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特開2022-147131キャビン部とリアボディ部との連結構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147131
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】キャビン部とリアボディ部との連結構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/06 20060101AFI20220929BHJP
   B62D 33/00 20060101ALI20220929BHJP
   B60R 22/24 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B62D33/06 D
B62D33/00 Z
B60R22/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048257
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】西田 孝秀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小武海 重三郎
(72)【発明者】
【氏名】宮原 健
(72)【発明者】
【氏名】木下 和人
(72)【発明者】
【氏名】楠本 満留
(72)【発明者】
【氏名】小池 雄一
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018CA08
(57)【要約】
【課題】キャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通するキャビン部とリアボディ部との連結構造において、効率良くキャビン部の変形を低減する。
【解決手段】その後端に開口したキャビン開口部5を有するキャビン部2と、その前端に開口したリアボディ開口部11を有し、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とを介してキャビン部2の内部とその内部とが連通するリアボディ部3とを備えたキャビン部2とリアボディ部3との連結構造1において、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、キャビン部2を変形させる力をリアボディ部3と分担することにより、キャビン部2の内部とリアボディ部3の内部とが互いに連通するキャビン部2とリアボディ部3との連結構造1において、効率良くキャビン部2の変形を低減できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その後端に開口したキャビン開口部を有するキャビン部と、
その前端に開口したリアボディ開口部を有し、前記キャビン開口部と前記リアボディ開口部とを介して前記キャビン部の内部とその内部とが連通するリアボディ部と、
を備え、
前記キャビン開口部と前記リアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている、キャビン部とリアボディ部との連結構造。
【請求項2】
前記キャビン開口部は、その下部に下方に窪んだキャビン溝部を有し、
前記リアボディ開口部は、その下部に下方に窪んだリアボディ溝部を有し、
前記キャビン溝部と前記リアボディ溝部とは、互いに対応した形状を有し、
前記キャビン溝部と前記リアボディ溝部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている、請求項1に記載のキャビン部とリアボディ部との連結構造。
【請求項3】
前記キャビン開口部は、複数の角部を含む多角形状を有し、
前記キャビン開口部のいずれかの前記角部と前記リアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている、請求項1又は2に記載のキャビン部とリアボディ部との連結構造。
【請求項4】
前記キャビン開口部は、シートベルトを支持するショルダアンカ部を有し、
前記キャビン開口部の前記ショルダアンカ部の高さ以上の部位と前記リアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のキャビン部とリアボディ部との連結構造。
【請求項5】
前記キャビン開口部と前記リアボディ開口部とは、連結前における前記キャビン開口部と前記リアボディ開口部との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のキャビン部とリアボディ部との連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビン部とリアボディ部との連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車等において、運転席及び助手席を有するキャビン部の内部と荷室を有するリアボディ部の内部とが互いに連通するキャビン部とリアボディ部との連結構造(ウォークスルー)が知られている。例えば、特許文献1には、キャビン部とリアボディ部とを、撓んだ状態の板状部材である接続部により接続し、接続部によりキャビン部とリアボディ部との間の通路が覆われている構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019‐177732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなキャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通する構造では、キャビン部とリアボディ部とを一体で作る場合、多くの投資と専用設計が必要になる為、既存のキャビン部を一部使い、リアボディ部は箱型の汎用性の高いものを別体でつくる構造が、少量生産の場合は採用される。
【0005】
上記のような構造では、キャビン部の後端の壁面であるバックパネル部が無い。また、上記のような構造では、キャビン部とリアボディ部との間の通行の利便性及び空力性の向上のために、キャビン部のルーフはより高くされることがある。また、上記のような構造では、キャビン部とリアボディ部との間の通行の利便性の向上のために、キャビン部の内部からリアボディ部の内部まで延在する溝部が設けられることがある。したがって、キャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通する構造では、キャビン部の剛性が低下し易い。一方、キャビン部単体での補強は、重量及びコストの増加を招く多大な補強が必要である。
【0006】
そこで本発明は、キャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通するキャビン部とリアボディ部との連結構造において、効率良くキャビン部の変形を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その後端に開口したキャビン開口部を有するキャビン部と、その前端に開口したリアボディ開口部を有し、キャビン開口部とリアボディ開口部とを介してキャビン部の内部とその内部とが連通するリアボディ部とを備え、キャビン開口部とリアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているキャビン部とリアボディ部との連結構造である。
【0008】
この構成によれば、その後端に開口したキャビン開口部を有するキャビン部と、その前端に開口したリアボディ開口部を有し、キャビン開口部とリアボディ開口部とを介してキャビン部の内部とその内部とが連通するリアボディ部とを備えたキャビン部とリアボディ部との連結構造において、キャビン開口部とリアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、キャビン部を変形させる力をリアボディ部と分担することにより、キャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通するキャビン部とリアボディ部との連結構造において、効率良くキャビン部の変形を低減できる。
【0009】
この場合、キャビン開口部は、その下部に下方に窪んだキャビン溝部を有し、リアボディ開口部は、その下部に下方に窪んだリアボディ溝部を有し、キャビン溝部とリアボディ溝部とは、互いに対応した形状を有し、キャビン溝部とリアボディ溝部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、キャビン開口部はその下部に下方に窪んだキャビン溝部を有し、リアボディ開口部はその下部に下方に窪んだリアボディ溝部を有し、キャビン溝部とリアボディ溝部とは、互いに対応した形状を有する構造において、キャビン溝部とリアボディ溝部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、剛性が低下し易いキャビン溝部において、キャビン溝部を変形させる力をリアボディ溝部と分担することにより、効率良くキャビン部の変形を低減できる。
【0011】
また、キャビン開口部は、複数の角部を含む多角形状を有し、キャビン開口部のいずれかの角部とリアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、キャビン開口部は、複数の角部を含む多角形状を有する構造において、キャビン開口部のいずれかの角部とリアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、変形し易い角部において、角部を変形させる力をリアボディ開口部と分担することにより、効率良くキャビン部の変形を低減できる。
【0013】
また、キャビン開口部は、シートベルトを支持するショルダアンカ部を有し、キャビン開口部のショルダアンカ部の高さ以上の部位とリアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、キャビン開口部は、シートベルトを支持するショルダアンカ部を有する構造において、キャビン開口部のショルダアンカ部の高さ以上の部位とリアボディ開口部とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、シートベルトを介して大きな荷重を受けて変形し易いショルダアンカ部付近のキャビン開口部において、キャビン開口部を変形させる力をショルダアンカ部の高さ以上の部位でリアボディ開口部と分担することにより、効率良くキャビン部の変形を低減できる。
【0015】
また、キャビン開口部とリアボディ開口部とは、連結前におけるキャビン開口部とリアボディ開口部との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、キャビン開口部とリアボディ開口部とは、連結前におけるキャビン開口部とリアボディ開口部との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、貨物自動車の製造時におけるキャビン部及びリアボディ部の車台への搭載等によって位置のバラツキが生じ易いキャビン開口部とリアボディ開口部とをより確実に連結できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のキャビン部とリアボディ部との連結構造によれば、キャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通するキャビン部とリアボディ部との連結構造において、効率良くキャビン部の変形を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るキャビン部とリアボディ部との連結構造の全体を示す斜視図である。
図2】キャビン部を背面から視た斜視図である。
図3】キャビン部とリアボディ部との連結を背面から視た斜視図である。
図4】キャビン溝部とリアボディ溝部との連結を示す斜視図である。
図5】実施形態に係るキャビン部とリアボディ部との連結構造の連結継手を示す図である。
図6】キャビン開口部のショルダアンカ部の高さ以上の部位とリアボディ開口部との連結の別の例を示す斜視図である。
図7図6の連結継手の詳細を示す側面図である。
図8】(A)は従来のキャビン部とリアボディ部との連結構造に外力が加わった状態を示す図であり、(B)は実施形態のキャビン部とリアボディ部との連結構造に外力が加わった状態を示す図である。
図9】(A)は従来のキャビン溝部とリアボディ溝部との連結に外力が加わった状態を示す図であり、(B)は実施形態のキャビン溝部とリアボディ溝部との連結に外力が加わった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るキャビン部とリアボディ部との連結構造について、図面を用いて詳細に説明する。本実施形態のキャビン部とリアボディ部との連結構造は、例えば、貨物自動車等に適用される。図1に示されるように、本実施形態のキャビン部とリアボディ部との連結構造1は、運転席及び助手席を有するキャビン部2と荷室を有するリアボディ部3とを備える。キャビン部2とリアボディ部3とは、それぞれ別体として製造され、自動車の車台に別々に搭載されてから、互いに連結される。リアボディ部3は、その前端に前門枠4を有する。キャビン部2とリアボディ部3とは、前門枠4を介して連結されている。
【0020】
図2に示されるように、キャビン部2は、運転席及び助手席のために、その両側方に開口したドア開口部14を有する。キャビン部2は、その後端に開口したキャビン開口部5を有する。本実施形態では、キャビン部の後端の壁面であるバックパネル部は無い。キャビン開口部5は、複数の角部6,7を含む多角形状を有する。本実施形態では、キャビン開口部5は、左右一対の角部6と左右一対の角部7とを含む四角形状を有する。キャビン開口部5は、ドア開口部14との間で上下方向に延在するBピラー15を有する。キャビン開口部5は、Bピラー15の下端と同程度の高さの位置に、角部(ドア開口下部)6を有する。キャビン開口部5は、Bピラー15の上端以上の高さの位置に、角部(ドア開口上部)7を有する。
【0021】
キャビン開口部5は、Bピラー15の上端と同程度の高さの位置に、図6に示されるようなシートベルト13を支持するショルダアンカ部8を有する。図2に示されるように、キャビン開口部5は、その上部にルーフ部9を有する。キャビン開口部5は、その下部に下方に窪んだキャビン溝部10を有する。本実施形態では、キャビン溝部10は、長方形状に下方に窪み、左右一対の角部17を含む。
【0022】
図3に示されるように、リアボディ部3は、その前端の前門枠4に開口したリアボディ開口部11を有する。リアボディ部3は、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とを介してキャビン部2の内部とその内部とが連通する(ウォークスルー)。キャビン開口部5とリアボディ開口部11とは、連結継手20,30,40,50により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0023】
外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているとは、例えば、キャビン開口部5及びリアボディ開口部11のいずれかの一方にいずれかの方向の外力が加わって変形したときに、キャビン開口部5及びリアボディ開口部11のいずれかの他方が一方といずれの方向にも相対的な位置関係がほとんど変化せずに追随して変形する程度に連結されていることを意味する。
【0024】
図3及び図4に示されるように、リアボディ開口部11は、その下部に下方に窪んだリアボディ溝部12を有する。リアボディ溝部12は、長方形状に下方に窪み、一対の角部18を含む。キャビン溝部10とリアボディ溝部12とは、互いに対応した形状を有する。キャビン溝部10とリアボディ溝部12とは、それぞれの角部17,18において、連結継手20により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0025】
図4に示されるように、連結継手20は、角部17,18の形状に対応したL字状に屈曲した板状部材である。連結継手20は、不図示のボルト孔部に挿通されたボルト21により、キャビン溝部10の角部17とリアボディ溝部12の角部18とを連結する。ボルト孔部は、ボルト21の外径に対して十分に大きな内径を有する。これにより、キャビン開口部5のキャビン溝部10とリアボディ開口部11のリアボディ溝部12とは、連結前におけるキャビン開口部5のキャビン溝部10とリアボディ開口部11のリアボディ溝部12との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手20により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0026】
キャビン開口部5のいずれかの角部6,7とリアボディ開口部11とは、連結継手30,40により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。本実施形態では、キャビン開口部5の角部6とリアボディ開口部11とが、連結継手30により連結されている。また、キャビン開口部5の角部7とリアボディ開口部11とが、連結継手40により連結されている。
【0027】
図5に示されるように、連結継手40は、キャビン開口部5の角部7に取り付けられるキャビン側金具41と、リアボディ開口部11に取り付けられるリアボディ側金具42とを有する。キャビン側金具41は、リアボディ側金具42の不図示のボルト孔部に挿通されたボルト44がさらに挿通されるボルト長孔部43を含む。ボルト長孔部43の長手方向は、キャビン部2及びリアボディ部3の前後方向に延在する。したがって、連結継手40は、ボルト44がナット45により固定される際に、キャビン側金具41に対するリアボディ側金具42の前後方向の相対的な位置を任意に変更できる。
【0028】
リアボディ側金具42は、リアボディ開口部11の不図示のボルト孔部を挿通された不図示のボルトがさらに挿通されるボルト孔部46を含む。ボルト孔部46は、挿通されるボルトの外径に対して十分に大きな内径を有する。したがって、連結継手40は、リアボディ側金具42がリアボディ開口部11に取り付けられる際に、キャビン側金具41に対するリアボディ側金具42の横方向及び上下方向の相対的な位置を任意に変更できる。
【0029】
以上の構成により、キャビン開口部5の角部7とリアボディ開口部11とは、連結前におけるキャビン開口部5の角部7とリアボディ開口部11との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手40により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0030】
キャビン開口部5のルーフ部9とリアボディ開口部11とが、連結継手50により連結されている。連結継手30,50は、連結継手20及び連結継手40のいずれかと同様の構成を有する。これにより、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とは、連結前におけるキャビン開口部5とリアボディ開口部11との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手20,30,40,50により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0031】
図3に示されるように、本実施形態では、キャビン開口部5のショルダアンカ部8の高さ以上の部位である角部7及びルーフ部9とリアボディ開口部11とは、連結継手40,50により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0032】
なお、本実施形態では、図6及び図7に示されるように、キャビン開口部5のショルダアンカ部8の高さ以上の部位とリアボディ開口部11とが、連結継手60により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されていてもよい。図7に示されるように、連結継手60は、キャビン開口部5に取り付けられるキャビン側パイプ受61と、リアボディ開口部11に取り付けられるリアボディ側パイプ受62と、キャビン側パイプ受61とリアボディ側パイプ受62とを連結する連結パイプ63とを含む。
【0033】
キャビン側パイプ受61は、連結継手20と同様の構成によりキャビン開口部5に対してキャビン側パイプ受61が取り付けられる前後方向及び横方向の位置を任意に変更できる。リアボディ側パイプ受62は、連結継手20と同様の構成によりリアボディ開口部11に対してキャビン側パイプ受61が取り付けられる横方向及び上下方向の位置を任意に変更できる。キャビン側パイプ受61は、連結パイプ63に対するキャビン側パイプ受61の前後方向の相対的な位置を任意に変更できる。リアボディ側パイプ受62は、連結パイプ63に対するリアボディ側パイプ受62の上下方向の相対的な位置を任意に変更できる。
【0034】
以上の構成により、キャビン開口部5のショルダアンカ部8の高さ以上の部位とリアボディ開口部11とは、連結継手60により、連結前におけるキャビン開口部5とリアボディ開口部11との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手60により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されている。
【0035】
本実施形態によれば、その後端に開口したキャビン開口部5を有するキャビン部2と、その前端に開口したリアボディ開口部11を有し、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とを介してキャビン部2の内部とその内部とが連通するリアボディ部3とを備えたキャビン部2とリアボディ部3との連結構造1において、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、キャビン部2を変形させる力をリアボディ部3と分担することにより、キャビン部2の内部とリアボディ部3の内部とが互いに連通するキャビン部2とリアボディ部3との連結構造1において、効率良くキャビン部2の変形を低減できる。
【0036】
つまり、従来のキャビン部単体での補強は、構成板金の板厚の増加、ブレースの追加及び補強パネルの追加等による重量及びコストの増加を招く多大な補強が必要である。一方、本実施形態では、キャビン部2及びリアボディ部3のそれぞれを効率良く最小限の結合をすることによって、必要なキャビン部の捩り剛性を確保できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、キャビン開口部5はその下部に下方に窪んだキャビン溝部10を有し、リアボディ開口部11はその下部に下方に窪んだリアボディ溝部12を有し、キャビン溝部10とリアボディ溝部12とは、互いに対応した形状を有する構造において、キャビン溝部10とリアボディ溝部12とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、剛性が低下し易いキャビン溝部10において、キャビン溝部10を変形させる力をリアボディ溝部12と分担することにより、効率良くキャビン部2の変形を低減できる。
【0038】
また、本実施形態によれば、キャビン開口部5は、複数の角部6,7を含む多角形状を有する構造において、キャビン開口部5のいずれかの角部6,7とリアボディ開口部11とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、変形し易い角部6,7において、角部6,7を変形させる力をリアボディ開口部11と分担することにより、効率良くキャビン部2の変形を低減できる。
【0039】
つまり、本実施形態では、キャビン部2のキャビン開口部5が平行四辺形状に変形するマッチ箱変形の起因となる角部6,7及びキャビン溝部10をリアボディ部3の前門枠4と固定することにより、キャビン部2の箱剛性をリアボディ部3と分担してマッチ箱変形を効率良く抑制できる。キャビン部の内部とリアボディ部の内部とが互いに連通するウォークスルーに特有のキャビン溝部10の補強は効果が大きい。
【0040】
また、本実施形態によれば、キャビン開口部5は、シートベルト13を支持するショルダアンカ部8を有する構造において、キャビン開口部5のショルダアンカ部8の高さ以上の部位とリアボディ開口部11とは、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、シートベルト13を介して大きな荷重を受けて変形し易いショルダアンカ部8付近のキャビン開口部5において、キャビン開口部5を変形させる力をショルダアンカ部8の高さ以上の部位でリアボディ開口部11と分担することにより、効率良くキャビン部2の変形を低減できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とは、連結前におけるキャビン開口部5とリアボディ開口部11との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手20,30,40,50,60により、外力に対していずれの方向にも相対的な位置関係の変化が生じないように互いに固定されつつ連結されているため、貨物自動車の製造時におけるキャビン部2及びリアボディ部3の車台への搭載等によって位置のバラツキが生じ易いキャビン開口部5とリアボディ開口部11とをより確実に連結できる。
【0042】
貨物自動車の製造の際には、キャビン部2が貨物自動車の車台に搭載され、次いでリアボディ部3が車台に搭載されてから、キャビン部2とリアボディ部3とが連結される。このときに、キャビン部2及びリアボディ部3が車台に搭載される位置に、前後方向に10mm程度、横方向及び上下方向に数mm程度のバラツキが生じる。しかし、本実施形態では、連結前におけるキャビン開口部5とリアボディ開口部11との位置のバラツキに対応して連結する位置を変更可能な連結継手20,30,40,50,60が適用されるため、キャビン開口部5とリアボディ開口部11とをより確実に連結できる。
【0043】
以下、本実施形態のキャビン部2とリアボディ部3との連結構造1に外力が加わったときに、キャビン部2の変形を低減できる効果について説明する。図8(A)に従来のキャビン溝部とリアボディ溝部との連結構造に外力が加わった状態を示す。図8(A)に示されるように、大きなマッチ箱変形が生じていることが判る。一方、図8(B)に実施形態のキャビン部2とリアボディ部3の前門枠4との連結構造1に外力が加わった状態を示す。図8(B)に示されるように、本実施形態の連結構造1では、従来の連結構造に比べて、マッチ箱変形が低減されていることが判る。
【0044】
また、図9(A)に従来のキャビン溝部10とリアボディ溝部12との連結に外力が加わった状態を示す。図9(A)に示されるように、キャビン部2の本体に対してキャビン溝部10は相対的な位置が大きく変動するほど変形していることが判る。一方、図9(B)に実施形態のキャビン溝部10とリアボディ溝部12との連結に外力が加わった状態を示す。図9(B)に示されるように、本実施形態の連結構造1では、従来の連結構造に比べて、キャビン部2の本体に対するキャビン溝部10の位置の変動が小さく、変形が低減されていることが判る。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【符号の説明】
【0046】
1…連結構造、2…キャビン部、3…リアボディ部、4…前門枠、5…キャビン開口部、6…角部(ドア開口下部)、7…角部(ドア開口上部)、8…ショルダアンカ部、9…ルーフ部、10…キャビン溝部、11…リアボディ開口部、12…リアボディ溝部、13…シートベルト、14…ドア開口部、15…Bピラー、17…角部、18…角部、20…連結継手、21…ボルト、30…連結継手、40…連結継手、41…キャビン側金具、42…リアボディ側金具、43…ボルト長孔部、44…ボルト、45…ナット、46…ボルト孔部、50…連結継手、60…連結継手、61…キャビン側パイプ受、62…リアボディ側パイプ受、63…連結パイプ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9