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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147522
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】超音波センサ
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20220929BHJP
   H04R 17/10 20060101ALI20220929BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H04R17/00 330J
H04R17/10 330
G01S7/521 A
G01S7/521 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048797
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 春香
(72)【発明者】
【氏名】小山 優
(72)【発明者】
【氏名】上月 康平
【テーマコード(参考)】
5D019
5J083
【Fターム(参考)】
5D019AA21
5D019BB02
5D019BB08
5D019BB10
5D019BB17
5D019FF01
5D019GG01
5J083AA02
5J083AB13
5J083AF09
5J083CA01
5J083CA31
5J083CB03
5J083CB08
(57)【要約】
【課題】取り付け用の貫通孔が不要な構成を有する超音波センサにおける、送信音圧および受信感度を向上すること。
【解決手段】超音波センサ(1)は、振動変換部(6)と支持部(5)とを備える。振動変換部は、移動体の外板(V3)における内表面(V5)に固定された音響整合部(3)に当接することで外板との間での超音波振動の伝達が可能に構成されている。振動変換部は、第一素子(61)と第二素子(62)と接続部(63)とを備える。接続部は、送信素子と受信素子とのうちの一方である第一素子と他方である第二素子とを組付けることで第一素子と第二素子との間に介在するように構成されている。第一素子は、超音波センサを移動体に搭載した搭載状態にて、音響整合部に当接する。第二素子は、接続部および第一素子を介しての、外板との間での超音波振動の伝達が可能に、支持部に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(V)に搭載される超音波センサ(1)であって、
超音波振動と電気信号との変換機能を有する電気-機械エネルギー変換素子を備え、前記移動体における板状のボディ部品であって前記移動体の外部空間(SG)に面する表面である外表面(V4)とその裏面である内表面(V5)とを有する外板(V3)における前記内表面または当該内表面に固定された音響整合部(3)に当接することで前記外板との間での超音波振動の伝達が可能に構成された、振動変換部(6)と、
前記振動変換部を、前記外板との間での超音波振動の伝達が可能な状態で固定的に支持するように構成された、支持部(5)と、
を備え、
前記振動変換部は、
前記電気信号である駆動信号が印加されることで前記外板を励振する超音波振動を発生する送信素子と前記外板の超音波振動に対応する前記電気信号である受信信号を生成する受信素子とのうちの一方として機能するように設けられた、前記電気-機械エネルギー変換素子としての第一素子(61)と、
前記送信素子と前記受信素子とのうちの前記一方とは異なる他方として機能するように設けられた、前記電気-機械エネルギー変換素子としての第二素子(62)と、
前記第一素子および前記第二素子を組付けることで前記第一素子と前記第二素子との間に介在するように構成された、接続部(63)と、
を備え、
前記第一素子は、当該超音波センサを前記移動体に搭載した搭載状態にて、前記接続部から前記外板における前記内表面に向かって突設されることで前記外板との間での超音波振動の伝達が可能に、前記外板における前記内表面または前記音響整合部に当接するように設けられ、
前記第二素子は、前記接続部および前記第一素子を介しての、前記外板との間での超音波振動の伝達が可能に、前記支持部に固定された、
超音波センサ。
【請求項2】
前記支持部は、
前記外板における前記内表面と接合される接合面(54)と、
前記第二素子を固定的に支持する固定面(55)と、
を有し、
前記接合面と前記固定面との間の距離が固定されるように剛体的に形成された、
請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記第一素子は、前記搭載状態にて前記外板における前記内表面または前記音響整合部に当接する端面である第一先端面(611)と、その反対側の端面であって前記接続部に当接する第一基端面(612)とを有し、
前記第二素子は、前記支持部に固定的に支持される第二基端面(622)と、その反対側の端面であって前記接続部に当接する第二先端面(621)とを有し、
前記接続部は、前記第一基端面が当接する第一当接面(631)と、前記第二先端面が当接する第二当接面(632)とを有し、
前記搭載状態にて、前記第一当接面は、前記第二当接面よりも、前記外板における前記内表面から離隔する、
請求項1または2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記第一素子は、前記受信素子であり、
前記第二素子は、前記送信素子である、
請求項1~3のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記第一素子および前記第二素子は、超音波である送信波の送信方向に沿った軸方向の伸縮振動と前記電気信号との変換機能を奏するように設けられ、
前記支持部および前記接続部は、前記第一素子および前記第二素子の前記伸縮振動を妨げないように構成された、
請求項1~4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記支持部と前記振動変換部とは、前記軸方向と直交する径方向について、互いに非接触となるように設けられ、
前記第一素子および前記第二素子は、前記径方向について、前記接続部と非接触となるように設けられた、
請求項5に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記接続部は、筒状に形成された筒状部(64)を有し、
前記第一素子は、前記筒状部の内側に収容されるように配置され、
前記第二素子は、前記筒状部を外側から囲むように配置された、
請求項1~6のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記接続部は、送受信周波数帯域にて共振するように構成された、
請求項1~7のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項9】
前記接続部は、送受信波長の整数倍の長さを有する共振部(633)を備えた、
請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項10】
前記接続部は、導電性材料により形成されるとともに、前記送信素子に前記駆動信号を印加する送信回路(701)を備えた回路部(700)に電気接続されたグランド線(703)と電気的に短絡された、
請求項1~9のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項11】
前記電気-機械エネルギー変換素子は、信号電極(671A、672A)とグランド電極(671B、672B)とを有し、
前記接続部は、前記グランド電極と電気的に短絡された、
請求項10に記載の超音波センサ。
【請求項12】
前記電気-機械エネルギー変換素子は、圧電素子であり、
前記接続部は、前記圧電素子を構成する圧電材料により、前記第一素子および/または前記第二素子と一体に形成された、
請求項1~9のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載される超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のバンパーに貫通孔を形成し、この貫通孔を通して超音波センサの振動面が外部に露出するように、バンパーに超音波センサを取り付ける構成が知られている。しかしながら、かかる構成は、バンパーに貫通孔を形成するために、意匠面であまり好ましいものではなかった。また、かかる超音波センサを搭載しない状態で一旦工場出荷された車両である非搭載車用に「後付け」するためには、バンパーに貫通孔を形成する必要がある。このため、かかる超音波センサを非搭載車用に「後付け」することは困難であった。
【0003】
これに対し、超音波振動子を備える超音波センサをバンパーの内面に固定することで、バンパーを超音波振動子の振動面として含む構成が、従来種々提案されている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-114182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等に記載された超音波センサによれば、取り付け用の貫通孔が不要となる。これにより、意匠性が向上するとともに、後付けが容易となる。
【0006】
ところで、超音波センサにおいて、送信音圧および受信感度を向上することが求められている。この点、特許文献1に記載の構成において、超音波振動子を積層型の圧電素子とした場合、積層数が多くなるほど送信音圧が向上する一方、受信感度は低下する。反対に、積層数が多くなるほど受信感度が向上する一方、送信音圧は低下する。
【0007】
本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、取り付け用の貫通孔が不要な構成を有する超音波センサにおける、送信音圧および受信感度を向上するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の、移動体(V)に搭載される超音波センサ(1)は、
超音波振動と電気信号との変換機能を有する電気-機械エネルギー変換素子を備え、前記移動体における板状のボディ部品であって前記移動体の外部空間(SG)に面する表面である外表面(V4)とその裏面である内表面(V5)とを有する外板(V3)における前記内表面または当該内表面に固定された音響整合部(3)に当接することで前記外板との間での超音波振動の伝達が可能に構成された、振動変換部(6)と、
前記振動変換部を、前記外板との間での超音波振動の伝達が可能な状態で固定的に支持するように構成された、支持部(5)と、
を備え、
前記振動変換部は、
前記電気信号である駆動信号が印加されることで前記外板を励振する超音波振動を発生する送信素子と前記外板の超音波振動に対応する前記電気信号である受信信号を生成する受信素子とのうちの一方として機能するように設けられた、前記電気-機械エネルギー変換素子としての第一素子(61)と、
前記送信素子と前記受信素子とのうちの前記一方とは異なる他方として機能するように設けられた、前記電気-機械エネルギー変換素子としての第二素子(62)と、
前記第一素子および前記第二素子を組付けることで前記第一素子と前記第二素子との間に介在するように構成された、接続部(63)と、
を備え、
前記第一素子は、当該超音波センサを前記移動体に搭載した搭載状態にて、前記接続部から前記外板における前記内表面に向かって突設されることで前記外板との間での超音波振動の伝達が可能に、前記外板における前記内表面または前記音響整合部に当接するように設けられ、
前記第二素子は、前記接続部および前記第一素子を介しての、前記外板との間での超音波振動の伝達が可能に、前記支持部に固定されている。
【0009】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものである。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る超音波センサを搭載した車両の外観を示す斜視図である。
図2図1に示された超音波センサの第一実施形態に係る概略構成を示す断面図である。
図3図2に示されたセンサ本体を分解して示す断面図である。
図4図2に示された超音波センサの動作概要を示す断面図である。
図5図1に示された超音波センサの第二実施形態に係る概略構成を示す断面図である。
図6図1に示された超音波センサの第三実施形態に係る概略的な回路構成図である。
図7図1に示された超音波センサの第四実施形態に係る概略構成を示す断面図である。
図8A図1に示された超音波センサの第五実施形態に係る振動変換部の構成および製造方法の概要を示す断面図である。
図8B図8Aに示された振動変換部の製造方法の概要を示す断面図である。
図8C図8Aに示された振動変換部の製造方法の概要を示す断面図である。
図9】一変形例に係る超音波センサの概略構成を示す断面図である。
図10】他の変形例における第二素子の概略構成を示す正面図である。
図11】さらに他の変形例における第二素子の概略構成を示す正面図である。
図12】さらに他の変形例における第二素子の概略構成を示す正面図である。
図13】さらに他の変形例に係る超音波センサの概略構成を示す断面図である。
図14】さらに他の変形例における振動変換部の概略構成を示す正面図である。
図15】さらに他の変形例における振動変換部の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中には挿入せず、その後にまとめて説明する。
【0012】
(車載構成)
図1を参照すると、本実施形態においては、超音波センサ1は、移動体としての車両Vを取付対象とする車載型のクリアランスソナーとしての構成を有している。すなわち、超音波センサ1は、車両Vに搭載されることで、当該車両Vの周囲に存在する物体を検知可能に構成されている。
【0013】
車両Vは、いわゆる四輪自動車であって、箱状の車体V1を備えている。車体V1は、外板を構成する板状のボディ部品である、車体パネルV2およびバンパーV3を備えている。バンパーV3は、車体V1の前端部および後端部のそれぞれに設けられている。本実施形態においては、超音波センサ1は、バンパーV3に取り付けられることで、車両Vの外部空間SGに存在する物体を検知するように構成されている。超音波センサ1がバンパーV3に取り付けられることで車両Vに搭載された状態を、以下「搭載状態」と称する。
【0014】
具体的には、搭載状態にて、フロントバンパーすなわち車体V1における前面側のバンパーV3には、複数(例えば4つ)の超音波センサ1が取り付けられている。フロントバンパーに取り付けられた複数の超音波センサ1は、それぞれ、少なくとも車幅方向について異なる位置に配置されている。同様に、搭載状態にて、リアバンパーすなわち車体V1における後面側のバンパーV3には、複数(例えば4つ)の超音波センサ1が取り付けられている。
【0015】
バンパーV3には、超音波センサ1の取り付け用の貫通孔である取付孔は設けられていない。すなわち、超音波センサ1は、バンパーV3に取付孔を形成しなくてもバンパーV3に取り付け可能に構成されている。すなわち、超音波センサ1は、これを搭載しない状態で一旦工場出荷された車両Vである非搭載車のバンパーV3に取付孔を形成しなくても「後付け」が可能な構成を有している。以下、かかる構成を有する超音波センサ1の詳細について説明する。
【0016】
(第一実施形態)
図2は、バンパーV3に取り付けられた複数の超音波センサ1のうちの1つを、搭載状態にて示す。図3は、かかる超音波センサ1の分解図を示す。以下、図1図3を参照しつつ、第一実施形態に係る超音波センサ1の概略構成について説明する。なお、図示の簡略化のため、図2等において、互いに接合状態にある隣接構成要素同士を固定的に結合するための、接合層(例えば接着剤層)あるいは固定具(例えばボルト等)は、特段の言及なき限り、図示が省略されているものとする。
【0017】
図2を参照すると、本実施形態においては、超音波センサ1は、超音波を送受信可能に構成されている。すなわち、超音波センサ1は、送受信一体型の構成を有している。具体的には、超音波センサ1は、超音波である送信波を指向軸DAに沿って外部空間SGに向けて送信するように構成されている。「指向軸」とは、超音波センサ1から送信波の送信方向に沿って延びる仮想直線であって、指向角の基準となるものである。「指向軸」は「指向中心軸」あるいは「検出軸」とも称され得る。また、超音波センサ1は、車両Vの周囲に存在する物体による送信波の反射波を含む受信波を外部空間SGから受信して、受信波の受信結果に応じた検知信号を生成および出力するように構成されている。
【0018】
説明の便宜上、図2に示されている通り、X軸が水平方向と平行となり、且つ、Y軸が指向軸DAと平行となるように、XYZ直交座標系を設定する。ここで、送信波の送信方向に沿った方向、具体的には、指向軸DAと平行な方向を、「軸方向」と称する。「軸方向における先端側」は、送信波の送信方向側であり、図2におけるY軸正方向側に対応する。これに対し、「軸方向における基端側」は、図2におけるY軸負方向側に対応する。また、軸方向と直交する任意の方向を「面内方向」と称する。「面内方向」は、図2における、XZ平面と平行な方向である。また、或る構成要素の、XZ平面に投影した形状を、「面内形状」と称する。なお、面内方向は、「径方向」と称される場合もある。「径方向」は、指向軸DAと直交する仮想平面と指向軸DAとの交点を起点として当該仮想平面内に半直線を描いた場合に、当該半直線が延びる方向である。換言すれば、「径方向」は、上記の仮想平面と指向軸DAとの交点を中心として当該仮想平面内に円を描いた場合の、当該円の半径方向である。
【0019】
バンパーV3は、バンパー外表面V4とバンパー内表面V5とを有している。バンパー外表面V4は、車両Vの外側の空間である外部空間SGに面するように設けられている。バンパー内表面V5は、バンパー外表面V4の裏面であって、車両VすなわちバンパーV3の内側の空間である内部空間SNに面するように設けられている。
【0020】
超音波センサ1は、搭載状態にて、内部空間SNに収容されつつバンパー内表面V5に固定されている。そして、超音波センサ1は、バンパーV3の一部を振動板V6として振動させることで送信波を送信するとともに、受信波により励振された振動板V6の振動を電気信号に変換して検知信号を生成するように構成されている。具体的には、超音波センサ1は、音響整合部3と、センサ本体4とを備えている。センサ本体4には、支持部5と振動変換部6とが設けられている。センサ本体4は、箱状の支持部5の内側に振動変換部6を収容した構成を有している。以下、本実施形態に係る超音波センサ1を構成する各部の具体的構成について説明する。
【0021】
音響整合部3は、振動変換部6とバンパーV3すなわち振動板V6との間に介在するように設けられている。本実施形態においては、音響整合部3は、バンパー内表面V5に固定されている。音響整合部3は、振動変換部6とバンパーV3との間の超音波の伝達効率を高めるための振動伝達部材であって、指向軸DAを中心軸とする略円板状に形成されている。音響整合部3は、音響インピーダンスがバンパーV3よりも高くなり且つ振動変換部6を構成する圧電材料よりも低くなるように構成されている。具体的には、例えば、バンパーV3がポリプロピレン製であり、圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛(すなわちPZT)である場合、音響整合部3は、エポキシ樹脂等により形成され得る。
【0022】
支持部5は、振動変換部6を、バンパーV3との間での超音波振動の伝達が可能な状態で固定的に支持するように構成されている。具体的には、支持部5は、指向軸DAと略平行な厚さ方向を有する底板である底壁部51と、指向軸DAを中心軸とする円筒状の側壁部52とを有する、有底筒状に形成されている。底壁部51と側壁部52とにより囲まれたシリンダ状の空間である収容空間53は、振動変換部6を収容可能に形成されている。
【0023】
支持部5は、接合面54と固定面55とを有している。バンパー内表面V5と接合される接合面54は、側壁部52の軸方向における先端面であって、接着剤または固定具によりバンパーV3に固定されている。接合面54とバンパー内表面V5との接合により、振動板V6の面内形状が、指向軸DAを中心とする略円形状に形成されている。固定面55は、底壁部51における収容空間53に面する側の表面であって、第一素子61と第二素子62とを備えた振動変換部6における第二素子62を固定的に支持するように設けられている。そして、支持部5は、接合面54と固定面55との間の軸方向における距離が固定されるように、剛体的に形成されている。具体的には、支持部5は、ステンレス鋼等の金属あるいはポリブチレンテレフタレート等の硬質の合成樹脂により継ぎ目なく一体に形成されている。
【0024】
振動変換部6は、バンパー内表面V5に固定された音響整合部3に当接することで、バンパーV3すなわち振動板V6との間での超音波振動の伝達が可能に構成されている。具体的には、振動変換部6は、超音波振動と電気信号との変換機能を有する電気-機械エネルギー変換素子としての、第一素子61および第二素子62に加えて、第一素子61と第二素子62とを接続する接続部63を備えている。
【0025】
第一素子61は、搭載状態にて、音響整合部3に当接することで振動板V6との間での超音波振動の伝達が可能に設けられている。具体的には、第一素子61は、指向軸DAを中心軸とし音響整合部3とほぼ同径の円柱状に形成され、指向軸DA上に配置されている。本実施形態においては、第一素子61は、振動板V6の超音波振動に対応する電気信号である受信信号を生成する受信素子として機能するように設けられている。より詳細には、第一素子61は、PZT等の圧電材料により形成された、圧電素子としての構成を有している。また、第一素子61は、PZT層が積層されていない、いわゆる単層型のPZT素子としての構成を有している。第一素子61は、軸方向の伸縮振動と電気信号との変換機能を奏するように設けられている。
【0026】
第二素子62は、搭載状態にて、音響整合部3には当接せず、接続部63および第一素子61を介しての振動板V6との間での超音波振動の伝達が可能に、支持部5に固定されている。具体的には、第二素子62は、指向軸DAを囲む円環状あるいは円筒状に形成されている。すなわち、第二素子62は、第一素子61を外側から囲むように配置されている。本実施形態においては、第二素子62は、電気信号である駆動信号が印加されることで振動板V6を励振する超音波振動を発生する送信素子として機能するように設けられている。より詳細には、第二素子62は、第一素子61と同様に、圧電素子としての構成を有している。また、第二素子62は、PZT層が多数積層された、いわゆる積層型のPZT素子としての構成を有している。第二素子62は、第一素子61と同様に、軸方向の伸縮振動と電気信号との変換機能を奏するように設けられている。
【0027】
接続部63は、第一素子61および第二素子62を組付けることで第一素子61と第二素子62との間に介在するように構成されている。具体的には、接続部63は、筒状部64と、底板部65と、フランジ部66とを有している。接続部63は、剛性を有する硬質の材料、例えば、ステンレス鋼等の金属、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂、あるいは、PZT等のセラミック、等により、剛体として一体に形成されている。筒状部64は、第一素子61を囲みつつ第二素子62に囲まれるように、円筒状に形成されている。すなわち、第一素子61は、筒状部64の内側に収容されるように配置されている。また、第二素子62は、筒状部64を外側から囲むように配置されている。
【0028】
底板部65は、筒状部64の軸方向における基端部を閉塞する、軸方向に厚さ方向を有する平板状に形成されている。また、底板部65は、第一素子61の軸方向における基端部を固定的に支持するように設けられている。すなわち、第一素子61は、接続部63における底板部65から振動板V6におけるバンパー内表面V5に向かって突設されている。
【0029】
フランジ部66は、軸方向に厚さ方向を有する平板状且つリング状の部分であって、筒状部64の軸方向における先端部から支持部5における側壁部52に向かって径方向に延設されている。フランジ部66は、第二素子62の軸方向における先端面と当接するように設けられている。
【0030】
以下、図2に加えて図3を参照しつつ、振動変換部6の各部と、音響整合部3および支持部5との、当接あるいは接合の状態について説明する。
【0031】
図3に示されているように、第一素子61は、搭載状態にて音響整合部3に当接する端面である第一先端面611と、その反対側の端面であって接続部63に当接する第一基端面612とを有している。第二素子62は、接続部63に当接する第二先端面621と、その反対側の端面であって支持部5に固定的に支持される第二基端面622とを有している。接続部63は、第一素子61における第一基端面612が当接する第一当接面631と、第二素子62における第二先端面621が当接する第二当接面632とを有している。そして、搭載状態にて、第一当接面631は、第二当接面632よりも、バンパー内表面V5から離隔するように設けられている。
【0032】
具体的には、本実施形態においては、第一素子61における第一基端面612と、接続部63における底板部65の内表面である第一当接面631とは、超音波振動を良好に伝播可能な不図示の硬質接着剤層(例えばエポキシ系接着剤層)により接合されている。同様に、第二素子62における第二基端面622と、支持部5における底壁部51の内表面である固定面55とは、上記の硬質接着剤層により接合されている。なお、第二素子62における第二先端面621と、接続部63におけるフランジ部66に設けられた第二当接面632とは、上記の硬質接着剤層により接合されていてもよいし、かかる接着剤層を介さずに直接的に当接していてもよい。
【0033】
再び図2を参照すると、支持部5および接続部63は、第一素子61および第二素子62の伸縮振動を妨げないように構成されている。すなわち、支持部5と振動変換部6とは、径方向について、互いに非接触となるように設けられている。また、振動変換部6において、第一素子61および第二素子62は、径方向について、接続部63と非接触となるように設けられている。
【0034】
具体的には、第一素子61における円柱面状の外壁面と、筒状部64における第一素子61に面する内壁面とは、ギャップを隔てて互いに離隔するように設けられている。また、第二素子62における筒状部64に面する内壁面と、筒状部64における第二素子62に面する外壁面とは、ギャップを隔てて互いに離隔するように設けられている。また、第二素子62における側壁部52に面する円柱面状の外壁面と、側壁部52における収容空間53に面する内壁面とは、ギャップを隔てて互いに離隔するように設けられている。さらに、側壁部52における内壁面と、フランジ部66の径方向における先端部とは、ギャップを隔てて互いに離隔するように設けられている。
【0035】
(効果)
以下、上記構成を有する、本実施形態に係る超音波センサ1の動作概要を、同構成により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。
【0036】
送信波を送信する送信時において、送信素子としての第二素子62に、駆動信号が印加される。これにより、第二素子62は、軸方向に伸縮するような態様で超音波振動する。一方、第一素子61には、駆動信号は印加されない。
【0037】
ここで、第二素子62の軸方向における基端部すなわち第二基端面622は、剛体である支持部5における底壁部51の内表面である固定面55により固定的に支持されている。また、支持部5における側壁部52の軸方向における先端面である接合面54は、バンパー内表面V5と固定的に接合されている。このため、固定面55と接合面54すなわちバンパー内表面V5との間の、軸方向における距離が固定される。換言すれば、第二素子62の軸方向における基端部すなわち第二基端面622と、バンパー内表面V5との間の、軸方向における距離が固定される。
【0038】
したがって、第二素子62の、軸方向に伸縮するような態様での超音波振動が、接続部63および第一素子61を介して音響整合部3に伝達され、音響整合部3を介してバンパーV3に伝達される。これにより、バンパーV3の、径方向における接合面54よりも内側の部分により形成された振動板V6は、図4に示されているように、撓み変形する態様で超音波振動する。かかる超音波振動において、振動板V6の径方向における外縁部である、バンパーV3と接合面54との接合箇所が、節となる。また、振動板V6の径方向における中心部、すなわち、指向軸DAが交差する箇所が、腹となる。図4に示された、振動板V6の振動長であるダイアフラム振動長Dは、側壁部52の内径に対応する。
【0039】
第二素子62は、積層型のPZT素子である。また、振動変換部6は、振動板V6における振動の腹位置に設けられた音響整合部3と当接する。よって、本実施形態の構成によれば、送信時に振動板V6を効率よく励振することで、高い送信音圧を達成することが可能となる。
【0040】
受信波を受信する受信時において、受信波により励振された振動板V6の超音波振動が、音響整合部3を介して第一素子61に伝達される。一方、第二素子62には、駆動信号は印加されない。このため、第二素子62における自発的な伸縮振動は発生しない。このため、第一素子61は、接続部63における底板部65と音響整合部3との間で挟持された状態で、音響整合部3から超音波振動の伝達を受けることで、受信信号を生成する。
【0041】
ここで、第一素子61は音響整合部3と当接する一方、第二素子62は音響整合部3とは当接しない。このため、受信波の受信に伴う振動板V6の超音波振動は、音響整合部3を介して第一素子61に伝達される。一方、音響整合部3から第二素子62への振動伝達により第二素子62にて振動エネルギーが消費されて振動板V6の超音波振動が減衰されることによる、受信感度低下は、良好に回避される。したがって、本実施形態によれば、高い受信感度が得られる。さらに、第一素子61として単層型のPZT素子を用いることで、さらに受信感度を高めることが可能となる。
【0042】
このように、本実施形態は、第一素子61と第二素子62とを接続部63を介して接続するとともに、第一素子61と第二素子62とのうちの第一素子61のみを音響整合部3に当接させる構成を有している。これにより、取り付け用の貫通孔が不要な構成を有する超音波センサ1における、送信音圧および受信感度を向上することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態の構成においては、支持部5により、振動変換部6を固定する固定面55と接合面54すなわちバンパー内表面V5との間の距離が固定される。すると、図4に示されているように、送信時において、送信素子である第二素子62の駆動によりバンパーV3を押す力の反作用として、接合面54にてバンパーV3を引く力が発生する。これにより、送信音圧を向上することが可能となる。また、受信時においても、同様の原理により、バンパーV3の振動が振動変換部6すなわち第一素子61に効率的に伝達されることで、受信感度を向上することが可能となる。さらに、支持部5における側壁部52の内径により、ダイアフラム振動長Dを調整することで、所望の指向性が得られる。
【0044】
本実施形態の構成においては、接続部63は、搭載状態にて第一当接面631が第二当接面632よりもバンパー内表面V5から離隔する構成を有している。すなわち、接続部63は、筒状部64の軸方向における両端に設けられた、第一当接面631を有する底板部65と第二当接面632を有するフランジ部66とを備えた、段差形状に形成されている。そして、第一素子61は、第一当接面631に当接した状態で、筒状部64の内側に収容されている。また、筒状部64は、第二素子62の内側に収容されている。かかる構成によれば、軸方向における振動変換部6の寸法を可能な限り小さくすることが可能となる。
【0045】
本実施形態の構成においては、支持部5および接続部63は、第一素子61および第二素子62における軸方向の伸縮振動を妨げないように構成されている。具体的には、支持部5と振動変換部6とは、軸方向と直交する径方向について、互いに非接触となるように設けられている。また、振動変換部6において、第一素子61および第二素子62は、径方向について、接続部63と非接触となるように設けられている。これにより、送受信時の隣接構成要素間の摩擦による損失の発生を良好に回避することで、送信音圧および受信感度を向上することが可能となる。
【0046】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について、図5を参照しつつ説明する。なお、以下の第二実施形態の説明においては、主として、上記第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第一実施形態における説明が適宜援用され得る。後述の第三実施形態以降の他の実施形態についても同様である。
【0047】
本実施形態においては、接続部63は、平板状に形成されている。すなわち、第一当接面631は、搭載状態にてバンパー内表面V5に対向する平面状の板面として設けられている。同様に、第二当接面632は、支持部5における固定面55に対向する平面状の板面として設けられている。
【0048】
接続部63を、送受信周波数帯域にて共振するように構成することで、送信音圧および受信感度を向上することが可能である。「送受信周波数帯域」とは、送受信の中心周波数に対して所定の幅を設けたものであり、典型的には、感度が0~-3[dB]となる範囲である。
【0049】
そこで、図5に示されているように、接続部63は、送受信波長の整数倍の長さである内部振動長Lを有する共振部633を備えている。内部振動長Lは、接続部63の振動長である。これにより、高い送受信効率が得られ、以て、送信音圧および受信感度を向上することが可能となる。
【0050】
なお、図5は、説明および計算の簡略化のために、接続部63を平板状としたものである。よって、図2に示されているような、接続部63に段差を設けた構造においても、共振部633を設けることで高い送受信効率が得られる。
【0051】
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について、図6を参照しつつ説明する。本実施形態は、振動変換部6における電気接続構成に関する。本実施形態においては、接続部63は、金属等の導電性材料により形成されている。
【0052】
図6に示されているように、第一素子61は、第一信号電極671Aと、第一グランド電極671Bとを有している。また、第二素子62は、第二信号電極672Aと、第二グランド電極672Bとを有している。
【0053】
第一信号電極671Aは、第一素子61の軸方向における先端部に設けられている。第一グランド電極671Bは、第一素子61における基準電極を構成するものであって、第一素子61の軸方向における基端部に設けられている。第一素子61は、印加された超音波振動に応じた電圧を、第一グランド電極671Bと第二信号電極672Aとの間で発生させるように構成されている。第一グランド電極671Bは、銀ペースト等の導電性接合層によって、接続部63と接合されている。すなわち、接続部63は、第一グランド電極671Bと電気的に短絡されている。
【0054】
第二信号電極672Aは、第二素子62の軸方向における先端部に設けられている。第二グランド電極672Bは、第二素子62における基準電極を構成するものであって、第二素子62の軸方向における先端部に設けられている。第二素子62は、第二信号電極672Aと第二グランド電極672Bとの間に高周波電圧からなる駆動信号を印加することで、超音波振動を発生するように構成されている。第二グランド電極672Bは、銀ペースト等の導電性接合層によって、接続部63と接合されている。すなわち、接続部63は、第二グランド電極672Bと電気的に短絡されている。なお、図6においては、図示の簡略化のため、積層型のPZT素子としての構成を有する第二素子62における、第二信号電極672Aに電気接続された内部電極、および、第二グランド電極672Bに電気接続された内部電極は、図示が省略されている。
【0055】
振動変換部6は、回路部700と電気接続されている。回路部700は、送信回路701と受信回路702とを備えている。送信回路701は、送信素子である第二素子62に駆動信号を印加するように設けられている。受信回路702は、受信素子である第一素子61にて生成した受信信号に対して各種の信号処理を施すように設けられている。
【0056】
回路部700には、グランド線703、駆動信号線704、および受信信号線705が電気接続されている。回路部700すなわち送信回路701および受信回路702は、グランド線703を介して接地されている。駆動信号線704は、送信回路701と第二信号電極672Aとを電気接続するように設けられている。受信信号線705は、受信回路702と第一信号電極671Aとを電気接続するように設けられている。
【0057】
また、振動変換部6とグランド線703との間には、グランド接続線706が配設されている。グランド接続線706は、接続部63とグランド線703とを電気接続するように設けられている。すなわち、接続部63は、グランド接続線706を介してグランド線703と電気的に短絡されることで接地されている。
【0058】
かかる構成によれば、第二素子62とバンパーV3との間に導電性の接続部63を介在させることで、電磁シールド効果が得られる。よって、貫通孔である取付孔を設けなくても合成樹脂製のバンパーV3に取り付けることが可能な構成を有する超音波センサ1において、優れたEMC特性を有するものを提供することが可能となる。EMCはElectromagnetic Compatibilityの略である。また、第一素子61における基準電極である第一グランド電極671B、および、第二素子62における基準電極である第二グランド電極672Bと、グランド線703との間の配線構造を簡略化して、配線本数を削減することが可能となる。
【0059】
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について、図7を参照しつつ説明する。本実施形態においても、支持部5および接続部63は、第一素子61および第二素子62の伸縮振動を妨げないように構成されている。但し、本実施形態は、上記第一実施形態とは異なり、軸方向に沿って相対移動する隣接構成要素間の摩擦を軽減するための、固体潤滑膜を有している。固体潤滑膜を構成する材料としては、例えば、フッ素系合成樹脂等を用いることが可能である。
【0060】
具体的には、第一素子61における円柱面状の外壁面と筒状部64における第一素子61に面する内壁面との間のギャップには、固体潤滑膜としての第一滑動膜801が設けられている。第一滑動膜801は、低い摩擦係数で第一素子61における外壁面と摺動するように、筒状部64における内壁面上に形成されている。
【0061】
また、第二素子62における筒状部64に面する内壁面と筒状部64における第二素子62に面する外壁面との間のギャップには、固体潤滑膜としての第二滑動膜802が設けられている。第二滑動膜802は、低い摩擦係数で第二素子62における内壁面と摺動するように、筒状部64における外壁面上に形成されている。
【0062】
さらに、側壁部52における内壁面と、振動変換部6との間のギャップには、固体潤滑膜としての第三滑動膜803が設けられている。第三滑動膜803は、低い摩擦係数で第二素子62における外壁面およびフランジ部66の径方向における先端部と摺動するように、側壁部52における内壁面上に形成されている。
【0063】
かかる構成によれば、送受信時の隣接構成要素間の摩擦による損失の発生を良好に回避することで、送信音圧および受信感度を向上することが可能となる。また、隣接構成要素間のギャップが固体潤滑膜によって埋められることで、軸方向に沿った相対移動が良好にガイドされ得る。
【0064】
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について、図8A図8Cを参照しつつ説明する。本実施形態においては、接続部63は、圧電素子を構成する圧電材料により、第一素子61および/または第二素子62と一体に形成されている。
【0065】
具体的には、図8Aに示されているように、第一素子61は、圧電材料からなる第一圧電層901の両面に第一信号電極671Aと第一グランド電極671Bとを形成した構成を有している。第二素子62は、第二圧電層902と、内部グランド電極903と、内部信号電極904とを有している。圧電材料からなる第二圧電層902の両面には、第二信号電極672Aと第二グランド電極672Bとが形成されている。また、第二信号電極672Aと第二グランド電極672Bとの間には、内部グランド電極903と内部信号電極904とが交互に配置されている。
【0066】
本具体例においては、接続部63と、第一圧電層901と、第二圧電層902とは、同一の圧電材料により一体に形成されている。また、第一グランド電極671Bと第一グランド電極671Bと内部グランド電極903とを互いに電気的に短絡するように、グランド接続膜905が、第二素子62と接続部63とに跨って設けられている。さらに、第二素子62には、第二信号電極672Aと内部信号電極904とを電気的に短絡するように、信号接続膜906が設けられている。
【0067】
図8Bおよび図8Cは、図8Aに示された振動変換部6の製造工程の概略を示す。図8Aに示された構成を有する振動変換部6は、半導体デバイスの製造設備を用いて製造することが可能である。具体的には、まず、図8Bに示されているように、圧電材料層910にグランド電極膜911および信号電極膜912をパターン形成した層を積層することで、図8Cに示されている積層成形体913が形成される。そして、積層成形体913に対して、分極処理および切削加工等を施すことで、図8Aに示された振動変換部6が得られる。
【0068】
本実施形態によれば、半導体デバイスの製造設備を用いて振動変換部6を一体的に形成することで、寸法精度向上あるいは製造コスト低減を図ることが可能となる。
【0069】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0070】
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。すなわち、例えば、適用対象である車両Vは、四輪自動車に限定されない。具体的には、車両Vは、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車でもよい。車両Vの種類は、内燃機関のみを備えた自動車であってもよいし、内燃機関を備えない電気自動車または燃料電池車であってもよいし、いわゆるハイブリッド自動車であってもよい。車体V1の形状および構造も、箱状すなわち平面視における略矩形状に限定されない。さらに、適用対象である移動体は、車両Vに限定されず、例えば、船舶あるいは飛行体であってもよい。
【0071】
超音波センサ1の取付対象は、バンパーV3に限定されない。具体的には、例えば、超音波センサ1は、車体パネルV2に取り付けられるものであってもよい。超音波センサ1の取付対象としての、車体パネルV2および/またはバンパーV3を構成する材料についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、かかる材料は、FRP、CFRP、鋼板、等であってもよい。FRPはFiber Reinforced Plasticsの略である。CFRPはCarbon Fiber Reinforced Plasticsの略である。
【0072】
超音波センサ1は、送受信一体型の構成に限定されない。すなわち、例えば、超音波センサ1は、超音波の送信のみが可能な構成を有していてもよい。あるいは、超音波センサ1は、他の超音波送信器から送信された超音波である送信波の、周囲に存在する物体による反射波を受信する機能のみを有するものであってもよい。
【0073】
超音波センサ1における各部の構成も、上記具体例に限定されない。具体的には、例えば、音響整合部3は、第一先端面611を構成するものとして、第一素子61の軸方向における先端部に取り付けられていてもよい。
【0074】
音響整合部3は、接着剤層であってもよい。あるいは、音響整合部3は、バンパーV3と同一の合成樹脂材料(例えばポリプロピレン)にガラスフィラー等の添加物を添加することで音響インピーダンスを調整したものであってもよい。
【0075】
図9に示されているように、音響整合部3は、省略され得る。この場合、振動変換部6は、バンパー内表面V5に当接することで、バンパーV3との間での超音波振動の伝達が可能に構成されている。具体的には、第一素子61は、搭載状態にてバンパー内表面V5に当接する端面である第一先端面611を有している。
【0076】
上記実施形態においては、第一素子61は受信素子であり、第二素子62は送信素子であった。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、第一素子61が送信素子であり、第二素子62が受信素子である態様に対しても、本発明は良好に適用され得る。
【0077】
各部における面内形状は、円形に限定されず、楕円形、四角形、六角形、八角形、等であってもよい。具体的には、例えば、支持部5における側壁部52は、楕円筒状、四角筒状、六角筒状、八角筒状、等であってもよい。同様に、第一素子61は、楕円柱状、四角柱状、六角柱状、八角柱状、等であってもよい。
【0078】
図10に示されているように、第二素子62は、四角環状あるいは四角筒状に形成されていてもよい。あるいは、図11に示されているように、頂面が長方形の角柱状に形成された、一対の第二素子62が、橋桁様に設けられていてもよい。さらに、図12および図13に示されているように、第二素子62は、頂面が長方形の一対の角柱の軸方向における基端部を互いに連結した、断面視にて略U字状に形成されていてもよい。
【0079】
図14に示されているように、円柱状の第一素子61の周囲に、円柱状の第二素子62が複数配列されていてもよい。この場合、複数の第二素子62は、第一素子61から等距離となるように、同一円周上にて等間隔に配置され得る。なお、図14においては、4つの第二素子62が、それぞれ、3時、6時、9時、および12時の位置に配置されている。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、6つの第二素子62が、それぞれ、2時、4時、6時、8時、10時、および12時の位置に配置されていてもよい。あるいは、例えば、3つの第二素子62が、それぞれ、4時、8時、および12時の位置に配置されていてもよい。
【0080】
図15に示されているように、頂面が正方形の四角柱状の第一素子61の周囲に、頂面が正方形の四角柱状の第二素子62が複数配列されていてもよい。この場合、複数の第二素子62は、第一素子61から等距離となるように配置され得る。
【0081】
上記の説明において、互いに継ぎ目無く一体に形成されていた複数の構成要素は、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継ぎ目無く一体に形成されてもよい。
【0082】
上記の説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
【0083】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0084】
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。組み合わせる数についても特段の限定はない。同様に、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部と、他の1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、複数の実施形態のうちの1つにおける全部または一部と、複数の変形例のうちの1つにおける全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0085】
1 超音波センサ
3 音響整合部
5 支持部
6 振動変換部
61 第一素子
62 第二素子
63 接続部
V3 バンパー(外板)
V4 バンパー外表面
V5 バンパー内表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15