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  • 特開-車載用バッテリの配置構造 図1
  • 特開-車載用バッテリの配置構造 図2
  • 特開-車載用バッテリの配置構造 図3
  • 特開-車載用バッテリの配置構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147130
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】車載用バッテリの配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20220929BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20220929BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20220929BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20220929BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20220929BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M50/296
H01M50/588
H01M50/591
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048256
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】高杉 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩之
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
3D235AA06
3D235BB17
3D235BB41
3D235CC12
3D235EE63
3D235FF02
3D235FF43
3D235HH02
5H040AA18
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC38
5H040DD09
5H040NN03
5H043AA04
5H043BA12
5H043CA05
5H043DA05
5H043GA23
5H043GA25
5H043JA13D
5H043KA45D
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】バッテリに対して車両の側方からアクセスする場合でも、ボデーとバッテリとの間の短絡を抑止できる車載用バッテリの配置構造を提供する。
【解決手段】車両1におけるボデー3の下方に配置される車載用バッテリの配置構造Kであって、バッテリ2は、電池要素が収容されたケース11と、ケース11から突出するように設けられた電極端子12,12と、電極端子12,12を覆う端子カバー13と、を備え、電極端子12,12は、車両1の側方からアクセス可能な向きに配置され、端子カバー13は、開状態において電極端子12,12とボデー3との間を遮蔽する絶縁性の開閉蓋15を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるボデーの下方に配置される車載用バッテリの配置構造であって、
前記バッテリは、電池要素が収容されたケースと、前記ケースから突出するように設けられた電極端子と、前記電極端子を覆う端子カバーと、を備え、
前記電極端子は、前記車両の側方からアクセス可能な向きに配置され、
前記端子カバーは、開状態において前記電極端子と前記ボデーとの間を遮蔽する絶縁性の開閉蓋を有している車載用バッテリの配置構造。
【請求項2】
前記開閉蓋は、前記開状態において前記ボデーに当接する請求項1記載の車載用バッテリの配置構造。
【請求項3】
前記ケースは、前記車両の側方を向く側面を有し、
前記開閉蓋は、閉状態において前記側面に当接する請求項1又は2記載の車載用バッテリの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用バッテリの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用バッテリの配置構造として、例えば特許文献1に記載のトラックに適用された配置構造がある。この特許文献1のトラックでは、荷箱等の構造体の下方にバッテリユニットが配置されている。バッテリユニット側には、バッテリ底面の少なくとも前端領域と後端領域に凸部が形成されている。車両側には、サイドフレームから延在し、バッテリユニットの凸部と少なくとも一部が車両前後方向において対向するストッパブラケットが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-030947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、トラックのような大型車両では、荷物等の積載量の確保等の観点から、車両の低床化が要請されてきている。車両の低床化を実現するにあたっては、車両のボデーの位置を従来よりも低くする必要がある。しかしながら、上述した特許文献1のように車両の床下にバッテリを配置する構成において、車両のボデーの位置を低くすると、ボデーとバッテリとの間に十分な空間を確保することが難しくなる。ボデーとバッテリとの間に十分な空間が無い場合、バッテリに対して給電等の作業を行う場合にバッテリの上方からのアクセスが困難となる。
【0005】
車両のボデーの位置を低くした場合には、車両の上方からのアクセスに代えて、車両の側方からバッテリにアクセスし得るようにバッテリ側の構成を変更することが考えられる。しかしながら、車両の側方からバッテリにアクセスする場合には、作業に用いる工具等によってボデーとバッテリとの間の短絡が生じないように、一層の工夫が必要となる。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、バッテリに対して車両の側方からアクセスする場合でも、ボデーとバッテリとの間の短絡を抑止できる車載用バッテリの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る車載用バッテリの配置構造は、車両におけるボデーの下方に配置される車載用バッテリの配置構造であって、バッテリは、電池要素が収容されたケースと、ケースから突出するように設けられた電極端子と、電極端子を覆う端子カバーと、を備え、電極端子は、車両の側方からアクセス可能な向きに配置され、端子カバーは、開状態において電極端子とボデーとの間を遮蔽する絶縁性の開閉蓋を有している。
【0008】
この車載用バッテリの配置構造では、バッテリのケースから突出するように設けられた電極端子が車両の側方からアクセス可能な向きに配置されている。上方からのアクセスに代えて側方からのアクセスを可能とすることで、車両の低床化によってボデーが従来より低い位置に配置された場合でも、バッテリに対する給電等の作業性を確保できる。また、この車載用バッテリの配置構造では、バッテリの電極端子を覆うように絶縁性の開閉蓋が設けられており、当該開閉蓋は、開状態において電極端子とボデーとの間を遮蔽するようになっている。したがって、バッテリに対して車両の側方からアクセスする場合でも、ボデーとバッテリとの間の短絡を抑止できる。
【0009】
開閉蓋は、開状態においてボデーに当接してもよい。これにより、開閉蓋の開状態において電極端子とボデーとの間をより確実に遮蔽できる。
【0010】
ケースは、車両の側方を向く側面を有し、開閉蓋は、閉状態において側面に当接してもよい。この場合、閉状態において電極端子をしっかりと保護できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、バッテリに対して車両の側方からアクセスする場合でも、ボデーとバッテリとの間の短絡を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る車載用バッテリの配置構造が適用される車両の一例を示す模式的な側面図である。
図2】車載用バッテリの配置構造を示す模式的な断面図である。
図3図2に示した車載用バッテリの配置構造におけるバッテリへのアクセス状態を示す模式的な断面図である。
図4】比較例に係る車載用バッテリの配置構造におけるバッテリへのアクセス状態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る車載用バッテリの配置構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る車載用バッテリの配置構造が適用される車両の一例を示す模式的な側面図である。同図に示す車両1は、トラック等の大型車両である。車両1は、モータを駆動して走行する電動車両である。車両1は、荷物等の積載量の確保等の観点から、ボデー3の位置が従来よりも低くなっている。図1に示すボデー3では、荷台5の下方に位置するフレーム部分6Bの高さ位置が、キャブ4の下方に位置するフレーム部分6Aの高さ位置よりも低くなっている。これにより、荷台5の十分な低床化が図られている。
【0015】
フレーム部分6Bの高さ位置をフレーム部分6Aの高さ位置よりも低くしている関係で、車両1ではフレーム部分6Bの下方にバッテリ2を配置することが難しくなっている。そのため、この車載用バッテリの配置構造Kでは、フレーム部分6Aの下方にバッテリ2が配置されている。図1の例では、バッテリ2は、前輪7よりも前方となる位置で、且つ車両1の幅方向の一方側(ここでは車両左側)に寄せて、フレーム部分6Aの下方に配置されている。
【0016】
バッテリ2は、例えば鉛蓄電池などの二次電池によって構成されている。バッテリ2は、図2に示すように、電池要素が収容されたケース11と、ケースから突出するように設けられた電極端子12と、電極端子12を覆う端子カバー13とを備えている。ケース11は、内部の電池要素(電極等)の保護及び電解液の漏洩を防止するための部材である。ケース11は、例えばアクリルやABSなどの樹脂材料によって略直方体形状に形成されている。
【0017】
ケース11の頂面11aには、内部の電池要素と電気的に接続された電極端子12,12が設けられている。電極端子12の一方は正極端子であり、電極端子12の他方は負極端子である。電極端子12,12は、例えば車両1の前後方向に互いに離間して並んでいる(図1参照)。図2では、ボデー3及びバッテリ2を車両1の前後方向から見た状態を示しているため、電極端子12の片方のみが図示されている。
【0018】
電極端子12,12は、ケース11の頂面11aから突出すると共に、車両1の側方からアクセス可能な向きに配置されている。図2の例では、バッテリ2は、電極端子12,12が車両1の幅方向の外側を向き、且つ電極端子12,12の高さ位置がフレーム部分6Aにおける垂下部14の下端14aの高さ位置よりも僅かに下方となるように、フレーム部分6Aの下方に配置されている。
【0019】
端子カバー13は、ケース11の頂面11aから突出する電極端子12,12を保護するための部材である。端子カバー13は、例えば絶縁性を有する樹脂材料によって箱型に形成され、ケース11の頂面11aにおいて電極端子12,12を覆うように設けられている。端子カバー13は、開閉蓋15を有している。開閉蓋15は、例えば端子カバー13と同じ絶縁性を有する樹脂材料によって板状に形成されている。開閉蓋15は、電極端子12,12の向きに対応するように、端子カバー13における車両1の幅方向の外側を向く面を構成している。開閉蓋15は、ヒンジ16を介して端子カバー13の本体部17に回動自在に取り付けられている。
【0020】
開閉蓋15は、閉状態では、図2に示すように、ケース11における車両1の外側を向く側面11bに当接した状態となっている。開閉蓋15が閉状態となることにより、電極端子12,12が端子カバー13の本体部17及び開閉蓋15によって密閉され、電極端子12,12が保護される。一方、開閉蓋15は、開状態では、図3に示すように、フレーム部分6Aにおける垂下部14の下端14aに突き当たる位置まで上方に回動する。開閉蓋15が開状態となることにより、電極端子12,12が端子カバー13の本体部17から露出し、車両1の側方からの電極端子12,12へのアクセスが可能となる。
【0021】
開閉蓋15は、開状態において、電極端子12,12とボデー3との間を遮蔽する。開閉蓋15がフレーム部分6Aにおける垂下部14の下端14aに突き当たる位置まで回動することで、例えばバッテリ2への給電を行う際、車両1の側方から工具T(例えば救援車のバッテリから延びる救援ケーブル)を電極端子12,12に向けて差し入れた場合に、工具Tとボデー3との間に絶縁性の開閉蓋15を介在させることが可能となる。このため、工具Tとボデー3とが直接接触することを防止でき、給電等の作業中にバッテリ2とボデー3とが工具Tを介して短絡してしまうことを抑止できる。
【0022】
以上説明したように、この車載用バッテリの配置構造Kでは、バッテリ2のケース11から突出するように設けられた電極端子12,12が車両1の側方からアクセス可能な向きに配置されている。上方からのアクセスに代えて側方からのアクセスを可能とすることで、車両1の低床化によってボデー3が従来より低い位置に配置された場合でも、バッテリ2に対する給電等の作業性を確保できる。
【0023】
ここで、電極端子12,12が車両1の側方からアクセス可能な向きに配置される場合において、端子カバー13に開閉蓋15が設けられていない場合の比較例を図4に示す。図4に示す比較例の車載用バッテリの配置構造101では、給電等の作業にあたって、端子カバーを外した後、車両の側方から工具Tを電極端子12,12に向けて差し入れることとなる。上述したように、車両1では、低床化によってボデー3が従来より低い位置に配置されているため、電極端子12,12とボデー3(フレーム部分6Aにおける垂下部14の下端14a)との間の高さ方向の隙間は、僅かにしか存在していない。そのため、比較例の車載用バッテリの配置構造101では、手作業で差し入れた工具Tの姿勢のふらつきによって工具Tが垂下部14に接触し、工具Tを介してボデー3とバッテリ2との間が短絡してしまうことが考えられる。
【0024】
これに対し、この車載用バッテリの配置構造Kでは、バッテリ2の電極端子12,12を覆うように絶縁性の開閉蓋15が設けられており、当該開閉蓋15は、開状態において電極端子12,12とボデー3との間を遮蔽するようになっている。したがって、ボデー3の下方の僅かな隙間からバッテリ2に対して車両1の側方からアクセスする場合において、手作業で差し入れた工具Tの姿勢がふらつくようなことが生じたとしても、工具Tを介してボデー3とバッテリ2との間が短絡してしまうことを抑止できる。
【0025】
本実施形態では、開閉蓋15が開状態においてボデー3に当接するようになっている。これにより、開閉蓋15の開状態において電極端子12,12とボデー3との間をより確実に遮蔽できる。また、本実施形態では、ケース11が車両1の側方を向く側面11bを有し、開閉蓋15は、閉状態において側面11bに当接するようになっている。これにより、閉状態において電極端子12,12をしっかりと保護できる。
【0026】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、開閉蓋15は、開状態においてボデー3に当接する位置まで回動しているが、開閉蓋15は、車両1の側方からの電極端子12,12へのアクセスを阻害せず、且つ電極端子12,12とボデー3との間を遮蔽できる範囲まで回動できるものであればよく、必ずしもボデー3に当接していなくてもよい。
【符号の説明】
【0027】
K…車載用バッテリの配置構造、1…車両、2…バッテリ、3…ボデー、11…ケース、11b…側面、12…電極端子、13…端子カバー、15…開閉蓋。
図1
図2
図3
図4