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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147586
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】固液分離装置及び汚泥処理装置。
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/00 20060101AFI20220929BHJP
   C02F 11/121 20190101ALI20220929BHJP
【FI】
B01D33/00 Z ZAB
C02F11/121
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048894
(22)【出願日】2021-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】502141393
【氏名又は名称】ジャステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】室田 佳昭
【テーマコード(参考)】
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA03
4D059AA05
4D059AA07
4D059AA08
4D059AA11
4D059BE02
4D059BE06
4D059BE13
4D059BE15
4D059BE46
4D059BE54
4D116AA16
4D116BB01
4D116BB12
4D116BC07
4D116BC74
4D116BC76
4D116DD01
4D116FF11B
4D116KK01
4D116KK04
4D116QA06C
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QA24D
4D116QA24G
4D116QA31D
4D116QA31G
4D116QA55C
4D116QA55F
4D116QA57C
4D116QA57F
4D116QB01
4D116TT01
4D116TT07
4D116UU02
4D116VV12
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする固液分離装置の提供。
【解決手段】 複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された固定側プレート群と、前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された可動側プレート群と、を有し、前記固定側プレート群のプレートと前記可動側プレート群のプレートとが互いの間隔に入り込んで固定側プレート群と可動側プレート群との間にわずかなギャップを形成する固液分離装置であって、前記可動側プレート群よりも上方に配置されて当該可動側プレート群を平行運動させる駆動手段を有し、前記駆動手段は、複数の偏心カムと、前記複数の偏心カムを回動させる複数のシャフトと、前記複数のシャフト間の回転位相を同期させる同期手段と、を有することを特徴とする固液分離装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された固定側プレート群と、
前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された可動側プレート群と、を有し、
前記固定側プレート群のプレートと前記可動側プレート群のプレートとが互いの間隔に入り込んで固定側プレート群と可動側プレート群との間にわずかなギャップを形成する固液分離装置であって、
前記可動側プレート群よりも上方に配置されて当該可動側プレート群を平行運動させる駆動手段を有し、
前記駆動手段は、複数の偏心カムと、前記複数の偏心カムを回動させる複数のシャフトと、前記複数のシャフト間の回転位相を同期させる同期手段と、を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置であって、
前記同期手段は前記複数のシャフトに巻きかけられたタイミングベルトであることを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1に記載の固液分離装置であって、
前記同期手段は前記複数のシャフトに巻きかけられた平ベルトであることを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の固液分離装置であって、
前記駆動手段は、前記偏心カムを固定するための板状支持部を有し、前記板状支持部は少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項4に記載の固液分離装置であって、
前記可動側プレート群は、前記プレートの厚み方向における中央部と両端部とを前記板状支持部に接続されることを特徴とする固液分離装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の固液分離装置であって、
前記固定側プレート群と前記可動側プレート群とで構成されたフィルター部は、前記プレートの延伸方向に向かって傾斜して配置され、
前記偏心カムは、前記フィルター部の前記傾斜を維持しながら回転するように配置されたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の固液分離装置と、
前記固液分離装置に処理対象物を供給する供給部と、
を有する汚泥処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離装置及び汚泥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥等の処理対象物を固形物と水分とに分離する固液分離装置では、処理対象物を投入口側から排出口側へ向けて搬送する搬送部を備えたものが知られている。
このような搬送部の構成の1つとして、固定側プレート群と可動側プレート群とで構成されていて、可動側プレート群を搬送方向の前後・上下に変位する平行運動をさせることにより汚泥を搬送するとともに、汚泥に付着した水分を重力によって落下させながら搬送することで、個体側を上方へ、液体側を下方へと落とす方式が知られている(例えば特許文献1等参照)。
こうした可動側プレート群を平行運動させる機構として、駆動源となるモータに繋がれた駆動シャフトと従動シャフトを備え、これら駆動シャフトと従動シャフトを同期させるために、それぞれのシャフトにスプロケットを取り付け、スプロケットにチェーンを巻き掛けて同期を図るとともに、駆動シャフトと従動シャフトに偏芯カムをそれぞれ取り付けて稼働側プレート群を平行運動させて固形物の搬送と目詰まり防止を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5487258号公報
【特許文献2】特許第3894366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来構成では、これらの複雑な駆動部品が液体の落下する下方側に配置され、耐久性やメンテナンス性の向上が難しいという問題が生じていた。
本発明は、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するため、本発明では複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された固定側プレート群と、前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された可動側プレート群と、を有し、前記固定側プレート群のプレートと前記可動側プレート群のプレートとが互いの間隔に入り込んで固定側プレート群と可動側プレート群との間にわずかなギャップを形成する固液分離装置であって、前記可動側プレート群よりも上方に配置されて当該可動側プレート群を平行運動させる駆動手段を有し、前記駆動手段は、複数の偏心カムと、前記複数の偏心カムを回動させる複数のシャフトと、前記複数のシャフト間の回転位相を同期させる同期手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする固液分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の固液分離装置を含む処理装置の構成の一例を示す図である。
図2図1に示した固液分離装置のフィルター部の構成の一例を示す図である。
図3図1に示した固液分離装置の構成の一例を示す図である。
図4図2に示したフィルター部の従来例を示す図である。
図5図1に示した固液分離装置の駆動部の構成の一例を示す図である。
図6図1に示した固液分離装置の動作の一例を示す図である。
図7図6に示した駆動部の一例を示す図である。
図8図3に示した補強部材の構成の一例を示す図である。
図9】位置確認用治具の構成の一例を示す図である。
図10】レール状部材の構成の一例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態としての固液分離装置の構成の一例を示す図である。
図12図11に示した固液分離装置の構成の一例を示す縦断面図である。
図13図2に示したフィルター部の構成の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて順次説明する。実施形態において、同一機能や同一構成を有するものには同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。図面は一部構成の理解を助けるために部分的に省略あるいは簡素化して記載する場合もある。
本発明の実施形態に係る汚泥処理装置は、例えば畜産糞尿や食品工場などの排水処理から発生する含油汚泥、下水処理から発生する余剰汚泥、金属加工、メッキ、建設系、食肉加工場、弁当製造等の現場から発生する汚泥等の処理対象物を固形物と水分とに分離する処理装置である。
なお、本発明における実施形態の説明においては、処理対象物を供給する供給部分と、固液分離装置とが対となった汚泥処理装置の形態についてのみ述べるが、これらの固液分離装置を複数、サイズ別に直列に設けて形成された処理装置であっても良い。
【0009】
本発明の汚泥処理装置の一例として、図1に汚泥処理装置200を例示する。
汚泥処理装置200は、固液分離装置100と、汚泥が貯留されている供給部たる原水槽110と、原水槽110から原水Qを移送するための供給パイプ111と、固液分離装置100に流入した原水Qのうち、処理しきれなかった分の原水Qを原水槽110へと戻すための排出パイプ112と、を有している。
固液分離装置100は、供給された原水Qに凝集剤を添加して攪拌する攪拌部120と、攪拌されフロック化された汚泥を液体と固体とに分離するための濃縮部130と、汚泥に含まれる水分をさらに脱水して除去する脱水部140と、を有している。
なお、本実施形態では特に攪拌部120、濃縮部130、脱水部140、を全て備えた脱水機としての固液分離装置100を説明するが、かかる構成に限定されるものではない。例えば攪拌部120と濃縮部130とを備えた濃縮機や、あるいは後述するフィルター部10と駆動部20とを備えた所謂スクリーンであっても良い。
【0010】
攪拌部120は、原水Qに凝集剤を投入して攪拌する攪拌装置であって、攪拌用駆動源121と、攪拌スクリュー122と、を有している。
本実施形態の濃縮部130は、駆動部20と、駆動部20の下方に備えられたフィルター部10と、を有している。
脱水部140は、加圧フィルター部40と、加圧フィルター部40よりも上方に配置されて加圧フィルター部40上を移送されるフロック化した汚泥Sを加圧して内部の水分を押し出すための加圧部30と、加圧フィルター部40を駆動するための駆動源50と、を有している。
【0011】
このような濃縮部130におけるフィルター部10の構成と動作について説明する。
【0012】
フィルター部10は、図2に示すように、本実施形態では複数のプレートがプレート厚み方向であるX方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された固定側プレート群12と、固定側プレート群12を構成するプレートとは異なる複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された可動側プレート群11と、を有している。
固定側プレート群12を構成するプレートと、可動側プレート群11を構成するプレートとは、互いの間隔に入り込んで固定側プレート群12と可動側プレート群11との間にわずかなギャップGを形成するように配置される。
かかるギャップGは空隙であって、かかる空隙から図3に示すように水分が重力によって下方へ落ちることで、フィルター部10の搬送面たる上面に乗せられた原水Qから、固体物Q1と、液体Q2とが分離される。
可動側プレート群11は、複数のプレート11aの下方に突出した突出部11bが長ボルトである締結部13に挿通されることによって一体に側板部15へと取り付けられて、後述する固定ベース29と側板部15とが連結された態様で支持されている。
他方、固定側プレート群12は、同様にプレート12aの突出部12bが長ボルトである締結部14によって一体に固液分離装置100の筐体へと取り付けられており、筐体に対して不動となるように保持される。
【0013】
可動側プレート群11を構成するプレート11aは、図2に示すように、締結部13によって連結されるべき突出部11bと固定用穴11cとが、前後方向たるY軸方向に沿って2か所ずつ形成されている。
また、固定側プレート群12を構成するプレート12aも、図2に示すように、締結部13によって連結されるべき突出部12bと固定用穴12cとが、Y軸方向に沿って1か所だけ形成されている。
【0014】
例えば図13に記載する従来例においては、長ボルトが挿通される固定用穴を固定側プレート群12と可動側プレート群11とで重複しないようにするために、どちらか一方の固定穴を下方へとずらす方法が一般的であった。
しかしながら、図13の構成では、何れか一方のフィルター端部においては、プレートが曲がっているために、搬送方向下流側の端部において、搬送に寄与しない遊び部分NGが生じてしまう。固液分離装置100の小型化に際して、フィルター部10のY方向の長さを切り詰めつつも、搬送効率を落とさないためには、このような搬送方向下流側における端部についても、フィルター部として機能する方法が求められていた。
【0015】
そこで、本実施形態では、プレート11aの下方側に突出部11bを設け、さらに突出部11bに固定用穴11cを設けることにより、可動側プレート群11を固体物Q1が載置される側とは反対側で、締結部13によって挿通されることで位置が固定される。
【0016】
また、本実施形態では、固定側プレート群12について、プレート12aの下方側に突出部12bを設け、さらに突出部12bに固定用穴12cを設けることで、締結部14によって挿通されて位置が固定されている。
このような構成とすることによれば、突出部11bあるいは突出部12bの長さを調整することで、プレート11a、プレート12aの搬送方向の長さや搬送機能に影響を及ぼすことなく、締結部による固定位置を互いにずれた位置とすることができる。
さらに、本実施形態においては、固定側プレート群12の突出部12bを1か所とし、その位置はプレート12aの(Y方向の)全長に対するやや中央よりの位置が好ましい。
【0017】
さらに、このような可動側プレート群11を固定する締結部13と固定側プレート群12を固定する締結部14との間には、例えば図4に比較例を示すように、フィルター部10から抜けた水分や微小な固形物がギャップGの間隙に挟まって詰まりが発生してしまうことがありうる。
そこで、かかる締結部13と締結部14との間隔は、出来る限り広くとることが好ましい。
【0018】
そこで、これらの固定側プレート群12のプレート12aの突出部12bと、可動側プレート群11のプレート11aの突出部11bとは、互いにY方向における位置が被らないように、ずれて配置される。
特に本実施形態においては、Y方向において可動側プレート群11の突出部11bが、固定側プレート群12の突出部12bを挟み込むように、あるいは交互に配置されることが望ましい。
かかる構成により、長ボルトが複数、近しい位置に配置されることを防ぎ、フィルター部10から落下してくる液体Q2やフィルター部10では取り切れなかった微小な固形物等による目詰まりを抑制することができる。
【0019】
さらに固定側プレート群12の突出部12bについては、後述するように、プレート12aと接続される側とは異なる側の端部が、所定の角度で切り欠いており、X方向に延びたレール状部材18によって固液分離装置100の筐体との間でなす角が規定されている。
かかるレール状部材18を用いて、複数の固定側プレート群12の配置される角度を一定の範囲に揃えて規制することができる。
【0020】
かかる構成により、固定側プレート群12の配置される角度を規制することができる。
【0021】
フィルター部10の上方には、可動側プレート群11を平行運動させる駆動手段として駆動部20が図5に示すように配置されている。
駆動部20は、駆動源であるモータM1と、モーターM1に接続された駆動軸たる駆動シャフト21と、駆動シャフト21に取り付けられた第1偏心カム22と、駆動シャフト21と同期して回転運動する従動シャフト23と、従動シャフト23に取り付けられた第2偏心カム24と、を有している。
駆動部20はまた、プーリ26と、平ベルト25と、ベアリング27と、第1偏心カム22、第2偏心カム24を固定するためのカム軸受け28と、カム軸受け28の支持部である固定ベース29と、を有している。
【0022】
駆動シャフト21と従動シャフト23とは、端部にプーリ26が取り付けられており、各プーリ26に無端状の平ベルト25が巻きかけられている。
本実施形態の構成においてプーリ26は駆動シャフト21と従動シャフト23とに連動して回転するようになっており、平ベルト25は駆動シャフト21と従動シャフト23との回転を同期するための同期手段として機能する。
【0023】
本実施形態では特に同期手段として平ベルト25を用いるとしたが、その他にも、タイミングベルト、チェーンを用いても良く、駆動シャフト21と従動シャフト23との回転位相を同期可能なものであれば良い。
また、本実施形態における平ベルト25は可撓性を有するゴム等の材質を用いた無端状ベルトである。
【0024】
駆動シャフト21には、固液分離装置100の筐体壁面に固定されたベアリング27を介して第1偏心カム22が接続されている。
第1偏心カム22は、図5図6に示すように、駆動シャフト21の回転中心に対して偏心されたカムである。
第1偏心カム22は、固定具であるカム軸受け28によって板状の固定ベース29の底面29aにボルト等で固定されている。
第1偏心カム22は、回転軸である駆動シャフト21が回転すると、斜線で示された偏心部分が回転し、カム軸受け28との位置関係が変化する。駆動シャフト21の位置はベアリング27によって固液分離装置100の筐体に固定されているから、かかる第1偏心カム22の運動によって、固定ベース29側および固定ベース29に連結された可動側プレート群11が平行状態を維持したまま図6に示すように移動することとなる。
【0025】
固定ベース29は、板状の支持部を構成する底面29aと、底面29aの端部から立ち上がった側壁面29bとで構成された上面が開放された箱状の部材である。側壁面29bは本実施形態において「少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部」として機能する。
【0026】
すなわち、駆動部20は、第1偏心カム22、第2偏心カム24を固定するための板状支持部たる固定ベース29を有し、固定ベース29は少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部となる側壁面29bを有する。
かかる構成により、固定ベース29の底面29aの歪みを抑制できることに加えて、第1偏心カム22、第2偏心カム24の位置決めを正確に行えるから、可動側プレート群11の平行移動の際に生じてしまう揺れや遅れなどの機械的な負荷を小さくすることができる。
【0027】
次に、第1偏心カム22と第2偏心カム24との動作について、図6を用いて説明する。
図6(a)として示すように、駆動シャフト21の回転中心軸から偏心して第1偏心カム22が配置されている。同様に、従動シャフト23と偏心して第2偏心カム24が配置されている。
図6(b)~(d)に示すように、駆動シャフト21、従動シャフト23が回転するときには、駆動シャフト21、従動シャフト23が固定されているから、第1偏心カム22と第2偏心カム24とによって生じる「ずれ」は、カム軸受け28を介して固定ベース29を移動させる力として働くこととなる。
すなわち、固定ベース29に連結された可動側プレート群11は、第1偏心カム22と第2偏心カム24とによって、図6(a)~(d)に示すように、固定側プレート群12に対して平行を維持したまま相対的に図の方向に前後・上下方向に円を描きながら移動することとなる。
【0028】
このような動きにおいて、可動側プレート群11と固定側プレート群12との上部に載置された固体物Q1は、図6(a)では可動側プレート群11によって上方へと移動し、図6(b)では可動側プレート群11が前方へと移動しながら下方へと移動するので、図6(a)よりも前方の位置で固定側プレート群12に載置されることとなる。
次に、図6(c)のように固定側プレート群12に支持されている間に可動側プレート群11が後方へと移動しながら上昇してくるために、再度図6(d)のように可動側プレート群11と固体物Q1が当接するときには、先ほどよりも可動側プレート群11の前方側に移動された状態で図6(a)のように持ち上げられていくこととなる。
このように、図6(a)~(d)の円運動を1セットとして考えると、駆動シャフト21の1回転ごとに、固体物Q1がフィルター部10によって徐々に矢印Aで示す搬送方向下流側へと移動されていくことがわかる。
【0029】
このように、第1偏心カム22と第2偏心カム24とによって、モーターM1の回転が、可動側プレート群11と固定側プレート群12との間の平行移動に変換されて、固体物Q1を搬送する。
【0030】
さて、このような可動側プレート群11と固定側プレート群12との間のギャップGは、常に一定の距離を保つように互いに平行に設けられており、さらに上述したように、可動側プレート群11は理想的には固定側プレート群12に対して平行状態を維持したまま円運動を描きながら固体物Q1を移動させる。
かかるギャップGは、小さければ小さいほど、小さなサイズの固体物Q1の取り残しが少なくなるため好ましいが、このようにギャップGを小さくすることは、可動側プレート群11と固定側プレート群12とが変形などによって接触してしまった場合には、フィルター部10の動作停止を招いてしまう懸念もある。
そこで、可動側プレート群11と固定側プレート群12との間のギャップGは、不変であることが好ましい。
しかしながら、固体物Q1及び原水Qにはある程度の重量があり、図3等に示した吊り下げ式の固定方法において、一切歪みや撓みを生じないような素材の選定は現実的ではない。
【0031】
そこで本実施形態では、可動側プレート群11は、プレートの厚み方向であるX方向における両端部が側板部15を介して固定ベース29に接続される。
さらに、可動側プレート群11のX方向中央部には、補強板16と、補強板ステー17と、が互いにボルトで締結されて設けられており、可動側プレート群11の幅方向中央部にあるプレート11aのうちの何れか1枚が、固定ベース29に連結されている。
【0032】
このように、可動側プレート群11の幅方向であるX方向両端部を側板部15を介して固定ベース29に連結することで、第1偏心カム22、第2偏心カム24の回転による固定ベース29の動きに連動して、可動側プレート群11が固定側プレート群12に対してZY平面上で円運動を描きながら平行移動する。
さらに、可動側プレート群11の中央部を補強板16と補強板ステー17とによって固定ベース29に連結することとすれば、固体物Q1の重量によって生じる可動側プレート群11の中央部での撓みを低減することが可能である。
【0033】
かかる構成により、フィルター部10のX方向の幅を広くした場合にも、フィルター部10の歪みによるフィルター部10の動作停止を招くことなく、駆動部20がフィルター部10を平行移動させることができる。
【0034】
固定ベース29のさらなる効果について説明する。
既に述べたように、本実施形態では、平ベルト25をプーリ26に巻きかけることによって、モーターM1の回転を駆動シャフト21及び従動シャフト23に伝達している。
かかるモーターM1の駆動力は、固体物Q1のZ方向への上下動に用いられるため、固体物Q1の重量による負荷がかかっている。
本実施形態では、平ベルト25とプーリ26の代わりに同期手段としてチェーンと歯車等を代用することもできるが、このような場合には、負荷によってチェーンがスリップし、歯車とチェーンの噛み合う歯が変化してしまう場合がありうる。
このような場合にも、チェーンと歯車とは噛み合った状態で回転を続けるため、第1偏心カム22と第2偏心カム24との間の回転位相が変化してしまう場合もあり得る。
【0035】
図7は、本実施形態のように、駆動シャフト21と従動シャフト23とをプーリ26と平ベルト25とを用いて同期する構成としたときの模式図を示している。
【0036】
図7(b)には、平ベルト25の代わりに、チェーン25’を用いて、さらに固定ベース29を用いずにカム軸受け28に側板部15を直接取り付けた場合の例を比較例として示す。
図7(b)においては、まず、チェーン25’の位相と、駆動シャフト21、従動シャフト23との間の位相とを合わせる必要があり、高い組付け精度を要求されてしまっていた。さらに、組付けの精度が出たとしても、チェーン25’がスリップしてしまった場合には、図7(b)のように位相がずれた状態となってしまうことがありうる。
【0037】
このとき、単に駆動シャフト21と従動シャフト23とに独立してそれぞれ側板部15を取り付けた場合には、可動側プレート群11の平行が取れず、可動側プレート群11や側板部15への機械的な負荷となってしまったり、あるいは可動側プレート群11の平行移動が妨げられて、固体物Q1を搬送できなくなってしまう等の問題となる虞がある。
このようなことが生じないように、チェーン25’を用いて位相ずれを極力無くし、あるいは組付け精度の向上による位相誤差の修正を行っていたが、コスト増加につながってしまうことまでもは防げていなかった。
【0038】
そこで、本実施形態においては、図7(a)に示すように、平ベルト25と固定ベース29とを用いて、固定ベース29に対して側板部15を締結する構成とすることで、かかる問題を解決する。
【0039】
かかる構成について説明する。図7(a)のように位相差が生じてしまった場合には、駆動シャフト21の運動に連動して、自動的に固定ベース29も動作してしまっている。
すなわち、仮に平ベルト25がスリップしてしまったときにも、駆動シャフト21から駆動力が固定ベース29に伝わってさえいれば、固定ベース29と一体に第2偏心カム24は動作することとなる。
第2偏心カム24もカム軸受け28によって固定ベース29に固定されているから、かかる第2偏心カム24の動作は、結果的に従動シャフト23を回転させる力として伝わることとなる。
さらに、本実施形態では、第1偏心カム22と第2偏心カム24とは同期して回転運動するのだから、力の伝わる順番こそ異なるが、かかる動作は平ベルト25を介して伝わっても、固定ベース29の運動を介して伝わったとしても、容易に第1偏心カム22と第2偏心カム24との間の同期を維持することが可能である。
また、平ベルト25を用いることによれば、チェーン等を使用する場合に比べて、過大な負荷がかかった場合には平ベルト25と従動シャフト23との間で適度に「空回り」が生じる。
このような平ベルト25の滑りは、位相が一致する場合には極小になるから、滑りが生じると、固定ベース29の運動を介して位相が同期した段階で空回りが解消して再度平ベルト25による駆動シャフト21と従動シャフト23との同期が復活することとなる。すなわち、第1偏心カム22と第2偏心カム24との間の同期も自動的に復活する。
【0040】
このように、固定ベース29に加えてさらに平ベルト25とプーリ26とを用いることとすれば、仮に平ベルト25がプーリ26に対してスリップしてしまう問題が生じ得たとしても、容易に第1偏心カム22と第2偏心カム24との間の同期を維持することが可能である。
【0041】
また、可動側プレート群11と、固定側プレート群12とは、互いに平行に複数の板状のプレートが互い違いに入れ込む態様で配置されている。
かかる構成では、プレート同士のわずかな撓みや位置の変化によって干渉し、駆動シャフト21と第1偏心カム22との動作による平行移動が、上手に動作しない場合もあり得る。
撓みを抑制する方法としては、例えば可動側プレート群11を貫く長ボルトの径を大きくする方法もあるが、プレートのサイズや、穴径を変更することはコスト上昇を招くなどの問題もある。
【0042】
そこで可動側プレート群11のプレート厚み方向たるX方向の中央部には、図8に示すような、補強板16と、補強板ステー17とが設けられている。
かかる補強板16と、補強板ステー17とは、ボルト等の部材を用いて互いに締結されて固定される。
かかる構成により、補強板16と補強板ステー17とは、それぞれ可動側プレート群11と両持ち梁となってしまう可動側プレート群11の中間部分を支持するので、可動側プレート群11のZ方向の撓みを抑制して、平行移動の安定動作に寄与する。
【0043】
このような固液分離装置100の組付け方法について説明する。
まず固液分離装置100の筐体に、ベアリング27を介して駆動シャフト21と偏心カム22、従動シャフト23と偏心カム24を通す。
【0044】
このとき、図9に示すような固定側プレート群12の締結部14が取り付けられるためのボルト穴の位置61と、カム軸受け28を固定するためのボルト穴の位置62とが目印として開けられた、複数の開口61、62を備えた位置確認用治具60を、固液分離装置100の筐体に仮止めし、駆動シャフト21と従動シャフト23との位置をかかるボルト穴の位置61、62の位置関係によって定める。
カム軸受け28を固定するためのボルト穴は、固定ベース29に開けられているから、かかる工程により、固定ベース29と筐体との位置関係が一意に定まる。
このとき、駆動シャフト21と従動シャフト23とはイモネジやキー溝等の構成で位相差が一致するようにあらかじめ固定して取り付けることが望ましい。
次に、かかる位置確認用治具60を取り外して、固定ベース29に側板部15と、可動側プレート群11とを取り付ける。
側板部15に可動側プレート群11を取り付けると、側板部15の形状と位置によって、可動側プレート群11の筐体に対する角度が一意に定まる。なお、既に説明した通り、かかる角度は、固定側プレート群12と平行である。
【0045】
他方、固定側プレート群12は、図2図10等に示すレール状部材18によって規定された角度に並べられて、締結部14によって筐体へと固定される。
また、レール状部材18も筐体に固定することとすれば、例えば固体物Q1の重量等や、可動側プレート群11の動作や振動による緩みによって固定側プレート群12がYZ平面に回転してしまう所謂「倒れ」が生じてしまう場合にも、レール状部材18によって固定側プレート群12の突出部12bが支持されているので、可動側プレート群11との位置関係が大きく損なわれることがない。
【0046】
このような「倒れ」は、突出部12bが1か所しかない固定側プレート群12において特に生じやすく、逆に2か所で固定される可動側プレート群11ではあまり生じないため、かかるレール状部材18は、本実施形態においては、固定側プレート群12にのみ取り付けられている。
【0047】
このように、固定側プレート群12と、可動側プレート群11との位置関係が定められるから、可動側プレート群11の動作の際に位相ずれによるフィルター部10の動作不良が生じにくい。
【0048】
また本実施形態においては、可動側プレート群11よりも上方に配置されて当該可動側プレート群11を平行運動させる駆動手段たる駆動部20を有し、駆動部20は、第1偏心カム22、第2偏心カム24と、これらを回動させる駆動シャフト21と従動シャフト23と、回転位相を同期させる同期手段としての平ベルト25と、を有している。
かかる構成により、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする。
【0049】
また本実施形態においては、同期手段は駆動シャフト21と従動シャフト23とに巻きかけられた平ベルトである。
かかる構成により、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする。
【0050】
また本実施形態においては、駆動部20は、第1偏心カム22と第2偏心カム24とを固定するための固定ベース29を有し、固定ベース29は少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部としての側壁面29bを有する。
かかる構成により、固定ベース29の変形を生じにくくすることで、可動側プレート群11の動作時の撓みや変形を抑制して、動作不良を生じにくくすることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、平ベルト25を同期手段として用いており、かかる構成によれば駆動シャフト21と従動シャフト23とに位相差が生じた場合にも平ベルト25が適度にスリップすることで、固定ベース29によって位相差が自動的に補正される。
【0052】
また本実施形態においては、可動側プレート群11は、プレート11aの厚み方向における中央部を補強板16と補強板ステー17とによって固定ベース29に支持され、両端部を側板部15によって支持される。
かかる構成により、フィルター部10の横幅を増大させたときにも、可動側プレート群11の動作時の撓みや変形を抑制して、動作不良を生じにくくすることができる。
【0053】
また本実施形態では、固定側プレート群12と可動側プレート群11とで構成されたフィルター部10は、プレート11a、12aの延伸方向に向かって傾斜して配置され、第1偏心カム22、第2偏心カム24は、フィルター部10の傾斜を維持しながら回転するように配置される。
かかる構成により、可動側プレート群11は固定側プレート群12に対して平行な状態を維持しながら平行移動するので、可動側プレート群11の上部に載置された固体物Q1が搬送される。
【0054】
図1で示した汚泥処理装置200においては、原水槽110から供給される原水Qに攪拌部120で高分子凝集剤を投入し、適正なサイズ(約5~10mm程度)のフロックを形成する。
攪拌されフロック化された汚泥は、既に述べたように濃縮部130のフィルター部10の動作によって、濃縮部130の後端では固体物Q1と液体Q2とに分離され、固体物Q1のみが後段の脱水部140へと搬送される。
【0055】
濃縮部130において分離された固体物Q1は、さらに脱水部140において、加圧フィルター部40により搬送される。
脱水部140における加圧フィルター部40の構成は、濃縮部130におけるフィルター部10のものと後述するギャップ以外は同様であるので説明を省略する。
脱水部140には、加圧フィルター部40の上方に加圧部30が設けられている。
かかる加圧部30は、下方に対して圧力をかけることが可能であり、例えば加圧フィルター部40の下流側へ行くにしたがって加圧フィルター部40と加圧部30との距離が狭くなることで、固体物Q1を上方から加圧・圧縮し、内部に含まれる水分を押し出すことで脱水する。
なお、この時の固体物Q1は、約85%以下の含水率の個体である。
【0056】
加圧部30は短い搬送距離で処理効率を上げるためには必要であるが、濃縮部130でのプレート間のギャップGがそのまま維持された場合、固体物Q1が加圧部30に潰されることで水分と共に多量の固形物が流出することになってしまう。
一般に、汚水処理装置200の中では、脱水部140から離脱した液体Q2である処理水は再び汚水処理の原水槽110に戻されることが多く、処理水に固形物が多く含まれることは汚水処理装置200に余計な負担を与えることにつながり、好ましくない。
従来技術では、固形分の流出が極めて少ない重力濃縮部と、強制加圧により固形分の流出が多い加圧脱水部での処理水は分けて回収した方が望ましく、加圧脱水部での処理水をそのまま汚水処理系(浄化槽)に排出することは困難となっていた。
【0057】
本実施形態に係る固液分離装置100では、脱水部140での加圧フィルター部40のプレート間ギャップG’は0.25mmで、濃縮部130におけるフィルター部10のプレート間ギャップG(0.5mm)の半分となっている。かかる構成により、加圧されても固形分の流出が抑制される。なお、かかるプレート間ギャップは、フィルター部10では、1~0.75mm、加圧フィルター部40では、0.5~0.2mm程度が好ましい。
脱水部140ではフロック化汚泥の容積が次第に小さくなることと、加圧フィルター部40のフィルタ面のギャップ(プレート間ギャップ)の目幅が小さくなることで、濃縮部130と同様のギャップを有している場合に比べて圧力が高まり、良好に脱水される。
圧力が高まるに伴い、僅かなギャップG’から水分が除去され、脱水された固形物(脱水ケーキ)は固液分離装置100の後端より排出される。
かかる構成により、本実施形態に係る固液分離装置100では固形物の原水槽110への流出を抑制しながら、排出される脱水ケーキの含水率を良好に低下させることができる。
【0058】
また、本発明の第2の実施形態として、図11図12に示す固液分離装置300を塗装ブース等に用いられる循環水槽400に導入した例について説明する。
【0059】
かかる循環水槽400は、例えば塗装ブースでは固液分離の対象物である原水Qは塗装用の塗料であり、表面には油膜や塗装カス等の分離すべき固体物Q1が浮かんでいるものと想定される。本発明の固液分離装置300は、かかる循環水槽400の原水Qから固体物Q1を掬い上げて分離することを目的としている。
なお、かかる構成に限定されるものではなく、塗装ブースの循環水槽400以外にも、例えば浄水槽やその他の油水分離槽等に用いたとしても良い。
【0060】
かかる固液分離装置300においては、固液分離装置300を浮かせるためのフロート301と、フィルター部10と、フィルター部10の上方に取り付けられた駆動部20と、フィルター部10によって搬送された固体物Q1を排出するための排出口302と、を有している。
なお、以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態においても、駆動部20には、第1偏心カム22と第2偏心カム24とが設けられるとともに、それぞれを駆動するための駆動シャフト21と従動シャフト23とによって支持されている。
また、第1偏心カム22と第2偏心カム24とは、固定ベース29に締結されており、固定ベース29を介して側板部15及び可動側プレート群11と接続されている。
【0061】
本実施形態において、フィルター部10の上流側たる‐Y方向側は、下方に傾斜しており、フィルター部10の先端部分は原水Qに少なくとも一部が浸かる態様で保持されている。
従って、従来のように、フィルター部の下方に駆動源を配置する構成では、原水Qに浸かってしまい、耐久性やメンテナンス性の面で課題が生じていた。
そこで、本実施形態の固液分離装置300では、第1の実施形態と同様に、駆動部20をフィルター部10の上方に配置することで、駆動部20が原水Qに触れることなく可動側プレート群11を動作させることができるので、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする。
【0062】
また本実施形態においては、可動側プレート群11よりも上方に配置されて当該可動側プレート群11を平行運動させる駆動手段たる駆動部20を有し、駆動部20は、第1偏心カム22、第2偏心カム24と、これらを回動させる駆動シャフト21と従動シャフト23と、回転位相を同期させる同期手段としての平ベルト25と、を有している。
かかる構成により、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする。
【0063】
また本実施形態においては、同期手段は駆動シャフト21と従動シャフト23とに巻きかけられた平ベルトである。
かかる構成により、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする。
【0064】
また本実施形態においては、駆動部20は、第1偏心カム22と第2偏心カム24とを固定するための固定ベース29を有し、固定ベース29は少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部としての側壁面29bを有する。
かかる構成により、固定ベース29の変形を生じにくくすることで、可動側プレート群11の動作時の撓みや変形を抑制して、動作不良を生じにくくすることができる。
【0065】
また、本実施形態においては、平ベルト25を同期手段として用いており、かかる構成によれば駆動シャフト21と従動シャフト23とに位相差が生じた場合にも平ベルト25が適度にスリップすることで、固定ベース29によって位相差が自動的に補正される。
【0066】
また本実施形態においては、可動側プレート群11は、プレート11aの厚み方向における中央部を補強板16と補強板ステー17とによって固定ベース29に支持され、両端部を側板部15によって支持される。
かかる構成により、フィルター部10の横幅を増大させたときにも、可動側プレート群11の動作時の撓みや変形を抑制して、動作不良を生じにくくすることができる。
【0067】
また本実施形態では、固定側プレート群12と可動側プレート群11とで構成されたフィルター部10は、プレート11a、12aの延伸方向に向かって傾斜して配置され、第1偏心カム22、第2偏心カム24は、フィルター部10の傾斜を維持しながら回転するように配置される。
かかる構成により、可動側プレート群11は固定側プレート群12に対して平行な状態を維持しながら平行移動するので、可動側プレート群11の上部に載置された固体物Q1が搬送される。
【0068】
本実施形態では、固液分離装置300は、固液分離装置300を原水Qの水面上に浮かせるためのフロート301を有し、フィルター部10の最下方は、原水Qの液中に侵入するように、フィルター部10が斜めに傾斜して保持されている。
かかる構成により、駆動部20が原水Qに触れることなく可動側プレート群11を動作させることができるので、簡易な構成で組立性が良く、コストを抑制しつつも良好な処理対象物の搬送を可能とする。
【0069】
フィルター部10の動作によって搬送された固体物Q1は、排出口302から循環水槽400の外へと排出される。
また、固体物Q1と分離された液体Q2については、下方に落ちるために自動的に循環水槽400に還流される。
このように、本実施形態では、循環水槽400の液面に浮いた固形物のみを効率よく回収して排出することで、固液分離を行うことができる。
【0070】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態や変形例を適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 フィルター部
11 可動側プレート群
11a プレート
12 固定側プレート群
12a プレート
20 駆動手段(駆動部)
21 駆動シャフト
22 偏心カム(第1偏心カム)
23 従動シャフト
24 偏心カム(第2偏心カム)
25 同期手段(平ベルト)(タイミングベルト)
29 板状支持部(固定ベース)
29b 厚肉部(底面部)
100 固液分離装置
110 供給部(原水槽)
120 攪拌部
130 濃縮部
140 脱水部
200 汚泥処理装置
G、G’ ギャップ
Q 原水(処理対象物)
Q1 固体物(処理対象物)
Q2 液体(処理対象物)
Y方向 延伸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
このような課題を解決するため、本発明では複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された固定側プレート群と、前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された可動側プレート群と、を有し、前記固定側プレート群のプレートと前記可動側プレート群のプレートとが互いの間隔に入り込んで固定側プレート群と可動側プレート群との間にわずかなギャップを形成する固液分離装置であって、前記可動側プレート群よりも上方に配置されて当該可動側プレート群を平行運動させる駆動手段を有し、前記駆動手段は、複数の偏心カムと、前記複数の偏心カムを回動させる複数のシャフトと、前記複数のシャフト間の回転位相を同期させるために前記複数のシャフトに巻きかけられた平ベルトと、前記複数の偏心カムを固定するための板状支持部と、を有し、当該板状支持部は少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部を有することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された固定側プレート群と、
前記固定側プレート群を構成するプレートとは異なる複数のプレートがプレート厚み方向に一定の間隔で配置されて一体的に構成された可動側プレート群と、を有し、
前記固定側プレート群のプレートと前記可動側プレート群のプレートとが互いの間隔に入り込んで固定側プレート群と可動側プレート群との間にわずかなギャップを形成する固液分離装置であって、
前記可動側プレート群よりも上方に配置されて当該可動側プレート群を平行運動させる駆動手段を有し、
前記駆動手段は、複数の偏心カムと、前記複数の偏心カムを回動させる複数のシャフトと、前記複数のシャフト間の回転位相を同期させるために前記複数のシャフトに巻きかけられた平ベルトと、前記複数の偏心カムを固定するための板状支持部と、を有し、当該板状支持部は少なくとも端部において剛性を向上させるための厚肉部を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置であって、
前記固定側プレート群は、前記板状支持部とは逆側の方向に延びた突出部を有し、
前記突出部は前記固定側プレート群を傾斜して保持させるために所定の角度で切り欠いており、当該突出部を前記角度に保持するためのレール状部材を有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固液分離装置であって、
前記可動側プレート群は、前記プレートの厚み方向における中央部と両端部とを前記板状支持部に接続されることを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の固液分離装置であって、
前記固定側プレート群と前記可動側プレート群とで構成されたフィルター部は、前記プレートの延伸方向に向かって傾斜して配置され、
前記偏心カムは、前記フィルター部の前記傾斜を維持しながら回転するように配置されたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の固液分離装置と、
前記固液分離装置に処理対象物を供給する供給部と、
を有する汚泥処理装置。