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特開2022-147142設計パターン生成方法、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147142
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】設計パターン生成方法、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20220929BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/88 B
H01L21/30 502D
B29C59/02 B
H01L21/88 S
H01L27/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048272
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 和宏
【テーマコード(参考)】
4F209
5F033
5F038
5F146
【Fターム(参考)】
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209AM23
4F209PA02
4F209PB01
4F209PQ11
5F033GG00
5F033GG03
5F033MM02
5F033MM29
5F033QQ26
5F033QQ29
5F033QQ31
5F033QQ48
5F033RR04
5F033UU03
5F033VV01
5F033XX00
5F038CA17
5F038CA18
5F038CD10
5F038EZ09
5F146AA31
(57)【要約】
【課題】転写されたパターン底部の残膜厚のばらつきを低減すること。
【解決手段】実施形態の設計パターン生成方法は、基板に塗布された有機系材料にパターンを転写することが可能なテンプレートの設計パターン生成方法において、テンプレートの有機系材料との接触面から突出し、接触面に沿う所定方向に延びるラインパターンと、ラインパターンの上面から更に突出する柱状パターンと、を含む実パターンを生成し、ラインパターン及び柱状パターンの接触面における単位面積あたりの体積を算出し、接触面における領域ごとに異なる単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積の差が所定値を超えていた場合、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積が大きかった領域にダミーパターンを追加する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布された有機系材料にパターンを転写することが可能なテンプレートの設計パターン生成方法において、
前記テンプレートの前記有機系材料との接触面から突出し、前記接触面に沿う所定方向に延びるラインパターンと、前記ラインパターンの上面から更に突出する柱状パターンと、を含む実パターンを生成し、
前記ラインパターン及び前記柱状パターンの前記接触面における単位面積あたりの体積を算出し、
前記接触面における領域ごとに異なる前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積の差が所定値を超えていた場合、前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積が大きかった領域にダミーパターンを追加する、
設計パターン生成方法。
【請求項2】
前記ダミーパターンを追加するときは、
前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積の差に応じて、前記接触面からの前記ラインパターンの高さ以上であって、前記接触面からの前記柱状パターンの高さ未満の高さに、前記接触面からの前記ダミーパターンの高さを調整する、
請求項1に記載の設計パターン生成方法。
【請求項3】
前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積の差が所定値を超えていた場合、前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積が小さかった領域の前記ラインパターン及び前記柱状パターンの合計の体積を小さくする、
請求項1または請求項2に記載の設計パターン生成方法。
【請求項4】
有機系材料にパターンを転写することが可能なテンプレートであって、
第1の面を有する基板と、
前記第1の面から突出し、前記第1の面に沿う所定方向に延びるライン部と、
前記ライン部の上面に配置される柱状部と、
前記ライン部および前記柱状部の合計の体積が他の領域より小さい領域に、前記ライン部の高さ以上であって、前記ライン部上の前記柱状部の高さ未満の高さで前記基板の前記第1の面から突出する構造部と、を備える、
テンプレート。
【請求項5】
半導体装置を製造するための第1の基板上に配置された有機系材料にパターンを転写することが可能なテンプレートの製造方法であって、
前記テンプレートの本体となる第2の基板を加工して前記有機系材料との接触面を露出させ、前記接触面から突出して前記接触面に沿う所定方向に延びるライン部と、前記ライン部の上面に配置される柱状部と、前記ライン部上の前記柱状部の高さと実質的に等しい高さのダミー部とを形成し、
前記ライン部、前記柱状部、及び前記ダミー部を覆い、前記ダミー部の上方の膜厚が、前記ライン部および前記柱状部の上方の膜厚よりも薄いレジスト膜をインプリント処理によって形成し、
前記レジスト膜をエッチバックして前記レジスト膜の表面に露出させた前記ダミー部を更にエッチバックして、前記ライン部上の前記柱状部の高さ未満の高さのダミー部を形成する、
テンプレートの製造方法。
【請求項6】
下層配線を有する下層構造と、
前記下層構造上に配置される絶縁膜と、
前記絶縁膜に沿う所定方向に延びるとともに、前記絶縁膜の一方の主面から前記絶縁膜の深さ方向に延びる配線と、
前記配線の底面から更に前記絶縁膜の深さ方向に延び、前記下層配線と接続されるビアと、
前記絶縁膜の前記主面から前記絶縁膜の深さ方向に延び、前記配線よりも深く、前記配線の底面から更に下方へ延びる前記ビアよりも浅い深さ位置に底面を有する導電部材と、を備える、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、設計パターン生成方法、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程にはインプリント処理が含まれる場合がある。インプリント処理では、例えば基板上に塗布した有機系材料にテンプレートを押し当てて、テンプレートのパターンを転写する。このとき、有機系材料に転写されるパターンの転写面における疎密差を是正するため、ダミーパターンが用いられることがある。
【0003】
しかしながら、転写面における疎密差を是正しただけでは、転写されたパターン底部の残膜厚にばらつきが生じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-508459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、転写されたパターン底部の残膜厚のばらつきを低減することが可能な設計パターン生成方法、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の設計パターン生成方法は、基板に塗布された有機系材料にパターンを転写することが可能なテンプレートの設計パターン生成方法において、前記テンプレートの前記有機系材料との接触面から突出し、前記接触面に沿う所定方向に延びるラインパターンと、前記ラインパターンの上面から更に突出する柱状パターンと、を含む実パターンを生成し、前記ラインパターン及び前記柱状パターンの前記接触面における単位面積あたりの体積を算出し、前記接触面における領域ごとに異なる前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積の差が所定値を超えていた場合、前記単位面積あたりの前記ラインパターン及び前記柱状パターンの体積が大きかった領域にダミーパターンを追加する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかるインプリント処理を用いたデュアルダマシン法による配線およびビアの形成フローの概要を示す模式図である。
図2図2は、実施形態にかかる設計パターン生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる設計パターン生成設計パターン生成方法の概念図である。
図4図4は、実施形態にかかる設計パターン生成設計パターン生成方法の概念図である。
図5図5は、実施形態にかかる設計パターン生成処理の手順の一例を示すフロー図である。
図6図6は、実施形態にかかるテンプレートの構成の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図8図8は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図9図9は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図10図10は、実施形態にかかるテンプレートの製造に用いられる階段状テンプレートの製造方法の一例を示す断面図である。
図11図11は、実施形態にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
図12図12は、比較例1,2にかかるデュアルダマシン構造の形成方法を示す模式図である。
図13図13は、比較例2にかかるインプリント処理の課題を示す断面図である。
図14図14は、実施形態の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図15図15は、実施形態の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
図16図16は、実施形態の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
(デュアルダマシン構造の形成フロー)
半導体装置の製造工程において、ビア及び配線の形成にデュアルダマシン法が用いられることがある。デュアルダマシン法では、SiO膜等の絶縁膜を掘り込んで、孔と、孔の上に配置される溝とを形成し、孔と溝とに導電材を充填して、ビアと、ビアに接続される配線とを一括して形成する。このとき、絶縁膜の全体を覆う導電膜を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等によって、導電膜を研磨して絶縁膜上から除去する。これにより、孔と溝とに導電材が残ってビア及び配線が形成される。
【0010】
CMP法等を用いて導電膜を研磨する際、導電膜と絶縁膜との界面において、配線が形成されない領域の絶縁膜が選択的に研磨されてしまい、その領域の絶縁膜およびその領域に隣接する配線等が窪み、ディッシング形状となってしまう場合がある。そこで、絶縁膜が選択的に研磨されてしまうのを抑制するため、配線が形成されない領域の絶縁膜にダミーパターンが配置される場合がある。ダミーパターンは、ビア及び配線等に接続されない電気的にフローティングの状態となっており、半導体装置の機能には寄与しない構成である。
【0011】
実施形態の半導体装置においては、ビアと、ビアに接続される配線とを含むデュアルダマシン構造が、インプリント法を用いて形成される。その概要を図1に示す。
【0012】
図1は、実施形態にかかるインプリント処理を用いたデュアルダマシン法による配線42およびビア43の形成フローの概要を示す模式図である。なお、図1に示す各図は簡素化された図であって、必ずしも各構成を正確に表したものではない。
【0013】
図1(a)に示すように、テンプレート10は、石英等の透明部材から構成される基板11に、ライン部12及び柱状部13を含む凸状パターン15と、凸状のダミー部12d,14dとを備える。柱状部13はライン部12と重なる位置に配置されている。ダミー部12d,14dは、ライン部12及び柱状部13とは重ならない位置に配置されている。
【0014】
図1(b)に示すように、製造途中の半導体装置20は被加工膜21を備える。被加工膜21は、テンプレート10の凸状パターン15が転写される対象となるSiO膜等の絶縁膜である。被加工膜21上にはレジスト膜30が形成される。
【0015】
このレジスト膜30に、テンプレート10の凸状パターン15とダミー部12d,14dを押し付ける。これにより、レジスト膜30には、配線パターン32、及び配線パターン32と重なる位置に配置されるビアパターン33を含む凹状パターン35と、凹状のダミーパターン32d,34dとが形成される。そして、レジスト膜30の凹状パターン35にしたがって、半導体装置20の被加工膜21を加工する。
【0016】
図1(c)に示すように、レジスト膜30の凹状パターン35とダミーパターン32d,34dが転写されることにより、被加工膜21には、配線パターン22、及び配線パターン22と重なる位置に配置されるビアパターン23を含む凹状パターン25と、凹状のダミーパターン22d,24dとが形成される。
【0017】
図1(d)に示すように、被加工膜21上に、凹状パターン25及びダミーパターン22d,24dを覆う導電膜41を形成する。これにより、凹状パターン25及びダミーパターン22d,24dには導電材が充填される。
【0018】
図1(e)に示すように、被加工膜21上の導電膜41をCMP等によって除去する。これにより、配線パターン22に導電材が充填された配線42、及びビアパターン23に導電材が充填されたビア43を含むデュアルダマシン構造45と、ダミーパターン22d,24dに導電材が充填されたダミー42d,44dとが、被加工膜21に形成される。
【0019】
CMP等によって被加工膜21上の導電膜41を除去する際、ダミーパターン22d,24dが、被加工膜21の配線パターン22及びビアパターン23が形成されない領域に配置されていることで、その領域の被加工膜21及びその領域に隣接する配線42等がディッシング形状となることが抑制される。
【0020】
(設計パターン生成装置の構成例)
次に、図2を用いて、実施形態の設計パターン生成装置100の構成例について説明する。図2は、実施形態にかかる設計パターン生成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
実施形態の設計パターン生成装置100は、例えば半導体装置のレジスト膜に転写される各種パターンの情報に基づいて、各種パターンの転写を行うテンプレートの設計パターンを生成する。テンプレートを製造する際には、この設計パターンに基づいてテンプレートに各種の形状が形成される。設計パターンの生成時、設計パターン生成装置100は、必要に応じて適宜、設計パターンにダミーパターンを追加する。
【0022】
設計パターン生成装置100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成される。設計パターン生成装置100が、各種情報が格納されるHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を備えていてもよい。設計パターン生成装置100のCPUが、ROM等に格納されるプログラムをRAMに展開して実行することで、以下に述べる各種の機能部が実現される。ただし、各機能部はあくまで一例である。
【0023】
図2に示すように、設計パターン生成装置100は、機能部として、レイアウト情報取得部101、体積算出部102、判定部103、ダミーパターン生成部105、実パターン生成部106、統合部107、入出力部108、及び記憶部109を備える。
【0024】
レイアウト情報取得部101は、例えば半導体装置の各種構成のレイアウトを設計する設計装置からレイアウト情報を取得する。レイアウト情報は、例えばレジスト膜に転写される各種パターンのレイアウトに関する情報を含む。
【0025】
上述の図1の例のように、例えばデュアルダマシン構造45を半導体装置20に形成するため、凹状パターン35をレジスト膜30に転写するテンプレート10の設計パターンを生成する場合であれば、レイアウト情報には、配線パターン32の数、配置、幅、深さ等の情報、及びビアパターン33の数、配置、径、深さ等の情報が含まれる。
【0026】
体積算出部102は、後述の実パターン生成部106がレイアウト情報に基づいて生成した実パターン情報から、実パターンに含まれる各種パターンの体積を算出する。上述のテンプレート10に関する実パターンであれば、実パターンにはライン部12となるラインパターンと、柱状部13となる柱状パターンとが含まれる。体積算出部102は、例えばラインパターンの数、幅、及び高さからラインパターンの体積を算出する。また、体積算出部102は、柱状パターンの数、径、及び高さから柱状パターンの体積を算出する。
【0027】
このとき、体積算出部102は、テンプレート10が有するレジスト膜との接触面における単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積を算出する。
【0028】
具体的には、体積算出部102は、例えば半導体装置が有するショット領域をグリッド状に分割し、それをテンプレートの接触面に対応させることで、テンプレートの接触面を単位面積に区画してもよい。ショット領域は、テンプレートをレジスト膜に1回押し当てたときにパターンが転写される領域である。または、体積算出部102は、算出された各種パターンの体積に基づいて、パターンの密度が高い領域と、パターンの密度が低い領域とを判別して、それぞれの領域を単位面積として区画してもよい。これらの領域を、それぞれ更に小さな単位面積に区画してもよい。
【0029】
上述のテンプレート10に関する実パターンの場合であれば、ラインパターンの配置および柱状パターンの配置に応じて、単位面積ごとに異なるラインパターン及び柱状パターンの体積が算出される。
【0030】
判定部103は、算出された実パターンの体積を単位面積ごとに比較する。また、判定部103は、テンプレートの接触面における領域ごとに異なる単位面積あたりの実パターンの体積の差が、所定値を超えているか否かを判定する。
【0031】
ダミーパターン生成部105は、単位面積あたりの実パターンの体積の差が所定値を超えていると判定された場合、単位面積あたりの実パターンの体積が大きかった領域にダミーパターンを追加する決定を行う。
【0032】
ダミーパターンの追加にあたり、ダミーパターン生成部105は、追加するべきダミーパターンの密度を算出する。また、ダミーパターン生成部105は、算出した密度から、追加するダミーパターンの数、配置、面積、高さ等を決定する。
【0033】
また、ダミーパターン生成部105は、決定したダミーパターンの数、配置、面積、高さ等の情報を含むダミーパターン情報を生成する。
【0034】
このように、設計パターンにダミーパターンが追加されることで、実際のテンプレートには、実パターンに対応する形状に加え、ダミーパターンに対応する形状も形成されることとなる。例えば、上述の図1の例であれば、ダミーパターン生成部105の算出結果に基づいて、テンプレート10には、ダミー部12d,14dが追加される。更に、レジスト膜30には、配線パターン32の外側領域にダミーパターン32dが転写され、配線パターン32の間の領域にダミーパターン34dが転写されることとなる。
【0035】
実パターン生成部106は、取得されたレイアウト情報に基づいて実パターン情報を生成する。ダミーパターンが半導体装置の機能に寄与しない構成となるパターンであるのに対し、実パターンは、半導体装置の機能に寄与する配線およびビア等となるパターンである。実パターン情報は、これらの配線およびビア等となるパターンに関する情報を含む。
【0036】
上述のテンプレート10であれば、実パターン生成部106はラインパターン及び柱状パターンの情報を含む実パターン情報を生成する。この実パターン情報に基づいて、テンプレート10には、半導体装置20の配線42となるライン部12、及び半導体装置20のビア43となる柱状部13が形成される。
【0037】
また、実パターン生成部106は、判定部103によって単位面積あたりの実パターンの体積の差が所定値を超えていると判定された場合、単位面積あたりの体積が小さかった領域に配置される実パターンの体積を小さくする。
【0038】
具体的には、実パターン生成部106は、例えば実パターンに含まれる各種パターンの幅、径、高さ等の少なくともいずれかを縮小して、各種パターンの体積を縮小した実パターンを再生成する。つまり、実パターン生成部106は、上述のレイアウト情報取得部101が取得したレイアウト情報に基づく実パターンを修正する。また、実パターン生成部106は、再生成した実パターンを含む実パターン情報を生成する。
【0039】
上述のテンプレート10であれば、実パターン生成部106は、ラインパターン及び柱状パターンの少なくとも何れかの体積を縮小させる。ラインパターンの体積を縮小する場合、例えばラインパターンを低くすることができる。つまり、ラインパターンを薄くすることができる。柱状パターンの体積を縮小する場合、例えば柱状パターンの径を小さくすることができる。つまり、柱状パターンを細くすることができる。
【0040】
ただし、ラインパターン及び柱状パターンの全体の体積において、ラインパターンの体積の占める割合は相当に大きく、例えばラインパターンを低くすることで全体の体積を実効的に縮小することが容易となる。このため、実パターンの体積を縮小させる場合には、実パターン生成部106は、ラインパターンの体積を柱状パターンの体積に優先させて縮小するようにしてもよい。
【0041】
統合部107は、ダミーパターン生成部105が生成したダミーパターン情報、及び実パターン生成部106がレイアウト情報に基づいて生成または修正した実パターン情報を統合して、テンプレートの設計パターンの情報を含む設計パターン情報を生成する。また、統合部107は、ダミーパターン生成部105がダミーパターン情報を生成しなかった場合には、実パターン生成部106が生成した実パターン情報を設計パターン情報とする。
【0042】
入出力部108は、設計パターン情報の生成指示等の設計パターン生成装置100に対するユーザからの入力を受け付ける。また、入出力部108は、例えばユーザからの指示等にしたがって、生成した設計パターン情報等を出力する。
【0043】
記憶部109には各種の情報が格納される。各種情報としては、例えば上述の設計装置から取得した各種パターンに関するレイアウト情報、ダミーパターン生成部105が生成したダミーパターン情報、実パターン生成部106が生成した修正前後の実パターン情報、及び統合部107が生成した設計パターン情報等がある。
【0044】
(設計パターン生成の概念)
次に、図3及び図4を用いて、設計パターンの生成方法について説明する。図3及び図4は、実施形態にかかる設計パターン生成方法の概念図である。以下の説明では、設計パターンの生成方法を概念的に説明する。
【0045】
図3(a)(b)に示すように、設計パターンを生成するにあたり、まずは、レジスト膜30に実パターンのみを転写する場合について考える。
【0046】
図3(a)は、ウェハW上に塗布されたレジスト膜30に、実パターンのみを有する仮想のテンプレート10xのパターンを転写しようとする様子を示す断面図である。
【0047】
第1の基板としてのウェハWは、シリコンウェハ等の半導体ウェハ、セラミックウェハ等の絶縁体ウェハ、またはダイアモンドウェハ等の導体ウェハ等である。ウェハW上には被加工膜21が形成され、被加工膜21上にはレジスト膜30が形成されている。なお、本明細書では、ウェハW単体のみならず、被加工膜21を含むウェハWの全体等も第1の基板と呼ぶことがある。被加工膜21とウェハWとの間に、他の膜、トランジスタ等の半導体装置20の一部を構成する構造物が介在されている場合、レジスト膜30と被加工膜21との間に、SOC(Spin On Carbon)膜、SOG(Spin On Glass)膜等の他の膜が介在されている場合も、これらを含むウェハW全体を第1の基板と呼ぶことがある。
【0048】
上述のように、デュアルダマシン構造45(図1参照)を形成する場合、被加工膜21にはSiO膜等の絶縁膜を用いることができる。被加工膜21が、複数種類の絶縁膜が積層された構成を有していてもよい。
【0049】
レジスト膜30は、例えばスピン塗布法(スピンコーティング法)によって被加工膜21上にレジスト材等の有機系材料が塗布された膜である。スピン塗布されたレジスト膜30は、全域に亘って略均一な膜厚を有する。
【0050】
レジスト膜30に、インプリント処理によってパターンを転写する場合には、有機系材料として、例えば光硬化型レジスト、熱硬化型レジスト等の材料が用いられることが好ましい。ただし、被加工膜21をエッチング加工する際に被加工膜21のマスクとして機能する材料であれば、レジスト材以外の有機系材料を用いることも可能である。
【0051】
仮想のテンプレート10xは、実パターンとしてライン部12及び柱状部13を有する。これらのライン部12及び柱状部13は、上述の設計装置から取得したレイアウト情報に基づいて生成された実パターン情報を参照して形成される。
【0052】
なお、図3の例では、テンプレート10xは、ライン部12及び柱状部13が多数配置された領域と、ライン部12及び柱状部13が少なく配置された領域とを有するものとする。
【0053】
これらの実パターンをレジスト膜30に転写する際には、ライン部12及び柱状部13が形成された面をレジスト膜30に対向させるように、テンプレート10xがウェハWに対して配置される。
【0054】
また、後述するように、ライン部12及び柱状部13を転写するため、テンプレート10xをレジスト膜30に押し当てるときは、ライン部12及び柱状部13が、それらの基部までレジスト膜30の内部に没するよう、テンプレート10xとウェハWとを近接させる。このとき、レジスト膜30の表面と接触するテンプレート10xの面を、テンプレート10xの接触面10cと呼ぶ。また、テンプレート10xの実パターンが転写されるレジスト膜30の表面を、レジスト膜30の転写面30tと呼ぶ。
【0055】
上述のように、テンプレート10xの接触面10cは、ライン部12が多数配置されて密となった面と、ライン部12が疎らにしか配置されず疎である面とを有する。レジスト膜30の転写面30tのうち、テンプレート10xの接触面10cの密な面と対向する面を密領域ARdと呼ぶ。また、レジスト膜30の転写面30tのうち、テンプレート10xの接触面10cの疎な面と対向する面を疎領域ARsと呼ぶ。
【0056】
すなわち、レジスト膜30の密領域ARdは、レジスト膜30の転写面30tにおける単位面積あたりにライン部12が占める面積が大きい平面状の領域である。また、レジスト膜30の疎領域ARsは、レジスト膜30の転写面30tにおける単位面積あたりにライン部12が占める面積が小さい平面状の領域である。
【0057】
なお、テンプレート10xをレジスト膜30に押し当てた際、テンプレート10xにおいて最も高い部分であるライン部12上の柱状部13の上端が、レジスト膜30を貫通して被加工膜21にまで到達しないよう、テンプレート10とウェハWとの距離が調整される。これは、テンプレート10と、被加工膜21及びウェハWとの接触により、テンプレート10及びウェハWが破損するのを抑制するためである。
【0058】
図3(b)は、レジスト膜30にテンプレート10xを押し当てた様子を示す断面図である。
【0059】
図3(b)に示すように、テンプレート10xが押し当てられると、テンプレート10xのライン部12及び柱状部13によって、略均一な膜厚を有していたレジスト膜30が押し退けられて、押し退けられた部分のレジスト膜30の体積が減少する。
【0060】
レジスト膜30の密領域ARdでは、より多くのライン部12及び柱状部13が押し当てられるので、レジスト膜30の体積の減少量が大きい。そこで、密領域ARdの深さ方向のレジスト膜30を含み、体積が大きく減少したレジスト膜30の領域を低体積部VLdと呼ぶ。つまり、低体積部VLdは、レジスト膜30の転写面30tにおける単位面積あたりのレジスト膜30の体積が小さい3次元の領域である。
【0061】
レジスト膜30の疎領域ARsでは、少ない数のライン部12及び柱状部13しか押し当てられず、レジスト膜30の体積の減少量が小さい。そこで、疎領域ARsの深さ方向のレジスト膜30を含み、体積がそれほど減少しなかったレジスト膜30の領域を高体積部VLsと呼ぶ。つまり、高体積部VLsは、レジスト膜30の転写面30tにおける単位面積あたりのレジスト膜30の体積が大きい3次元の領域である。
【0062】
実施形態のテンプレート10の設計パターンを生成する際、低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積の差が所定値を超える見込みである場合には、高体積部VLsにダミーパターンが追加される。
【0063】
図3(c)は、設計パターンに追加されたダミーパターンに基づいて、ダミー部14dが追加されたテンプレート10を示す断面図である。ライン部12及び柱状部13に加えてダミー部14dが追加されたテンプレート10は、例えば実際に製造対象となる実施形態のテンプレート10である。
【0064】
図3(c)に示すように、レジスト膜30の高体積部VLsに対向するテンプレート10の領域に所定体積のダミー部14dが追加されることで、高体積部VLsのレジスト膜30の体積が減少し、低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積の差が低減される。
【0065】
なお、テンプレート10にダミー部14dを追加する際には、追加するダミー部14dの数、配置、面積、テンプレート10の接触面10cからの高さ等が調整される。複数のダミー部14dを追加する場合、それらのダミー部14dの数、配置、面積、及び高さ等が個々に異なっていてもよい。
【0066】
ここで、追加可能なダミー部14dの数には制約がある。体積を増大させるためダミー部14dの数を増やし過ぎると、テンプレート10の製造が煩雑となり、また、製造時間が長時間化したり製造コストが増大したりする場合があるためである。
【0067】
また、後に形成されるデュアルダマシン構造45の配線42及びビア43の配置、及び線間容量等の電気特性に影響を及ぼさないよう、ダミー部14dの配置位置には制約があり、同様に、ダミー部14dの面積を増大させるにも制約がある。ダミー部14dに対応するダミー44d(図1参照)に埋め込まれた導電材の面積が、最大面積ルールに抵触する恐れもある。
【0068】
したがって、ダミー部14dの数、配置、面積に優先させて、ダミー部14dの高さによって、追加するダミー部14dの体積増大を図るようにしてもよい。
【0069】
なお、ダミー部14dの高さによってダミー部14dの体積増大を図る場合には、ダミー部14dの高さを、例えばライン部12の高さ、及びライン部12を含めない柱状部13の高さの少なくともいずれかとしてもよい。これにより、高体積部VLsのレジスト膜30の体積を削減するためのダミー部14dの高さ調整が容易となる。
【0070】
一方、ダミー部14dの高さを、ライン部12と柱状部13との合計の高さと等しくすると、ダミー部14dに対応するダミー44d(図1参照)の導電材が、被加工膜21の下層構造と導通してしまう恐れがある。このため、ダミー部14dの高さを、ライン部12と柱状部13との合計の高さに合わせるときは、ライン部12と柱状部13との合計の高さ未満とする等の調整が更に必要である。
【0071】
以上のように、ダミー部14dの高さは、例えばライン部12の高さ以上であって、ライン部12の高さを含めた柱状部13の高さ未満とすることができる。
【0072】
図3(d)は、レジスト膜30に配線パターン32、ビアパターン33、及びダミーパターン34dを転写した後に、テンプレート10をレジスト膜30から離型した様子を示す断面図である。
【0073】
レジスト膜30へのパターン転写を行う際には、テンプレート10の離型前に、図3(c)に示すような状態で、例えばテンプレート10の上方から紫外光等を照射してレジスト膜30を硬化させる。レジスト膜30が光硬化型レジストではなく、熱硬化型レジストから構成される場合には、熱を加えてレジスト膜30を硬化させる。これにより、配線パターン32、ビアパターン33、及びダミーパターン34dを有するレジスト膜30が形成される。
【0074】
なお、レジスト膜30を硬化させる際、上述のように、柱状部13がレジスト膜30を貫通しない位置にテンプレート10が維持される。このため、ビアパターン33の底部にはレジスト残膜RLTd,RLTsが形成される。上述の低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積の差は、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト残膜RLTd,RLTsの膜厚にも影響を及ぼす。
【0075】
低体積部VLdと高体積部VLsとの体積の差が例えば所定値を超えていた場合、高体積部VLsに比べて低体積部VLdでは、転写パターンの形成に用いられなかった余剰のレジスト材が多く発生する。この余剰のレジスト材によって、低体積部VLdでは、高体積部VLsのレジスト残膜RLTsよりも厚いレジスト残膜RLTdが形成される。このため、低体積部VLdにおいて、ビアパターン33を転写する被加工膜21のエッチング加工が阻害されてしまう場合がある。
【0076】
実施形態のテンプレート10にはダミー部14dが形成されるので、低体積部VLdと高体積部VLsとの体積の差が例えば所定値未満となって、低体積部VLdのレジスト残膜RLTdと高体積部VLsのレジスト残膜RLTsとの膜厚差が抑制され、被加工膜21のエッチング阻害が抑制される。
【0077】
ところで、上述のように、追加されるダミー部14dの数、配置、面積、及び高さ等にはそれぞれ制約がある。このため、可能な範囲でダミー部14dの体積が最大となるようにダミー部14dを設計したとしても、低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積差が所定値内とならない場合もあり得る。
【0078】
そのような場合には、ライン部12及び柱状部13の合計体積を小さくすることが検討される。上述のように、柱状部13の体積を削減するより、ライン部12の体積を削減する方がライン部12及び柱状部13の合計体積を大幅に削減することが可能である。このため、主にライン部12の体積を削減すべく、ライン部12を低くすることが検討される。
【0079】
図4(a)は、ダミー部14dに加え、より低く再設定されたライン部12aを備えるテンプレート10aを含む断面図である。
【0080】
図4(a)に示すように、テンプレート10aは、例えば可能な範囲で最大の体積を有するダミー部14dと、当初のレイアウト情報に基づく実パターンよりも低くなるよう再設定されたライン部12aと、当初のレイアウト情報に基づく実パターンから未修正の柱状部13と、を備える。
【0081】
ライン部12aの高さを調整する際には、修正前のライン部12と修正後のライン部12aとの高さの差が、被加工膜21のエッチング誤差の範囲内に収まるようにすることが好ましい。この場合、当初の設計より低くなったライン部12aを用いた場合でも、当初の設計によるライン部12を用いた場合とほぼ同様に被加工膜21がエッチング加工される。また、最終的に形成される配線42の厚さを、略当初の設計通りに維持することができる。
【0082】
なお、低くしたライン部12aを低体積部VLdに配置する際、高体積部VLsに配置されるライン部12aの高さをこれと揃えてもよい。テンプレート10aに配置されるライン部12aの高さを揃えることで、テンプレート10aの製造が容易になる。低体積部VLdと同様、高体積部VLsにも低くされたライン部12aを配置することで、高体積部VLsのレジスト膜30の体積が若干増大するが、低体積部VLdに配置されるライン部12aの総体積の方が圧倒的に大きいため、低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積差を相殺することができる。
【0083】
図4(b)は、レジスト膜30に配線パターン32a、ビアパターン33、及びダミーパターン34dを転写した後に、テンプレート10aをレジスト膜30から離型した様子を示す断面図である。
【0084】
テンプレート10aが備える低くなったライン部12aがレジスト膜30に転写されることで、配線パターン32aは当初の配線パターン32よりも低く、また、小さい体積を有する。
【0085】
これにより、低体積部VLdのレジスト膜30の体積が増大し、低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積の差が更に低減される。また、低体積部VLdのレジスト残膜RLTdと高体積部VLsのレジスト残膜RLTsとの膜厚差がいっそう抑制されて、被加工膜21のエッチング阻害がいっそう抑制される。
【0086】
以上、どのようにダミーパターンの追加を決定し、ダミーパターンの体積を決定するかについて概念的に述べた。
【0087】
(設計パターン生成処理の例)
次に、図5を用いて、実施形態の設計パターン生成装置100による設計パターン生成処理の例について説明する。
【0088】
上述の図3及び図4を用いた設計パターンの生成方法の説明では、仮想的なテンプレート10xの実パターンが転写された場合にレジスト膜30が有することとなる体積の局所的な差に基づいて、ダミーパターンを追加することとした。ここで、パターン転写後のレジスト膜30の体積差と、テンプレート10xが有するパターンの体積差とは略一致する。
【0089】
実施形態の設計パターン生成装置100においては、以下に述べるように、例えば実パターンが転写されたレジスト膜30の体積を算出することなく、テンプレート10xの実パターンの体積差に基づいて、その差を低減するようにダミーパターンの追加が決定される。
【0090】
以下においては、上述のテンプレート10を製造するための設計パターンの生成処理について説明する。生成された設計パターンにしたがうことによって、ウェハW等に塗布されたレジスト膜30に凹状パターン35(図1参照)を転写することが可能なテンプレート10を製造することができる。
【0091】
図5は、実施形態にかかる設計パターン生成処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0092】
図5に示すように、設計パターン生成装置100のレイアウト情報取得部101は、レジスト膜30に転写される凹状パターン35のレイアウト情報を取得する(ステップS101)。レイアウト情報は、レジスト膜30の凹状パターン35の転写面30tから窪んだ配線パターン32の情報、及び配線パターン32の底面から更に窪んだビアパターン33の情報を含む。
【0093】
設計パターン生成装置100の実パターン生成部106は、レイアウト情報に基づいて、ラインパターン及び柱状パターンを含む実パターン情報を生成する(ステップS102)。
【0094】
ラインパターンは、テンプレート10のレジスト膜30との接触面10cから突出し、接触面10cに沿う所定方向に延びるパターンである。柱状パターンは、ラインパターンの上面から更に突出する柱状の形状を有するパターンである。
【0095】
体積算出部102は、テンプレート10の接触面10cにおける単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積を算出する(ステップS103~S105)。
【0096】
より詳細には、体積算出部102は、実パターン情報に基づいて、ラインパターン及び柱状パターンの体積を算出する(ステップS103)。また、体積算出部102は、テンプレート10の接触面10cを単位面積に分割する(ステップS104)。また、体積算出部102は、算出したラインパターン及び柱状パターンの体積に基づいて、接触面10cにおける単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積を算出する(ステップS105)。
【0097】
設計パターン生成装置100は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積の差が所定値を超えていた場合、単位面積あたりの体積が大きかった領域にダミーパターンを追加する(ステップS106~S109)。
【0098】
より詳細には、判定部103は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差が所定値を超えているか否かを判定する(ステップS106)。単位面積あたりの体積差が所定値を超えていた場合(ステップS106:No)、判定部103は、ダミーパターンの数、配置、面積、及び高さ等の制約に反することなく、ダミーパターンの追加が可能か否かを判定する(ステップS107)。
【0099】
単位面積あたりの体積差が所定値を超えており(ステップS106:No)、かつ、ダミーパターンの追加が可能である場合には(ステップS107:Yes)、ダミーパターン生成部105は、追加するダミーパターンに必要な高さ、面積、数、及び配置位置等を算出する(ステップS108)。
【0100】
なお、ダミーパターンの追加対象となる上記の単位面積あたりの体積が大きかった領域とは、テンプレート10の接触面10c内の領域であって、例えば上述の図3及び図4で説明したように、パターン転写後のレジスト膜30における低体積部VLd及び高体積部VLsのうち、高体積部VLsに対応する領域である。
【0101】
ここで、ダミーパターン生成部105は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差を是正するため、例えば優先的にダミーパターンの高さ調整を行う。つまり、ダミーパターン生成部105は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差に応じて、ラインパターンの高さ以上であって、ラインパターンの高さを含めた柱状パターンの高さ未満の高さに、ダミーパターンの高さを調整する。より詳細には、ダミーパターン生成部105は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差が大きいほど、ダミーパターンがより高くなるよう上記範囲内で設定する。
【0102】
また、優先的にダミーパターンの高さ調整を行った場合であっても、ダミーパターン生成部105が、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差を是正するため、例えば更に単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差に応じて、接触面10cにおけるダミーパターンの面積を調整し、また、ダミーパターンの個数を調整してもよい。つまり、ダミーパターン生成部105は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差が大きいほど、ダミーパターンの面積を上記制約の範囲内で増大させ、また、ダミーパターンの個数を上記制約の範囲内で増加してもよい。
【0103】
ダミーパターンのデザインが確定すると、ダミーパターン生成部105は、ダミーパターンに必要な高さ、面積、数、及び配置位置等を含むダミーパターン情報を生成する(ステップS109)。
【0104】
その後、設計パターン生成装置100はステップS106の処理に戻る。
【0105】
一方、例えば以下に述べる所定の場合において、実パターン生成部106は、テンプレート10の接触面10c内において単位面積あたりの体積が小さかった領域、つまり、レジスト膜30の高体積部VLsよりも小さい低体積部VLdに対応する領域のラインパターン及び柱状パターンの合計の体積を小さくする。
【0106】
すなわち、最大限に追加可能な体積のダミーパターンを追加してもなお、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積の差が解消されない場合等のように、単位面積あたりの体積の差が所定値を超えているものの(ステップS106:No)、ダミーパターンの追加が不可能である場合には(ステップS107:No)、実パターン生成部106は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差を是正するため、例えば優先的にラインパターン高さ調整を行って、必要分だけ低くした場合のラインパターンの高さを算出する(ステップS110)。
【0107】
つまり、実パターン生成部106は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差に応じてラインパターンの高さを調整する。より詳細には、実パターン生成部106は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差が大きいほど、ラインパターンを薄く設計する。
【0108】
また、優先的にラインパターンの高さ調整を行った場合であっても、実パターン生成部106が、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターン体積差を是正するため、例えば更に柱状パターンの径を調整してもよい。つまり、実パターン生成部106は、単位面積あたりのラインパターン及び柱状パターンの体積差が大きいほど、柱状パターンの径を小さくしてもよい。
【0109】
ラインパターン及び柱状パターンの少なくともいずれかの実パターンの高さ調整を行った後、実パターン生成部106は実パターン情報を再生成する(ステップS111)。このとき、ラインパターンのみに対して高さ調整の処理が行われた場合には、実パターン情報は、修正後のラインパターン及び未修正の柱状パターンの情報を含む。ラインパターン及び柱状パターンの両方に対して高さ調整の処理が行われた場合には、実パターン情報は、修正後のラインパターン及び修正後の柱状パターンの情報を含む。
【0110】
その後、設計パターン生成装置100はステップS106の処理に戻る。
【0111】
ステップS106において、判定部103が、単位面積あたりの体積の差が所定値内であると判定した場合(ステップS106:Yes)、統合部107は設計パターン情報を生成する(ステップS112)。ステップS107~S109の処理が行われた場合には、設計パターン情報は、ダミーパターン情報および実パターン情報を含む。このとき、更にステップS110,S111の処理も行われた場合には、設計パターン情報に含まれる実パターン情報は、修正後の実パターンを含む実パターン情報である。ステップS107~S109の処理が行われなかった場合には、設計パターン情報は実パターン情報を含む。
【0112】
以上により、実施形態の設計パターン生成装置100による設計パターン生成処理が終了する。
【0113】
なお、ダミーパターンの追加の要否を判定する方法は上記の方法に限られない。一例として、取得したレイアウト情報から、パターン転写後のレジスト膜30の体積差を一旦、算出し、そのうえで、レジスト膜30の体積差をテンプレート10の実パターンの体積差に換算してもよい。
【0114】
(テンプレートの構成例)
次に、図6を用いて、実施形態のテンプレート10の構成例について説明する。図6は、実施形態にかかるテンプレート10の構成の一例を示す図である。実施形態のテンプレート10は、例えば上述の設計パターン生成装置100が生成した設計パターンに基づいて製造されたテンプレートである。
【0115】
図6に示すように、テンプレート10は、基板11、ライン部12、柱状部13、及びダミー部14d(14x,14y,14z)を備える。
【0116】
第2の基板としての基板11は、テンプレート10の本体を構成し、レジスト膜30と接触する第1の面としての接触面10cを有する。基板11は、例えば石英等の紫外光に対して透明な材料から構成される。
【0117】
ライン部12は、基板11と一体に構成され、基板11の接触面10cから突出する。ライン部12は、例えば基板11上を所定の方向に延びる。ただし、ライン部12が、基板11上を屈曲するように配置されていてもよい。
【0118】
柱状部13は、ライン部12と一体に構成され、ライン部12の上面に配置される。柱状部13は、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の、基板11に対して平行な断面を有する。
【0119】
なお、図6の例では、テンプレート10の一端部寄りの領域には、ライン部12及び柱状部13が密に配置されている。また、テンプレート10のもう一端部寄りの領域には、ライン部12及び柱状部13が疎らに配置されている。
【0120】
所定の構造を備える構造部としてのダミー部14dは、ライン部12及び柱状部13の合計の体積が他の領域より小さい領域に配置される。ライン部12及び柱状部13の合計体積が小さい領域とはライン部12及び柱状部13が疎らに配置された領域であって、例えば上述のレジスト膜30における疎領域ARsに相当する。他の領域、つまり、ライン部12及び柱状部13の合計体積が大きい領域とはライン部12及び柱状部13が密に配置された領域であって、例えば上述のレジスト膜30における密領域ARdに相当する。
【0121】
また、ダミー部14dは、基板11と一体に構成され、基板11の接触面10cから突出する。また、ダミー部14dは、ライン部12の高さ以上であって、ライン部12上の柱状部13の高さ未満の高さを有する。ダミー部14dの種類、及び個数は任意である。
【0122】
複数種類のダミー部14dをそれぞれ複数個、テンプレート10に配置する場合には、例えばライン部12及び柱状部13が密に配置されたテンプレート10の一端部側から、ライン部12及び柱状部13が疎らに配置されたテンプレート10のもう一端部側へと向かって、ダミー部14dの密度が高くなっていくように、ダミー部14dを配置することができる。つまり、テンプレート10の一端部側からもう一端部側へと、ダミー部14dの高さが増し、基板11の接触面10cにおけるダミー部14dの面積が大きくなり、ダミー部14dの個数が増加していくように、ダミー部14dを配置することができる。
【0123】
図6の例では、テンプレート10は、複数種類のダミー部14x,14y,14zを、それぞれ複数個、備える。これらのダミー部14x,14y,14zは、異なる高さ、基板11の接触面10cにおいて異なる面積、及び異なる個数を有し、テンプレート10の一端部側からもう一端部側へと向かって密度が高くなっていくように配置されている。
【0124】
ダミー部14xは、ダミー部14x,14y,14zの中で、テンプレート10の最も一端部寄りに配置され、最も低く、最も面積が小さく、最も個数が少ない。ダミー部14xは、例えばライン部12と略等しい高さを有している。
【0125】
ダミー部14yは、テンプレート10の一端部ともう一端部との間の位置に配置され、ダミー部14x,14y,14zの中で、中程度の高さを有し、中程度の面積を有し、ダミー部14xよりも個数が多く、ダミー部14zよりも個数が少ない。ダミー部14yは、例えばライン部12を含まない柱状部13の高さと同じ高さを有する。つまり、ダミー部14yの高さ方向の長さと、柱状部13の高さ方向の長さとは略等しい。
【0126】
ダミー部14zは、ダミー部14x,14y,14zの中で、テンプレート10の最ももう一端部寄りに配置され、最も高く、最も面積が大きく、最も個数が多い。ダミー部14zは、例えばライン部12を含めた柱状部13の高さよりも若干低い。
【0127】
以上のようにダミー部14x,14y,14zが配置されることで、例えばテンプレート10がダミー部14を有さない場合より、低体積部VLdと高体積部VLsとのレジスト膜30の体積差が低減される。
【0128】
(テンプレートの製造方法)
次に、図7図9を用いて、実施形態のテンプレート10の製造方法について説明する。図7図9は、実施形態にかかるテンプレート10の製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【0129】
図7(a)に示すように、テンプレート10の本体となる基板11の上面に、クロム膜等のマスク膜51を形成する。マスク膜51上には、例えば電子線描画等によりレジストパターン61pを形成する。レジストパターン61pは、基板11のライン部12及びダミー部14x,14y,14zが配置されることとなる領域を覆う。
【0130】
図7(b)に示すように、レジストパターン61pをマスクとしてマスク膜51をエッチング加工し、マスクパターン51pを形成する。
【0131】
図7(c)に示すように、マスクパターン51pをマスクとして基板11をエッチング加工し、ライン部12及びダミー部14x,14y,14zを形成する。この時点では、ライン部12及びダミー部14x,14y,14zは全て略等しい高さを有する。ライン部12及びダミー部14x,14y,14zの基板11からの突出高さは、例えばテンプレート10が最終的に備えることとなるライン部12の高さと略等しい。
【0132】
なお、上記の過程において、レジストパターン61pは消失する。
【0133】
図7(d)に示すように、マスクパターン51pを除去した後に、基板11の全面を覆うクロム膜等のマスク膜52を形成する。マスク膜52上には、例えば電子線描画等によりレジストパターン62pを形成する。レジストパターン62pは、基板11の柱状部13及びダミー部14x,14y,14zが配置されることとなる領域を覆う。
【0134】
図7(e)に示すように、レジストパターン62pをマスクとしてマスク膜52をエッチング加工し、マスクパターン52pを形成する。
【0135】
図8(a)に示すように、テンプレート10の本体となる基板11を加工してレジスト膜30と接触することとなる接触面10cを露出させる。また、基板11の接触面10cから突出するライン部12と、ライン部12の上面に配置される柱状部13と、ライン部12上の柱状部13の高さと実質的に等しい高さのダミー部14x,14y,14zとを形成する。ライン部12、柱状部13、及びダミー部14x,14y,14zを形成するときは、基板11の接触面10cにおける面積が異なる複数のダミー部14x,14y,14zを形成してもよい。
【0136】
すなわち、マスクパターン52pをマスクとして基板11をエッチング加工し、基板11の接触面10cを露出させる。これにより、ライン部12が、例えばテンプレート10が最終的に備えることとなる柱状部13と同じ高さ分だけ掘り下げられて、基板11の接触面10cから突出した状態となる。また、ライン部12の上面に、最終的な柱状部13の高さを有する柱状部13が形成される。また、ダミー部14x,14y,14zは、柱状部13の基板11からの突出高さと略等しい高さに、基板11の接触面10cから突出した状態となる。
【0137】
なお、上記の過程において、レジストパターン62pは消失する。
【0138】
図8(b)~図9(a)に示すように、ライン部12、柱状部13、及びダミー部14x,14y,14zを覆い、ダミー部14x,14y,14zの上方の膜厚が、ライン部12及び柱状部13の上方の膜厚よりも薄いレジストパターン63pをインプリント処理によって形成する。
【0139】
より具体的には、レジストパターン63pを形成するときは、複数のダミー部14x,14y,14zの上方の膜厚がそれぞれ異なるレジストパターン63pをインプリント処理によって形成する。図8(b)~図9(a)の処理について以下に詳細を説明する。
【0140】
図8(b)に示すように、マスクパターン52pを除去した後に、例えばスピン塗布等によって、基板11の全面を覆うレジスト膜63を形成する。これにより、基板11上のライン部12、柱状部13、及びダミー部14x,14y,14zの全体が、略平坦な上面を有するレジスト膜63によって覆われる。
【0141】
また、パターン74x,74y,74zを有する階段状テンプレート70が、パターン74x,74y,74zが基板11に対向するように、基板11の上方に配置される。より具体的には、階段状テンプレート70を基板11上に配置する際、パターン74x,74y,74zはそれぞれ、ダミー部14x,14y,14zの上方位置に配置させる。
【0142】
ここで、階段状テンプレート70の基板71は、石英等の紫外光に対して透明な材料から構成される。階段状テンプレート70のパターン74x,74y,74zは、それぞれ異なる突出高さで、階段状テンプレート70の本体を構成する基板71から突出している。
【0143】
パターン74x,74y,74zの中で、パターン74xは最も高く突出する。パターン74x,74y,74zの中で、パターン74yは中程度の高さで突出する。パターン74x,74y,74zの中で、パターン74zは最も低く突出する。これにより、パターン74x,74y,74zは、パターン74zからパターン74xへと向かって昇段していく階段状の形状を有する。
【0144】
図8(c)に示すように、階段状テンプレート70のパターン74x,74y,74zを、基板11上のレジスト膜63に押し当て、階段状テンプレート70の上方から紫外光を照射し、レジスト膜63にパターン74x,74y,74zを転写する。
【0145】
図9(a)に示すように、レジスト膜63にパターン74x,74y,74zを転写することで、レジストパターン63pが形成される。ダミー部14x,14y,14zの上方のレジストパターン63pの膜厚は、例えばライン部12及び柱状部13の上方のレジストパターン63pより薄くなっている。
【0146】
より詳細には、ダミー部14x,14y,14zの上方のレジストパターン63pにおいて、パターン74xが転写されたダミー部14x上方のレジストパターン63pは最も薄い膜厚を有する。ダミー部14x,14y,14zの上方のレジストパターン63pにおいて、パターン74yが転写されたダミー部14y上方のレジストパターン63pは中程度の膜厚を有する。ダミー部14x,14y,14zの上方のレジストパターン63pにおいて、パターン74zが転写されたダミー部14z上方のレジストパターン63pは最も厚い膜厚を有する。
【0147】
図9(b)~図9(d)に示すように、レジストパターン63pをエッチバックして、レジストパターン63pの表面にダミー部14x,14y,14zを露出させる。また、露出させたダミー部14x,14y,14zを更にエッチバックして、ライン部12上の柱状部13の高さ未満の高さのダミー部14x,14y,14zを形成する。
【0148】
より具体的には、ダミー部14x,14y,14zをエッチバックするときは、レジストパターン63pをエッチバックして複数のダミー部14x,14y,14zを順次露出させ、複数のダミー部14x,14y,14zを順次エッチバックして、ライン部12の高さ以上、柱状部13の高さ未満の異なる高さを有する複数のダミー部14x,14y,14zを形成する。図9(b)~図9(d)の処理について以下に詳細を説明する。
【0149】
図9(b)に示すように、階段状のレジストパターン63pをエッチバックしていく。これにより、ダミー部14x,14y,14zの中で、まず、ダミー部14xの上端部がレジストパターン63pの上面に露出する。
【0150】
図9(c)に示すように、レジストパターン63pのエッチバックを更に継続する。このとき、レジストパターン63pのみならず、石英等から構成されるダミー部14x,14y,14zもエッチング可能なエッチバック条件を用いることで、レジストパターン63pの上面に露出したダミー部14xの上端部もエッチングされていく。
【0151】
また、レジストパターン63pのエッチバックを継続することで、ダミー部14yの上端部もレジストパターン63pの上面に露出する。
【0152】
図9(d)に示すように、レジストパターン63pのエッチバックを更に継続する。これにより、レジストパターン63pの上面に露出したダミー部14x,14yの上端部が更にエッチングされていく。
【0153】
また、レジストパターン63pのエッチバックを継続することで、ダミー部14zの上端部もレジストパターン63pの上面に露出する。また、ダミー部14zの上端部が露出した後、レジストパターン63pのエッチバックを更に継続して、ダミー部14zの上端部の高さが、ライン部12を含めた柱状部13の高さよりも若干(長さα)低くなるようにダミー部14zをエッチバックする。このとき、ダミー部14x,14yの上端部も若干エッチバックされてもよい。
【0154】
以上により、ライン部12と略等しい高さのダミー部14x、ライン部12を含めない柱状部13と略等しい高さのダミー部14y、及びライン部12を含めた柱状部13より若干低い高さのダミー部14zが、基板11の接触面10cに形成される。
【0155】
その後、酸素プラズマ等を用いたアッシング処理によって、残ったレジストパターン63pを除去する。
【0156】
以上により、実施形態のテンプレート10が製造される。
【0157】
(階段状テンプレートの製造方法)
次に、図10を用いて、階段状テンプレート70の製造方法について説明する。図10は、実施形態にかかるテンプレート10の製造に用いられる階段状テンプレート70の製造方法の一例を示す断面図である。
【0158】
図10(a)に示すように、階段状テンプレート70の本体となる基板71を準備する。また、基板71上にクロム膜等のマスク膜を形成し、マスク膜上にレジスト膜を形成する。
【0159】
電子線描画等によってレジスト膜を加工してレジストパターン64pを形成する。レジストパターン64pは、基板71のパターン74x,74y,74zが配置されることとなる領域の全体を覆う。
【0160】
レジストパターン64pをマスクとしてマスク膜をエッチング加工して、マスクパターン54pを形成する。
【0161】
図10(b)に示すように、マスクパターン54pをマスクとして基板71をエッチング加工して、基板71から突出するパターン74x,74y,74zを形成する。このとき、パターン74x,74y,74zの基板71からの突出高さは全て等しい。なお、この過程で、レジストパターン64pは消失する。
【0162】
図10(c)に示すように、電子線描画等によって、マスクパターン54p上にレジストパターン65pを形成する。レジストパターン65pは、基板71から突出するパターン74x,74y,74zのうち、パターン74x,74yに相当する領域を覆う。
【0163】
レジストパターン65pをマスクとしてマスクパターン54pをエッチング加工し、レジストパターン65pと同様に、パターン74x,74yに相当する領域を覆うマスクパターン54pを形成する。
【0164】
図10(d)に示すように、マスクパターン54pをマスクとしてパターン74zをエッチング加工して、パターン74x,74yよりも突出高さの低いパターン74zを形成する。この過程で、レジストパターン65pは消失する。
【0165】
図10(e)に示すように、電子線描画等によって、マスクパターン54p上にレジストパターン66pを形成する。レジストパターン66pは、基板71から突出するパターン74x,74y,74zのうち、パターン74xに相当する領域を覆う。
【0166】
レジストパターン66pをマスクとしてマスクパターン54pをエッチング加工し、レジストパターン66pと同様に、パターン74xに相当する領域を覆うマスクパターン54pを形成する。
【0167】
図10(f)に示すように、マスクパターン54pをマスクとしてパターン74y,74zをエッチング加工して、パターン74xよりも突出高さの低いパターン74yと、パターン74yよりも突出高さの低いパターン74zとを形成する。この過程で、レジストパターン66pは消失する。
【0168】
その後、残ったマスクパターン54pを除去する。
【0169】
以上により、階段状テンプレート70が製造される。
【0170】
(半導体装置の構成例)
次に、図11を用いて、実施形態の半導体装置20の構成例について説明する。実施形態の半導体装置20には、上述の実施形態のテンプレート10を用いてデュアルダマシン構造45が形成されている。
【0171】
図11は、実施形態にかかる半導体装置20の構成の一例を示す図である。図11(a)は、被加工膜21に凹状パターン25及びダミーパターン24dが形成された半導体装置20の断面図である。図11(b)は、デュアルダマシン構造45及びダミー44dが形成された半導体装置20の断面図である。図11(c)は、デュアルダマシン構造45及びダミー44dが形成された半導体装置20の平面図である。
【0172】
図11に示すように、実施形態の半導体装置20は、ウェハW及び被加工膜21を備える。ウェハWには、デュアルダマシン構造45の下方に配置される下層配線LWが、上面をウェハWの表面に露出させた状態で埋め込まれている。被加工膜21は、SiO膜等の絶縁膜であり、例えばウェハW上に配置されている。
【0173】
ただし、被加工膜21とウェハWとの間に、他の膜、トランジスタ等の半導体装置20の一部を構成する構造物が介在されていてもよい。この場合、下層配線LWは、デュアルダマシン構造45が形成される被加工膜21の直下の膜等に配置される。
【0174】
なお、本明細書では、ウェハW、他の膜、または上記構造物等の下層配線LWを有する構成を下層構造と呼ぶことがある。
【0175】
図11(a)に示すように、テンプレート10の凸状パターン15及びダミー部14dが転写されることで、半導体装置20の被加工膜21には凹状パターン25及びダミーパターン24dが形成される。
【0176】
凹状パターン25は、被加工膜21の表面から深さ方向に窪んだ配線パターン22、及び配線パターン22の底面から更に下方に延びるビアパターン23を含む。ダミーパターン24dは、例えば被加工膜21の表面から深さ方向に窪んだダミーパターン24x,24y,24zを含む。
【0177】
ダミーパターン24xは、テンプレート10のダミー部14xが転写されたパターンであり、例えば被加工膜21の配線パターン22と略等しい深さを有する。ダミーパターン24yは、テンプレート10のダミー部14yが転写されたパターンであり、例えば被加工膜21のビアパターン23単体と略等しい深さを有する。つまり、ダミーパターン24yは、ダミーパターン24xよりも深い位置まで到達している。ダミーパターン24zは、テンプレート10のダミー部14zが転写されたパターンであり、例えば被加工膜21の配線パターン22を含めたビアパターン23の到達深さよりも若干(長さβ)浅い位置に到達している。つまり、ダミーパターン24zは、ダミーパターン24yよりも更に深い位置まで到達している。
【0178】
図11(b)に示すように、半導体装置20の凹状パターン25及びダミーパターン24dに導電材が充填されて、デュアルダマシン構造45及びダミー44dが形成される。
【0179】
すなわち、実施形態の半導体装置20は、下層配線LWを有するウェハWと、ウェハWの上に配置される被加工膜21とを備える。
【0180】
被加工膜21には、配線42及びビア43が配置されている。配線42は、被加工膜21の上面に沿う所定の方向に延びるとともに、被加工膜21の一方の主面である上面から、被加工膜21の深さ方向に延びる。ビア43は、配線42の底面から更に被加工膜21の深さ方向に延びる。ビア43の底部は下層配線LWと接続されている。
【0181】
また、被加工膜21には、被加工膜21の上面から被加工膜21の深さ方向に延びるダミー44dが配置されている。導電部材としてのダミー44dは、被加工膜21における到達深さがそれぞれ異なるダミー44x,44y,44zを含む。
【0182】
ダミー44xは、配線42と略同じ深さ位置に底面を有する。ダミー44yは、配線42よりも深く、配線42の底面から更に下方へ延びるビア43よりも浅い深さ位置に底面を有する。つまり、ダミー44yの到達深さは、ダミー44xの到達深さよりも深く、ダミー44zの到達深さよりも浅い。ダミー44zは、配線42の底面から更に下方へ延びるビア43よりも若干浅い位置に底面を有する。ダミー44zの到達深さが、配線42の底面から下方へ延びるビア43よりも若干浅いため、ダミー44zが下層配線LWと接触してしまうことが抑制される。
【0183】
(比較例)
インプリント処理を行う際、レジスト材等の有機系材料は、例えばインクジェット法によってウェハ上に配置される。インクジェット法では、レジスト材等の液滴が滴下される。インプリント処理において、テンプレートが液滴状のレジスト材に押し当てられることによって、レジスト材がテンプレートの下面全体に膜状に広がって、被加工膜の被加工領域全体を覆うレジストパターンを形成することができる。インクジェット法によれば、密領域に滴下する液滴の密度を高め、疎領域に滴下する液滴の密度を下げるなどして、疎密差に対応することも容易である。
【0184】
上記のインクジェット法に替え、レジスト材をウェハ上に配置する方法として、スピン塗布(スピンコーティング)法が検討されている。スピン塗布法では、スピン塗布装置等を用い、スピン塗布装置が備える回転支持台上に保持したウェハを高速回転させ、ウェハにレジスト材を滴下する。レジスト材は遠心力によってウェハの全体に塗布され、ウェハ全面を覆うレジスト膜等のレジスト材の膜が形成される。
【0185】
インプリント処理により、例えば3次元構造を有するデュアルダマシン構造を形成する場合、配線パターン及びビアパターン等が転写されたレジスト膜の3次元の領域に占める体積割合は50%以上となることが多い。配線パターンの体積に比べてビアパターンの体積は相対的に小さく、また、配線パターンには、ラインとスペースとの幅が1:1となるように配置されたラインアンドスペースパターン、及び周囲に他の配線パターンが存在しない孤立パターン等が含まれるからである。
【0186】
上記のような場合には、レジスト膜の形成方法として上述のスピン塗布法を用いることが望ましい。スピン塗布法によりレジスト材を塗布することで、テンプレートを押し当てた後にレジスト材が広がるのを待つ時間が削減されるので、全体におけるレジスト膜の体積割合が高い場合であっても、インプリント処理のスループットを向上させることができる。
【0187】
一方で、デュアルダマシン構造を形成する際、ダミーパターンが配置される場合がある。その様子を図12及び図13に示す。
【0188】
図12は、比較例1,2にかかるデュアルダマシン構造45’’,45’の形成方法を示す模式図である。
【0189】
図12(a)に示すように、比較例1の被加工膜21’’は、配線パターン22及びビアパターン23のみを有し、ダミーパターンを有さない。図12(b)に示すように、被加工膜21’’を覆うように導電膜41’’が形成される。図12(c)に示すように、被加工膜21’’上の導電膜41’’をCMP研磨して、配線42’’及びビア43’’を含むデュアルダマシン構造45’’が形成される。
【0190】
しかしながら、比較例1のデュアルダマシン構造45’’にはダミーが配置されず、上述のように、被加工膜21’’には、ラインアンドスペースパターンのように配線パターン22が密に配置された密領域と、孤立パターンのように配線パターン22が疎らにしか配置されない疎領域とが存在する。したがって、導電膜41’’と被加工膜21’’との研磨レートの違いから、疎領域内および疎領域に隣接する領域では、上面が窪んだディッシング形状Dshの配線42’’が形成されてしまう場合がある。
【0191】
図12(d)に示すように、比較例2のデュアルダマシン構造45’は配線42’及びビア43’を備え、デュアルダマシン構造45’の疎領域にはダミー42d’,44d’が形成されている。ダミー42d’,44d’は、密領域と疎領域とにおける単位面積あたりの配線42‘の表面積が占める割合を揃えるように、表面積が調整されている。これにより、疎領域内および疎領域に隣接する領域において、配線42’がディッシング形状Dshとなってしまうのが抑制される。
【0192】
しかしながら、比較例2の手法にも課題が存在する。図13に比較例2の課題を示す。図13は、比較例2にかかるインプリント処理の課題を示す断面図である。
【0193】
図13(a)に示すように、比較例2のテンプレート10’は、ウェハW’上に被加工膜21’、レジスト膜30’がこの順に形成されたレジスト膜30’に対してパターン転写を行う。
【0194】
テンプレート10’は、面内にライン部12が密に配置された領域と、面内にライン部12が疎らに配置された領域とを有する。テンプレート10’の面内における疎密差を低減するため、テンプレート10’の疎領域にはダミー部14d’が配置されている。
【0195】
ダミー部14d’の面積は、疎密領域の両方においてライン部12が占めている面積に応じて調整されている。これにより、テンプレート10’の密領域の面内でライン部12が占める面積と、テンプレート10’の疎領域の面内でライン部12及びダミー部14d’が占める面積との差は所定値内となっている。
【0196】
一方、ダミー部14d’の高さは、テンプレート10’の面内における疎密差に影響を与えないので考慮されていない。ダミー部14d’は、テンプレート10’の製造を容易にするため、例えばライン部12と略等しい高さに形成されている。
【0197】
レジスト膜30’において、テンプレート10’のライン部12が密に配置された面に対向する面を密領域ARd’と呼ぶ。レジスト膜30’において、テンプレート10’のライン部12が疎らに配置された面に対向する面を疎領域ARs’と呼ぶ。レジスト膜30’の疎領域ARs’に対向するテンプレート10’の面には、更にダミー部14d’が配置されている。
【0198】
これにより、テンプレート10’によるパターン転写後、密領域ARd’においてレジスト膜30’が占める面積と、疎領域ARs’においてレジスト膜30’が占める面積との差を例えば所定値内とすることができる。よって、後に形成される配線41’がディッシング形状となってしまうことが抑制される。
【0199】
ここで、密領域ARd’及び疎領域ARs’の深さ方向のレジスト膜30’を含むレジスト膜30’の体積について考える。
【0200】
図13(b)に示すように、密領域ARd’の深さ方向のレジスト膜30’を含む3次元の領域を低体積部VLd’と呼ぶ。低体積部VLd’には、配線パターン32’及びビアパターン33’が転写される。また、疎領域ARs’の深さ方向のレジスト膜30’を含む3次元の領域を高体積部VLs’と呼ぶ。高体積部VLs’には、配線パターン32’及びビアパターン33’に加えてダミーパターン34d’が転写される。
【0201】
上述のように、比較例2のテンプレート10’においては、低体積部VLd’及び高体積部VLs’においてレジスト膜30’が有する体積の差を考慮することなく、ダミー部14d’が設計されている。このため、ダミー部14d’によって、高体積部VLs’にダミーパターン34d’が転写されたとしても、低体積部VLd’及び高体積部VLs’におけるレジスト膜30’の体積差を充分に低減することができない。
【0202】
このように、比較例2においては、低体積部VLd’及び高体積部VLs’におけるレジスト膜30’の体積差が大きいままであるので、低体積部VLd’ 及び高体積部VLs’におけるビアパターン33’下端部のレジスト残膜RLTd’,RLTs’の膜厚差が生じてしまう。つまり、低体積部VLd’ のレジスト残膜RLTd’は、転写パターンの形成に用いられなかった余剰のレジスト材によって厚くなる。また、高体積部VLs’ のレジスト残膜RLTs’は、転写パターンの形成に必要とされるレジスト材の量が多く、余剰のレジスト材があまり生じないため薄くなる。
【0203】
被加工膜21’をエッチング加工して、レジスト膜30’のパターン転写を行う際、ビアパターン33’下端部のレジスト残膜RLTd’,RLTs’は、レジスト膜30’のエッチバック処理等によって事前に除去される。しかしながら、レジスト残膜RLTd’,RLTs’の膜厚差が大きいと、例えば低体積部VLd’ のレジスト残膜RLTd’が除去しきれず、被加工膜21’のエッチング加工が阻害されてしまう場合がある。
【0204】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差が所定値を超えていた場合、単位面積あたりの体積が大きい高体積部VLsにダミーパターン34dを追加する。このように、レジスト膜30の体積差を考慮してダミーパターン34dを追加するので、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト残膜RLTd,RLTsのばらつきを低減し、被加工膜21のエッチング加工が阻害されてしまうのを抑制することができる。
【0205】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、ダミーパターン34dを追加するときは、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差に応じて、配線パターン32の深さ以上の深さにダミーパターン34の深さを調整する。このように、ダミーパターン34dの設計時に深さを考慮に入れることで、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差低減が容易となる。
【0206】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、ダミーパターン34dを追加するときは、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差に応じて、配線パターン32の深さを含めたビアパターン33の深さ未満の深さにダミーパターン34の深さを調整する。
【0207】
このように、ダミーパターン34dの設計時に深さを考慮に入れることで、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差低減が容易となる。
【0208】
また、上記のように、ダミーパターン34dがレジスト膜30底部に到達しない高さにダミーパターン34dを設計することで、ダミーパターン34dに対応するダミー44dに充填された導電材が下層構造と接触してしまうのを抑制することができる。
【0209】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、ダミーパターン34dを追加するときは、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差に応じて、レジスト膜30の転写面30tにおけるダミーパターン34dの面積を調整する。これによっても、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差が低減される。
【0210】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、ダミーパターン34dを追加するときは、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差に応じて、ダミーパターン34dの個数を調整する。これによっても、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差が低減される。
【0211】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差が所定値を超えていた場合、単位面積あたりの体積が小さい低体積部VLdの配線パターン32及びビアパターン33の合計の体積を小さくする。これによっても、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差が低減される。
【0212】
実施形態の設計パターン生成方法によれば、低体積部VLdの配線パターン32及びビアパターン33の合計の体積を小さくするときは、単位面積あたりのレジスト膜30の体積の差に応じて、配線パターン32の深さを調整する。
【0213】
このように、例えばビアパターン33の体積調整に優先させて、配線パターン32の体積を調整することで、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差を実効的に低減することができる。
【0214】
また、上記のように、配線パターン32の深さを調整することにより、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差低減が容易となる。
【0215】
実施形態のテンプレート10によれば、異なる高さを有する複数のダミー部14x,14y,14zを備える。これにより、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差低減が容易となる。
【0216】
実施形態のテンプレート10によれば、テンプレート10の接触面10cにおける面積が異なる複数のダミー部を備える。これによっても、低体積部VLdと高体積部VLsとにおけるレジスト膜30の体積差低減が可能となる。
【0217】
実施形態のテンプレート10の製造方法によれば、複数のダミー部14x,14y,14zの上方の膜厚がそれぞれ異なるレジストパターン63pをインプリント処理によって形成し、レジストパターン63pをエッチバックして複数のダミー部14x,14y,14zを順次露出させ、複数のダミー部14x,14y,14zを順次エッチバックする。これにより、高さの異なる複数のダミー部14x,14y,14zを形成することができる。
【0218】
(変形例)
次に、図14図16を用いて、実施形態の変形例のテンプレートについて説明する。変形例のテンプレートは、製造方法が上述の実施形態のテンプレート10とは異なる。
【0219】
図14図16は、実施形態の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す断面図である。
【0220】
図14(a)に示すように、変形例のテンプレートの本体となる基板11の上面に、クロム膜等のマスク膜57を形成する。マスク膜57上には、例えば電子線描画等によりレジストパターン67pを形成する。レジストパターン67pは、基板11のライン部12及びダミー部14x,14zが配置されることとなる領域を覆う。
【0221】
図14(b)に示すように、レジストパターン67pをマスクとしてマスク膜57をエッチング加工し、マスクパターン57pを形成する。
【0222】
図14(c)に示すように、マスクパターン57pをマスクとして基板11をエッチング加工し、ライン部12及びダミー部14x,14zを形成する。この時点では、ライン部12及びダミー部14x,14zは互いに略等しい高さを有する。ライン部12及びダミー部14x,14zの基板11からの突出高さは、例えば変形例のテンプレートが最終的に備えることとなるライン部12の高さと略等しい。
【0223】
なお、上記の過程において、レジストパターン67pは消失する。
【0224】
図14(d)に示すように、マスクパターン57pを除去した後に、基板11の全面を覆うクロム膜等のマスク膜58を形成する。マスク膜58上には、例えば電子線描画等によりレジストパターン68pを形成する。レジストパターン68pは、基板11の柱状部13及びダミー部14y,14zが配置されることとなる領域を覆う。
【0225】
図14(e)に示すように、レジストパターン68pをマスクとしてマスク膜58をエッチング加工し、マスクパターン58pを形成する。
【0226】
図15(a)に示すように、変形例のテンプレートの本体となる基板11を加工してレジスト膜30と接触することとなる接触面10cを露出させる。また、基板11の接触面10cから突出するライン部12と、ライン部12の上面に配置される柱状部13と、ライン部12上の柱状部13の高さと実質的に等しい高さのダミー部14zとを形成する。
【0227】
すなわち、マスクパターン58pをマスクとして基板11をエッチング加工し、基板11の接触面10cを露出させる。
【0228】
これにより、ライン部12及びダミー部14xが、例えば変形例のテンプレートが最終的に備えることとなる柱状部13と同じ高さ分だけ掘り下げられて、基板11の接触面10cから突出した状態となる。また、ライン部12の上面に、最終的な柱状部13の高さを有する柱状部13が形成される。
【0229】
また、ダミー部14yが、ライン部12を含めない柱状部13の高さと略等しい高さに、基板11の接触面10cから突出して形成される。また、ダミー部14zは、柱状部13の基板11からの突出高さと略等しい高さに、基板11の接触面10cから突出した状態となる。
【0230】
なお、ライン部12、柱状部13、及びダミー部14x,14y,14zを形成するときは、基板11の接触面10cにおける面積が異なる複数のダミー部14x,14y,14zを形成してもよい。
【0231】
上記の過程において、レジストパターン68pは消失する。
【0232】
図15(b)~図16(a)に示すように、ライン部12、柱状部13、及びダミー部14x,14y,14zを覆い、ダミー部14x,14y,14zの上方の膜厚が、ライン部12及び柱状部13の上方の膜厚よりも薄いレジストパターン63pをインプリント処理によって形成する。図15(b)~図16(a)の処理について以下に詳細を説明する。
【0233】
図15(b)に示すように、マスクパターン58pを除去した後に、例えばスピン塗布等によって、基板11の全面を覆うレジスト膜69を形成する。これにより、基板11上のライン部12、柱状部13、及びダミー部14x,14y,14zの全体が、略平坦な上面を有するレジスト膜69によって覆われる。
【0234】
また、パターン84を有するテンプレート80が、パターン84が基板11に対向するように、基板11の上方に配置される。より具体的には、テンプレート80を基板11上に配置する際、パターン84は、ダミー部14zの上方位置に配置させる。
【0235】
ここで、テンプレート80の基板81は、石英等の紫外光に対して透明な材料から構成される。テンプレート80のパターン84は、テンプレート80の本体を構成する基板81から突出している。
【0236】
図15(c)に示すように、テンプレート80のパターン84を、基板11上のレジスト膜69に押し当て、テンプレート80の上方から紫外光を照射し、レジスト膜69にパターン84を転写する。
【0237】
図16(a)に示すように、レジスト膜69にパターン84を転写することで、レジストパターン69pが形成される。ダミー部14zの上方のレジストパターン69pの膜厚は、例えばライン部12、柱状部13、及び他のダミー部14x,14yの上方のレジストパターン69pより薄くなっている。
【0238】
図16(b)及び図16(c)に示すように、レジストパターン69pをエッチバックして、レジストパターン69pの表面にダミー部14zを露出させる。また、露出させたダミー部14zを更にエッチバックして、ライン部12上の柱状部13の高さ未満の高さのダミー部14zを形成する。図16(b)及び図16(c)の処理について以下に詳細を説明する。
【0239】
図16(b)に示すように、レジストパターン69pをエッチバックしていく。これにより、ダミー部14zの上端部がレジストパターン69pの上面に露出する。
【0240】
図16(c)に示すように、レジストパターン69pのエッチバックを更に継続する。このとき、レジストパターン69pのみならず、石英等から構成されるダミー部14zもエッチング可能なエッチバック条件を用いることで、レジストパターン69pの上面に露出したダミー部14zの上端部もエッチングされる。
【0241】
以上により、ライン部12と略等しい高さのダミー部14x、ライン部12を含めない柱状部13と略等しい高さのダミー部14y、及びライン部12を含めた柱状部13より若干低い高さのダミー部14zが、基板11の接触面10cに形成される。
【0242】
その後、酸素プラズマ等を用いたアッシング処理によって、残ったレジストパターン69pを除去する。
【0243】
以上により、変形例のテンプレートが製造される。
【0244】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0245】
10,10a…テンプレート、11…基板、12,12a…ライン部、13…柱状部、14d,14x,14y,14z…ダミー部、15…凸状パターン、20…半導体装置、30…レジスト膜、32,32a…配線パターン、33…ビアパターン、34d…ダミーパターン、35…凹状パターン、42…配線、43…ビア、44d…ダミー、45…デュアルダマシン構造、100…設計パターン生成装置、ARd…密領域、ARs…疎領域、RLTd,RLTs…レジスト残膜、VLd…低体積部、VLs…高体積部、W…ウェハ。
図1
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