(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147410
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ロボットクリーナ
(51)【国際特許分類】
A47L 9/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A47L9/00 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048639
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】住吉 宏太伽
【テーマコード(参考)】
3B006
【Fターム(参考)】
3B006KA01
3B006KA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロボットクリーナの走行安定性の低下を抑制すること。
【解決手段】ロボットクリーナは、クリーニング対象面FLに対向する吸込口を有するクリーナ本体と、クリーニング対象面FLに接触する駆動輪62と、駆動輪62を駆動する走行モータと、を有し、クリーナ本体を支持するホイールアセンブリ6と、クリーニング対象面FLに接触する駆動輪62の接地面よりも上方に配置される遊動輪12を有するクローラアセンブリ10と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング対象面に対向する吸込口を有するクリーナ本体と、
前記クリーニング対象面に接触する駆動輪と、前記駆動輪を駆動する走行モータと、を有し、前記クリーナ本体を支持するホイールアセンブリと、
前記クリーニング対象面に接触する前記駆動輪の接地面よりも上方に配置される遊動輪を有するクローラアセンブリと、を備えることを特徴とする、
ロボットクリーナ。
【請求項2】
前記クローラアセンブリは、前記駆動輪の駆動力により回転する起動輪と、前記起動輪及び前記遊動輪のそれぞれに掛けられるベルトと、を有することを特徴とする、
請求項1に記載のロボットクリーナ。
【請求項3】
前記駆動輪の回転軸と前記起動輪の回転軸とは一致することを特徴とする、
請求項2に記載のロボットクリーナ。
【請求項4】
前記遊動輪は、前記起動輪よりも前方に配置されることを特徴とする、
請求項2又は請求項3に記載のロボットクリーナ。
【請求項5】
前記遊動輪は、前記クリーナ本体の下面を基準として上下方向に移動することを特徴とする、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のロボットクリーナ。
【請求項6】
前記クローラアセンブリは、前記遊動輪を上下方向にガイドするガイド部材を有することを特徴とする、
請求項5に記載のロボットクリーナ。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記遊動輪の少なくとも一部が配置されるガイド溝を含み、
前記ガイド溝は、前記起動輪の回転軸を中心とする円弧状であることを特徴とする、
請求項6に記載のロボットクリーナ。
【請求項8】
前記クローラアセンブリは、前記遊動輪が下方に移動するように前記遊動輪を付勢するクローラ付勢部材を有することを特徴とする、
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のロボットクリーナ。
【請求項9】
前記ベルトの少なくとも一部と前記クリーニング対象面との接触により、前記遊動輪が上方に移動することを特徴とする、
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のロボットクリーナ。
【請求項10】
前記ベルトは、前記クリーニング対象面に接触した状態で回転することを特徴とする、
請求項9に記載のロボットクリーナ。
【請求項11】
前記ホイールアセンブリは、前記クリーナ本体の支持ブラケットに回動可能に支持され、前記駆動輪を支持する支持アームと、前記駆動輪が下方に移動するように前記支持アームを付勢するホイール付勢部材と、を有することを特徴とする、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のロボットクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ロボットクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットクリーナに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような自律クリーナが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットクリーナは、クリーニング対象面を自力で走行しながらクリーニングする。クリーニング対象面の状態が変化しても、ロボットクリーナの走行安定性の低下を抑制できる技術が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、ロボットクリーナの走行安定性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、ロボットクリーナを開示する。ロボットクリーナは、クリーニング対象面に対向する吸込口を有するクリーナ本体と、ホイールアセンブリと、クローラアセンブリと、を備えてもよい。ホイールアセンブリは、クリーニング対象面に接触する駆動輪と、駆動輪を駆動する走行モータと、を有し、クリーナ本体を支持してもよい。クローラアセンブリは、クリーニング対象面に接触する駆動輪の接地面よりも上方に配置される遊動輪を有してもよい。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、ロボットクリーナの走行安定性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るロボットクリーナを示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るロボットクリーナを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るホイールアセンブリ及びクローラアセンブリを示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るホイールアセンブリ及びクローラアセンブリを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロボットクリーナは、クリーニング対象面に対向する吸込口を有するクリーナ本体と、ホイールアセンブリと、クローラアセンブリと、を備えてもよい。ホイールアセンブリは、クリーニング対象面に接触する駆動輪と、駆動輪を駆動する走行モータと、を有し、クリーナ本体を支持してもよい。クローラアセンブリは、クリーニング対象面に接触する駆動輪の接地面よりも上方に配置される遊動輪を有してもよい。
【0010】
上記の構成では、ロボットクリーナが平坦なクリーニング対象面を走行するときの旋回性能の低下及び走行安定性の低下が抑制される。また、ロボットクリーナが凸部を有するクリーニング対象面を走行するときの走行安定性の低下が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、クローラアセンブリは、駆動輪の駆動力により回転する起動輪と、起動輪及び遊動輪のそれぞれに掛けられるベルトと、を有してもよい。
【0012】
上記の構成では、ロボットクリーナが平坦なクリーニング対象面を走行する場合、ホイールアセンブリの駆動輪はクリーニング対象面に接触し、クローラアセンブリのベルトはクリーニング対象面に接触しない。そのため、ロボットクリーナが平坦なクリーニング対象面を走行するときの旋回性能の低下及び走行安定性の低下が抑制される。ロボットクリーナが凸部(段差)を有するクリーニング対象面FLを走行する場合、駆動輪及びベルトのそれぞれがクリーニング対象面に接触することができる。また、ベルトは、起動輪の回転により回転する。駆動輪及びベルトの両方がクリーニング対象面に対してグリップ力を発生するので、ロボットクリーナが凸部を有するクリーニング対象面を走行するときの走行安定性の低下が抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、駆動輪の回転軸と起動輪の回転軸とは一致してもよい。
【0014】
上記の構成では、クローラアセンブリの構造の複雑化が抑制される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、遊動輪は、起動輪よりも前方に配置されてもよい。
【0016】
上記の構成では、ロボットクリーナの前進において、駆動輪の前方にクリーニング対象面の凸部(段差)が存在する場合、駆動輪がクリーニング対象面に接触している状態で、ベルトの少なくとも一部がクリーニング対象面の凸部に接触することができる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、遊動輪は、クリーナ本体の下面を基準として上下方向に移動してもよい。
【0018】
上記の構成では、クリーニング対象面の凸部の高さに合わせて遊動輪が上下方向に移動することができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、クローラアセンブリは、遊動輪を上下方向にガイドするガイド部材を有してもよい。
【0020】
上記の構成では、遊動輪は上下方向に安定して移動することができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ガイド部材は、遊動輪の少なくとも一部が配置されるガイド溝を含んでもよい。ガイド溝は、起動輪の回転軸を中心とする円弧状でもよい。
【0022】
上記の構成では、ガイド溝が起動輪の回転軸を中心とする円弧状なので、遊動輪は、起動輪の回転軸を中心に旋回するように移動することができる。遊動輪が上下方向に移動しても、起動輪と遊動輪との距離は一定なので、ベルトの張り具合の変化が抑制される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、クローラアセンブリは、遊動輪が下方に移動するように遊動輪を付勢するクローラ付勢部材を有してもよい。
【0024】
上記の構成では、遊動輪の周囲のベルトとクリーニング対象面とが接触したとき、ベルトが遊動輪によりクリーニング対象面に押し付けられる。したがって、クリーニング対象面に対するベルトのグリップ力の低下が抑制される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ベルトの少なくとも一部とクリーニング対象面との接触により、遊動輪が上方に移動してもよい。
【0026】
上記の構成では、ベルト及び遊動輪に作用する衝撃が緩和される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ベルトは、クリーニング対象面に接触した状態で回転してもよい。
【0028】
上記の構成では、駆動輪及びベルトのそれぞれがクリーニング対象面に接触した状態で回転するので、ロボットクリーナはクリーニング対象面の凸部(段差)を乗り越えることができる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ホイールアセンブリは、クリーナ本体の支持ブラケットに回動可能に支持され、駆動輪を支持する支持アームと、駆動輪が下方に移動するように支持アームを付勢するホイール付勢部材と、を有してもよい。
【0030】
上記の構成では、駆動輪がクリーニング対象面に押し付けられるので、ロボットクリーナの走行安定性の低下が抑制される。
【0031】
以下、実施形態について説明する。実施形態においては、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、ロボットクリーナ1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0032】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るロボットクリーナ1を示す側面図である。
図2は、実施形態に係るロボットクリーナ1を示すブロック図である。
【0033】
ロボットクリーナ1は、クリーニング対象面FLを自力で走行しながらクリーニングする。ロボットクリーナ1は、クリーナ本体2と、バッテリ装着部3と、コントローラ4と、吸引ユニット5と、ホイールアセンブリ6と、後補助輪8と、前補助輪9とを備える。
【0034】
クリーナ本体2は、ハウジング20を含む。ハウジング20は、上部ハウジング21と、下部ハウジング22とを含む。下部ハウジング22は、上部ハウジング21の下部に接続される。下部ハウジング22の下面23は、クリーニング対象面FLに対向する。下部ハウジング22は、吸込口24を有する。吸込口24は、クリーニング対象面FLに対向する。吸込口24は、クリーニング対象面FLの塵埃を吸い込む。
【0035】
メインブラシ25が吸込口24に配置される。メインブラシ25の回転により、クリーニング対象面FLの塵埃が吸込口24に回収される。サイドブラシ26が下部ハウジング22の前部に配置される。サイドブラシ26の回転により、クリーニング対象面FLの塵埃が吸込口24に集められる。
【0036】
バッテリ装着部3は、上部ハウジング21の後部に配置される。バッテリ装着部3にバッテリパック7が装着される。バッテリパック7は、ロボットクリーナ1の電源として機能する。
【0037】
コントローラ4は、ロボットクリーナ1に搭載されている電子機器を制御する。コントローラ4は、ハウジング20に収容される。
【0038】
吸引ユニット5は、吸込口24に吸引力を発生させる。吸引ユニット5は、ハウジング20に収容される。吸引ユニット5は、吸引モータ51と、吸引ファン52とを有する。吸引モータ51は、吸引ファン52を回転させる動力を発生する。吸引ファン52が回転することにより、吸込口24に吸引力が発生する。
【0039】
ホイールアセンブリ6は、クリーナ本体2を支持する。ホイールアセンブリ6は、2つ設けられる。一方のホイールアセンブリ6は、クリーナ本体2の左部に設けられる。他方のホイールアセンブリ6は、クリーナ本体2の右部に設けられる。ホイールアセンブリ6は、走行モータ61と、駆動輪62とを有する。
【0040】
走行モータ61は、駆動輪62を駆動する。走行モータ61は、駆動輪62を回転させる動力を発生する。駆動輪62が回転することにより、ロボットクリーナ1が走行する。駆動輪62は、クリーニング対象面FLに接触する。駆動輪62の少なくとも一部は、下部ハウジング22の下面23から下方に突出する。
【0041】
後補助輪8及び前補助輪9のそれぞれは、下部ハウジング22に設けられる。後補助輪8及び前補助輪9のそれぞれは、クリーナ本体2を支持する。後補助輪8は、下部ハウジング22の後部に2つ設けられる。前補助輪9は、下部ハウジング22の前部に1つ設けられる。
【0042】
図3は、実施形態に係るホイールアセンブリ6及びクローラアセンブリ10を示す側面図である。
図3に示すように、ロボットクリーナ1は、ホイールアセンブリ6と、クローラアセンブリ10とを備える。
【0043】
ホイールアセンブリ6は、駆動輪62と、支持アーム63と、ホイール付勢部材65とを有する。
【0044】
クリーナ本体2は、支持ブラケット27及び支持ブラケット28を含む。支持ブラケット27及び支持ブラケット28のそれぞれは、ハウジング20の内部に配置される。支持ブラケット27は、上部ハウジング21及び下部ハウジング22の少なくとも一方に固定される。支持ブラケット28は、上部ハウジング21及び下部ハウジング22の少なくとも一方に固定される。支持ブラケット27と支持ブラケット28との相対位置は変化しない。なお、支持ブラケット27と支持ブラケット28とが一体でもよい。なお、支持ブラケット27と支持ブラケット28とハウジング20とが一体でもよい。ホイールアセンブリ6は、支持ブラケット27及び支持ブラケット28の少なくとも一方に支持される。
【0045】
駆動輪62は、支持アーム63に回転可能に支持される。駆動輪62は、回転軸AXを中心に回転する。
【0046】
支持アーム63は、クリーナ本体2の支持ブラケット27に回動可能に支持される。支持アーム63は、回動軸BXを中心に回動する。
【0047】
駆動輪62の回転軸AXは、左右方向に延伸する。支持アーム63の回動軸BXは、左右方向に延伸する。駆動輪62の回転軸AXと支持アーム63の回動軸BXとは平行である。
【0048】
支持アーム63は、駆動輪62の少なくとも一部が下部ハウジング22の下面23よりも下方に配置されるように駆動輪62を支持する。支持アーム63は、駆動輪62が上下方向に移動するように回動する。支持アーム63は、下部ハウジング22の下面23からの駆動輪62の突出量Tが変化するように回動する。突出量Tとは、下部ハウジング22の下面23から下方に突出した駆動輪62の突出量をいう。
【0049】
駆動輪62は、支持アーム63の回動により、突出量Tが小さい収納位置と突出量Tが大きい突出位置とに移動する。下面23を基準とした場合、突出位置は収納位置よりも下方に規定される。
図3は、駆動輪62が収納位置に配置されている状態を示す。
【0050】
ホイール付勢部材65は、駆動輪62が下方に移動するように支持アーム63を付勢する。ホイール付勢部材65は、駆動輪62がクリーニング対象面FLに押し付けられるように支持アーム63を付勢する。ホイール付勢部材65として、コイルばねが例示される。ホイール付勢部材65の一端部は、クリーナ本体2の支持ブラケット28に接続される。ホイール付勢部材65の他端部は、支持アーム63の端部に接続される。
【0051】
クローラアセンブリ10は、起動輪11と、遊動輪12と、ベルト13と、ガイド部材14と、クローラ付勢部材15とを有する。クローラアセンブリ10は、駆動輪62の接地面62Aよりも上方に配置される。駆動輪62の接地面62Aとは、駆動輪62の表面のうちクリーニング対象面FLに接触する領域をいう。
【0052】
起動輪11は、駆動輪62の駆動力により回転する。駆動輪62の回転軸AXと起動輪11の回転軸とは一致する。実施形態において、起動輪11は、駆動輪62に固定される。なお、駆動輪62と起動輪11との間にギヤが配置されてもよい。駆動輪62の駆動力がギヤを介して起動輪11に伝達されてもよい。
図3に示す例において、起動輪11は、駆動輪62の右側に配置される。起動輪11の外径は、駆動輪62の外径よりも小さい。起動輪11は、接地面62Aよりも上方に配置される。起動輪11と駆動輪62とは一緒に回転してもよい。
【0053】
遊動輪12は、起動輪11よりも前方に配置される。遊動輪12は、回転軸CXを中心に回転する。駆動輪62の回転軸AXと遊動輪12の回転軸CXとは平行である。遊動輪12の外径は、起動輪11の外径よりも小さい。遊動輪12は、接地面62Aよりも上方に配置される。
【0054】
遊動輪12は、クリーナ本体2の下面23を基準として上下方向に移動することができる。
【0055】
ベルト13は、起動輪11及び遊動輪12のそれぞれに掛けられる。ベルト13は、リング状である。ベルト13は、所謂、無端ベルトである。ベルト13は、クローラアセンブリ10のクローラ(履帯)として機能する。起動輪11が回転すると、ベルト13及び遊動輪12のそれぞれが回転する。
【0056】
ガイド部材14は、遊動輪12を上下方向にガイドする。ガイド部材14は、上部ハウジング21及び下部ハウジング22の少なくとも一方に固定される。なお、ガイド部材14とハウジング20とが一体でもよい。支持ブラケット27と支持ブラケット28とガイド部材14との相対位置は変化しない。
【0057】
ガイド部材14は、遊動輪12の少なくとも一部が配置されるガイド溝14Aを含む。回転軸CXを含む遊動輪12のロッド12Aがガイド溝14Aに配置される。ガイド溝14Aは、上下方向における遊動輪12の可動範囲を規定する。実施形態において、ガイド溝14Aは、起動輪11の回転軸を中心とする円弧状である。
【0058】
クローラ付勢部材15は、遊動輪12が下方に移動するように遊動輪12を付勢する。クローラ付勢部材15として、コイルばねが例示される。クローラ付勢部材15の少なくとも一部は、ガイド溝14Aに配置される。クローラ付勢部材15の上端部は、ガイド溝14Aの上端部に接続される。クローラ付勢部材15の下端部は、遊動輪12のロッド12Aに接続される。
【0059】
ロボットクリーナ1の走行において、ベルト13の前端部がクリーニング対象面FLに接触する可能性がある。ベルト13の前端部がクリーニング対象面FLに接触すると、クリーニング対象面FLから遊動輪12に負荷が掛かる。クリーニング対象面FLから遊動輪12に負荷が掛かると、遊動輪12は、上方に移動する。クリーニング対象面FLから遊動輪12に負荷が掛からない場合、遊動輪12は、下方に移動する。
図3は、遊動輪12が下方に移動している状態を示す。
【0060】
図4は、本実施形態に係るホイールアセンブリ6及びクローラアセンブリ10を示す側面図である。
図4は、ロボットクリーナ1が前進しているときのホイールアセンブリ6及びクローラアセンブリ10を示す。また、
図4は、遊動輪12が上方に移動している状態を示す。
【0061】
遊動輪12及びベルト13は、接地面62Aよりも上方に配置される。そのため、
図3に示したように、駆動輪62が平坦なクリーニング対象面FLを走行するとき、ベルト13の前端部は、クリーニング対象面FLに接触しない。クリーニング対象面FLから遊動輪12に負荷は掛からない。クローラ付勢部材15は、遊動輪12が下方に移動するように付勢力を発生する。上下方向における遊動輪12の可動範囲において、遊動輪12は、可動範囲の下端部に配置される。
【0062】
例えば駆動輪62の前方にクリーニング対象面FLの凸部(段差)が存在する場合、ベルト13の少なくとも一部とクリーニング対象面FLとが接触する。
図4に示すように、駆動輪62の前方にクリーニング対象面FLの凸部が存在する場合、ベルト13の前端部がクリーニング対象面FLの少なくとも一部に接触する。ベルト13の前端部とクリーニング対象面FLとの接触により、クリーニング対象面FLから遊動輪12に負荷が掛かる。クリーニング対象面FLから遊動輪12に負荷が掛かると、遊動輪12は、ガイド溝14Aにガイドされながら上方に移動する。
【0063】
クローラ付勢部材15は、遊動輪12を下方に付勢する。遊動輪12の周囲のベルト13は、遊動輪12によりクリーニング対象面FLに押し付けられる。ベルト13は、起動輪11の回転により回転する。そのため、ベルト13の前端部がクリーニング対象面FLに接触している状態で、駆動輪62及び起動輪11が回転することにより、ベルト13及び遊動輪12も回転する。ベルト13は、クリーニング対象面FLに接触した状態で回転する。ベルト13は、クリーニング対象面FLに対してグリップ力を発生させた状態で回転する。ロボットクリーナ1は、クリーニング対象面FLに対する駆動輪62のグリップ力とベルト13のグリップ力とで、クリーニング対象面FLを円滑に走行することができる。ロボットクリーナ1は、クリーニング対象面FLに対する駆動輪62のグリップ力とベルト13のグリップ力とで、クリーニング対象面FLの凸部を乗り越えることができる。
【0064】
以上説明したように、実施形態において、ロボットクリーナ1は、クリーニング対象面FLに対向する吸込口24を有するクリーナ本体2と、ホイールアセンブリ6と、クローラアセンブリ10と、を備える。クローラアセンブリ10は、クリーニング対象面FLに接触する駆動輪62の接地面62Aよりも上方に配置される遊動輪12を有する。
【0065】
上記の構成では、ロボットクリーナが平坦なクリーニング対象面を走行するときの旋回性能の低下及び走行安定性の低下が抑制される。また、ロボットクリーナが凸部を有するクリーニング対象面を走行するときの走行安定性の低下が抑制される。
【0066】
実施形態において、クローラアセンブリ10は、駆動輪62の駆動力により回転する起動輪11と、起動輪11及び遊動輪12のそれぞれに掛けられるベルト13と、を有する。
【0067】
上記の構成では、ロボットクリーナ1が平坦なクリーニング対象面FLを走行する場合、ホイールアセンブリ6の駆動輪62はクリーニング対象面FLに接触し、クローラアセンブリ10のベルト13はクリーニング対象面FLに接触しない。そのため、ロボットクリーナ1が平坦なクリーニング対象面FLを走行するときの旋回性能の低下及び走行安定性の低下が抑制される。ロボットクリーナ1が凸部(段差)を有するクリーニング対象面FLを走行する場合、駆動輪62及びベルト13のそれぞれがクリーニング対象面FLに接触することができる。また、ベルト13は、起動輪11の回転により回転する。駆動輪62及びベルト13の両方がクリーニング対象面FLに対してグリップ力を発生するので、ロボットクリーナ1が凸部を有するクリーニング対象面FLを走行するときの走行安定性の低下が抑制される。
【0068】
実施形態において、駆動輪62の回転軸AXと起動輪11の回転軸とは一致する。
【0069】
上記の構成では、クローラアセンブリ10の構造の複雑化が抑制される。
【0070】
実施形態において、遊動輪12は、起動輪11よりも前方に配置される。
【0071】
上記の構成では、ロボットクリーナ1の前進において、駆動輪62の前方にクリーニング対象面FLの凸部(段差)が存在する場合、駆動輪62がクリーニング対象面FLに接触している状態で、ベルト13の少なくとも一部がクリーニング対象面FLの凸部に接触することができる。
【0072】
実施形態において、遊動輪12は、クリーナ本体2の下面23を基準として上下方向に移動する。
【0073】
上記の構成では、クリーニング対象面FLの凸部の高さに合わせて遊動輪12が上下方向に移動することができる。
【0074】
実施形態において、クローラアセンブリ10は、遊動輪12を上下方向にガイドするガイド部材14を有する。
【0075】
上記の構成では、遊動輪12は上下方向に安定して移動することができる。
【0076】
実施形態において、ガイド部材14は、遊動輪12の少なくとも一部が配置されるガイド溝14Aを含む。ガイド溝14Aは、起動輪11の回転軸を中心とする円弧状である。
【0077】
上記の構成では、ガイド溝14Aが起動輪11の回転軸を中心とする円弧状なので、遊動輪12は、起動輪11の回転軸を中心に旋回するように移動することができる。遊動輪12が上下方向に移動しても、起動輪11と遊動輪12との距離は一定なので、ベルト13の張り具合の変化が抑制される。
【0078】
実施形態において、クローラアセンブリ10は、遊動輪12が下方に移動するように遊動輪12を付勢するクローラ付勢部材15を有する。
【0079】
上記の構成では、遊動輪12の周囲のベルト13とクリーニング対象面FLとが接触したとき、ベルト13が遊動輪12によりクリーニング対象面FLに押し付けられる。したがって、クリーニング対象面FLに対するベルト13のグリップ力の低下が抑制される。
【0080】
実施形態において、ベルト13の少なくとも一部とクリーニング対象面FLとの接触により、遊動輪12が上方に移動する。
【0081】
上記の構成では、ベルト13及び遊動輪12に作用する衝撃が緩和される。
【0082】
実施形態において、ベルト13は、クリーニング対象面FLに接触した状態で回転する。
【0083】
上記の構成では、駆動輪62及びベルト13のそれぞれがクリーニング対象面FLに接触した状態で回転するので、ロボットクリーナ1はクリーニング対象面FLの凸部(段差)を乗り越えることができる。
【0084】
実施形態において、ホイールアセンブリ6は、クリーナ本体2の支持ブラケット27に回動可能に支持され、駆動輪62を支持する支持アーム63と、駆動輪62が下方に移動するように支持アーム63を付勢するホイール付勢部材65と、を有する。
【0085】
上記の構成では、駆動輪62がクリーニング対象面FLに押し付けられるので、ロボットクリーナ1の走行安定性の低下が抑制される。
【符号の説明】
【0086】
1…ロボットクリーナ、2…クリーナ本体、3…バッテリ装着部、4…コントローラ、5…吸引ユニット、6…ホイールアセンブリ、7…バッテリパック、8…後補助輪、9…前補助輪、10…クローラアセンブリ、11…起動輪、12…遊動輪、12A…ロッド、13…ベルト、14…ガイド部材、14A…ガイド溝、15…クローラ付勢部材、20…ハウジング、21…上部ハウジング、22…下部ハウジング、23…下面、24…吸込口、25…メインブラシ、26…サイドブラシ、27…支持ブラケット、28…支持ブラケット、51…吸引モータ、52…吸引ファン、61…走行モータ、62…駆動輪、62A…接地面、63…支持アーム、65…ホイール付勢部材、AX…回転軸、BX…回動軸、CX…回転軸、FL…クリーニング対象面、T…突出量。