(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147568
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】医療被ばく線量管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20220929BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220929BHJP
G16H 30/40 20180101ALI20220929BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20220929BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20220929BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20220929BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B6/03 360T
A61B6/03 360P
G16H30/40
G16Y10/60
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048868
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 弘毅
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA17
4C093CA37
4C093FD09
4C093FD11
4C093FF16
4C093FF20
4C093FF27
4C093FF32
4C093FF37
4C093FG04
4C093FH03
4C093FH07
4C093FH09
5L099AA04
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】医療被ばく線量をより正確に手間なく管理することができる医療被ばく線量管理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】線量管理装置30は、患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像を取得する取得部(制御部31)と、取得部により取得された第1医用画像と第1医用画像よりも前に取得された第2医用画像とを比較し、同一画像か否かを判定する判定部(制御部31)と、判定部により同一画像と判定された場合に、第1医用画像の線量情報を登録対象から除外する管理部(制御部31)と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された第1医用画像と前記第1医用画像よりも前に取得された第2医用画像とを比較し、同一画像か否かを判定する判定部と、
前記判定部により同一画像と判定された場合に、前記第1医用画像の前記線量情報を登録対象から除外する管理部と、
を含む医療被ばく線量管理装置。
【請求項2】
前記線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像である請求項1に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記医用画像の付帯情報に基づいて、前記医用画像がサマリー画像であるか否かを判断する請求項2に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1医用画像と前記第2医用画像の画素を比較し、同一画像か否かを判定する請求項2又は3に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1医用画像と前記第2医用画像から読み取った文字情報を比較し、同一画像か否かを判定する請求項2又は3に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1医用画像と、前記第1医用画像の検査インスタンスUIDと同じ検査インスタンスUIDを持つ前記第2医用画像とを比較する請求項1から5のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項7】
前記線量情報が含まれる医用画像は、DICOM画像である請求項1から6のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置。
【請求項8】
コンピューターを、
患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像を取得する取得部、
前記取得部により取得された第1医用画像と前記第1医用画像よりも前に取得された第2医用画像とを比較し、同一画像か否かを判定する判定部、
前記判定部により同一画像と判定された場合に、前記第1医用画像の前記線量情報を登録対象から除外する管理部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療被ばく線量管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、被検体に放射線を照射して医用画像としての放射線画像を生成する、CT(Computed Tomography)装置等の検査装置(モダリティー)が利用されている。
線量管理実施義務化に伴い、このような検査装置を用いた検査による放射線の医療被ばく線量を適切に管理することが求められている。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、メディアに記憶されたDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)画像データが病院用画像サーバーに登録されているか否かを、受信した画像登録確認情報に含まれるSOPインスタンスUIDに基づいて判定して、メディアに記憶されたDICOM画像データのうち、当該病院用画像サーバーに未登録であるDICOM画像データを、当該病院用画像サーバーに送信する汎用PC端末が開示されている。
また、特許文献2に記載の画像入力装置は、インポート処理する医用画像データが記録されたメディアのコンテンツが、以前インポート処理したメディアのコンテンツと同一か否かを判定する。また、画像入力装置は、メディアから読み込んだ医用画像データの付帯情報に、以前インポート処理した医用画像データの検査情報に一致する検査情報があるか否かを判定する。また、画像入力装置は、メディアに格納された医用画像データのシリーズを医療用画像管理システムが管理しているか否かを判定する。そして、画像入力装置は、上記三つの判定の結果に基づきインポート処理を実行することで、重複する医用画像データのインポートを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-271801公報
【特許文献2】特開2015-99561公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検査装置から誤って医療被ばく線量情報が同値の画像データが複数回送信されると、当該同値の画像データが重複して登録されてしまい、正確な線量管理が出来ないという問題があった。
検査装置から誤って同値の画像データが複数回送信された際、複数回送信された画像データ間のSOPインスタンスUIDは異なる場合がある。ここで、SOPインスタンスUIDとは、検査装置から送信される画像データを特定するための識別情報であり、DICOM規格ではユニ-クに発行される情報である。よって、画像データごとにSOPインスタンスUIDは異なる。そのため、特許文献1に記載の発明では、メディアに記憶されたDICOM画像データが既に画像サーバーに登録されているか否かを正確に判定することができない可能性があり、上記問題は解決されない。
また、特許文献2に記載の発明では、メディアのコンテンツ、医用画像データの検査情報、及び医療用画像管理システムが管理しているか否かに基づいて、医用画像データの重複インポートを判定している。しかし、その判定条件に当てはまらない場合には、画像データの重複インポートを防ぐことができない可能性があった。
また、画像データの重複を防ぐために、ユーザーがチェックを行うと目視確認となり、見落としや登録ミスが生じる可能性があるとともに、手間である。
【0006】
この発明の目的は、医療被ばく線量をより正確に手間なく管理することができる医療被ばく線量管理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の医療被ばく線量管理装置の発明は、
患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された第1医用画像と前記第1医用画像よりも前に取得された第2医用画像とを比較し、同一画像か否かを判定する判定部と、
前記判定部により同一画像と判定された場合に、前記第1医用画像の前記線量情報を登録対象から除外する管理部と、
を含む。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記取得部は、前記医用画像の付帯情報に基づいて、前記医用画像がサマリー画像であるか否かを判断する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記判定部は、前記第1医用画像と前記第2医用画像の画素を比較し、同一画像か否かを判定する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記判定部は、前記第1医用画像と前記第2医用画像から読み取った文字情報を比較し、同一画像か否かを判定する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記判定部は、前記第1医用画像と、前記第1医用画像の検査インスタンスUIDと同じ検査インスタンスUIDを持つ前記第2医用画像とを比較する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療被ばく線量管理装置において、
前記線量情報が含まれる医用画像は、DICOM画像である。
【0014】
また、上記目的を達成するため、請求項8に記載のプログラムの発明は、
コンピューターを、
患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像を取得する取得部、
前記取得部により取得された第1医用画像と前記第1医用画像よりも前に取得された第2医用画像とを比較し、同一画像か否かを判定する判定部、
前記判定部により同一画像と判定された場合に、前記第1医用画像の前記線量情報を登録対象から除外する管理部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、医療被ばく線量をより正確に手間なく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】医療情報管理システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】線量管理装置の機能的構成を示すブロック図である
【
図4】線量情報登録処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図5】変形例における線量情報登録処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る医療被ばく線量管理装置及びプログラムの実施の形態について説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0018】
図1に、医療情報管理システム100のシステム構成例を示す。
図1に示すように、医療情報管理システム100は、検査装置10、医用画像保管装置20、医療被ばく線量管理装置としての線量管理装置30、クライアント端末40等から構成され、各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。医療情報管理システム100を構成する各装置は、HL7(Health Level Seven)やDICOM規格に準じており、各装置間の通信は、HL7やDICOMに則って行われる。なお、医療情報管理システム100は、検査装置10、クライアント端末40を複数備えていてもよい。
【0019】
検査装置10は、CT装置、X線撮影装置(DR、CR)等のモダリティーである。検査装置10は、図示略のコンソールに対する操作者の操作に応じて動作する。検査装置10は、患者(被験者、被検体)に放射線を照射し、当該放射線の検出結果に基づいて医用画像としての放射線画像(例えば、CT画像)の画像データを生成する。
また、検査装置10は、DICOM規格に則って、患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像としてのサマリー画像を生成する。サマリー画像には、患者情報、検査情報、照射情報、その他付帯情報等が含まれる。
【0020】
患者情報は、患者に関する情報である。患者情報には、患者ID、患者名、生年月日、性別、身長、体重、年齢、BMI等が含まれる。患者IDは、患者を特定するための識別情報である。
検査情報は、検査に関する情報である。検査情報には、検査ID、検査日付、検査時刻、検査記述、検査インスタンスUID等が含まれる。検査インスタンスUIDは、検査を特定するための識別情報であり、DICOM規格ではユニ-クに発行される情報である。つまり、同一検査内のサマリー画像には同一の検査インスタンスUIDが付けられる。
照射情報は、検査装置10において患者に照射した放射線に関する情報である。照射情報には、照射条件、照射時に発生した線量情報(医療被ばく線量)が含まれる。線量情報は、放射線検査において、被検体に照射した放射線の照射線量(エネルギー量)に係る情報である。線量情報には、DLP(Dose Length Product)、CTDIvolといった照射線量を表す指標の他、放射線の照射のために印加された電圧、電流、及び放射線の照射時間といった、照射線量と相関を有する量の情報も含まれ得る。検査装置10は、検査インスタンスUIDごとに患者情報、検査情報、照射情報がまとめられたサマリー画像を生成する。
付帯情報は、サマリー画像に付帯するDICOMヘッダーに書き込まれ、DICOM画像がサマリー画像であることを表す情報、及び検査インスタンスUIDを含む。
図3A~
図3Cに、サマリー画像の例を示す。
図3A~
図3Cに示す例では、サマリー画像は3つの画像で構成されている。
図3Aにおける領域Aには、患者情報、検査情報が表示されている。
図3Aに示す例においては、患者情報として、患者ID、患者名、生年月日、性別、身長、体重、年齢が表示されている。また、検査情報として、検査日付(スタディ開始日)、検査部位名(部位名)、スタディIDが記載されている。
また、
図3Bにおける領域B、及び
図3Cにおける領域Cには、線量情報が表示されている。
図3B及び
図3Cに示す例において、線量情報として、照射時間(曝射時間)、DLP、CTDIvol等が表示されている。
また、
図3B及び
図3Cにおける領域Dには、付帯情報の一部が表示されている。
図3B及び
図3Cに示す例において、スタディID、検査日付(スタディ開始日)、受付番号が記載されている。
【0021】
医用画像保管装置20は、患者(患者ID)ごと、検査(検査インスタンスUID)ごとに、検査装置10において生成された放射線画像の画像データ及びサマリー画像、及びサマリー画像に含まれる線量情報を保存・管理する。医用画像保管装置20として、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。
【0022】
線量管理装置30は、放射線画像の撮影時における線量情報を管理するコンピューター装置である。
図2は、線量管理装置30の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、線量管理装置30は、制御部31(コンピューター)、通信部32、表示部33、操作部34、記憶部35等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
【0023】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、線量管理装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部35に記憶されているプログラム353を読み出してRAMに展開し、当該プログラム353に従って各種処理を行う。
【0024】
制御部31は、通信部32を介して患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像(サマリー画像)を取得する。このとき、制御部31は、取得部として機能する。
また、制御部31は、取得部により取得された線量情報が含まれる医用画像(第1医用画像)と第1医用画像よりも前に取得された線量情報が含まれる医用画像(第2医用画像)とを比較し、同一画像か否かを判定する。このとき、制御部31は、判定部として機能する。
また、制御部31は、判定部により同一画像と判定された場合に、第1医用画像の線量情報を登録対象から除外する。このとき、制御部31は、管理部として機能する。
【0025】
通信部32は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部32は、検査装置10から、患者を撮影して得られた放射線画像の画像データ及びサマリー画像を受信する。また、通信部32は、医用画像保管装置20から放射線画像の画像データ及びサマリー画像を受信することとしてもよい。
【0026】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0027】
操作部34は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。操作部34は、表示部33のモニターに重ねられて設けられたタッチパネルを有していてもよい。
【0028】
記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶している。例えば、記憶部35は、線量情報領域351と、画像保管領域352と、プログラム353を有する。なお、プログラム353は、制御部31のROMに記憶されていてもよい。
【0029】
線量情報領域351には、検査インスタンスUIDごとに、サマリー画像からOCR処理によって読み取った文字情報が線量情報として記憶される。
【0030】
画像保管領域352には、検査インスタンスUIDごとに、放射線画像の画像データ等が記憶される。また、画像保管領域352には、検査インスタンスUIDごとに、サマリー画像から作成されたOCR用画像が記憶される。
【0031】
クライアント端末40は、医師により使用されるPC(Personal Computer)等のコンピューター装置である。医師は、クライアント端末40において、検査に関する放射線画像や線量情報等の閲覧を行う。
【0032】
次に、医療情報管理システム100における各装置の動作について説明する。
医療情報管理システム100では、検査装置10において検査を実施し、放射線画像、及びその検査に係るサマリー画像が生成されると、当該放射線画像の画像データ、及びサマリー画像が医用画像保管装置20及び線量管理装置30に送信される。
線量管理装置30では、サマリー画像に含まれる情報を記憶部35の線量情報領域351に登録する線量情報登録処理が実行される。
【0033】
図4は、線量情報登録処理の制御部31による制御手順を示すフローチャートである。
検査装置10において、被検者に対してX線CT検査等の検査が行われると、検査装置10からCT画像(断層画像)等の放射線画像の画像データ及びサマリー画像が線量管理装置30に送信される。
または、誤って既に線量管理装置30に送信済みの放射線画像の画像データ及びサマリー画像が、再度線量管理装置30に送信される場合がある。
【0034】
まず、制御部31は、通信部32を介して放射線画像の画像データ及びサマリー画像を受信する(ステップS1)。
次に、制御部31は、ステップS1において受信した画像(第1医用画像)は、対象検査装置からの画像か否かを判断する(ステップS2)。対象検査装置は、サマリー画像を作成する装置であり、予め定められている。
対象検査装置からの画像である場合(ステップS2;YES)、制御部31は、ステップS1において受信した画像はサマリー画像であるか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、制御部31は、サマリー画像のDICOMヘッダー部分を解析し、当該DICOMヘッダーに書き込まれた付帯情報に基づいて判断する。
【0035】
受信した画像がサマリー画像である場合(ステップS3;YES)、制御部31は、ステップS1において受信したサマリー画像の検査インスタンスUIDを取得する(ステップS4)。具体的には、制御部31は、ステップS1において受信したサマリー画像のDICOMヘッダー部分を解析し、当該DICOMヘッダーに書き込まれた付帯情報に基づいて取得する。
次に、制御部31は、ステップS1において受信したサマリー画像からOCR用画像を作成する(ステップS5)。具体的には、制御部31は、ステップS1において受信したサマリー画像からOCR処理する領域を抽出する。抽出する領域は、例えば、
図3Bに示す領域B及び
図3Cに示す領域Cである。さらに、当該領域を二値化処理などの階調調整処理等をすることでOCR処理しやすい鮮明な画像を作成する。
次に、制御部31は、ステップS5において作成したOCR用画像と、ステップS4において取得した検査インスタンスUIDと同一の検査インスタンスUIDを持つ既存のOCR用画像(第2医用画像)を比較する(ステップS6)。つまり、同一検査内の既存のOCR用画像との比較を行う。既存のOCR用画像は、第1医用画像よりも前に制御部31が取得したサマリー画像から作成したOCR用画像であり、記憶部35の画像保管領域352に、検査インスタンスUIDごとに記憶されている。つまり、制御部31は、画像保管領域352に記憶された、ステップS4において取得した検査インスタンスUIDと同一の検査インスタンスUIDを持つ既存のOCR用画像を参照し、ステップS5において作成したOCR用画像と比較する。
このOCR用画像の比較において、制御部31は、OCR用画像内の全画素を比較する。また、制御部31は、OCR用画像をバイナリで比較してもよい。これにより、より正確に画像の比較を実施することができる。
【0036】
次に、制御部31は、ステップS6において比較した結果、ステップS5において作成したOCR用画像と同一である既存のOCR用画像は、同一検査インスタンスUID内において存在するか否か、つまり、画像保管領域352に記憶されているか否かを判断する(ステップS7)。
ステップS5において作成したOCR用画像と同一の画像が同一検査インスタンスUID内において存在する場合(ステップS7;YES)、制御部31は、同一のサマリー画像が送信されたとして、表示部33に同一のサマリー画像が送信された旨のメッセージを表示させることで、ユーザーに報知を行い、(ステップS8)、処理を終了する。
上記のように、ステップS5において作成したOCR用画像と同一の画像が同一検査インスタンスUID内において存在する場合に、第1医用画像の線量情報を登録せずに処理を終了することが、第1医用画像の線量情報を登録対象から除外することに相当する。
【0037】
また、ステップS5において作成したOCR用画像と同一の画像が同一検査インスタンスUID内において存在しない場合(ステップS7;NO)、制御部31は、ステップS5において作成したOCR用画像をOCR処理し、読み取った文字情報を線量情報として、検査インスタンスUIDごとに線量情報領域351に登録し(ステップS9)、処理を終了する。
また、対象検査装置からの画像でない場合(ステップS2;NO)、あるいは受信した画像がサマリー画像でない場合(ステップS3;NO)、制御部31は、処理を終了する。
【0038】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図5は、本変形例の線量情報登録処理を示すフローチャートである。以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例の医療情報管理システム100の構成は、上記実施形態の医療情報管理システム100と同一である。
【0039】
図5に示す本変形例の線量情報登録処理において、まず、制御部31は、上記実施形態の線量情報登録処理のステップS1~S5と同様のステップS11~S15を実施する。
次に、制御部31は、ステップS15において作成したOCR用画像をOCR処理し、文字情報を読み取る(ステップS16)。
次に、制御部31は、ステップS16で読み取った文字情報と同一の文字情報は、同一検査インスタンスUID内(同一検査内)において存在するか否か、つまり、記憶部35の線量情報領域351に記憶されているか否かを判断する(ステップS17)。記憶部35の線量情報領域351には、第1医用画像を取得するより前にサマリー画像(第2医用画像)からOCR処理によって読み取った文字情報が線量情報として、検査インスタンスUIDごとに記憶されている。
ステップS15で読み取った文字情報と同一の文字情報が同一検査インスタンスUID内において存在する場合(ステップS17;YES)、制御部31は、同一のサマリー画像が送信されたとして、表示部33に同一サマリー画像が送信された旨のメッセージを表示させることで、ユーザーに報知を行い、(ステップS18)、処理を終了する。
上記のように、ステップS15で読み取った文字情報と同一の文字情報が同一検査インスタンスUID内において存在する場合に、第1医用画像の線量情報を登録せずに処理を終了することが、第1医用画像の線量情報を登録対象から除外することに相当する。
【0040】
また、ステップS16で読み取った文字情報と同一の文字情報が同一検査インスタンスUID内において存在しない場合(ステップS17;NO)、制御部31は、読み取った文字情報を線量情報として、検査インスタンスUIDごとに線量情報領域351に登録し(ステップS19)、処理を終了する。
また、対象検査装置からの画像でない場合(ステップS12;NO)、あるいは受信した画像がサマリー画像でない場合(ステップS13;NO)、制御部31は、処理を終了する。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る線量管理装置30は、患者の医療被ばく線量情報が含まれる医用画像を取得する取得部(制御部31)と、取得部により取得された第1医用画像と第1医用画像よりも前に取得された第2医用画像とを比較し、同一画像か否かを判定する判定部(制御部31)と、判定部により同一画像と判定された場合に、第1医用画像の線量情報を登録対象から除外する管理部(制御部31)と、を含む。
これにより、同一の線量情報を重複して登録する可能性をより低くすることができるので、医療被ばく線量をより正確に管理することができる。
また、ユーザーによるチェックも必要がないため、手間もかからない。
【0042】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像である。
これにより、サマリー画像に基づいて、医療被ばく線量をより正確に管理することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、取得部は、医用画像の付帯情報に基づいて、医用画像がサマリー画像であるか否かを判断する。
これにより、容易にサマリー画像を判別することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、判定部は、第1医用画像と第2医用画像の画素を比較し、同一画像か否かを判定する。
これにより、画素に基づいて、医療被ばく線量をより正確に管理することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、第1医用画像と第2医用画像から読み取った文字情報を比較し、同一画像か否かを判定する。
これにより、サマリー画像から読み取った文字情報に基づいて、医療被ばく線量をより正確に管理することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、判定部は、第1医用画像と、第1医用画像の検査インスタンスUIDと同じ検査インスタンスUIDを持つ第2医用画像とを比較する。
これにより、同一検査インスタンスUID内で生成された医用画像に基づいて、医療被ばく線量をより正確に管理することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る線量管理装置30において、線量情報が含まれる医用画像は、DICOM画像である。
これにより、DICOM画像である線量情報が含まれる医用画像に基づいて、医療被ばく線量をより正確に管理することができる。
【0048】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る医療被ばく線量管理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態及び変形例では、線量情報が含まれる医用画像は、サマリー画像であるとしたがこれに限らない。線量情報が含まれる医用画像は、線量情報が含まれる画像であれば、サマリー画像以外の画像であってもよい。
また、線量情報が含まれる医用画像は、DICOM画像であるとしたがこれに限らない。DICOM画像の他、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、BITMAP等の汎用形式画像が含まれてもよい。
また、線量情報が含まれる医用画像としてのサマリー画像は、一つの画像であっても良く、複数から構成される画像であっても良い。
【0050】
また、上記実施形態及び変形例では、線量管理装置30の記憶部35に線量情報領域351及び画像保管領域352が設けられている例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、線量管理装置30の外部のデータベースサーバー等に線量情報領域を設けて、必要なデータを都度データベースサーバーから取得してもよい。同様に、線量管理装置30の外部の記憶装置に放射線画像の画像データを記憶させて、必要な画像データを都度この記憶装置から取得してもよい。
【0051】
また、上記実施形態及び変形例の線量情報登録処理のステップS3、S13において、
制御部31は、サマリー画像のDICOMヘッダーに書き込まれた付帯情報に基づいて、受信した画像はサマリー画像であるか否かを判断するとしたがこれに限らない。制御部31は、外部の情報系システムを介して画像を受信することで、画像にサマリー画像であるという情報を付帯させるシステムを使用して、受信した画像がサマリー画像である否かを判断してもよい。
【0052】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として記憶部35又はROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 検査装置
20 医用画像保管装置
30 線量管理装置
31 制御部(取得部、判定部、管理部)
32 通信部
33 表示部
34 操作部
35 記憶部
351 線量情報領域
352 画像保管領域
353 プログラム
40 クライアント端末
100 医療情報管理システム
N 通信ネットワーク