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  • 特開-電動圧縮機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147641
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20220929BHJP
   F04C 29/06 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F04B39/00 101T
F04C29/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048972
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西森 規貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊之
(72)【発明者】
【氏名】深澤 末広
(72)【発明者】
【氏名】宮野 俊行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AC03
3H003BA08
3H003CD01
3H003CF04
3H129AA02
3H129AB03
3H129BB25
3H129CC09
3H129CC27
(57)【要約】
【課題】電動圧縮機の騒音を抑えること。
【解決手段】防音カバー40によって、ハウジング11及び支持ブラケット20が覆われている。したがって、ハウジング11及び支持ブラケット20から放射音が放射されても、防音カバー40によって放射音が吸収される。特に、第1カバー部50が、ハウジング11と車体16との間で支持ブラケット20と共にハウジング11の外周面11cにおける車体16側の部位を覆っている。このため、ハウジング11からの振動が支持ブラケット20に伝達して、支持ブラケット20から放射音が放射されても、第1カバー部50によって放射音が吸収される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するインバータと、
前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータを収容する筒状の外周面を備えたハウジングと、
前記ハウジングに締結されるとともに、前記ハウジングを被取付対象物に対して支持する支持ブラケットと、
前記支持ブラケットと前記被取付対象物との間に介在される防振材と、
弾性変形可能な吸音材により構成され、前記ハウジング及び前記支持ブラケットを覆う防音カバーと、を有する電動圧縮機。
【請求項2】
前記防音カバーは、
前記支持ブラケットと前記被取付対象物との間に介在される第1カバー部と、
前記第1カバー部とは別体の第2カバー部と、を有し、
前記第2カバー部は、前記ハウジングに取り付けられている請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記防音カバーは、
前記支持ブラケットと前記被取付対象物との間に介在される第1カバー部と、
前記第1カバー部とは別体の第2カバー部と、を有し、
前記第2カバー部は、前記支持ブラケットに取り付けられている請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記第1カバー部は、前記支持ブラケットと共に前記ハウジングに取り付けられている請求項2又は請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記支持ブラケットは、前記被取付対象物に取り付けられる取付部を有し、
前記防音カバーは、前記取付部を覆っている請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するインバータと、を備えている。このような電動圧縮機においては、圧縮部が駆動することにより音が生じたり、電動モータが駆動することにより音が生じたりする。そして、圧縮部が駆動することにより生じる音や、電動モータが駆動することにより生じる音によってハウジングが振動し、結果として、ハウジングから放射音が生じる。
【0003】
そこで、電動圧縮機では、例えば特許文献1のように、防音カバーによってハウジングの外周面を全周に亘って覆うことが考えられている。これによれば、圧縮部が駆動することにより生じる音や、電動モータが駆動することにより生じる音によってハウジングが振動し、ハウジングから放射音が放射されても、放射音が防音カバーによって吸収される。その結果、電動圧縮機の騒音を抑えることができる。
【0004】
また、例えば、車載用の電動圧縮機は、車両のフレームやエンジン等の被取付対象物に取り付けられている。具体的には、例えば特許文献2のように、支持ブラケットによって、ハウジングが被取付対象物に対して支持されている。そして、支持ブラケットと被取付対象物との間に防振材を介在することにより、ハウジングからの振動が支持ブラケットを介して被取付対象物へ伝達してしまうことを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-194673号公報
【特許文献2】特開2017-44313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハウジングからの振動が支持ブラケットに伝達すると、支持ブラケットが振動し、結果として、支持ブラケットから放射音が生じる虞がある。支持ブラケットから放射される放射音は、電動圧縮機の騒音の原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するインバータと、前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記インバータを収容する筒状の外周面を備えたハウジングと、前記ハウジングに締結されるとともに、前記ハウジングを被取付対象物に対して支持する支持ブラケットと、前記支持ブラケットと前記被取付対象物との間に介在される防振材と、弾性変形可能な吸音材により構成され、前記ハウジング及び前記支持ブラケットを覆う防音カバーと、を有する。
【0008】
これによれば、防音カバーによって、ハウジング及び支持ブラケットが覆われている。したがって、圧縮部が駆動することにより生じる音や、電動モータが駆動することにより生じる音によってハウジング及び支持ブラケットが振動し、ハウジング及び支持ブラケットから放射音が放射されても、防音カバーによって放射音が吸収される。その結果、電動圧縮機の騒音を抑えることができる。
【0009】
上記電動圧縮機において、前記防音カバーは、前記支持ブラケットと前記被取付対象物との間に介在される第1カバー部と、前記第1カバー部とは別体の第2カバー部と、を有し、前記第2カバー部は、前記ハウジングに取り付けられているとよい。
【0010】
これによれば、第1カバー部及び第2カバー部それぞれでハウジングの外周面を覆う際に、例えば、第1カバー部と第2カバー部とを予め組み付けておくといった作業が不要となるため、作業性を向上させることができる。
【0011】
上記電動圧縮機において、前記防音カバーは、前記支持ブラケットと前記被取付対象物との間に介在される第1カバー部と、前記第1カバー部とは別体の第2カバー部と、を有し、前記第2カバー部は、前記支持ブラケットに取り付けられているとよい。
【0012】
これによれば、第2カバー部を、ハウジングに取り付ける必要が無いため、第2カバー部をハウジングに取り付けるための設計変更をハウジングに対して行う必要が無い。したがって、ハウジングの構成を簡素化することができる。
【0013】
上記電動圧縮機において、前記第1カバー部は、前記支持ブラケットと共に前記ハウジングに取り付けられているとよい。
これによれば、支持ブラケットをハウジングに取り付ける作業と同時に、第1カバー部もハウジングに取り付けることができるため、支持ブラケットと第1カバー部とを別々にハウジングに取り付ける場合に比べると、作業性を向上させることができる。
【0014】
上記電動圧縮機において、前記支持ブラケットは、前記被取付対象物に取り付けられる取付部を有し、前記防音カバーは、前記取付部を覆っているとよい。
これによれば、防音カバーによって、取付部が覆われているため、取付部から放射音が放射されていたとしても、防音カバーによって放射音が吸収される。したがって、電動圧縮機の騒音をさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電動圧縮機の騒音を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における電動圧縮機の概略断面図。
図2】電動圧縮機の分解斜視図。
図3】電動圧縮機の概略断面図。
図4】別の実施形態における電動圧縮機の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。なお、以下で説明する実施形態の電動圧縮機は、例えば、被取付対象物である車体に取り付けられ、車両空調装置に用いられる。
【0018】
(電動圧縮機10の全体構成)
図1及び図2に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、円筒状である。ハウジング11は金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、板状の一対の端壁11aと、一対の端壁11a同士を繋ぐ円筒状の周壁11bと、を有している。したがって、ハウジング11は、筒状の周壁11bの外周面11cを備えている。
【0019】
図1に示すように、電動圧縮機10は、流体としての冷媒を圧縮する圧縮部12と、圧縮部12を駆動する電動モータ13と、電動モータ13を駆動するインバータ14と、を備えている。ハウジング11は、圧縮部12、電動モータ13、及びインバータ14を収容する。圧縮部12、電動モータ13、及びインバータ14は、この順序でハウジング11の軸方向に並んで配置されている。
【0020】
圧縮部12は、例えば、ハウジング11の周壁11bの内周面に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される可動スクロールとから構成されるスクロール式である。電動モータ13は、インバータ14から電力が供給されることにより駆動する。そして、圧縮部12は、電動モータ13の駆動に伴い、ハウジング11内に吸入された冷媒を圧縮する。
【0021】
(取付脚15の構成)
図2及び図3に示すように、電動圧縮機10は、取付脚15を複数備えている。本実施形態では、電動圧縮機10は、取付脚15を4つ備えている。各取付脚15は、ハウジング11の周壁11bの外周面11cに設けられている。4つの取付脚15のうちの2つは、ハウジング11の周壁11bの外周面11cにおいて、ハウジング11の軸線を挟んだ両側の一方に位置する部位に設けられている。4つの取付脚15のうちの残りの2つは、ハウジング11の周壁11bの外周面11cにおいて、ハウジング11の軸線を挟んだ両側の他方に位置する部位に設けられている。各取付脚15には、雌ねじ孔15aが形成されている。各雌ねじ孔15aの軸線は、ハウジング11の軸方向に対して直交する方向に延びている。本実施形態の電動圧縮機10は、各取付脚15の雌ねじ孔15aの開口が、電動圧縮機10の被取付対象物である車体16側へ向くように、車体16に対して配置されている。
【0022】
(軸部17の構成)
電動圧縮機10は、軸部17を複数備えている。各軸部17は、ハウジング11の周壁11bの外周面11cから突出している。各軸部17は、ハウジング11に一体形成されている。したがって、各軸部17は、ハウジング11に設けられている。各軸部17は、円柱状である。各軸部17は、ハウジング11の周壁11bの外周面11cにおいて、ハウジング11の軸線を挟んで各取付脚15とは反対側の部位から突出している。各軸部17におけるハウジング11の周壁11bの外周面11cからの突出方向は、ハウジング11の軸方向に対して直交する方向であって、且つ各取付脚15の雌ねじ孔15aの開口方向とは反対方向である。したがって、電動圧縮機10が車体16に対して配置されている状態において、各軸部17は、ハウジング11の周壁11bの外周面11cから車体16とは反対側に向けて突出している。各軸部17は、ハウジング11の軸方向に間隔をあけて並設されている。
【0023】
(支持ブラケット20の構成)
電動圧縮機10は、支持ブラケット20を備えている。支持ブラケット20は、ハウジング11に締結されている。支持ブラケット20は、ハウジング11を被取付対象物である車体16に対して支持する。したがって、支持ブラケット20は、ハウジング11と車体16との間に配置されている。支持ブラケット20は、例えば、金属製である。支持ブラケット20は、長四角平板状の1枚の金属板をプレス成形することにより形成されている。
【0024】
支持ブラケット20は、ブラケット本体21と、車体16に取り付けられる4つの取付部22と、を有している。ブラケット本体21は、本体部23と、一対の延在部24と、を有している。本体部23は、ハウジング11の軸方向に延び、且つハウジング11の周壁11bの外周面11cに沿って湾曲して延びる板状である。本体部23の長手方向は、ハウジング11の軸方向に一致している。一対の延在部24は、本体部23の周方向の両側縁から外方へそれぞれ延びる平板状である。一対の延在部24それぞれの長手方向の長さは、本体部23の長手方向の長さと同じである。
【0025】
各延在部24には、貫通孔24hが2つずつ形成されている。各貫通孔24hは、各延在部24を厚み方向に貫通している。支持ブラケット20は、各貫通孔24hが各取付脚15の雌ねじ孔15aに連通するように、ハウジング11に対して配置されている。
【0026】
4つの取付部22のうちの2つは、一対の延在部24の一方の長手方向の両端部から本体部23とは反対側に向けてそれぞれ突出している。4つの取付部22のうちの残りの2つは、一対の延在部24の他方の長手方向の両端部から本体部23とは反対側に向けてそれぞれ突出している。各取付部22は、平板状である。各取付部22には、挿通孔22hがそれぞれ形成されている。各挿通孔22hは、各取付部22を厚み方向に貫通している。
【0027】
(防振材25について)
電動圧縮機10は、防振材25を備えている。防振材25は、支持ブラケット20と車体16との間に介在されている。具体的には、支持ブラケット20の各取付部22と車体16との間それぞれに防振材25が1つずつ介在されている。各防振材25は、例えば、ゴム製である。したがって、各防振材25は、弾性力のある弾性体である。
【0028】
(防音カバー40の構成)
電動圧縮機10は、ハウジング11の外周面11cを全周に亘って覆う防音カバー40を備えている。防音カバー40は、ハウジング11及び支持ブラケット20を覆う。防音カバー40は、第1カバー部50と、第2カバー部60と、を有している。第1カバー部50及び第2カバー部60は、弾性変形可能な吸音性を有する吸音材である。第1カバー部50及び第2カバー部60は、例えば、発泡樹脂ウレタンである。よって、第1カバー部50及び第2カバー部60は、柔軟な素材で形成されている。したがって、防音カバー40は、少なくとも弾性変形可能な吸音材により構成されている。
【0029】
(第1カバー部50の構成)
第1カバー部50は、板状の一対の第1端壁51と、一対の第1端壁51同士を繋ぐ第1周壁52と、を有している。第1周壁52は、第1カバー本体部53と、一対の第1カバー延在部54と、一対の第1カバー側部55と、を有している。
【0030】
第1カバー本体部53及び一対の第1カバー延在部54は、支持ブラケット20と車体16との間に配置されている。したがって、第1カバー部50は、支持ブラケット20と車体16との間に介在されている。第1カバー本体部53は、ハウジング11の軸方向に延び、且つハウジング11の周壁11bの外周面11cに沿って湾曲して延びる長板状である。第1カバー本体部53は、支持ブラケット20の本体部23に沿って延びている。第1カバー本体部53の長手方向は、ハウジング11の軸方向に一致している。第1カバー本体部53の長手方向の長さは、支持ブラケット20の本体部23の長手方向の長さよりも長い。第1カバー本体部53と支持ブラケット20の本体部23とは接触している。第1カバー本体部53は、支持ブラケット20の本体部23におけるハウジング11とは反対側の面を覆っている。
【0031】
一対の第1カバー延在部54は、第1カバー本体部53の周方向の両側縁から外方へそれぞれ延びる平板状である。各第1カバー延在部54は、支持ブラケット20の各延在部24に沿って延びている。一対の第1カバー延在部54それぞれの長手方向の長さは、第1カバー本体部53の長手方向の長さと同じである。一対の第1カバー延在部54それぞれの長手方向の長さは、支持ブラケット20の一対の延在部24それぞれの長手方向の長さよりも長い。各第1カバー延在部54と支持ブラケット20の各延在部24とはそれぞれ接触している。各第1カバー延在部54は、支持ブラケット20の各延在部24におけるハウジング11とは反対側の面を覆っている。
【0032】
一対の第1カバー側部55は、各第1カバー延在部54における第1カバー本体部53とは反対側の端縁からそれぞれ起立する平板状である。各第1カバー側部55は、支持ブラケット20の各延在部24における本体部23とは反対側の側縁に沿って延びている。一対の第1カバー側部55それぞれの長手方向の長さは、一対の第1カバー延在部54それぞれの長さと同じである。一対の第1カバー側部55それぞれの長手方向の長さは、支持ブラケット20の一対の延在部24それぞれの長手方向の長さよりも長い。各第1カバー側部55と支持ブラケット20の各延在部24における本体部23とは反対側の側縁とは接触している。各第1カバー側部55は、支持ブラケット20の各延在部24における本体部23とは反対側の側縁それぞれを覆っている。
【0033】
一対の第1カバー側部55には、切欠部56が2つずつ形成されている。各切欠部56は、各第1カバー側部55において、支持ブラケット20の各取付部22を避けるように形成されている。支持ブラケット20の各取付部22は、各切欠部56の内側を通過している。
【0034】
各第1カバー延在部54には、貫通孔54hが2つずつ形成されている。各貫通孔54hは、各第1カバー延在部54を厚み方向に貫通している。第1カバー部50は、各貫通孔54hが支持ブラケット20の各貫通孔24hに連通するように、支持ブラケット20に対して配置されている。
【0035】
第1カバー部50は、支持ブラケット20と共にハウジング11に取り付けられている。具体的には、第1カバー部50の各貫通孔54h、及び支持ブラケット20の各貫通孔24hをそれぞれ通過するボルト57が、各取付脚15の雌ねじ孔15aに螺合することで、第1カバー部50が支持ブラケット20と共にハウジング11に取り付けられている。そして、第1カバー部50の第1周壁52は、ハウジング11と車体16との間で支持ブラケット20のブラケット本体21と共にハウジング11の外周面11cにおける車体16側の部位を覆っている。また、第1カバー部50の各第1端壁51は、支持ブラケット20のブラケット本体21と共にハウジング11の各端壁11aの一部分を覆っている。
【0036】
(第2カバー部60の構成)
第2カバー部60は、半円筒状である。第2カバー部60は、第1カバー部50とは別体である。第2カバー部60は、板状の一対の第2端壁61と、一対の第2端壁61同士を繋ぐ半円筒状の第2周壁62と、を有している。第2カバー部60は、第2周壁62が、ハウジング11の周壁11bの外周面11cにおける第1カバー部50の第1周壁52によって覆われていない残りの部分を覆うように、ハウジング11に対して配置されている。したがって、第2カバー部60の第2周壁62は、ハウジング11の外周面11cにおける車体16とは反対側の部位を覆っている。第2カバー部60の第2周壁62の延びる方向は、ハウジング11の周方向である。第2カバー部60の第2周壁62は、ハウジング11の外周面に接触している。また、第2カバー部60は、各第2端壁61がハウジング11の各端壁11aにおける第1カバー部50の各第1端壁51によって覆われていない残りの部分を覆うように、ハウジング11に対して配置されている。
【0037】
よって、第1カバー部50と第2カバー部60とによって、ハウジング11全体が覆われている。したがって、本実施形態の防音カバー40は、それぞれ半割れ筒形状である第1カバー部50及び第2カバー部60を組み合わせた構造である。
【0038】
第2カバー部60には、各軸部17が挿通される挿通孔60hがそれぞれ形成されている。各挿通孔60hは、第2周壁62を貫通している。第2カバー部60は、各軸部17が各挿通孔60hに挿通された状態で、ハウジング11に対して配置されている。そして、各軸部17の先端部に、例えば、円板状の留め具65がそれぞれ圧入されることにより、第2周壁62における各挿通孔60hの周囲が、ハウジング11に向けて各留め具65によって押し付けられて各留め具65とハウジング11との間で挟持される。これにより、第2カバー部60が、ハウジング11に取り付けられている。
【0039】
(第1遮音部材71及び第2遮音部材72について)
防音カバー40は、第1遮音部材71及び第2遮音部材72を有している。第1遮音部材71及び第2遮音部材72は、第1カバー部50及び第2カバー部60よりも硬度が高い。第1遮音部材71及び第2遮音部材72は、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂からなる遮音シートである。
【0040】
第1遮音部材71は、第1カバー部50の外面の一部分を覆うように配置されている。したがって、第1遮音部材71は、第1カバー部50を介してハウジング11及び支持ブラケット20を覆っている。第1遮音部材71は、第1カバー部50と車体16との間に介在されている。第2遮音部材72は、第2カバー部60の外面の一部分を覆うように配置されている。したがって、第2遮音部材72は、第2カバー部60を介してハウジング11を覆っている。第2遮音部材72は、第1遮音部材71とは別体である。
【0041】
(電動圧縮機10と車体16との関係)
電動圧縮機10は、支持ブラケット20の各取付部22の挿通孔22hそれぞれに挿通された各ボルト75が、各防振材25を貫通して車体16の雌ねじ孔16aに螺合されることにより、車体16に取り付けられている。支持ブラケット20は、ハウジング11を車体16に対して支持している。そして、支持ブラケット20と車体16との間に介在されている各防振材25は、ハウジング11からの振動が支持ブラケット20を介して車体16へ伝達してしまうことを抑制する。
【0042】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
第1カバー部50によって、ハウジング11の外周面11cにおける車体16側の部位が覆われており、第2カバー部60によって、ハウジング11の外周面11cにおける車体16とは反対側の部位が覆われている。したがって、圧縮部12が駆動することにより生じる音や、電動モータ13が駆動することにより生じる音によってハウジング11が振動し、ハウジング11から放射音が放射されても、第1カバー部50及び第2カバー部60によって放射音が吸収される。
【0043】
また、第1カバー部50は、ハウジング11と車体16との間で支持ブラケット20と共にハウジング11の外周面11cにおける車体16側の部位を覆っている。このため、ハウジング11からの振動が支持ブラケット20に伝達して、支持ブラケット20から放射音が放射されても、第1カバー部50によって放射音が吸収される。
【0044】
(効果)
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)防音カバー40によって、ハウジング11及び支持ブラケット20が覆われている。したがって、ハウジング11及び支持ブラケット20から放射音が放射されても、防音カバー40によって放射音が吸収される。その結果、電動圧縮機10の騒音を抑えることができる。
【0045】
(2)第2カバー部60は、ハウジング11に取り付けられている。これによれば、第1カバー部50及び第2カバー部60それぞれでハウジング11の外周面11cを覆う際に、例えば、第1カバー部50と第2カバー部60とを予め組み付けておくといった作業が不要となるため、作業性を向上させることができる。
【0046】
(3)第1カバー部50は、支持ブラケット20と共にハウジング11に取り付けられている。これによれば、支持ブラケット20をハウジング11に取り付ける作業と同時に、第1カバー部50もハウジング11に取り付けることができる。このため、支持ブラケット20と第1カバー部50とを別々にハウジング11に取り付ける場合に比べると、作業性を向上させることができる。
【0047】
(4)第1遮音部材71は、第1カバー部50の外面を覆うように配置されている。第1遮音部材71は、第1カバー部50を介してハウジング11及び支持ブラケット20を覆っている。よって、第1遮音部材71と支持ブラケット20との間に第1カバー部50が介在されているため、第1遮音部材71と支持ブラケット20との接触が行われることが抑制されている。したがって、第1遮音部材71が、支持ブラケット20を覆うように配置されていても、支持ブラケット20の振動が第1遮音部材71に伝達してしまうことが第1カバー部50によって抑制される。その結果、防音カバー40が、第1カバー部50よりも硬度が高い第1遮音部材71を有している構成であっても、電動圧縮機10の騒音を抑えることができる。
【0048】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
図4に示すように、第2カバー部60が、支持ブラケット20に取り付けられていてもよい。第2カバー部60は、第2周壁62から外方へ延びる板状のフランジ部63を4つ有している。各フランジ部63は、支持ブラケット20の各取付部22における防振材25とは反対側の面に沿って延びている。各フランジ部63は、各取付部22における防振材25とは反対側の面を覆っている。各フランジ部63には、挿通孔63hがそれぞれ形成されている。各フランジ部63は、各挿通孔63hが各取付部22の挿通孔22hにそれぞれ連通するように、各取付部22に対して配置されている。
【0050】
さらに、第2カバー部60は、各フランジ部63から延びて、各取付部22における各延在部24とは反対側の側縁に沿って延びる被覆部64を有している。各被覆部64は、各取付部22における延在部24とは反対側の側縁を覆っている。このように、第2カバー部60が、各取付部22を覆っていてもよい。そして、各フランジ部63の挿通孔63h、及び各取付部22の挿通孔22hそれぞれに挿通された各ボルト75が、各防振材25を貫通して車体16の雌ねじ孔16aに螺合される。このようにして、第2カバー部60が、支持ブラケット20に取り付けられていてもよい。
【0051】
これによれば、第2カバー部60を、ハウジング11に取り付ける必要が無いため、第2カバー部60をハウジング11に取り付けるための設計変更をハウジング11に対して行う必要が無い。したがって、ハウジング11の構成を簡素化することができる。
【0052】
また、第2カバー部60によって、各取付部22が覆われているため、各取付部22から放射音が放射されていたとしても、第2カバー部60によって放射音が吸収される。したがって、電動圧縮機10の騒音をさらに抑えることができる。
【0053】
○ 実施形態において、例えば、第1カバー部50の一部分を、支持ブラケット20の各取付部22と各防振材25との間に介在させ、各取付部22を、第1カバー部50の一部分によって覆うようにしてもよい。また、第1カバー部50の一部分によって、各取付部22の一部分を覆い、第2カバー部の一部分によって、各取付部22における第1カバー部50によって覆われていない残りの部分を覆うようにしてもよい。要は、防音カバー40が、各取付部22を覆っているとよい。
【0054】
○ 実施形態において、例えば、第1カバー本体部53と支持ブラケット20の本体部23とが接触しておらず、互いに離間するように配置されていてもよい。
○ 実施形態において、例えば、各第1カバー側部55と支持ブラケット20の各延在部24における本体部23とは反対側の側縁とが接触しておらず、互いに離間するように配置されていてもよい。
【0055】
○ 実施形態において、例えば、第2カバー部60の第2周壁62とハウジング11の外周面11cとが接触しておらず、互いに離間するように配置されていてもよい。
○ 実施形態において、支持ブラケット20の材質は、金属製に限らず、例えば、樹脂製であってもよい。例えば、支持ブラケット20の材質が樹脂製である場合は、支持ブラケット20が車体16に対してハウジング11を支持することが可能な程度の強度がある材質である必要がある。
【0056】
○ 実施形態において、防振材25の材質は、ゴム製に限らず、例えば、メッシュ状の金属製であってもよい。要は、防振材25は、ハウジング11からの振動が支持ブラケット20を介して車体16へ伝達してしまうことを抑制できる程度の弾性力がある材質のものであればよい。
【0057】
○ 実施形態において、第1遮音部材71が、第1カバー部50の外面全体を覆っていてもよい。
○ 実施形態において、第2遮音部材72が、第2カバー部60の外面全体を覆っていてもよい。
【0058】
○ 実施形態において、防音カバー40は、第1遮音部材71及び第2遮音部材72を有していない構成であってもよい。要は、防音カバー40は、少なくとも弾性変形可能な吸音材により構成されていればよい。
【0059】
○ 実施形態において、第2カバー部60を、ハウジング11に取り付ける際に用いられる留め具65の構成は、特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、第1カバー部50を、支持ブラケット20と共にハウジング11に取り付ける際に、例えば、圧入ピンを用いてもよい。要は、第1カバー部50を、支持ブラケット20と共にハウジング11に取り付ける際に用いる締結部材は、特に限定されるものではない。
【0060】
○ 実施形態において、第1カバー部50が、支持ブラケット20と共にハウジング11に取り付けられていなくてもよく、第1カバー部50と支持ブラケット20とがそれぞれ別々にハウジング11に取り付けられていてもよい。
【0061】
○ 実施形態において、電動圧縮機10を車体16に取り付ける際に、例えば、圧入ピンを用いてもよい。要は、電動圧縮機10を車体16に取り付ける際に用いる締結部材は、特に限定されるものではない。
【0062】
○ 実施形態において、取付脚15の数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、圧縮部12は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
【0063】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置に用いられていたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部12により圧縮するものであってもよい。
【0064】
○ 実施形態において、電動圧縮機10が取り付けられる被取付対象物としては、例えば、エンジン等であってもよい。要は、電動圧縮機10が取り付けられる被取付対象物としては特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、11c…外周面、12…圧縮部、13…電動モータ、14…インバータ、16…被取付対象物である車体、20…支持ブラケット、22…取付部、25…防振材、40…防音カバー、50…第1カバー部、60…第2カバー部。
図1
図2
図3
図4