述する。通知休止期間が設定されていない場合には、通知制御部55は、ステップS130において判定部53に異常判定処理を実行させる。
【0058】
ステップS130の異常判定処理では、判定部53は、ステップS100で通知制御部55が読み込んだ判定条件と、ステップS110で通知制御部55が取得した計測結果と、に基づく判定により、対象者の水道の使用状況における異常の発生を検出する。判定部53は、判定条件として設定されている計測期間における対象者の水道使用量の積算値を算出し、算出された水道使用量の積算値と、判定条件として設定されている閾値である上限値および下限値を比較する。判定部53は、算出された水道使用量の積算値が、下限値より大きく、かつ、上限値より小さいときには、対象者の水道の使用状況に関して異常は発生していない判定する。また、判定部53は、算出された水道使用量の積算値が下限値より小さいとき、あるいは、算出された水道使用量の積算値が上限値より大きいときに、対象者の水道の使用状況に関して異常が発生している判定する。
【0059】
ステップS140は、ステップS130において判定部53によって異常が発生していないと判定された場合に実行される。ステップS140では、通知制御部55は、通知設定において不定期通知が選択されているか否かを判定する。不定期通知が選択されていない場合には、通知制御部55は、ステップS150を実行する。
【0060】
ステップS150では、通知制御部55は、定期通知の通知として、通常通知を送信する。通知制御部55は、記憶部60の連絡先情報D2に格納されている利用者の連絡先を読み込み、通知設定において予め設定されている定期通知の通知タイミングが到達したときに、その連絡先に、通常通知を送信する。
【0061】
ステップS140において、不定期通知が選択されていると判定した場合には、通知制御部55は、ステップS150をスキップし、利用者に対して通常通知を送信することなく、通知処理を終了する。不定期通知によって通知すべき異常の発生が検出されていないためである。
【0062】
ステップS130において、判定部53によって異常が発生していると判定された場合には、通知制御部55は、ステップS155において、異常の発生を報せる異常通知を送信する。通知制御部55は、記憶部60の連絡先情報D2に格納されている利用者の連絡先を読み込み、その連絡先に異常通知を送信する。異常通知には、例えば、異常の発生を報せるメッセージと、判定条件に設定されている計測期間と、その計測期間における対象者の水道の使用量と、が含まれる。
【0063】
通知設定において定期通知が選択されている場合には、ステップS155の異常通知の送信は、予め定められている定期通知の通知タイミングが到達したときに実行される。一方、通知設定において不定期通知が選択されている場合には、異常が検出されたタイミングで利用者に異常通知が送信される。
【0064】
このように、本実施形態の見守りシステム100では、利用者は、通知処理として、定期通知と不定期通知とを選択することが可能である。定期通知が選択されている場合には、利用者には、対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無にかかわらず、定期的にその異常の発生の有無に関する通知が送信される。一方、不定期通知が選択されている場合には、利用者には、定期通知における通常通知に相当する通知は送信されず、対象者の水道の使用状況における異常の発生が検出されたときに、その都度、その異常の発生を報せる異常通知が送信される。
【0065】
さらに、本実施形態の見守りシステム100では、通知設定において定期通知と不定期通知のいずれが選択されている場合であっても、通知休止期間が設定されている期間中には、以下に説明するように、利用者に、対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無に関する通知が送信されることはない。
【0066】
図6は、通知処理のステップS125において通知制御部55が実行する通知休止期間処理のフローチャートである。上述したように、通知制御部55は、通知設定において通知休止期間の設定がされている場合に、この処理を実行する。
【0067】
ステップS200では、通知制御部55は、現在の日時が、設定されている通信休止期間中の日時であるか否かを判定する。通知制御部55は、現在が、通信休止期間の前である場合には、通知休止期間処理を終了して、図5の通知処理に戻り、上述したステップS130以降の処理を実行する。通知制御部55は、通知休止期間を過ぎている場合には、ステップS230において、通知休止期間の設定を解除して、通知処理に戻り、図5のステップS130以降の処理を実行する。ステップS200において現在の日時が通知休止期間中の日時である場合には、通知制御部55は、ステップS210の判定を実行する。
【0068】
ステップS210では、通知休止期間に入った後における対象者の住居における水道の使用履歴の有無が判定される。通知制御部55は、図5に示す通知処理のステップS110で取得した計測結果に基づいて、対象者の住居における水道の使用履歴を示す使用判定条件が満たされるか否かを判定する。ステップS210では、使用判定条件が満たされた場合、対象者の住居における水道の使用履歴があると判定され、使用判定条件が満たされない場合には、対象者の水道の使用履歴はないと判定される。
【0069】
本実施形態では、通知制御部55は、通知休止期間中における現在までの水道の使用量の積算値が予め定められた閾値である使用履歴判定値を超えた場合に、使用判定条件が満たされ、対象者の住居における水道の使用履歴があると判定する。使用履歴判定値は、0Lより大きいことが好ましい。これにより、水道配管における水圧の変動による誤判定の発生を抑制することができる。
【0070】
ステップS210において、使用判定条件が満たされず、水道の使用履歴は無いと判定した場合には、通知制御部55は、そのまま図5の通知処理へと戻り、利用者に通知を送信することなく、通知処理を終了する。このように、通知休止期間の設定がされている期間中であって、対象者の水道の使用履歴が検出されない場合には、通知設定において定期通知と不定期通知のいずれが選択されていても、管理サーバ50から利用者に通知が送信されることはない。
【0071】
ステップS210において、使用判定条件が満たされ、水道の使用履歴があると判定した場合には、通知制御部55は、ステップS230において通知休止期間の設定を解除して、通知処理に戻り、図5のステップS130以降の処理を実行する。つまり、通知休止期間の設定がされている期間であっても、対象者の水道の使用履歴が検出された場合には、通知休止期間が自動的に解除され、通常の通知処理が再開される。よって、対象者が平常通りの生活を再開しているのにもかかわらず、通知休止期間が設定されたままになり、利用者への通知が送信されない状況が継続されることが抑制される。
【0072】
なお、ステップS210では、水道の使用量の積算値以外の使用判定条件によって水道の使用履歴の有無が判定されてもよい。例えば、ステップS210では、水道の瞬間流量が所定の閾値より大きくなった回数が所定の閾値回数より大きくなったときに、水道の使用判定条件が満たされ、水道の使用履歴があると判定されてもよい。
【0073】
また、ステップS210での水道の使用履歴の判定に基づいてステップS230の通知休止期間の設定を解除した場合には、通知制御部55は、通知休止期間の設定が解除されたことを利用者に通知するものとしてもよい。これによって、通知休止期間にも関わらず、水道の使用が検出されるような状況が発生していることを利用者が知ることが可能になる。
【0074】
以上のように、本実施形態の見守りシステム100によれば、利用者は、対象者の水道の使用状況についての情報が定期的に通知され、毎回の通知で対象者の安否を確認できる方が良い場合には、定期通知を選択することができる。また、そうした安否を報せる定期的な通知が必要なく、対象者に異常が発生している可能性が検出されたときに、その都度、異常通知が送信される方がよい場合には、不定期通知を選択することができる。よって、利用者は、自身にとって適度な頻度で、見守りシステムからの通知を受け取ることが可能になる。
【0075】
また、本実施形態の見守りシステム100によれば、水道の使用状況における異常の発生の有無を判定する判定条件を対象者ごとに可変に設定することができる。これにより、対象者ごとの日常の水道使用の傾向に適合させた判定条件の設定が可能となるため、水道の使用量に基づく異常発生の検出精度が高められる。よって、対象者に異常がないのにも関わらず、利用者に対象者の異常を報せる通知が頻繁に送信され、利用者の通知内容の確認が疎かになる状況や、対象者に異常が生じているにも関わらず、利用者に通知が送信されない状況が生じることを抑制できる。
【0076】
本実施形態の見守りシステム100によれば、利用者は、通知設定の一つとして、対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無に関する通知の送信を休止する通知休止期間を予め設定しておくことができる。例えば、対象者が自宅を長期にわたって不在にするなど、水道の平常通りの使用がない期間が続く場合、その期間に通知休止期間を設定しておけば、その間、管理サーバ50から利用者への通知を休止させることができる。よって、対象者が平常通りに水道を使用しない状況にあることを利用者が把握しているのにも関わらず、対象者の異常の発生を報せる通知が利用者に送信されることを抑制でき、利用者に不要な通知や、誤った内容の通知が送信される頻度が低減される。
【0077】
また、本実施形態の見守りシステム100によれば、通知設定期間中に、対象者の水道の使用履歴が検出された場合には、その通知休止期間の設定が自動的に解除される。よって、設定された通知休止期間中に、対象者が平常通りの生活を再開しているのにもかかわらず、利用者への通知が休止されたままになる状況が生じることが抑制される。
【0078】
2.他の実施形態:
本開示の技術は、上述の実施形態の構成に限定されることはない。例えば、以下のように改変することが可能である。
【0079】
(1)上実施形態において、ネットワークNTとしては、インターネット以外のネットワークが用いられてもよい。見守りシステム100は、例えば、ネットワークNTとしてLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を利用してもよい。
【0080】
(2)上記実施形態において、管理サーバ50は、1台のコンピュータによって構成されていなくてもよい。管理サーバ50は、ネットワークNTに接続された互いに協働する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。この構成において、上記実施形態において説明した管理サーバ50の機能はそれぞれ、ネットワークNTに接続された別のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、計測結果を収集して管理するコンピュータと、通知処理を実行するコンピュータと、異常判定処理を実行するコンピュータと、が別々にネットワークNTに接続され、互いに協働することにより、管理サーバ50を構成するものとしてもよい。
【0081】
(3)上記実施形態において、管理サーバ50は、利用者に、通知処理において送信される水道の使用状況に関する通知以外に、水道の使用状況に関連しない通知を、ネットワークNTを通じて、利用者に送信するように構成されていてもよい。水道の使用状況に関連しない通知には、例えば、見守りシステム100の運用に関する情報を報せるメンテナンス通知が含まれる。メンテナンス通知には、例えば、見守りシステム100の駆動状態や、利用者や対象者ごとの設定の状況を報せる通知、見守りシステム100で実行される処理の実行状況に関する通知等の通知等が含まれる。管理サーバ50の制御部51は、例えば、利用者の連絡先の設定が変更されたときに、その変更が正常に登録されたことを報せる通知を利用者に通知してもよい。また、制御部51は、異常判定処理の判定条件や、水道使用の履歴の有無を判定する使用判定条件が変更されたときに、その変更が正常に設定されたことを報せる通知を利用者に通知してもよい。その他に、制御部51は、見守りシステム100の月ごとの定期レポートを含む通知を発行して利用者に送信してもよい。定期レポートには、例えば、水道監視部10の駆動状態の履歴や、水道監視部10と管理サーバ50との通信状態の履歴などを示す情報が含まれるものとしてもよい。
【0082】
(4)上記実施形態において、対象者の水道の使用状況における異常の発生を判定する異常判定処理の判定条件は、対象者ごとには変更できないものとしてもよい。判定条件は、一部の対象者に共通に変更可能であるとしてもよいし、全ての対象者に共通に変更が適用されるものとしてもよい。
【0083】
(5)上記実施形態において、見守りシステム100は、通知休止期間の設定ができない構成であってもよい。また、通知休止期間の設定が可能な構成であっても、対象者の水道の使用履歴が検出された場合に、通知休止期間の設定が自動で解除される機能を有していなくてもよい。上記実施形態において、見守りシステム100は、通知休止期間の設定がされていても、対象者の水道の使用状況における異常の発生の有無に関する通知以外の通知が利用者に送信されるように構成されていてもよい。
【0084】
(6)上記実施形態において、管理サーバ50は、通知処理において、異常を報せる通知が送信される頻度を利用者ごとに記録し、当該頻度が予め定められた基準よりも多い利用者には、判定条件の変更を促す通知を送信する処理を実行していてもよい。
【0085】
(7)上記実施形態において、管理サーバ50は、記憶部60に記録している計測結果から、対象者が水道を最も使用する時間帯やその時間帯の水道使用量を求め、それらの情報に基づき、異常判定処理の判定条件を自動で生成する機能を有していてもよい。判定条件の生成には、例えばAI(Artificial Intelligence)技術等を用いた学習結果が利用されるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…水道監視部、11…水道メータ、12…受信器、20…検出部、21…メータ制御部、23…演算部、24…通信部、26…表示部、28…操作部、30…受信器制御部、31…メータ管理部、32…計測処理部、33…メータ用通信部、35…サーバ用通信部、36…表示部、38…操作部、50…管理サーバ、51…制御部、52…計測結果管理部、53…判定部、55…通知制御部、56…通信部、57…入力部、58…表示部、60…記憶部、100…見守りシステム、D1…計測結果情報、D2…連絡先情報、D3…通知設定情報、D4…判定条件情報、NT…ネットワーク、TL…伝送線、UT…利用者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6