IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-靴箱 図1
  • 特開-靴箱 図2
  • 特開-靴箱 図3
  • 特開-靴箱 図4
  • 特開-靴箱 図5
  • 特開-靴箱 図6
  • 特開-靴箱 図7
  • 特開-靴箱 図8
  • 特開-靴箱 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147146
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】靴箱
(51)【国際特許分類】
   A47B 61/04 20060101AFI20220929BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A47B61/04 501Z
A47B61/04 501D
E06B7/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048279
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】前 健哉
(57)【要約】
【課題】屋内の床と屋外の床との高低差が小さい場合でも、屋外に設置出来て、屋外に置かれる履物を覆うことができる靴箱を提供する。
【解決手段】建物11の屋外の床部14に設置され、履物が載置される架台3と、架台3を収納可能な収納部4と、を有し、架台3は、収納部4に収納されると収納部4に上方から覆われ、収納部4から引き出されると上方に露出し、収納部4は、屋外の床部14における建物11の出入口13と屋内外方向に連続する出入口屋外床部15の側方に設置され、架台3は、収納部4から側方に引き出されて出入口屋外床部15の上方に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋外の床部に設置され、
履物が載置される架台と、
前記架台を収納可能な収納部と、を有し、
前記架台は、前記収納部に収納されると前記収納部に上方から覆われ、前記収納部から引き出されると上方に露出し、
前記収納部は、前記屋外の床部における前記建物の出入口と屋内外方向に連続する出入口屋外床部の側方に設置され、
前記架台は、前記収納部から側方に引き出されて前記出入口屋外床部の上方に配置される靴箱。
【請求項2】
前記出入口には、スライドして前記出入口を開閉可能な網戸が設けられ、
前記架台は、前記網戸のスライドと連動する請求項1に記載の靴箱。
【請求項3】
前記架台は、前記網戸に固定されている請求項2に記載の靴箱。
【請求項4】
前記網戸に取り付けられ、屋外側に突出する突出部材を有し、
前記突出部材は、前記網戸が前記出入口を閉鎖する方向にスライドすると、前記架台を前記収納部に収納される方向に押す請求項2に記載の靴箱。
【請求項5】
前記突出部材は、前記網戸から突出した突出状態と、前記網戸の面に沿って畳まれた畳まれ状態とに切り替え可能である請求項4に記載の靴箱。
【請求項6】
前記突出部材は、前記突出状態から下方に向かって回転すると前記畳まれ状態となり、
前記突出部材を前記突出状態となるように下方から押す付勢部材をさらに有する請求項5に記載の靴箱。
【請求項7】
前記収納部は、前記架台が載って移動する載置板部を有し、
前記載置板部の上面は、前記架台が収納される側から引き出される側に向かって漸次低くなる傾斜面が形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の靴箱。
【請求項8】
前記収納部から引き出された前記架台の移動を規制するストッパを有する請求項1から7のいずれか一項に記載の靴箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、靴箱に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内側に土間の無い勝手口や掃き出し窓などの建物の出入口は、屋外で履物を脱いでから屋内に入るように想定されている。このため、人が屋内に入るとその人が履いていた履物は、屋外に置かれた状態となる。屋外に置かれた履物は、雨や埃、日射などにより汚れたり、劣化したりする虞がある。特許文献1には、出入口の障子に固定されて、屋外に床に置かれた履物を上方から覆う防雨カバーが開示されている。この防雨カバーは、障子が開口部を開放する方向に移動すると障子とともに移動する。これにより、履物が露出するため、履物を履くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3085095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の防雨カバーは、屋外の床に置かれた履物の上に設置されるため、屋内の床から一定の高さをあけた位置に配置される。屋内の床と屋外の床との高低差が小さく、屋内の床と障子の下框との高低差が小さい場合、下框よりも上方に防雨カバーを取り付けることになる。このような場合に、障子が框にガラスが嵌め込まれたガラス障子であると、防雨カバーがガラスと干渉してしまい、取付が困難となることが考えられる。
【0005】
本開示は、屋内の床と屋外の床との高低差が小さい場合でも、屋外に設置出来て、屋外に置かれる履物を覆うことができる靴箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る靴箱は、建物の屋外の床部に設置され、履物が載置される架台と、前記架台を収納可能な収納部と、を有し、前記架台は、前記収納部に収納されると前記収納部に上方から覆われ、前記収納部から引き出されると上方に露出し、前記収納部は、前記屋外の床部における前記建物の出入口と屋内外方向に連続する出入口屋外床部の側方に設置され、前記架台は、前記収納部から側方に引き出されて前記出入口屋外床部の上方に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の収納状態の靴箱および出入口を屋外側から見た立面図である。
図2】収納状態の靴箱および出入口を屋外側から見た斜視図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4】引出し状態の靴箱および出入口を屋外側から見た斜視図である。
図5図4のB-B線断面図である。
図6】突出状態の突出部材を上方から見た図である。
図7】突出状態から畳まれ状態に向かう突出部材の斜視図である。
図8】本実施形態の第1変形例を示す図である。
図9】本実施形態の第2変形例示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図2に示すように、本実施形態による靴箱1は、建物11の外部(屋外)に設けられている。建物11は、外壁12に出入口13として設けられた開口部に引き違いの掃き出し窓の建具2が設けられる。建具2は、外壁12に固定される枠部21と、枠部21にスライド可能に設けられる障子22と、枠部21にスライド可能に設けられる網戸23と、を有している。屋外の床部14のうち、出入口13の屋外側となる部分を出入口屋外床部15とする。出入口屋外床部15は、出入口13から出入りする人が通常通行する領域である。以下では、外壁12に沿った水平方向を幅方向(図の矢印Xの方向)とし、外壁12に直交する方向を屋内外方向(図の矢印Yの方向)とする。幅方向および屋内外方向に直交する鉛直方向を高さ方向、上下方向(図の矢印Zの方向)とする。
【0009】
靴箱1は、架台3と、収納部4と、を有している。靴箱1は、引出し式の収納である。架台3は、移動可能に構成され、図1図2および図3に示すような収納部4の収納空部41に収納された状態(収納状態)と、図4図5に示すような収納空部41の外部に引き出された状態(引き出し状態)と、になる。架台3は、収納状態となると収納部4によって上方が覆われ、引き出し状態となると上方に露出する。架台3の上には、履物を載置可能である。靴箱1は、架台3が収納部4に引き出し、収納される方向が、上記の幅方向となる向きに配置される。架台3は、幅方向の一方側に移動すると収納状態となり、幅方向の他方側に移動すると引き出し状態となる。以下の靴箱1の説明では、靴箱1は、上記の向きで設置されている。以下の靴箱1の説明では、幅方向の一方側を後側、幅方向の他方側を前側、幅方向を引き出し方向、前後方向と表記することがある。
【0010】
図3図4および図5に示すように、架台3は、載置板部31と、前板部32と、車輪33と、を有している。載置板部31は、板面が矩形の平板状の板材で、板面が水平面となる向きに配置される。載置板部31の上面には、履物が載置される。載置板部31は、その上で履物を履いたり脱いだりできるように設計されている。載置板部31の上面には、履物を履いたり脱いだりする際に滑ることを防止するすべり止め部材が設けられていてもよい。載置板部31は、小さな孔が多く形成された多孔板や、メッシュ状の板で製作され、履物についた砂や水などを孔やメッシュの網目から下方に払い落とせるようにしてもよい。
【0011】
前板部32は、板面が矩形の平板状の板材で、板面が前後方向(幅方向)を向く向きに配置される。前板部32は、載置板部31の前に固定されている。前板部32の下端部近傍が、載置板部31の前端部と接続されている。前板部32の下端部は、載置板部31よりも下方に突出している。載置板部31および前板部32は、屋内外方向の寸法が同じ値である。本実施形態の架台3は、載置板部31の後端部から下側に突出する後突出片34が設けられている。
【0012】
車輪33は、載置板部31の下方に取り付けられている。本実施形態では、車輪33は、載置板部31に対して、前後方向に間隔をあけて2つずつ、屋内外方向(前後方向に直交する方向)に間隔をあけて2つずつの計4つ配列されている。4つの車輪33のうち、載置板部31の後側に設けられる車輪33を後側車輪331とし、前側に設けられる車輪33を前側車輪332とする。
【0013】
収納部4は、前方に開口する箱状に形成されている。収納部4は、下板部42と、後板部43と、第1側板部44と、第2側板部45と、上板部46と、を有している。下板部42は、板面が矩形の板材で、板面が上下方向を向く姿勢で屋外の床部14に設置される。下板部42の上面42aは、後側から前側に向かって漸次低くなる傾斜面47が形成されている。下板部42は、第1側板部44、第2側板部45および上板部46の前端部よりも前後方向の寸法が大きく、前側に突出している。下板部42における第1側板部44、第2側板部45および上板部46の前端部よりも前側に突出している部分を前側部分421としその後側を後側部分422とする。下板部42の傾斜面47は、下板部42の後側部分422の上面に形成されている。下板部42の前側部分421の上面は水平面に設計されている。下板部42は、小さな孔が多く形成された多孔板や、メッシュ状の板で、砂や水などを下方に払い落とせるようにしてもよい。
【0014】
後板部43は、板面が矩形の平板状の板材で、板面が前後方向を向く姿勢で配置される。後板部43は、下端部が下板部42の後端部と接続されている。後板部43は、下板部42の後端部から上方に突出している。
【0015】
第1側板部44は、板面が矩形の平板状の板材で、板面が屋内外方向を向く姿勢で配置される。第1側板部44は、下端部が下板部42の屋内外方向の一方側(屋外側、建物11と離れる側)の端部と接続されている。第1側板部44は、下板部42の屋内外方向の一方側の端部から上方に突出している。第1側板部44の後端部は、後板部43の屋外側の端部と接続されている。第1側板部44の前端部は、下板部42の前端部よりも後側に位置している。
【0016】
第2側板部45は、板面が矩形の平板状の板材で、板面が屋内外方向を向く姿勢で配置される。第2側板部45は、下端部が下板部42の屋内外方向の他方側(屋内側、建物11側)の端部と接続されている。第2側板部45は、下板部42の屋内外方向の他方側の端部から上方に突出している。第2側板部45の後端部は、後板部43の屋内側の端部と接続されている。第2側板部45の前端部は、下板部42の前端部よりも後側に位置している。後板部43の上端部、第1側板部44の上端部および第2側板部45の上端部は、それぞれ同じ高さに配置されている。
【0017】
上板部46は、板面が矩形の板材で、板面が水平面となる姿勢で後板部43、第1側板部44および第2側板部45の上端部に接続されている。上板部46の後端部は、後板部43の上端部と接続されている。上板部46の前端部は、下板部42の前端部よりも後側に位置している。上述しているように、下板部42は、第1側板部44、第2側板部45および上板部46の前端部よりも前側に突出している。収納部4には、下板部42の後側部分422、第1側板部44、第2側板部45および上板部46に囲まれた収納空部41が形成されている。収納空部41は前方に開口している。収納部4における下板部42の後側部分422、第1側板部44、第2側板部45および上板部46を箱部411とする。
【0018】
靴箱1は、架台3が収納空部41に前側から挿入されると収納状態となり、架台3が収納部4の収納空部41から前側に引き出されると引き出し状態となる。収納状態の架台3は、載置板部31が、収納部4の収納空部41に入り、前板部32が第1側板部44、第2側板部45および上板部46の前側に配置されている。前板部32の後面は、第1側板部44、第2側板部45および上板部46の前端部と接触している。収納状態の架台3は、下板部42の後側部分422の上に配置される。
【0019】
図4および図5に示すように、引き出し状態の架台3は、載置板部31の後端部分が収納部4の収納空部41に入り、それよりも前側の部分が前板部32も含め第1側板部44、第2側板部45および上板部46の前側に配置されている。前板部32は、下板部42の先端部よりも後側に配置される。引き出し状態の架台3は、下板部42の前側部分421の上に配置される。
【0020】
図1図2および図3に示すように、収納状態の架台3は、収納部4の下板部42の上面42aの傾斜面47に沿って車輪33が走行することで、引き出し状態となる位置まで移動する。図3および図5に示すように、本実施形態では、下板部42には、引き出し状態の架台3が更に前側に移動することを規制するストッパ5が設けられている。ストッパ5は、下板部42の上面42aから上側に突出している。ストッパ5は、引き出された架台3の後突出片34が後側から当たることで、その位置から架台3がさらに前側に移動することを規制する。ストッパ5は、下板部42の前後方向の中間部に位置し、収納状態の架台3の前側車輪332の後側に位置している。ストッパ5は、架台3が収納状態および引き出し状態のいずれの場合も架台3の下に配置されている。
【0021】
架台3が引き出された引き出し状態を維持するために、ストッパ5と後突出片34とが互いに当たった状態を維持できる機構が設けられていてもよい。例えば、ストッパ5および後突出片34にマグネットが設けられ、引き出し状態となるとストッパ5と後突出片34とがくっつき、架台3が一定の力以上で後側に押されないとストッパ5と後突出片34とが離れないようにしてもよい。ストッパ5および後突出片34のいずれか一方に爪部が形成され、他方に爪部が挿入されて引っ掛けられる孔部が形成され、架台3が一定の力以上で後側に押されないとストッパ5と後突出片34とが離れないようにしてもよい。このようにすることにより、架台3の上で履物を脱いだり履いたりする際に、架台3が動くことを防止でき、架台3のうえであっても快適に履物を脱いだり履いたりすることができる。
【0022】
靴箱1は、収納部4の箱部411が出入口屋外床部15の幅方向の一方側にとなるように建物11の屋外の床部14に設置される。収納状態の架台3は、出入口屋外床部15の幅方向の一方側に位置し、引き出し状態の架台3は、出入口屋外床部15の上方に配置される。これにより、架台3は、使用される際には引き出し状態となって出入口13の屋外側に位置し、不使用時には、収納状態となって出入口屋外床部15の幅方向の一方側に収容される。収納部4の箱部411は、出入口13および建具2と干渉しない位置に配置されている。
【0023】
図2および図4に示すように、本実施形態では、網戸23に取り付けられた突出部材6が前板部32を後側に押すことにより、架台3が引き出し状態の位置から収納状態の位置まで移動する。突出部材6は、網戸23の縦框231に固定される固定部61と、固定部61から屋外側に突出する突出部62と、付勢部63と、を有している。
【0024】
図4図6および図7に示すように、固定部61は、網戸23の幅方向の一方側に位置する縦框231の下端部近傍に取り付けられている。固定部61は、断面形状がC字形状の棒状の部材で、長さ方向に延びる溝部64が形成されている。固定部61は、上下方向に延び溝部64が屋外側に開口する向きで網戸23の縦框231に固定される。突出部62は、棒状の部材で、一方の端部62a(基端部62aとする)が固定部61の上端部に回転可能に固定されている。突出部62は、基端部62aを軸として、幅方向に延びる軸線回りに回転可能である。突出部62は、他方の端部62b(先端部62bとする)が基端部62aの下側となるように上下方向に延びる姿勢から、先端部62bが基端部62aの屋外側となるように屋内外方向に延びる姿勢の間を回転する。突出部62は、先端部62bが基端部62aの下側となるように上下方向に延びる姿勢となると、固定部61の溝に嵌った状態(畳まれ状態)となる。突出部62は、先端部62bが基端部62aの屋外側となるように屋内外方向に延びる姿勢となると、網戸23の縦框231から屋外側に突出した状態(突出状態)となる。
【0025】
付勢部63は、ばねなどで構成され、突出部62が突出状態となる向きに押し付けている。付勢部63は、突出部62が畳まれ状態となるように回転する方向に下方から突出部62を押し付けている。突出部62に上方から付勢部63の力よりも大きい外力が作用すると、突出部62は下方に回転して畳まれ状態となる。
【0026】
本実施形態では、網戸23が出入口13の幅方向の一方側に配置されると、突出部62が収納状態の架台3の前板部32の前面(幅方向他方側の面)と接触する。これにより、架台3が収納部4の下板部42の傾斜面47の上にあっても、架台3の前側(引き出される側)の移動が規制されるため、傾斜面47に沿って意図せずに架台3が前側に移動することが防止される。
【0027】
上記の状態から網戸23が幅方向の他方側に移動すると、突出部62も幅方向の他方側に移動するため、前板部32から離れようとする。架台3は、傾斜面47の上に配置されているため、傾斜面47を滑って前側(幅方向の他方側)に移動する。更に網戸23が幅方向の他方側に移動して突出部62も幅方向の他方側に移動すると、架台3は、引き出し状態となる位置まで移動する。引き出し状態となった架台3は、後突出片34がストッパ5と当たることによって停止する。この状態から網戸23が幅方向の一方側に移動すると、突出部62が架台3の前板部32に当たる。架台3は、突出部62に押されて後側(幅方向の一方側)に移動する。網戸23が出入口13の幅方向の一方側に位置すると、突出部62に後側に向かって押された架台3が収納状態となる。収納状態の架台3は、前側に突出部62があることによって前側の移動が停止される。架台3は、網戸23の幅方向のスライドと連動する。
【0028】
上記の実施形態による靴箱1は、架台3が収納部4に収納されると収納部4に上方から覆われ、収納部4から引き出されると上方に露出する。収納部4は、出入口屋外床部15の側方に設置される。架台3は、収納部4から側方に引き出されて出入口屋外床部15の上方に配置される。これにより、履物が必要な時には架台3を引き出すことで出入口屋外床部15の上方に履物を設置することができ、履物が不要な場合は、収納部4に収納することで、履物に雨や埃がかかったり、日が射したりすることによる汚れや劣化を防止することができる。靴箱1の箱部411は、出入口屋外床部15の側方に設置されることにより、屋内の床と屋外の床との高低差が小さい場合でも、建具2と干渉せずに屋外に設置することができる。
【0029】
上記の実施形態による靴箱1では、架台3は、網戸23のスライドと連動する。出入口13を使用するために網戸23を幅方向にスライドさせることで、架台3も移動させることができ、操作性がよい。
【0030】
上記の実施形態による靴箱1では、網戸23に取り付けられた突出部材6は、網戸23が出入口13を閉鎖する方向にスライドすると、架台3を収納部4に収納される方向に押すように構成されている。これにより、出入口13を閉鎖する方向に網戸23をスライドさせることにより、架台3が収納部4に向かって押され収納状態とすることができ、操作性がよい。
【0031】
上記の実施形態による靴箱1では、突出部材6は、網戸23から突出した突出状態と、網戸23の面に沿って畳まれた畳まれ状態とに切り替え可能である。例えば、建具2の屋外側にシャッターが設けられる場合、シャッターを閉める際には突出部材6を畳まれ状態とすることによりシャッターと突出部材6とが干渉することを防止できる。
【0032】
上記の実施形態による靴箱1では、突出部材6を突出状態となるように下方から押す付勢部63を有している。これにより、建具2の屋外側にシャッターが設けられる場合、シャッターが上方から降りてきたら突出部材6が下側に押されて畳まれ状態となり、シャッターを上昇させて突出部材6と離れると、突出部材6が付勢部63に上に押され突出状態となる。このため、シャッターの開閉時に突出部材6の向きを手動で切り替える必要が無い。
【0033】
上記の実施形態による靴箱1では、収納部4の下板部42の上面42aは、架台3が収納される側から引き出される側に向かって漸次低くなる傾斜面47が形成されている。これにより、網戸23を幅方向の一方側に移動させて突出部材6が架台3と離れると、架台3が傾斜面47に沿って移動し、出入口屋外床部15まで移動させることができる。
【0034】
上記の実施形態による靴箱1では、収納部4から引き出された架台3の移動を規制するストッパ5を有している。これにより、架台3が収納部4から必要以上に引き出されることを防止できる。
【0035】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、突出部材6が網戸23の縦框231に取り付けられている。これに対し、突出部材6は網戸23の下框に取り付けられていてもよい。突出部材6は、網戸23に代わって障子22の框に取り付けられていてもよい。
【0036】
上記の実施形態では、架台3は、網戸23の縦框231に取り付けられた突出部材6に後側に押されている。これに対し、架台3は、網戸23の縦框231に固定され、網戸23のスライドとともに幅方向(前後方向)に移動してもよい。
【0037】
上記の実施形態では、突出部材6は、下方に折り畳み可能である。これに対し、突出部材6は、折り畳めずに、常に縦框231から屋外側に突出していてもよい。
【0038】
上記の実施形態では、収納部4の下板部42の上面42aは、架台3が収納される側から引き出される側に向かって漸次低くなる傾斜面47が形成されている。これに対し、傾斜面47が形成されていなくてもよい。上記の実施形態では、傾斜面47は下板部42の後側部分422に形成されている。これに対し、下板部42の傾斜面47が形成される位置は、適宜設定されてよい。
【0039】
下板部42の上面42aに傾斜面47が形成される代わりに、収納部4にスライドレールが設けられ、スライドレールに沿って架台3が移動するようにしてもよい。このような場合に、突出部材6の突出部62および架台3の前板部32それぞれに互いを連結するマグネットが設けられ、網戸23(突出部6)がスライドすると、マグネットによって突出部6と連結された架台3も移動するようにしてもよい。網戸23のスライドが架台3の引き出し可能な寸法よりも大きくなると、架台3は引き出し状態の位置で停止し、網戸23はそのままスライドする。このようにすることにより、靴箱1の設置位置や、架台3の引き出し寸法を、網戸23のスライド寸法に合わせて調整することなく靴箱1を設置することができる。
【0040】
上記の実施形態では、ストッパ5が設けられている。これに対し、ストッパ5が設けられていなくてもよい。靴箱1には、上記のストッパ5に代わって、図8に示す靴箱1Bのように、下板部42における引き出し状態の架台3の車輪33の位置に、車輪33が嵌る凹部48が形成されていてもよい。引き出し状態の架台3の車輪33が凹部48に嵌ることで架台3の移動が拘束されるようにしてもよい。このような場合、架台3が一定の力以上で後側に押されると、車輪33が凹部48から抜け出る。靴箱1には、上記のストッパ5に代わって、図9に示す靴箱1Cのように、下板部42に車輪33が走行するための前後方向に延びる溝部49が形成されていてもよい。前側車輪332が溝部49の前端面49aと当たると、架台3の前側への移動が拘束されるようにしてもよい。このような溝部49や凹部48には、車輪33が滑ることを防止するすべり止め部材が設けられていてもよい。すべり止め部材およびストッパ5の両方が設けられることで、引き出し状態の架台3がより安定した状態で停止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,1B,1C 靴箱、3 架台、4 収納部、5 ストッパ、6 突出部材、11 建物、13 出入口、14 床部、15 出入口屋外床部、23 網戸、31 載置板部、42a 上面、47 傾斜面、62 突出部、63 付勢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9