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特開2022-147311冷媒回路及び車両用ヒートポンプ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147311
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】冷媒回路及び車両用ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220929BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20220929BHJP
   F25B 5/04 20060101ALI20220929BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F25B1/00 101J
B60H1/22 651A
F25B1/00 101E
F25B1/00 101H
F25B1/00 399Y
F25B5/04 Z
F25B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048497
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】519150315
【氏名又は名称】サンデン・アドバンストテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 宣伯
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 竜
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA34
3L211BA54
3L211BA55
3L211CA18
3L211CA19
3L211DA27
3L211DA28
3L211DA29
(57)【要約】
【課題】冷媒から直接熱交換する熱媒体を所望の温度帯で生成できるようにすることで、効率的な熱利用が可能な冷媒回路を提供する。
【解決手段】冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出した冷媒を凝縮、膨張、蒸発させて前記圧縮機に戻す冷媒循環流路を備え、冷媒と熱媒体とを熱交換させる第1冷媒熱媒体熱交換部と、冷媒を減圧する減圧部と、冷媒と熱媒体とを熱交換させる第2冷媒熱媒体熱交換部と、冷媒と熱媒体とを熱交換させる第3冷媒熱媒体熱交換部とを備え、第1冷媒熱媒体熱交換部と第2冷媒熱媒体熱交換部と第3冷媒熱媒体熱交換部のいずれかを選択的に迂回可能なバイパス冷媒配管を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した冷媒を凝縮、膨張、蒸発させて前記圧縮機に戻す冷媒循環流路とを備えた冷媒回路において、
冷媒と熱媒体とを熱交換させる第1冷媒熱媒体熱交換部と、
冷媒を減圧する減圧部と、
冷媒と熱媒体とを熱交換させる第2冷媒熱媒体熱交換部と、
冷媒と熱媒体とを熱交換させる第3冷媒熱媒体熱交換部とを備え、
前記第1冷媒熱媒体熱交換部と前記第2冷媒熱媒体熱交換部と前記第3冷媒熱媒体熱交換部のいずれかを選択的に迂回可能なバイパス冷媒配管を設けたことを特徴とする冷媒回路。
【請求項2】
前記バイパス冷媒配管は、
前記第1冷媒熱媒体熱交換部の下流側に設けられる前記第2冷媒熱媒体熱交換部を迂回可能な第1バイパス配管と、
前記第2冷媒熱媒体熱交換部の下流側に設けられる第3冷媒熱媒体熱交換部を迂回可能な第2バイパス配管を備えることを特徴とする請求項1記載の冷媒回路。
【請求項3】
前記第1バイパス配管の合流部は、前記第2バイパス配管の分岐部と前記第3冷媒熱媒体熱交換部との間に設けられていることを特徴とする請求項2記載の冷媒回路。
【請求項4】
前記減圧部は、
前記第1冷媒熱媒体熱交換部と前記第2冷媒熱媒体熱交換部の間に設けられる第1減圧部と、
前記第2冷媒熱媒体熱交換部と第3冷媒熱媒体熱交換部の間に設けられた第2減圧部とを備え、
前記第1バイパス配管の分岐部が前記第1減圧部の上流側に設けられ、前記第1バイパス配管の合流部が前記第2減圧部の上流側に設けられることを特徴とする請求項3記載の冷媒回路。
【請求項5】
前記第2バイパス配管の分岐部は、前記第2減圧部と前記第1バイパス配管の合流部より上流側に設けられることを特徴とする請求項4記載の冷媒回路。
【請求項6】
前記第2バイパス配管の分岐部と前記第1バイパス配管の合流部との間に逆流防止手段が設けられることを特徴とする請求項5記載の冷媒回路。
【請求項7】
前記第1冷媒熱媒体熱交換部と前記第2冷媒熱媒体熱交換部と前記第3冷媒熱交換部の少なくとも一つで熱交換した熱媒体が循環する熱媒体回路を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載の冷媒回路。
【請求項8】
前記第1冷媒熱媒体熱交換部と前記第2冷媒熱媒体熱交換部と前記第3冷媒熱交換部のそれぞれで熱交換した熱媒体が循環する複数の熱媒体回路を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載の冷媒回路。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項記載の冷媒回路を備えた車両用ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒回路及び車両用ヒートポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒回路は、循環する冷媒を圧縮、凝縮、膨張、蒸発させてヒートポンプとして機能するものがあり、このような冷媒回路は、エンジン発熱を期待できない車両(電動車両やハイブリッド車両、或いは発熱量の小さいエンジンを搭載した車両)の熱マネジメントにおける熱源として用いられている。特に、車両空調用の冷媒回路は、冷媒の吸熱と放熱を利用して、冷房、暖房、除湿、除霜、曇り止めの機能を果たしており、更に、バッテリーやモーターなどの電装機器に対する冷却や暖機を行っている。
【0003】
従来、車両空調用の冷媒回路として、第1冷媒循環回路と第2冷媒循環回路が形成され、第1冷媒循環回路では、冷媒が圧縮機、凝縮器、第1膨張弁、空気側蒸発器、定圧弁、圧縮機の順に循環し、第2冷媒循環回路では、冷媒が圧縮機、凝縮器、第2膨張弁、冷却水側蒸発器の順に循環するものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0004】
この従来技術では、冷媒回路における凝縮器が、圧縮機から吐出された高圧側冷媒と高温熱媒体回路の熱媒体とを熱交換させる高圧側熱交換器になっており、冷媒回路における空気側蒸発器が、第1膨張弁から流出した冷媒と車室内へ送風される空気とを車室内空調装置にて熱交換させる低圧側熱交換器になっている。また、冷媒回路における冷却水側蒸発器が、第2膨張弁から流出した冷媒と冷温熱媒体回路(所謂チラー)の熱媒体とを熱交換させる低圧側熱交換器になっている。ここで、第2膨張弁は、第1冷媒循環回路のみに冷媒を流すか、第1冷媒循環回路及び第2冷媒循環回路に冷媒を流すかの切り替え弁(所謂チラー弁)になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-104841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の冷媒回路は、凝縮器による高圧側熱交換器により高温の熱媒体を生成し、冷却水側蒸発器による低圧側熱交換器で冷温の熱媒体を生成して、生成された高温熱媒体と低温熱媒体を互いに熱交換することで所望の温度帯の熱媒体を得ている。このような従来技術では、熱媒体同士の熱交換で熱損失が生じることになり、所望の温度帯の熱媒体を効率よく生成することができない。冷媒回路を熱マネジメントにおける熱源と考えた場合には、冷媒と直接熱交換する熱媒体を、用途に応じて様々な温度帯で生成することが望ましいが、従来技術ではこのような効率的な熱利用を行うことができない問題があった。
【0007】
また、従来の冷媒回路は、車室内空調装置に設置される空気側蒸発器に冷媒を流すことを前提にしているので、冷媒の流路を、車室内を含めて複雑に配管する必要があり、冷媒配管のメンテナンスが煩雑にならざるを得ない問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものであり、冷媒から直接熱交換する熱媒体を所望の温度帯で生成できるようにすることで、効率的な熱利用が可能な冷媒回路を提供すること、冷媒配管のメンテナンスが容易になる冷媒回路を提供すること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出した冷媒を凝縮、膨張、蒸発させて前記圧縮機に戻す冷媒循環流路とを備えた冷媒回路において、冷媒と熱媒体とを熱交換させる第1冷媒熱媒体熱交換部と、冷媒を減圧する減圧部と、冷媒と熱媒体とを熱交換させる第2冷媒熱媒体熱交換部と、冷媒と熱媒体とを熱交換させる第3冷媒熱媒体熱交換部とを備え、前記第1冷媒熱媒体熱交換部と前記第2冷媒熱媒体熱交換部と前記第3冷媒熱媒体熱交換部のいずれかを選択的に迂回可能なバイパス冷媒配管を設けたことを特徴とする冷媒回路。
【発明の効果】
【0010】
このような特徴を備えた本発明の冷媒回路によると、第1冷媒熱媒体熱交換部と第2冷媒熱媒体熱交換部と第3冷媒熱媒体熱交換部のうち、バイパス冷媒配管によって選択される熱交換部によって冷媒回路を構成することで、冷媒から直接熱交換する熱媒体を様々な温度帯で生成することができ、効率的な熱利用が可能な冷媒回路を得ることができる。
【0011】
また、第1冷媒熱媒体熱交換部と第2冷媒熱媒体熱交換部と第3冷媒熱媒体熱交換部に対して熱媒体回路を接続することで、冷媒回路自体をコンパクトにユニット化することができる。これによって、冷媒配管のメンテナンスが容易な冷媒回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る冷媒回路を示した説明図。
図2】バイパス冷媒配管に冷媒を流さない冷媒回路の動作例を示した説明図。
図3】第1バイパス配管に冷媒を流す冷媒回路の動作例を示した説明図。
図4】第2バイパス配管に冷媒を流す冷媒回路の動作例を示した説明図。
図5】第1バイパス配管と第2バイパス配管に冷媒を流す冷媒回路の動作例を示した説明図。
図6図2に示した冷媒回路における動作例毎のモリエル線図((A)が動作モードA、(B)が動作モードB、(C)が動作モードC、(D)が動作モードD)。
図7図3図4図5の動作例毎のモリエル線図((E)が図3に示した動作モードE、(F)が図4に示した動作モードF、(G)が図5に示した動作モードG)。
図8】本発明の実施形態に係る冷媒回路を用いた車両用ヒートポンプ装置のシステム構成と活用例1(暖機及び暖房)を示した説明図。
図9】本発明の実施形態に係る冷媒回路を用いた車両用ヒートポンプ装置のシステム構成と活用例2(蓄熱及び暖房)を示した説明図。
図10】本発明の実施形態に係る冷媒回路を用いた車両用ヒートポンプ装置のシステム構成と活用例3(蓄熱利用暖房)を示した説明図。
図11】本発明の実施形態に係る冷媒回路を用いた車両用ヒートポンプ装置のシステム構成と活用例4(蓄熱利用暖房)を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。なお、本明細書で、冷媒とは、ヒートポンプ(圧縮・凝縮・膨張・蒸発)における状態変化を伴う冷媒回路の循環媒体であり、熱媒体とは、このような状態変化を伴わないで熱交換によって吸放熱を行う媒体(水、空気を含む)である。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る冷媒回路1は、冷媒を圧縮する圧縮機10と、圧縮機10から吐出した冷媒を凝縮、膨張、蒸発させて圧縮機10に戻す冷媒循環流路2とを備えている。
【0015】
冷媒循環流路2は、第1冷媒熱媒体熱交換部11と、減圧部14と、第2冷媒熱媒体熱交換部12と、第3冷媒熱媒体熱交換部13とを備えている。ここで、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13は、冷媒回路1において、熱媒体との熱交換がなされない場合には、冷媒を通過させる冷媒流路として機能し、熱媒体との熱交換がなされる場合には、ヒートポンプを構成する凝縮器又は蒸発器として機能する。
【0016】
図示の例では、冷媒循環流路2は、圧縮機10の出口に一端が接続され第1冷媒熱媒体熱交換部11の入口に他端が接続される冷媒配管20と、第1冷媒熱媒体熱交換部11の出口に一端が接続され第2冷媒熱媒体熱交換部12の入口に他端が接続される冷媒配管21と、第2冷媒熱媒体熱交換部12の出口に一端が接続され第3冷媒熱媒体熱交換部13の入口に他端が接続される冷媒配管22と、第3冷媒熱媒体熱交換部の出口に一端が接続され圧縮機10の入口に他端が接続される冷媒配管23とを備えている。
【0017】
減圧部14は、圧縮機10で圧縮された高圧の冷媒を所定の圧力まで減圧させるものであり、図示の例では、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12の間の冷媒配管21に第1減圧部14Aが設けられ、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13との間の冷媒配管22に第2減圧部14Bが設けられている。
【0018】
冷媒回路1は、冷媒循環流路2に、バイパス冷媒配管3を設けている。バイパス冷媒配管3は、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13のいずれかを選択的に迂回可能に設けられる。ここでのバイパス冷媒配管3の選択は、バイパス冷媒配管3を冷媒の流路として使用しない場合を含んでおり、この場合には、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13を冷媒が流れる冷媒回路1が構成される。
【0019】
そして、バイバス冷媒配管3を冷媒の流路として使用する場合には、第3冷媒熱媒体熱交換部13を迂回して第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12を冷媒が流れる冷媒回路1、第1冷媒熱媒体熱交換部11を迂回して第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13を冷媒が流れる冷媒回路1、第2冷媒熱媒体熱交換部12を迂回して第1冷媒熱媒体熱交換部11と第3冷媒熱媒体熱交換部13を冷媒が流れる冷媒回路1がそれぞれ構成される。ここで選択されるバイパス冷媒配管3自体は、熱交換部が設けられていない。
【0020】
図示の例は、バイパス冷媒配管3は、第2冷媒熱媒体熱交換部12を迂回可能な第1バイパス配管31と、第3冷媒熱媒体熱交換部13を迂回可能な第2バイパス配管32を備えている。
【0021】
第1バイパス配管31は、分岐部31Aが冷媒配管21に設けられ、合流部31Bが冷媒配管22に設けられており、分岐部31Aは、第1減圧部14Aの上流側に設けられ、合流部31Bは第2減圧部14Bの上流側に設けられている。
【0022】
第2バイパス配管32は、分岐部32Aが冷媒配管22に設けられ、合流部32Bが冷媒配管23に設けられており、分岐部32Aは、第1バイパス配管31の合流部31Bの上流側に設けられている。これにより、第1バイパス配管31の合流部31Bは、第2バイパス配管32の分岐部32Aと第3冷媒熱媒体熱交換部13との間に設けられている。
【0023】
また、第2バイパス配管32の分岐部32Aは、第2減圧部14Bと第1バイパス配管31の合流部31Bより上流側に設けられ、第2バイパス配管32の分岐部32Aと第1バイパス配管31の合流部31Bとの間には、逆流防止手段(例えば逆止弁)15が設けられている。
【0024】
このような冷媒回路1は、例えば、車両用熱マネジメントシステムの熱源として用いることができ、バイパス冷媒配管3の選択や減圧部14の制御により、第1冷媒熱媒体熱交換部11、第2冷媒熱媒体熱交換部12、第3冷媒熱媒体熱交換部13のそれぞれから所定温度帯の熱媒体を生成することができる。
【0025】
また、冷媒回路1は、バイパス冷媒配管3を含めた冷媒循環流路2を図示一点破線で示したユニットU内に収めることができるので、コンパクトにユニット化した冷媒回路1により、冷媒配管20~23やバイパス冷媒配管3のメンテナンスが容易になる。更に、冷媒循環流路2とバイパス冷媒配管3を車室外のユニットU内に収めた場合には、冷媒を車室内に入れない車両用熱マネジメントシステムを構築することができる。
【0026】
以下、冷媒回路1の動作例を説明する。バイパス冷媒配管3の選択は、バイパス選択バルブ31V,32Vの開閉によってなされる。冷媒回路1は、制御部Cによって、バイパス選択バルブ31V,32Vの開閉、減圧部14(第1減圧部14Aと第2減圧部14B)及び圧縮機10の制御がなされ、それによって冷媒回路1の動作モードが切り替えられる。
【0027】
図2図5には、冷媒回路1における動作例を示しており、バイパス冷媒配管3の選択による冷媒の流れを示している。図2図5において、太線で示した配管が、冷媒が流れている配管を示しており、太線の矢印が冷媒の流れの向きを示している。
【0028】
図2に示した動作例は、バイパス選択バルブ31V,32Vの両方を閉にして第1バイパス配管31と第2バイパス配管32に冷媒を流さない動作例であり、この場合の冷媒回路1の冷媒は、圧縮機10を出て、第1冷媒熱媒体熱交換部11、第1減圧部14A、第2冷媒熱媒体熱交換部12、第2減圧部14B、第3冷媒熱媒体熱交換部13を順次経由しながら、冷媒循環流路2を流れ、圧縮機10に戻る。
【0029】
図2に示した動作例では、第1減圧部14Aと第2減圧部14Bの制御によって、図6のモリエル線図で示す4つの動作モード(動作モードA~D)を実行することができる。
【0030】
図6(A)に示した動作モードAは、第1減圧部14Aを全開にした例であり、減圧は第2減圧部14Bのみで行う。この動作モードAの冷媒は、圧縮機10によって圧縮され、第1冷媒熱媒体熱交換部11及び第2冷媒熱媒体熱交換部12にて熱媒体へ放熱し、第2減圧部14Bで減圧され、第3冷媒熱媒体熱交換部13にて熱媒体から吸熱する。この際、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12が凝縮器として機能し、第3冷媒熱媒体熱交換部13が蒸発器として機能する。なお、ここで第1冷媒熱媒体熱交換部11にて熱交換される熱媒体回路と第2冷媒熱媒体熱交換部12にて熱交換される熱媒体回路は、独立した回路であってもよいし互いに接続された回路であってもよい。
【0031】
この動作モードAでは、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12にそれぞれ接続される2つの熱媒体回路に、高圧の冷媒と直接熱交換することで得られる高温の熱媒体を流すことができ、第3冷媒熱媒体熱交換部13に接続された1つの熱媒体回路に、低圧の冷媒と直接熱交換することで得られる低温の熱媒体を流すことができる。
【0032】
図6(B)に示した動作モードBは、第1減圧部14Aと第2減圧部14Bで2段階に分けた減圧を行い、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12で2段階に分けた放熱を行う。この動作モードBの冷媒は、圧縮機10によって圧縮され、第1冷媒熱媒体熱交換部11にて一つの熱媒体へ第1段階の放熱を行い、第1減圧部14Aで第1段階の減圧がなされ、第2冷媒熱媒体熱交換部12にて別の熱媒体へ第2段階の放熱を行い、第2減圧部14Bで第2段階の減圧がなされ、第3冷媒熱媒体熱交換部13にて他の熱媒体から吸熱する。この際、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12が凝縮器として機能し、第3冷媒熱媒体熱交換部13が蒸発器として機能する。
【0033】
この動作モードBでは、第1冷媒熱媒体熱交換部11に接続される1つの熱媒体回路には、高圧の冷媒と直接熱交換することで得られる高温の熱媒体を流すことができ、第2冷媒熱媒体熱交換部12に接続される別の熱媒体回路には、中圧の冷媒と直接熱交換することで得られる高温の熱媒体よりも比較的低い温度に加熱された熱媒体を流すことができ、第3冷媒熱媒体熱交換部13に接続された他の熱媒体回路には、低圧冷媒と直接熱交換することで得られる低温熱媒体を流すことができる。
【0034】
すなわち、この動作モードBによると、冷媒との直接的な熱交換で、温度帯の異なる高温熱媒体を生成し、それぞれ別の熱媒体回路に流すことができる。この際の温度帯の調整は、第1減圧部14Aの減圧程度によって調整される。
【0035】
図6(C)に示した動作モードCは、第1減圧部14Aと第2減圧部14Bで2段階に分けた減圧を行い、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13で2段階に分けた吸熱を行う。この動作モードCの冷媒は、圧縮機10によって圧縮され、第1冷媒熱媒体熱交換部11にて一つの熱媒体へ放熱し、第1減圧部14Aで第1段階の減圧がなされ、第2冷媒熱媒体熱交換部12にて別の熱媒体から第1段階の吸熱を行い、第2減圧部14Bで第2段階の減圧がなされ、第3冷媒熱媒体熱交換部13にて他の熱媒体から第2段階の吸熱を行う。この際、第1冷媒熱媒体熱交換部11が凝縮器として機能し、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13が蒸発器として機能する。
【0036】
この動作モードCでは、第1冷媒熱媒体熱交換部11に接続される1つの熱媒体回路には、高圧の冷媒と直接熱交換することで得られる高温の熱媒体を流すことができ、第2冷媒熱媒体熱交換部12に接続される熱媒体回路と第3冷媒熱媒体熱交換部13に接続される熱媒体回路には、冷媒と直接熱交換することで得られる異なる温度帯の低温熱媒体をそれぞれ流すことができる。
【0037】
図6(D)に示した動作モードDは、第2減圧部14Bを全開にした例であり、減圧は第1減圧部14Aのみで行う。この動作モードDの冷媒は、圧縮機10によって圧縮され、第1冷媒熱媒体熱交換部11にて熱媒体へ放熱し、第1減圧部14Aで減圧され、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13にてそれぞれ熱媒体から吸熱する。この際、第1冷媒熱媒体熱交換部11が凝縮器として機能し、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13が蒸発器として機能する。なお、ここで第2冷媒熱媒体熱交換部12にて熱交換される熱媒体回路と第3冷媒熱媒体熱交換部13にて熱交換される熱媒体回路は、独立した回路であってもよいし互いに接続された回路であってもよい。
【0038】
この動作モードDでは、第1冷媒熱媒体熱交換部11に接続される熱媒体回路に、高圧の冷媒と直接熱交換することで得られる高温の熱媒体を流すことができ、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13にそれぞれ接続される2つの熱媒体回路に、低圧の冷媒と直接熱交換することで得られる低温の熱媒体を流すことができる。
【0039】
図3に示した動作例は、バイパス選択バルブ31Vを開にし、バイパス選択バルブ32Vを閉にして、第2冷媒熱媒体熱交換部12を迂回する冷媒循環流路を形成している。この場合の冷媒回路1の冷媒は、圧縮機10を出て、第1冷媒熱媒体熱交換部11、分岐部31A、第1バイパス配管31、合流部31B、第2減圧部14B、第3冷媒熱媒体熱交換部13を順次経由して圧縮機10に戻る。
【0040】
図3に示した動作例は、図7(E)のモリエル線図で示す動作モードEを実行することができ、この動作モードEの冷媒は、圧縮機10で圧縮され、凝縮器として機能する第1冷媒熱媒体熱交換部11で熱媒体に放熱し、第2減圧部14Bにて減圧され、蒸発器として機能する第3冷媒熱媒体熱交換部13にて熱媒体から吸熱する。
【0041】
図4に示した動作例は、バイパス選択バルブ32Vを開にし、バイパス選択バルブ31Vを閉にして、第3冷媒熱媒体熱交換部13を迂回する冷媒循環流路を形成している。この場合の冷媒回路1の冷媒は、圧縮機10を出て、第1冷媒熱媒体熱交換部11、第1減圧部14A、第2冷媒熱媒体熱交換部12、分岐部32A、第2バイパス配管32、合流部32Bを順次経由して圧縮機10に戻る。
【0042】
図4に示した動作例は、図7(F)のモリエル線図で示す動作モードFを実行することができ、この動作モードFの冷媒は、圧縮機10で圧縮され、凝縮器として機能する第1冷媒熱媒体熱交換部11で熱媒体に放熱し、第1減圧部14Aにて減圧され、蒸発器として機能する第2冷媒熱媒体熱交換部12にて熱媒体から吸熱する。
【0043】
なお、動作モードEにおける第3冷媒熱媒体熱交換部13の吸熱量は、第2減圧部14Bの開度によって制御され、動作モードFにおける第2冷媒熱媒体熱交換部12の吸熱量は、第1減圧部14Aの開度によって制御される。
【0044】
図5に示した動作例は、バイパス選択バルブ31V,32Vの両方を開にし、2系統の冷媒循環流路を形成している。この場合の冷媒回路1の冷媒は、第1系統の冷媒循環流路では、圧縮機10を出て、第1冷媒熱媒体熱交換部11、分岐部31A、第1バイパス配管31、合流部31B、第2減圧部14B、第3冷媒熱媒体熱交換部13を順次経由して圧縮機10に戻り、第2系統の冷媒循環流路では、圧縮機10を出て、第1冷媒熱媒体熱交換部11、第1減圧部14A、第2冷媒熱媒体熱交換部12、分岐部32A、第2バイパス配管32、合流部32Bを順次経由して圧縮機10に戻る。
【0045】
冷媒回路1では、前述した2系統の冷媒循環流路が形成されるように、第1バイパス配管31の分岐部31Aを、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12の間であり且つ第1減圧部14Aの上流側に設け、第1バイパス配管31の合流部31Bを、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13の間であって、第2バイパス配管32の分岐部32Aの下流側であり且つ第2減圧部14Bの上流側に設けている。そして、第2バイパス配管32の分岐部32Aと第1バイパス配管31の合流部31Bの間の冷媒配管には、逆流防止手段15を設けている。
【0046】
図5に示した動作例は、図7(G)のモリエル線図で示す動作モードGを実行することができ、この動作モードGでは、前述した2系統の冷媒循環流路で放熱と吸熱のサイクルが形成され、吸熱用の2つの第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13が、放熱用の1つの第1冷媒熱媒体熱交換部11に対して並列接続されている。
【0047】
これによると、第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13をそれぞれ介して熱媒体回路から必要な吸熱量を得ることができる。この際、第2冷媒熱媒体熱交換部12と熱交換する熱媒体回路と第3冷媒熱媒体熱交換部13と熱交換する熱媒体回路は、独立した回路であっても良いし互いに接続された回路であっても良い。
【0048】
この動作モードGにおいては、第2冷媒熱媒体熱交換部12の吸熱量は第1減圧部14Aの開度によって制御することができ、第3冷媒熱媒体熱交換部13の吸熱量は第2減圧部14Bの開度によって制御することができるので、それぞれ独立した制御が可能になる。これにより、この動作モードGでは、第2冷媒熱媒体熱交換部12に接続された熱媒体回路と第3冷媒熱媒体熱交換部13に接続された熱媒体回路でそれぞれ異なる温度帯の熱媒体を生成することができる。
【0049】
ここで、吸熱器として機能する第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13が直列接続されている動作モードDと並列接続されている動作モードGを比較する。例えば、第1冷媒熱媒体熱交換部11に求められる放熱量が大きく、また、冷媒回路1の流量が大きい運転状況では、吸熱側の2つの熱交換部(第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13)を直列接続した動作モードDでは、2つの熱交換部での圧力損失が大きくなってしまうが、吸熱側の2つの熱交換部を並列接続した動作モードGは、それぞれの熱交換部に流入する冷媒流量を分散させることができるので、吸熱側の2つの熱交換部で圧力損失を低く抑えることができる。このため、圧縮機10の制御で冷媒回路1の冷媒流量を大きくする際には、動作モードGを選択することで、圧力損失を抑えた冷媒回路1の動作が可能になる。
【0050】
図8図11は、前述した冷媒回路1を用いた車両用ヒートポンプ装置のシステム構成及び活用例を示している。ここでも冷媒回路1における太線は冷媒が流れている配管を示しており、太線の矢印が冷媒の流れの向きを示している。また、熱媒体回路における二重線は熱媒体が流れている配管を示しており、二重線の矢印が熱媒体の流れの向きを示している。
【0051】
図示の車両用ヒートポンプ装置のシステム構成は、ユニットU内に収められた冷媒回路1を熱源としており、室内空調装置40の室内熱交換器41、電装機器収納部50に設置された各電装機器(バッテリー51、パワーコントロールユニット52、インバーター53、モーター54)、エンジンルームなどに設置された室外熱交換器60に対する熱マネジメントを行っている。
【0052】
図示のシステムでは、冷媒回路1における第1冷媒熱媒体熱交換部11に熱媒体回路4が接続され、第2冷媒熱媒体熱交換部12に熱媒体回路5が接続され、第3冷媒熱媒体熱交換部13に熱媒体回路6が接続されている。システム構成上は、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱交換部13の少なくとも一つで熱交換した熱媒体が循環する熱媒体回路を備え、また、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱交換部13のそれぞれで熱交換した熱媒体が循環する複数の熱媒体回路を備える。
【0053】
熱媒体回路4は、循環ポンプ4Aによって、第1冷媒熱媒体熱交換部11と室内熱交換器41を経由して熱媒体を循環させる循環流路である。熱媒体回路5は、循環ポンプ5Aによって、第2冷媒熱媒体熱交換部12と電装機器収納部50の各電装機器(バッテリー51、パワーコントロールユニット52、インバーター53、モーター54)に設けた熱交換部を経由して熱媒体を循環させる循環流路である。また、熱媒体回路5は、三方弁5Bを備え、バッテリー51の熱交換部を単体で経由する循環流路と、全ての電装機器の熱交換部を順次経由する循環流路が切り替え可能になっている。熱媒体回路6は、循環ポンプ6Aによって、第3冷媒熱媒体熱交換部13と室外熱交換器60を経由して熱媒体を循環させる循環流路である。
【0054】
このような車両用ヒートポンプ装置は、図8に示す活用例1では、低温外気環境(例えば、-5℃)下での車両始動時を想定し、冷媒回路1を前述した動作モードBで動作させて、熱媒体回路5によるバッテリー51の暖機と熱媒体回路4による室内暖房を同時に行っている。
【0055】
この際、冷媒回路1は、第1減圧部14Aと第2減圧部14Bを段階的に減圧させることで、第1冷媒熱媒体熱交換部11を高圧の凝縮器として機能させ、第2冷媒熱媒体熱交換部12を中圧の凝縮器として機能させて、熱媒体回路4を循環する熱媒体の温度帯と熱媒体回路5を循環する熱媒体の温度帯を異なる温度帯にしている。この活用例1では、低温外気環境下での車両始動時に、熱媒体回路4によって、暖房吹き出し温度60℃程度で室内暖房を行うことができ、同時に熱媒体回路5によって、バッテリー許容上限温度の35℃以下でバッテリー51の暖機を行うことができる。
【0056】
次に図9に示す活用例2は、車両始動後の走行中を想定し、冷媒回路1を前述した動作モードEで動作させて、熱媒体回路5の熱媒体への蓄熱と熱媒体回路4による室内暖房を同時に行っている。
【0057】
この際、冷媒回路1は、第1バイパス配管31によって第2冷媒熱媒体熱交換部12が迂回され、第1冷媒熱媒体熱交換部11が凝縮器として機能し、第3冷媒熱媒体熱交換部13が蒸発器として機能している。第2冷媒熱媒体熱交換部12は、熱交換部として機能しておらず、熱媒体回路5においては単なる熱媒体流路になっている。
【0058】
この活用例2では、熱媒体回路5は、三方弁5Bの切り替えで全ての電装機器を順次経由する循環流路が形成されており、車両始動後の走行中に、熱媒体回路5によって、モーター54などで発生した熱を熱媒体回路5の熱媒体に蓄熱しており、熱媒体回路4によって、活用例1と同様に、暖房に必要な温度(例えば暖房吹き出し温度50℃)の熱媒体を室内熱交換器41に送って室内暖房を行っている。
【0059】
次に図10に示す活用例3は、車両走行中に前述した蓄熱が所定量溜まったことで蓄熱利用への切り替えを行っている。この際の冷媒回路1は、前述した動作モードFで動作され、熱媒体回路5の熱媒体に蓄熱された熱を蒸発器として機能する第2冷媒熱媒体熱交換部12にて吸熱し、凝縮器として機能する第1冷媒熱媒体熱交換部11にて室内暖房中の熱媒体回路4に放熱している。
【0060】
この活用例3では、室外熱交換器60に接続されている第3冷媒熱媒体熱交換部13は、第2バイパス配管32によって迂回され、冷媒回路1から切り離されている。これによって、第3冷媒熱媒体熱交換部13を介した無駄な放熱が抑制され、熱媒体回路5における蓄熱を有効に利用して室内暖房を行うことができる。
【0061】
図11に示す活用例4は、活用例3による蓄熱利用を続けた際に、蓄熱量が減少しバッテリー51の温度が下限値に近づいた状況を想定し、蓄熱利用と外気吸熱の併用を行っている。この際の冷媒回路1は、前述した動作モードGで動作され、第1冷媒熱媒体熱交換部11に並列接続される第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13のうち、第2冷媒熱媒体熱交換部12は熱媒体回路5の蓄熱を吸熱し、第3冷媒熱媒体熱交換部13は室外熱交換器60で回収した外気熱を吸熱する。
【0062】
この活用例4は、前述したように、活用例3にて蓄熱量が減少した場合に切り替えて実行できるが、活用例2から活用例3に切り替える際にも適用できる。すなわち、活用例2における蓄熱と暖房である程度蓄熱が溜まってきたときに、活用例4に切り替えて、外気吸熱を行いながら蓄熱の利用を行う。そして、十分に蓄熱が溜まった段階で、活用例3の蓄熱利用を行う。その後、蓄熱量が減少した場合には、再度活用例4に切り替えて外気吸熱と蓄熱利用の併用を行う。
【0063】
以上説明した本発明の実施形態に係る冷媒回路1とそれを用いた車両用ヒートポンプ装置によると、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13のうち、バイパス冷媒配管3によって選択される熱交換部によって異なる動作モードの冷媒回路1を構成することができる。これによって、冷媒から直接熱交換する熱媒体を様々な温度帯で生成することができ、効率的な熱利用が可能な熱源を冷媒回路1によって得ることができる。
【0064】
より具体的には、本発明の実施形態に係る冷媒回路1は、バイパス冷媒配管3として第1バイパス配管31と第2バイパス配管(2つのバイパス冷媒配管)を備えている。これにより、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13の全で熱交換すると放熱量や吸熱量が多くなりすぎて、熱媒体を過剰に加熱したり冷却してしまう場合に、一部の熱交換部を迂回させることで、放熱量や吸熱量を適正範囲にし、熱媒体を過剰に加熱したり冷却したりしない効率的な運転を行うことができる。
【0065】
また2つのバイパス冷媒配管を備えることで、冷媒回路1の第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13の接続関係を、直列接続と並列接続に切り替えることができる。これにより、直列接続時に、2つの減圧部14(第1減圧部14Aと第2減圧部14B)の開度制御で複数の温度帯の熱媒体を生成したり、並列接続時に、並列関係にある熱交換部で同じ温度帯や異なる温度帯の熱媒体を生成したりすることができ、冷媒流路に様々なバリエーションを持たせることができる。これによって、様々な状況に適した動作モードで冷媒回路を運転することができる。
【0066】
また、冷媒回路1は、第1冷媒熱媒体熱交換部11と第2冷媒熱媒体熱交換部12と第3冷媒熱媒体熱交換部13のそれぞれに熱媒体回路を接続することで、冷媒の流路をユニットU内に制限した状態で、熱マネジメントシステムの熱源として用いることができる。これにより、冷媒回路1をコンパクトにユニット化することができると共に、ユニットU内で冷媒配管を容易にメンテナンスすることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1:冷媒回路,2:冷媒循環流路,3:バイパス冷媒配管,
4,5,6:熱媒体回路,4A,5A,6A:循環ポンプ,5B:三方弁,
10:圧縮機,11:第1冷媒熱媒体熱交換部,
12:第2冷媒熱媒体熱交換部,13:第3冷媒熱媒体熱交換部,
14:減圧部,14A:第1減圧部,14B:第2減圧部,
15:逆流防止手段,20~23:冷媒配管,
31:第1バイパス配管,32:第2バイパス配管,
31A,32A:分岐部,31B,32B:合流部,
31V,32V:バイパス選択バルブ,
40:室内空調装置,41:室内熱交換器,
50:電装機器収納部,51:バッテリー,
52:パワーコントロールユニット,53:インバーター,54:モーター,
60:室外熱交換器,
U:ユニット,C:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
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図11