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特開2022-147175プリント基板およびプリント基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147175
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】プリント基板およびプリント基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H05K3/34 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048320
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】別家 誠
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AC20
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD26
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】電子部品を良好にハンダ接合可能なプリント基板と、そのようなプリント基板の製造方法とを提供する。
【解決手段】回路パターンが形成され、電子部品18が表面実装されるプリント基板10であって、電子部品18と回路パターンとを電気的に接続するためにプリント基板10の表面12a上に形成された複数のパッド14と、プリント基板10における電子部品18の配置領域Aの縁部領域C内に複数のパッド14を避けて形成され、配置された電子部品18を下方から支持する支持部材16と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンが形成され、電子部品が表面実装されるプリント基板であって、
前記電子部品と前記回路パターンとを電気的に接続するために前記プリント基板の表面上に形成された複数のパッドと、
前記プリント基板における前記電子部品の配置領域の縁部領域内に複数の前記パッドを避けて形成され、配置された前記電子部品を下方から支持する支持部材と、
を備える、プリント基板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント基板であって、
前記縁部領域は、前記配置領域の中心位置を含む所定領域よりも外側であって複数の前記パッドを除く領域である、プリント基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリント基板であって、
前記支持部材は環状に形成されている、プリント基板。
【請求項4】
請求項1または2に記載のプリント基板であって、
前記支持部材は、前記縁部領域内に分散配置されることで、各々が前記電子部品を下方から支持する複数の支持体を有する、プリント基板。
【請求項5】
請求項4に記載のプリント基板であって、
複数の前記支持体は、前記配置領域の中心位置に対して点対称に設けられている、プリント基板。
【請求項6】
請求項4に記載のプリント基板であって、
複数の前記支持体は、複数の前記パッドに対応して設けられている、プリント基板。
【請求項7】
請求項6に記載のプリント基板であって、
複数の前記支持体の各々は、対応する前記パッドの縁部形状に沿って延在するように形成されている、プリント基板。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記表面上に形成されたレジスト層をさらに備え、
前記支持部材はシルクであり、前記レジスト層の上に形成されている、プリント基板。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のプリント基板であって、
前記表面上に形成されたレジスト層をさらに備え、
前記支持部材は前記回路パターンと同じ材料からなり、前記レジスト層の下に形成されている、プリント基板。
【請求項10】
電子部品が表面実装されるプリント基板の製造方法であって、
前記電子部品と、前記プリント基板に形成される回路パターンとを電気的に接続するための複数のパッドを、前記プリント基板の表面上に形成するパッド形成工程と、
前記電子部品を下方から支持する支持部材を、前記プリント基板における前記電子部品の配置領域の縁部領域内に複数の前記パッドの形成位置を避けて形成する支持部材形成工程と、
を含む、プリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板と、そのプリント基板の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板上には電子部品が表面実装される。電子部品はプリント基板上に形成されたパッドと接合することができる。その接合手段としてハンダ接合が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-251904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッドと電子部品とのハンダ接合は、パッドと電子部品との間に設けたハンダを加熱溶融することで行うのが一般的である。このとき、ハンダのみならず電子部品も加熱するので、電子部品が熱により変形してしまうことがある。
【0005】
従来では、電子部品のうちパッドと導通すべき端子の位置が上記変形によって変化してしまい、電子部品とパッドとの導通不良が発生していた。
【0006】
本発明は、電子部品を良好にハンダ接合可能なプリント基板と、そのようなプリント基板の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、回路パターンが形成され、電子部品が表面実装されるプリント基板であって、前記電子部品と前記回路パターンとを電気的に接続するために前記プリント基板の表面上に形成された複数のパッドと、前記プリント基板における前記電子部品の配置領域の縁部領域内に複数の前記パッドを避けて形成され、配置された前記電子部品を下方から支持する支持部材と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、電子部品が表面実装されるプリント基板の製造方法であって、前記電子部品と、前記プリント基板に形成される回路パターンとを電気的に接続するための複数のパッドを、前記プリント基板の表面上に形成するパッド形成工程と、前記電子部品を下方から支持する支持部材を、前記プリント基板における前記電子部品の配置領域の縁部領域内に複数の前記パッドの形成位置を避けて形成する支持部材形成工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品を良好にハンダ接合可能なプリント基板と、そのようなプリント基板の製造方法とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、参考例に係るプリント基板を上方から見下ろした平面図である。図1Bは、図1AのIB-IB線断面図である。
図2図2Aは、図1Aのプリント基板にハンダと電子部品とを載せた状態を表す図である。図2Bは、図2Aのプリント基板および電子部品に関して、リフロー中の状態を表す図である。
図3図3Aは、実施の形態に係るプリント基板を上方から見下ろした平面図である。図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線断面図である。
図4図4Aは、図3Aのプリント基板にハンダと電子部品とを設けた状態を表す平面図である。図4Bは、図4AのIVB-IVB線断面図である。
図5図4Bのプリント基板および電子部品に関して、リフロー後の状態を表す図である。
図6】実施の形態に係るプリント基板を製造する製造方法の流れを例示するフローチャートである。
図7図7Aは、図6のフローチャートのうちパッド形成工程を説明するための図である。図7Bは、図6のフローチャートのうちレジスト形成工程を説明するための図である。
図8図8Aは、変形例1に係る支持部材の第1例を上方から見下ろした平面図である。図8Bは、変形例1に係る支持部材の第2例を上方から見下ろした平面図である。図8Cは、変形例1に係る支持部材の第3例を上方から見下ろした平面図である。
図9図9Aは、変形例3に係るプリント基板を見下ろす平面図である。図9Bは、図9AのIXB-IXB線断面図である。
図10】変形例3に係るプリント基板の製造方法の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のプリント基板およびプリント基板の製造方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
[参考例]
実施の形態を説明する前に、その理解を容易とするための参考例を説明しておく。
【0013】
図1Aは、参考例に係るプリント基板100を上方から見下ろした平面図である。
【0014】
プリント基板100は、基板12と、複数のパッド14とを備える。基板12には電子部品18が表面実装される(図2A参照)。基板12上における電子部品18の配置は予め決められている。この参考例、およびこの後で説明する実施の形態では、電子部品18が配置される基板12上の領域を指して「配置領域A」という。図1Aには、配置領域Aを点線で例示した。
【0015】
複数のパッド14は、配置領域Aに配置される電子部品18と電気的に接続するために形成される。複数のパッド14は、基板12に形成される回路パターン(不図示)と導通している。
【0016】
図1Bは、図1AのIB-IB線断面図である。
【0017】
基板12の表面12a上には、回路パターンを保護するためのレジスト層(ソルダレジスト層)20が形成される。レジスト層20は、複数のパッド14を避けて形成される。
【0018】
図2Aは、図1Aのプリント基板100にハンダ22’と電子部品18とを載せた状態を表す図である。
【0019】
プリント基板100に電子部品18を表面実装するときは、例えば図2Aに示すように、複数のパッド14上にハンダ22’を載せ、さらにその上に電子部品18を載せる。電子部品18は図1Aの配置領域A内に収まるように配置される。
【0020】
図2Bは、図2Aのプリント基板100および電子部品18に関して、リフロー中の状態を表す図である。
【0021】
ハンダ22’は、複数のパッド14と電子部品18とを接合するため、リフローされる。リフローではハンダ22’を加熱するが、このとき基板12や電子部品18も一緒に加熱される。その結果、電子部品18が変形(反りや膨張)してしまうことがある。図2Bはその例示であり、説明のために誇張して表現しているが、電子部品18の下方が膨張変形した状態を示している。
【0022】
変形した電子部品18は、図2Bに示すように、変形した部分を支点にして傾くことがある。また、この傾きにより、電子部品18の端子18aの位置が変化してしまうことがある。このような場合には、該端子18aとパッド14とは接合されず、電子部品18と回路パターンとは導通不良になってしまう。
【0023】
図2Bには、導通不良になるケースの一例として、端子18aが持ち上がってしまった状態を図示した。図2Bの持ち上がった端子18aは、パッド14と導通できていない。このような端子18aは、パッド14との間にハンダ22’を追加補充することでパッド14と接合することが可能ではある。しかしながら、その場合は、はんだ供給過多や、いわゆるサイドボールの発生といった別の問題を生じる懸念がある。
【0024】
また、電子部品18の傾きは、電子部品18ののうちの変形した部分の下方領域に形成されたレジスト層20を除去することで、矯正することが可能ではある。しかしながら、その場合は、当該領域に関してレジスト層20による保護ができなくなってしまう。
【0025】
[実施の形態]
参考例を踏まえ、以下、実施の形態を説明する。参考例で既に説明した構成要素には同一の符号を付す。
【0026】
図3Aは、実施の形態に係るプリント基板10を上方から見下ろした平面図である。なお、図面では配置領域Aの周辺のみを図示することとし、その他の領域は省略している。
【0027】
本実施の形態に係るプリント基板10は、基板12と、複数のパッド14と、支持部材16とを備える。
【0028】
基板12は、例えばその材料に樹脂を含み、絶縁性を有する。基板12には、図示は割愛するが所定の回路パターンが形成される。回路パターンは例えば銅を材料に含む。回路パターンは、基板12の表面12aに露出した複数のパッド14と導通している。表面12aのうち複数のパッド14を除いた領域は、レジスト層20により保護されている。
【0029】
複数のパッド14は、後で配置される電子部品18と電気的に接続するために形成される。複数のパッド14の具体数は、本実施の形態では例示のために「4」としているが、これに限定されるわけではない。
【0030】
複数のパッド14の各々は例えば銅を材料に含む。複数のパッド14の各々は実施の形態では平面視で矩形状を有する(図3A参照)が、これに限定されない。
【0031】
プリント基板10には電子部品18を表面実装することができる(図5参照)。電子部品18は、表面12a上において予め決められた配置領域A(図3Aの外側の破線)に配置される。図3Aの配置領域Aは図示の通り平面視で矩形状であるが、その他の形状、例えば円形状であってもよい。
【0032】
図3A中の中心点Pは、配置領域Aの中心を示す。また、図3Aに示した配置領域Aの内側の破線は、配置領域A内において予め決められる所定領域Bと縁部領域Cとの境界を示す。
【0033】
所定領域Bと縁部領域Cとのうち、先に縁部領域Cを説明する。縁部領域Cは、配置領域Aの縁部を含んで構成される領域である。縁部領域Cは後で説明する所定領域Bを囲み、且つ複数のパッド14を除いて規定される。
【0034】
図3Aに示すように、縁部領域C内には支持部材16が形成される。支持部材16については後で改めて説明する。
【0035】
所定領域Bは、配置領域A内において予め決められる表面12a上の領域であって、配置領域Aの中心点Pを含む。所定領域Bの中心は、図3Aの例示では配置領域Aと同じ中心点Pであるが、所定領域Bの中心と中心点Pとは一致していなくてもよい。所定領域Bの面積は、限定されないが、例えば配置領域Aの面積の四分の一から三分の一の割合を占める。なお、所定領域Bは図3Aの例示では矩形状であるが、例えば円形状であってもよい。
【0036】
前述したように電子部品18は加熱すると変形することがある。このときの変形では、実際にどのように形状が変化するのかを正確に予測することは難しいが、変形した箇所が支点となり部品の電極が浮くことを想定すると、電子部品18の中央部が支点となるとき、電極の浮きは最大となる。所定領域Bは、電子部品18の電極の浮きに対し最も影響すると予想される領域として定めている。
【0037】
支持部材16は、配置領域Aに配置される電子部品18を下方から支持する部材である。支持部材16は、本実施の形態では縁部領域C内に分散配置される複数の支持体16aを有しており、複数の支持体16aの各々により電子部品18を支持する。
【0038】
複数の支持体16aの各々は絶縁性部材であり、より具体的に、本実施の形態ではシルクである。シルクは、これ自体は本技術分野において基板12への印字および描画の用に供されるものとしてよく知られており、調達が容易である。また、支持部材16をシルクとすることにより、既知のシルク印刷技術を支持部材16の形成において流用することができる。
【0039】
複数の支持体16aは、図3Aに示すように、配置領域Aの中心位置(中心点P)に対して点対称的に設けると好ましい。これにより、電子部品18をバランスよく支持することができる。なお、複数の支持体16aは、表面12aの延在方向に沿って中心点Pを通る仮想直線に対して線対称的に設けられてもよい。
【0040】
図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線断面図である。
【0041】
基板12の表面12a上には絶縁性のレジスト層(ソルダレジスト層)20が形成されている。レジスト層20は、例えばゴミやホコリの付着による回路パターンの短絡、あるいは電子部品18と回路パターンとの意図しない接触による短絡からプリント基板10を保護する。図3Bに示すように、支持部材16はレジスト層20の上に形成されている。
【0042】
図4Aは、図3Aのプリント基板10にハンダ22’と電子部品18とを設けた状態を表す平面図である。
【0043】
プリント基板10に電子部品18を実装するときは、配置領域Aに電子部品18を配置する。このとき、複数のパッド14上には予めハンダ22’を載せておき、さらにその上に、電子部品18を載せるようにする。
【0044】
図4Bは、図4AのIVB-IVB線断面図である。
【0045】
電子部品18は、複数のパッド14と導通するための複数の端子18aを備える。電子部品18を配置するときは、複数のパッド14上のハンダ22’と端子18aとを接触させる。
【0046】
図5は、図4Bのプリント基板10および電子部品18に関して、リフロー後の状態を表す図である。
【0047】
図4Aおよび図4Bに例示したハンダ22’にリフローを施すと、図4Bと同視点では図5のようになる。図4Bのハンダ22’は、リフローを経ることで、図5において複数のパッド14と複数の端子18aとを接合するハンダ接合部22になっている。電子部品18と不図示の回路パターンとは、端子18a、ハンダ接合部22およびパッド14を通じて導通している。
【0048】
図5の電子部品18は、リフロー時にハンダ22’ごと加熱されたことにより、下方に膨張した変形部18bを有する。変形部18bは前述の通り、また図5に例示するように、電子部品18の中央部、すなわち所定領域Bの上方で最も大きく形成される傾向にある。
【0049】
複数の支持体16aの各々は、変形部18bよりも外側で電子部品18を下方から支持する。これにより、電子部品18が加熱により変形したとしても、その変形によって電子部品18が傾くことは抑制される。
【0050】
したがって、本実施の形態のプリント基板10によれば、複数のパッド14を電子部品18と良好にハンダ接合することができる。本実施の形態では電子部品18が傾くこと自体を抑制するので、持ち上がった端子18aを接合するための余計なハンダ22’は必要なく、且つ傾きを矯正するために電子部品18の下方のレジスト層20を除去する必要もない。
【0051】
図6は、実施の形態に係るプリント基板10を製造する製造方法の流れを例示するフローチャートである。
【0052】
以下、プリント基板10の製造方法を説明する。ただし、既知の技術を流用し得る事項については、その説明をできるだけ省略する。
【0053】
本実施の形態で説明するプリント基板10の製造方法は、図6に示すように、パターン形成工程S1と、レジスト形成工程S2と、シルク描画工程S3とを含む。また、パターン形成工程S1はパッド形成工程S11を含み、シルク描画工程S3は支持部材形成工程S31を含む。
【0054】
パターン形成工程S1は、基板12に回路パターンおよび複数のパッド14を形成する工程である。
【0055】
図7Aは、図6のフローチャートのうち、パッド形成工程S11を説明するための図である。
【0056】
パッド形成工程S11は、パターン形成工程S1の中で特に複数のパッド14を形成する工程である。パッド形成工程S11では、電子部品18と、プリント基板10に形成される回路パターンとを電気的に接続するための複数のパッド14を、プリント基板10上に形成する。
【0057】
図7Bは、図6のフローチャートのうち、レジスト形成工程S2を説明するための図である。
【0058】
レジスト形成工程S2では、レジスト層20の形成を行う。レジスト層20の形成領域には配置領域Aが含まれるが、複数のパッド14の形成位置は除かれる。
【0059】
シルク描画工程S3は、基板12上に表示したい情報をシルクによって描画(文字の印字を含む)する工程である。
【0060】
支持部材形成工程S31は、支持部材16を形成する工程である。支持部材形成工程S31は図6に示すように、シルク描画工程S3の中で行うとよい。つまり、情報表示のためのシルクを基板12上に配置(印刷)する際に、支持部材16となるシルクも配置(印刷)すると、手順として効率がよい。支持部材16となるシルクは、縁部領域C内のうち、複数のパッド14の形成位置を避けて、レジスト層20の上に配置される。これにより、図3Aのプリント基板10を得る。
【0061】
[変形例]
以上、本発明の一例として実施の形態が説明された。上記実施の形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。また、その様な変更または改良を加えた形態が本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0062】
以下、実施の形態に係る変形例を具体的にいくつか挙げて説明する。ただし、実施の形態で既に説明した構成要素には同一の符号を付す。また、以下では実施の形態との相違点を主に説明することとし、重複する説明はできるだけ割愛する。
【0063】
(変形例1)
支持部材16の配置は、実施の形態の例示(図3A)に限定されない。これに関して以下、いくつか例を挙げて説明する。
【0064】
図8Aは、変形例1に係る支持部材16の第1例を上方から見下ろした平面図である。
【0065】
図8Aに示すように、支持部材16は環状に形成されてもよい。環状の支持部材16は、所定領域Bを囲むように縁部領域Cに形成される。これにより、電子部品18の膨張しやすい中央部が支持部材16で囲まれ、電子部品18をバランスよく支持することができる。
【0066】
図8Aに例示した支持部材16は、中心点Pを中心とする略真円状を有する。ただし、環状の支持部材16は略真円ではなく、例えば楕円形状に形成されてもよい。なお、限定されるものではないが、本変形例の縁部領域Cと所定領域Bとの境界線は、支持部材16の外縁に一致しているものとする。
【0067】
図8Bは、変形例1に係る支持部材16の第2例を上方から見下ろした平面図である。
【0068】
図8Bに示すように、複数の支持体16aの各々は、対応するパッド14の縁部形状に沿って延在するように形成されてもよい。これにより、特定のパッド14の方向に電子部品18が傾くことを、該パッド14に対応する支持体16aによって抑制することができる。
【0069】
図8Bの例示において、複数の支持体16aの各々は、自身が対応するパッド14に隣り合い、且つそのパッド14の縁部形状に合わせてL字状に形成されている。
【0070】
また、図8Bに例示されるように、複数の支持体16aは、縁部領域Cからはみ出しても構わない。
【0071】
図8Cは、変形例1に係る支持部材16の第3例を上方から見下ろした平面図である。
【0072】
図8Cに示すように、複数のパッド14の各々について、複数の支持体16aが対応して設けられてもよい。図8Cの例示では、一つのパッド14につき、2つの支持体16aが対応して形成されている。
【0073】
(変形例2)
実施の形態では、支持部材16としてシルクを用いた。しかしながら、支持部材16はシルクのみに限定されない。例えば実施の形態で説明した支持部材16を、シルク以外の絶縁性部材に置き換えてもよい。
【0074】
(変形例3)
支持部材は、電子部品18を下方から支持することができればよい。その観点で言えば、支持部材は導電性の部材であってもよい。これに関して以下、例を挙げて説明する。
【0075】
図9Aは、変形例3に係るプリント基板10を見下ろす平面図である。図9Bは、図9AのIXB-IXB線断面図である。
【0076】
支持部材を導電性とする場合、支持部材との接触によって電子部品18が短絡しないように考慮しなければならない。これに関して、本変形例に係る導電性の支持部材24(複数の支持体24a)は、基板12の表面12aとレジスト層20との間に形成されるとよい。このようにすれば、電子部品18と支持部材24との間に絶縁性のレジスト層20が介在する。したがって、電子部品18は、導電性の支持部材24との接触によって短絡することがない。
【0077】
図10は、変形例3に係るプリント基板10の製造方法の流れを例示するフローチャートである。
【0078】
以下、本変形例に係るプリント基板10の製造方法を説明する。この製造方法は、図10に例示するように、パターン形成工程S1と、レジスト形成工程S2とを含む。パターン形成工程S1は、パッド形成工程S11と、支持部材形成工程S12とを含む。
【0079】
すなわち、本変形例では、基板12に回路パターンを形成(印刷)する際に、回路パターンと同じ材料を用いて、支持部材24となる導電性部材を縁部領域Cに形成(印刷)しておく。そして、その後にレジスト層20を形成する。レジスト層20は複数のパッド14の形成位置を避けつつ、支持部材24ごと基板12の表面12aを覆うように形成する。このようにすれば、効率的に図9Aの構成を得ることができる。
【0080】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0081】
<第1の発明>
回路パターンが形成され、電子部品(18)が表面実装されるプリント基板(10)であって、前記電子部品(18)と前記回路パターンとを電気的に接続するために前記プリント基板(10)の表面(12a)上に形成された複数のパッド(14)と、前記プリント基板(10)における前記電子部品(18)の配置領域(A)の縁部領域(C)内に複数の前記パッド(14)を避けて形成され、配置された前記電子部品(18)を下方から支持する支持部材(16、24)と、を備える。
【0082】
これにより、電子部品(18)を良好にハンダ接合可能なプリント基板(10)が提供される。
【0083】
前記縁部領域(C)は、前記配置領域(A)の中心位置を含む所定領域(B)よりも外側であって複数の前記パッド(14)を除く領域であってもよい。これにより、縁部領域(C)に形成された支持部材(16、24)は、電子部品(18)の膨張しやすい中央部を避けることができる。
【0084】
前記支持部材(16、24)は環状に形成されていてもよい。これにより、支持部材(16、24)は、電子部品(18)の膨張しやすい中央部を囲むようにして、電子部品(18)を支持することができる。
【0085】
前記支持部材(16、24)は、前記縁部領域(C)内に分散配置されることで、各々が前記電子部品(18)を下方から支持する複数の支持体(16a)を有してもよい。これにより、電子部品(18)をバランスよく支持することができる。
【0086】
複数の前記支持体(16a)は、前記配置領域(A)の中心位置に対して点対称に設けられてもよい。これにより、よりバランスよく電子部品(18)を支持することができる。
【0087】
複数の前記支持体(16a)は、複数の前記パッド(14)に対応して設けられてもよい。これにより、特定のパッド(14)の方向に電子部品(18)が傾くことを、該パッド(14)に対応する支持体(16a)によって抑制することができる。
【0088】
複数の前記支持体(16a)の各々は、対応する前記パッド(14)の縁部形状に沿って延在するように形成されてもよい。これにより、特定のパッド(14)の方向に電子部品(18)が傾くことを、該パッド(14)に対応する支持体(16a)によって抑制することができる。
【0089】
前記表面(12a)上に形成されたレジスト層(20)をさらに備え、前記支持部材(16)はシルクであり、前記レジスト層(20)の上に形成されてもよい。これにより、基板(12)に表示する情報を描画(印字)すると共に、支持部材(16)を形成することができる。
【0090】
前記表面(12a)上に形成されたレジスト層(20)をさらに備え、前記支持部材(24)は前記回路パターンと同じ材料からなり、前記レジスト層(20)の下に形成されてもよい。これにより、基板(12)に回路パターンを形成(印刷)すると共に、支持部材(24)を形成することができる。
【0091】
<第2の発明>
電子部品(18)が表面実装されるプリント基板(10)の製造方法であって、前記電子部品(18)と、前記プリント基板(10)に形成される回路パターンとを電気的に接続するための複数のパッド(14)を、前記プリント基板(10)の表面(12a)上に形成するパッド形成工程(S11)と、前記電子部品(18)を下方から支持する支持部材(16、24)を、前記プリント基板(10)における前記電子部品(18)の配置領域(A)の縁部領域(C)内に複数の前記パッド(14)の形成位置を避けて形成する支持部材形成工程(S31、S12)と、を含む。
【0092】
これにより、電子部品(18)を良好にハンダ接合可能なプリント基板(10)の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0093】
10…プリント基板 12…基板
12a…表面 14…パッド
16、24…支持部材 18…電子部品
20…レジスト層 22…ハンダ接合部
A…配置領域 B…所定領域
C…縁部領域

図1
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図10