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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147267
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】車両の動力制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20220929BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20220929BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20220929BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20220929BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220929BHJP
   B60L 58/15 20190101ALI20220929BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220929BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60L15/20 S
B60K6/445
B60W10/08 900
B60W10/26 900
B60L50/60
B60L58/15
H02J7/00 P
H02J7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048439
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】中澤 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】日下部 誠
(72)【発明者】
【氏名】長田 育充
(72)【発明者】
【氏名】能谷 英弥
(72)【発明者】
【氏名】奥村 文博
(72)【発明者】
【氏名】藤井 学典
(72)【発明者】
【氏名】石田 稔
【テーマコード(参考)】
3D202
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D202BB11
3D202BB19
3D202BB30
3D202CC24
3D202CC52
3D202DD24
3D202DD29
3D202FF06
5G503AA07
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA08
5G503FA06
5G503FA19
5G503GB06
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA04
5H125BC05
5H125BC14
5H125CB02
5H125EE01
5H125EE11
5H125EE25
5H125EE27
(57)【要約】
【課題】2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構の出力が車輪へ伝達される車両において、車両の制動時に、モータジェネレータの制動力を減少させることなくバッテリへ充電される電力を減少させる。
【解決手段】2つのモータジェネレータMG1,MG2の動力を合流させる遊星歯車機構4を含み、遊星歯車機構4の出力を車輪1へ伝達する伝達機構2を備える車両の制御装置であって、車両の制動時に、2つのモータジェネレータMG1,MG2を、伝達機構2の機械的な損失が最小となる回転速度でMTPA制御によって駆動させると、バッテリへ充電される電力がバッテリの充電許容電力より大きくなる場合には、伝達機構2の機械的な損失が最小となる回転速度よりも伝達機構2の機械的な損失を増大させた回転速度で2つのモータジェネレータMG1,MG2を駆動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力行動作により電力を消費して動力を生成可能であり、回生動作により発電可能である2つのモータジェネレータと、
前記2つのモータジェネレータとの電力の授受により充放電可能なバッテリと、
前記2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構を含み、前記遊星歯車機構の出力を車輪へ伝達する伝達機構と、
を備える車両の動力制御装置であって、
前記車両の制動時に、前記2つのモータジェネレータを、前記伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度でMTPA(Maximum Torque Per Ampere)制御によって駆動させると、前記バッテリへ充電される電力が前記バッテリの充電許容電力より大きくなる場合には、
前記伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度よりも前記伝達機構の機械的な損失を増大させた回転速度で前記2つのモータジェネレータを駆動させることを特徴とする車両の動力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の動力制御装置であって、
前記車両の制動時に、前記2つのモータジェネレータを、前記伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度でMTPA制御によって駆動させると、前記バッテリへ充電される電力が前記バッテリの充電許容電力より大きくなる場合には、
前記2つのモータジェネレータのうち回生動作中のモータジェネレータの損失と、前記回生動作中のモータジェネレータを駆動させるインバータの損失と、の合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で、前記回生動作中のモータジェネレータを駆動させることを特徴とする車両の動力制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の動力制御装置であって、
前記バッテリの充電許容電力は、前記バッテリの温度及びSOC(State Of Charge)に基づいて算出されることを特徴とする車両の動力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用動力源として2つのモータジェネレータを備える車両の動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転軸を共通とする2つの電気モータを走行用動力源として備える電気自動車において、車両を制動する際に、バッテリが満充電に近い状態であるため、各電気モータを回生運転して得られる回生電力を全てバッテリに戻すことができない場合には、一方の電気モータを回生運転させ、この回生運転によって得られた回生電力で他方の電気モータを力行運転させることを特徴とする電気自動車用の動力制御装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、2つのモータジェネレータと、2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構を備え、遊星歯車機構の出力が車輪へ伝達される電動車両の駆動装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、バッテリの温度及びSOC(State Of Charge)と、バッテリの充放電許容電力との関係を示すグラフが開示されている。
【0005】
また、非特許文献1には、電動機の電流及び電流位相角とトルクとの関係を示すグラフが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-99704号公報
【特許文献2】特開2018-100709号公報
【特許文献3】特開2015-120482号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】電気学会センサレスベクトル制御の整理に関する調査専門委員会編集「ACドライブシステムのセンサレスベクトル制御」オーム社 2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された電気自動車用の動力制御装置のように、一方の電気モータを力行運転させて他方の電気モータを回生運転させることによって、バッテリに充電することなく車両を制動する場合には、電気モータによる制動トルクを維持できず、メカニカルブレーキで制動せざるを得なくなる。その理由を以下に示す。
【0009】
2つの電気モータのうち車両を制動する際に回生運転させる第1電気モータの回転速度をN1、力行運転させる第2電気モータの回転速度をN2とする。そして、回生方向を正として、第1電気モータのトルクをT1、第2電気モータのトルクを-T2とする。メカニカルブレーキを用いず、電気モータだけで車両を制動する場合、制動トルクTzは以下の(式a)で表される。
【0010】
Tz=T1-T2 ・・・(式a)
【0011】
そして、第1モータと第2モータは回転軸を共通とするため、N1=N2であるから、バッテリに充電される電力Pbは以下の(式b)で表される。
【0012】
Pb=T1N1-T2N2=(T1-T2)N1=TzN1 ・・・(式b)
【0013】
上記の(式b)により、バッテリに充電される電力Pbを小さくすると、それに連動して制動トルクTzも小さくなる。このように特許文献1の動力制御装置には、バッテリに充電される電力Pbを削減すると、それに伴い制動トルクTzも減少してしまうという欠点がある。
【0014】
また、特許文献2に開示された電動車両の駆動装置は、2つのモータジェネレータと、2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構を備え、遊星歯車機構の出力が車輪へ伝達される構成を有しており、回転軸を共通とする2つの電気モータを備える特許文献1に開示された電気自動車の駆動装置とは構成が異なる。
【0015】
そこで、本発明は、2つのモータジェネレータと、2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構を備え、遊星歯車機構の出力が車輪へ伝達される車両において、車両の制動時に、モータジェネレータの制動力を減少させることなくバッテリへ充電される電力を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る車両の動力制御装置は、力行動作により電力を消費して動力を生成可能であり、回生動作により発電可能である2つのモータジェネレータと、前記2つのモータジェネレータとの電力の授受により充放電可能なバッテリと、前記2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構を含み、前記遊星歯車機構の出力を車輪へ伝達する伝達機構と、を備える車両の動力制御装置であって、前記車両の制動時に、前記2つのモータジェネレータを、前記伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度でMTPA(Maximum Torque Per Ampere)制御によって駆動させると、前記バッテリへ充電される電力が前記バッテリの充電許容電力より大きくなる場合には、前記伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度よりも前記伝達機構の機械的な損失を増大させた回転速度で前記2つのモータジェネレータを駆動させることを特徴とする。
【0017】
本発明は、車両の制動時に、伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度よりも伝達機構の機械的な損失を増大させた回転速度で2つのモータジェネレータを駆動させることによって、モータジェネレータの制動力を減少させることなくバッテリへ充電する電力を減少させることができる。
【0018】
本発明に係る車両の動力制御装置の一態様において、前記車両の制動時に、前記2つのモータジェネレータを、前記伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度でMTPA制御によって駆動させると、前記バッテリへ充電される電力が前記バッテリの充電許容電力より大きくなる場合には、前記2つのモータジェネレータのうち回生動作中のモータジェネレータの損失と、前記回生動作中のモータジェネレータを駆動させるインバータの損失と、の合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で、前記回生動作中のモータジェネレータを駆動させてもよい。
【0019】
この態様によれば、車両の制動時に、伝達機構の機械的な損失が最小となる回転速度よりも伝達機構の機械的な損失を増大させた回転速度で2つのモータジェネレータを駆動させるだけでなく、更に、回生動作中のモータジェネレータの損失と、回生動作中のモータジェネレータを駆動させるインバータの損失と、の合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で、回生動作中のモータジェネレータを駆動させることによって、モータジェネレータの制動力を減少させることなくバッテリへ充電する電力を更に減少させることができる。
【0020】
本発明に係る車両の動力制御装置の一態様において、前記バッテリの充電許容電力は、前記バッテリの温度及びSOCに基づいて算出されてもよい。
【0021】
この態様によれば、バッテリの充電許容電力を正確に算出することができるため、バッテリへの過充電を避けて、バッテリの寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、2つのモータジェネレータと、2つのモータジェネレータの動力を合流させる遊星歯車機構を備え、遊星歯車機構の出力が車輪へ伝達される車両において、車両の制動時に、モータジェネレータの制動力を減少させることなくバッテリへ充電される電力を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態の動力制御装置が搭載される車両の駆動装置の構成を示す図である。
図2】本実施形態の車両の動力制御装置の制御系統を示す図である。
図3】本実施形態の車両の動力制御装置が車両の制動時に実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。
図4】第1モータジェネレータの回転速度と、第2モータジェネレータの回転速度と、伝達機構の機械的な損失の大きさとの関係を示す図である。
図5】バッテリの温度及びSOCと充放電許容電力との関係を示す図である。
図6】モータジェネレータの電流及び電流位相角とトルクとの関係を示す図である。
図7】第1モータジェネレータと第2モータジェネレータを両方とも回生動作させた状態で充電量抑制制御を行うことによって、メカニカルブレーキを用いずに必要な制動トルクを生じることができた場合の車両制動のパワー収支を示す図である。
図8】第1モータジェネレータと第2モータジェネレータを両方とも回生動作させた状態で充電量抑制制御を行わなかった場合の車両制動のパワー収支を示す図である。
図9】第1モータジェネレータと第2モータジェネレータを両方とも回生動作させた状態で充電量抑制制御を行い、更にメカニカルブレーキを用いることによって、必要な制動トルクを生じることができた場合の車両制動のパワー収支を示す図である。
図10】第1モータジェネレータを力行動作させて第2モータジェネレータを回生動作させた状態で充電量抑制制御を行った場合の車両制動のパワー収支を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態の車両の動力制御装置10について説明する。本実施形態の動力制御装置10が搭載される車両20は、走行用動力源として第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を駆動装置30に備える電気自動車である。図1は、動力制御装置10が搭載される車両20の駆動装置30の構成を示す図である。第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、いずれも力行動作により電力を消費して動力を生成可能であり、回生動作により発電可能である。
【0025】
駆動装置30は、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の動力を車輪1へ伝達する伝達機構2を備える。伝達機構2は、第1減速機11と、第2減速機21と、差動装置を含む最終減速機31と、第1モータジェネレータMG1の動力と第2モータジェネレータMG2の動力を合流させる遊星歯車機構4を備える。遊星歯車機構4の出力は、最終減速機31を介して左右の車輪1へ伝達される。
【0026】
遊星歯車機構4は、第1サンギア41と、第2サンギア42と、プラネタリキャリア43と、プラネタリキャリア43に回転可能に支持されて第1サンギア41に噛み合う内側プラネタリピニオン44と、プラネタリキャリア43に回転可能に支持されて第2サンギア42及び内側プラネタリピニオン44に噛み合う外側プラネタリピニオン45とを備える。第1サンギア41、第2サンギア42及びプラネタリキャリア43は、共通の軸線周りに回動可能となっている。
【0027】
遊星歯車機構4は、第1サンギア41と内側プラネタリピニオン44と外側プラネタリピニオン45からなる第1遊星歯車列46と、第2サンギア42と外側プラネタリピニオン45からなる第2遊星歯車列47とを含む複合型の遊星歯車機構である。第1遊星歯車列46はダブルピニオン型の遊星歯車列であり、第2遊星歯車列47はシングルピニオン型の遊星歯車列である。
【0028】
遊星歯車機構4は、3要素2自由度機構であり、3つの要素のうち2つの要素の回転速度が決まると、残りの1つの要素の回転速度が一意に決定する。例えば、第1サンギア41と第2サンギア42の回転速度が定まると、これに応じてプラネタリキャリア43の回転速度が決定する。
【0029】
第1モータジェネレータMG1の回転軸12は、第1減速機11を介して第1入力軸13に接続され、第1入力軸13は第1サンギア41に固定されている。第2モータジェネレータMG2の回転軸22は、第2減速機21を介して第2入力軸23に接続され、第2入力軸23は第2サンギア42に固定されている。プラネタリキャリア43には出力ギア32が固定され、出力ギア32は、差動装置と一体に回転する被駆動ギア33と共に最終減速歯車対34を構成する。
【0030】
第2モータジェネレータMG2から第2サンギア42に至る伝達系には、車両20が前進するときの第2サンギア42の回転方向の回転を許容し、後進方向の回転を阻止するワンウェイクラッチ35が設けられている。また、車輪軸36には、それぞれメカニカルブレーキ37が設けられている。メカニカルブレーキ37は、不図示の油圧回路を介してブレーキ用の圧力が伝達されたとき、各車輪軸36に固定されたブレーキディスクなどにブレーキパッドを押し付けて車輪1の回転力を機械的に低減することができる。
【0031】
駆動装置30は、第1モータジェネレータMG1の出力のみで車両20を駆動する第1走行モードと、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の両者の出力により車両20を駆動する第2走行モードとの2つの走行モードで走行することができる。
【0032】
第1走行モードでは、第1モータジェネレータMG1の出力は、第1減速機11を介して第1入力軸13及び第1サンギア41に伝達し、第1遊星歯車列46を動作させる。そして、第1遊星歯車列46の動作に伴い、第2遊星歯車列47にもトルクが伝わり、第2サンギア42を回転させようとするが、車両前進時においては、第2サンギア42の回転がワンウェイクラッチ35により阻止される。これにより、3つの要素のうち2つの要素(第1サンギア41と第2サンギア42)の回転速度が定まり、残り1つの要素(プラネタリキャリア43)の回転速度が定まる。
【0033】
第2走行モードでは、第1モータジェネレータMG1の出力は第1減速機11を介して第1入力軸13及び第1サンギア41に伝達し、第2モータジェネレータMG2の出力は第2減速機21を介して第2入力軸23及び第2サンギア42に伝達する。すると、2つの要素(第1サンギア41と第2サンギア42)の回転速度が決定するため、残り1つの要素(プラネタリキャリア43)の回転速度が定まる。
【0034】
また、第2走行モードで、ある速度で車両20が走行中においては、プラネタリキャリア43の回転速度が車両20の速度に応じて決定する。この場合、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の回転速度は、相互に制約を受けるが変更可能である。したがって、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の効率が良い回転速度で運転することで、第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の電力消費を少なくすることができる。
【0035】
図2に示すように、車両20は、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2との電力の授受により充放電可能なバッテリ5と、第1モータジェネレータMG1を駆動する第1インバータ6と、第2モータジェネレータMG2を駆動する第2インバータ7とを備える。第1モータジェネレータMG1は第1インバータ6を介してバッテリ5と電気的に接続されており、第2モータジェネレータMG2は第2インバータ7を介してバッテリ5と電気的に接続されている。
【0036】
また、車両20は、車両20の速度に応じた信号を出力する車速センサ51と、アクセルペダルの踏み込み量に応じた信号を出力するアクセル踏込量センサ52と、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた信号を出力するブレーキ踏込量センサ53と、バッテリ5の充電量に応じた信号を出力するSOCセンサ54と、バッテリ5の温度に応じた信号を出力するバッテリ温度センサ55とを備える。図2に示すように、動力制御装置10には、車速センサ51、アクセル踏込量センサ52、ブレーキ踏込量センサ53、SOCセンサ54、バッテリ温度センサ55等の出力信号が入力される。
【0037】
動力制御装置10は、演算処理部であるCPUと、RAM、ROM等の記憶部を有し、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の駆動制御、メカニカルブレーキ37の動作制御等の制御を実行する。動力制御装置10は、駆動時には第1走行モードと第2走行モードを使い分けて車両20を走行させ、制動時には第2走行モードのみで車両20を走行させる。図3は、車両20の制動時に動力制御装置10が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。図3に示す制御ルーチンのプログラムは動力制御装置10のROMに保持されており、例えば数msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。
【0038】
この制御ルーチンにおいて、動力制御装置10は、まずステップS1において、車速、アクセル踏み込み量及びブレーキ踏み込み量から、車両20の制動トルクTbrを決定する。次にステップS2において、動力制御装置10は、ステップS1で決定した制動トルクTbrから、最終減速機31の減速比に基づき、遊星歯車機構4の出力軸のトルクTcを換算する。
【0039】
次にステップS3において、動力制御装置10は、第1モータジェネレータMG1のトルクT1と、第2モータジェネレータMG2のトルクT2を決定する。車両20の制動時には、常に第2走行モードで走行するため、第1減速機11の減速比をG1、第2減速機21の減速比をG2、遊星歯車機構4の減速比をρとすると、以下の(式1)と(式2)の関係式が成り立つ。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】
第1モータジェネレータMG1のトルクT1は、上記の(式1)から一意に定められ、第2モータジェネレータMG2のトルクT2は、上記の(式2)から一意に定められる。
【0043】
次にステップS4において、動力制御装置10は、伝達機構2の機械的な損失が最小となるように、第1モータジェネレータMG1の回転速度をN1と、第2モータジェネレータMG2の回転速度N2を決定する。遊星歯車機構4の出力軸の回転速度をNcとすると、回転速度Nc、回転速度N1及び回転速度N2の間には、以下の(式3)の関係式が成り立つ。
【0044】
【数3】
【0045】
回転速度N1と回転速度N2は、車速から一意に定まる回転速度Ncを用いて、上記の(式3)を満足するように決定される。図4は、上記の(式3)の関係が成り立つ回転速度N1及び回転速度N2において、回転速度N1と、回転速度N2と、伝達機構2の機械的な損失の大きさとの関係を示す図である。図4に示すデータは、予め動力制御装置10のROMに記憶されている。図4に示すように、伝達機構2の機械的な損失は、遊星歯車機構4の機械的な損失と、第1減速機11の機械的な損失と、第2減速機21の機械的な損失と、最終減速機31の機械的な損失の合計である。図4では、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の回転速度について、回生方向を正として表記している。回転速度N2は図4のグラフの左端を原点として右へ行くほど大きくなり、第2モータジェネレータMG2は常に回生動作を行う。逆に回転速度N1は図4のグラフの左へ行くほど大きくなり、原点よりも左側では第1モータジェネレータMG1は回生動作を行い、原点より右側では第1モータジェネレータMG1は力行動作を行う。
【0046】
回転速度N1と回転速度N2と伝達機構2の機械的な損失について、図4に示す関係にある場合、伝達機構2の機械的な損失は図4の矢印A1で示す位置で最小となる。そのため、動力制御装置10は、ステップS4では、矢印A1で示す位置の回転速度N1及び回転速度N2で決定する。
【0047】
次にステップS5では、動力制御装置10は、ステップS4で決定した回転速度N1で第1モータジェネレータMG1をMTPA(Maximum Torque Per Ampere)制御によって駆動させ、ステップS4で決定した回転速度N2で第2モータジェネレータMG2をMTPA制御によって駆動させた場合に、バッテリ5に充電される電力Pbを算出する。バッテリ5に充電される電力Pbは、以下に説明するように、ステップS3で決定したトルクT1及びトルクT2と、ステップS4で決定した回転速度N1及び回転速度N2から算出する。
【0048】
第1モータジェネレータMG1の出力はトルクT1と回転速度N1の積であって、第2モータジェネレータMG2の出力はトルクT2と回転速度N2の積であるため、バッテリ5に充電される電力Pbは、以下の(式4)で表される。ただし、(式4)におけるL1は、ステップS4で決定した回転速度N1で第1モータジェネレータMG1をMTPA制御によって駆動させた場合の第1モータジェネレータMG1の損失と第1インバータ6の損失の合計である。そして、(式4)におけるL2は、ステップS4で決定した回転速度N2で第2モータジェネレータMG2をMTPA制御によって駆動させた場合の第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失の合計である。(式4)におけるL1は、トルクT1及び回転速度N1によって異なるため、各駆動条件におけるL1の値が予め動力制御装置10のROMに記憶されている。(式4)におけるL2も、トルクT2及び回転速度N2によって異なるため、各駆動条件におけるL2の値も予め動力制御装置10のROMに記憶されている。
【0049】
Pb=(T2N2-L2)+(T1N1-L1) ・・・(式4)
【0050】
次にステップS6で、動力制御装置10は、バッテリ5の温度及びSOCに基づいて充電許容電力Winを算出する。充電許容電力Winは、特許文献3に開示されているように、バッテリ5の温度Tb及びSOCと充電許容電力Winとの関係を示す図5のマップを用いて算出される。図5に示すデータは、予め動力制御装置10のROMに記憶されている。図5に示すように、バッテリ5の温度Tbが低温側のTb0以下、又は高温側のTb2以上のときは充放電不可であり、バッテリ5の温度TbがTb0からTb1の範囲で、バッテリ5の温度Tb及びSOCに応じて充電許容電力Win及び放電許容電力Woutが変化する。例えば、バッテリ5の温度Tbが0℃付近の充電側(パワー負側)を示すIVp部に注目すると、SOCが60%から50%、40%と低下するに従って、パワーの絶対値である充電許容電力Winが増加する。動力制御装置10は、ステップS6で、このように図5のマップを用いて充電許容電力Winを正確に算出できるため、後述するステップS8及びステップS9でバッテリ5の過充電を避けることが可能となり、バッテリ5の寿命を延ばすことができる。
【0051】
次にステップS7で、ステップS5及びステップS6の算出結果に基づき、バッテリ5に充電される電力Pbが充電許容電力Win以下であるか判定する。そして、バッテリ5に充電される電力Pbが充電許容電力Win以下である場合は、ステップS8へ進み、バッテリ5に充電される電力Pbが充電許容電力Winより大きい場合は、ステップS9へ進む。
【0052】
ステップS7からステップS8へ進んだ場合、動力制御装置10は、ステップS8において、動力制御装置10は通常制御を行う。そして、ステップS7からステップS9へ進んだ場合は、ステップS9において、動力制御装置10は充電量抑制制御を行う。ステップS8における通常制御でも、ステップS9における充電量抑制制御でも、ステップS3で決定したトルクT1を発生させるように第1モータジェネレータMG1を動作させ、ステップS3で決定したトルクT2を発生させるように第2モータジェネレータMG2を動作させることは共通する。
【0053】
ただし、ステップS8における通常制御では、動力制御装置10は、ステップS4で決定した回転速度N1で第1モータジェネレータMG1をMTPA制御によって駆動させ、ステップS4で決定した回転速度N2で第2モータジェネレータMG2をMTPA制御によって駆動させる。このように第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を駆動させることにより、ステップS1で決定した制動トルクTbrを確保しつつ、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の回生電力をバッテリ5へ充電することができる。
【0054】
これに対して、ステップS9における充電量抑制制御では、動力制御装置10は、伝達機構2の機械的な損失が最小となる回転速度よりも伝達機構2の機械的な損失を増大させた回転速度で、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2で駆動させる。そして、動力制御装置10は、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2のうち回生動作中のモータジェネレータの損失と、回生動作中のモータジェネレータを駆動させるインバータの損失との合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で、回生動作中のモータジェネレータを駆動させる。そして、動力制御装置10は、このように伝達機構2の機械的な損失を増大させ、回生動作中のモータジェネレータの損失とインバータの損失との合計を増大させるだけでは、バッテリ5へ充電される電力Pbを充電許容電力Win以下とすることができない場合は、更にメカニカルブレーキ37を用いて、バッテリ5へ充電される電力Pbを充電許容電力Win以下となるように制御する。ステップS9における充電量抑制制御について、以下に具体的な例を挙げて説明する。
【0055】
ステップS9における充電量抑制制御において、例えば、伝達機構2の機械的な損失の大きさが図4の矢印A1で示す位置よりも大きい図4の矢印A2で示す位置の回転速度N1及び回転速度N2で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2をそれぞれ駆動させたとする。この場合、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は両方とも回生動作を行うから、第1モータジェネレータMG1の損失と第1インバータ6の損失との合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で第1モータジェネレータMG1を駆動させ、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失との合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で第2モータジェネレータMG2を駆動させる。
【0056】
第1モータジェネレータMG1の電流及び電流位相角とトルクの関係は、非特許文献1に開示されているように、図6に示す関係にある。そして、ステップS3で算出したトルクT1を図6の点線で示す高さであるとする。MTPA制御を行う場合は、電流値Iでトルクが最大となる図6の円Aで囲んだ部分の電流位相角で第1モータジェネレータMG1を駆動することになるが、ステップS9における充電量抑制制御では、例えば、電流値I図6の円Bで囲んだ部分の電流位相角で第1モータジェネレータMG1を駆動する。このように第1モータジェネレータMG1を電流値I図6の円Bで囲んだ部分の電流位相角で駆動することによって、トルクT1及び回転速度N1を変動させることなく、第1モータジェネレータMG1の損失と第1インバータ6の損失との合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で第1モータジェネレータMG1を駆動させることができる。そして、動力制御装置10は、第2モータジェネレータMG2についても、同様に、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失との合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で第2モータジェネレータMG2を駆動させる。
【0057】
図7は、ステップS9における充電量抑制制御において、図4の矢印A2で示す位置の回転速度N1及び回転速度N2で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を回生動作させた場合における車両制動のパワー収支を示す図である。図7に示す車両20の減速パワーの大きさは、ステップS1で算出した制動トルクTbrと車速によって定まる。この減速パワーは、第1モータジェネレータMG1の出力と、第2モータジェネレータMG2の出力と、伝達機構2の機械的損失と、メカニカルブレーキ37の出力との合計と同一となる。ただし、図7は、充電量抑制制御を行うことによって、メカニカルブレーキ37を用いずにステップS1で算出した制動トルクTbrを生じることができた場合の実施例を記載しているため、図7では、メカニカルブレーキ37の出力はゼロとなっている。
【0058】
また、図7に示すように、第2モータジェネレータMG2の出力をA、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失との合計をB、第1モータジェネレータMG1の出力をC、第1モータジェネレータMG1の損失と第1インバータ6の損失との合計をDとすると、バッテリ5に充電される電力Pbは以下の(式5)で表される。
【0059】
Pb=(A-B)+(C-D) ・・・(式5)
【0060】
そのため、充電量抑制制御を行うと、伝達機構2の機械的な損失を増大させることと、第1モータジェネレータMG1の損失と第1インバータ6の損失の合計を増大させることと、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失の合計を増大させることによって、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の制動力を減少させることなくバッテリ5へ充電される電力Pbを減少させることができる。
【0061】
参考のため、図7と車両20の減速パワーが同一の条件で、伝達機構2の機械的な損失が最小となる図4の矢印A1で示す位置の回転速度で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2をMTPA制御によって駆動させた場合における車両制動のパワー収支を図8に示す。この場合、車両20の減速パワーを図7と同一として、更にバッテリ5に充電される電力Pbも図7と同一にしようとすると、図8に示すようにメカニカルブレーキ37の制動力も用いる必要がある。つまり、ステップS9における充電量抑制制御を行うことにより、メカニカルブレーキ37の使用頻度を減少させ、メカニカルブレーキ37の耐久年数を延ばすことができる。
【0062】
また、ステップS1で算出した制動トルクTbrの値が異なる条件では、ステップS9における充電量抑制制御を行っても、図9に示す車両制動のパワー収支のように、更にメカニカルブレーキ37を用いなければ、ステップS1で算出した制動トルクTbrを生じさせることができない場合もありうる。このような場合であっても、図8に示すように伝達機構2の機械的な損失が最小となる図4の矢印A1で示す位置の回転速度で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2をMTPA制御によって駆動させた場合と比較して、ステップS9における充電量抑制制御を行うことによって、メカニカルブレーキ37の出力を減少させることができるため、メカニカルブレーキ37の摩耗を減少させ、メカニカルブレーキ37の耐久年数を延ばすことができる。
【0063】
次に、動力制御装置10が、ステップS9における充電量抑制制御において、図4の矢印A3で示す位置の回転速度N1及び回転速度N2で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2をそれぞれ駆動させた場合について説明する。この場合、第1モータジェネレータMG1は力行動作を行い、第2モータジェネレータMG2のみが回生動作を行う。そのため、第1モータジェネレータMG1はMTPA制御によって駆動させ、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失との合計をMTPA制御より増大させる駆動条件で第2モータジェネレータMG2を駆動させる。
【0064】
図10は、ステップS9における充電量抑制制御において、図4の矢印A3で示す位置の回転速度N1及び回転速度N2で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2をそれぞれ駆動させた場合における車両制動のパワー収支を示す図である。図10に示す車両20の減速パワーの大きさは、ステップS1で算出した制動トルクTbrと車速によって定まる。回生動作を行う第2モータジェネレータMG2の出力を正の出力として、力行動作を行う第1モータジェネレータMG1の出力を負の出力とすると、この減速パワーの大きさは、図10に示すように、第1モータジェネレータMG1の出力と、第2モータジェネレータMG2の出力と、伝達機構2の機械的損失と、メカニカルブレーキ37の出力との合計と同一となる。
【0065】
また、図10に示すように、第2モータジェネレータMG2の出力をA、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失との合計をB、第1モータジェネレータMG1の出力をC、第1モータジェネレータMG1の損失と第1インバータ6の損失との合計をDとすると、バッテリ5に充電される電力Pbは以下の(式6)で表される。
【0066】
Pb=(A-B)-(C-D) ・・・(式6)
【0067】
そのため、第1モータジェネレータMG1を力行動作させて第2モータジェネレータMG2を回生動作させた状態で充電量抑制制御を行った場合でも、伝達機構2の機械的な損失を増大させることと、第2モータジェネレータMG2の損失と第2インバータ7の損失の合計を増大させることによって、第2モータジェネレータMG2の制動力を減少させることなくバッテリ5へ充電される電力Pbを減少させることができる。また、その結果、メカニカルブレーキ37の使用頻度を減少させ、メカニカルブレーキ37の耐久年数を延ばすことができる。
【0068】
以上より、動力制御装置10は、車両20の制動時に、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を伝達機構2の機械的な損失が最小となる回転速度でMTPA制御によって駆動させると、バッテリ5に充電される電力Pbが充電許容電力Winより大きくなる場合は、ステップS9へ進んで充電量抑制制御が行われ、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の制動力を減少させることなくバッテリ5へ充電される電力Pbを減少させることができる。また、その結果、リターダなどの補助ブレーキを車両20に追加しなくても、メカニカルブレーキ37の使用頻度を減少させ、メカニカルブレーキ37の耐久年数を延ばすことができる。
【0069】
<実施形態の補足>
本開示の車両の動力制御装置は、上述した形態に限定されず、本開示の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、動力制御装置10が搭載される車両20は、走行用動力源として2つのモータジェネレータを備える電気自動車に限らず、更に内燃機関も搭載するシリーズ方式のハイブリッドカーであってもよい。また、動力制御装置10が搭載される車両20は、駆動装置30に第1減速機11及び第2減速機21を備えていない車両であってもよい。
【0070】
また、上述した形態では、ステップ9における充電量抑制制御において、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を伝達機構2の機械的な損失を増大させた回転速度で駆動させ、更に回生動作中のモータジェネレータ及びインバータの損失がMTPA制御よりも増大させる条件で駆動させている。しかし、MTPA制御で駆動させても、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を伝達機構2の機械的な損失を増大させた回転速度で駆動させることによって、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の制動力を減少させることなくバッテリ5へ充電される電力Pbを減少させる効果を生ずることができる。そのため、ステップ9における充電量抑制制御は、伝達機構2の機械的な損失が最小となる回転速度よりも伝達機構2の機械的な損失を増大させた回転速度で第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2をMTPA制御によって駆動させる制御であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 車輪、2 伝達機構、4 遊星歯車機構、5 バッテリ、6 第1インバータ、7 第2インバータ、10 動力制御装置、11 第1減速機、12 回転軸、13 第1入力軸、20 車両、21 第2減速機、22 回転軸、23 第2入力軸、30 駆動装置、31 最終減速機、32 出力ギア、33 被駆動ギア、34 最終減速歯車対、35 ワンウェイクラッチ、36 車輪軸、37 メカニカルブレーキ、41 第1サンギア、42 第2サンギア、43 プラネタリキャリア、44 内側プラネタリピニオン、45 外側プラネタリピニオン、46 第1遊星歯車列、47 第2遊星歯車列、51 車速センサ、52 アクセル踏込量センサ、53 ブレーキ踏込量センサ、54 SOCセンサ、55 バッテリ温度センサ、MG1 第1モータジェネレータ、MG2 第2モータジェネレータ。
図1
図2
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図10