(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147593
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法並びに製品、軸受、車両及び機械の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048904
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】梅野 繁昭
(72)【発明者】
【氏名】赤沼 憲仁
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065BB05
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF09
2F065GG04
2F065HH05
2F065HH06
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM06
2F065PP25
2F065QQ25
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】対象物に対して一定の好適な条件で照明光を投射して、所望の且つ安定した対象物の撮像画像を取得し、対象物の正確な外観検査を実現するとともに、対象物の多くの画像を短時間で取得する。
【解決手段】所定の照明光を対象物に投射する照明部と、対象物を撮像する撮像部とが一体に設けられた照明一体型撮像部と、照明一体型撮像部が取り付けられたロボットと、保持された対象物を回動させる回動機構を有する対象物駆動部と、照明一体型撮像部、ロボット、及び対象物駆動部の動作を制御し、且つ、撮像部によって取得された対象物の撮像画像に基づいて、対象物の良否を判定する制御部を備える検査装置であり、制御部が、対象物駆動部に対し、対象物を回動させる駆動制御指令を送出し、照明一体型撮像部に対し、回動している対象物の撮像を所定時間間隔で行う撮像制御指令を送出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像して該対象物の検査を行う検査装置であって、
所定の照明光を前記対象物に投射する照明部と、前記対象物を撮像する撮像部とが一体に設けられた照明一体型撮像部と、
前記照明一体型撮像部が取り付けられたロボットと、
保持された前記対象物を回動させる回動機構を有する対象物駆動部と、
前記照明一体型撮像部、前記ロボット、及び前記対象物駆動部の動作を制御し、且つ、前記撮像部によって取得された前記対象物の撮像画像に基づいて、前記対象物の良否を判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記対象物駆動部に対し、前記対象物を回動させる駆動制御指令を送出し、且つ、前記照明一体型撮像部に対し、回動している前記対象物の撮像を所定時間間隔で行う撮像制御指令を送出する、
る検査装置。
【請求項2】
前記照明部は、複数の光源を有し、且つ、各光源からの照明光の少なくとも1つの強度の組み合わせによる複数の照明発光パターンを創出するマルチチャネル照明を含む、
請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記対象物の撮像部位が、前記撮像部による撮像毎で同一又は実質的に同一となるように、前記駆動制御指令及び前記撮像制御指令を送出し、前記対象物の回動と撮像を同期させる、
請求項1又は2記載の検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動制御指令がサーボ指令である場合には、前記駆動制御指令に対する前記対象物駆動部の応答遅れ時間と、前記撮像制御指令に対する前記照明一体型撮像部の応答遅れ時間を考慮して、前記対象物の回動と撮像を同期させる、
請求項3記載の検査装置。
【請求項5】
前記対象物駆動部は、前記対象物を反転させる機構を含む、
請求項1乃至4の何れか記載の検査装置。
【請求項6】
前記照明一体型撮像部が取り付けられたロボットを複数備え、
各ロボット及び各照明一体型撮像部により、それぞれ異なる位置及び/又は向きに保持された各対象物を撮像する、
請求項1乃至5の何れか記載の検査装置。
【請求項7】
照明部及び撮像部が一体に設けられた照明一体型撮像部と、該照明一体型撮像部が取り付けられたロボットと、回動機構を有する対象物駆動部と、制御部とを備える検査装置により、対象物の検査を行う方法であって、
前記制御部が、前記照明一体型撮像部、前記ロボット、及び前記対象物駆動部の動作を制御し、前記対象物駆動部に対し、前記対象物を回動させる駆動制御指令を送出し、且つ、前記照明一体型撮像部に対し、回動している前記対象物の撮像を所定時間間隔で行う撮像制御指令を送出し、
前記対象物駆動部が、前記対象物を保持し且つ前記回動機構で回動させ、
前記照明部が、所定の照明光を前記対象物に投射し、
前記撮像部が、前記対象物を撮像し、
前記制御部が、前記撮像部によって取得された前記対象物の撮像画像に基づいて、前記対象物の良否を判定する、
検査方法。
【請求項8】
製品の生産工程において、請求項1乃至6の何れか記載の検査装置、又は、請求項7記載の検査方法により、前記対象物としての前記製品の部品、半完成品、又は完成品の外観検査を実施する工程を含む、製品の製造方法。
【請求項9】
軸受の生産工程において、請求項1乃至6の何れか記載の検査装置、又は、請求項7記載の検査方法により、前記対象物としての前記軸受の部品、半完成品、又は完成品の外観検査を実施する工程を含む、軸受の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の軸受の製造方法を用いる車両の製造方法。
【請求項11】
請求項9記載の軸受の製造方法を用いる機械の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の撮像による検査技術に関し、特に、対象物の外観形状等を検査する装置及びその方法、並びに、それらを用いた製品、軸受、車両及び機械の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂や金属等で形成されたワーク(部品)等の対象物の画像を撮像し、その撮像画像に画像処理を施して、対象物の外観形状等を検査する撮像装置や検査装置及びそれらのシステムが種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像用の照明光として、いわゆるパターン光を対象物に投影するための1台の投光手段、及び、パターン光が投影された対象物を異なる方向から撮像する複数台の撮像手段を備えた3次元計測装置が提案されている。この3次元計測装置は、複数の撮像画像から得られる複数の3次元点群データを統合することにより、鏡面反射成分の強い対象物の3次元形状の測定をより適切に行うことを企図したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的な対象物の撮像装置又は検査装置では、ロボット(アクチュエータ)に撮像装置(カメラ)が取り付けられ、この場合、上記特許文献1の如く、撮像用の照明を、例えばロボットの周辺に別体に設けることが多い傾向にある。しかし、その場合、対象物と照明との幾何学的な位置関係等に依存して、対象物の所望の撮像画像が得られないことが、少なからず生じてしまう。また、対象物への照明の当て方によっては、外観表面の欠陥等の見え方が変化してしまうこともある。さらに、対象物の外観検査を行うには、対象物の検査用の参照画像(良品標準画像)と実際の撮像画像との比較を行うところ、照明の状態によっては、実際の撮像条件を、参照画像を取得したときの撮像条件と一致させ難い場合もある。こうなると、対象物の外観検査を正確に行い難くなってしまう。加えて、照明の位置により、対象物に対する撮像角度や、対象物の撮像可能部位に制約が生じてしまう問題もある。しかも、対象物を静止した状態で撮像計測する従来装置では、対象物の種々の箇所を撮像するのに、多くの時間が掛かってしまうといった問題もあった。
【0006】
そこで、本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、対象物に対して一定の好適な条件で照明光を投射して、所望の且つ安定した対象物の撮像画像を取得することができ、その結果、対象物の正確な外観検査を実現するとともに、対象物の多くの画像を短時間で取得することができる処理効率に優れた検査装置及びその方法、並びに、それらを用いた製品、軸受、車両及び機械の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
【0008】
〔1〕本開示に係る検査装置の一例は、対象物を撮像して該対象物の検査を行う検査装置であって、所定の照明光を前記対象物に投射する照明部と、前記対象物を撮像する撮像部とが一体に設けられた照明一体型撮像部と、前記照明一体型撮像部が取り付けられたロボットと、保持された前記対象物を回動させる回動機構を有する対象物駆動部と、前記照明一体型撮像部、前記ロボット、及び前記対象物駆動部の動作を制御し、且つ、前記撮像部によって取得された前記対象物の撮像画像に基づいて、前記対象物の良否を判定する制御部とを備える。そして、前記制御部は、前記対象物駆動部に対し、前記対象物を回動させる駆動制御指令を送出し、且つ、前記照明一体型撮像部に対し、回動している前記対象物の撮像を所定時間間隔で(断続的に)行う撮像制御指令を送出する。
【0009】
当該構成では、所定の照明光を対象物に投射する照明部を、対象物を撮像する撮像部と一体に設けた照明一体型撮像部を採用するので、その場合、撮像部と照明部との幾何学的な位置関係が常に一定に維持される。これにより、対象物に対する撮像角度や、対象物の撮像可能部位に制約が生じてしまうことを抑制することができる。また、撮像部による対象物の視野(角)と、照明部から対象物への照明光の投射具合が変化することがないので、対象物の所望の撮像画像を得ることができる。よって、対象物の正確な外観検査を行うことができる。また、対象物駆動部により対象物を回動させながら、照明一体型撮像部を複数の撮像位置のそれぞれへ移動して、対象物の撮像を所定時間間隔で連続して行うことができるので、短時間で多くの対象物の情報量(撮像画像)を得ることができる。
【0010】
〔2〕上記構成において、照明部の構成に特に制限はなく、具体的には、例えば、前記照明部が、複数の光源を有し、且つ、各光源からの照明光の少なくとも1つの強度(基本強度)の組み合わせによる複数の照明発光パターンを創出するマルチチャネル照明を含むように構成すると好適である。かかるマルチチャネル照明としては、例えば、MDMC(Multi Direction Multi Color)照明等が挙げられ、非常に多くの照明発光パターンのなかから、対象物の視野や撮像部位に応じた最適な照明発光パターンを選択して用いることができる。
【0011】
〔3〕上記構成において、前記制御部は、前記対象物の撮像部位(撮像箇所)が、前記撮像部による撮像毎で同一又は実質的に同一となるように、前記駆動制御指令及び前記撮像制御指令を送出し、前記対象物の回動と撮像を同期させるように構成してもよい。当該構成では、対象物を回動させながらの撮像毎に対象物の撮像部位(撮像箇所)がずれてしまうことを防止することができる。
【0012】
〔4〕上記構成において、前記制御部は、前記駆動制御指令がサーボ指令である場合には、前記駆動制御指令に対する前記対象物駆動部の応答遅れ時間と、前記撮像制御指令に対する前記照明一体型撮像部の応答遅れ時間を考慮して、前記対象物の回動と撮像を同期させると好適である。一般に、対象物駆動部はサーボ指令デバイスであり、撮像部はトリガ指令デバイスに分類されることがあるところ、当該構成では、駆動制御指令(サーボ指令)と撮像制御指令(トリガ指令)の両方の指令に対する各デバイスの遅れ時間が考慮される。そこで、例えば、それぞれのデバイスの遅れ時間分だけ早い時刻に、各デバイスに対する指令を送出することにより、対象物の撮像部位の位置(回動位置)と撮像タイミングを確実に同期させ易くなる。
【0013】
〔5〕上記構成において、前記対象物駆動部が、前記対象物を反転させる機構を含んでも好ましい。前記の如く表面における多くの部位を撮像した対象物を反転させて同様に撮像することにより、対象物の裏面における多くの部位も撮像することができる。このように、対象物を反転させるという簡易な動作で、対象物の全体の撮像を簡便に且つ効率的に行うことができる。
【0014】
〔6〕上記構成において、前記照明一体型撮像部が取り付けられたロボットを複数備え、各ロボット及び各照明一体型撮像部により、それぞれ異なる位置及び/又は向きに保持された各対象物を撮像するようにしてもよい。こうすれば、本開示による検査装置を複数台稼働させることができるので、対象物の検査作業効率を格段に高めることができる。
【0015】
〔7〕また、本開示による検査方法は、本開示による検査装置により、対象物の検査を有効に行う方法であって、前記制御部が、前記照明一体型撮像部、前記ロボット、及び前記対象物駆動部の動作を制御し、前記対象物駆動部に対し、前記対象物を回動させる駆動制御指令を送出し、且つ、前記照明一体型撮像部に対し、回動している前記対象物の撮像を所定時間間隔で(断続的に)行う撮像制御指令を送出し、前記対象物駆動部が、前記対象物を保持し且つ前記回動機構で回動させ、前記照明部が、所定の照明光を前記対象物に投射し、前記撮像部が、前記対象物を撮像し、前記制御部が、前記撮像部によって取得された前記対象物の撮像画像に基づいて、前記対象物の良否を判定する。
【0016】
〔8〕また、本開示による製品の製造方法は、その製品の生産工程において、上記〔1〕乃至〔6〕の何れかの検査装置、又は、上記〔7〕の検査方法により、前記対象物としての前記製品の部品、半完成品(半製品)、又は完成品の外観検査を実施する工程を含む方法である。
【0017】
〔9〕また、本開示による軸受の製造方法は、その軸受の生産工程において、上記〔1〕乃至〔6〕の何れかの検査装置、又は、上記〔7〕の検査方法により、前記対象物としての前記軸受の部品、半完成品(半製品)、又は完成品の外観検査を実施する工程を含む方法である。
【0018】
〔10〕また、本開示による車両の製造方法は、上記〔9〕の軸受の製造方法を用いる方法である。
【0019】
〔11〕また、本開示による機械の製造方法は、上記〔9〕の軸受の製造方法を用いる方法である。
【0020】
なお、本開示において、「部」及び「装置」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」及び「装置」が有する機能をソフトウェアによって実現する構成も含む。また、1つの「部」及び「装置」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置によって実現されてもよく、或いは、2つ以上の「部」及び「装置」の機能が1つの物理的手段や装置によって実現されてもよい。さらに、「部」及び「装置」とは、例えば「手段」及び「システム」と言い換えることも可能な概念である。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、照明一体型撮像部を備えることにより、撮像部と照明部との幾何学的な位置関係が常に一定に維持されて、対象物に対する撮像角度や、対象物の撮像可能部位に制約が生じてしまうことを抑止することができ、また、対象物の所望の撮像画像を得ることができる。その結果、対象物の正確な外観検査を実現することが可能となる。さらに、対象物駆動部により対象物を回動させながら、その対象物の撮像を行うことで、対象物の撮像画像を短時間で大量に取得することができ、検査効率を格段に向上させることができる。またさらに、本開示による検査装置又は検査方法を用いることにより、製品、軸受、車両及び機械の製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一実施形態に係る検査装置の一例の概略構成を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る検査装置のハードウェア構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る検査装置を動作させている状態の一例を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る検査装置を動作させている状態の他の一例を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る他の検査装置を動作させている状態の更に他の一例を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。
【
図6】本開示による検査装置によって外観検査が行われた軸受を備える車両の一部の構造を模式的に示す斜視図(一部断面図)である。
【
図7】本開示による検査装置によって外観検査が行われた軸受を備えるモータの概略構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の一例に係る実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、本開示の一例は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、図面は模式的なものであって、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。さらに、図面相互間においても互いの寸法や比率が異なる部分が含まれ得る。またさらに、以下に説明する実施形態は本開示の一部の実施形態に過ぎず、本開示の実施形態に基づいて、当業者が創造性のある行為を必要とせずに得られる他の実施形態は、何れも本開示の保護範囲に含まれる。
【0024】
(実施形態1)
(構成例)
図1は、本開示の一実施形態に係る検査装置の一例の概略構成を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。検査装置100は、例えば支持部7に保持されたワーク6を撮像し、その撮像画像に基づいて、ワーク6の良否(キズ等の有無)を判定する。また、検査装置100は、センサ1(撮像部)、照明装置2(照明部)、ロボット3、サーボ装置4(対象物駆動部)、及び制御装置5(制御部)を備える。
【0025】
センサ1は、ワーク6の外観形状情報や3次元位置情報を含む計測データを取得する撮像センサや距離センサである。その具体的な構成は特に制限されず、例えば一般的な光学センサが搭載されたカメラ装置を含んで構成されており、ワーク6を、所定の視野角FVで且つ所定の計測条件で撮像する。ここで、ワーク6の撮像方式(計測方式)としては、特に制限されず、例えば、種々のアクティブ計測方式やパッシブ計測方式を適宜選択して用いることができる。また、ワーク6の計測データとしては、それらの種々の計測方式で取得される画像データ(例えば3次元点群データや距離画像等)、また、ワーク6の例えば3次元モデルデータと照合することが可能な適宜のデータ等を例示できる。
【0026】
また、照明装置2は、ワーク6へ向かって(矢印FA)、所定の照明光(計測光)を投射するための適宜の光学系を有する照明であり、例えば、アクティブ方式で用いられるパターン光やスキャン光等を含むいわゆる3D用照明や、通常の照明であるいわゆる2D用照明や、プロジェクタタイプのものが挙げられる。光学系の構成も特に制限されず、例えば、照明光としてパターン光を投射するものの場合、レーザ光源、パターンマスク、及びレンズを備える構成が例示される。また、光源として、例えばMDMC(Multi Direction Multi Color)照明等のマルチチャネル照明を用いても好適である。
【0027】
ここで、センサ1は、そのカメラ部分が、照明装置2に設けられた視野窓2wに対向配置するように、照明装置2の筐体に片持ち梁1kで固定されており、これにより、センサ1は、視野窓2wを通して視野角FVでワーク6の撮像を行うことができる。このとおり、検査装置100は、センサ1と照明装置2とが固定されて一体に設けられた照明一体型センサ10(照明一体型撮像部)を備えている。なお、視野窓2wは、枠として開放されていてもよく、透光性部材によって閉止されていてもよい。
【0028】
ロボット3は、垂直多関節タイプのロボットであり、より具体的には、ベースリンク30、リンク31~36、及び、ジョイントJ1~J6(リンク同士を接続するための関節を示す)を備えた6自由度の6軸ロボットである。なお、ジョイントJ1~J6は、予め定められた回転角度の範囲が可動域として各々設定されている。
【0029】
これらのリンク同士の接続について説明すると、以下のとおりである。すなわち、まず、ベースリンク30とリンク31は、図示において鉛直軸A1を中心として矢印C1方向に回転するジョイントJ1を介して接続されている。これにより、リンク31は、ベースリンク30を支点として矢印C1方向に回転可能である。また、リンク31,32は、図示において水平軸A2を中心として矢印C2方向に回転するジョイントJ2を介して接続されている。これにより、リンク32は、リンク31を支点として矢印C2方向に回転可能である。
【0030】
さらに、リンク32,33は、図示において水平軸A3を中心として矢印C3方向に回転するジョイントJ3を介して接続されている。これにより、リンク33は、リンク32を支点として矢印C3方向に回転可能である。またさらに、リンク33,34は、図示において軸A4を中心として矢印C4方向に回転するジョイントJ4を介して接続されている。これにより、リンク34は、リンク33を支点として矢印C4方向に回転可能である。さらにまた、リンク34,35は、図示において軸A5を中心として矢印C5方向に回転するジョイントJ5を介して接続されている。これにより、リンク35は、リンク34を支点として矢印C5方向に回転可能である。そして、リンク35,36は、図示において軸A6を中心として矢印C6方向に回転するジョイントJ6を介して接続されている。これにより、リンク36は、リンク35を支点として矢印C6方向に回転可能である。
【0031】
なお、かかる構造を有するロボット3の姿勢は、一般に、ジョイントJ1~J6の各々の回転角度によって定めることができる。すなわち、ロボット3の各リンクの自由度を表すパラメータをジョイントJ1~J6の回転角度をそれぞれθ1~θ6とし、回転角度θ1~θ6を座標軸の値とした場合、ロボット3の姿勢は、コンフィグレーション空間(回転角度θ1~θ6のうち、少なくとも2つを座標軸とした座標系で表わされる空間)上の座標点として表すことができる。
【0032】
照明一体型センサ10における照明装置2は、片持ち梁2kを介して、上記構成を有するロボット3のリンク36に接合されている。これにより、照明一体型センサ10は、リンク36と同じ回転自由度を有しており、リンク36とともに、リンク35を支点として矢印C6方向に回転可能とされている。
【0033】
また、サーボ装置4は、支持部7に保持されたワーク6を、例えば図示矢印C40で示す水平方向に回動(連続回転)させるための回動機構を有する。この回動機構は、巻掛伝動装置の一種であり、主として、サーボモータ41と、その回転軸K1に接続された第1プーリ42と、無端ベルト43を介して第1プーリ42に接続された第2プーリ44と、その回転軸K2に接続されたターンテーブル45とから構成されている。かかる構成により。サーボモータ41の回転力がターンテーブル45に伝動され、ワーク6が、ターンテーブル45とともに、回転軸K2回りに回動する。なお、これらの部材41~45は、支持部7の筐体に組み込まれており、この点において、支持部7もサーボ装置4(つまり「対象物駆動部」)の一部と捉えることもできる。
【0034】
また、制御装置5は、センサ1、照明装置2、ロボット3、及びサーボ装置4のそれぞれに接続されており、センサ1によるワーク6の撮像処理、照明装置2によるワーク6の照明光投射処理、ロボット3の駆動処理、及びサーボ装置4の駆動処理の他、検査装置100において必要とされる種々の動作や演算に関する処理を制御する。
【0035】
次に、
図2は、本開示の一実施形態に係る検査装置(検査装置100)のハードウェア構成の一例を模式的に示す平面図である。本図の例でも、検査装置100は、
図1に例示したセンサ1、照明装置2、ロボット3、サーボ装置4、及び制御装置5を備える。ここで、制御装置5は、制御演算部51、通信インタフェース(I/F)部52、記憶部53、入力部54、及び出力部55を含み、各部はバスライン56を介して相互に通信可能に接続される。なお、制御装置5に接続された支持部7については、後記の「動作例3」において説明する。
【0036】
制御演算部51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御及び各種演算を行う。また、通信I/F部52は、例えば、有線又は無線により他の構成要素である「部」及び「装置」と通信するための通信モジュールである。通信I/F部52が通信に用いる通信方式は特に制限されず任意であり、例えば、LAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)等が挙げられ、バスライン56と同等の適宜の通信線を適用することもできる。センサ1、照明装置2、及びロボット3は、ともに、この通信I/F部52を介して、制御演算部51等と通信可能に設けることが可能である。
【0037】
記憶部53は、例えばハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)等の補助記憶装置であり、制御演算部51で実行される各種の演算プログラム、及び、センサ1、照明装置2、及びロボット3のそれぞれの動作の制御処理を行うための制御プログラム等、センサ1から出力される撮像画像や点群データ、撮像パラメータや種々の算出パラメータを含むデータベース、各種演算結果を示すデータ、ワーク6の状況に関するデータ等、さらに、ワーク6の外観検査用の比較参照画像や3次元CADモデルデータ等を記憶する。このとおり、記憶部53に記憶された演算プログラム及び制御プログラムが制御演算部51で実行されることにより、検査装置100の各種処理機能が実現される。
【0038】
入力部54は、検査装置100を利用するユーザからの各種入力操作を受け付けるためのインタフェースデバイスであり、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、音声マイク等で実現し得る。また、出力部55は、検査装置100を利用するユーザ等へ、各種情報を表示、音声、印刷等により報知するためのインタフェースデバイスであり、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ等で実現し得る。
【0039】
このように構成された検査装置100によれば、所定の照明光をワーク6に投射する照明装置2とワーク6を撮像するセンサ1が一体化されて照明一体型センサ10が構成されているので、センサ1と照明装置2との幾何学的な位置関係が常に一定に維持される。これにより、ワーク6に対する撮像角度や、ワーク6の撮像可能部位に制約が生じてしまうことを抑制することができる。また、センサ1によるワーク6の視野(角)と、照明装置2からワーク6への照明光の投射具合(当たり方)が、撮像位置や撮像部位が異なっても変化しないので、ワーク6の所望の撮像画像を得ることができる。その結果、ワーク6に対する正確且つ効率的な外観検査を行うことが可能となる。
【0040】
また、照明装置2の光源として、MDMC照明等のマルチチャネル照明を用いることにより、非常に多くの照明発光パターンのなかから、ワーク6の視野や撮像部位に応じた最適な照明発光パターンを選択して用いることができるので、外観検査の精度及び効率を更に向上させることができる。さらに、サーボ装置4により、ワーク6を回動させながら撮像することが可能であるので、ワーク6を静止した状態で撮像計測する場合に比して、ワーク6の撮像画像を短時間で大量に取得することができ、処理効率の大幅な向上を実現することができる。
【0041】
(動作例1)
次に、
図3を参照して、本開示による検査装置の動作の一例について説明する。
図3は、本開示の一実施形態に係る検査装置(検査装置100)を動作させている状態の一例を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。なお、以下で説明する動作や処理は一例に過ぎず、各動作や処理は、本開示の技術思想の範囲内において可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する動作は、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である(以下同様)。
【0042】
ここでは、まず、制御装置5の制御演算部51がロボット3に対し、照明一体型センサ10を、
図3の矢印(A)で示す位置姿勢(この例では、
図1に示す状態と同じ位置姿勢)へと移動する移動制御指令を送出する。ロボット3は、その移動制御指令に基づいて、リンク31~36を適宜作動させ、照明一体型センサ10を、矢印(A)の位置姿勢へと移動させる。また、制御演算部51は、サーボ装置4に対し、サーボモータ4を作動させてワーク6を回動させる駆動制御指令を送出する。サーボ装置4は、その駆動制御指令に基づいて、サーボモータ4を作動し、その回転力をターンテーブル45へ伝動してワーク6を回転軸K2回りに回動させる。さらに、制御演算部51は、照明一体型センサ10に対し、その位置姿勢において、回動している状態のワーク6を上方から撮像するための撮像制御指令を送出する。これにより、照明一体型センサ10は、照明装置2から所定の照明発光パターンをワーク6に上方から投射し、センサ1によって、回動しているワーク6の撮像を所定時間間隔で(断続的に)複数回行い、取得したワーク6の上方からの撮像画像データを、制御装置5の制御演算部51へ送信する。
【0043】
次に、ワーク6を回動させた状態のまま、制御装置5の制御演算部51がロボット3に対し、照明一体型センサ10を、
図3の矢印(B)で示す位置姿勢へと移動させる、すなわち、矢印(A)で示す姿勢位置から、図示矢印C20の下向き方向に、照明一体型センサ10をほぼ直角に回動させる移動制御指令を送出する。ロボット3は、その移動制御指令に基づいて、再度リンク31~36を適宜作動させ、照明一体型センサ10を、矢印(B)の位置姿勢へと移動させる。さらに、制御演算部51は、照明一体型センサ10に対し、その位置姿勢において、回動している状態のワーク6を側方から撮像するための撮像制御指令を送出する。これにより、照明一体型センサ10は、照明装置2から所定の照明発光パターンをワーク6に側方から投射し、センサ1によって、そのワーク6の撮像を所定時間間隔で(断続的に)複数回行い、取得したワーク6の側方からの撮像画像データを、制御装置5の制御演算部51へ送信する。
【0044】
それから、同様にして、照明一体型センサ10を矢印(A)及び(B)とは異なる適宜の複数の位置姿勢へ移動して、回動している状態のワーク6の撮像を繰り返し実行してもよい。制御装置5の制御演算部51は、得られた複数の撮像画像から、ワーク6の外観検査で使用する撮像画像を適宜抽出し、ワーク6の外観検査用の比較参照画像や3次元CADモデルデータ等と比較照合し、ワーク6の外観状態の良否を判定することができる。
【0045】
このような検査装置100の動作によれば、照明一体型センサ10を種々の所望の撮像位置(位置姿勢)へ移動させることにより、保持され且つ回動しているワーク6に対して、種々の方向からの撮像を行うことができる。これにより、ワーク6の所望の撮像データを的確に且つ迅速に得ることができ、ワーク6の外観状態に関する多くの情報を短時間で得ることができる。
【0046】
(動作例2)
本動作例2は、上記の動作例1によるワーク6の撮像において、制御装置5の制御演算部51からサーボ装置4及び照明一体型撮像部10へそれぞれ送出する駆動制御指令及び撮像制御指令のタイミングを制御して、ワーク6の撮像部位(撮像箇所)が、センサ1による撮像毎で同一又は実質的に同一となるように、ワーク6の回動と撮像を同期させること以外は、
図3に示す動作例1と同様の処理を行う例である。このようにすれば、撮像毎にワーク6の撮像部位(撮像箇所)がずれてしまうことを防止することができるので、ワーク6の外観検査等を確実に行い易くなる利点がある。
【0047】
より具体的には、制御装置5の制御演算部51は、駆動制御指令に対するサーボ装置4の応答遅れ時間と、撮像制御指令に対する照明一体型センサ10の応答遅れ時間を考慮することにより、ワーク6の撮像部位の位置(回動位置)とセンサ1による撮像タイミングの同期を確実に取り易くなる。
【0048】
ここで、駆動制御指令は、例えば、サーボモータ41の作動が律速となり得るサーボ指令であり、このサーボ指令に対するサーボ装置4の応答遅れ時間(サーボ指令が到達した時刻からサーボモータ41が実際に作動するまでの時間ΔS1)は、予め実測、又は、サーボ装置4の動作特性から予測が可能である。また、撮像制御指令は、例えば、センサ1の作動が律速となり得るトリガ指令であり、そのトリガ指令に対する照明一体型センサ10の応答遅れ時間(トリガ指令が到達した時刻からセンサ1が実際に作動するまでの時間ΔS2)も、予め実測、又は、照明一体型センサ10の動作特性から予測が可能である。
【0049】
そこで、例えば、遅れ時間ΔS1分だけ早い時刻に、サーボ装置4に対するサーボ指令を送出し、且つ、遅れ時間ΔS2分だけ早い時刻に、照明一体型センサ10に対するトリガ指令を送出する。これにより、ワーク6の回動と撮像をより確実に同期させ易くなり、その結果、ワーク6の外観検査等を更に一層確実に行い易くすることができる。
【0050】
(動作例3)
次に、
図4を参照して、本開示による検査装置の動作の他の一例について説明する。
図4は、本開示の一実施形態に係る検査装置(検査装置100)を動作させている状態の他の一例を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。
【0051】
本動作例3は、ワーク6を
図3に示す状態から移動させたこと、より具体的には、ワーク6を
図3に示す状態から、
図4の矢印C60で示すように、上下に反転させたこと以外は、
図3に示す動作例1と同様の処理を行う例である。ここでは、例えば、ワーク6を保持する支持部7が、ワーク6の位置及び/又は向きを変え、ワーク6を上下反転させる適宜の駆動機構を有している。この点において、本動作例3においては、支持部7も「対象物駆動部」に相当する。
【0052】
まず、ワーク6の撮像に先立ち、制御装置5の制御演算部51が、支持部7に対して、ワーク6を、
図3に示す状態に対して上下反転させる反転制御指令を送出する。支持部7は、その反転制御指令に基づいて、ワーク6を上下反転させ、その状態を保持する。それから、制御演算部51は、動作例1と同様の指令を繰り返し、
図4に示す上下反転状態でワーク6を回動させながら撮像を繰り返し実行する。そして、制御装置5の制御演算部51は、動作例1と同様に、得られた複数の撮像画像から、ワーク6の外観検査で使用する撮像画像を適宜抽出し、ワーク6の外観検査用の比較参照画像や3次元CADモデルデータ等と比較照合し、ワーク6の外観状態の良否を判定する。
【0053】
このような検査装置100の動作によれば、一例として、ワーク6を反転させたように、ワーク6を色々な位置及び/又は向きで保持し且つ回動させつつ、照明一体型センサ10による撮像を行い得るので、互いに異なるより多くのワーク6の撮像画像を取得することができる。また、本動作例3のように、表面及び表側面側における多くの部位を撮像したワーク6を上下反転させて同様に撮像することにより、ワーク6の裏面及び裏側面側における多くの部位をも同様に撮像することができる。このように、ワーク6を反転させるという簡易な操作で、ワーク6の全体の撮像を行うことができるので、処理時間(タクト)を短縮してワーク6の検査作業効率を向上させることができる。
【0054】
(動作例4)
さらに、
図5を参照して、本開示による検査装置の動作の更に他の一例について説明する。
図5は、本開示の一実施形態に係る他の検査装置(検査装置200)を動作させている状態の更に他の一例を模式的に示す斜視図(一部正面図)である。
【0055】
本動作例4では、検査装置200は、照明一体型センサ10が取り付けられたロボット3を複数台(複数ユニット:ここでは例えば2つのユニット)備えた検査システムである。この動作例4は、各ロボット3及び各照明一体型センサ10により、それぞれ異なる位置及び/又は向きに保持された複数のワーク6,6の検査を同時に実施すること以外は、
図3に示す動作例1、及び、
図4に示す動作例2又は動作例3と同様の処理を行う例である。すなわち、
図5に示すように、図示奥側に設置されたロボット3及び照明一体型センサ10(以下「検査ユニット」という)によって動作例1を実行し、同時に、図示手前側に設置された検査ユニットによって動作例2又は動作例3を実行する。こうすれば、検査装置100を複数台同時に稼働させることと同等にできるので、ワーク6の検査作業効率(スループット)を格段に高めることができる。
【0056】
(実施形態2)
次に、本実施形態は、種々の製品の生産工程において、上述した検査装置100,200、又は、それを用いた検査方法により、ワーク6としてのそれらの製品の部品、半完成品(半製品)、又は完成品の外観検査を実施する工程を含む、製品の製造方法の一例である。前述の如く、実施形態1による検査装置100,200における制御装置5の制御演算部51は、ワーク6の外観検査で使用する撮像画像と、ワーク6の外観検査用の比較参照画像や3次元CADモデルデータ等とを比較照合し、ワーク6の外観状態の良否を判定する。「良」と判定されたワーク6は、合格品として、次の生産工程へ移行し、「否」と判定されたワーク6は、不合格品として、修理され、その後、再度外観検査が実施されるか、或いは、例えば不良の程度によっては廃却処理が行われる。
【0057】
(実施形態3)
また、本実施形態は、製品の一例として、種々の軸受の製造を行うこと以外は、上記の実施形態2と同様の処理を行う軸受の製造方法の一例であり、また、その軸受の製造方法を用いて、例えば、
図6に示す軸受を備える車両や、
図7に示すモータを備える機械を製造する方法の一例でもある。
【0058】
ここで、
図6は、本開示による検査装置100,200によって外観検査が行われたハブユニット軸受60を備える車両600の一部の構造を模式的に示す斜視図(一部断面図)である。ハブユニット軸受60としては、駆動輪用及び従動輪用の何れに適用されるものであってよく、
図6には、駆動輪用のハブユニット軸受60を示す。この駆動輪用のハブユニット軸受60は、外輪62と、ハブ63と、複数の転動体64とを有している。外輪62は、ボルト等を用いて、懸架装置のナックル61に固定されている。車輪65は、ボルト等を用いて、ハブ63に設けられた回転フランジに固定されている。また、車両600は、従動輪用のハブユニット軸受60に関して、上記の駆動輪用のハブユニット軸受60と同様の支持構造を有することができる。このような車両600に用いられるハブユニット軸受60も、その生産工程において、実施形態1による検査装置100,200を使用した外観検査が行われ、その良否が判定される。
【0059】
また、
図7は、本開示による検査装置100,200によって外観検査が行われた軸受70A,70Bを備えるモータ71の概略構造を示す断面図である。これらの軸受70A,70Bは、モータ71の回転軸73を支持するものである。より具体的には、モータ71は、ブラシレスモータであって、円筒形のセンタハウジング75と、このセンタハウジング75の一方の開口端部を閉塞する略円板状のフロントハウジング77とを有する。センタハウジング75の内側には、その軸心に沿って、フロントハウジング77及びセンタハウジング75底部に配置された軸受70A,70Bを介して、回転自在な回転軸73が支持される。回転軸73の周囲にはモータ駆動用のロータ79が設けられ、センタハウジング75の内周面にはステータ78が固定される。かかる構成を有するモータ71は、一般に、機械や車両に搭載され、軸受70A,70Bにより支持された回転軸73を回転駆動する。このようなモータ71に用いられる軸受70A,70Bも、その生産工程において、実施形態1による検査装置100,200を使用した外観検査が行われ、その良否が判定される。
【0060】
以上、本開示の一例としての上記各例について詳細に説明してきたが、上述したとおり、前述した説明はあらゆる点において本開示の一例を示すに過ぎず、本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、上記各例は、部分的に置換してもよく、適宜組み合わせて構成することも可能であり、さらに、各例において適宜言及したような変更が可能である。
【0061】
例えば、検査装置200においては、ロボット3及び照明一体型センサ10の複数のユニットに対して単一の制御装置5を備えてもよく、各ユニットに対してそれぞれ制御装置5を設置してもよく、また、それらの複数の制御装置5を互いに接続してもよい。さらに、検査装置200では、サーボ装置4、ワーク6及び支持台7を、適宜の移送手段(移送台、移送レール、移送又は搬送ロボット、コンベア等)により、複数の検査ユニット間で移送させながら、ワーク6の撮像を実施することも可能である。このとき、次の検査ユニットに移送する途中で、又は、移送後に、ワーク6の位置や向きを適宜変更するようにしてもよい。これにより、ワーク6の検査作業効率(スループット)を更に一層向上させることができる。
【0062】
また、軸受の適用例としては、上述したものに限られず、回転部を有する機械、各種製造装置、例えば、ボールねじ装置等のねじ装置、及びアクチュエータ(直動案内軸受とボールねじの組合せ、XYテーブル等)等の直動装置の回転支持部、或いは、ステアリングコラム、自在継手、中間ギア、ラックアンドピニオン、電動パワーステアリング装置、及びウォーム減速機等の操舵装置の回転支持部、さらに、自動車、オートバイ、鉄道等の車両の回転支持部等が挙げられる。
【符号の説明】
【0063】
1…センサ(撮像部)、2…照明装置(照明部)、1k,2k…片持ち梁、2w…視野窓、3…ロボット、4…サーボ装置(対象物駆動部)、5…制御装置(制御部)、6…ワーク、7…支持部(対象物駆動部)、10…照明一体型センサ(照明一体型撮像部)、30…ベースリンク、31~36…リンク、41…サーボモータ、42…第1プーリ、43…無端ベルト、44…第2プーリ、45…ターンテーブル、51…制御演算部、52…通信インタフェース(I/F)部、53…記憶部、54…入力部、55…出力部、56…バスライン、60…ハブユニット軸受、61…ナックル、62…外輪、63…ハブ、64…転動体、65…車輪、70A,70B…軸受、71…モータ、73…回転軸、75…センタハウジング、77…フロントハウジング、78…ステータ、79…ロータ、100,200…検査装置、600…車両、A1~A6…軸、FV…視野角、J1~J6…ジョイント、K1,K2…回転軸。