IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147587
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220929BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 F
H01L29/44 S
H01L21/90 B
H01L21/88 J
H01L29/44 P
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048895
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宣年
【テーマコード(参考)】
4M104
4M118
5C024
5F033
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104CC01
4M104DD08
4M104DD24
4M104EE16
4M104EE17
4M104FF06
4M104FF27
4M104GG05
4M104GG14
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA19
4M118CA03
4M118CA22
4M118CA35
4M118DD04
4M118DD09
4M118EA14
4M118FA06
4M118FA33
4M118FA38
4M118GA02
4M118GC07
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA22
4M118HA24
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA33
5C024CX41
5C024CY47
5C024EX25
5C024GX24
5C024GY31
5F033JJ04
5F033JJ08
5F033JJ11
5F033JJ13
5F033JJ19
5F033MM17
5F033NN15
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
(57)【要約】
【課題】複数の半導体基板が積層されて構成される撮像素子において、半導体基板同士の接続を容易に行う。
【解決手段】撮像素子は、第1の半導体基板と、第2の半導体基板と、絶縁層と、接続部と、凹部とを有する。第1の半導体基板は、入射光の光電変換を行う光電変換部を備える。第2の半導体基板は、光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に第1の半導体基板が積層される。絶縁層は、第1の半導体基板及び第2の半導体基板の間に配置される。接続部は、絶縁層を貫通するとともに第1の半導体基板と第2の半導体基板の裏面側とを接続する。凹部は、絶縁層における第2の半導体基板に隣接する面に配置されて接続部の周囲に形成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の光電変換を行う光電変換部を備える第1の半導体基板と、
前記光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に前記第1の半導体基板が積層される第2の半導体基板と、
前記第1の半導体基板及び前記第2の半導体基板の間に配置される絶縁層と、
前記絶縁層を貫通するとともに前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板の裏面側とを接続する接続部と、
前記絶縁層における前記第2の半導体基板に隣接する面に配置されて前記接続部の周囲に形成される凹部と
を有する撮像素子。
【請求項2】
前記接続部は、前記接続される前記第1の半導体基板及び前記第2の半導体基板のそれぞれの基準電位を共通にする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記凹部は、前記第2の半導体基板の裏面側との間に空隙を形成する請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記空隙は、真空に構成される請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記凹部は、前記第2の半導体基板に形成される素子の直下の領域とは異なる領域の前記絶縁層に形成される請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記絶縁層に配置されて前記第1の半導体基板に接続される配線をさらに有し、
前記凹部は、前記配線が配置される領域とは異なる領域の前記絶縁層に形成される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記凹部は、複数の前記接続部の周囲に共通に形成される請求項1に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記凹部は、帯状に構成される請求項7に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記凹部は、5nm以上の深さに構成される請求項1に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記接続部は、前記凹部の底面から5nm以上の高さに構成される請求項1に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記接続部は、シリコンを含んで構成される請求項1に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記絶縁層は、酸化物により構成される請求項1に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記第2の半導体基板は、前記接続部が接続される高い不純物濃度の半導体領域を備える請求項1に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記第1の半導体基板に隣接して配置されるパッドを更に有し、
前記接続部は、前記パッドを介して前記第1の半導体基板に接続される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記パッドに含まれる不純物が前記第1の半導体基板に拡散することにより形成される半導体領域を更に有する請求項14に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記画素回路は、フィンFETを備える請求項1に記載の撮像素子。
【請求項17】
入射光の光電変換を行う光電変換部を備える第1の半導体基板と、
前記光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に前記第1の半導体基板が積層される第2の半導体基板と、
前記第1の半導体基板及び前記第2の半導体基板の間に配置される絶縁層と、
前記絶縁層を貫通するとともに前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板の裏面側とを接続する接続部と、
前記絶縁層における前記第2の半導体基板に隣接する面に配置されて前記接続部の周囲に形成される凹部と、
前記生成される画像信号を処理する処理回路と
を有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体の撮像を行う撮像素子において、複数の基板が積層されて構成された撮像素子が使用されている。この複数の基板には、例えば、光電変換を利用して被写体からの入射光を画像信号に変換する画素が形成される基板と画素の制御信号を生成する回路や画像信号を処理する回路が形成される基板とが該当する。画素には、アナログの画像信号を扱う回路が配置される。一方、画像信号を処理する回路には、高速に動作するデジタル回路が主に使用される。このように、性格の異なる回路をそれぞれ異なる基板に配置することにより、これらの回路に最適なプロセスを適用して基板を製造することができる。また、これらの基板を積層するため、撮像素子の面積を縮小することも可能となる。
【0003】
例えば、入射光の光電変換を行う光電変換素子が配置される第1の半導体基板と光電変換素子により生成される信号を増幅する増幅トランジスタが配置される第2の半導体基板とを積層して画素を構成する撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この撮像素子では、第1の半導体基板及び第2の半導体基板が絶縁膜を介して積層される。これら第1の半導体基板及び第2の半導体基板は、絶縁膜に埋め込まれたコンタクトにより接続される。第2の半導体基板は、増幅トランジスタが配置される面の反対側の面に低抵抗の半導体領域を有する。この半導体領域にコンタクトが接合される。このコンタクトにより、第1の半導体基板及び第2の半導体基板の接地電位が共有される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-028780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、コンタクト(接続部)と第2の半導体基板との接続が困難になるという問題がある。上記の絶縁膜は第1の半導体基板に形成される。接続部は、この絶縁膜に形成された貫通孔に配置される。この接続部が配置された絶縁膜に第2の半導体基板が積層される際、接続部が第2の半導体基板の低抵抗の半導体領域に接触して接続される。しかし、接続部の高さにはばらつきがあるため、積層の際の第2の半導体基板の半導体領域との接合にもばらつきを生じる。このため、第1の半導体基板及び第2の半導体基板の接続が困難になるという問題がある。
【0006】
そこで、本開示では、複数の半導体基板が積層されて構成される撮像素子及び撮像装置において、半導体基板同士の接続を容易に行う撮像素子及び撮像装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の撮像素子は、第1の半導体基板と、第2の半導体基板と、絶縁層と、接続部と、凹部とを有する。第1の半導体基板は、入射光の光電変換を行う光電変換部を備える。第2の半導体基板は、上記光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に上記第1の半導体基板が積層される。絶縁層は、上記第1の半導体基板及び上記第2の半導体基板の間に配置される。接続部は、上記絶縁層を貫通するとともに上記第1の半導体基板と上記第2の半導体基板の裏面側とを接続する。凹部は、上記絶縁層における上記第2の半導体基板に隣接する面に配置されて上記接続部の周囲に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の機能構成の一例を表すブロック図である。
図2図1に示した撮像装置の概略構成を表す平面模式図である。
図3図2に示したIII-III’線に沿った断面構成を表す模式図である。
図4】本開示の実施形態に係る画素共有ユニットの構成の一例を表す等価回路図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図6】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
図7】本開示の第1の実施形態に係る凹部の構成例を示す図である。
図8A】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8B】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8C】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8D】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8E】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8F】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8G】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8H】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8I】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8J】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8K】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図8L】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図9A】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の他の例を示す図である。
図9B】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の他の例を示す図である。
図9C】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の他の例を示す図である。
図10A】本開示の第1の実施形態に係る凹部の効果を説明する図である。
図10B】本開示の第1の実施形態に係る凹部の効果を説明する図である。
図11】本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図12】本開示の第2の実施形態に係る凹部の構成例を示す図である。
図13】本開示の実施形態の第1の変形例に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
図14A】本開示の実施形態の第2の変形例に係る凹部の構成例を示す図である。
図14B】本開示の実施形態の第2の変形例に係る凹部の構成例を示す図である。
図15】上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1を備えた撮像システム7の概略構成の一例を表した図である。
図16】撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す図である。
図17】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図18】撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図19】本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図20図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。説明は、以下の順に行う。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第1の変形例
4.第2の変形例
5.適用例
6.移動体への応用例
7.内視鏡手術システムへの応用例
【0010】
(1.第1の実施形態)
[撮像装置1の機能構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1の撮像装置1は、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、画素アレイ部540、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを含んでいる。
【0012】
画素アレイ部540には、画素541がアレイ状に繰り返し配置されている。より具体的には、複数の画素を含んだ画素共有ユニット539が繰り返し単位となり、これが、行方向と列方向とからなるアレイ状に繰り返し配置されている。なお、本明細書では、便宜上、行方向をH方向、行方向と直交する列方向をV方向、と呼ぶ場合がある。図1の例において、1つの画素共有ユニット539が、4つの画素(画素541A、541B、541C及び541D)を含んでいる。画素541A、541B、541C及び541Dは各々、光電変換部101(後述の図6等に図示)を有している。画素共有ユニット539は、1つの画素回路(後述の図3の画素回路210)を共有する単位である。換言すれば、4つの画素(画素541A、541B、541C及び541D)毎に、1つの画素回路(後述の画素回路210)を有している。この画素回路を時分割で動作させることにより、画素541A、541B、541C及び541D各々の画素信号が順次読み出されるようになっている。画素541A、541B、541C及び541Dは、例えば2行×2列で配置されている。画素アレイ部540には、画素541A、541B、541C及び541Dとともに、複数の行駆動信号線542及び複数の垂直信号線(列読出し線)543が設けられている。行駆動信号線542は、画素アレイ部540において行方向に並んで配列された、複数の画素共有ユニット539各々に含まれる画素541を駆動する。画素共有ユニット539のうち、行方向に並んで配列された各画素を駆動する。後に図4を参照して詳しく説明するが、画素共有ユニット539には、複数のトランジスタが設けられている。これら複数のトランジスタをそれぞれ駆動するために、1つの画素共有ユニット539には複数の行駆動信号線542が接続されている。垂直信号線(列読出し線)543には、画素共有ユニット539が接続されている。画素共有ユニット539に含まれる画素541A、541B、541C及び541D各々から、垂直信号線(列読出し線)543を介して画素信号が読み出される。
【0013】
行駆動部520は、例えば、画素駆動するための行の位置を決める行アドレス制御部、言い換えれば、行デコーダ部と、画素541A、541B、541C及び541Dを駆動するための信号を発生させる行駆動回路部とを含んでいる。
【0014】
列信号処理部550は、例えば、垂直信号線543に接続され、画素541A、541B、541C及び541D(画素共有ユニット539)とソースフォロア回路を形成する負荷回路部を備える。列信号処理部550は、垂直信号線543を介して画素共有ユニット539から読み出された信号を増幅する増幅回路部を有していてもよい。列信号処理部550は、ノイズ処理部を有していてもよい。ノイズ処理部では、例えば、光電変換の結果として画素共有ユニット539から読み出された信号から、系のノイズレベルが取り除かれる。
【0015】
列信号処理部550は、例えば、アナログデジタルコンバータ(ADC)を有している。アナログデジタルコンバータでは、画素共有ユニット539から読み出された信号もしくは上記ノイズ処理されたアナログ信号がデジタル信号に変換される。ADCは、例えば、コンパレータ部およびカウンタ部を含んでいる。コンパレータ部では、変換対象となるアナログ信号と、これと比較対象となる参照信号とが比較される。カウンタ部では、コンパレータ部での比較結果が反転するまでの時間が計測されるようになっている。列信号処理部550は、読出し列を走査する制御を行う水平走査回路部を含んでいてもよい。
【0016】
タイミング制御部530は、装置へ入力された基準クロック信号やタイミング制御信号を基にして、行駆動部520および列信号処理部550へ、タイミングを制御する信号を供給する。
【0017】
画像信号処理部560は、光電変換の結果得られたデータ、言い換えれば、撮像装置1における撮像動作の結果得られたデータに対して、各種の信号処理を施す回路である。画像信号処理部560は、例えば、画像信号処理回路部およびデータ保持部を含んでいる。画像信号処理部560は、プロセッサ部を含んでいてもよい。
【0018】
画像信号処理部560において実行される信号処理の一例は、AD変換された撮像データが、暗い被写体を撮影したデータである場合には階調を多く持たせ、明るい被写体を撮影したデータである場合には階調を少なくするトーンカーブ補正処理である。この場合、撮像データの階調をどのようなトーンカーブに基づいて補正するか、トーンカーブの特性データを予め画像信号処理部560のデータ保持部に記憶させておくことが望ましい。
【0019】
入力部510Aは、例えば、上記基準クロック信号、タイミング制御信号および特性データなどを装置外部から撮像装置1へ入力するためのものである。タイミング制御信号は、例えば、垂直同期信号および水平同期信号などである。特性データは、例えば、画像信号処理部560のデータ保持部へ記憶させるためのものである。入力部510Aは、例えば、入力端子511、入力回路部512、入力振幅変更部513、入力データ変換回路部514および電源供給部(不図示)を含んでいる。
【0020】
入力端子511は、データを入力するための外部端子である。入力回路部512は、入力端子511へ入力された信号を撮像装置1の内部へと取り込むためのものである。入力振幅変更部513では、入力回路部512で取り込まれた信号の振幅が、撮像装置1の内部で利用しやすい振幅へと変更される。入力データ変換回路部514では、入力データのデータ列の並びが変更される。入力データ変換回路部514は、例えば、シリアルパラレル変換回路により構成されている。このシリアルパラレル変換回路では、入力データとして受け取ったシリアル信号がパラレル信号へと変換される。なお、入力部510Aでは、入力振幅変更部513および入力データ変換回路部514が、省略されていてもよい。電源供給部は、外部から撮像装置1へ供給された電源をもとにして、撮像装置1の内部で必要となる各種の電圧に設定された電源を供給する。
【0021】
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、入力部510Aには、外部のメモリデバイスからのデータを受け取るメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
【0022】
出力部510Bは、画像データを装置外部へと出力する。この画像データは、例えば、撮像装置1で撮影された画像データ、および、画像信号処理部560で信号処理された画像データ等である。出力部510Bは、例えば、出力データ変換回路部515、出力振幅変更部516、出力回路部517および出力端子518を含んでいる。
【0023】
出力データ変換回路部515は、例えば、パラレルシリアル変換回路により構成されており、出力データ変換回路部515では、撮像装置1内部で使用したパラレル信号がシリアル信号へと変換される。出力振幅変更部516は、撮像装置1の内部で用いた信号の振幅を変更する。変更された振幅の信号は、撮像装置1の外部に接続される外部デバイスで利用しやすくなる。出力回路部517は、撮像装置1の内部から装置外部へとデータを出力する回路であり、出力回路部517により、出力端子518に接続された撮像装置1外部の配線が駆動される。出力端子518では、撮像装置1から装置外部へとデータが出力される。出力部510Bでは、出力データ変換回路部515および出力振幅変更部516が、省略されていてもよい。
【0024】
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、出力部510Bには、外部のメモリデバイスへとデータを出力するメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
【0025】
[撮像装置1の概略構成]
図2および図3は、撮像装置1の概略構成の一例を表したものである。撮像装置1は、3つの基板(第1の基板100、第2の基板200及び第3の基板300)を備えている。図2は、第1の基板100、第2の基板200及び第3の基板300各々の平面構成を模式的に表したものであり、図3は、互いに積層された第1の基板100、第2の基板200および第3の基板300の断面構成を模式的に表している。図3は、図2に示したIII-III’線に沿った断面構成に対応する。撮像装置1は、3つの基板(第1の基板100、第2の基板200及び第3の基板300)を貼り合わせて構成された3次元構造の撮像装置である。第1の基板100は、半導体層100Sおよび配線層100Tを含む。第2の基板200は、半導体層200Sおよび配線層200Tを含む。第3の基板300は、半導体層300Sおよび配線層300Tを含む。ここで、第1の基板100、第2の基板200および第3の基板300の各基板に含まれる配線とその周囲の層間絶縁膜を合せたものを、便宜上、それぞれの基板(第1の基板100、第2の基板200および第3の基板300)に設けられた配線層(100T、200T、300T)と呼ぶ。第1の基板100、第2の基板200および第3の基板300は、この順に積層されており、積層方向に沿って、半導体層100S、配線層100T、半導体層200S、配線層200T、配線層300Tおよび半導体層300Sの順に配置されている。第1の基板100、第2の基板200および第3の基板300の具体的な構成については後述する。図3に示した矢印は、撮像装置1への光Lの入射方向を表す。本明細書では、便宜上、以降の断面図で、撮像装置1における光入射側を「下」「下側」「下方」、光入射側と反対側を「上」「上側」「上方」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、便宜上、半導体層と配線層を備えた基板に関して、配線層の側を表面、半導体層の側を裏面と呼ぶ場合がある。なお、明細書の記載は、上記の呼び方に限定されない。撮像装置1は、例えば、フォトダイオードを有する第1の基板100の裏面側から光が入射する、裏面照射型撮像装置となっている。
【0026】
画素アレイ部540および画素アレイ部540に含まれる画素共有ユニット539は、ともに、第1の基板100および第2の基板200の双方を用いて構成されている。第1の基板100には、画素共有ユニット539が有する複数の画素541A、541B、541C及び541Dが設けられている。これらの画素541のそれぞれが、フォトダイオード(後述の光電変換部101)および転送トランジスタ(後述の電荷転送部102)を有している。第2の基板200には、画素共有ユニット539が有する画素回路(後述の画素回路210)が設けられている。画素回路は、画素541A、541B、541C及び541D各々のフォトダイオードから転送トランジスタを介して転送された画素信号を読み出し、あるいは、フォトダイオードをリセットする。この第2の基板200は、このような画素回路に加えて、行方向に延在する複数の行駆動信号線542および列方向に延在する複数の垂直信号線543を有している。第2の基板200は、更に、行方向に延在する電源線544を有している。第3の基板300は、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを有している。行駆動部520は、例えば、第1の基板100、第2の基板200および第3の基板300の積層方向(以下、単に積層方向という)において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、行駆動部520は、積層方向において、画素アレイ部540のH方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(図2)。列信号処理部550は、例えば、積層方向において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、列信号処理部550は、積層方向において、画素アレイ部540のV方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(図2)。図示は省略するが、入力部510Aおよび出力部510Bは、第3の基板300以外の部分に配置されていてもよく、例えば、第2の基板200に配置されていてもよい。あるいは、第1の基板100の裏面(光入射面)側に入力部510Aおよび出力部510Bを設けるようにしてもよい。なお、上記第2の基板200に設けられた画素回路は、別の呼称として、画素トランジスタ回路、画素トランジスタ群、画素トランジスタ、画素読み出し回路または読出回路と呼ばれることもある。本明細書では、画素回路との呼称を用いる。
【0027】
第1の基板100と第2の基板200とは、例えば、貫通電極(後述の図6の貫通電極252、253A及び253B)により電気的に接続されている。第2の基板200と第3の基板300とは、例えば、コンタクト部201、202、301及び302を介して電気的に接続されている。第2の基板200にコンタクト部201、202が設けられ、第3の基板300にコンタクト部301、302が設けられている。第2の基板200のコンタクト部201が第3の基板300のコンタクト部301に接し、第2の基板200のコンタクト部202が第3の基板300のコンタクト部302に接している。第2の基板200は、複数のコンタクト部201が設けられたコンタクト領域201Rと、複数のコンタクト部202が設けられたコンタクト領域202Rとを有している。第3の基板300は、複数のコンタクト部301が設けられたコンタクト領域301Rと、複数のコンタクト部302が設けられたコンタクト領域302Rとを有している。コンタクト領域201R及び301Rは、積層方向において、画素アレイ部540と行駆動部520との間に設けられている(図3)。換言すれば、コンタクト領域201R及び301Rは、例えば、行駆動部520(第3の基板300)と、画素アレイ部540(第2の基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域201R及び301Rは、例えば、このような領域のうち、H方向の端部に配置されている(図2)。第3の基板300では、例えば、行駆動部520の一部、具体的には行駆動部520のH方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている(図2図3)。コンタクト部201及び301は、例えば、第3の基板300に設けられた行駆動部520と、第2の基板200に設けられた行駆動信号線542とを接続するものである。コンタクト部201及び301は、例えば、第3の基板300に設けられた入力部510Aと電源線544および基準電位線(後述の接地線)とを接続していてもよい。コンタクト領域202R及び302Rは、積層方向において、画素アレイ部540と列信号処理部550との間に設けられている(図3)。換言すれば、コンタクト領域202R及び302Rは、例えば、列信号処理部550(第3の基板300)と画素アレイ部540(第2の基板200)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域202R及び302Rは、例えば、このような領域のうち、V方向の端部に配置されている(図2)。第3の基板300では、例えば、列信号処理部550の一部、具体的には列信号処理部550のV方向の端部に重なる位置にコンタクト領域301Rが設けられている(図2図3)。コンタクト部202及び302は、例えば、画素アレイ部540が有する複数の画素共有ユニット539各々から出力された画素信号(フォトダイオードでの光電変換の結果発生した電荷の量に対応した信号)を、第3の基板300に設けられた列信号処理部550へと接続するためのものである。画素信号は、第2の基板200から第3の基板300に送られるようになっている。
【0028】
図3は、上記のように、撮像装置1の断面図の一例である。第1の基板100、第2の基板200及び第3の基板300は、配線層100T、200T及び300Tを介して電気的に接続される。例えば、撮像装置1は、第2の基板200と第3の基板300とを電気的に接続する電気的接続部を有する。具体的には、導電材料で形成された電極でコンタクト部201、202、301及び302を形成する。導電材料は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)及び金(Au)などの金属材料で形成される。コンタクト領域201R、202R、301R及び302Rは、例えば電極として形成された配線同士を直接接合することで、第2の基板200と第3の基板300とを電気的に接続する。これにより、第2の基板200と第3の基板300との信号の入力及び/又は出力を可能にする。
【0029】
第2の基板200と第3の基板300とを電気的に接続する電気的接続部は、所望の箇所に設けることができる。例えば、図3においてコンタクト領域201R、202R、301R及び302Rとして述べたように、画素アレイ部540と積層方向に重なる領域に設けても良い。また、電気的接続部を画素アレイ部540と積層方向に重ならない領域に設けても良い。具体的には、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部と、積層方向に重なる領域に設けても良い。
【0030】
第1の基板100および第2の基板200には、例えば、接続孔部H1及びH2が設けられている。接続孔部H1及びH2は、第1の基板100および第2の基板200を貫通している(図3)。接続孔部H1及びH2は、画素アレイ部540(または画素アレイ部540に重なる部分)の外側に設けられている(図2)。例えば、接続孔部H1は、H方向において画素アレイ部540より外側に配置されており、接続孔部H2は、V方向において画素アレイ部540よりも外側に配置されている。例えば、接続孔部H1は、第3の基板300に設けられた入力部510Aに達しており、接続孔部H2は、第3の基板300に設けられた出力部510Bに達している。接続孔部H1及びH2は、空洞でもよく、少なくとも一部に導電材料を含んでいても良い。例えば、入力部510A及び/又は出力部510Bとして形成された電極に、ボンディングワイヤを接続する構成がある。または、入力部510A及び/又は出力部510Bとして形成された電極と、接続孔部H1及びH2に設けられた導電材料とを接続する構成がある。接続孔部H1及びH2に設けられた導電材料は、接続孔部H1及びH2の一部または全部に埋め込まれていても良く、導電材料が接続孔部H1及びH2の側壁に形成されていても良い。
【0031】
なお、図3では第3の基板300に入力部510A及び出力部510Bを設ける構造としたが、これに限定されない。例えば、配線層200T及び300Tを介して第3の基板300の信号を第2の基板200へ送ることで、入力部510A及び/又は出力部510Bを第2の基板200に設けることもできる。同様に、配線層100T及び200Tを介して、第2の基板200の信号を第1の基板1000へ送ることで、入力部510A及び/又は出力部510Bを第1の基板100に設けることもできる。
【0032】
なお、撮像装置1及び画素アレイ部540は、特許請求の範囲に記載の撮像素子の一例である。列信号処理部550は、特許請求の範囲に記載の処理回路の一例である。
【0033】
図4は、画素共有ユニットの構成の一例を表す等価回路図である。画素共有ユニット539は、複数の画素541(図4では、画素541A、541B、541C及び541Dの4つの画素541を表す)と、この複数の画素541に接続された1の画素回路210と、画素回路210に接続された垂直信号線543とを含んでいる。画素回路210は、例えば、4つのトランジスタ、具体的には、増幅トランジスタ213、選択トランジスタ214、リセットトランジスタ211および容量切り替えトランジスタ212を含んでいる。上述のように、画素共有ユニット539は、1つの画素回路210を時分割で動作させることにより、画素共有ユニット539に含まれる4つの画素541(画素541A、541B、541C及び541D)それぞれの画素信号を順次垂直信号線543へ出力する構成になっている。複数の画素541に1つの画素回路210が接続されており、この複数の画素541の画素信号が、1つの画素回路210により時分割で出力される態様を、「複数の画素541が1つの画素回路210を共有する」という。
【0034】
画素541A、541B、541C及び541Dは、互いに共通の構成要素を有している。
【0035】
画素541A、541B、541C及び541Dは、例えば、光電変換部101と、光電変換部101と電気的に接続された電荷転送部102と、電荷転送部102に電気的に接続された電荷保持部103とを有している。光電変換部101(光電変換部101A、101B、101C及び101D)では、カソードが電荷転送部102のソースに電気的に接続されており、アノードが基準電位線(例えば接地線)に電気的に接続されている。光電変換部101は、入射した光を光電変換し、その受光量に応じた電荷を発生する。電荷転送部102(電荷転送部102A、102B、102C及び102D)は、例えば、nチャネルMOSトランジスタである。電荷転送部102では、ドレインが電荷保持部103に電気的に接続され、ゲートが駆動信号線(信号線TG1、TG2、TG3及びTG4)に電気的に接続されている。この駆動信号線は、1つの画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542(図1参照)のうちの一部である。電荷転送部102は、光電変換部101で発生した電荷を電荷保持部103へと転送する。電荷保持部103(電荷保持部103A、103B、103C及び103D)は、p型半導体層中に形成されたn型拡散層領域である。このような電荷保持部103は、フローティングディヒュージョン(FD:Floating Diffusion)と称される。電荷保持部103は、光電変換部101から転送された電荷を一時的に保持する電荷保持手段であり、かつ、その電荷量に応じた電圧を発生させる、電荷―電圧変換手段である。
【0036】
1の画素共有ユニット539に含まれる4つの電荷保持部103(電荷保持部103A、103B、103C及び103D)は、互いに電気的に接続されるとともに、増幅トランジスタ213のゲートおよび容量切り替えトランジスタ212のソースに電気的に接続されている。容量切り替えトランジスタ212のドレインはリセットトランジスタ211のソースに接続され、容量切り替えトランジスタ212のゲートは駆動信号線FDGに接続されている。この駆動信号線FDGは、1つの画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。リセットトランジスタ211のドレインは電源線Vddに接続され、リセットトランジスタ211のゲートは駆動信号線RSTに接続されている。この駆動信号線RSTは、1つの画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。増幅トランジスタ213のゲートは電荷保持部103に接続され、増幅トランジスタ213のドレインは電源線Vddに接続され、増幅トランジスタ213のソースは選択トランジスタ214のドレインに接続されている。選択トランジスタ214のソースは垂直信号線543に接続され、選択トランジスタ214のゲートは駆動信号線SELに接続されている。この駆動信号線SELは、1つの画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。
【0037】
電荷転送部102は、電荷転送部102がオン状態になると、光電変換部101の電荷を電荷保持部103に転送する。電荷転送部102のゲート(転送ゲート)は、例えば、いわゆる縦型電極を含んでおり、後述の図6に示すように、半導体層(後述の図6の半導体層100S)の表面から光電変換部101に達する深さまで延在して設けられている。リセットトランジスタ211は、電荷保持部103の電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタ211がオン状態になると、電荷保持部103の電位を電源線Vddの電位にリセットする。選択トランジスタ214は、画素回路210からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタ213は、画素信号として、電荷保持部103に保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタ213は、選択トランジスタ214を介して垂直信号線543に接続されている。この増幅トランジスタ213は、列信号処理部550において、垂直信号線543に接続された負荷回路部(図1参照)とともにソースフォロアを構成している。増幅トランジスタ213は、選択トランジスタ214がオン状態となると、電荷保持部103の電圧を、垂直信号線543を介して列信号処理部550に出力する。リセットトランジスタ211、増幅トランジスタ213および選択トランジスタ214は、例えば、nチャネルMOSトランジスタである。
【0038】
容量切り替えトランジスタ212は、電荷保持部103での電荷―電圧変換のゲインを変更する際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、電荷保持部103の容量(FDの容量C)が大きければ、増幅トランジスタ213で電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FDの容量Cが大きくなければ、電荷保持部103で、光電変換部101の電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタ213で電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FDの容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、容量切り替えトランジスタ212をオンにしたときには、容量切り替えトランジスタ212分のゲート容量が増えるので、全体のFDの容量Cが大きくなる。一方、容量切り替えトランジスタ212をオフにしたときには、全体のFDの容量Cが小さくなる。このように、容量切り替えトランジスタ212をオンオフ切り替えることで、FDの容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。容量切り替えトランジスタ212は、例えば、nチャネルMOSトランジスタである。
【0039】
なお、容量切り替えトランジスタ212を設けない構成も可能である。このとき、例えば、画素回路210は、例えば増幅トランジスタ213、選択トランジスタ214およびリセットトランジスタ211の3つのトランジスタで構成される。画素回路210は、例えば、増幅トランジスタ213、選択トランジスタ214、リセットトランジスタ211および容量切り替えトランジスタ212などの画素トランジスタの少なくとも1つを有する。
【0040】
選択トランジスタ214は、電源線Vddと増幅トランジスタ213との間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタ211のドレインが電源線Vddおよび選択トランジスタ214のドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタ214のソースが増幅トランジスタ213のドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタ214のゲートが行駆動信号線542(図1参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタ213のソース(画素回路210の出力端)が垂直信号線543に電気的に接続されており、増幅トランジスタ213のゲートがリセットトランジスタ211のソースに電気的に接続されている。なお、図示は省略するが、1の画素回路210を共有する画素541の数は、4以外であってもよい。例えば、2つまたは8つの画素541が1の画素回路210を共有してもよい。
【0041】
[画素の構成]
図5は、本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素共有ユニット539を構成する画素(画素541A、541B、541C及び541D)の構成例を表す平面図である。また、同図は、第2の基板200の側から見た第1の基板100及び第2の基板200の構成を表した図である。
【0042】
同図において、白抜きの領域は、第1の半導体基板120に形成された半導体領域を表す。また、点ハッチングが付された領域は、第1の半導体基板120に配置されたMOSトランジスタのゲート電極(ゲート電極131A等)を表す。また、網掛けのハッチングが付された領域は第1の半導体基板120の絶縁層(絶縁層141)の領域を表し、斜線のハッチングが付された領域は絶縁層141に形成された凹部(凹部151)の領域を表す。また、一点鎖線の矩形は、第1の半導体基板120のウェル領域及び第2の半導体基板220のウェル領域を接続する接続部(接続部251)を表す。また、二点鎖線の矩形は貫通電極(貫通電極252)を表す。また、点線の矩形は、第2の半導体基板220に配置されるリセットトランジスタ211、容量切り替えトランジスタ212、増幅トランジスタ213及び選択トランジスタ214の領域を表す。なお、同図の「RST」、「FDG」、「AMP」及び「SEL」は、リセットトランジスタ211、容量切り替えトランジスタ212、増幅トランジスタ213及び選択トランジスタ214を表す。
【0043】
前述のように、画素541A、541B、541C及び541Dは、第1の基板100に配置される。同図に表したように、画素541A、541B、541C及び541Dは、2行2列に配置される。これらの中央部の近傍に電荷保持部103A、103B、103C及び103Dが配置される。これら電荷保持部103A、103B、103C及び103Dに隣接して、電荷転送部102A、102B、102C及び102Dがそれぞれ配置される。便宜上、同図において102C、102D、103C及び103Dの記載を省略した。
【0044】
第2の基板200には、画素回路210が配置される。この画素回路210のリセットトランジスタ211及び容量切り替えトランジスタ212が隣接して配置され、増幅トランジスタ213及び選択トランジスタ214が隣接して配置される。また、リセットトランジスタ211及び容量切り替えトランジスタ212と増幅トランジスタ213及び選択トランジスタ214とは離隔して配置される。
【0045】
絶縁層141には、凹部151が配置される。同図の凹部151は、第2の半導体基板220の素子(リセットトランジスタ211、容量切り替えトランジスタ212、増幅トランジスタ213及び選択トランジスタ214)の直下の領域とは異なる領域に形成される例を表したものである。絶縁層141の凹部151の構成の詳細については後述する。
【0046】
[撮像装置の断面の構成]
図6は、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。同図は、撮像装置1の構成例を表す断面図である。同図の撮像装置1は、第1の基板100と、第2の基板200と、第3の基板300とを備える。前述のように、第1の基板100は半導体層100Sおよび配線層100Tを含み、第2の基板200は半導体層200Sおよび配線層200Tを含み、第3の基板300は半導体層300Sおよび配線層300Tを含む。また、撮像装置1は、絶縁膜181と、カラーフィルタ182と、オンチップレンズ401とを更に備える。
【0047】
半導体層100Sは、第1の半導体基板120と、絶縁膜129と、分離部171とを備える。
【0048】
第1の半導体基板120は、光電変換部101が配置される半導体の基板である。同図の第1の半導体基板120には、電荷転送部102及び電荷保持部103が更に配置される。同図には、光電変換部101A及び101Bと電荷転送部102A及び102Bと電荷保持部103A及び103Bとを記載した。第1の半導体基板120は、例えば、シリコン(Si)により構成することができる。光電変換部101等は、第1の半導体基板120に形成されたウェル領域に配置される。便宜上、同図の第1の半導体基板120は、p型のウェル領域を構成するものと想定する。このp型のウェル領域にn型の半導体領域を配置することにより、素子(の拡散層)を形成することができる。
【0049】
同図の第1の半導体基板120に記載された矩形がn型の半導体領域を表す。光電変換部101Aは、n型の半導体領域121Aにより構成される。具体的には、n型の半導体領域121A及び周囲のp型のウェル領域の界面に形成されるpn接合により構成されるフォトダイオードが光電変換部101Aに該当する。同図に表したように、光電変換部101Aは、第1の半導体基板120の裏面側寄りに形成される。光電変換部101Bも光電変換部101Aと同様に構成される。
【0050】
電荷保持部103A及び103Bは、n型の半導体領域122A及び122Bによりそれぞれ構成される。これらn型の半導体領域122A及び122Bが前述のFDを構成する。
【0051】
電荷転送部102Aは、半導体領域121A及び122A並びにゲート電極131Aにより構成される。n型の半導体領域121A及び122Aが電荷転送部102Aのソース領域及びドレイン領域に該当する。同図に表したようにn型の半導体領域121Aは第1の半導体基板120の裏面側寄りに形成され、n型の半導体領域122Aは第1の半導体基板120の表側の表面に形成される。ゲート電極131Aは、第1の半導体基板120の表面側に配置されるとともにn型の半導体領域121Aに達する深さの柱状部を備える。このゲート電極131Aに駆動電圧を印加するとゲート電極131Aに隣接するウェル領域にチャネルが形成され、n型の半導体領域121A及び122Aの間が導通状態になる。すなわち、光電変換部101A及び電荷保持部103Aの間が導通し、光電変換部101Aの電荷が電荷保持部103Aに転送される。このように、電荷転送部102Aは、半導体基板の厚さ方向に電荷を転送する縦型トランジスタにより構成される。
【0052】
電荷転送部102Aと同様に、電荷転送部102Bは、半導体領域121B及び122B並びにゲート電極131Bにより構成される。なお、ゲート電極131A及び131Bは、不純物が注入された多結晶シリコンにより構成することができる。
【0053】
なお、第1の半導体基板120には、半導体領域123A及び123Bが配置される。これら半導体領域123A及び123Bは、第1の半導体基板120のウェル領域に配置される半導体領域であり、このウェル領域と同じ導電型の比較的高い不純物濃度に構成される半導体領域である。
【0054】
絶縁膜129は、第1の半導体基板120の表面側を絶縁する膜である。この絶縁膜129は、酸化シリコン(SiO)やSiOと窒化シリコン(SiN)との複合膜により構成することができる。なお、ゲート電極131A及び131Bと第1の半導体基板120との間にも絶縁膜129が配置される。この絶縁膜129は、ゲート絶縁膜に該当する。SiO膜は、熱酸化により形成することができる。
【0055】
分離部171は、画素541の境界に配置されて画素541を分離するものである。同図においては、画素541A及び541Bが分離部171により分離される例を記載した。分離部171は、第1の半導体基板120の裏面側から表面側に貫通する溝部にSiO等の絶縁物を埋め込むことにより構成することができる。
【0056】
配線層100Tは、絶縁層141と、パッド132及び133と、接続部251とを備える。絶縁層141は、第1の半導体基板120の表面側に配置されたゲート電極131やパッド132等を絶縁するものである。この絶縁層141は、例えば、SiOにより構成することができる。パッド132及び133は、第1の半導体基板120の半導体領域に接続される電極である。パッド132は、電荷保持部103A及び103B並びに不図示の電荷保持部103C及び103Dに接続される。このパッド132には、後述する貫通電極252が更に接続される。パッド133は、半導体領域123A及び123B並びに不図示の画素541C及び541のそれぞれの半導体領域123に接続される。このパッド133には、接続部251が更に接続される。パッド132及び133は、不純物が注入された多結晶シリコンにより構成することができる。
【0057】
なお、絶縁層141には、凹部151が配置される。この凹部151は、第2の半導体基板220に隣接する絶縁層141の表面に形成される。また、この凹部151は、後述する接続部251の周囲に形成される。この凹部151及び第2の半導体基板220の裏側の表面により空隙150が形成される。この空隙150は、真空にすることができる。凹部151の構成の詳細については後述する。
【0058】
接続部251は、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の基準電位(ウェル電位)を共通にするために、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220を接続するものである。同図の接続部251は、パッド133を介して半導体領域123及び後述する半導体領域228の間を接続する。接続部251は、不純物が注入された多結晶シリコンにより構成することができる。なお、接続部251は、ウェルコンタクトとも称される。後述するように、基準電位には、接地電位を適用することができる。また、接地電位以外の固定電位を基準電位に適用することもできる。
【0059】
半導体層200Sは、第2の半導体基板220と、絶縁膜229とを備える。
【0060】
第2の半導体基板220は、画素回路210が配置される半導体の基板である。同図の第2の半導体基板220には、画素回路210のうちの容量切り替えトランジスタ212及び増幅トランジスタ213を記載した。第2の半導体基板220は、第1の半導体基板120と同様に、Siにより構成することができる。また、第1の半導体基板120と同様に、第2の半導体基板220には、p型のウェル領域が形成される。便宜上、同図の第2の半導体基板220は、p型のウェル領域を構成するものと想定する。
【0061】
容量切り替えトランジスタ212は、n型の半導体領域221及び222とゲート電極231とにより構成される。n型の半導体領域221及び222は、何れか一方がソース領域となり、他方がドレイン領域となる。n型の半導体領域221及び222の間におけるゲート電極231の直下のウェル領域にチャネルが形成される。なお、増幅トランジスタ213も同様の構成を採ることができる。なお、容量切り替えトランジスタ212や増幅トランジスタ213等の素子が形成される第2の半導体基板220の領域を素子領域260と称する。
【0062】
第2の半導体基板220のウェル領域には、半導体領域227が更に配置される。この半導体領域227は、ウェル領域と同じ導電型の高い不純物濃度に構成される領域である。半導体領域227には、ウェル電位を供給するための接続部(コンタクトプラグ244)が接続される。
【0063】
また、第2の半導体基板220には、基板分離領域262が配置される。この基板分離領域262は、第2の半導体基板220が除去されて構成された分離領域である。なお、基板分離領域262には、後述する絶縁層241が配置される。
【0064】
同図の半導体領域228は、第2の半導体基板220の底部に配置されて第2の半導体基板220のウェル領域と同じ導電型の比較的高い不純物濃度に構成される半導体領域である。この半導体領域228を配置することにより、接続部251との間の接続抵抗を低減することができる。
【0065】
絶縁膜229は、第2の半導体基板220の表面側を絶縁する膜である。この絶縁膜229は、絶縁膜129と同様に、SiOやSiOとSiNとの複合膜により構成することができる。なお、SiO膜は、熱酸化により形成することができる。この熱酸化は、高温プロセスと称される。
【0066】
配線層200Tは、絶縁層241と、配線242と、ビアプラグ243と、コンタクトプラグ244と、貫通電極252、253A及び253Bと、コンタクト部201及び202とを備える。配線242は、第2の半導体基板220に配置された素子等に電気信号等を伝達する導体である。この配線242は、銅(Cu)等の金属により構成することができる。絶縁層241は、配線242等を絶縁するものである。この絶縁層241は、絶縁層141と同様に、SiO等により構成することができる。配線242及び絶縁層241は、多層に構成することができる。同図は、2層に構成される配線242及び絶縁層241を例として記載した。異なる層に配置された配線242同士は、ビアプラグ243により接続することができる。このビアプラグ243は、柱状の金属、例えば、柱状のCuにより構成することができる。また、配線242と第2の半導体基板220の半導体領域222やゲート電極231等との間はコンタクトプラグ244により接続することができる。このコンタクトプラグ244は、柱状の金属、例えば、柱状のタングステン(W)により構成することができる。
【0067】
貫通電極252等は、配線242と第1の半導体基板120の表面側に配置された部材とを接続する柱状の電極である。貫通電極252は、パッド132に接続される。また、貫通電極253A及び253Bは、それぞれゲート電極131A及び131Bに接続される。これら貫通電極252等は、W等の金属により構成することができ、基板分離領域262に配置することができる。
【0068】
コンタクト部201及び202は、前述のように、第3の基板300のコンタクト部301及び303にそれぞれ接続されるものである。コンタクト部201は、コンタクトプラグ244を介して第2の半導体基板220のウェル領域に接続され、基準電位を伝達する。コンタクト部202は、信号等の伝達に使用される。
【0069】
半導体層300Sは、第3の半導体基板320を備える。この第3の半導体基板320には、前述の画像信号処理部560(不図示)等が配置される。また、第3の半導体基板320には、ウェル領域が形成される。このウェル領域に半導体領域321が配置される。半導体領域321は、半導体領域123と同様に、比較的高い不純物濃度に構成され、コンタクトプラグ344が接続される。
【0070】
配線層300Tは、絶縁層341、配線342、ビアプラグ343、コンタクトプラグ344並びにコンタクト部301及び302を備える。これらの構成は、絶縁層241、配線242、ビアプラグ243、コンタクトプラグ244並びにコンタクト部301及び302と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
同図に表したように、半導体領域227は、コンタクトプラグ244、配線242、ビアプラグ243、コンタクト部201、コンタクト部301、ビアプラグ343、配線342及びコンタクトプラグ344を介して第3の半導体基板320の半導体領域321に接続される。これにより、第2の半導体基板220のウェル領域と第3の半導体基板320のウェル領域とが電気的に接続され、基準電位が共通となる。この基準電位には、例えば、第3の半導体基板320に接続される電源回路の接地電位を適用することができる。また、接地電位以外の固定電位を基準電位に適用することもできる。このように、コンタクトプラグ244等を介して基準電位が第2の半導体基板220に供給される。
【0072】
絶縁膜181は、第1の半導体基板120の裏面側を絶縁するとともに保護する膜である。この絶縁膜181は、例えば、SiOにより構成することができる。カラーフィルタ182は、画素541毎に配置されて入射光のうちの所定の波長の光を透過する光学的なフィルタである。オンチップレンズ401は、画素541毎に配置されて入射光を光電変換部101に集光するレンズである。
【0073】
[凹部の構成]
図7は、本開示の第1の実施形態に係る凹部の構成例を示す図である。同図は、凹部151の構成例を表す断面図である。同図は、積層する前の第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220を記載した。同図の矢印は、撮像装置1の製造工程においてウェハ状の第1の半導体基板120に第2の半導体基板220が積層される様子を表したものである。
【0074】
接続部251は、絶縁層141に形成された開口部149に多結晶シリコン等の導電部材を配置することにより形成することができる。この接続部251の周囲の絶縁層141の表面を除去することにより、凹部151を形成することができる。
【0075】
凹部151は、絶縁層141の表面の接続部251の周囲に形成される凹部である。また、凹部151は、画素アレイ部540の周縁部549以外の領域に形成することができる。なお、周縁部549には、例えば、第1の半導体基板120の端部に隣接する領域が該当する。凹部151を絶縁層141の表面に配置することにより、接続部251が絶縁層141の表面から突出する構成にすることができる。第2の半導体基板220を第1の半導体基板120に積層する際、凹部151において接続部251の先端を絶縁層141の表面(凹部151の底面)より先に第2の半導体基板220の裏面側に接触させることができる。接続部251と第2の半導体基板220の裏面側との接続不良の発生を低減することができる。
【0076】
また、凹部151を配置することにより、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220を積層した後に前述した空隙150を形成することができる。この空隙150は、絶縁層141を構成するSiOより誘電率が低いため、接続部251等の配線の寄生容量を低減することができる。
【0077】
また、凹部151は、第2の半導体基板220との積層後に素子領域260の直下となる領域159を除いた領域の絶縁層141に配置することができる。第2の半導体基板220の素子の直下に凹部151が形成されないため、素子の強度の低下を防ぐことができる。
【0078】
また、同図の右側の凹部151は、1つの接続部251の周囲に形成される凹部151の例を表したものである。また、同図の左側の凹部151は、複数の接続部251の周囲に共通に形成される例を表したものである。凹部151に複数の接続部251が含まれる構成を採ることにより、比較的広い範囲に凹部151を配置することができる。
【0079】
凹部151は、例えば、5nm以上の深さ(同図の「D」)に構成することができる。これにより、製造工程におけるばらつきに対してマージンを確保することができる。また、接続部251の凹部151の底面からの高さ(同図の「H」)は、例えば、5nm以上にすることができる。これにより、接続部251の高さばらつきに対するマージンを確保することができる。なお、同図において接続部251の高さHが凹部151の深さDに対して小さい場合(H<D)であっても、接続部251及び第2の半導体基板220の接続は可能である。図8Hにおいて後述するように、第2の半導体基板220の積層の際に第2の半導体基板220が絶縁層141の表面に圧接されるためである。この圧接により第2の半導体基板220が撓み、接続部251の端部に第2の半導体基板220を接触させることができる。
【0080】
なお、第2の半導体基板220の基板分離領域262の直下の凹部151には、第2の半導体基板220を積層した後の工程において、絶縁層241が配置される。
【0081】
[撮像装置の製造方法]
図8A-8Lは、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。同図は、撮像装置1の製造工程の一例を表す図である。
【0082】
まず、第1の半導体基板120にウェル領域及びn型の半導体領域121等を形成し、絶縁膜129を配置する。次に、ゲート電極131(不図示)等を配置する。次に、絶縁層141を配置する(図8A)。
【0083】
次に、絶縁層141の表面にレジスト603を配置する。このレジスト603には、接続部251を配置する領域に開口部604が形成される(図8B)。
【0084】
次に、レジスト603をマスクとして使用して絶縁層141のエッチングを行う。このエッチングには、例えば、ドライエッチングを適用することができる。これにより、絶縁層141に開口部149が形成される(図8C)。
【0085】
次に、開口部149を含む絶縁層141の表面に接続部251の材料膜605を配置する。これは、例えば、多結晶シリコンの膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)等を使用して成膜することにより行うことができる(図8D)。
【0086】
次に、開口部149以外に配置された材料膜605を除去する。これは、第1の半導体基板120の表面側を研削することにより行うことができる。この研削には、例えば、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を適用することができる。これにより、絶縁層141に埋め込まれた形状の接続部251を形成することができる(図8E)。なお、本工程においては、絶縁層141より材料膜605の方が高い研削選択比となるCMPを想定する。これにより、研削後の接続部251は、端部が絶縁層141の表面と略同じ高さ、又は、端部が絶縁層141に埋もれる高さに構成される。
【0087】
次に、絶縁層141の表面にレジスト606を配置する。このレジスト606には、凹部151を形成する領域に開口部607が形成される(図8F)。
【0088】
次に、レジスト606をマスクとして使用して、絶縁層141のエッチングを行い、凹部151を形成する。このエッチングには、ドライエッチング又はウェットエッチングを適用することができる。また、このエッチングとして、接続部251の材料である多結晶シリコンに対して絶縁層141の材料であるSiOの選択度が高いエッチングを適用することにより、エッチング後の凹部151の底面から突出する形状の接続部251を形成することができる(図8G)。
【0089】
次に、第1の半導体基板120の表面側に第2の半導体基板220を貼り合わせて積層する。この貼り合わせは、絶縁層141の表面に第2の半導体基板220を重ねて圧接し、加熱することにより行うことができる。これにより、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220が接着されて積層される。この際、接続部251の端部が第2の半導体基板220の半導体領域228(不図示)に接続される。また、この積層により、空隙150が形成される。第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220を積層する工程を真空中にて行うことにより、空隙150を真空にすることができる。(図8H)。
【0090】
次に、第2の半導体基板220に基板分離領域262を形成する。これは、第2の半導体基板220をエッチングすることにより行うことができる。このエッチングには、ドライエッチングを適用することができる(図8I)。
【0091】
次に、第2の半導体基板220に半導体領域221等を形成し、絶縁膜229や容量切り替えトランジスタ212等の素子を形成する。これにより素子領域260が形成される(図8J)。
【0092】
次に、第2の半導体基板220の表面に絶縁層241を配置する。これは、例えば、CVD等を使用してSiOの膜を成膜することにより行うことができる(図8K)。この際、凹部151の一部が絶縁層241により埋められる。
【0093】
次に、貫通電極252を配置する。これは、基板分離領域262の絶縁層141及び絶縁層241に貫通孔を形成し、多結晶シリコン等の貫通電極252の材料を埋め込むことにより行うことができる(図8L)。
【0094】
その後、配線層200Tを形成し、第3の半導体基板320を積層することにより、撮像装置1を製造することができる。
【0095】
[撮像装置の他の製造方法]
図9A-9Cは、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法の他の例を示す図である。同図は、図8A-8Lと同様に、撮像装置1の製造工程の一例を表す図である。同図の製造方法は、凹部151の形成前の工程において形成された接続部251が絶縁層141の表面から突出した形状に構成される点で、図8A-8Lの製造方法と異なる。
【0096】
図9Aは、図8Eと同様に、CMPにより接続部251を形成する工程を表したものである。このCMPにおいて、絶縁層141より材料膜605の方が低い研削選択比となるCMPを適用する場合、図9Aに表したように、接続部251の端部が絶縁層141から突出した形状になる。また、接続部251の形成後の工程において、絶縁層141が研削されて接続部251が突出した形状になる場合もある。
【0097】
図9Bにおいて、図8Fと同様に、絶縁層141の表面にレジスト606を配置する(図9B)。
【0098】
次に、レジスト606をマスクとして使用して絶縁層141のエッチングを行う。このエッチングとして、接続部251の材料である多結晶シリコン及び絶縁層141の材料であるSiOの選択度が低い条件においてエッチングを行う。これにより、絶縁層141と接続部251とが略同じレートにおいてエッチングされる。このエッチングにより、凹部151が形成されるとともに、凹部151の深さに対して低い高さの接続部251を形成することができる(図9C)。以降の製造工程には、図8H~8Lの工程を適用することができる。
【0099】
このように、端部が絶縁層141から突出した形状の接続部251が配置される場合であっても凹部151と凹部151の深さに対して低い高さの接続部251とを形成することができる。
【0100】
[凹部の効果]
図10A、10Bは、本開示の第1の実施形態に係る凹部の効果を説明する図である。同図は、凹部151を適用しない場合に生じる不具合を表す図である。
【0101】
図10Aは、接続部251が絶縁層141の表面から突出する形状に構成される場合を表したものである。この接続部251を備える第1の半導体基板120に第2の半導体基板220を貼り付けて積層すると、絶縁層141と第2の半導体基板220との間に隙間620を生じる。このため、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の接着強度が低下する。後の行程における搬送等において、接続部251の破損を生じる可能性が高くなる。また、隙間620に空気等のガスが侵入する際には、加熱を伴う工程において隙間620のガスが膨張し、破損する可能性がある。
【0102】
図10Bは、接続部251が絶縁層141に埋もれた形状に構成される場合を表したものである。この場合には、この接続部251を備える第1の半導体基板120に第2の半導体基板220を貼り付けても、同図のように接続部251の端部が第2の半導体基板220の裏面側に届かない構成になる。このため、接続部251が第2の半導体基板220に接触できず、接続不良を生じる。
【0103】
第1の半導体基板120の絶縁層141に凹部151を配置することにより、これらの不具合の発生を防ぐことができる。なお、接続部251は、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220のウェル領域以外の領域に接続され、基準電位以外の信号を伝達する構成を採ることもできる。この場合においても、接続部251の周囲に凹部151を配置することができる。
【0104】
このように、本開示の第1の実施形態の撮像装置1は、第1の半導体基板120の絶縁層141における第2の半導体基板220に隣接する面の接続部251の周囲に凹部151を備える。これにより、接続部251の高さや絶縁層141の厚さ等がばらついた場合であっても、接続部251と第2の半導体基板220との間を接続することができる。第1の半導体基板120及び第2の半導体基板の積層を容易に行うことができる。
【0105】
(2.第2の実施形態)
上述の第1の実施形態の撮像装置1は、素子領域260以外の領域に凹部151が形成されていた。これに対し、本開示の第2の実施形態の撮像装置1は、第1の半導体基板120の配線層100Tに配線が配置され、当該配線が配置される領域以外の領域に凹部151が形成される点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0106】
[画素の構成]
図11は、本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、図5と同様に、画素共有ユニット539を構成する画素(画素541A、541B、541C及び541D)の構成例を表す平面図である。同図の画素は、配線層100Tに配線142が配置される点で、図5の画素と異なる。同図には、4組の画素541A、541B、541C及び541Dを記載した。なお、同図において、電荷保持部103、半導体領域123及び第2の半導体基板220に配置される素子等の記載を省略した。
【0107】
同図の配線層100Tは、配線142を備える。同図の白抜きの長方形が配線142を表す。この配線142は、隣接する画素共有ユニット539において画素の信号を共通に伝達する配線である。同図の配線142は、電荷転送部102のゲートの信号を伝達する例を表したものである。同図の左端の配線142は、同図の縦方向に隣接する2つの画素共有ユニット539のそれぞれの画素541Aの電荷転送部102におけるゲート電極131同士を接続する配線である。配線142とゲート電極131との間には、コンタクトプラグ143が配置される。また、配線142には、貫通電極253が接続される。画素541B、541C及び541Dにおいても同様に配線142により接続される。このように、配線層100Tに配線142を形成して2つの画素において信号を共有し、配線142に貫通電極253を接続することにより、2つの画素において貫通電極253を共有することができる。これにより、貫通電極253を削減することができる。配線142及びコンタクトプラグ143は、不純物が注入された多結晶シリコンにより構成することができる。
【0108】
同図の凹部151は、配線142が配置される領域以外の領域に配置することができる。配線142に重なる位置に凹部151が形成されないため、配線142の近傍の絶縁層141の厚さの低下を防ぐことができ、配線142に対する絶縁層141の絶縁能力の低下を防ぐことができる。
【0109】
また、同図の凹部151は、平面視において帯状に構成される例を表したものである。同図に表したように、配線142は、同図の縦方向に配線される。このため、凹部151は、配線142と平行な帯状に構成することができる。
【0110】
[凹部の構成]
図12は、本開示の第2の実施形態に係る凹部の構成例を示す図である。同図は、図7と同様に、凹部151の構成例を表す模式断面図である。同図は、積層する前の第1の半導体基板120の構成を表す図であり、凹部151の帯の方向に垂直な断面の構成を表す図である。なお、同図の点線の矩形は、第2の半導体基板220を積層した後に形成される貫通電極253を表したものである。なお、同図において、第1の半導体基板120における半導体領域123等の記載は、省略している。
【0111】
同図の絶縁層141の領域158は、配線142が配置される領域を表す。この領域159とは異なる領域に、同図の凹部151が配置される。同図に表したように、配線142の上部に凹部151が配置されないため、配線142の上部における絶縁層141の膜厚の減少を防ぐことができる。
【0112】
これ以外の撮像装置1の構成は本開示の第1の実施形態における撮像装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
このように、本開示の第2の実施形態の撮像装置1は、第1の半導体基板120の配線層200Tにおける配線142が配置される領域以外の絶縁層141の領域に凹部151が配置される。これにより、配線142の上部の絶縁層141における絶縁能力の低下を防ぐことができる。
【0114】
(3.第1の変形例)
上述の第1の実施形態の撮像装置1は、平面型のMOSトランジスタによる増幅トランジスタ213を使用していたが、フィンFETを適用することもできる。
【0115】
[撮像装置の断面の構成]
図13は、本開示の実施形態の第1の変形例に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。同図は、図6と同様に、撮像装置1の構成例を表す断面図である。同図の撮像装置1は、フィンFETによる増幅トランジスタ213を備える点で、図6の撮像装置1と異なる。
【0116】
同図の増幅トランジスタ213は、直方体形状の半導体領域225の底面を除く3面にゲート絶縁膜を介してゲート電極232が配置される形状に構成される。このような形状の増幅トランジスタ213は、フィンFET(Fin FET)と称される。また、同図の増幅トランジスタ213は、並置された2つの半導体領域225に共通にゲート電極232が配置されて構成される例を表したものである。このゲート電極232は、貫通電極252を介して電荷保持部103に隣接するパッド132に接続される。貫通電極252は、ゲート電極232及び絶縁層141を貫通する形状に構成され、側面においてゲート電極232に接続する。
【0117】
なお、フィンFETの構成は、この例に限定されない。例えば、1つの半導体領域225にゲート電極232が配置されて構成されてもよい。また、3つ以上の半導体領域225を含んで構成されてもよい。また、貫通電極252をゲート電極232の側面と絶縁層241との間に配置し、貫通電極252の側面がゲート電極232の側面と接する形状に構成することもできる。この場合、ゲート電極232の側面は、1つ又は複数の半導体領域225の全体を覆う形状における2つの側面(同図のゲート電極232の右側及び左側の側面)の何れかの面が該当する。
【0118】
同図の容量切り替えトランジスタ212は、平面型ゲート構造のMOSトランジスタにより構成される。なお、同図の容量切り替えトランジスタ212は、STI(Shallow Trench Isolation)226により分離される例を表したものである。
【0119】
なお、同図のパッド133は、裏側の全面が第1の半導体基板120に隣接する形状に構成されるとともに分離部171をまたぐ形状に配置される。このパッド133の下層の第1の半導体基板120に半導体領域123が形成される。同図の半導体領域123は、パッド133を構成する多結晶シリコンに含まれる不純物を第1の半導体基板120に拡散させることにより形成された半導体領域である。同図のパッド132も、パッド133と同様に、裏側全面が第1の半導体基板120に隣接するとともに分離部171をまたぐ形状に構成される。パッド132の下層の第1の半導体基板120に電荷保持部103を構成する半導体領域122が形成される。この半導体領域122もパッド132に含まれる不純物を第1の半導体基板120に拡散させることにより形成することができる。
【0120】
(4.第2の変形例)
上述の第1の実施形態の撮像装置1は、素子領域260以外の領域に構成される凹部151を備えていたが、他の構成の凹部151を備えることもできる。
【0121】
[凹部の構成]
図14A及び14Bは、本開示の実施形態の第2の変形例に係る凹部の構成例を示す図である。同図は、凹部151の構成例を表す平面図である。
【0122】
図14Aは、画素アレイ部540の周縁部549以外の領域に配置される凹部151の例を表したものである。また、同図の凹部151は、図5において説明した凹部151とは異なり、第2の半導体基板220の素子領域260の直下の領域にも形成される例を表したものである。凹部151を比較的広い面積に構成するとともに接続部251が配置される領域の外側に広く展延する形状に構成することにより、接続部251及び第2の半導体基板220の間の接合を容易に行うことができる。凹部151の端部から離れた位置に接続部251が配置されることとなり、第2の半導体基板220が接続部251の端部に接触可能に撓むためである。
【0123】
図14Bは、島状に構成される凹部151の例を表した図である。同図の凹部151は、1つの接続部251の周囲の比較的狭い範囲に形成される例を表したものである。第2の半導体基板220と接合する絶縁層141の領域を広くすることができ、積層後の第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の強度の低下を軽減することができる。
【0124】
なお、凹部151の構成は、この例に限定されない。凹部151は、任意の形状に構成することができる。
【0125】
これ以外の撮像装置1の構成は本開示の第1の実施形態における撮像装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
(5.適用例)
図15は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1を備えた撮像システム7の概略構成の一例を表したものである。
【0127】
撮像システム7は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像システム7は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路743、フレームメモリ744、表示部745、記憶部746、操作部747および電源部748を備えている。撮像システム7において、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路743、フレームメモリ744、表示部745、記憶部746、操作部747および電源部748は、バスライン749を介して相互に接続されている。
【0128】
上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路743は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ744は、DSP回路743により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部745は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部746は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部747は、ユーザによる操作に従い、撮像システム7が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部748は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路743、フレームメモリ744、表示部745、記憶部746および操作部747の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0129】
次に、撮像システム7における撮像手順について説明する。
【0130】
図16は、撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部747を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部747は、撮像指令を撮像装置1に送信する(ステップS102)。撮像装置1(具体的にはシステム制御回路36)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0131】
撮像装置1は、撮像により得られた画像データをDSP回路743に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディヒュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路743は、撮像装置1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路743は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ744に保持させ、フレームメモリ744は、画像データを記憶部746に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム7における撮像が行われる。
【0132】
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1が撮像システム7に適用される。これにより、撮像装置1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム7を提供することができる。
【0133】
(6.移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0134】
図17は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0135】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図17に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0136】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0137】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0138】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0139】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0140】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0141】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0142】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0143】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0144】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図17の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0145】
図18は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0146】
図18では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0147】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0148】
なお、図18には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0149】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0150】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0151】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0152】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0153】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1の撮像装置1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部12031を小型化することができる。
【0154】
(7.内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0155】
図19は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0156】
図19では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0157】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0158】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0159】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0160】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0161】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0162】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0163】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0164】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0165】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0166】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0167】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0168】
図20は、図19に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0169】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0170】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0171】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0172】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0173】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0174】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0175】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0176】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0177】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0178】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0179】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0180】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0181】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0182】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0183】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0184】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0185】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、図1の撮像装置1は、撮像部11402に適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化することができる。
【0186】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0187】
なお、本開示の第2の実施形態の構成は、他の実施形態に適用することができる。具体的には、図11の帯状の凹部151は、図7において説明した第2の半導体基板220の素子領域260の直下となる領域159を除いた領域に配置することができる。
【0188】
なお、上述の実施形態は、本技術を可視光の撮像を行う撮像装置に適用する例を表したものである。本技術は、これ以外の素子及び装置に適用することができる。例えば、本技術は、赤外光の撮像を行う撮像素子に適用することができる。また、例えば、本技術は、対象物までの距離を測定する測距センサに適用することもできる。本技術は、これら以外の複数の半導体基板を積層して構成される半導体素子に適用することもできる。
【0189】
(効果)
撮像素子(撮像装置1)は、第1の半導体基板120と、第2の半導体基板220と、絶縁層141と、接続部251と、凹部151とを有する。第1の半導体基板120は、入射光の光電変換を行う光電変換部101を備える。第2の半導体基板220は、光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に第1の半導体基板120が積層される。絶縁層141は、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の間に配置される。接続部251は、絶縁層141を貫通するとともに第1の半導体基板120と第2の半導体基板220の裏面側とを接続する。凹部151は、絶縁層141における第2の半導体基板220に隣接する面に配置されて接続部251の周囲に形成される。これにより、凹部151の底面において接続部251が突出する形状に構成することができる。第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の積層の際、接続部251の端部と第2の半導体基板220とを接触させることができる。
【0190】
また、接続部251は、接続される第1の半導体基板120及び第2のそれぞれの基準電位を共通にしてもよい。これにより、接続部251により基準電位を供給することができる。
【0191】
また、凹部151は、第2の半導体基板220の裏面側との間に空隙150を形成してもよい。
【0192】
また、空隙150は、真空に構成されてもよい。これにより、撮像素子の製造の際の加熱を伴う製造工程における破損を防ぐことができる。
【0193】
また、凹部151は、第2の半導体基板220に形成される素子の直下の領域とは異なる領域の絶縁層141に形成されてもよい。これにより、素子の強度の低下を防ぐことができる。
【0194】
また、絶縁層141に配置されて第1の半導体基板120に接続される配線をさらに有し、凹部151は、配線が配置される領域とは異なる領域の絶縁層141に形成されてもよい。これにより、配線142における絶縁層141の絶縁能力の低下を防ぐことができる。
【0195】
また、凹部151は、複数の接続部251の周囲に共通に形成されてもよい。これにより、大面積の凹部151を形成することができる。
【0196】
また、凹部151は、帯状に構成されてもよい。
【0197】
また、凹部151は、5nm以上の深さに構成されてもよい。これにより、製造工程におけるばらつきに対してマージンを確保することができる。
【0198】
また、接続部251は、凹部151の底面から5nm以上の高さに構成されてもよい。これにより、接続部251の高さばらつきに対するマージンを確保することができる。
【0199】
また、接続部251は、シリコンを含んで構成されてもよい。これにより、高温プロセスを適用することができる。
【0200】
また、絶縁層141は、酸化物により構成されてもよい。
【0201】
また、第2の半導体基板220は、接続部251が接続される高い不純物濃度の半導体領域123を備えてもよい。これにより、接続抵抗を低減することができる。
ことができる。
【0202】
撮像装置1は、第1の半導体基板120と、第2の半導体基板220と、絶縁層141と、接続部251と、凹部151と、列信号処理部550とを有する。第1の半導体基板120は、入射光の光電変換を行う光電変換部101を備える。第2の半導体基板220は、光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に第1の半導体基板120が積層される。絶縁層141は、第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の間に配置される。接続部251は、絶縁層141を貫通するとともに第1の半導体基板120と第2の半導体基板220の裏面側とを接続する。凹部151は、絶縁層141における第2の半導体基板220に隣接する面に配置されて接続部251の周囲に形成される。列信号処理部550は、生成される画像信号を処理する。第1の半導体基板120及び第2の半導体基板220の積層の際、接続部251の端部と第2の半導体基板220とを接触させることができる。
【0203】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0204】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
入射光の光電変換を行う光電変換部を備える第1の半導体基板と、
前記光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に前記第1の半導体基板が積層される第2の半導体基板と、
前記第1の半導体基板及び前記第2の半導体基板の間に配置される絶縁層と、
前記絶縁層を貫通するとともに前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板の裏面側とを接続する接続部と、
前記絶縁層における前記第2の半導体基板に隣接する面に配置されて前記接続部の周囲に形成される凹部と
を有する撮像素子。
(2)
前記接続部は、前記接続される前記第1の半導体基板及び前記第2の半導体基板のそれぞれの基準電位を共通にする前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記凹部は、前記第2の半導体基板の裏面側との間に空隙を形成する前記(1)又は(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記空隙は、真空に構成される前記(3)に記載の撮像素子。
(5)
前記凹部は、前記第2の半導体基板に形成される素子の直下の領域とは異なる領域の前記絶縁層に形成される前記(1)から(4)の何れかに記載の撮像素子。
(6)
前記絶縁層に配置されて前記第1の半導体基板に接続される配線をさらに有し、
前記凹部は、前記配線が配置される領域とは異なる領域の前記絶縁層に形成される
前記(1)から(5)の何れかに記載の撮像素子。
(7)
前記凹部は、複数の前記接続部の周囲に共通に形成される前記(1)から(6)の何れかに記載の撮像素子。
(8)
前記凹部は、帯状に構成される前記(7)に記載の撮像素子。
(9)
前記凹部は、5nm以上の深さに構成される前記(1)から(8)の何れかに記載の撮像素子。
(10)
前記接続部は、前記凹部の底面から5nm以上の高さに構成される前記(1)から(9)の何れかに記載の撮像素子。
(11)
前記接続部は、シリコンを含んで構成される前記(1)から(10)の何れかに記載の撮像素子。
(12)
前記絶縁層は、酸化物により構成される前記(1)から(11)の何れかに記載の撮像素子。
(13)
前記第2の半導体基板は、前記接続部が接続される高い不純物濃度の半導体領域を備える前記(1)から(12)の何れかに記載の撮像素子。
(14)
前記第1の半導体基板に隣接して配置されるパッドを更に有し、
前記接続部は、前記パッドを介して前記第1の半導体基板に接続される
前記(1)から(13)の何れかに記載の撮像素子。
(15)
前記パッドに含まれる不純物が前記第1の半導体基板に拡散することにより形成される半導体領域を更に有する前記(14)に記載の撮像素子。
(16)
前記画素回路は、フィンFETを備える前記(1)から(15)の何れかに記載の撮像素子。
(17)
入射光の光電変換を行う光電変換部を備える第1の半導体基板と、
前記光電変換により生成される電荷に応じた画像信号を生成する画素回路を備えて裏面側に前記第1の半導体基板が積層される第2の半導体基板と、
前記第1の半導体基板及び前記第2の半導体基板の間に配置される絶縁層と、
前記絶縁層を貫通するとともに前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板の裏面側とを接続する接続部と、
前記絶縁層における前記第2の半導体基板に隣接する面に配置されて前記接続部の周囲に形成される凹部と、
前記生成される画像信号を処理する処理回路と
を有する撮像装置。
【符号の説明】
【0205】
1 撮像装置
100 第1の基板
100S、200S、300S 半導体層
100T、200T、300T 配線層
101、101A、101B、101C、101D 光電変換部
102、102A、102B、102C、102D 電荷転送部
103、103A、103B、103C、103D 電荷保持部
120 第1の半導体基板
121A、121B、122A、122B、123、123A、221、222、227、228、321 半導体領域
132、133 パッド
141、241、341 絶縁層
142、242、342 配線
143、244、344 コンタクトプラグ
150 空隙
151 凹部
158、159 領域
200 第2の基板
210 画素回路
220 第2の半導体基板
213 増幅トランジスタ
251 接続部
252、253、253A、253B 貫通電極
260 素子領域
300 第3の基板
320 第3の半導体基板
540 画素アレイ部
541、541A、541B、541C、541D 画素
550 列信号処理部
11402、12031、12101~12105 撮像部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20