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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147368
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 27/115 20170101ALI20220929BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G06K19/077 172
H01L27/10 495
H01L27/115
H01L23/00 B
H01L25/04 Z
H01L23/12 E
H01L23/12 N
H01L23/12 Q
G06K19/077 164
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048578
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 利忠
(72)【発明者】
【氏名】大塚 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敦志
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083EP00
5F083FR00
5F083ZA23
(57)【要約】
【課題】 ESDの影響を抑制できるとともに、電気信号の伝送特性の劣化を抑制できるメモリデバイスを提供すること。
【解決手段】 メモリデバイスは、基板30と、基板30に設けられた不揮発性メモリ14と、基板30に設けられ、不揮発性メモリ14に接続されたメモリコントローラ13と、基板30に設けられ、一端部及び他端部を含み、一端部がメモリコントローラ13に接続された配線40とを含む。メモリデバイスは、更に、基板30に設けられ、配線40の他端部に接続されたフットプリント60と、基板30に設けられ、フットプリント60に接続されたESD保護素子12Aと、基板30に設けられ、ホスト装置と電気的に接続可能な接続端子と、基板内に設けられ、一端部が配線40の他端部に接続され、他端部が接続端子に接続されたビアプラグとを含む。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた不揮発性メモリと、
前記基板に設けられ、前記不揮発性メモリに接続されたメモリコントローラと、
前記基板に設けられ、一端部及び他端部を含み、前記一端部が前記メモリコントローラに接続された第1の配線と、
前記基板に設けられ、前記第1の配線の前記他端部に接続されたフットプリントと、
前記基板に設けられ、前記フットプリントに接続されたESD保護素子と、
前記基板に設けられ、ホスト装置と電気的に接続可能な接続端子と、
前記基板内に設けられ、一端部が前記第1の配線の前記他端部に接続され、他端部が接続端子に接続された第1のビアプラグと
を具備するメモリデバイス。
【請求項2】
前記基板に設けられ、前記フットプリントに接続された第1のグランドプレーンを具備する請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記ESD保護素子は、第1の端子及び第2の端子を含み、
前記フットプリントは、前記第1の端子に接続された第1の導電部、及び、前記第2の端子に接続された第2の導電部を含み、
前記第1のビアプラグの前記一端部は、前記フットプリントの前記第1の導電部に接続されている請求項2に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記第1のグランドプレーンは、前記フットプリントの前記第2の導電部に接続されている請求項3に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記基板内に設けられ、第1の配線の下方に配置された第2のグランドプレーンを具備する請求項4に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記第2のグランドプレーンの形状はベタ状である請求項5に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記第2の導電部の形状はベタ状である請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記基板は、第1の方向に積層された絶縁層及びプリント配線板を含み、
前記不揮発性メモリ、前記メモリコントローラ、前記第1の配線、前記フットプリント、前記ESD保護素子及び前記第1のグランドプレーンは、前記プリント配線板に設けられ、
前記第1のビアプラグは、前記プリント配線板及び前記絶縁層内に設けられている請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記絶縁層は第1の絶縁層及び第2の絶縁層を含み、
第1の絶縁層、第2の絶縁層及び前記プリント配線板はこの順で前記第1の方向に積層され、
前記第1のビアプラグは、前記プリント配線板及び前記第2の絶縁層内に設けられている請求項8に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
基板と、
前記基板に設けられた不揮発性メモリと、
前記基板に設けられ、前記不揮発性メモリに接続されたメモリコントローラと、
前記基板に設けられ、一端部及び他端部を含み、前記一端部が前記メモリコントローラに接続された第1の配線と、
前記基板内に設けられたESD保護素子と、
前記基板内に設けられ、前記ESD保護素子が接続されたフットプリントと、
前記基板内に設けられ、一端部が前記第1の配線の前記他端部に接続され、他端部が前記フットプリントに接続された第1のビアプラグと、
前記基板に設けられ、ホスト装置と電気的に接続可能な接続端子と、
前記基板内に設けられ、一端部が前記フットプリントに接続され、他端部が前記接続端子に接続された第2のビアプラグと
を具備するメモリデバイス。
【請求項11】
前記ESD保護素子は、第1の端子及び第2の端子を含み、
前記フットプリントは、前記第1の端子に接続された第1の導電部、及び、前記第2の端子に接続された第2の導電部を含み、
前記第1のビアプラグの前記他端部は、前記フットプリントの前記第1の導電部に接続され、
前記第2のビアプラグの前記一端部は、前記フットプリントの前記第1の導電部に接続されている請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項12】
前記基板に設けられた第1のグランドプレーン及び第2のグランドプレーンを具備し、
前記第1のグランドプレーンは前記フットプリントの前記第2の導電部に接続され、
前記第2のグランドプレーンは第1の配線の下方に配置されている請求項11に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記基板は第1の絶縁層、第2の絶縁層、第3の絶縁層及びプリント配線板を含み、
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層及び前記プリント配線板はこの順で第1の方向に積層されている請求項12に記載のメモリデバイス。
【請求項14】
前記不揮発性メモリ、前記メモリコントローラ及び前記第1の配線は、前記プリント配線板に設けられ、
前記第2のビアプラグは、前記第2の絶縁層内に設けられ、
前記フットプリント、前記ESD保護素子及び前記第1のグランドプレーンは、前記第3の絶縁層内に設けられ、
前記第2のグランドプレーンは、前記プリント配線板内に設けられ、
前記第1のビアプラグは、前記プリント配線板及び前記第3の絶縁層内に設けられている請求項13に記載のメモリデバイス。
【請求項15】
前記接続端子は前記第1の絶縁層に設けられ、
前記第1の絶縁層は前記接続端子が露出する開口を含む請求項9又は14に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記第1の配線は、マイクロストリップラインである請求項1乃至15の何れかに記載のメモリデバイス。
【請求項17】
前記ESD保護素子は第1のダイオード及び第2のダイオードを含み、
前記第1のダイオードのカソードと前記第2のダイオードのカソードとは接続されている請求項1乃至16の何れかに記載のメモリデバイス。
【請求項18】
前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードの各々は、ツェナーダイオードである請求項17に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリと、メモリコントローラと、ホスト装置と接続可能な接続端子と、ESD(Electro Static Discharge)保護素子とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-003875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ESDの影響を抑制できるとともに、電気信号の伝送特性の劣化を抑制できるメモリデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のメモリデバイスは、基板と、前記基板に設けられた不揮発性メモリと、前記基板に設けられ、前記不揮発性メモリに接続されたメモリコントローラと、前記基板に設けられ、一端部及び他端部を含み、前記一端部が前記メモリコントローラに接続された第1の配線とを含む。実施形態のメモリデバイスは、更に、前記基板に設けられ、前記第1の配線の前記他端部に接続されたフットプリントと、前記基板に設けられ、前記フットプリントに接続されたESD保護素子と、前記基板に設けられ、ホスト装置と電気的に接続可能な接続端子と、前記基板内に設けられ、一端部が前記第1の配線の前記他端部に接続され、他端部が接続端子に接続された第1のビアプラグとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係るメモリデバイスのブロック図。
図2】ESD保護素子の構成図。
図3】メモリデバイスの外形の平面図。
図4】メモリデバイスの外形の側面図。
図5】第1の実施形態に係るメモリデバイスの平面図。
図6図5の6-6線に沿った断面図。
図7図5の7-7線に沿った断面図。
図8図5の8-8線に沿った断面図。
図9】第1の実施形態に係るメモリデバイスのフットプリントの平面図。
図10】比較例に係るメモリデバイスの平面図。
図11】第2の実施形態に係るメモリデバイスのフットプリントの平面図。
図12】実施形態及に係るメモリデバイスの電気信号の伝送特性及び比較例に係るメモリデバイスの電気信号の伝送特性を示す特性図。
図13】第3の実施形態に係るメモリデバイスの平面図。
図14図13の14-14線に沿った断面図。
図15図13の15-15線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るメモリデバイス1のブロック図である。
【0009】
メモリデバイス1は、例えば、ホスト装置2に電気的に接続可能なリムーバブルメモリカードなどのメモリデバイスである。ホスト装置2は、例えば、パーソナルコンビュータ若しくはサーバーなどの情報処理装置、テスタ装置、製造装置、スチルカメラ若しくはビデオカメラなどの撮像装置、タブレットコンピュータ若しくはスマートフォンなどの携帯端末、ゲーム機器、又は、カーナビゲーションシステム(車載端末)である。
【0010】
メモリデバイス1は、端子群11と、ESD保護回路12と、メモリコントローラ13と、不揮発性メモリ14とを含む。
【0011】
端子群11は複数の接続端子(不図示)を含む。複数の接続端子はホスト装置2と電気的に接続可能である。例えば、ホスト装置2にメモリデバイス1が接続された状態では、複数の接続端子はホスト装置2と電気的に接続される。ホスト装置2とメモリデバイス1との間のデータ転送は、例えば、シリアル転送によって行われる。
【0012】
ESD保護回路12は複数のESD保護素子(不図示)を含む。複数のESD保護素子と複数の接続端子とは接続されている。例えば、複数のESD保護素子の数と複数の接続端子の数とは同じである。この場合、各接続端子には一つのESD保護素子が接続され、且つ、異なる接続端子には異なるESD保護素子が接続される。
【0013】
図2は、ESD保護素子12Aの構成図である。
【0014】
ESD保護素子12Aは、第1のダイオード12A1、第2のダイオード12A2、第1の端子T1及び第2の端子T2を含む。
【0015】
第1のダイオード12A1と第2のダイオード12A2とは直列に接続されている。第1のダイオード12A1のカソードは第2のダイオード12A2のカソードに接続されている。第1の端子T1は第1のダイオード12A1のアノードに接続されている。第2の端子T2は第2のダイオード12A2のアノードに接続されている。
【0016】
ダイオード12A1,12A2の各々がツェナーダイオードである場合、ESD保護素子12Aは双方向ツェナーダイオードである。
【0017】
以下、ESD保護素子として、図2に示したESD保護素子12Aを用いた場合について説明するが、ESD保護素子はESD保護素子12Aには限定されない。例えば、ESD保護素子を構成するダイオードの数は一つでもよい。また、ESD保護素子はダイオードと異なる他の種類の素子を更に含んでいてもよい。メモリデバイスの種類や仕様などに応じて使用されるESD保護素子は適宜決められる。
【0018】
図1に示すメモリコントローラ13は、不揮発性メモリ14を制御する。より詳細には、メモリコントローラ13は、ホスト装置2から命令を受け取り、受け取った命令に基づいて不揮発性メモリ14を制御する。具体的には、メモリコントローラ13は、ホスト装置2から書込みを指示されたデータを不揮発性メモリ14に書き込み、ホスト装置2から読出しを指示されたデータを不揮発性メモリ14から読み出してホスト装置2に送信する。
【0019】
なお、メモリデバイス1は、メモリコントローラ13以外のコントローラを含んでいてもよい。このコントローラ及びメモリコントローラ13は一つのコントローラ(チップ)として構成されてもよいし、又は、コントローラ及びメモリコントローラ13はそれぞれ別個のコントローラ(チップ)として構成されてもよい。
【0020】
不揮発性メモリ14はデータを不揮発に保持するメモリであり、例えば、複数の不揮発性の半導体メモリセルを含むNAND型フラッシュメモリである。NAND型フラッシュメモリは、例えば、積層された複数のNAND型フラッシュメモリダイ(不図示)を含む。NAND型フラッシュメモリの代わりに、複数の不揮発性の磁気メモリセル又は相変化メモリセルを含むメモリを用いてもよい。
【0021】
図3は、メモリデバイス1の外形の平面図である。なお、図3では、メモリデバイス1の内部のメモリコントローラ13及び不揮発性メモリ14を破線で示している。図4はメモリデバイス1の側面図である。
【0022】
図3及び図4にはX軸、Y軸及びZ軸が示されている。X軸とY軸とZ軸とは互いに直交する。X軸はメモリデバイス1の幅に沿う。Y軸はメモリデバイス1の長さ(高さ)に沿う。Z軸はメモリデバイス1の厚さに沿う。
【0023】
メモリデバイス1は、薄い板状のカードケース(筐体、ハウジング又はパッケージとも称される)10を備える。カードケース10の材料、例えば、ポリカーボネート樹脂やABS樹脂等の絶縁樹脂である。カードケース10は、例えば、Y軸方向に延びた略矩形の板状に形成される。Y軸方向は、カードケース10の長手方向である。メモリデバイス1はその前後や表裏の向きを示す面取り部20を有する。
【0024】
図4に示すように、カードケース10は第1の面21及び第2の面22を含む。第1の面21及び第2の面22は、Y軸方向に延びた略四角形(矩形)の形状を有する。Y軸方向は、第1の面21及び第2の面22の長手方向でもある。第1の面21は、Z軸の正方向に向く略平坦な面である。第2の面22は、第1の面21の反対側に位置し、Z軸の負方向に向く略平坦な面である。
【0025】
図3に示すように、メモリデバイス1は、第1の面21の側に設けられた複数の接続端子11Pを含む。複数の接続端子11Pは、先に説明した図1の端子群11の複数の接続端子である。複数の接続端子11PはX軸に沿って配置されている。複数の接続端子11Pは、カードケース10から露出している。複数の接続端子11Pの各々は外部接続端子やパッドとも称される。
【0026】
なお、図3では、簡略化のために、接続端子11Pの数は7としているが、接続端子11Pの数は7よりも多くてもよい。また、接続端子11Pの数は7よりも少なくてもよい。また、図3では、簡略化のために、複数の接続端子11Pは一つの列に配置されているが、複数の接続端子11Pは複数の列に跨がって配置されていてもよい。各列に配置される接続端子11Pの数は全ての列において同じ場合もあるし、そうでない場合もある。
【0027】
次に、カードケース10内のデバイス構造について説明する。
【0028】
図5は第1の実施形態に係るメモリデバイスの平面図であり、図3の一点鎖線で囲まれた領域を第2の面22側から見たものである。図6図5の6-6線に沿った断面図である。図7図5の7-7線に沿った断面図である。図8図5の8-8線に沿った断面図(第3の断面図)である。図5乃至図8にはケース10は示されていない。図9はフットプリント60の平面図である。
【0029】
ケース内には、接続端子11P、メモリコントローラ13、不揮発性メモリ14、基板30、マイクロストリップライン40、第1のパッド電極41、第2のパッド電極42、ボンディングワイヤ43、第1のビアプラグ51、フットプリント60、第1のグランドプレーン71及び第2のグランドプレーン72が設けられている。
【0030】
基板30は、第1の絶縁層31と、第2の絶縁層32と、プリント配線板33とを含む。第1の絶縁層31、第2の絶縁層32及びプリント配線板33はZ軸負方向(第1の方向)に沿ってこの順で積層されている。
【0031】
第1の絶縁層31の材料及び第2の絶縁層32の材料は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物である。第1の絶縁層31の材料と第2の絶縁32の材料とは必ずしも同じであるとは限らない。
【0032】
プリント配線板33はプリント配線(不図示)を含む。プリント配線板33はプリント配線が設けられている領域(配線領域)と、プリント配線が設けられていない領域(絶縁領域)とを含む。
【0033】
メモリコントローラ13、不揮発性メモリ14及びマイクロストリップライン40は、プリント配線板33のZ軸負方向の面(上面)側に設けられている。
【0034】
メモリコントローラ13及び不揮発性メモリ14はプリント配線板33の配線領域に配置されている。メモリコントローラ13及び不揮発性メモリ14はプリント配線を介して電気的に接続される。一方、マイクロストリップライン40はプリント配線板33の絶縁領域に配置されている。
【0035】
なお、不揮発性メモリ14は、プリント配線板33のZ軸正方向の面(下面)側に配置されることも可能である。また、マイクロストリップラインの代わりにストリップライン等の他の配線(伝送線路)を用いることも可能である。
【0036】
第1のパッド電極41は、プリント配線板33の上面側に設けられている。第1のパッド電極41は、マイクロストリップライン40の一端部(Y軸負方向の端部)に接続されている。
【0037】
第2のパッド電極42は、メモリコントローラ13のZ軸負方向の面(上面)に設けられている。第1のパッド電極41と第2のパッド電極42とはボンディングワイヤ43によって接続されている。その結果、マイクロストリップライン40とメモリコントローラ13とは電気的に接続される。
【0038】
図6及び図8に示すように、マイクロストリップライン40の他端部(Y軸正方向の端部)は、第1のビアプラグ51の一端部(Z軸負方向の端部)に接続されている。第1のビアプラグ51は、プリント配線板33及び第2の絶縁層32内に設けられている。第1のビアプラグ51の他端部(Z軸正方向の端部)は接続端子11Pに接続されている。第1のビアプラグ51は、例えば、導電性ペースト又はめっきを用いて形成される。図6及び図8には、導電性ペーストを用いて形成された第1のビアプラグ51が示されている。
【0039】
図8に示すように、プリント配線板33の上面側には、ESD保護素子12A、フットプリント60及び第1のグランドプレーン71が設けられている。ESD保護素子12Aはフットプリント60上に搭載される。
【0040】
図5及び図8に示すように、フットプリント60は、第1の導電部61及び第2の導電部62を含む。ESD保護素子12Aの第1の端子(図2に示した第1の端子T1)及び第2の端子(図2に示した第2の端子T2)は、それぞれ、第1の導電部61及び第2の導電部62に電気的に接続される。
【0041】
ESD保護素子12Aの第1の端子は、第1の導電部61を介して、第1のビアプラグ51の一端部(Z軸負方向の端部)に接続されている。ESD保護素子12Aの第2の端子は、第2の導電部62を介して、第1のグランドプレーン71に接続されている。第1のグランドプレーン71はグランド電位を有する。なお、フットプリントはパッド、パッド電極又はランドとも称される。
【0042】
第1の導電部61、第2の導電部62及び第1のグランドプレーン71は、例えば、一枚の金属膜をエッチングして得られる。金属膜は、例えば、銅膜である。
【0043】
図6に示すように、第2のグランドプレーン72はプリント配線板33内に設けられている。第2のグランドプレーン72はグランド電位を有する。第2のグランドプレーン72は第1のビアプラグ51とは物理的に分離されている。第2のグランドプレーン72は第1のビアプラグ51と電気的に接続されてはいない。マイクロストリップライン40のZ軸正方向(下方)において、第2のグランドプレーン72はベタ状の形状を有する。
【0044】
接続端子11Pは第1の絶縁層31内に設けられている。第1の絶縁層31は、接続端子11Pが露出する開口81を含む。
【0045】
ここで、露出している接続端子11Pに静電気が帯電すると、ESD(静電放電)が発生することがある。ESDはサージを招く原因となる。サージが接続端子11Pからメモリデバイス1内に侵入すると、メモリコントローラ13や不揮発性メモリ14は破壊される可能性がある。
【0046】
しかし、ESD保護素子12Aを用いる場合、ESDによって発生したサージは、ESD保護素子12Aを介して第1のグランドプレーン71に流れるので、ESDに起因するメモリコントローラ13や不揮発性メモリ14の破壊(ESDの影響)は抑制される。
【0047】
また、本実施形態のメモリデバイス1は、今後、電気信号の周波数が更に高くなっても、電気信号の伝送特性の劣化を抑制できるという効果を有する。以下、この点について更に説明する。
【0048】
本実施形態では、ESD保護素子12Aは、フットプリント60を介して、接続端子11Pと第2のパッド電極42との間に接続される。言い換えれば、ESD保護素子12Aは、一本の配線(以下、第1の配線という)から分離した分岐配線を経由せずに、接続端子11Pと第2のパッド電極42との間に接続される。
【0049】
上記の第1の配線は、フットプリント60(第1の導電部61)と、第1のビアプラグ51と、マイクロストリップライン40と、第1のパッド電極41と、ボンディングワイヤ43とで構成される。
【0050】
図10は比較例に係るメモリデバイスの平面図である。比較例に係るメモリデバイスでは、第1の導電部61はマイクロストリップライン40から分岐した分岐配線44に接続されている。したがって、比較例の場合、ESD保護素子12Aは、分岐配線44を経由して、接続端子11P(不図示)と第2のパッド電極42との間に接続されることになる。
【0051】
分岐配線44は寄生誘導を発生させる。また、ESD保護素子12Aを構成するダイオードのPNジャンクションは寄生容量を発生させる。寄生誘導及び寄生容量はLC直列共振回路を構成する。その結果、上記の第1の配線にはLC直列共振回路が並列に接続されることになる。
【0052】
したがって、第1の配線中にLC直列共振回路の共振周波数を有する電気信号が流れると、当該電気信号が大きく減衰するという、電気信号の伝送特性の劣化が発生する。今後、電気信号の周波数が更に高くなると、分岐配線の長さがたとえ短くても電気信号の伝送特性の劣化(LC直列共振回路の影響)は無視できなくなる可能性がある。
【0053】
本実施形態のメモリデバイス1は、分岐配線を用いていないので、今後、電気信号の周波数が更に高くなっても、電気信号の伝送特性の劣化は抑制できる。
【0054】
以上述べたように本実施形態によれば、ESD保護素子12AによりESDの影響を抑制できるとともに、今後、電気信号の周波数が更に高くなっても、電気信号の伝送特性の劣化は抑制できるメモリデバイス1を提供できる。
【0055】
(第2の実施形態)
図11は第2の実施形態に係るメモリデバイスのフットプリントの平面図である。図11は第1の実施形態の図9に相当する。
【0056】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第2の導電部62の形状がベタ状であることにある。以下、この点について更に説明する。
【0057】
X軸及びY軸で規定される面(X-Y面)内において、第2の導電部62のY軸方向の寸法は、X軸の座標によらずに一定である。言い換えれば、本実施形態では、X-Y面内における第2の導電部62の形状は、X軸に平行な辺とY軸に平行な辺を二つの辺とする長方形である。なお、第1及び第2の実施形態において、第1の導電部61の形状はベタ状である。
【0058】
本実施形態によれば、第2の導電部62の第1のグランドプレーン71との接続箇所においても、LC直列共振回路の誘導成分となる箇所を減らすことができる。その結果、電気信号の伝送特性の劣化をより効果的に抑制することが可能となる。
【0059】
図12は、実施形態及に係るメモリデバイスの電気信号の伝送特性及び比較例に係るメモリデバイスの電気信号の伝送特性を示す特性図である。縦軸は電気信号の強度(信号強度)を示し、横軸は電気信号の周波数を示している。また、比較例に係るメモリデバイスは、上述した図10に示されるメモリデバイスである。
【0060】
図12から、本実施形態は0~24GHz付近迄の周波数において信号強度は確保できているが、比較例では24GHz付近迄の周波数において信号強度は確保できていない。これは、本実施形態ではPCIExpress(PCIe)(登録商標)4.0(Gen4)の基本周波数(8GHz)の3次高調波の電気信号を伝送することが可能であることを意味している。
【0061】
“0”データと“1”データが交互に連続するビット列を伝送する際に24GHzの高周波が発生する。24GHzはPCIe4.0で想定される最大周波数である。実際のデータ伝送では伝送ビットパターンにより、24GHzよりも低い周波数が発生するのが通常である。比較例の場合、21GHz付近で信号強度が低下しているため、21GHz付近の周波数を有する電気信号の伝送は障害される可能性がある。
【0062】
(第3の実施形態)
図13は第3の実施形態に係るメモリデバイスの平面図である。図14図13の14-14線に沿った断面図である。図15図13の15-15線に沿った断面図である。
【0063】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、ESD保護素子は基板のプリント配線板の上面側には設けられているが、本実施形態ではESD保護素子は基板の絶縁層内に設けられている。
【0064】
本実施形態の基板30は、図14に示すように、第1の絶縁層31、第2の絶縁層32、第3の絶縁層34及びプリント配線板33を含む。第1の絶縁層31、第2の絶縁層32、第3の絶縁層34及びプリント配線板33はZ軸負方向
(第1の方向)に沿ってこの順で積層されている。
【0065】
図15に示すように、第3の絶縁層34内にはESD保護素子12Aが設けられている。第3の絶縁層34内には更に第1の導電部61、第2の導電部62及び第1のグランドプレーン71が設けられている。ESD保護素子12Aの第2の端子は、第2の導電部62を介して、第1のグランドプレーン71に接続されている。
【0066】
第1のビアプラグ51はプリント配線板33及び第3の絶縁層34内に設けられている。第1のビアプラグ51の他端部(Z軸正方向の端部)は第1の導電部61に接続されている。第2のビアプラグ52は第2の絶縁層32内に設けられている。第2のビアプラグ52の一端部(Z軸負方向の端部)は、第1の導電部61に接続されている。第2のビアプラグ52の他端部(Z軸正方向の端部)は、接続端子11Pに接続されている。
【0067】
ESD保護素子12Aは、分岐配線を経由せずに、接続端子11Pと第2のパッド電極42との間に接続される。したがって、本実施形態のメモリデバイスは、今後、電気信号の周波数が更に高くなっても、電気信号の伝送特性の劣化は抑制できる。
【0068】
また、本実施形態では、ESD保護素子12Aは基板30の第3の絶縁層34内に設けられている。このようにESD保護素子12Aを基板30の内部に実装することも電気信号の伝送特性の劣化の抑制に繋がる。
【0069】
なお、上述した実施形態のメモリデバイスは、プリント配線を含む層は一つであったが、プリント配線を含む層は二つ以上でもよい。
【0070】
上述した実施形態の上位概念、中位概念及び下位概念の一部又は全て、及び、上述していないその他の実施形態は、例えば、以下の付記1-18、及び、付記1-18の任意の組合せ(明らかに矛盾する組合せは除く)で表現できる。
[付記1]
基板と、
前記基板に設けられた不揮発性メモリと、
前記基板に設けられ、前記不揮発性メモリに接続されたメモリコントローラと、
前記基板に設けられ、一端部及び他端部を含み、前記一端部が前記メモリコントローラに接続された第1の配線と、
前記基板に設けられ、前記第1の配線の前記他端部に接続されたフットプリントと、
前記基板に設けられ、前記フットプリントに接続されたESD保護素子と、
前記基板に設けられ、ホスト装置と電気的に接続可能な接続端子と、
前記基板内に設けられ、一端部が前記第1の配線の前記他端部に接続され、他端部が接続端子に接続された第1のビアプラグと
を具備するメモリデバイス。
[付記2]
前記基板に設けられ、前記フットプリントに接続された第1のグランドプレーンを具備する付記1に記載のメモリデバイス。
[付記3]
前記ESD保護素子は、第1の端子及び第2の端子を含み、
前記フットプリントは、前記第1の端子に接続された第1の導電部、及び、前記第2の端子に接続された第2の導電部を含み、
前記第1のビアプラグの前記一端部は、前記フットプリントの前記第1の導電部に接続されている付記2に記載のメモリデバイス。
[付記4]
前記第1のグランドプレーンは、前記フットプリントの前記第2の導電部に接続されている付記3に記載のメモリデバイス。
[付記5]
前記基板内に設けられ、第1の配線の下方に配置された第2のグランドプレーンを具備する付記4に記載のメモリデバイス。
[付記6]
前記第2のグランドプレーンの形状はベタ状である付記5に記載のメモリデバイス。
[付記7]
前記第2の導電部の形状はベタ状である付記6に記載のメモリデバイス。
[付記8]
前記基板は、第1の方向に積層された絶縁層及びプリント配線板を含み、
前記不揮発性メモリ、前記メモリコントローラ、前記第1の配線、前記フットプリント、前記ESD保護素子及び前記第1のグランドプレーンは、前記プリント配線板に設けられ、
前記第1のビアプラグは、前記プリント配線板及び前記絶縁層内に設けられている付記6に記載のメモリデバイス。
[付記9]
前記絶縁層は第1の絶縁層及び第2の絶縁層を含み、
第1の絶縁層、第2の絶縁層及び前記プリント配線板はこの順で前記第1の方向に積層され、
前記第1のビアプラグは、前記プリント配線板及び前記第2の絶縁層内に設けられている付記8に記載のメモリデバイス。
[付記10]
基板と、
前記基板に設けられた不揮発性メモリと、
前記基板に設けられ、前記不揮発性メモリに接続されたメモリコントローラと、
前記基板に設けられ、一端部及び他端部を含み、前記一端部が前記メモリコントローラに接続された第1の配線と、
前記基板内に設けられたESD保護素子と、
前記基板内に設けられ、前記ESD保護素子が接続されたフットプリントと、
前記基板内に設けられ、一端部が前記第1の配線の前記他端部に接続され、他端部が前記フットプリントに接続された第1のビアプラグと、
前記基板に設けられ、ホスト装置と電気的に接続可能な接続端子と、
前記基板内に設けられ、一端部が前記フットプリントに接続され、他端部が前記接続端子に接続された第2のビアプラグと
を具備するメモリデバイス。
[付記11]
前記ESD保護素子は、第1の端子及び第2の端子を含み、
前記フットプリントは、前記第1の端子に接続された第1の導電部、及び、前記第2の端子に接続された第2の導電部を含み、
前記第1のビアプラグの前記他端部は、前記フットプリントの前記第1の導電部に接続され、
前記第2のビアプラグの前記一端部は、前記フットプリントの前記第1の導電部に接続されている付記10に記載のメモリデバイス。
[付記12]
前記基板に設けられた第1のグランドプレーン及び第2のグランドプレーンを具備し、
前記第1のグランドプレーンは前記フットプリントの前記第2の導電部に接続され、
前記第2のグランドプレーンは第1の配線の下方に配置されている付記10又は11に記載のメモリデバイス。
[付記13]
前記基板は第1の絶縁層、第2の絶縁層、第3の絶縁層及びプリント配線板を含み、
前記第1の絶縁層、前記第2の絶縁層及び前記プリント配線板はこの順で第1の方向に積層されている付記12に記載のメモリデバイス。
[付記14]
前記不揮発性メモリ、前記メモリコントローラ及び前記第1の配線は、前記プリント配線板に設けられ、
前記第2のビアプラグは、前記第2の絶縁層内に設けられ、
前記フットプリント、前記ESD保護素子及び前記第1のグランドプレーンは、前記第3の絶縁層内に設けられ、
前記第2のグランドプレーンは、前記プリント配線板内に設けられ、
前記第1のビアプラグは、前記プリント配線板及び前記第3の絶縁層内に設けられている付記13に記載のメモリデバイス。
[付記15]
前記接続端子は前記第1の絶縁層に設けられ、
前記第1の絶縁層は前記接続端子が露出する開口を含む付記9又は14に記載のメモリデバイス。
[付記16]
前記第1の配線は、マイクロストリップラインである付記1乃至15の何れかに記載のメモリデバイス。
[付記17]
前記ESD保護素子は第1のダイオード及び第2のダイオードを含み、
前記第1のダイオードのカソードと前記第2のダイオードのカソードとは接続されている付記1乃至16の何れかに記載のメモリデバイス。
[付記18]
前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードの各々は、ツェナーダイオードである付記17に記載のメモリデバイス。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
T1…第1の端子
T2…第2の端子
1…メモリデバイス
10…カードケース
11…端子群
11P…接続端子
12…ESD保護回路
12A…ESD保護素子
12A1…第1のダイオード
12A2…第2のダイオード
14…不揮発性メモリ
13…メモリコントローラ
20…面取り部
21…第1の面
22…第2の面
30…基板
31…第1の絶縁層
32…第2の絶縁層
33…プリント配線板
34…第3の絶縁層
40…マイクロストリップライン
41…第1のパッド電極
42…第2のパッド電極
43…ボンディングワイヤ
44…分岐配線
51…第1のビアプラグ
52…第2のビアプラグ
60…フットプリント
61…第1の導電部
62…第2の導電部
71…第1のグランドプレーン
72…第2のグランドプレーン
73…第3のグランドプレーン
81…開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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