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特開2022-147619画像表示装置及び画像表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147619
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】画像表示装置及び画像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048943
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅ヶ谷 尚隼
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 謙太
(72)【発明者】
【氏名】松谷 哲嗣
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA21
4C093FF12
4C093FF13
4C093FF24
4C093FF35
(57)【要約】
【課題】動態撮影した時系列の複数枚の医用画像を時系列に再生表示した動態動画を読影する時の視認性を向上する。
【解決手段】画像表示装置(1)は、同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像(F1,F2)を取得する画像取得部(14)と、画像取得部によって取得された複数枚の医用画像を時系列に再生表示するとともに、当該再生表示中に当該医用画像の複数枚に亘って当該医用画像に重ねて画面上の定位置に定位基準(MK)を表示可能とされた画像再生制御部(11)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像を時系列に再生表示するとともに、当該再生表示中に当該医用画像の複数枚に亘って当該医用画像に重ねて画面上の定位置に定位基準を表示可能とされた画像再生制御部と、を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記画像再生制御部は、前記定位基準の画面上の表示範囲を変更可能である請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像再生制御部は、前記定位基準の位置及び/又は角度を変更可能である請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像再生制御部は、前記定位基準として等間隔の平行線を表示可能である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像再生制御部は、前記平行線の間隔、線の数、線の太さのうちいずれか一又は二以上を選択設定可能である請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像再生制御部は、画面上の定位置に前記定位基準を表示したまま、前記再生表示中に前記医用画像の拡大縮小及び/又はパンを表示可能である請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の画像表示装置。
【請求項7】
画像表示装置のコンピューターを、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像を時系列に再生表示するとともに、当該再生表示中に当該医用画像の複数枚に亘って当該医用画像に重ねて画面上の定位置に定位基準を表示可能とされた画像再生制御部として、機能させるための画像表示プログラム。
【請求項8】
前記画像再生制御部が、前記定位基準の画面上の表示範囲を変更可能であるようにする請求項7に記載の画像表示プログラム。
【請求項9】
前記画像再生制御部が、前記定位基準の位置及び/又は角度を変更可能であるようにする請求項7又は請求項8に記載の画像表示プログラム。
【請求項10】
前記画像再生制御部が、前記定位基準として等間隔の平行線を表示可能であるようにする請求項7から請求項9のうちいずれか一に記載の画像表示プログラム。
【請求項11】
前記画像再生制御部が、前記平行線の間隔、線の数、線の太さのうちいずれか一又は二以上を選択設定可能であるようにする請求項10に記載の画像表示プログラム。
【請求項12】
前記画像再生制御部が、画面上の定位置に前記定位基準を表示したまま、前記再生表示中に前記医用画像の拡大縮小及び/又はパンを表示可能であるようにする請求項7から請求項11のうちいずれか一に記載の画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルム/スクリーンや輝尽性蛍光体プレートを用いた放射線(X線)の静止画撮影及び診断に対し、近時、FPD(flat panel detector)等の半導体イメージセンサーを利用して診断対象の部位(以下、対象部位という。)を動態撮影して、診断に応用する試みがなされるようになってきている。
具体的には、半導体イメージセンサーの画像データの読取・消去の応答性の早さを利用し、半導体イメージセンサーの読取・消去のタイミングと合わせて放射源からパルス状の放射線を連続的に照射し、1秒間に複数回の撮影を行って、対象部位の動態を撮影する。
【0003】
例えば対象部位が肺や心臓である場合には、胸部の動態を撮影する。撮影により取得された一連の複数枚の画像を順次表示することにより、医師は呼吸運動や心臓の拍動等に伴う胸部の一連の動きを観察することが可能となる。
また、胸部の動態画像から呼吸による換気量等の診断に有用な特徴量情報を抽出する各種技術も提案されている。例えば、胸部正面と胸部側面のそれぞれを動態撮影し、肺低位置と厚みの変化から肺の体積の変化を求め、これを換気量として取得する技術も知られている。
【0004】
ところで、動態撮影を行った動画にて肺野の癒着の有無を読影による判別することが行われている。これにより、手術計画に癒着の切開等の時間をあらかじめ見積もることができ、精度の高い手術時間の見積もりを行うことが可能である。
癒着の有無を判定するには、実際に肺野部分の動態動画を確認し、癒着により動いていない箇所を特定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-89612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、動態撮影の結果をユーザーが迅速に確認することができ、ユーザーの診断効率を向上させることを目的に、動態において経時的に変化する部位を示す複数の特徴点を1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成し、読影時の視認性を補っている。
しかし、読影時には1枚の表示用画像だけでなく、動態動画そのものを読影することも必要であり、このときに視認性が低いという課題が残る。
特に胸部の癒着を読影する際には、肺の癒着箇所により動きの少ない箇所を見極める必要がある。
その際、肋骨の動きと肺の動きが独立しているため、肋骨の動きにつられて肺の動きを見落としやすいという課題がある
【0007】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、動態撮影した時系列の複数枚の医用画像を時系列に再生表示した動態動画を読影する時の視認性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の画像表示装置は、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像を時系列に再生表示するとともに、当該再生表示中に当該医用画像の複数枚に亘って当該医用画像に重ねて画面上の定位置に定位基準を表示可能とされた画像再生制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明の画像表示プログラムは、
画像表示装置のコンピューターを、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像を時系列に再生表示するとともに、当該再生表示中に当該医用画像の複数枚に亘って当該医用画像に重ねて画面上の定位置に定位基準を表示可能とされた画像再生制御部として、機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動態撮影した時系列の複数枚の医用画像を時系列に再生表示した動態動画を読影する時の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る画像表示装置を含む医用画像システムを表す要部構成図である。
図2】本実施形態に係る画像表示装置の要部ブロック図である。
図3】動態再生表示時のモニター画面の例を示す図である。
図4】動態再生表示時のモニター画面の他の例を示す図である。
図5】定位基準の位置を変更する様子を説明するためのモニター画面の例を示す図である。
図6】定位基準の角度を変更する様子を説明するためのモニター画面の例を示す図である。
図7】医用画像を拡大縮小する様子を説明するためのモニター画面の例を示す図である。
図8】医用画像をパンする様子を説明するためのモニター画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像表示装置(画像表示システム)の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、画像表示装置について説明するが、画像表示装置は、各機能部が別体の装置に分散して設置された画像表示システムを含む意義である。
また、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0013】
本実施形態の画像表示装置は、医用画像システムにおいて放射線動態画像(以下「動態撮影画像」とする。)等の医用画像を取得し、取得した動態撮影画像等の医用画像や各種
の情報を表示するものである。
まず、前提として、本実施形態で想定される医用画像システムと画像表示装置との関係につき、図1を参照しつつ説明する。
【0014】
〔医用画像システムの構成〕
図1に、医用画像システム100のシステム構成例を示す。
医用画像システム100は、病院等の医療施設内に設置されるシステムである。
図1に示すように、医用画像システム100は、画像表示装置(医用画像表示装置)1、医用画像撮影装置2、画像管理サーバー3等を備えて構成されている。各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信回線からなる通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。医用画像システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOM規格に則って行われる。
なお、各装置の台数は、特に限定されない。例えば、医用画像撮影装置2としてCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CR(Computed Radiography)装置等の各種モダリティが設けられていてもよい。各種モダリティは、いずれか1種類が複数台用意されていてもよいし、複数種類が各1台ずつ用意されていてもよく、台数及び組み合わせ等は施設の必要等に応じて適宜決められる。
【0015】
画像管理サーバー3は、各種モダリティ(医用画像撮影装置2)により生成された医用画像の画像データ、及び医用画像に関する付帯情報を蓄積記憶・管理するコンピューター装置である。医用画像には、例えばCT装置やMRI装置等により生成された断層画像や、CR装置により生成された単純X線画像等が含まれている。また、本実施形態では、医用画像として、医用画像撮影装置2によって動態撮影が行われた場合に取得される動態撮影画像が含まれている。
【0016】
ここで、「動態撮影」とは、対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影するものである。具体的には、図示しない放射源から放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射(連続照射)して、連続して複数回の撮影を行い、対象部位の動態を動画のように撮影する。
「動態撮影画像」とは、このような撮影により得られた、対象部位の動態を示す複数の一連の画像を意味する。
【0017】
画像管理サーバー3は、ハードディスク等により構成される医用画像DB(Data Base
)31を有する。この医用画像DB31には、医用画像のデータや当該医用画像に関する付帯情報が記憶されている。
医用画像DB31において記憶される医用画像は、DICOM規格に則ったDICOMファイル形式で保存されている。DICOMファイルは、画像部とヘッダ部とから構成される。画像部には医用画像の実データ、ヘッダ部に当該医用画像に関する付帯情報が書き
込まれている。
【0018】
付帯情報は、例えば、患者情報、検査情報、シリーズ情報、画像詳細情報を含んで構成されている。
患者情報は、患者を識別するための患者識別情報(例えば、患者ID)、患者の氏名、性別、生年月日等の医用画像の患者に関する各種情報を含んでいる。
検査情報は、検査を識別するための検査識別情報(例えば、検査ID)、検査日付、担当医師等の検査に関する各種情報を含んでいる。
画像詳細情報は、画像生成時刻、医用画像の格納場所を示すファイルパス名、検査コメント、病変の計測位置、計測結果等の画像に関する各種情報が含まれる。
シリーズ情報は、同一検査内においてシリーズを識別するためのシリーズ番号、シリーズに含まれる医用画像を生成したモダリティ(医用画像撮影装置2)の種類、検査部位、当該医用画像が動態撮影画像である場合における総フレーム数、シリーズ内の各画像に付与されたフレーム番号等のシリーズに関する各種情報を含んでいる。
【0019】
画像管理サーバー3は、通信ネットワークNを介して画像表示装置1からの取得要求があると、これに応じて、医用画像のデータを医用画像DB31から読み出して画像表示装置1に送信する。
【0020】
[画像表示装置(画像表示システム)]
さらに本実施形態における画像表示装置1(または画像表示システム。以下同じ。)の詳細について説明する。
図2は、本実施形態における画像表示装置の構成を表すブロック図である。
本実施形態において、画像表示装置1は、図2に示すように、制御手段11、記憶手段12、入力手段13、入出力インターフェース14、表示手段15等がバスに接続されたコンピューターで構成されている。
画像表示装置1は、入出力インターフェース14を介して通信ネットワークNに接続されている。
本実施形態において入出力インターフェース14は、放射線撮影により得られた医用画像を、通信ネットワークNを介して取得する画像取得部である。
画像取得部である入出力インターフェース14は、対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影して得られた動態撮影画像を、画像管理サーバー3(画像管理サーバー3が有する医用画像DB31)から取得する。
【0021】
なお、画像表示装置1は、汎用コンピューターであってもよいが、医用画像に関する専用の装置として構成することも可能である。
また、図示を省略するが、画像表示装置1が、医用画像撮影装置2による撮影を制御するコンソール等の制御装置や、撮影された複数枚のフレーム画像等の医用画像を保存する画像保存用のデータベース等を含む一体型の装置として構成されていてもよい。
画像表示装置1は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータでもよいし、ノートパソコンやタブレット型の端末装置、スマートフォン等の携帯端末装置のいずれであってもよい。
【0022】
制御手段11は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)111、RAM(Random Access Memory)112等を備えている。
ROM111は、CPU110で実行されるシステムプログラムや、画像を表示させるために各部を機能させる画像表示プログラムを始めとする各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータを記憶する。各種プログラムは、コンピューター読み取り可能なプログラムコードの形態でROM111に格納され、CPU110は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
RAM112は、CPU110により実行制御される各種処理において、ROM111から読み出された各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメーター等を一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0023】
記憶手段12は、例えば不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等で
構成され、各種データ等を記憶するものである。
記憶手段12は、例えば画像取得部である入出力インターフェース14によって取得された医用画像を保存する。
入力手段13は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等で構成されている。タッチパネルは、前述のように表示手段15のモニター150上に一体的に形成されている。
本実施形態において入力手段13は、ユーザーがモニター150上に表示された画像をタッチしたりタップしたりしたときに、その入力動作を検出し、受け付ける入力部である。入力手段13は、入力動作を受け付けると、これに対応する信号を制御手段11に出力する。
【0024】
本実施形態において制御手段11は、医用画像を表示する表示部である後述の表示手段15(モニター150)を制御する画像再生制御部として機能する。
本実施形態の制御手段11は、動態撮影画像を、表示手段15(モニター150)に、時系列に再生表示(以下「動態再生表示」という。)する。
制御手段11は、所定のフレームレートで動態再生表示を実行する。
制御手段11は、その動態再生表示中に当該動態撮影画像を構成する医用画像の複数枚に亘って当該医用画像に重ねて画面上の定位置に定位基準を表示可能とさている。
図3は、定位基準MKの表示ありでの動態再生表示の例を示している。
図3に示す例は、肺野の動態撮影画像である。図3に示すフレーム画像F1は、動態撮影画像を構成する複数枚のフレーム画像のうちの1枚である。図3に示すフレーム画像F2は、動態撮影画像を構成する複数枚のフレーム画像のうちの1枚である。フレーム画像F1と、フレーム画像F2とは、時系列でフレーム数が離れている画像である。
例えば、フレーム画像F1が1番目のフレーム画像であり、フレーム画像F2が数十番目のフレーム画像であると理解してもよい。制御手段11は、ユーザーの操作により入力手段13から入力される操作信号に基づき、動態再生表示を開始する。モニター150にフレーム画像F1が表示され、さらにその後フレーム画像F2が表示され、さらにその先のフレーム画像がある場合は動態再生表示が続き、最後のフレーム画像で動態再生表示が停止する。
【0025】
図3の例でも示されるように動態再生表示すると肺野に動きがある。
これに対し、定位基準MKは、以上のような動態再生表示中においてモニター150の画面151上の定位置に表示されている。
したがって、ユーザーは、定位基準MKを基準(目印)にすることにより、肺野の動き(肺や肋骨の動き)、その動きの大きさなどを、視認性高く認識することができる。これにより、動態動画を読影する時の視認性を向上する。例えば、肺の癒着箇所の読影時に肋骨の動きにつられず、肺の動きに注目して読影を行うことが可能となる。正常に動いている部分と、癒着等の異常により動いていない部分とをそれぞれ認識しやすくなる。
【0026】
制御手段11は、定位基準MKの画面151上の表示範囲を変更可能である。制御手段11は、例えば、画面151の全体を定位基準MKの表示範囲としたり、図3に示すように動態撮影画像の表示範囲を定位基準MKの表示範囲としたり、図4に示すように動態撮影画像内の一部を定位基準MKの表示範囲としたりすることができる。
これにより注目したい箇所に集中することなど、ユーザーが定位基準MKの表示範囲を選ぶことができ、読影時の視認性が向上する。
定位基準MKの表示範囲の変更設定は、ユーザーの操作により入力手段13から入力される操作信号に基づき行われる。
【0027】
また制御手段11は、定位基準MKの位置及び角度を変更可能である。
制御手段11は、例えば図5に示すように定位基準MKの位置を上下に移動することが可能である。これによりユーザーが定位基準MKの位置を選ぶことができる。図5では、定位基準MKを1本の直線で示す。図3図4のように等間隔の平行線の場合も同様に定位基準MKの位置の変更を可能とすることで、ユーザーが定位基準MKの位置を選ぶことができ、読影時の視認性が向上する。
また、制御手段11は、例えば図6に示すように定位基準MKの角度を変更することが可能である。これによりユーザーが定位基準MKの角度を選ぶことができる。観察したい対象部位の動きの方向に対して直角に定位基準MKを置くなどして、対象部位の動きをわかりやすくすることができる。角度は360°の範囲で設定可能である。ユーザーが定位基準MKの角度を選ぶことができ、読影時の視認性が向上する。
定位基準MKの位置及び角度の変更設定も、ユーザーの操作により入力手段13から入力される操作信号に基づき行われる。
また、制御手段11は、互いに平行な2直線の通る位置及び角度を選択させることができ、その2直線を含む等間隔の平行線(3本以上)を定位基準MKとして表示することができる。例えば、ユーザーが、肺の上端及び下端を通る平行な2直線を指定し、当該2直線の角度も指定し、さらに、当該2直線の間に入る平行線本数を指定したとき、制御手段11は、これに従った位置、角度、ピッチの平行線を定位基準MKとして表示することができる。
なお、定位基準MKの位置及び角度のうちいずれか一方のみを変更可能に実施してもよい。
【0028】
また制御手段11は、図3図4に示したような平行線の間隔、線の数、線の太さのうちいずれか一又は二以上を選択設定可能である。
これにより、ユーザーが視認しやすい平行線の構成を選ぶことができ、読影時の視認性が向上する。平行線の間隔、線の数、線の太さの変更設定も、ユーザーの操作により入力手段13から入力される操作信号に基づき行われる。
【0029】
また制御手段11は、画面151上の定位置に定位基準MKを表示したまま、動態再生表示中に医用画像の拡大縮小及びパンを表示可能である。
制御手段11は、例えば図7に示すように医用画像の拡大縮小を表示可能であり、図8に示すように医用画像のパンを表示可能である。拡大縮小及びパンも、ユーザーの操作により入力手段13から入力される操作信号に基づき行われる。パンの場合、定位基準MKを構成する線に対して斜め又は垂直に交わる方向に移動しても、定位基準MKは画面151に対して動かない。
このような拡大縮小(図7)、パン(図8)において定位基準MKは、画面151上の定位置に固定されている。定位基準MKが動くことがなく、読影時の視認性が向上する。
なお、拡大縮小及びパンのうちいずれか一方のみを可能に実施してもよい。
また、医用画像の拡大縮小及びパンは、動態再生表示の停止中にのみ可能としてもよい。その場合停止中に操作した拡大縮小及び/又はパン後の表示範囲で、動態再生操作があれは動態再生表示を実行する。
また、医用画像の拡大縮小及びパンは、動態再生表示中に行えるようにしてもよい。例えば、予め設定された拡大縮小及び/又はパンの経路指定(キーフレーム設定)に従って、表示範囲を変化させて動態再生表示を実行してもよいし、リアルタイム操作に従って表示範囲を変化させて動態再生表示を実行してもよい。
なお、定位基準MKを医用画像に対して固定して、定位基準MKを医用画像と一体的に拡大縮小及び/又はパンする機能をさらに設けてもよい。
【0030】
なお、本発明は、胸部の検査のみでなく、関節の検査など稼働部位を確認する目的の検査等でも使用することが可能である。
以上の実施形態では定位基準として、1直線の例と複数平行線の例を示したが、定位基準の形態は特に限定されるものではなく、動態撮影画像に対する位置基準となるものであれば足りる。定位基準の他の形態としては、格子線、格子点ドット、円、多角形その他の図形などが挙げられる。
また、定位基準が動態撮影画像と重なる範囲については、医用画像の透過率を0~100%で設定できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
F1 フレーム画像(医用画像)
F2 フレーム画像(医用画像)
MK 定位基準
N 通信ネットワーク
1 画像表示装置
2 医用画像撮影装置
3 画像管理サーバー
11 制御手段
12 記憶手段
13 入力手段
14 入出力インターフェース
15 表示手段
100 医用画像システム
110 CPU
150 モニター
151 画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8