(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147657
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】連結部材及び連結具
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E04B2/74 501B
E04B2/74 561H
E04B2/74 541Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048996
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川島 昭洋
(72)【発明者】
【氏名】林 英俊
(57)【要約】
【課題】複数枚の板状部材の連結作業性を向上させる。
【解決手段】厚み方向に貫通孔が形成された矩形状の2枚の板状部材を互いに交差した状態で連結するための連結部材71であって、互いに交差した状態の2枚の前記板状部材の連結部分に配置され、一対の薄板状の壁部72aが交差した状態で一体に連設された連結本体部72と、一対の前記壁部72aのそれぞれから突出するとともに前記貫通孔に嵌合される筒状の連結嵌合部73を備え、前記連結嵌合部73は、一対の前記壁部72aの各外面から突出して外側に開口している外側筒部73a及び一対の前記壁部の各内面から突出して内側に向かって開口している内側筒部の少なくともいずれかを有している。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に貫通孔が形成された矩形状の2枚の板状部材を互いに交差した状態で連結するための連結部材であって、
互いに交差した状態の2枚の前記板状部材の連結部分に配置され、
一対の薄板状の壁部が交差した状態で一体に連設された連結本体部と、一対の前記壁部のそれぞれから突出するとともに前記貫通孔に嵌合される筒状の連結嵌合部を備え、
前記連結嵌合部は、一対の前記壁部の各外面から突出して外側に開口している外側筒部及び一対の前記壁部の各内面から突出して内側に向かって開口している内側筒部の少なくともいずれかを有していることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
合成樹脂材料で成形されていることを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記連結部材と、前記連結部材に嵌合される固定部材を備え、
前記固定部材は、前記外側筒部及び前記内側筒部に嵌合される筒部と、前記外側筒部及び前記内側筒部より大径の鍔部を備えていることを特徴とする連結具。
【請求項4】
前記外側筒部及び前記内側筒部の前記壁部からの突出長は、前記固定部材の前記筒部の軸方向の長さより短いことを特徴とする請求項3に記載の連結具。
【請求項5】
前記外側筒部及び前記内側筒部の前記壁部からの突出長は、1mm以上10mm以下であり、
前記固定部材の前記筒部の軸方向の長さは、前記板状部材の厚み以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の連結具。
【請求項6】
前記外側筒部及び前記内側筒部の内面には雌ネジが形成されているとともに、前記筒部の外面には雌ネジが形成されていることを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の板状部材を連結するための連結部材、及び連結部材を備えた連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時等の非常時に地域の体育館や公民館等に避難した住民のために、広いスペースを適宜間仕切りしてプライベート空間を確保することが一般的になっている。プライベート空間の確保は、プライバシーを保護して安心して過ごすことができる観点から有効であるだけでなく、各種感染症に対する感染抑制の観点からも有効である。
【0003】
特許文献1には、広いスペースを間仕切りするために、側辺近傍に連結用の小孔を形成した矩形状の間仕切り板を、連結具で連結することが記載されている。ここでは、連結具の一例として、2枚の間仕切り板を直交状態で連結するコーナージョイント構造に適用するものが開示されている。間仕切り板の側辺には、取付孔が形成された側枠部材が取り付けられている。連結具は、取付孔内に取り付けられて2枚の間仕切り板を直交状態で連結する。
【0004】
特許文献1に記載される連結具は、連結部材と固定部材を備えている。連結部材は、直交状態で接続固定された一対の取付杆を有している。取付杆の先端には、上方及び側方に開放された係合溝が形成され、基端には鍔部が形成されている。また、固定部材の先端には、一対の側壁が形成されている。側壁間には、取付杆の係合溝に係合する係合軸が架け渡されている。
【0005】
一対の間仕切り板を連結する際には、まず、連結部材の取付杆の一方を、隣接する一方の間仕切り板の取付孔内に外端縁部から挿入する。取付孔内に挿入された取付杆は、鍔部が取付孔の外縁縁部に当接して、それ以上の挿入が規制される。その状態では、取付杆の先端の係合溝が取付孔の内端縁部から突出している。突出した係合溝に固定部材の係合軸を係合することで、一方の間仕切り板の側枠部材に連結具が固定される。
【0006】
続いて、連結部材の取付杆の他方を、隣接する他方の間仕切り板の取付孔内に外端縁部から挿入する。そして、一方の間仕切り板と同様に、取付孔の内端縁部から突出した連結部材の係合溝に、固定部材の係合軸を係合する。このようにして、間仕切り板を順次連結していけば、広いスペースを適宜な広さのプライベート空間に区画することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、災害時等の非常時には、地域の体育館や公民館等の公共のスペースに多くの住民が一度に避難してくる状況となる。そのため、間仕切り板を連結してプライベート空間を区画する際、連結作業に手間取ると、必要な空間の確保が遅くなってしまう。連結手順が誰にでも分かり易く、迅速に行えることが要求される。
【0009】
しかし、特許文献1に記載される連結具は、構造が比較的複雑である。そのため、連結作業に関する手順書を確認して、その構造を理解しながらでないと連結作業が難しい。また、連結部材の一対の取付杆を、一つずつ間仕切り板の取付孔内に挿入する必要があり、一度に2枚の間仕切り板を連結することができなかった。間仕切り板の迅速な連結作業が難しいといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の連結部材は、厚み方向に貫通孔が形成された矩形状の2枚の板状部材を互いに交差した状態で連結するための連結部材であって、互いに交差した状態の2枚の前記板状部材の連結部分に配置され、一対の薄板状の壁部が交差した状態で一体に連設された連結本体部と、一対の前記壁部のそれぞれから突出するとともに前記貫通孔に嵌合される筒状の連結嵌合部を備え、前記連結嵌合部は、一対の前記壁部の各外面から突出して外側に開口している外側筒部及び一対の前記壁部の各内面から突出して内側に向かって開口している内側筒部の少なくともいずれかを有している。
【0011】
上記の構成によれば、2枚の板状部材を交差した状態に保持し、板状部材の内側及び外側のいずれか一方から、連結部材の連結嵌合部を各板状部材の貫通孔内に挿入すれば、2枚の板状部材を連結することができる。このとき、2枚の板状部材を、連結本体部の壁部と同程度の角度で交差するように保持すれば、2枚の板状部材の貫通孔内に、一対の壁部のそれぞれから突出された2つの連結嵌合部を一度に挿入することもできる。一対の板状部材を一度に連結することが可能である。なお、一度に挿入するとの「一度」とは、一工程のことであり、2枚の板状部材の貫通孔内に、連結嵌合部を同時に挿入する場合、順次挿入する場合の両方を含む。以下、同様である。
【0012】
また、連結部材が、一対の薄板状の壁部が交差した状態で一体に連設された連結本体部を有しているため、2枚の板状部材を交差した状態で連結する際に、連結部材をどのように使用すればよいかを理解し易い。手順書等を確認しなくても、連結作業を行うことができる。複数枚の板状部材の連結作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数枚の板状部材の連結作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は本実施形態の立体構造物であるパーティションの斜視図、(b)、(c)は、(a)において一点鎖線で囲んだ領域の拡大図であり、パーティションの部分拡大斜視図。
【
図2】(a)~(c)はパーティションに使用する板状部材の斜視図。
【
図4】(a)、(b)は板状部材を構成する側辺部材の斜視図。
【
図5】板材を構成する中空構造体について説明する図であって、(a)は中空構造体の部分斜視図、(b)は(a)におけるγ-γ線断面図、(c)は(a)におけるσ-σ線断面図。
【
図6】(a)~(c)は中空構造体の成形工程について説明する図。
【
図7】側辺部材の分解斜視図であって、外側主面部材の全体斜視図。
【
図8】側辺部材の分解斜視図であって、内側主面部材の全体斜視図。
【
図9】(a)は、屈曲状連結部材の斜視図、(b)は屈曲状連結部材に取り付ける第1固定部材の斜視図。
【
図10】(a)は、屈曲状連結部材の側面図、(b)は屈曲状連結部材に取り付ける第1固定部材の側面図。
【
図11】直状連結部材の斜視図であって、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図。
【
図12】直状連結部材に取り付ける第2固定部材の斜視図であって、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面側から見た斜視図。
【
図14】パーティションの屈曲状連結部材による連結部分の位置での断面図であり、(a)は
図1(b)の14A-14Aでの断面図、(b)は
図1(b)の14B-14Bでの断面図。
【
図15】パーティションの直状連結部材による連結部分の位置での断面図であり、(a)は
図1(c)の15A-15Aでの断面図、(b)は
図1(c)の15B-15Bでの断面図。
【
図16】板状部材の適用例であるボールかごの斜視図。
【
図17】板状部材の適用例である運搬キャリーの斜視図。
【
図18】板状部材の適用例である壁面保護パネルについて説明する図。
【
図19】板状部材の適用例である簡易ベッドの斜視図。
【
図20】板状部材の適用例である簡易デスクの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の連結部材及び連結具を具体化した一実施形態について説明する。
本実施形態の連結部材及び連結具は、矩形状の複数枚の板状部材を連結して立体構造物を組み立てる際に使用する。ここで、立体構造物とは、板状部材が三次元的に組み付けられた構造物を言う。例えば、複数枚の板状部材を連結させて空間を仕切るパーティション、複数枚の板状部材を連結させたテーブル、ベッド、或いは、体育館等でボールやマット等を収容するための備品収納箱等が挙げられる。以下では、連結部材及び連結具を使用して、立体構造物としてのパーティションを組み立てる実施形態として説明する。
【0016】
図1(a)に示すように、本実施形態の立体構造物は、広いスペースを適宜の小スペースに区画するためのパーティション1である。パーティション1は、例えば、災害時等の非常時に体育館や公民館等に避難してきた住民に、プライバシーが確保された居住スペースを区画して提供するために使用される。
図1(a)に示すパーティション1は、高さ約1.8m、幅約3.6mの4つの側壁2を有しており、約3.6m四方のスペースを区画可能である。1つの側壁2の一部には、入口3が形成されている。
【0017】
パーティション1は、板状部材10、連結部材70、及び固定部材80を有している。パーティション1は、複数枚の矩形状の板状部材10が連結部材70で連結されて形成されている。固定部材80は、連結部材70に取り付けられている。連結部材70及び固定部材80が、請求項で規定する本発明の「連結具」に相当する。
【0018】
図2に示すように、本実施形態のパーティション1に使用される板状部材10には、形状、大きさの異なる3種類の板状部材10が存在する。
図2(a)に示す板状部材10aは、長辺の長さが約120cm、短辺の長さが約60cmの長方形板状である。
図2(b)に示す板状部材10bは、1辺の長さが約120cmの正方形板状である。
図2(c)に示す板状部材10cは、1辺の長さが約60cmの正方形板状である。いずれの板状部材10も、約3cmの厚みを有している。以下では、板状部材10a、10b、10cに共通の事項について説明するときには、単に板状部材10と言う場合がある。
【0019】
図1(a)に示すように、パーティション1で入口3が形成されていない側壁2は、3枚の板状部材10b、及び3枚の板状部材10aの連結により形成されている。側壁2の下側には、板状部材10bが幅方向に3枚連結され、各板状部材10bの上側には板状部材10aが連結されている。上側の板状部材10aは、長手方向が側壁2の幅方向に沿うように配置されている。
【0020】
また、入口3が形成されている側壁2は、3枚の板状部材10a、1枚の板状部材10b、及び2枚の板状部材10cの連結により形成されている。上側の板状部材10aは、長手方向が側壁2の幅方向に沿うように配置されている。下側の板状部材10aは、短手方向が側壁2の幅方向に沿うように配置されている。
【0021】
図2~
図4に示すように、板状部材10は、板材11と、板材11の側辺13に取り付けられた側辺部材31、61を有している。
図2(a)に示すように、板状部材10aは、長方形板状の板材11と、側辺部材31、61を有している。
図2(b)に示すように、板状部材10bは、正方形板状の板材11と側辺部材31、61を有している。
図2(c)に示すように、板状部材10cは、正方形板状の板材11と側辺部材31を有している。
【0022】
<板材11について>
板状部材10を構成する板材11は、後に説明する中空構造体12で形成されている。板材11は、中空構造体12を適宜の大きさに切り出すことによって形成されている。そのため、板状部材10a、10b、10cでは、板材11の形状、大きさが異なるのみで、板材11の基本となる中空構造体12の構成は同じである。また、板状部材10a、10bに取り付けられた側辺部材31は同一の部材であり、板状部材10a、10bに取り付けられた側辺部材61は同一の部材である。
【0023】
以下では、板状部材10のうち、
図2(a)に示す板状部材10aの板材11について説明する。
図3に示すように、板状部材10aを構成する板材11は、長側辺13aの長さが約120cm、短側辺13bの長さが約60cm、厚さ約3cmの長方形板状に形成されている。板材11の各側辺13には、板材11の主面に沿う方向に突出する凸部16が複数形成されている。板材11の長側辺13aには、4箇所の凸部16が形成され、板材11の短側辺13bには、2箇所の凸部16が形成されている。板材11の側辺13では、凸部16が形成されることにより、凸部16に対して主面に沿う方向に相対的に凹む凹部15が複数形成されている。
【0024】
板材11の相対する長側辺13aでは、凹部15の形成位置が異なっている。
図3に示す上側の長側辺13aでは、右側の短側辺13b側の端縁には凸部16が形成されている一方で、下側の長側辺13aでは、右側の短側辺13b側の端縁には凹部15が形成されている。具体的には、長側辺13aを
図3の左右方向に見たときに、上側の長側辺13aで凸部16が形成されている位置には、下側の長側辺13aには凹部15が形成されている。また、上側の長側辺13aで凹部15が形成されている位置には、下側の長側辺13aには凸部16が形成されている。同様に、短側辺13bを上下方向に見たときに、右側の短側辺13bで凸部16が形成されている位置には、左側の短側辺13bには凹部15が形成されている。また、右側の短側辺13bで凹部15が形成されている位置には、左側の短側辺13bには凸部16が形成されている。
【0025】
板材11には、厚み方向に貫通する貫通孔14が6箇所形成されている。貫通孔14は、長側辺13aの近傍であって、長側辺13aに沿う方向に2箇所ずつと、短側辺13bの近傍であって、短手方向の略中央部分に1箇所ずつ形成されている。
【0026】
<板材11を構成する中空構造体12について>
図5に示すように、板材11は、内部に六角柱形状のセルSが複数並設された板状の中空構造体12で構成されている。板材11は、従来公知の熱可塑性樹脂材料で形成されている。その材料は特に限定されない。その材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン等を挙げることができる。
【0027】
まず、板材11を構成する中空構造体12の構造について説明する。
図5(a)に示すように、中空構造体12は、内部に複数のセルSが並設されたコア層20と、コア層20の厚み方向両面に接合されたシート状のスキン層24、25とで構成されている。以下では、
図5において、中空構造体12の上側に示される主面を上面12aとし、下側に示される主面を下面12bとする。スキン層24は、中空構造体12の上面12a側に接合され、スキン層25は、中空構造体12の下面12b側に接合されている。
【0028】
図5(b)及び(c)に示すように、コア層20は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。コア層20は、上壁部21と、下壁部22と、上壁部21及び下壁部22の間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側壁部23とで構成されている。
【0029】
図5(a)に示すように、コア層20の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。
図5(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部23の上部に2層構造の上壁部21が設けられている。この2層構造の上壁部21の各層は互いに接合されている。また、第1セルS1においては、側壁部23の下部に1層構造の下壁部22が設けられている。一方、
図5(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部23の上部に1層構造の上壁部21が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部23の下部に2層構造の下壁部22が設けられている。この2層構造の下壁部22の各層は互いに接合されている。また、
図5(b)及び(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部23によって区画されている。
【0030】
図5(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う二つの第1セルS1が六角形の1辺を共有している。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う二つの第2セルS2が六角形の1辺を共有している。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層20は、全体としてハニカム構造をなしている。
【0031】
図5(a)~(c)に示すように、コア層20の上面にスキン層24が接合されていることにより、コア層20における側壁部23の上部は、コア層20の上壁部21及びスキン層24で閉塞されている。同様に、コア層20の下面にスキン層25が接合されていることにより、コア層20における側壁部23の下部は、コア層20の下壁部22及びスキン層25で閉塞されている。
【0032】
<板材11の製造方法について>
次に、板材11の製造方法について説明する。板材11の製造方法は、中空構造体12を製造する工程、及び中空構造体12から板材11を形成する切り出し工程を備えている。
【0033】
まず、中空構造体12を製造する工程について、
図6に従って説明する。
中空構造体12を製造する工程は、熱可塑性樹脂製の1枚の平坦シート材から所定の凹凸形状を有する凹凸シート材100を成形する成形工程、凹凸シート材100を折り畳んでコア層20を形成する折り畳み工程、コア層20の両主面にスキン層24、25を接合する接合工程を備えている。
【0034】
図6(a)に示すように、成形工程では、1枚の熱可塑性樹脂製の平坦シート材を所定の形状に成形して凹凸シート材100を形成する。凹凸シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、凹凸シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0035】
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
【0036】
なお、凹凸シート材100は、熱可塑性樹脂製の平坦シート材の塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、凹凸シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚の平坦シート材から成形することができる。
【0037】
図6(a)及び(b)に示すように、折り畳み工程では、上記のように構成された凹凸シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層20を形成する。具体的には、凹凸シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、
図6(b)及び(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層20が形成される。なお、この実施形態では、凹凸シート材100を折り畳むために圧縮する方向が、セルSが並設される方向(X方向)である。
【0038】
上記のように凹凸シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層20の上壁部21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層20の下壁部22が形成される。なお、
図6(c)に示すように、上壁部21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
【0039】
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部23を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部23を構成する。
【0040】
そして、膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が第1セルS1の2層構造をなす側壁部23となり、第2膨出部122の上面同士の当接部位が第2セルS2の2層構造をなす側壁部23となる。
【0041】
図6(c)に示すように、第1セルS1では、一対の重ね合わせ部131によってその上部が区画され、第2セルS2では、一対の重ね合わせ部131によってその下部が区画されている。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、凹凸シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
【0042】
接合工程では、折り畳み工程で得られたコア層20の上面及び下面に、それぞれ熱可塑性樹脂製のシート材を熱溶着により接合する。コア層20の上面に接合されたシート材はスキン層24となり、コア層20の上壁部21と共に側壁部23の上部を閉塞する閉塞壁を構成する。コア層20の下面に接合されたシート材は、スキン層25となり、コア層20の下壁部22と共に側壁部23の下部を閉塞する閉塞壁を構成する。
【0043】
なお、シート材(スキン層24、25)をコア層20に熱溶着する際には、第1セルS1における2層構造の上壁部21(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。同様に、第2セルS2における2層構造の下壁部22(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。
【0044】
接合工程により、X方向に第1セルS1又は第2セルS2がそれぞれ列を成すように多数並設され、Y方向に第1セルS1及び第2セルS2が交互に多数並設された中空構造体12が得られる。
【0045】
続いて、中空構造体12から板材11を形成する切り出し工程について説明する。
まず、中空構造体12を所定の大きさに切り出す。
図2(a)及び
図3に示す板材11の場合、中空構造体12を、約60cm×約120cmの大きさに切り出す。板材11には、凹部15及び凸部16が形成された形状に切り出す。
【0046】
その後、切り出した中空構造体12を図示しない貫通治具の下に配置する。貫通治具は、中空構造体12の上面12aに対して直交する方向に上下移動可能に設置されている。貫通治具を中空構造体12に向かって下降させることにより、中空構造体12に貫通孔14を形成する。
【0047】
以上の各工程を経て、板材11が得られる。
<側辺部材31、61について>
図4(a)及び(b)に示すように、板材11の側辺13に取り付けられた側辺部材31、61は、形状の異なる側辺部材31及び側辺部材61の2種類で構成されている。側辺部材31及び側辺部材61は、従来公知の熱可塑性樹脂材料で形成されている。その材料は特に限定されない。その材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン等を挙げることができる。
【0048】
図2(a)に示す板状部材10aでは、右側の短側辺に側辺部材31が取り付けられ、左側の短側辺には、右側とは上下反対にした状態で側辺部材31が取り付けられている。また、上側の長側辺には、右側から側辺部材31、側辺部材61の順で取り付けられ、下側の長側辺には、右側から側辺部材61、側辺部材31の順で取り付けられている。側辺部材31、61は、板材11に取り付けられた状態で、板状部材10の相対する側辺に互い違いに凹部17と凸部18が形成されて、凹部17と凸部18が係合可能となるように、その形状、寸法が設定されている。
図13に示すように、以下では、側辺部材31、61が取り付けられることによって板状部材10の側辺に形成された凹部及び凸部を、凹部17及び凸部18と言う。
【0049】
図4(a)は、板材11の側辺13に取り付けられた状態の側辺部材31を、側辺部材61及び板材11を省略した状態で示している。側辺部材31は、長尺状の本体部32と、本体部32の長手方向中間部から突出する嵌合部33を有している。
【0050】
本体部32には、2つの凹部35a、35bが形成されている。凹部35a、35bは、本体部32において嵌合部33とは反対側の部分に、嵌合部33に向けて凹む形状に形成されている。凹部35a、35bが形成されることにより、本体部32における嵌合部33とは反対側の部分には、凹部35a、35bに対して相対的に突出する2つの凸部34a、34bが形成されている。また、本体部32の長手方向端部には、嵌合部33側に向かって突出する薄板状の係止部38が形成されている。
【0051】
嵌合部33は、円環状の一対の基部36と、一対の基部36の間で側辺部材31の厚み方向に延びる筒部37を有している。基部36の外面は、本体部32の外面と面一となっている。筒部37は、基部36の内周縁から基部36に対して直交するように延びている。
【0052】
図7及び
図8に示すように、側辺部材31は、外側主面部材41と内側主面部材51に分割可能である。側辺部材31は、外側主面部材41と内側主面部材51とが係合することにより板材11に取り付けられている。外側主面部材41は、パーティション1の外面側となる面に取り付けられ、内側主面部材51は、パーティション1の内面側となる面に取り付けられて、側辺部材31を形成する。
【0053】
図7に示すように、側辺部材31の外側主面部材41は、長尺状の外側主面本体部42と、外側主面本体部42の長手方向中間部から突出する外側主面嵌合部43を有している。外側主面本体部42は、薄板状の外側主面端板45aと外側主面側板45bを有している。外側主面端板45aと外側主面側板45bは、互いに直交するように一体に連設されている。
【0054】
外側主面側板45bの内面には、長手方向に並ぶように複数の返し付き突起48が形成されている。外側主面側板45bの長手方向端部には、外側主面側板45bに沿う方向に延びて、外側主面嵌合部43側に突出する上述の係止部38が一体に形成されている。
【0055】
図7に示すように、外側主面側板45bは長手方向に同じ幅で連続して形成されている。一方、外側主面端板45aは、長手方向に部分的に分断された形状に形成されている。外側主面端板45aが分断された部分には、外側主面端板45aの分断端部から外方に突出するように、薄板材からなる外側主面凸部44a、44bが形成されている。外側主面凸部44a、44bの長手方向の両側面には、短手方向に延びる係合突起46がそれぞれ形成されている。
【0056】
図7に示すように、外側主面嵌合部43は、外側主面側板45bに沿う方向に突出する上述の基部36と、基部36に直交する方向に突出する円筒状の外側主面筒部47を有している。外側主面筒部47の基部36からの突出長は、外側主面端板45aの短手方向の幅の2倍より少し短い。外側主面筒部47の先端には、複数箇所に係合突起47aが形成されている。係合突起47aは、外側主面筒部47の径方向内方に弾性変形可能である。
【0057】
図8に示すように、内側主面部材51は、長尺状の内側主面本体部52と、内側主面本体部52の長手方向中間部から突出する内側主面嵌合部53を有している。内側主面部材51は、外側主面部材41と対称の形状であって、基本的な形状は外側主面部材41と同様である。
【0058】
内側主面本体部52は、薄板状の内側主面端板55aと内側主面側板55bを有している。内側主面端板55aと内側主面側板55bは、互いに直交するように一体に連設されている。内側主面側板55bの内面には、外側主面側板45bと同様に、長手方向に並ぶように図示しない複数の返し付き突起48が形成されている。内側主面側板55bの長手方向端部には、内側主面側板55bに沿う方向に突出する上述の係止部38が一体に形成されている。
【0059】
図8に示すように、内側主面側板55bは長手方向に同じ幅で連続して形成されている。一方、内側主面端板55aは、外側主面端板45aと同様に、長手方向に部分的に分断された形状に形成されている。内側主面端板55aが分断された部分では、内側主面端板55aの分断端部から外方に突出するように、薄板材からなる内側主面凸部54a、54bが形成されている。内側主面凸部54a、54bの長手方向の両側面には、係合凹部56がそれぞれ形成されている。
【0060】
図8に示すように、内側主面嵌合部53は、内側主面側板55bに沿う方向に突出する上述の基部36と、基部36に直交する方向に突出する円筒状の内側主面筒部57を有している。内側主面筒部57の基部36からの突出長は、内側主面端板55aの短手方向の幅の2倍より少し短い。また、内側主面筒部57の内径は、外側主面筒部47の外径より僅かに大きい。
【0061】
内側主面筒部57の基端には、外側主面筒部47の係合突起47aと係合する複数の係合凹部57aが形成されている。係合凹部57aは、内側主面筒部57の内面から径方向外方に凹んでいる。
【0062】
図4に示すように、側辺部材31は、外側主面部材41及び内側主面部材51が係合することにより形成されている。外側主面部材41と内側主面部材51とが係合すると、外側主面本体部42及び内側主面本体部52により、側辺部材31の本体部32が形成される。外側主面凸部44a、44b及び内側主面凸部54a、54bにより、側辺部材31の凸部34a、34bが形成される。外側主面端板45a及び内側主面端板55aにより、側辺部材31の凹部35a、35bが形成される。このとき、外側主面凸部44a、44bに形成された係合突起46が、内側主面凸部54a、54bに形成された係合凹部56に係合している。そして、本体部32の内部には、板材11の側辺13を収容するための収容空間が形成される。本体部32の厚み方向の内寸は、約3cmである。
【0063】
また、外側主面筒部47及び内側主面筒部57により、側辺部材31の筒部37が形成されて、嵌合部33となる。外側主面筒部47の基部36からの突出長が、外側主面端板45aの短手方向の幅の2倍より少し短く、内側主面筒部57の基部36からの突出長が、内側主面端板55aの短手方向の幅の2倍より少し短い。また、内側主面筒部57の内径は、外側主面筒部47の外径より僅かに大きい。そのため、
図4(a)、
図14(a)、及び
図15(a)に示すように、側辺部材31の嵌合部33では、内側主面筒部57の内部に外側主面筒部47が収容されて、筒部37が形成される。また、
図4(a)、
図14(b)、及び
図15(b)に示すように、外側主面筒部47の係合突起47aが、内側主面筒部57の係合凹部57aに係合している。
【0064】
図4(b)に示すように、側辺部材61は、長尺状の本体部62と、本体部62の長手方向中間部から突出する嵌合部63を有している。側辺部材61は、本体部62の形状が、側辺部材31の本体部32の形状と少し異なっている。
【0065】
側辺部材61の本体部62における嵌合部63とは反対側の部分には、嵌合部63に向けて凹む形状の3つの凹部65a、65b、65cが形成されている。凹部65a、65b、65cが形成されることにより、本体部62における嵌合部63とは反対側の部分には、凹部65a、65b、65cに対して相対的に突出する2つの凸部64a、64bが形成されている。側辺部材61では、側辺部材31の係止部38に相当する部分は形成されていない。
【0066】
嵌合部63は、環状の一対の基部66と、一対の基部66の間で側辺部材61の厚み方向に延びる筒部67を有している。基部66の外面は、本体部62の外面と面一となっている。
【0067】
側辺部材61も、側辺部材31と同様に、パーティション1の外面側に取り付けられる外側主面部材及び内側主面部材に分割可能である。そして、側辺部材31と同様の係合関係で組み付けられ、その基本的な構造は側辺部材31と同様である。そのため、側辺部材61を構成する外側主面部材及び内側主面部材についての説明は省略する。
【0068】
次に、板材11に側辺部材31を取り付けた状態について説明する。
側辺部材31は、板材11の側辺13に対して、パーティション1の外側となる主面から外側主面部材41を組み付けるとともに、パーティション1の内側となる主面から内側主面部材51を組み付けることにより取り付けられている。外側主面部材41及び内側主面部材51は、係合突起46と係合凹部56との係合、係合突起47aと係合凹部57aとの係合により、板材11の側辺13に固定されている。
【0069】
本体部32の内部に形成された収容空間には、板材11の側辺13が収容されている。板材11の側辺13に形成された凸部16は、側辺部材31の凸部34a、34b内に収容されている。板材11の凹部15の端面には、外側主面端板45a及び内側主面端板55aが当接している。また、パーティション1の外面となる板材11の主面には、外側主面側板45bの内面が当接し、パーティション1の内面となる板材11の主面には、内側主面側板55bの内面が当接している。つまり、板材11の側辺13の端部は、外側主面側板45bと内側主面側板55bとの間で挟み込まれた状態となっている。そして、板材11の両主面では、外側主面側板45bの内面及び内側主面側板55bの内面に形成された返し付き突起48が、板材11を構成する中空構造体12のセルS内に挿入されている。
【0070】
板材11の貫通孔14内には、側辺部材31の嵌合部33の筒部37が嵌合している。そして、嵌合部33の基部36の内面が板材11の両主面に当接している。
<側辺部材31、61の寸法について>
側辺部材31、61は、板材11に取り付けられた状態で、板状部材10の相対する側辺に互い違いに凹部17と凸部18が形成されて、凹部17と凸部18が係合可能となるように、その形状、寸法が設定されている。
【0071】
図4(a)に示すように、側辺部材31の凸部34aの長手方向の長さL1は、凹部35aの長手方向の長さL3にほぼ等しい。凸部34bの長手方向の長さL2は、凸部34aの長手方向の長さL1の3/4倍にほぼ等しい。凹部35bの長手方向の長さL4は、凸部34aの長手方向の長さL1の1/2倍にほぼ等しい。本体部32の凸部34b側の端面から係止部38の端縁までの長さL5は、凸部34aの長手方向の長さL1の1/4倍にほぼ等しい。
【0072】
凹部35a、35bでの本体部32の幅D1は、凸部34a、34bでの本体部32の幅D2の1/2倍にほぼ等しい。凸部34a、34bに対する凹部35a、35bの深さD3は、凸部34a、34bでの本体部32の幅D2の1/2倍にほぼ等しく、凹部35a、35bでの本体部32の幅D1にほぼ等しい。凹部35a、35bでの本体部32の幅D1は、凸部34aの長手方向の長さL1の1/4倍にほぼ等しい。
【0073】
側辺部材61の凸部64aの長手方向の長さL6は、凸部64bの長手方向の長さL7にほぼ等しい。側辺部材61の凸部64aの長手方向の長さL6及び凸部64bの長手方向の長さL7は、側辺部材31の凸部34aの長手方向の長さL1にほぼ等しい。
【0074】
側辺部材61の凹部65bの長手方向の長さL8は、凸部64aの長手方向の長さL6にほぼ等しい。凹部65bの長手方向の長さL9は、凹部65cの長手方向の長さL10にほぼ等しい。凹部65bの長手方向の長さL9及び凹部65cの長手方向の長さL10は、凸部64aの長手方向の長さL6の1/2倍にほぼ等しい。
【0075】
凹部65a、65b、65cでの本体部62の幅D4は、凸部64a、64bでの本体部62の幅D5の1/2倍にほぼ等しい。凸部64a、64bに対する凹部65a、65b、65cの深さD6は、凸部64a、64bでの本体部62の幅D5の1/2倍にほぼ等しく、凹部65a、65b、65cでの本体部62の幅D4にほぼ等しい。凹部65a、65b、65cでの本体部62の幅D4は、凸部64aの長手方向の長さL6の1/4倍にほぼ等しい。
【0076】
<板状部材10a、10b、10cについて>
図2及び
図3に示すように、板状部材10は、板材11の側辺13に、側辺部材31、61が取り付けられて形成されている。側辺部材31、61が取り付けられることにより、側辺部材31、61に形成された凸部34a、34b、64a、64bが、板状部材10の凸部18となる。また、側辺部材31、61に形成された凹部35a、35b、65a、65b、65cが、板状部材10の凹部17となる。
【0077】
図13に示すように、板状部材10の側辺に形成された凸部18は、側辺部材31の凸部34a、34b、側辺部材61の凸部64a、64bである。また、板状部材10の側辺に形成された凹部17は、側辺部材31の凹部35a。側辺部材61の凹部65aだけでなく、例えば、側辺部材31の凹部35b及び側辺部材61の凹部65bからなるもの、側辺部材61の凹部65c及び側辺部材31の凸部34b側端部からなるものが存在する。
【0078】
図2(a)及び
図13に示す板状部材10aは、右側の短側辺に側辺部材31が取り付けられ、左側の短側辺には、右側とは上下反転にした状態で側辺部材31が取り付けられている。また、上側の長側辺には、右側から側辺部材31、側辺部材61の順で取り付けられ、下側の長側辺には、右側から側辺部材61、側辺部材31の順で取り付けられている。
【0079】
図13に示すように、板状部材10aの長側辺では、側辺部材61の凸部64a、64b、側辺部材31の凸部34a、34bにより凸部18が形成されている。そして、側辺部材31の凸部34b側の端面と側辺部材61の凹部65c、凹部65b、凹部65bと側辺部材31の凹部35b、凹部35aにより凹部17が形成されている。
【0080】
ここで、側辺部材61の凸部64aの長手方向の長さL6、凸部64bの長手方向の長さL7、側辺部材31の凸部34aの長手方向の長さL1はすべてほぼ等しい。また、側辺部材31の凸部34bの長手方向の長さL2は、凸部34aの長手方向の長さL1の3/4倍にほぼ等しく、側辺部材61の凸部34a、34bに対する凹部35a、35bの深さD3は、凸部34aの長手方向の長さL1の1/4倍にほぼ等しい。そのため、短側辺が上下方向に延びるように板状部材10aを立てると、板状部材10aの一方の短側辺では、地面からほぼ等しい長さH1で、凹部17と凸部18が順に形成されていることになる。また、他方の長側辺では、地面からほぼ等しい長さH2で、凸部18と凹部17が順に形成されていることになる。そして、一方の短側辺での長さH1と他方の短側辺での長さH2はほぼ等しい。つまり、一方の短側辺と他方の短側辺では凸部18と凹部17の位置が異なり互い違いになる。
【0081】
これは板状部材10aの長側辺が上下方向に延びるように立てた場合にも同様である。また、板材11に側辺部材31、61を取り付けた板状部材10b、10cでも、凸部18と凹部17の形成位置、寸法の関係は同様である。
【0082】
<連結部材70について>
次に、固定部材80とともに板状部材10を連結する連結部材70について説明する。連結部材70は、パーティション1の内側から、板状部材10の側辺部材31、61に取り付けられて、板状部材10を連結する。
【0083】
図9(a)及び
図11に示すように、本実施形態の連結部材70には、L字状に屈曲した屈曲状連結部材71と、直状に延びる直状連結部材75の2種類が存在する。
図1(a)及び(b)に示すように、屈曲状連結部材71は、パーティション1の隣り合う側壁2の境界部分で、板状部材10同士を90゜の角度をなすように連結するための部材である。屈曲状連結部材71は、直角に連結される板状部材10の連結部分の内側に配置される。また、
図1(a)及び(c)に示すように、直状連結部材75は、パーティション1の側壁2で、板状部材10同士を平面状に連結するための部材である。直状連結部材75は、平面状に連結される板状部材10の連結部分の内側に配置される。屈曲状連結部材71が、請求項で規定する本発明の「連結部材」に相当する。なお、屈曲状連結部材71と直状連結部材75をまとめて連結部材70と言う場合がある。
【0084】
連結部材70は、従来公知の合成樹脂材料で形成されている。その材料は特に限定されない。その材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン等の熱可塑性樹脂材料を挙げることができる。連結部材70が合成樹脂材料で形成されていることで、ある程度の弾力を有している。
【0085】
図9(a)に示すように、屈曲状連結部材71は、連結本体部72と連結嵌合部73を有している。連結本体部72は、一対の薄板状の壁部72aが直交した状態で一体に連設された形状に形成されている。連結本体部72には、一対の壁部72aの間を連結する形状の把持部74が一体に形成されている。把持部74は、屈曲状連結部材71を補強するとともに、連結作業時に使用者が持つことのできる部分となる。
【0086】
連結嵌合部73は、連結本体部72の壁部72aの外面から垂直に突出して外側に開口している円筒部73aと、壁部72aの内面から垂直方向に凹む有底円筒部73bを備えている。
図10(a)に示すように、円筒部73a及び有底円筒部73bの外径はほぼ同一であり、内径は同一である。円筒部73a及び有底円筒部73bからなる連結嵌合部73は、全体で有底円筒状をなしている。連結嵌合部73の外径N1は、外側主面部材41の外側主面筒部47の内径より僅かに小さい。円筒部73aが、請求項で規定する本発明の「外側筒部」に相当する。
【0087】
図9(a)に示すように、連結嵌合部73の内周面には、雌ネジ73cが形成されている。雌ネジ73cは、連結嵌合部73の内周面全体に亘って形成されている。すなわち、雌ネジ73cは、円筒部73aから有底円筒部73bに亘って連続して形成されている。
【0088】
図10(a)に示すように、連結本体部72からの円筒部73aの突出長、すなわち、連結嵌合部73の壁部72aからの突出長M1は、外側主面筒部47の基部36からの突出長、内側主面筒部57の基部36からの突出長より短い。突出長M1は、約1mm以上10mm以下であることが好ましく、約5mm以上10mm以下であることがより好ましい。突出長M1がこの範囲であると、90゜の角度をなすように配置された2枚の板状部材10に取り付けられた側辺部材31、61の筒部37、67内に、連結嵌合部73を挿入し易い。板状部材10同士の連結作業がし易い。
【0089】
図11(a)に示すように、直状連結部材75は、連結本体部76と連結嵌合部77を有している。連結本体部76は、薄板状の平坦な壁部76aで形成されている。壁部76aの一方の面には、把持部78が一体に形成されている。把持部78は、直状連結部材75を補強するとともに、連結作業時に使用者が持つことのできる部分となる。
【0090】
図11(b)に示すように、連結嵌合部77は、連結本体部76の壁部76aの他方の面から垂直に突出する円筒状に形成されている。連結嵌合部77の先端には、複数箇所に係合突起77aが形成されている。係合突起77aは、連結嵌合部77の径方向内方に弾性変形可能である。連結嵌合部77の基端には、連結嵌合部73の周方向の複数箇所を切り欠いた形状の係合凹部77bが形成されている。
【0091】
連結嵌合部77の外径は、外側主面部材41の外側主面筒部47の内径より僅かに小さい。連結嵌合部77の外径は、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の外径とほぼ等しい。また、連結嵌合部77の連結本体部76からの突出長は、外側主面筒部47の基部36からの突出長、内側主面筒部57の基部36からの突出長より少し長い。連結嵌合部77の連結本体部76からの突出長は、連結嵌合部73の連結本体部72からの突出長とほぼ等しい。
【0092】
<固定部材80について>
次に、連結部材70に取り付けられて、連結部材70とともに板状部材10を連結する固定部材80について説明する。固定部材80は、パーティション1の内側から取り付けられた連結部材70に対して、パーティション1の外側から取り付けられる。
【0093】
図9(b)及び
図12に示すように、本実施形態の固定部材80には、屈曲状連結部材71に取り付けられる第1固定部材81と、直状連結部材75に取り付けられる第2固定部材85の2種類が存在する。屈曲状連結部材71に取り付けられる第1固定部材81が請求項で規定する本発明の「固定部材」に相当する。なお、第1固定部材81と第2固定部材85をまとめて固定部材80と言う場合がある。
【0094】
固定部材80は、従来公知の合成樹脂材料で形成されている。その材料は特に限定されない。その材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン等の熱可塑性樹脂材料を挙げることができる。
【0095】
図9(b)に示すように、第1固定部材81は、鍔部82と筒部83を有している。鍔部82は、円形薄板状に形成されている。鍔部82の一方の面には、把持部84が一体に形成されている。把持部84は、第1固定部材81を補強するとともに、連結作業時に使用者が持つことのできる部分となる。把持部84は平板状に形成され、鍔部82からの突出長は、筒部83の鍔部82からの突出長の半分又は2/3以下である。
【0096】
図9(b)及び
図10(b)に示すように、筒部83は、鍔部82の他方の面から垂直に突出する円筒状に形成されている。筒部83の基端側には、相対的に大径の大径部83aが形成され、先端側には、相対的に小径の小径部83bが形成されている。小径部83bの外周面には、雄ネジ83cが形成されている。
【0097】
図10(a)及び(b)に示すように、筒部83の大径部83aの外径N2は、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の外径N1とほぼ等しい。つまり、筒部83の大径部83aの外径N2は、外側主面部材41の外側主面筒部47の内径より僅かに小さい。また、筒部83の鍔部82からの突出長M2は、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の壁部72aからの突出長M1より長い。突出長M2、すなわち、筒部83の軸方向の長さは、板状部材10の厚みとほぼ等しい。
【0098】
図12(a)に示すように、第2固定部材85は、鍔部86と筒部87を有している。鍔部86は、円形薄板状に形成されている。鍔部86の一方の面には、把持部88が一体に形成されている。把持部88は、第2固定部材85を補強するとともに、連結作業時に使用者が持つことのできる部分となる。
【0099】
図12(b)に示すように、筒部87は、鍔部86の他方の面から垂直に突出する円筒状に形成されている。筒部87の先端には、複数箇所に係合突起87aが形成されている。係合突起87aは、筒部87の径方向内方に弾性変形可能である。筒部87の基端には、筒部87の周方向の複数箇所を切り欠いた形状の係合凹部87bが形成されている。
【0100】
筒部87の外径は、直状連結部材75の連結嵌合部77の内径より僅かに小さい。また、筒部87の鍔部86からの突出長は、直状連結部材75の連結嵌合部77の連結本体部76からの突出長とほぼ等しい。
【0101】
<パーティション1の組み立て方法について>
次に、板状部材10、連結部材70、及び固定部材80を使用して、パーティション1を組み立てる方法について、屈曲状連結部材71及び第1固定部材81を中心とした各部材の作用とともに説明する。
【0102】
最初に、
図1に示すパーティション1の隣り合う側壁2の端部同士の板状部材10を連結する。隣り合う側壁2の下側には、
図2(b)に示す板状部材10bが連結されていることから、まず、2枚の板状部材10bを準備する。
【0103】
板状部材10bの相対する側辺では、凸部18と凹部17が互い違いに形成された状態となっている。2枚の板状部材10bの側辺が上下方向に延びるように立設状態に保持して、それらが互いに交差するように側辺同士を突き合わせると、一方の板状部材10bの側辺の凸部18が他方の板状部材10bの側辺の凹部17の位置にくる。
【0104】
板状部材10bの側辺に形成された凹部17の長手方向の長さはすべてほぼ等しく、凸部18の長手方向の長さはすべてほぼ等しい。そのため、一方の板状部材10bの凹部17に、他方の板状部材10bの凸部18を嵌め合わせることができる。これにより、2枚の板状部材10b同士が係合して仮止めされた状態となる。
【0105】
続いて、2枚の板状部材10bがほぼ直交するような状態に位置調整する。位置調整は、各側辺に取り付けられた側辺部材31の内側主面部材51が直交する2枚の板状部材10bの内側に位置し、外側主面部材41が直交する2枚の板状部材10bの外側に位置するように行う。そして、直交した状態の2枚の板状部材10bの内側から、板状部材10bの側辺部材31、61の筒部37、67内に、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の円筒部73aを挿入して取り付ける。
【0106】
屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の壁部72aからの突出長M1は、外側主面筒部47の基部36からの突出長、内側主面筒部57の基部36からの突出長より短く、約1mm以上10mm以下である。そのため、2枚の板状部材10bがほぼ直交するような状態であっても、2枚の板状部材10bの側辺部材31、61の筒部37、67内に、屈曲状連結部材71の両側の円筒部73aを一度に挿入することができる。また、屈曲状連結部材71は、合成樹脂材料で成形されていて、ある程度の弾性を有している。そのため、大きな力を要することなく、筒部37、67内への挿入が容易である。屈曲状連結部材71を取り付けることにより、2枚の板状部材10bは、直交した状態に保持される。屈曲状連結部材71には、把持部74が形成されて補強されているが、連結嵌合部73の円筒部73aの壁部72aからの突出長M1が短いことで、筒部37、67への挿入が容易である。
【0107】
続いて、屈曲状連結部材71が取り付けられた板状部材10bの外側から、連結嵌合部73内に第1固定部材81の筒部83を挿入して取り付ける。
図14(a)に示すように、第1固定部材81は、筒部83の外周面に形成された雄ネジ83cが、第1固定部材81の連結嵌合部73の内周面に形成された雌ネジ73cに螺合することで取り付けられる。これにより、屈曲状連結部材71に第1固定部材81が固定される。
【0108】
第1固定部材81の筒部83の鍔部82からの突出長M2は、板状部材10の厚みとほぼ等しい。そのため、
図14(b)に示すように、屈曲状連結部材71に第1固定部材81が固定された状態では、第1固定部材81の鍔部82の内面が、外側主面部材41の基部36の外面に当接する。また、屈曲状連結部材71の壁部72aの内面が、内側主面部材51の基部36の外面に当接する。これにより、屈曲状連結部材71及び第1固定部材81は、ガタつくことなく、板状部材10に固定される。2枚の板状部材10の連結状態が安定する。
【0109】
図10及び
図14(b)に示すように、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の外径N1及び第1固定部材81の筒部83の大径部83aの外径N2は、外側主面部材41の外側主面筒部47の内径より僅かに小さい。そのため、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73及び第1固定部材81の大径部83aは、外側主面筒部47の内面に当接した状態で、外側主面筒部47内に挿入されている。これにより、連結された2枚の板状部材10bのガタつきが抑制され、連結状態が安定する。
【0110】
また、
図14(a)に示すように、第1固定部材81の筒部83の小径部83bの外径は、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の円筒部73aの内径より小さく、雄ネジ83cと雌ネジ73cとが螺合している。そのため、第1固定部材81の筒部83の小径部83bでは、その外面に、連結嵌合部73の内面が当接している。
【0111】
このように、屈曲状連結部材71による連結部分では、側辺部材31、61の嵌合部33、63と、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の円筒部73aと、第1固定部材81の筒部83の小径部83bとで4層の筒が形成されている。そして、筒を形成する各層がほぼ隙間なく当接している。また、各部材は、互いに係合や螺合することで固定されている。そのため、板状部材10a、10b、10cが強固に連結され、その連結状態が安定する。
【0112】
また、第1固定部材81を取り付けることにより、パーティション1の外側となる面では、板状部材10bに取り付けられた屈曲状連結部材71の連結嵌合部73が、第1固定部材81の鍔部82によって被覆される。これにより、連結嵌合部73がパーティション1の外面に露出せず、パーティション1の見栄えが良好になる。また、連結嵌合部73内への塵、埃等の侵入が抑制される。
【0113】
以上の連結作業により、2枚の板状部材10bが直交する状態で連結固定される。
続いて、側壁2の下側の板状部材10bを順に連結していく。側壁2の下側の板状部材10bは、先に連結した側壁2の端部同士の板状部材10bとは異なり、直状連結部材75及び第2固定部材85により連結していく。
【0114】
直状連結部材75により連結する2枚の板状部材10bは、互いに平面状となるように側辺同士を突き合わせて係合して仮止めする。そして、平面状をなす2枚の板状部材10bの内側から、板状部材10bの側辺部材31、61の嵌合部33、63内に、直状連結部材75の連結嵌合部77を挿入して取り付ける。直状連結部材75を取り付けることにより、2枚の板状部材10bは平面状に固定される。
【0115】
続いて、直状連結部材75が取り付けられた板状部材10bの外側から、連結嵌合部77内に第2固定部材85の筒部87を挿入して取り付ける。第2固定部材85の筒部87に形成された係合突起87aが直状連結部材75の連結嵌合部77に形成された係合凹部77bに係合する。また、直状連結部材75の連結嵌合部77に形成された係合突起77aが第2固定部材85の筒部87に形成された係合凹部87bに係合する。
【0116】
図15(a)に示すように、直状連結部材75の連結嵌合部77の外径は、外側主面部材41の外側主面筒部47の内径より僅かに小さい。そのため、連結嵌合部77は、外側主面筒部47の内面に当接した状態で、外側主面筒部47内に挿入されている。これにより、連結された2枚の板状部材10bのガタつきが抑制され、連結状態が安定する。
【0117】
また、第2固定部材85の筒部87の外径は、直状連結部材75の連結嵌合部77の内径より僅かに小さい。そのため、筒部87は、連結嵌合部77の内面に当接した状態で、連結嵌合部77内に挿入されている。これにより、直状連結部材75に取り付けた第2固定部材85のガタつきが抑制される。
【0118】
このように、直状連結部材75による連結部分では、側辺部材31、61の嵌合部33、63と、直状連結部材75の連結嵌合部77と、第2固定部材85の筒部87とで4層の筒が形成されている。そして、筒を形成する各層がほぼ隙間なく当接している。また、各部材は、互いに係合することで固定されている。そのため、板状部材10a、10b、10cが強固に連結され、その連結状態が安定する。
【0119】
第2固定部材85を取り付けることにより、パーティション1の外側となる面では、板状部材10bに取り付けられた直状連結部材75の連結嵌合部77が、第2固定部材85の鍔部86によって被覆される。これにより、連結嵌合部77がパーティション1の外面に露出せず、パーティション1の見栄えが良好になる。また、連結嵌合部77内への塵、埃等の侵入が抑制される。
【0120】
側壁2の下側の板状部材10b、入口3が形成された側壁2の下側の板状部材10a、10bも、同様の手順で連結していく。側壁2の下側の連結作業が終了したら、下側の板状部材10a、10bの上側にそれぞれ、同様の手順で、上側の板状部材10a、10cを連結していく。このようにして、パーティション1を組み立てることができる。
【0121】
<立体構造物としての他の形態への転用について>
本実施形態のパーティション1は、例えば、非常時に体育館や公民館等に避難してきた住民に、プライバシーが確保された居住スペースを区画して提供するために使用される。非常時等にパーティション1に使用される板状部材10、連結部材70、及び固定部材80を、非常時以外には、他の用途に使用することにより、その利便性が広がる。言い換えれば、通常時に他の用途で板状部材10等を使用し、非常時にパーティション1に組み替えることで、非常時等だけのために必要な部材を準備しておく必要性がなくなる。通常時から使用している部材を非常時等に転用することで、非常時等の専用品に掛かるコストを削減できるだけでなく、保管スペースを削減することができる。
【0122】
ここでは、他の形態への転用について説明する。
図16に示しているのは、例えば、学校の体育の授業で使用するボールを保管しておくためのボールかご4である。ボールかご4は、1枚の板状部材10a及び4枚の板状部材10bを屈曲状連結部材71で連結して形成されている。
【0123】
図17に示しているのは、例えば、学校の体育の授業で使用するマットMを保管したり、マットMを載せた状態で移動させたりする運搬キャリー5である。運搬キャリー5は、1枚の板状部材10bで形成されており、側辺部材31、61の嵌合部33、63の筒部37、67内に、キャスター5aが取り付けられている。
【0124】
図18に示しているのは、例えば、学校の体育館等の壁面に設置される壁面保護パネル6である。壁面保護パネル6は、複数枚の板状部材10bを直状連結部材75で連結して形成されている。体育の授業等で、体育館の壁面に向かってボールを投げることができる。また、体育の授業中に壁面に衝突した際の衝撃を吸収することができる。
【0125】
このように、通常時には、板状部材10、連結部材70、及び固定部材80を、体育館の備品として使用し、非常時には、これらの備品を構成する板状部材10、連結部材70、及び固定部材80を組み替えて、必要な立体構造物に転用することができる。
【0126】
非常時等の立体構造物としては、
図1に示すパーティション1以外にも、例えば、
図19に示す簡易ベッド7、
図20に示す簡易デスク8が挙げられる。簡易ベッド7は、6枚の板状部材10a及び2枚の板状部材10bを、連結部材70で連結して形成されている。また、簡易デスク8は、2枚の板状部材10a及び2枚の板状部材10cを連結部材70で連結して形成されている。
【0127】
例えば、地震、風水害等により多数の住民が体育館に避難してきた場合、体育館の備品として使用しているボールかご4、運搬キャリー5、壁面保護パネル6を搬出する。そして、これら備品を、構成部品である板状部材10、連結部材70、及び固定部材80に分解し、必要に応じて、パーティション1、簡易ベッド7、簡易デスク8等に組み替える。
【0128】
板状部材10の側辺には凹部17と凸部18が形成されている。そして、相対する側辺では、凹部17と凸部18が互い違いに形成されている。また、板状部材10aの長辺の長さは、板状部材10bの一辺の長さと等しく、板状部材10aの短辺の長さは、板状部材10cの一辺の長さと等しい。板状部材10aの長辺の長さは、短辺の長さの2倍である。
【0129】
そのため、例えば、板状部材10aの長辺を板状部材10bの一辺に組み付ければ、より大きな矩形状の平板を形成できることを理解し易い。同様に、板状部材10aの短辺を板状部材10cの一辺に組み付ければ、より大きな矩形状の平板を形成できることを理解し易い。これにより、同じ種類の板状部材10a、10b、10cの連結だけでなく、異なる種類の板状部材10a、10b、10cの連結も容易に行える。3種類の板状部材10a、10b、10cをパズルのように組み合わせれば、適宜の大きさの立体構造物を容易に形成することができる。また、係合状態を理解し易いことから、子供でも容易に組み立てることができる。
【0130】
屈曲状連結部材71は、一対の薄板状の壁部72aが直交した状態で一体に連設された形状の連結本体部72と、連結本体部72から垂直に突出する連結嵌合部73を有している。また、第1固定部材81は、屈曲状連結部材71に対して螺合により取り付けられている。屈曲状連結部材71及び第1固定部材81が簡略な形状を有しており、その取り付け方が理解し易い。また、螺合による取り付けであるため、他に道具を必要としない。
【0131】
本実施形態の屈曲状連結部材71、第1固定部材81によれば以下の効果が得られる。
(1)屈曲状連結部材71は、90゜をなすように配置された2枚の板状部材10の内側に配置される。屈曲状連結部材71は、一対の薄板状の壁部72aが直交した状態で一体に連設された連結本体部72と、壁部72aの外面から垂直に突出する筒状の連結嵌合部73を備えている。
【0132】
そのため、2枚の板状部材10を90゜をなすように保持した際に、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73を、板状部材10に取り付けられた側辺部材31、61の筒部37、67内に挿入すればよいことを理解し易い。手順書等を確認しなくても、板状部材10の連結作業を容易に行うことができる。複数枚の板状部材の連結作業性を向上させることができる。
【0133】
(2)屈曲状連結部材71は、合成樹脂材料で成形されており、ある程度の弾性を有している。
そのため、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73を筒部37、67内に挿入する際、壁部72aがある程度変形可能である。筒部37、67内への挿入に大きな力を要しない。これにより、2枚の板状部材10のそれぞれに対して、屈曲状連結部材71の両側の連結嵌合部73を一度に挿入することができる。板状部材10の連結作業を容易に、また迅速に行うことができる。
【0134】
(3)屈曲状連結部材71の円筒部73aの壁部72aからの突出長M1は、約1mm以上10mm以下である。
そのため、2枚の板状部材10bが90゜をなすように保持されていても、筒部37、67内に、屈曲状連結部材71の両側の円筒部73aを一度に挿入することが容易である。
【0135】
(4)2枚の板状部材10は、屈曲状連結部材71と第1固定部材81とからなる連結具により連結されている。第1固定部材81は、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73に嵌合される筒部83と、筒部83より大径の鍔部82を備えている。
【0136】
そのため、屈曲状連結部材71及び第1固定部材81の形状が簡易である。屈曲状連結部材71と第1固定部材81との固定方法を理解し易い。手順書等を確認することなく、連結作業を進めることができる。
【0137】
(5)屈曲状連結部材71の円筒部73aの壁部72aからの突出長M1は、第1固定部材81の筒部83の軸方向の長さより短い。
そのため、90゜をなすように配置された2枚の板状部材10のそれぞれに対して、屈曲状連結部材71の両側の連結嵌合部73を一度に挿入しつつ、第1固定部材81によりしっかり固定することができる。板状部材10の連結状態が安定する。また、連結作業を一人で行うことも可能である。
【0138】
(6)屈曲状連結部材71の円筒部73aの壁部72aからの突出長M1は、約1mm以上10mm以下であり、第1固定部材81の筒部83の鍔部82からの突出長M2は、板状部材10の厚みにほぼ等しい。そして、屈曲状連結部材71に第1固定部材81が固定された状態では、第1固定部材81の鍔部82の内面が、外側主面部材41の基部36の外面に当接している。また、屈曲状連結部材71の壁部72aの外面が、内側主面部材51の基部36の外面に当接している。
【0139】
そのため、屈曲状連結部材71及び第1固定部材81は、ガタつくことなく、板状部材10に固定されている。板状部材10の連結状態が安定する。
(7)屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の内面には雌ネジ73cが形成されており、第1固定部材81の筒部83の外面には雄ネジ83cが形成されている。
【0140】
そのため、屈曲状連結部材71と第1固定部材81との固定状態が安定する。また、屈曲状連結部材71に対する第1固定部材81の組付方法を理解し易い。
(8)屈曲状連結部材71の雌ネジ73cは、連結嵌合部73の内周面全体に亘って形成されている。すなわち、雌ネジ73cは、円筒部73aから有底円筒部73bに亘って連続して形成されている。
【0141】
そのため、円筒部73aの壁部72aからの突出長M1が短くても、雌ネジ73cの形成範囲が広くなる。雌ネジ73cに対する雄ネジ83cの螺合を確実にすることができる。
【0142】
(9)板材11は、内部に複数のセルSが形成された中空構造体12で構成されている。
そのため、軽量でありながら適度な強度を有している。
【0143】
(10)板材11は、熱可塑性樹脂材料で形成されている。
そのため、耐久性に優れている。通常時に使用していた板状部材10をそのまま非常時に転用したとしても、強度が不足することが抑制される。通常時と非常時との間での転用に耐え得る。また、適宜の大きさに切出したり加工したりし易い。さらに、破損した場合にはリサイクルが可能であり、リサイクル材を使用して成形することもできる。
【0144】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0145】
・上記実施形態の屈曲状連結部材71の連結本体部72は、一対の薄板状の壁部72aが直交した状態で一体に連設された形状に形成されている。壁部72aは直交した状態に限らず、角度を持って交差していればよい。例えば、一対の壁部72aが120゜の角度で交差した形状であってもよい。この場合、2枚の板状部材10を120゜の角度をなすように連結する場合に適用することができる。壁部72aの交差角度が90゜以外であっても、屈曲状連結部材71が簡単な形状であることから連結作業を理解し易く、また、ある程度の弾性を有することから組み付けが容易である。
【0146】
・上記実施形態の屈曲状連結部材71は、連結嵌合部73の内周面に形成された雌ネジ73cが形成されている。そして、連結具は、雌ネジ73cが形成された屈曲状連結部材71と、雄ネジ83cが形成された第1固定部材81との螺合により、取り付けられている。屈曲状連結部材71の形状はこれに限定されない。屈曲状連結部材71の連結嵌合部73が、直状連結部材75の連結嵌合部77の形状に形成されていてもよい。すなわち、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の先端に、直状連結部材75の係合突起77aと同様の係合突起が形成され、連結嵌合部73の基端に、直状連結部材75の係合凹部77bと同様の係合凹部が形成されていてもよい。この場合の連結具は、第2固定部材85とで構成される。
【0147】
・上記実施形態のパーティション1において、屈曲状連結部材71及び直状連結部材75が取り付けられていない貫通孔14に、
図21に示すようなキャップ部材90を取り付けてもよい。キャップ部材90は、屈曲状連結部材71の連結嵌合部73と同様の構成を有している。
【0148】
図21(a)及び(b)に示すように、キャップ部材90は、鍔部91と筒部92を有している。鍔部91は、円形薄板状に形成されている。鍔部91の一方の面には、把持部93が一体に形成されている。把持部93は、キャップ部材90を補強するとともに、連結作業時に使用者が持つことのできる部分となる。筒部92は、鍔部91の他方の面から垂直に突出する円筒部92aと、一方の面から垂直に凹む有底円筒部92bが一体に連結された形状をなしている。筒部92の内周面には、雌ネジ92cが形成されている。
【0149】
キャップ部材90は、パーティション1の内側から貫通孔14内に挿入する。すなわち、側辺部材31、61の筒部37、67内に挿入する。パーティション1の外側からは、第1固定部材81を挿入して、第1固定部材81の筒部83の外周面に形成された雄ネジ83cを、キャップ部材90の筒部92に形成された雌ネジ92cに螺合する。これにより、屈曲状連結部材71、直状連結部材75が取り付けられていない貫通孔14が、キャップ部材90及び第1固定部材81によって塞がれる。パーティション1で区画された内部空間が外部から見えず、内部空間のプライバシーを確保することができる。側辺部材31、61のすべての筒部37、67が屈曲状連結部材71、直状連結部材75、第1固定部材81、第2固定部材85、及びキャップ部材90で塞がれた形態を、パーティション1の完成形としてもよい。
【0150】
・屈曲状連結部材71の雌ネジ73cは、連結嵌合部73の内周面全体に亘って形成されている。すなわち、雌ネジ73cは、円筒部73aから有底円筒部73bに亘って連続して形成されているが、これに限定されない。円筒部73aの内周面には雌ネジ73cを形成せず、有底円筒部73bの内周面にのみ雌ネジ73cを形成するようにしてもよい。また、円筒部73aの内周面のみに雌ネジ73cを形成してもよい。これはキャップ部材90の雌ネジ92cについても同様である。
【0151】
・屈曲状連結部材71の連結本体部72からの円筒部73aの突出長は、連結本体部72からの有底円筒部73bの突出長と同じでもよく、短くてもよい。これはキャップ部材90の円筒部92a及び有底円筒部92bについても同様である。
【0152】
・屈曲状連結部材71の円筒部73aの外周面に、位置決めようのリブが形成されていてもよい。これはキャップ部材90の円筒部92aについても同様である。
・屈曲状連結部材71の連結本体部72には、一対の壁部72aの間を連結する形状の把持部74が一体に形成されているが、これに限定されない。把持部74が一対の壁部72aと別体で設けられていてもよく、把持部74が形成されていなくてもよい。把持部74が形成されていない場合、屈曲状連結部材71を取り付ける際、連結本体部72が弾性変形し易く、屈曲状連結部材71の取付作業性が向上する。
【0153】
・屈曲状連結部材71の把持部74が形成されていない場合、一対の壁部72aがヒンジ部を介して連結された形状であってもよい。この場合、ヒンジ部により一対の壁部72aが回動可能となり、屈曲状連結部材71の取付作業性が向上する。
【0154】
・屈曲状連結部材71は、有底円筒部73bを備えているが、底部がない円筒状であってもよい。つまり、有底円筒部73bが連結本体部72の壁部72aの内面から垂直に突出して内側に開口しており、円筒部73aと同形状であってもよい。換言すれば、壁部72aの外面及び内面の双方において、円筒部73aが形成されたような形状になっていることになる。また、有底円筒部73bの底部の一部に孔が形成されていてもよい。
【0155】
・上記実施形態の固定部材80では、筒部83の鍔部82からの突出長M2が板状部材10の厚みとほぼ等しい。つまり、筒部83の軸方向の長さが、板状部材10の厚みとほぼ等しい。これに限定されず、板状部材10の厚みより長くてもよい。
【0156】
・直状連結部材75の連結嵌合部77が、上記実施形態の屈曲状連結部材71の連結嵌合部73と同様の形状に形成されていてもよい。すなわち、直状連結部材75の連結嵌合部73の内周面に、屈曲状連結部材71の雌ネジ73cと同様の雌ネジが形成されていてもよい。この場合の連結具は、第1固定部材81とで構成される。
【0157】
・屈曲状連結部材71の連結嵌合部73は、壁部72aの外面から垂直に突出する円筒部73aのみで形成されていて、壁部72aの内面から垂直に凹む有底円筒部73bが形成されていなくてもよい。この場合、壁部72aの内面は平坦な面となる。
【0158】
・連結嵌合部73の円筒部73aは、壁部72aの外面から垂直に突出していなくてもよい。壁部72aの外面に対して交差する方向に突出していてもよい。この場合、有底円筒部73bも、円筒部73aの突出角度と同じ角度で、壁部72aの内面に対して交差する方向に凹んでいればよい。
【0159】
・屈曲状連結部材71の連結嵌合部73の壁部72aからの突出長M1は、約10mmより長くてもよい。例えば、外側主面筒部47の基部36からの突出長や内側主面筒部57の基部36からの突出長と同程度であってもよい。また、板状部材10の厚みと同程度であってもよい。この場合でも、屈曲状連結部材71が合成樹脂材料で成形されていて、ある程度の弾性を有していれば、連結本体部72が適度に撓むことが可能である。そのため、側辺部材31、61の筒部37、67へ挿入することができる。
【0160】
・屈曲状連結部材71の両側の連結嵌合部73の壁部72aからの突出長M1が同じでなくてもよい。一方の突出長が長くてもよい。この場合、直交するように配置された板状部材10の一方の筒部37、67内に、突出長が長いほうの連結嵌合部73を先に挿入し、連結本体部72を少し撓ませながら突出長が短いほうの連結嵌合部73を挿入する。こうすることで、屈曲状連結部材71の取り付けが容易になるとともに、安定して取り付けられる。
【0161】
・屈曲状連結部材71の両側の連結嵌合部73の一方には雌ネジ73cが形成され、他方には直状連結部材75の係合突起77a及び係合凹部77bと同様の構造が形成されていてもよい。この場合、雌ネジ73cが形成された連結嵌合部73には第1固定部材81を固定し、係合突起77a及び係合凹部77bと同様の構造が形成された連結嵌合部73には第2固定部材85を固定する。
【0162】
・屈曲状連結部材71は合成樹脂材料で成形されていなくてもよい。例えば、金属製であってもよい。この場合も、突出長M1が数mm程度であり、連結本体部72が薄板状の壁部72aで形成されていれば、ある態度の撓みが許容される。直状連結部材75、第1固定部材81、第2固定部材85、キャップ部材90も合成樹脂材料で成形されていなくてもよい。
【0163】
・上記実施形態の屈曲状連結部材71は、直角に連結される板状部材10の連結部分の内側に配置されるものとして説明したが、連結部分の外側に配置されるものであってもよい。
図22に示す屈曲状連結部材94は、連結本体部95と連結嵌合部96を有している。連結本体部95は、一対の薄板状の壁部95aが直交した状態で一体に連設された形状に形成されている。屈曲状連結部材94には、屈曲状連結部材71の把持部74に相当するものは形成されていない。
【0164】
連結嵌合部96は、連結本体部95の壁部95aの内面から垂直に突出して内側に開口する円筒部96aと、壁部95aの外面から垂直方向に凹む有底円筒部96bを備えている。円筒部96a及び有底円筒部96bの外径はほぼ同一であり、内径は同一である。円筒部96a及び有底円筒部96bからなる連結嵌合部96は、全体で有底円筒状をなしている。円筒部96aが、請求項で規定する本発明の「内側筒部」に相当する。
【0165】
屈曲状連結部材94で2枚の板状部材10を連結する際には、2枚の板状部材10が直交するような状態に位置調整する。そして、2枚の板状部材10の外側から、側辺部材31、61の筒部37、67内に、屈曲状連結部材94の連結嵌合部96の円筒部96aを挿入して取り付ければよい。連結嵌合部96に対しては、それぞれ第1固定部材81を取り付ける。
【0166】
・屈曲状連結部材71、94と第1固定部材81とは、螺合によって固定されているのではなく、凹部と凸部での係合、或いは孔と突起との係合等により固定されていてもよい。
【0167】
・
図10(a)に一点鎖線で示すように、屈曲状連結部材71の円筒部73aの周壁に、先端ほど径方向内方に傾斜する形状の傾斜部73dが形成されていてもよい。円筒部73aがこのような形状であると、円筒部73aを、板状部材10の側辺部材31、61の筒部37、67内に挿入し易くなる。例えば、一方の円筒部73aを、連結する一方の板状部材10の筒部37、67内に挿入し、挿入部分を起点に屈曲状連結部材71を回転させる。そして、他方の円筒部73aを連結する他方の板状部材10の筒部37、67内に挿入する。この場合、傾斜部73dが円筒部73aの先端側のみに形成されており、基端部には、壁部72aに対して垂直となる垂直部73eが形成されている形状であることが好ましい。垂直部73eが形成されている方が、挿入部分を起点に回転させる際に屈曲状連結部材71が動き難くなって作業がし易い。
【0168】
・上記実施形態の板状部材10は、板材11に側辺部材31、61が取り付けられているが、側辺部材31、61が取り付けられていなくてもよい。この場合、板状部材10が、凹部15と凸部16が形成された板材11のみで構成されていればよい。この場合、板材11の凹部15が板状部材10の凹部17となり、板材11の凸部16が板状部材10の凸部18となる。
【0169】
・板材11の側辺13に凹部15と凸部16が形成されていなくてもよい。つまり、板材11の側辺13が直線状に形成されていてもよい。また、側辺部材31、61に形成されたすべての凸部34a、34b、64a、64bに対応するように凸部16が形成されておらず、一部のみに対応するように凸部16が形成されていてもよい。
【0170】
・上記実施形態の板材11では、側辺13に正面視四角形状の凹部15及び凸部16が形成されているが、凹部15及び凸部16の形状はこれに限定されない。
・側辺部材31、61の形状は上記実施形態の形状に限定されない。板状部材10の側辺に長手方向の長さがほぼ等しい凹部17と凸部18が形成され、相対する側辺での凹部17の位置と凸部18の位置が異なるような形状のものであればよい。
【0171】
・上記実施形態の板状部材10では、側辺部材31、61が取り付けられることにより、正面視四角形状の凹部17及び凸部18が形成されている。凹部17及び凸部18の形状はこれに限定されない。例えば、正面視菱形形状、半円形状、台形状の凹部17或いは凸部18が形成されていてもよい。一対の板状部材10同士を組み付けたとき、一方の板状部材10の凹部17と他方の板状部材10の凸部18との間に隙間が形成されていてもよい。
【0172】
・上記実施形態では、板材11の側辺13に、側辺部材31、61が隙間なく取り付けられているが、これに限定されない。側辺13の一部に側辺部材31、61が取り付けられていてもよい。一対の板状部材10が、凹部17と凸部18で係合可能であれば、側辺部材31、61の取付数、取付箇所は特に限定されない。
【0173】
・板状部材10の形状、大きさは上記実施形態のものに限定されない。
・板状部材10a、10b、10c以外に、大きさ、形状の異なる板状部材10を組み合わせてもよい。
【0174】
・側辺部材31の外側主面部材41と内側主面部材51は、係合突起46と係合凹部56の係合、係合突起47aと係合凹部57aの係合により取り付けられているが、係合構造はこれに限定されない。
【0175】
・側辺部材31の外側主面側板45b、内側主面側板55bの内面に形成された返し付き突起48を省略してもよい。側辺部材61も同様である。
・側辺部材31の嵌合部33は、側辺部材31の厚み方向に延びる筒部37を有しているが、嵌合部33の形状はこれに限定されない。例えば、本体部32から延びる基部36が半円環状であり、筒部37が円筒の一部を切り欠いた形状であってもよい。
【0176】
・側辺部材31は、本体部32と嵌合部33が一体に形成されているが、別体でもよい。側辺部材61も同様である。
・側辺部材31のうち、外側主面部材41で、外側主面本体部42と外側主面嵌合部43とが別体に形成され、内側主面部材51では、内側主面本体部52と内側主面嵌合部53とが一体に形成されていてもよい。反対に、外側主面本体部42と外側主面嵌合部43とが一体に形成され、内側主面部材51では、内側主面本体部52と内側主面嵌合部53とが別体に形成されていてもよい。側辺部材61も同様である。
【0177】
・側辺部材31、61の形状、大きさは上記実施形態のものに限定されない。例えば、凸部34aの長さL1を、上記実施形態のものより長くして、板状部材10の側辺の凸部18の長さをより長くしてもよい。凸部18の長さが長いと、板状部材10の強度を向上させることができる。
【0178】
・上記実施形態の板状部材10では、板材11は、中空構造体12を所定形状に切り出して形成されている。そのため、側辺に側辺部材31、61が取り付けられていると、側辺部材31の外側主面側板45bや内側主面側板55bの厚み分、板状部材10の主面に凹凸が形成されることになる。側辺部材61についても同様である。この点、板材11において、側辺部材31,61が取り付けられる部分での厚みを、他の部分に比べて薄くするようにしてもよい。側辺部材31の外側主面側板45bや内側主面側板55bの厚み分薄くすることで、板状部材10の表面を平坦にすることができる。そのため、例えば、
図17に示すような壁面保護パネル6に適用する場合、壁面保護パネル6に向かってボール投げたボールが意図しない方向に跳ね返ることを抑制することができる。
【0179】
・板材11は、内部に複数のセルSが形成された中空構造体12で構成されているが、板材11はこれに限定されない。例えば、紙製の段ボールであってもよく、発泡ウレタンからなる板材であってもよい。
【0180】
・板状部材10は、1枚の板材11の側辺13に側辺部材31、61が取り付けられているが、複数枚の板材11を重ね合わせたものに側辺部材31、61が取り付けられていてもよい。
【0181】
・上記実施形態の中空構造体12は、コア層20として、凹凸シート材100を折り畳み成形して、コア層20の内部に六角形状のセルSが区画形成されたハニカム構造体を形成したが、コア層20を形成する凹凸シート材の形状はこれに限定されない。例えば、特許第4368399号に記載される凹凸シート材を折り畳み成形してハニカム構造体を形成してもよい。
【0182】
・上記実施形態の中空構造体12では、コア層20の内部に六角柱状のセルSが区画形成されているが、セルSの形状は、特に限定されるものでない。例えば、四角柱状、八角柱状等の多角形状や円柱状としてもよい。また、セルSの形状は、接頭円錐形状であってもよい。その際、異なる形状のセルが混在していてもよい。
【0183】
・コア層20の内部に形成された各セルは隣接していなくともよく、セルとセルとの間に隙間(空間)が存在していてもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開平10-156985号公報に記載のものが挙げられる。
【0184】
・コア層20は柱形状のセルが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合した物であってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
【0185】
・上記実施形態の中空構造体12は、コア層20の両面にスキン層24,25を接合して形成したが、スキン層24、25の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
・中空構造体12におけるスキン層24、25側の外面に、他のシート材を接合してもよい。このシート材は、合成樹脂製のものに限らず、例えば、金属シート(金属箔)、鋼板、紙、布などであってもよい。また、スキン層24、25そのものを、金属シート(金属箔)、紙、布などで構成してもよい。
【0186】
・中空構造体12を構成する熱可塑性樹脂に、機能性を付与する樹脂や添加剤を添加してもよい。例えば、難燃性の樹脂や添加剤を添加したり、消臭剤、芳香剤、耐候剤等を添加したりしてもよい。
【0187】
・板材11として、中空構造体12の上面12a又は下面12bのいずれか一方にセルSの内外を連通する連通孔が形成されたものを使用してもよい。連通孔が形成されていることによって板材11に吸音性を付与することができ、災害時等の非常時にパーティション1等として使用する場合の居住性が向上する。
【符号の説明】
【0188】
M1…連結嵌合部の壁部からの突出長
M2…筒部の鍔部からの突出長(筒部の軸方向の長さ)
1…パーティション(立体構造物)
10…板状部材
14…貫通孔
71、94…屈曲状連結部材(連結部材、連結具)
72…連結本体部
72a…壁部
73…連結嵌合部
73a…円筒部(外側筒部)
73c…雌ネジ
75…直状連結部材
81…第1固定部材(固定部材、連結具)
82…鍔部
83…筒部
83c…雄ネジ
85…第2固定部材
93a…円筒部(内側筒部)