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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147152
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】印字ユニット及びサーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20220929BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
B41J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048288
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 史高
【テーマコード(参考)】
2C058
2C065
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AC12
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF06
2C058AF31
2C058DA10
2C058DA31
2C065AA01
2C065AB01
2C065CZ13
(57)【要約】
【課題】プラテンローラの係止機能と、プラテンローラの係止解除機能の双方を実現しつつ、各部の設計を高い自由度で行うことができる印字ユニット及びサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】印字ユニットは、ヘッドユニットと、プラテンユニットと、操作レバーと、ロックアーム140と、離脱アーム200と、を備える。ロックアーム140は、プラテン軸受51を収容溝62の内部に嵌め込んだ状態でプラテンローラ45をロックするロック状態と、プラテン軸受51を、開放口62aを通して収容溝62から離脱可能とするロック解除状態との間で、連結軸部141周りに揺動可能に設けられる。離脱アーム200は、連結軸部141とは異なる位置で左右方向L3に沿うアーム支持軸210周りに回動して、プラテン軸受51を収容溝62の内部から開放口62a側に向けて押圧し、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に印字を行うサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、
第一方向に延び、前記記録紙を紙送りするプラテンローラ、及び前記プラテンローラの前記第一方向の両端部をそれぞれ回転可能に軸支する一対のプラテン軸受を有し、前記ヘッドユニットに設けられて前記第一方向に直交する第二方向の一方側に窪む一対の収容溝の内部に一対の前記プラテン軸受を挿抜可能とすることで、前記ヘッドユニットに対して分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、
前記ヘッドユニットに対して前記プラテンユニットをロックするロック位置と、前記ヘッドユニットに対する前記プラテンユニットのロックを解除するロック解除位置との間で前記第一方向に延びる第一揺動軸回りに揺動可能な操作レバーと、
前記操作レバーが前記ロック位置にあるときに、一対の前記プラテン軸受を一対の前記収容溝の内部に嵌め込んだ状態で前記プラテンローラをロックするロック状態と、前記操作レバーが前記ロック解除位置にあるときに、一対の前記プラテン軸受を一対の前記収容溝の開放口を通して一対の前記プラテン軸受を前記収容溝から前記第二方向の他方側に離脱可能とするロック解除状態との間で、前記第一方向に沿う第二揺動軸周りに揺動可能に設けられたロックアームと、
前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて回動することに伴って、前記第二揺動軸とは異なる位置で前記第一方向に沿う第三揺動軸周りに回動して、前記プラテン軸受を前記収容溝の内部から前記開放口側に向けて押圧し、前記プラテン軸受を前記収容溝から離脱させる離脱アームと、を備える
印字ユニット。
【請求項2】
前記第二方向において、前記第三揺動軸の少なくとも一部が、前記プラテンローラの最大外径部に重なっている
請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項3】
前記操作レバーと前記離脱アームとが、前記第一方向で隣り合って配置され、
前記離脱アームは、前記第三揺動軸に対して前記第三揺動軸の径方向外側に形成され、前記第一方向に沿って前記操作レバー側に突出するボスを有し、
前記操作レバーは、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて回動したときに前記ボスの外周面に突き当たる突き当たり面を有する
請求項1または2に記載の印字ユニット。
【請求項4】
前記操作レバーの突き当たり面は、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて定められた角度移動したときに、前記ボスの外周面に突き当たる
請求項3に記載の印字ユニット。
【請求項5】
前記ボスは、前記第一方向および前記第二方向に直交する第三方向において、前記プラテン軸受に対して前記第三揺動軸を挟んで反対側に配置されている
請求項3または4に記載の印字ユニット。
【請求項6】
前記第一揺動軸は、前記第三方向において、前記第三揺動軸に対して前記プラテン軸受を挟んで反対側に配置されている
請求項5に記載の印字ユニット。
【請求項7】
前記第三揺動軸は、前記第二揺動軸よりも前記プラテン軸受の中心に近い位置に配置されている
請求項1から6のいずれか一項に記載の印字ユニット。
【請求項8】
前記収容溝の内側面には、前記開放口側から前記収容溝の溝底部側に向かうにしたがって開口幅を狭まるように形成され、前記プラテン軸受を前記溝底部に向けて案内する傾斜した案内突起が形成され、
前記離脱アームは、前記案内突起の頂点部よりも、前記開放口側に前記プラテンローラのローラ中心が移動するように前記プラテン軸受を押圧する
請求項1から7のいずれか一項に記載の印字ユニット。
【請求項9】
前記離脱アームは、前記第一方向の少なくとも一方側の前記プラテン軸受に対応して設けられている
請求項1から8のいずれか一項に記載の印字ユニット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の印字ユニットと、
前記記録紙を収容する記録紙収納部を有すると共に、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの一方のユニットが取り付けられたプリンタ本体と、
前記プリンタ本体に対して回動可能に連結され、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの他方が取り付けられたプリンタカバーと、を備えている
サーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ユニット及びサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタとして、サーマルヘッドとプラテンローラとが分離可能に組み合わされたものが知られている。
例えば、ロール紙を収納する筐体側にサーマルヘッドを有するヘッドユニットが設けられ、筐体に対して開閉操作可能に連結されたプリンタカバー側にプラテンローラを有するプラテンユニットが設けられたサーマルプリンタが知られている。このサーマルプリンタによれば、プリンタカバーの開閉操作に伴って、サーマルヘッドとプラテンローラとを分離可能に組み合わせることが可能とされている。
【0003】
通常、この種のサーマルプリンタは、サーマルヘッドとプラテンローラとを組み合わせた際、両者が意図しないタイミングで分離することを防止するために、プラテンローラを保持するロック機構を具備している場合が多い。
【0004】
特許文献1には、ロックアームと、カムと、加圧ばねと、を備えた構成が開示されている。この構成において、ロックアームは、プラテンローラの軸受を係止する。カムは、ロックアームによるプラテンローラの軸受けの係止を解放させるために設けられている。加圧ばねは、ロックアームとサーマルヘッドを支持するヘッド支持体との間に設けられている。加圧ばねは、プラテンローラの軸受けが係止されているときにサーマルヘッドをプラテンローラに圧接させるとともに、プラテンローラの軸受の係止を開放したときにサーマルヘッドを介してプラテンローラを押し上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-318260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたような構成では、ロックアームは、プラテンローラの軸受を係止する機能と、カムによってプラテンローラの軸受の係止を解放させるときに加圧ばねによってサーマルヘッドをプラテンローラに圧接させる機能とを備えている。このため、双方の機能を両立するため、プラテンローラの軸受を係止する機能と、プラテンローラの係止を解除する機能とで、それぞれ最適な設計とすることが難しい。このため、例えばロックアームの回転中心の位置、回転量等、双方の機能を両立できる妥協点を探っての設計を行わざるを得ず、自由度の高い設計を行うことが困難であった。
本発明は、プラテンローラの係止機能と、プラテンローラの係止解除機能の双方を実現しつつ、各部の設計を高い自由度で行うことができる印字ユニット及びサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る印字ユニットは、記録紙に印字を行うサーマルヘッドを有するヘッドユニットと、第一方向に延び、前記記録紙を紙送りするプラテンローラ、及び前記プラテンローラの前記第一方向の両端部をそれぞれ回転可能に軸支する一対のプラテン軸受を有し、前記ヘッドユニットに設けられて前記第一方向に直交する第二方向の一方側に窪む一対の収容溝の内部に一対の前記プラテン軸受を挿抜可能とすることで、前記ヘッドユニットに対して分離可能に組み合わされるプラテンユニットと、前記ヘッドユニットに対して前記プラテンユニットをロックするロック位置と、前記ヘッドユニットに対する前記プラテンユニットのロックを解除するロック解除位置との間で前記第一方向に延びる第一揺動軸回りに揺動可能な操作レバーと、前記操作レバーが前記ロック位置にあるときに、一対の前記プラテン軸受を一対の前記収容溝の内部に嵌め込んだ状態で前記プラテンローラをロックするロック状態と、前記操作レバーが前記ロック解除位置にあるときに、一対の前記プラテン軸受を一対の前記収容溝の開放口を通して一対の前記プラテン軸受を前記収容溝から前記第二方向他方側に離脱可能とするロック解除状態との間で、前記第一方向に沿う第二揺動軸周りに揺動可能に設けられたロックアームと、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて回動することに伴って、前記第二揺動軸とは異なる位置で前記第一方向に沿う第三揺動軸周りに回動して、前記プラテン軸受を前記収容溝の内部から前記開放口側に向けて押圧し、前記プラテン軸受を前記収容溝から離脱させる離脱アームと、を備える。
【0008】
この構成によれば、ヘッドユニットに対してプラテンユニットが組み合わされ、操作レバーがロック位置に位置している場合、一対のプラテン軸受が一対の収容溝内に収容されている。この状態で、ロックアームが、プラテン軸受を一対の収容溝の内部に嵌め込んだ状態でプラテンローラをロックすることで、収容溝内からプラテン軸受が抜け出てしまうことが防止される。
操作レバーをロック位置からロック解除位置に向けて回動すると、これに伴って離脱アームが回動し、プラテン軸受を収容溝の内部から開放口側に向けて押圧する。この状態で、ロックアームがロック状態から回動してロック解除状態となることで、離脱アームによってプラテン軸受が収容溝から離脱される。
【0009】
このような構成において、ロックアームと、離脱アームとが別々の部品として設けられている。このため、ロックアームは、プラテン軸受を収容溝から離脱させる機能を備えることなく、プラテン軸受を収容溝の内部に嵌め込んだ状態でプラテンローラをロックする機能のみを実現すればよい。また、離脱アームは、プラテン軸受を収容溝の内部に嵌め込んだ状態でプラテンローラをロックする機能を備えることなく、プラテン軸受を収容溝から離脱させる機能のみを実現すればよい。したがって、ロックアーム、及び離脱アームのそれぞれにおいて、設計の自由度を高め、最適な設計がしやすくなる。その結果、プラテンローラの係止機能と、プラテンローラの係止解除機能の双方を実現しつつ、各部の設計を高い自由度で行うことが可能となる。
【0010】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記第二方向において、前記第三揺動軸の少なくとも一部が、前記プラテンローラの最大外径部に重なっているようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、プラテン軸受を収容溝の開放口から離脱させる際に、離脱アームによってプラテン軸受を開放口に向かって効率良く押圧することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記操作レバーと前記離脱アームとが、前記第一方向で隣り合って配置され、前記離脱アームは、前記第三揺動軸に対して前記第三揺動軸の径方向外側に形成され、前記第一方向に沿って前記操作レバー側に突出するボスを有し、前記操作レバーは、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて回動したときに前記ボスの外周面に突き当たる突き当たり面を有するようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、操作レバーをロック位置からロック解除位置に向けて回動させると、突き当たり面がボスの外周面に突き当たる。これにより、第三揺動軸の径方向外側に設けられたボスが押圧され、離脱アームが第三揺動軸周りに回動し、プラテン軸受を収容溝から離脱させることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記操作レバーの突き当たり面は、前記操作レバーが前記ロック位置から前記ロック解除位置に向けて定められた角度移動したときに、前記ボスの外周面に突き当たるようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、操作レバーがロック位置からロック解除位置に向けて回動し始めると同時に、離脱アームを回動させる構成とする必要がなくなる。したがって、操作レバーの回動動作と、離脱アームの回動動作とを、それぞれに適したタイミングで行うことができる。この点においても、操作レバー及び離脱アームの設計の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記ボスは、前記第一方向および前記第二方向に直交する第三方向において、前記プラテン軸受に対して前記第三揺動軸を挟んで反対側に配置されているようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、操作レバーの突き当たり面をボスに突き当てたときに、操作レバーによるボスの押圧力を、プラテン軸受に効率良く伝達することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記第一揺動軸は、前記第三方向において、前記第三揺動軸に対して前記プラテン軸受を挟んで反対側に配置されているようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、操作レバーの回転中心である第一揺動軸から、ボスまでの距離を長く確保することができ、操作レバーをロック位置からロック解除位置に向けて回動させたときに、ボスを効率良く押圧することができる。したがって、プラテン軸受を収容溝から離脱させるために操作レバーを回動させるときの操作力が少なくて済む。
【0020】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記収容溝の内側面には、前記開放口側から前記収容溝の溝底部側に向かうにしたがって開口幅を狭まるように形成され、前記プラテン軸受を前記溝底部に向けて案内する傾斜した案内突起が形成され、前記離脱アームは、前記案内突起の頂点部よりも、前記開放口側に前記プラテンローラのローラ中心が移動するように前記プラテン軸受を押圧するようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、操作レバーをロック解除位置側に移動させることで、収容溝内において、離脱アームが案内突起の頂点部よりも開放口側にプラテンローラのローラ中心が移動するようにプラテン軸受を大きく強制的に押上げる。これにより、収容溝における開放口付近までプラテン軸受を押上げて、ほぼ離脱させた状態に移行させることができるので、ヘッドユニットとプラテンユニットとの分離作業を容易に行うことができる。
【0022】
本発明の一態様に係る印字ユニットにおいて、前記離脱アームは、前記第一方向の少なくとも一方側に設けられているようにしてもよい。
【0023】
この構成によれば、第一方向の少なくとも一方側に離脱アームを設けることで、ローラ軸受を収容溝から離脱させて、プラテンローラをヘッドユニットから分離させることができる。
【0024】
本発明の一態様に係るサーマルプリンタは、上記したような印字ユニットと、前記記録紙を収容する記録紙収納部を有すると共に、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの一方のユニットが取り付けられたプリンタ本体と、前記プリンタ本体に対して回動可能に連結され、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうちの他方が取り付けられたプリンタカバーと、を備えている。
【0025】
この構成によれば、プラテンローラの係止機能と、プラテンローラの係止解除機能の双方を実現しつつ、各部の設計を高い自由度で行うことができる印字ユニットを備えたサーマルプリンタを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、プラテンローラの係止機能と、プラテンローラの係止解除機能の双方を実現しつつ、各部の設計を高い自由度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図であって、プリンタカバーを閉じた状態を示す斜視図である。
図2図1に示すプリンタカバーが開いた状態におけるサーマルプリンタの斜視図である。
図3図2に示す印字ユニットの斜視図である。
図4図3に示す状態からギアカバー等を除去した状態を示す印字ユニットの斜視図である。
図5図4に示す状態からプラテンフレーム等を除去した状態を示す印字ユニットの斜視図である。
図6図4に示すプラテンユニットの斜視図である。
図7図5に示す矢印A方向から見た側面図であって、収容溝とプラテン軸受との関係を示す図である。
図8】固定刃と可動刃との間で記録紙を切断する状態を示す斜視図である。
図9図5に示す矢印A方向から見た側面図である。
図10図9に示す各機構の斜視図である。
図11図9に示す状態から、戻しギア等を除去した状態を示す側面図である。
図12】操作レバー、及び戻し機構周辺を反対側から見た斜視図である。
図13図11に示す状態から操作レバーを除去した状態を示す斜視図である。
図14】操作レバーの周辺を反対側から見た斜視図である。
図15図9に示す状態からロック位置から操作レバーを押下げ操作した状態を示す側面図である。
図16図15に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作した状態を示す側面図である。
図17図16に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作し、操作レバーの突き当たり面を離脱アームのボスに突き当てた状態を示す側面図である。
図18図17に示す状態から、操作レバーをさらに押下げ操作してロック解除位置に位置させ、プラテン軸受を収容溝の開放口に押上げた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明による印字ユニット及びサーマルプリンタを実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
図1及び図2に示すように、サーマルプリンタ1は、ロール紙状の記録紙(感熱紙)Pに印刷を行って、記録紙Pを例えばチケットやレシート等として利用することが可能なプリンタである。
【0029】
サーマルプリンタ1は、例えば店舗の店頭に設置され、図示しない情報処理装置によって動作が制御されている。そのため、サーマルプリンタ1は、情報処理装置から送信された各種の情報を記録紙Pに印刷すると共に、印刷した記録紙Pを排出するように制御されている。
【0030】
サーマルプリンタ1は、例えば店頭の設置面S上に設置され、全体としてはキューブ状に形成されている。本実施形態では、図1及び図2に示す状態において、設置面Sに対して垂直な方向を上下方向L1といい、設置面Sに対して平行な面内において互いに直交する方向を前後方向(第二方向)L2及び左右方向(第一方向)L3という。なお、前後方向L2のうち、前方を矢印FWで示し、後方を矢印BKで示す。従って、図1及び図2では、紙面に対して左下側が前方FW、右上側が後方BKとされている。
【0031】
サーマルプリンタ1は、ケーシング(本発明に係るプリンタ本体)2と、プリンタカバー3と、ヘッドユニット5及びプラテンユニット6で構成される印字ユニット4と、を備え、記録紙Pが前方FWに排出される、いわゆる前出しタイプとされている。図示の例では、プリンタカバー3側にプラテンユニット6が設けられ、ケーシング2側にヘッドユニット5が設けられている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばプリンタカバー3側にヘッドユニット5を設け、ケーシング2側にプラテンユニット6を設けても構わない。
【0032】
(ケーシング)
ケーシング2は、合成樹脂材料や金属材料或いはこれらを適宜組み合わせることで、前方FWに開口部を有するキューブ状に形成され、設置面Sに対向する底面11を含む複数の外面10を有している。ただし、ケーシング2の形状は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0033】
複数の外面10のうち、底面11に対して上下方向L1に向い合う外面を天面12という。また複数の外面10のうち、前方FW側に位置する外面を前面13といい、後方BK側に位置する外面を後面14という。これら前面13及び後面14は、前後方向L2に向かい合っている。さらに、複数の外面10のうち、左右方向L3に向かい合う外面を一対の側面15という。
【0034】
ケーシング2の内部には、ケーシング2の前面13に形成された開口部を通じてロール状の記録紙Pを収納可能な記録紙収納部16が形成されている。これにより、プリンタカバー3が開いたときに、記録紙収納部16内に前方FWからロール状の記録紙Pを投入することが可能とされている。
【0035】
プリンタカバー3は、ケーシング2の前面13側の下部に、回転軸部17を介して連結されており、開口部を開放可能に閉塞している。なお、プリンタカバー3は、回転軸部17回りに略90度の角度範囲で回転するように連結されている。
図1に示すように、プリンタカバー3を閉じた際、該プリンタカバー3の先端とケーシング2との間には、若干の隙間があくように設計されている。記録紙Pは、この隙間を利用してケーシング2の内部から前方FWに引き出されて排出される。よって、この隙間は記録紙Pの排出口18として機能する。
【0036】
上述のように構成されたケーシング2及びプリンタカバー3は、プリンタカバー3が閉じた際、プラテンユニット6とヘッドユニット5との組み合わせに伴ってロックされる。これによって、プリンタカバー3は閉状態でロックされる。
【0037】
さらにケーシング2には、図1に示すように、前面13と天面12と一方の側面15とが交差する角部に、プラテンユニット6とヘッドユニット5との組み合わせ(ロック)を解除するためのレバー19が設けられている。これにより、図2に示すようにプリンタカバー3のロックについても解除でき、プリンタカバー3の開操作を行うことが可能となる。なお、レバー19は、例えば下方に向けて押下げ操作可能とされている。
【0038】
なお、プリンタカバー3には、例えば電源ボタンや紙送りボタンとされた操作ボタン3aが設けられている。操作ボタン3aは、プリンタカバー3の外面に押下可能に露出した状態で配置されている。図示の例では、操作ボタン3aはレバー19の下方に上下方向L1に一列に並ぶように配置されている。
【0039】
(印字ユニット)
図2図5に示すように、印字ユニット4は、ケーシング2側に設けられたヘッドユニット5と、プリンタカバー3側に設けられ、ヘッドユニット5に対して分離可能に組み合わされるプラテンユニット6と、を備えている。
【0040】
ヘッドユニット5は、該ヘッドユニット5の基本骨格を形成する例えば合成樹脂製のヘッドフレーム20と、ヘッドフレーム20を前方FW及び左右方向L3から覆うようにヘッドフレーム20に組み合わされた例えば金属製のヘッドカバープレート21と、ヘッドフレーム20を左右方向L3から覆うようにヘッドフレーム20に組み合わされた例えば金属製のギアカバー22、23と、を備えている。
【0041】
さらにヘッドユニット5は、サーマルヘッド25、可動刃26、駆動機構27、操作レバー28、戻し機構29及びプラテンロック機構30を少なくとも備えている。これらサーマルヘッド25、可動刃26、駆動機構27、操作レバー28、戻し機構29及びプラテンロック機構30は、主にヘッドフレーム20を利用して取り付けられ、ヘッドカバープレート21及びギアカバー22、23によって覆われている。
【0042】
上述のように構成されたヘッドユニット5は、ケーシング2の内部に取り付けられている。具体的には、ヘッドユニット5は、記録紙収納部16の上方であって、ケーシング2の前面13寄りに配置され、主にヘッドフレーム20のネジ締結によってケーシング2に取り付けられている。
本実施形態では、ヘッドユニット5は、可動刃26の刃先26aが下方を向くように取り付けられている。なお、ヘッドユニット5については、後に詳細に説明する。
【0043】
プラテンユニット6は、該プラテンユニット6の基本骨格を形成する例えば合成樹脂製のプラテンフレーム40と、プラテンフレーム40を前方FW及び左右方向L3から覆うようにプラテンフレーム40に組み合わされた例えば金属製のプラテンカバープレート41と、を備えている。
さらにプラテンユニット6は、プラテンローラ45及び固定刃46を少なくとも備えている。これらプラテンローラ45及び固定刃46は、主にプラテンフレーム40を利用して取り付けられ、プラテンカバープレート41によって覆われている。
【0044】
上述のように構成されたプラテンユニット6は、主にプラテンカバープレート41を介してプリンタカバー3の内面に取り付けられている。この際、プラテンユニット6は、プリンタカバー3の開閉動作に伴ってヘッドユニット5に分離可能に組み合わされる位置に取り付けられている。
本実施形態では、プラテンユニット6は固定刃46の刃先46aが上方を向くように取り付けられている。
【0045】
プラテンユニット6について、詳細に説明する。
図3図6に示すように、固定刃46は、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とが組み合わされた際に、刃先46aがヘッドユニット5側に向くようにプラテンフレーム40に支持されている。図6に示すように、プラテンフレーム40には、固定刃46よりも後方BKに位置する部分にプラテンローラ45を収納するプラテン収納空間47が形成されていると共に、プラテン収納空間47を間にして左右方向L3に向かい合うように配置され、プラテンローラ45を支持する支持壁48が形成されている。
【0046】
プラテンローラ45は、記録紙Pをプリンタカバー3の外部に搬送するゴムローラであって、左右方向L3に延びるプラテン軸50に巻回されている。プラテンローラ45は、ヘッドユニット5側に外周面の一部が露出した状態でプラテン収納空間47内に収納されていると共に、支持壁48によって回転可能に支持されている。
具体的には、プラテンローラ45よりも左右方向L3の外側に延びたプラテン軸50の両端部には、円筒状のプラテン軸受51がそれぞれ被せられている。これにより、一対のプラテン軸受51を押さえ付けたとしても、プラテンローラ45を回転させることが可能とされている。なお、プラテン軸50の一端部には、プラテン軸受51よりも左右方向L3の外側に従動ギア52が固定されている。
【0047】
支持壁48は、例えばスリット孔を利用してプラテン軸受51を挟み込んで固定している。これにより、プラテンローラ45は、プラテン収納空間47内に収納された状態で一対のプラテン軸受51を介して一対の支持壁48に回転可能に支持されている。
一対のプラテン軸受51は、支持壁48よりも左右方向L3の外側に向けて延びており、プリンタカバー3を閉じた際に図5に示すように、ヘッドユニット5側に設けられた一対の収容溝62内にそれぞれ収容される。
なお、図5では、プラテンユニット6のうち主にプラテンローラ45及びプラテン軸受51について図示している。
【0048】
次に、ヘッドユニット5について詳細に説明する。
図3図5に示すように、ヘッドユニット5は、サーマルヘッド25、可動刃26、駆動機構27、操作レバー28、戻し機構29及びプラテンロック機構30を少なくとも備えている。
【0049】
図5に示すように、サーマルヘッド25は、左右方向L3に沿ってライン状に並んだ複数の図示しない発熱素子を有し、プリンタカバー3が閉位置に位置しているときに、プラテンローラ45に対向するようにヘッドフレーム20に取り付けられている。なお、記録紙Pは、プラテンローラ45とサーマルヘッド25との間を通過可能とされている。
サーマルヘッド25とヘッドフレーム20との間には、サーマルヘッド25をプラテンローラ45側に向けて付勢する図示しないコイルばねが介在されている。これにより、プラテンローラ45によって送り出される記録紙Pに対してサーマルヘッド25を確実に押し付けることができ、印字ユニット4による良好な印刷が可能とされている。
【0050】
ヘッドフレーム20は、プラテンユニット6におけるプラテンフレーム40の支持壁48よりも左右方向L3の外側に位置する一対の側壁部60、61を有している。
一対の側壁部60、61には、一対のプラテン軸受51を各別に内部に嵌め込み可能な一対の収容溝62がそれぞれ形成されている。
収容溝62は、図7に示すように、前後方向L2の後方BK(第二方向の一方側)に窪む側面視U字状に形成され、プラテンユニット6側に向かう前方FWに開放口62aを向けた状態で形成されている。収容溝62における溝底部62bは、平坦に形成されている。
なお、図7は、一方の側壁部60に形成された収容溝62を図示し、その他の各構成品に図示を適宜省略している。
【0051】
収容溝62の内側面には、開放口62a側から溝底部62b側に向かうにしたがって開口幅を狭めるように形成され、プラテン軸受51を溝底部62b側に向けて案内する傾斜した案内突起63が形成されている。これにより、収容溝62は、開放口62aが最も開口幅が大きくなるように形成されていると共に、案内突起63における頂点部63a付近で開口幅が最も狭くなるように形成されている。
収容溝62に案内突起63が形成されていることで、プラテン軸受51を案内突起63に沿って溝底部62b側に落とし込むように案内することが可能とされている。
【0052】
上述のように一対の側壁部60、61に収容溝62がそれぞれ形成されているので、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とを組み合わせた際に、図5及び図7に示すように、一対のプラテン軸受51は一対の収容溝62内に嵌め込まれて、内部に収容された状態となる。この際、プラテン軸受51は、溝底部62bに接した状態で収容溝62内に収容される。
【0053】
図4に示すように、可動刃26は、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とが組み合わされた際に、刃先26aがプラテンユニット6側に向くように駆動機構27を介してヘッドフレーム20に取り付けられている。この際、可動刃26は固定刃46に対して上下方向L1に向かい合うように配置されていると共に、切断位置P1に移動したときに、固定刃46に対して前後方向L2に重なるように配置されている。
可動刃26は、図8に示すように、根元から刃先26aまでの長さが両端から中央に向かって漸次短くなるように形成されたV字状の板状刃とされている。なお、図8は可動刃26を切断位置P1に移動させて、固定刃46と可動刃26との間で記録紙Pを切断する状態を示す斜視図である。
【0054】
図4に示すように、可動刃26は、可動刃ホルダ70を介して駆動機構27の駆動ラック71に取り付けられている。可動刃26は、駆動機構27の動作によってヘッドフレーム20に対して上下方向L1に移動可能に構成されている。これにより、可動刃26は固定刃46に対して上下方向L1に移動可能に支持されている。
【0055】
図4図9及び図10に示すように、駆動機構27は、切断位置P1と待機位置P2とに可動刃26を移動させる機構である。切断位置P1とは、可動刃26が固定刃46に乗り上げることで、可動刃26が固定刃46と共に記録紙Pを切断する位置(図8参照)である。待機位置P2とは、固定刃46から可動刃26が適切に離れた位置(図4参照)である。
駆動機構27は、駆動用モータ75、駆動中間車76、二段中間車77、駆動ピニオン78及び駆動ラック71を備えている。
【0056】
図10に示すように、駆動用モータ75は正逆回転可能なモータとされ、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60の内側に固定されている。駆動用モータ75の駆動軸は、減速機構75aに接続されている。さらに、減速機構75aの出力軸75bは、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60よりも左右方向L3の外側に突出している。駆動中間車76は、一方の側壁部60よりも左右方向L3の外側に配置され、減速機構75aの出力軸75bに連結されている。従って、駆動中間車76は、減速機構75aを介した駆動用モータ75の回転に伴って回転する。
【0057】
図9及び図10に示すように、二段中間車77は、駆動中間車76と駆動ピニオン78との間に配置され、中間支持軸80に回転可能に支持されている。
二段中間車77は、大径中間車77a、及び大径中間車77aよりも小径に形成された小径中間車77bを備えている。大径中間車77aは、操作レバー28がロック位置P3に位置している際、駆動中間車76に噛み合っている。これにより、二段中間車77の全体は、駆動中間車76の回転に伴って回転する。なお、小径中間車77bは、大径中間車77aよりも左右方向L3の外側に配置され、駆動ピニオン78に対して噛み合っている。
【0058】
駆動ピニオン78は、小径中間車77bよりも操作レバー28側に位置し、且つ駆動ラック71側に位置するように配置されると共に、ピニオン支持軸81に対して同軸に配置された状態で該ピニオン支持軸81に固定されている。これにより、駆動ピニオン78及びピニオン支持軸81は、一体に回転する。
また、駆動ピニオン78は、小径中間車77bに噛み合っていると共に、駆動ラック71における駆動ラック歯71aに噛み合っている。
【0059】
駆動ラック71は、図4に示すように、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60側だけでなく、他方の側壁部61側にも配置され、ヘッドフレーム20を挟んで左右方向L3の両側に配置されている。ピニオン支持軸81は、ヘッドフレーム20を左右方向L3に貫くように形成され、左右方向L3の両側に配置された一対の駆動ピニオン78同士を連結している。これにより、一対の駆動ピニオン78は、ピニオン支持軸81を介して、同期した状態で共回り可能とされている。
【0060】
駆動ラック71は、可動刃ホルダ70の左右方向L3に沿う両端部に取り付けられ、上下方向L1に沿って延在されている。これにより、駆動ラック71は、可動刃ホルダ70を介して可動刃26に対して組み合わされている。
駆動ラック71には、全域に亘って駆動ラック歯71aが形成されている。一対の駆動ピニオン78は、この駆動ラック歯71aに対して噛み合っている。従って、一対の駆動ピニオン78の回転に伴って、駆動ラック71を介して可動刃26を待機位置P2と切断位置P1との間で移動させることが可能とされている。
【0061】
以下、構成の理解を容易にするために、一方の側壁部60側(駆動用モータ75側)に位置する駆動ピニオン78及び駆動ラック71について詳細に説明し、他方の側壁部61側に位置する駆動ピニオン78及び駆動ラック71については説明を省略する。
【0062】
上述のように駆動機構27が構成されているので、図4及び図9に示すように、駆動用モータ75の回転によって駆動中間車76及び二段中間車77(大径中間車77a及び小径中間車77b)を介して駆動ピニオン78を回転させることができる。そのため、駆動ラック71を、戻し機構29の後述する戻しラック130と共に矢印F1方向に移動させることができ、同方向に可動刃26を移動させることができる。これにより、可動刃26を待機位置P2から切断位置P1まで移動させることができる。
【0063】
一方、駆動用モータ75を逆回転させることで、駆動中間車76及び二段中間車77を介して駆動ピニオン78を逆回転させることができる。そのため、駆動ラック71を戻しラック130と共に矢印F2方向に移動させることができ、同方向に可動刃26を移動させることができる。これにより、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2まで移動させて復帰させることができる。
【0064】
ところで、上述した二段中間車77を支持する中間支持軸80は、ピニオン支持軸81を中心として揺動可能に配置されたスイングプレート90に固定されている。
図7図9図11に示すように、スイングプレート90には、該スイングプレート90を左右方向L3に貫通すると共にピニオン支持軸81を挿通させる挿通孔(図示せず)が形成されている。スイングプレート90は、挿通孔(図示せず)内にピニオン支持軸81を挿通させた状態で、一方の側壁部60の壁面に沿って揺動可能に配置されている。
【0065】
スイングプレート90は、駆動中間車76と駆動ラック71との間に向けて延びた第1プレート部92と、後述するロックアーム140の揺動軸線O2に向けて延びた第2プレート部93とを備えている。
【0066】
中間支持軸80は、第1プレート部92から左右方向L3の外側に向けて延びるように形成されている。これにより、中間支持軸80に支持されている二段中間車77は、スイングプレート90に伴ってピニオン支持軸81を中心として揺動可能とされている。
第2プレート部93には、左右方向L3の外側に向けて突出するように係合ピン95が形成されている。
【0067】
このように構成されたスイングプレート90は、第1付勢部材100による付勢力によって、二段中間車77の大径中間車77aが駆動中間車76に対して噛み合う方向に常に付勢されている。
第1付勢部材100は、例えばコイルばねであって、一方の側壁部60に突設されたコイル支持軸105に支持されたコイル部100aと、ヘッドフレーム20に係止された第1コイル端部100bと、スイングプレート90の係止突起94に係止された第2コイル端部100cと、を有する。
【0068】
これにより、スイングプレート90は、第1付勢部材100の付勢力(弾性復元力)によって、第2プレート部93が操作レバー28側に向けて付勢されるので、大径中間車77aが駆動中間車76に対して押し付けられた状態で位置決めされる。
なお、第1付勢部材100は、コイルばねに限定されるものではなく、例えば板ばね等であっても構わない。
【0069】
また、スイングプレート90は、操作レバー28の操作に伴って、係合ピン95が後述する押上げカム113によって押し上げられることで、第1付勢部材100の付勢力に抗してピニオン支持軸81を中心として揺動し、二段中間車77が駆動中間車76から離間するように構成されている。これにより、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いを解除することが可能とされている。
【0070】
図4図9及び図10に示すように、操作レバー28は、ヘッドフレーム20における一方の側壁部60側に配置されていると共に、左右方向L3に延びてプラテンローラ45と平行に配置されたレバー支持軸(第一揺動軸)106を介して回転可能に支持されている。
操作レバー28は、レバー支持軸106を中心として、ロック位置P3から後述する噛合解除位置P4やロック解除位置P5へ向けて、一方の側壁部60を左右方向L3の外側から見た側面視で反時計方向に押込み操作可能に構成されている。
【0071】
レバー支持軸106は、ギアカバー22の内面から一方の側壁部60側に向けて突設されている。なお、レバー支持軸106の中心軸線が操作レバー28の回転軸線O1となる。
【0072】
ロック位置P3とは、ヘッドユニット5に対してプラテンユニット6がロックされる位置をいう。噛合解除位置P4とは、操作レバー28における後述する押上げカム113によってスイングプレート90が揺動して、二段中間車77の大径中間車77aと駆動中間車76との噛み合いが解除された位置をいう。ロック解除位置P5とは、ヘッドユニット5に対するプラテンユニット6のロックが解除される位置をいう。
【0073】
図5図9図11に示すように、操作レバー28の基端部には、側面視扇状に形成されたレバープレート110が形成されている。
レバープレート110の外面には、左右方向L3の外側に向けてプラネタリ軸111が突設されている。レバープレート110には、径方向外側に向けて膨らんだ押上げカム113及び規制突片114が形成されている。
【0074】
プラネタリ軸111は、レバー支持軸106に対してオフセットされた位置に形成されている。押上げカム113は、スイングプレート90に形成された係合ピン95よりも時計方向側に配置され、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて回転したときに、係合ピン95に対して接触可能とされている。さらに押上げカム113の外面には、左右方向L3の外側に向けて突設された係止突起115が形成されている。
【0075】
規制突片114は、押上げカム113よりも時計方向側に配置され、操作レバー28がロック位置P3に位置しているときに、ヘッドフレーム20に形成された規制壁部116に対して時計方向側から接触している。
そのため、操作レバー28の全体は、これ以上時計方向に回転することが規制され、これによってロック位置P3に位置決めされている。
なお、操作レバー28は、ロック解除位置P5に移動し、さらに下方に押下げ操作されたときに、図3に示すギアカバー22の規制壁部117に対して反時計方向側から接触可能とされている。従って、操作レバー28は、ロック解除位置P5を超えてさらに大きく押下げ操作されることが規制されている。
【0076】
操作レバー28の先端部は、ケーシング2に設けられたレバー19における連結体19a(図2参照)の内側に嵌合されている。そのため、操作レバー28は、レバー19の操作に連動して操作される。これにより、レバー19を操作することにより、これに連動して操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて操作することが可能とされている。
【0077】
上述のように構成された操作レバー28は、図9及び図10に示すように、第2付勢部材120による付勢力によって、ロック位置P3に向かう方向(時計方向)に常に付勢されている。
第2付勢部材120は、例えばコイルばねであって、ギアカバー22の内面に突設された図示しないコイル支持軸に支持されたコイル部120aと、ギアカバー22の内面に係止された第1コイル端部120bと、操作レバー28の係止突起115に係止された第2コイル端部120cと、を有する。
【0078】
これにより、操作レバー28は、第2付勢部材120の付勢力(弾性復元力)によって、時計方向に付勢されるので、操作レバー28の先端部がロック位置P3に向かう方向に付勢されている。なお、先に述べたように、操作レバー28の規制突片114がヘッドフレーム20の規制壁部116に対して接触するので、これ以上の回転が規制され、ロック位置P3に位置決めされる。
なお、第2付勢部材120は、コイルばねに限定されるものではなく、例えば板ばね等であっても構わない。
【0079】
図4に示すように、戻し機構29は、例えば紙ジャムの発生等によって可動刃26が切断位置P1で停止している状態において、ロック位置P3からロック解除位置P5に向けた操作レバー28に伴う操作力(回転力)を利用して、プラテンロック機構30がプラテンローラ45をロック解除状態に切り換える前に、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2に移動させる機構である。
【0080】
図10図12に示すように、戻し機構29は、駆動ラック71に形成された戻しラック130と、戻しラック130のラック歯130aに噛み合う戻しピニオン131と、操作レバー28の回転軸線O1と同軸に配置された状態で、回転軸線O1回りに回転可能に支持された戻しギア132と、戻しギア132と一体に設けられたサンギア133に噛み合うと共に操作レバー28の移動に伴って公転するプラネタリギア134と、プラネタリギア134が噛み合うインターナルギア135と、を備えている。なお、サンギア133、プラネタリギア134及びインターナルギア135は、加速機構136(図12参照)を構成している。
【0081】
戻しピニオン131は、駆動ピニオン78よりも左右方向L3の外側に配置された状態で、ピニオン支持軸81に回転可能に支持されている。これにより、戻しピニオン131は、駆動ピニオン78と同軸上に配置されている。なお、戻しピニオン131は、操作レバー28の操作に連動して回転する戻しギア132と噛み合い可能とされ、戻しギア132からの回転力によって回転する。
さらに、戻しピニオン131は、戻しラック130におけるラック歯130aに噛み合い可能とされている。
【0082】
戻しラック130は、図10に示すように、駆動機構27における駆動ラック71よりも左右方向L3の外側に配置された状態で、駆動ラック71に一体に形成されている。戻しラック130は複数のラック歯130aを有している。これら複数のラック歯130aは、可動刃26の刃先26a側ではなく、根元側に位置するように形成されている。これにより、戻しラック130は、可動刃26が切断位置P1に位置したときに戻しピニオン131と噛み合い、且つ可動刃26が待機位置P2に位置したときに戻しピニオン131との噛み合いが解除される。
【0083】
なお、図示の例では、駆動ラック71と戻しラック130とを一体に形成したが、この場合に限定されるものではなく、戻しラック130を駆動ラック71とは別体に形成しても構わない。ただし、駆動ラック71と戻しラック130とを一体に形成することで、部品点数を増やすことなく戻しラック130を具備することができるので、構成の簡略化を図ることができると共にコストの低減化を図ることができるので、好ましい。
【0084】
複数のラック歯130aのうち、可動刃26の刃先26a側に位置するラック歯130aは、変位可能なラック歯130bとされている。
このラック歯130bは、ラックアーム139の先端部に形成されている。ラックアーム139の基端部は、戻しラック130のうち可動刃26の刃先26a側に位置する端部に連結されている。そのため、ラックアーム139は、基端部を支点にして戻しピニオン131から離れる方向に弾性変形可能な片持ちアームとされている。
これにより、ラックアーム139を戻しピニオン131から離間する方向に弾性変形させることができ、ラック歯130bを戻しピニオン131の径方向外側へ退避させることが可能とされている。
【0085】
戻しラック130のラック歯130bを戻しピニオン131の径方向外側へ退避可能に形成した理由について、簡単に説明する。
例えば、戻しラック130が図9に示す矢印F1方向に移動する際に、戻しラック130のラック歯130bが戻しピニオン131における歯部の歯先に当接することが考えられる。この場合、戻しラック130の移動が戻しピニオン131の歯先で阻止されるおそれがある。
このことを考慮して、ラック歯130bをラックアーム139の先端部に形成することで、ラックアーム139の弾性変形によってラック歯130bを戻しピニオン131の径方向外側へ退避させ、戻しピニオン131の歯先を乗り越え可能に構成している。そのため、ラック歯130bが戻しピニオン131の歯先を乗り越えた後、ラックアーム139の弾性復元力を利用してラック歯130bを元の位置に復帰させ、復帰したラック歯130bを戻しピニオン131における次の歯部に適切に噛み合わせることが可能とされている。これにより、戻しラック130の移動が阻害されてしまう不都合を生じさせることなく、戻しラック130のラック歯130bと戻しピニオン131とを適切に噛み合わせることが可能となる。
【0086】
図9及び図10に示すように、戻しギア132は、操作レバー28におけるレバープレート110よりも左右方向L3の外側に配置された状態で、レバー支持軸106に回転可能に支持されている。これにより、戻しギア132は、操作レバー28の回転軸線O1と同軸上に配置されている。
【0087】
戻しギア132は、ギアプレート132aと、ギアプレート132aの外周縁に沿って形成された複数のギア歯部132bと、を備えている。複数のギア歯部132bは、ギアプレート132aの全周ではなく、略半周に亘る範囲で形成されている。これら複数のギア歯部132bは、戻しピニオン131に対して噛み合い可能とされている。
【0088】
複数のギア歯部132bのうち、ロック位置P3からロック解除位置P5に向けた操作レバー28の操作によって、戻しピニオン131に対して最初に噛み合うギア歯部132bは、戻しギア132の径方向内側に向けて変位可能とされ、戻しピニオン131の歯部から退避することが可能とされている。
【0089】
ギア歯部132bは、弾性アーム部132cの先端部に形成されている。弾性アーム部132cは、基端部がギアプレート132aの外周縁のうちギア歯部132bの未形成部分に一体に形成され、ギアプレート132aの外周縁に沿って時計方向に円弧状に延びている。これにより、弾性アーム部132cは、ギアプレート132aの外周縁に基端部を介して片持ち支持されていると共に、基端部を支点にして径方向に弾性変形可能とされている。
これにより、弾性アーム部132cがギアプレート132a側に向けて弾性変形することにより、ギア歯部132bを戻しギア132の径方向内側に向けて変位させることができ、戻しピニオン131の歯部から退避することが可能とされている。
【0090】
図12に示すように、サンギア133は、ギアプレート132aの内面に一体形成され、操作レバー28の回転軸線O1と同軸上に配置されている。これにより、サンギア133は戻しギア132と共に回転軸線O1回りを回転可能とされている。
【0091】
プラネタリギア134は、サンギア133に噛み合った状態で、操作レバー28にプラネタリ軸111を介して回転可能に支持されている。これにより、プラネタリギア134は、操作レバー28が回転軸線O1回りに回転することにより、操作レバー28の移動に追従して回転軸線O1を中心にして公転する。
ギアカバー22の内面には、プラネタリギア134が噛み合うインターナルギア135が形成されている。従って、プラネタリギア134は、操作レバー28の移動に伴って公転することで、インターナルギア135に噛み合いながら自転することが可能とされている。
【0092】
このようにプラネタリギア134が自転することで、サンギア133及び戻しギア132を回転軸線O1回りに回転させることができると共に、戻しギア132のギア歯部132bを戻しピニオン131に対して噛み合わせることが可能とされている。
【0093】
図5に示すように、プラテンロック機構30は、プラテンローラ45と平行な揺動軸線O2回りに揺動可能なロックアーム140、150を備え、プラテンローラ45をロックするロック状態と、該ロックを解除するロック解除状態とを切り換える機構とされている。
【0094】
図5図9及び図10に示すように、一方のロックアーム140はヘッドフレーム20における一方の側壁部60側に配置され、他方のロックアーム150は他方の側壁部61側に配置されている。
これら一対のロックアーム140、150は、操作レバー28がロック位置P3に位置しているときに、収容溝62内に収容されたプラテン軸受51を開放口62a側から押さえ、且つ操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて移動することに伴って、プラテンユニット6からヘッドユニット5側に向けて揺動軸線O2回りを揺動し、プラテン軸受51から離間して収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱を許容する。
【0095】
従って、本実施形態のプラテンロック機構30は、一対のロックアーム140、150を利用して、一対のプラテン軸受51を同時にロックすることができると共に、同時にロック解除することが可能とされている。
【0096】
一方のロックアーム140及び他方のロックアーム150は、左右方向L3に沿って延び、プラテンローラ45と平行に配置された長尺な連結軸部(第二揺動軸)141を介して連結されている。
連結軸部141は、図10に示すように円柱状のシャフトであり、ヘッドフレーム20を左右方向L3に貫通するように形成されていると共に、一方の側壁部60及び他方の側壁部61に回転可能に支持されている。なお、連結軸部141の中心軸線が揺動軸線O2とされている。
【0097】
そして、一方のロックアーム140及び他方のロックアーム150は、連結軸部141の両端部にそれぞれ連結されている。これにより、一方のロックアーム140及び他方のロックアーム150は、連結軸部141を介して揺動軸線O2回りに同期した状態で揺動可能とされている。
【0098】
なお、連結軸部141は、上下方向L1において収容溝62と戻しギア132との間に位置し、且つ前後方向L2において収容溝62よりも後方BKに位置するように配置されている。
【0099】
なお、本実施形態では、左右方向L3に配置された一対のロックアーム140、150同士を、連結軸部141を介して揺動可能に連結している場合を例にしているが、この場合に限定されるものではない。例えば、一対のロックアーム140、150及び連結軸部141を、1枚の板金等を折り曲げて一体形成することで、一部材で構成しても良い。
【0100】
一方のロックアーム140について詳細に説明する。
図13に示すように、ロックアーム140は、収容溝62よりも上方側に配置され、前後方向L2に延びるように形成されている。ロックアーム140の基端部が連結軸部141の端部に連結されている。ロックアーム140の先端部には、収容溝62内に収容されたプラテン軸受51を収容溝62の開放口62a側から覆うロック爪部145が形成されている。これにより、ロック爪部145と収容溝62における溝底部62bとの間でプラテン軸受51を挟み込むように、プラテン軸受51を保持することが可能とされている。
【0101】
なお、ロック爪部145の外側面は、プラテン軸受51を収容溝62内にセットする際にプラテン軸受51を収容溝62内に案内する傾斜した案内面145bとされている。この案内面145bは、収容溝62側の案内突起63との間に側面視でV字状のV溝が画成されるように形成されている。
【0102】
さらにロックアーム140の基端部には、左右方向L3の外側に向けて突設された係合壁部146が形成されている。係合壁部146は、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて操作した際、押上げカム113が係合ピン95を介してスイングプレート90を揺動させた後に、操作レバー28に設けられたレバー突部112(図14参照)が接触する壁部とされている。
【0103】
これにより、ロックアーム140の全体は、操作レバー28の操作に伴って係合壁部146を介してレバー突部112から押され、揺動軸線O2を中心に時計方向に揺動するように構成されている。つまり、ロックアーム140は、プラテンユニット6側からヘッドユニット5側に向かうように、揺動軸線O2を中心に上方に向けて揺動するように構成されている。
そのため、ロックアーム140のロック爪部145は、操作レバー28の操作に伴ってプラテン軸受51から徐々に離れ、操作レバー28がロック位置P3に達したときに、収容溝62からヘッドユニット5側に退避して開放口62aを開放する。これにより、収容溝62内からのプラテン軸受51の離脱を許容することが可能とされている。
【0104】
図5図11図13に示すように、プラテンロック機構30は、離脱アーム200を備えている。本実施形態において、離脱アーム200は、左右方向L3の一方側の側壁部60に設けられている。離脱アーム200は、側壁部60から左右方向L3の外側に突出するアーム支持軸(第三揺動軸)210に揺動可能に設けられている。アーム支持軸210は、左右方向L3に延びてプラテンローラ45と平行に配置されている。
【0105】
アーム支持軸210は、ロックアーム140を揺動可能に支持する連結軸部141、及び操作レバー28を揺動可能に支持するレバー支持軸106とは異なる位置に配置されている。図11に示すように、アーム支持軸210は、前後方向L2において、その少なくとも一部が、プラテンローラ45の最大外径部に重なっている。さらに、アーム支持軸210は、前後方向L2において、その少なくとも一部が、プラテン軸受51に重なっている。また、上下方向L1において、アーム支持軸210は、レバー支持軸106に対してプラテン軸受51を挟んで反対側に配置されている。
【0106】
図5に示すように、離脱アーム200は、操作レバー28に対して左右方向L3で隣り合って配置されている。離脱アーム200は、操作レバー28に対して、左右方向L3の内側に配置されている。図13に示すように、離脱アーム200は、アーム本体201と、ボス203と、離脱押圧面205と、を備えている。
【0107】
アーム本体201は、左右方向L3に直交する面に沿ったプレート状を成している。アーム本体201は、アーム支持軸210が左右方向L3に貫通することで、アーム支持軸210周りに揺動自在に設けられている。
【0108】
ボス203は、アーム本体201において、アーム支持軸210の径方向外側に形成されている。ボス203は、アーム本体201から左右方向L3の外側、つまり操作レバー28側に突出している。図11図14に示すように、操作レバー28には、ボス203が挿入可能なボス収容溝118が形成されている。ボス収容溝118は、アーム支持軸210を中心とし、アーム支持軸210及びボス203間を曲率半径とする仮想円の接線方向に延びるように窪んでいる。ボス収容溝118は、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動したときにボス203の外周面に突き当たる突き当たり面118fを有している。操作レバー28の突き当たり面118fは、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5に向けて定められた角度移動したときに、ボス203の外周面に突き当たるように形成されている。操作レバー28が、突き当たり面118fがボス203の外周面に突き当たるボス突き当たり位置P6(図17参照)に到達するタイミングとしては、例えば、プラテン軸受51が収容溝62から離脱するときの移動軌跡からロックアーム140が退避した状態となったときである。操作レバー28がボス突き当たり位置P6に到達するタイミングは、これに限らず、少なくとも、ロックアーム140がロック状態からロック解除状態に移行しはじめ、ロックアーム140によってプラテン軸受51が収容溝62内から離脱するのを拘束していない状態であればよい。アーム本体201は、操作レバー28をさらにロック解除位置P5に向けて回動させると、突き当たり面118fによってボス203が押圧されることで、アーム本体201がアーム支持軸210周りに回動する。
【0109】
ここで、図11に示すように、ボス203は、上下方向L1において、プラテン軸受51に対してアーム支持軸210を挟んで反対側に配置されている。これにより、操作レバー28の回転中心であるレバー支持軸106から、ボス203までの距離を長く確保することができる。したがって、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動させたときに、ボス203を効率良く押圧することができる。
【0110】
図13に示すように、離脱押圧面205は、アーム本体201において、アーム支持軸210を挟んでボス203とは上下方向L1で反対側に形成されている。離脱押圧面205は、前方FWを向いて形成されている。離脱押圧面205は、アーム本体201がアーム支持軸210周りに回動することによって、収容溝62の内部に収容されたプラテン軸受51を、前方FWに押圧する。このとき、離脱押圧面205は、収容溝62の溝底部62bに接触したプラテン軸受51に突き当たった状態で、溝底部62bに対し、なるべく直交する角度に近くなるように形成するのが好ましい。つまり、離脱押圧面205は、収容溝62の溝底部62bに接触したプラテン軸受51に突き当たった状態で、上下方向L1に延びるように形成するのが好ましい。これにより、収容溝62内のプラテン軸受51に対し、離脱押圧面205による押圧力を効率良く伝達することができる。
【0111】
上述したような離脱アーム200は、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動することに伴って、アーム支持軸210周りに回動し、プラテン軸受51を収容溝62の内部から開放口62a側に向けて押圧し、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させる。
【0112】
なお、本実施形態のプラテンユニット6は、図5に示すように、ヘッドユニット5に組み合わされた際、従動ギア52が、ヘッドフレーム20における他方の側壁部61側に配置された図示しないプラテン輪列機構に噛み合い可能とされている。プラテン輪列機構は、プラテンローラ45を駆動するための図示しない駆動用モータからの動力を受けて作動し、該動力を従動ギア52に伝達する役割を果たしている。
これにより、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とを組み合わせた際、プラテンローラ45を回転させて記録紙Pの紙送りを行うことが可能とされている。
【0113】
(サーマルプリンタの作用)
次に、上述のように構成されたサーマルプリンタ1の作用について説明する。
はじめに、ヘッドユニット5とプラテンユニット6を組み合わせる場合について説明する。
この場合には、図2に示すように、ロール状の記録紙Pをケーシング2の記録紙収納部16内に投入してセットした後、プリンタカバー3を閉操作することで、プラテンユニット6をヘッドユニット5に対して接近させることができる。そして、図1に示すように、プリンタカバー3を完全に閉めることで、記録紙Pをサーマルヘッド25とプラテンローラ45との間に挟んだ状態で、ヘッドユニット5とプラテンユニット6を組み合わせることができる。
【0114】
なお、プリンタカバー3の閉操作に伴って、プラテンローラ45のプラテン軸受51が収容溝62の案内突起63及びロック爪部145の案内面145bで案内されながら収容溝62内に嵌まり込むように案内され、収容溝62内に収容される。
【0115】
ロックアーム140、150は、プラテン軸受51によって押された後、戻しばね(図示せず)の付勢力によって揺動軸線O2回りを揺動して元の位置に復帰し、ロック爪部145を利用してプラテン軸受51を収容溝62の開放口62a側から押さえ付ける。
これにより、図5に示すように、一対のロックアーム140、150を利用して、一対の収容溝62内に収容された一対のプラテン軸受51のそれぞれを押さえることができるので、収容溝62内からプラテン軸受51が抜け出てしまうことを防止することができる。従って、プラテンロック機構30を利用して、プラテンローラ45をロック状態に維持することができる。なお、プリンタカバー3の閉操作において、ロックアーム140、150がプラテン軸受51によって押された状態では、突き当たり面118fはボス203には当接しないこと(上述したボス突き当たり位置P6に到達しないこと)が好ましい。これにより、プリンタカバー3の閉操作において、離脱アーム200が移動するのを抑制できる。但し、ロックアーム140、150が戻しばねによって復帰するまでの間にプラテン軸受51が離脱押圧面205に当接しない構成であれば、離脱アーム200が僅かに移動してもよい。
【0116】
これにより、ヘッドユニット5とプラテンユニット6との組み合わせをロックすることができると同時にケーシング2に対するプリンタカバー3のロックも行うことができる。
なお、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とが組み合わされることで、記録紙Pを間に挟んだ状態でサーマルヘッド25とプラテンローラ45とが所定の圧力で圧接される。また、記録紙Pは、可動刃26と固定刃46との間を通過した後、排出口18からケーシング2の外側に引き出された状態となる。さらに、プラテンローラ45の従動ギア52が、ヘッドユニット5側のプラテン輪列機構に噛み合った状態となる。
【0117】
次に、記録紙Pに対して各種情報の印刷を行う場合について簡単に説明する。
この場合には、駆動用モータを駆動して、プラテン輪列機構を介して従動ギア52を回転させる。これにより、プラテンローラ45を回転させることができ、サーマルヘッド25との間で挟みこまれた記録紙Pを排出口18に向けて紙送りさせることができる。
また、これと同時にサーマルヘッド25に印字データに応じた制御信号を出力して発熱素子を適宜発熱させる。これにより、紙送りされる記録紙Pに対して、各種の文字や図形等を明瞭に印刷することができる。
なお、印刷された記録紙Pは固定刃46と可動刃26との間を通過する。
【0118】
次に、記録紙Pを切断する場合について簡単に説明する。
この場合には、駆動用モータ75を駆動して図9に示す駆動中間車76を回転させる。これにより、二段中間車77(大径中間車77a及び小径中間車77b)を介して駆動ピニオン78を回転させることができ、駆動ラック71を戻しラック130と共に矢印F1方向に移動させることができる。そのため、可動刃26を待機位置P2から切断位置P1まで移動させることができ、図8に示すように記録紙Pを固定刃46との間で挟み込んで切断することができる。その結果、切断した記録紙Pを例えばレシートやチケット等として使用することが可能である。
【0119】
なお、記録紙Pの切断後、駆動用モータ75を逆回転させる。これにより、駆動中間車76及び二段中間車77を介して駆動ピニオン78を逆回転させることができ、図9に示すように、駆動ラック71を戻しラック130と共に矢印F2方向に移動させることができる。そのため、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2まで移動させて復帰させることができる。
【0120】
また、記録紙Pの切断の際、戻しピニオン131は、戻しギア132におけるギア歯部132bとの噛み合いが解除された状態となっており、空転が許容されている。そのため、可動刃26が切断位置P1に移動したときに、戻しラック130のラック歯130a、130bが戻しピニオン131が噛み合った場合であっても、戻しピニオン131を空転させることができる。従って、戻しピニオン131に影響されることなく、駆動ラック71及び戻しラック130を移動させることができ、記録紙Pの切断を行うことができる。
【0121】
次に、可動刃26と固定刃46との間に紙ジャムが発生した場合に、操作レバー28を操作することで、紙ジャムの解消を行いながら、プラテンユニット6のロック解除を行って、プリンタカバー3を開放する場合の一連の動作について説明する。
なお、記録紙Pの切断中に紙ジャムが発生した場合には、図15に示すように、第2付勢部材120の付勢力に抗して、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5側に向けて操作する。これにより、回転軸線O1を中心として操作レバー28を反時計方向に回転するように移動させることができ、操作レバー28の移動に伴って、インターナルギア135に噛み合っているプラネタリギア134を、プラネタリ軸111を中心として時計方向に自転させながら回転軸線O1を中心として反時計方向に公転させることができる。
そして、プラネタリギア134の回転に伴って、サンギア133及び戻しギア132を、回転軸線O1を中心として反時計方向に回転させることができる。
【0122】
図16に示すように、操作レバー28が反時計方向に回転することで、押上げカム113が係合ピン95に対して接触し、係合ピン95を介してスイングプレート90に対して外力を付与する。そのため、さらなる操作レバー28の操作によって、押上げカム113でスイングプレート90を押上げることができ、第1付勢部材100の付勢力に抗して、ピニオン支持軸81を中心としてスイングプレート90を時計方向に揺動させることができる。
【0123】
これにより、スイングプレート90に取り付けられている二段中間車77を駆動中間車76から離間させることができ、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いを解除することができる。
従って、このときの操作レバー28の位置が噛合解除位置P4に相当する。
【0124】
また、スイングプレート90の揺動と同時に、操作レバー28の操作に伴ってサンギア133及び戻しギア132が反時計方向に回転するので、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いが解除されたタイミングで、戻しギア132の最初のギア歯部132bを戻しピニオン131に噛み合わせることができる。これにより、戻しピニオン131を時計方向に回転させることができる。
【0125】
そのため、図16に示す噛合解除位置P4からロック解除位置P5側に向けて操作レバー28をさらに操作することで、戻しギア132の残りのギア歯部132bを戻しピニオン131に順次噛み合わせることができ、戻しピニオン131を継続的に時計方向に回転させることができる。
そのため、戻しピニオン131に噛み合っている戻しラック130を矢印F2方向に移動させることができ、可動刃26を切断位置P1から待機位置P2に強制的に復帰させることができる。これにより、固定刃46に対して可動刃26が重なった状態を解消することができ、紙ジャムを解除することができる。
【0126】
なお、戻しピニオン131を利用して可動刃26を待機位置P2に復帰させる際、戻しラック130と共に駆動ラック71も移動するので、駆動ピニオン78が回転する。このとき、先に述べたように、二段中間車77と駆動中間車76との噛み合いが解除されているので、駆動ピニオン78及びこれに噛み合っている二段中間車77をそれぞれ空転させることができる。そのため、駆動ピニオン78及び二段中間車77に影響されることなく、可動刃26を待機位置P2に復帰させることができる。
【0127】
なお、可動刃26が待機位置P2に復帰することで、戻しラック130のラック歯130a、130bが戻しピニオン131から外れた状態となる。従って、可動刃26を待機位置P2に復帰させて紙ジャムの解除を行った段階で、戻しラック130のラック歯130a、130bと戻しピニオン131との噛み合いを解除することができる。
【0128】
また、可動刃26が待機位置P2に復帰したタイミングで、操作レバー28のレバー突部112が一方のロックアーム140の係合壁部146に対して接触し、係合壁部146を介してロックアーム140に対して外力を付与する。これにより、ロックアーム140を、プラテンユニット6側からヘッドユニット5側に向かうように、揺動軸線O2を中心に揺動させることができる。そのため、ロックアーム140の揺動に伴って、ロック爪部145をプラテン軸受51から徐々に離間させることができる。
【0129】
また、図17に示すように、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて所定角度回動させてボス突き当たり位置P6に到達した時点で、突き当たり面118fがボス203の外周面に突き当たる。操作レバー28を、さらにロック解除位置P5に向けて回動させると、アーム支持軸210の径方向外側に設けられたボス203が押圧され、離脱アーム200がアーム支持軸210周りに回動し、プラテン軸受51を収容溝62の内部から開放口62a側に向けて押圧する。
【0130】
図18に示すように、操作レバー28を、ロック解除位置P5まで回動させると、ロックアーム140がロック状態から回動してロック解除状態となり、離脱アーム200によってプラテン軸受51が収容溝62から離脱される。このとき、離脱アーム200は、案内突起63の頂点部63aよりも、開放口62a側にプラテンローラ45のローラ中心が移動するまで、プラテン軸受51を押圧する。
【0131】
このように、操作レバー28をロック解除位置P5に位置させることで、プラテンロック機構30を利用してプラテンローラ45をロック解除状態に切り換えることができ、ヘッドユニット5とプラテンユニット6とを分離させることができる。その結果、プラテンユニット6が取り付けられたプリンタカバー3を開放することができる。
【0132】
以上説明したように、本実施形態の印字ユニット4及びサーマルプリンタ1によれば、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動すると、これに伴って離脱アーム200が回動し、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させることができる。このような構成において、ロックアーム140と、離脱アーム200とが別々の部品として設けられている。このため、ロックアーム140は、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させる機能を備えることなく、プラテン軸受51を収容溝62の内部に嵌め込んだ状態でプラテンローラ45をロックする機能のみを実現すればよい。また、離脱アーム200は、プラテン軸受51を収容溝62の内部に嵌め込んだ状態でプラテンローラ45をロックする機能を備えることなく、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させる機能のみを実現すればよい。したがって、ロックアーム140、及び離脱アーム200のそれぞれにおいて、設計の自由度を高め、最適な設計がしやすくなる。その結果、プラテンローラ45の係止機能と、プラテンローラ45の係止解除機能の双方を実現しつつ、各部の設計を高い自由度で行うことが可能となる。
【0133】
さらに、左右方向L3から見て、アーム支持軸210の少なくとも一部が、プラテンローラ45の最大外径部に対して前後方向L2で重なっている。このような構成により、プラテン軸受51を収容溝62の開放口62aから離脱させる際に、離脱アーム200によってプラテン軸受51を上方の開放口62aに向かって効率良く押圧することができる。
【0134】
また、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動させると、突き当たり面118fがボス203の外周面に突き当たる。これにより、アーム支持軸210の径方向外側に設けられたボス203が押圧され、離脱アーム200がアーム支持軸210周りに回動し、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させることができる。
【0135】
さらに、操作レバー28の突き当たり面118fは、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5に向けて定められた角度移動したときに、ボス203の外周面に突き当たる。このような構成によれば、操作レバー28がロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動し始めると同時に、離脱アーム200を回動させる構成とする必要がなくなる。したがって、操作レバー28の回動動作と、離脱アーム200の回動動作とを、それぞれに適したタイミングで行うことができる。この点においても、操作レバー28及び離脱アーム200の設計の自由度を高めることができる。
【0136】
また、ボス203は、プラテン軸受51に対してアーム支持軸210を挟んで反対側に配置されている。このような構成によれば、操作レバー28の突き当たり面118fをボス203に突き当てたときに、操作レバー28によるボス203の押圧力を、プラテン軸受51に効率良く伝達することができる。
【0137】
また、レバー支持軸106は、アーム支持軸210に対してプラテン軸受51を挟んで反対側に配置されている。このような構成によれば、操作レバー28の回転中心であるレバー支持軸106から、ボス203までの距離を長く確保することができ、操作レバー28をロック位置P3からロック解除位置P5に向けて回動させたときに、ボス203を効率良く押圧することができる。したがって、プラテン軸受51を収容溝62から離脱させるために操作レバー28を回動させるときの操作力が少なくて済む。
【0138】
また、離脱アーム200を利用してプラテン軸受51を収容溝62から離脱させる際、離脱アーム200が案内突起63の頂点部63aよりも開放口62a側にプラテンローラ45のローラ中心が移動するようにプラテン軸受51を大きく強制的に押上げる。そのため、収容溝62における開放口62a付近までプラテン軸受51を押上げて、ほぼ離脱させた状態に移行させることができるので、ヘッドユニット5とプラテンユニット6との分離作業をさらに容易に行うことができる。
【0139】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0140】
例えば、上記実施形態では、離脱アーム200を、左右方向L3の一方側のプラテン軸受51に対応して設けるようにしたが、離脱アーム200は、左右方向L3の両側のプラテン軸受51に対応してそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0141】
さらに、上記実施形態では、一対のロックアーム140、150を利用して、一対のプラテン軸受51の両方を押さえる構成としたが、この場合に限定されるものではなく、1つのロックアームを利用して少なくとも一方のプラテン軸受51を押さえる構成としても構わない。
【0142】
また、離脱アーム200やロックアーム140の形状、回動中心の位置等は、離脱アーム200による機能に応じて、適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、アーム支持軸210が、前後方向L2において、その少なくとも一部が、プラテンローラ45の最大外径部に重なるようにしたが、これに限らない。アーム支持軸210は、前後方向L2において、プラテンローラ45の最大外径部に重ならないように配置してもよい。
また、例えば、アーム支持軸210は、連結軸部141に対してプラテン軸受51とは反対側に配置してもよい。
【0143】
また、上記実施形態では、離脱アーム200が操作レバー28の動作によって回動する構成としたが、これに限らない。例えば、離脱アーム200は、ロックアーム140の動作によって回動するようにしてもよい。すなわち、離脱アーム200は、ロックアーム140に接続された構成であってもよい。この際、離脱アーム200は、ロックアーム140によってプラテン軸受51が収容溝62内から離脱するのを拘束していない状態であれば、ロックアーム140の移動開始と同じタイミングで移動開始しても、ロックアーム140の移動開始に対して時間差で移動開始してもよい。
【0144】
さらに上記実施形態では、操作レバー28を、ケーシング2に設けられたレバー19の回動動作に連動させた例について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、操作レバー28の先端部をケーシング2の外側に露出させて、ケーシング2の外側から操作レバー28を直接操作できるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0145】
1…サーマルプリンタ
2…ケーシング(プリンタ本体)
3…プリンタカバー
4…印字ユニット
5…ヘッドユニット
6…プラテンユニット
16…記録紙収納部
25…サーマルヘッド
28…操作レバー
45…プラテンローラ
51…プラテン軸受
62…収容溝
62a…開放口
62b…溝底部
63…案内突起
63a…頂点部
106…レバー支持軸(第一揺動軸)
118f…突き当たり面
140…ロックアーム
141…連結軸部(第二揺動軸)
150…ロックアーム
200…離脱アーム
203…ボス
210…アーム支持軸(第三揺動軸)
L2…前後方向(第二方向)
L3…左右方向(第一方向)
P…記録紙
P3…ロック位置
P5…ロック解除位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18