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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147678
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/32 20060101AFI20220929BHJP
   B41M 5/28 20060101ALI20220929BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B41M5/32
B41M5/28 220
B41M5/42 211
B41M5/42 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049027
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】西村 直哉
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB46
2H026EE05
2H026FF11
2H026FF15
(57)【要約】
【課題】ヘッドカスの発生が低減された感熱記録材料を提供する。
【解決手段】光透過性支持体上に非感光性の有機銀塩、有機還元剤、およびバインダー樹脂を含有する感熱記録層、石油樹脂を含有する中間層、および紫外線硬化樹脂を含有する保護層をこの順に有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性支持体上に非感光性の有機銀塩、有機還元剤、およびバインダー樹脂を含有する感熱記録層、石油樹脂を含有する中間層、および紫外線硬化樹脂を含有する保護層をこの順に有することを特徴とする感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドによる加熱により画像を形成することができる感熱記録材料に関し、特に版下原稿の作製に好適な感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
高画質の画像記録方法として、ハロゲン化銀を用いた湿式処理の画像形成方法が一般的に用いられてきた。しかしながら現像液や定着液等の廃液処理や、現像処理設備の設置における制限等の理由から、これら処理液を用いない乾式の画像形成方法が望まれてきた。その結果、現在ではインクジェットプリンター、電子写真、染料熱転写方式等といった画像形成システムが実用化されている。しかしこれらの乾式の画像形成方法は、版下原稿に求められる高い解像力や、非画像部における優れた光透過性を得ることは困難であった。
【0003】
このような中で、非感光性の有機銀塩と有機還元剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録材料が、例えば特表平08-505579号公報(特許文献1)に開示されている。かかる感熱記録材料は、サーマルヘッドを搭載したプリンターによる直接感熱記録を行うことで、湿式銀塩方式と同等の高いコントラストを得ることができるため、版下原稿の作製に適している。また当該記録材料は非感光性であり暗室を必要としないことに加え、直接感熱方式のプリンターは低コストで装置の信頼性が高く、小型化が容易であるため、設備導入のハードルが低いといった利点を有する。
【0004】
直接感熱記録方式ではサーマルヘッドが感熱記録材料に直接接触するため、サーマルヘッドに感熱記録材料由来の異物、いわゆるヘッドカスが付着する場合がある。サーマルヘッドにヘッドカスが付着すると、感熱記録材料の表面に擦傷が生じたり、サーマルヘッドから感熱記録材料へ熱が正常に伝わらず、形成した画像に異常(意図しない非発色部等)が発生したりする場合がある。直接感熱記録材料が樹脂凸版等の作製に用いられる版下原稿である場合、形成した画像に異常が発生することは実用上、特に問題になる。
【0005】
上記した問題を回避するため、サーマルヘッドを定期的に清掃することが一般的に行われている。しかしながら、省力化や生産性改善の観点から、サーマルヘッドの清掃頻度を少なくして、より多くの版下原稿を連続で作製したいという要望は強く、サーマルヘッドに付着するヘッドカスの発生のさらなる低減が求められていた。
【0006】
一方、感熱記録材料では、感熱記録層を保護する、あるいはサーマルヘッドに付着するヘッドカスの発生を低減する等の目的で、感熱記録層の上層に保護層を設けることが一般に行われている。保護層に用いられる材料としてはポリビニルアルコールやアクリル樹脂が用いられるが、前記した特許文献1や、あるいは特表平09-504752号公報(特許文献2)に開示されているような紫外線硬化樹脂が強度面で好ましく用いられ、感熱記録材料の搬送性にも優れることが知られている。
【0007】
特開2020-157678号公報(特許文献3)には、光透過性支持体上に感熱記録層と保護層を有し、該保護層がモース硬度3.5以下の平板状無機微粒子を含有し、該平板状無機微粒子の平均粒子径rと該保護層の膜厚tの比(r/t)が1.0以下である感熱記録材料が開示され、該感熱記録材料はヘッドカスの発生が低減できることが記載される。しかし、ヘッドカスの発生のさらなる低減が求められていた。
【0008】
他方、感熱記録層と保護層の間に中間層を設けることが知られている。例えば特開平05-38881号公報(特許文献4)には可逆性感熱記録層と滑性保護層との間に耐熱性樹脂を主成分とする中間層を設けることで表面の傷やヘッドカスが改善できることが記載され、特開2013-18278号公報(特許文献5)には可逆性感熱記録層とポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする保護層との間に印刷層、着色層、耐熱保護層等を中間層として設けることが記載されている。また、特開2020-59212号公報(特許文献6)には、非感光性の有機銀塩、有機還元剤、およびバインダー樹脂を含有する感熱記録層とその上層に紫外線硬化樹脂を含有する保護層を有し、かつ該感熱記録層と保護層の間に、感熱記録層が含有するバインダー樹脂、あるいは保護層が含有する紫外線硬化樹脂のいずれかを含有する中間層を設けることで、負荷変動の発生が抑制され、画像再現性が優れる感熱記録材料が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平08-505579号公報
【特許文献2】特表平09-504752号公報
【特許文献3】特開2020-157678号公報
【特許文献4】特開平05-38881号公報
【特許文献5】特開2013-18278号公報
【特許文献6】特開2020-59212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ヘッドカスの発生が低減された感熱記録材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題は以下の発明により達成された。
光透過性支持体上に非感光性の有機銀塩、有機還元剤、およびバインダー樹脂を含有する感熱記録層、石油樹脂を含有する中間層、および紫外線硬化樹脂を含有する保護層をこの順に有することを特徴とする感熱記録材料。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ヘッドカスの発生が低減された感熱記録材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の感熱記録材料は、光透過性支持体を有する。かかる光透過性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセチルセルロースなどのトリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等の公知の樹脂のフィルムが例示できる。なお、本発明において光透過性とは、全光線透過率が60%以上であることを意味し、より好ましくは70%以上である。また該光透過性支持体は易接着層、ハードコート層等の公知の層を有していてもよく、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、ケン化処理等の公知の表面改質処理が施されていてもよい。
【0015】
本発明において感熱記録層は、非感光性の有機銀塩を含有する。
【0016】
本発明の感熱記録層が含有する有機銀塩は、非感光性の、無色あるいは白色の有機銀塩であって、後述する有機還元剤とともに加熱されることにより還元されて銀画像を形成するものである。具体的には、熱現像感光材料に関するリサーチディスクロージャー第17029(II)項、第29963(XVI)項に記載されているような没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の有機酸の銀塩;1-(3-カルボキシプロピル)チオ尿素、1-(3-カルボキシプロピル)-3,3-ジメチルチオ尿素等のカルボキシアルキルチオ尿素の銀塩;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド類とサリチル酸、安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、5,5-チオジサリチル酸等の芳香族カルボン酸との高分子反応生成物と銀との錯体;3-(2-カルボキシエチル)-4-ヒドロキシメチル-4-チアゾリン-2-チオン、3-カルボキシメチル-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオン等のチオン類の銀塩または錯体;イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-トリアゾールおよびベンゾトリアゾールから選ばれる窒素酸の銀塩または錯体;サッカリン、5-クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩等が挙げられる。これらのうち炭素数が10以上の有機酸銀が好ましく、ステアリン酸銀、およびベヘン酸銀が特に好ましい。感熱記録層は上記した非感光性の有機銀塩を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0017】
本発明において感熱記録層が含有する有機銀塩の含有量は、銀換算値として0.5~2.0g/mが好ましい。これにより、版下用途として好適な遮光性を付与することができる。銀換算値の測定方法としては、蛍光X線測定により実測する方法が例示できる。
【0018】
本発明において感熱記録層は、上記の非感光性の有機銀塩とともに有機還元剤を含有する。かかる有機還元剤としては、米国特許第3,074,809号明細書に記載のピロガロール、4-ステアロイルピロガロール、没食子酸プロピル、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,5-ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。また米国特許第3,440,049号明細書あるいは特開平06-317870号公報記載のポリヒドロキシインダン類等が挙げられる。
【0019】
本発明において感熱記録層が含有する有機還元剤の含有量は特に限定されず、有機還元剤の種類や、有機銀塩の種類によって広範に変化しうるが、有機銀塩1モルあたり0.1~3.0モルであることが好ましく、0.5~2.0モルであることがさらに好ましい。感熱記録層は上記有機還元剤を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0020】
高光学濃度部分で形成される銀画像のカラー中性度を高めるため、感熱記録層は上記した非感光性の有機銀塩および有機還元剤とともに、サーモグラフィまたはフォトサーモグラフィの分野において知られている、いわゆる色調剤を含有することが好ましい。色調剤の例としては前出の熱現像感光材料に関するリサーチディスクロージャー第17029(V)項、第29963(XXII)項等で公知であり、具体的にはフタルイミドに代表されるイミド類、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾールに代表されるメルカプト化合物、フタラジン、フタラゾン、4-メチルフタル酸、テトラクロロフタル酸無水物に代表されるフタル酸誘導体、1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンに代表されるベンズオキサジン誘導体等が挙げられる。感熱記録層は上記した色調剤を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0021】
本発明の感熱記録材料において還元による画像銀の形成の抑制や促進、熱記録前後の保存性を向上させる等の目的で、感熱記録層は様々な促進剤や安定剤およびそれらの前駆体を含有してもよい。具体的には写真用安定剤、抑制剤としてよく知られているベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、2-メルカプトベンゾトリアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラザインデン、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、4-ベンツアミド-3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール等から選ぶことができる。感熱記録層は上記促進剤および安定剤を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0022】
本発明において感熱記録層が含有するバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可塑性樹脂としてはポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、デキストランに代表される多糖類、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の公知の熱可塑性樹脂が例示される。バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂が有機溶媒や水に溶解した溶液を用いてもよく、熱可塑性樹脂が微粒子の状態で分散しているラテックスやポリマー分子がミセルを形成し分散しているものを用いてもよい。バインダー樹脂は透明な皮膜を形成するものであることが、本発明の感熱記録材料の非画像部における光透過性を優れたものにすることができるため好ましい。感熱記録層は上記したバインダー樹脂を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。バインダー樹脂に対する有機銀塩の質量比は0.2~3の範囲であるのが好ましく、感熱記録層の膜厚は5.0~20μmの範囲であることが好ましい。
【0023】
上記したバインダー樹脂は、塩化物イオンや臭化物イオン等の遊離のハロゲン化物イオンをできるだけ含有しないことが好ましい。これらのハロゲン化物イオンは長期間の保存の間に銀イオンと反応し、感光性のハロゲン化銀が形成され、感熱記録材料の耐光性を低下させる原因となる。具体的にはバインダー樹脂固形分に対して100ppm以下であることが好ましい。
【0024】
本発明において感熱記録層の形成方法は特に限定されないが、上記した有機銀塩、有機還元剤、バインダー樹脂、色調剤等を、溶媒に含有せしめた感熱記録層形成用塗液を作製し、該塗液を光透過性支持体上に塗布し、溶媒を乾燥して感熱記録層を形成することが生産性に優れることから好ましい。かかる溶媒は特に限定されず、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、水等を用いることができる。
【0025】
感熱記録層形成用塗液中の溶媒に感熱記録層が含有する成分が溶解しない場合、ビーズミル等のメディアミルを用いて粉砕し、分散させることは、均一な組成の感熱記録層を形成できることから好ましい態様の一つである。
【0026】
感熱記録層形成用塗液中の溶媒の含有量は特に限定されず、後述する塗布方法に適した粘度、固形分濃度になるように含有量を調節することができる。
【0027】
本発明において、感熱記録層形成用塗液の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の各種塗布方式を用いることができる。例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアーナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0028】
感熱記録層形成用塗液の塗布量は特に限定されず、溶媒乾燥後に光透過性支持体上に形成される感熱記録層が目的の厚みになるように調節すればよい。
【0029】
塗布した感熱記録層形成用塗液の溶媒の乾燥方法は特に限定されず、ヒーター、熱媒による加熱、赤外線等のエネルギー線の照射、熱風、電磁誘導加熱、自然乾燥等、公知の方法を例示できる。乾燥温度は特に限定されないが、高温で乾燥すると感熱記録層中の有機銀塩の還元反応が進行する場合があるので、乾燥温度は90℃以下であることが好ましい。
【0030】
感熱記録層形成用塗液は上記した成分以外に、酸化防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、軟化剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
【0031】
本発明の感熱記録材料は、前述した感熱記録層上に石油樹脂を含有する中間層を有する。中間層が石油樹脂を含有することにより、ヘッドカスの発生を低減することが可能になる。
【0032】
本発明において石油樹脂とは、石油ナフサ等の熱分解により副生する不飽和炭化水素モノマーを含有する留分を重合したものを意味し、具体的には、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、脂肪族/芳香族系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂に分類される。
【0033】
脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)とは、石油ナフサ分解油のC5留分の精製成分を重合して得られた樹脂であり、例えば日本ゼオン(株)製Quintone(登録商標)100シリーズ、ENEOS(株)製T-REZ(登録商標) Rシリーズ等が市販されている。
【0034】
芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)とは、石油ナフサ分解油のC9留分の精製成分を重合して得られた樹脂であり、例えばENEOS(株)製ネオポリマーシリーズ等が市販されている。
【0035】
脂肪族/芳香族系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)とは、上記C5留分とC9留分をブレンドした原料を共重合して得られた樹脂であり、例えば日本ゼオン(株)製Quintone100シリーズ、ENEOS(株)製T-REZ Rシリーズ等が市販されている。
【0036】
脂環族系石油樹脂には、上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた樹脂と、C5留分から抽出されたジシクロペンタジエンを主原料に合成して得られた樹脂があり、例えば荒川化学工業(株)製アルコン(登録商標)シリーズ、出光興産(株)製アイマーブ(登録商標)シリーズ、ENEOS(株)製T-REZ Hシリーズ、日本ゼオン(株)製Quintone1000シリーズ、丸善石油化学(株)製マルカレッツ(登録商標)Mシリーズ等が市販されている。
【0037】
上記した石油樹脂の中でも、ヘッドカスの発生を効果的に低減できることから、軟化点が90℃以上のものが好ましく、100℃以上のものがより好ましく、110℃以上のものが特に好ましい。石油樹脂の軟化点の測定方法としては、JIS-K2207:2006に準拠した方法や、TSTM4027に準拠した方法が例示できる。
【0038】
本発明において中間層の形成方法は特に限定されないが、上記した石油樹脂を溶媒に含有せしめた中間層形成用塗液を作製し、該塗液を感熱記録層上に塗布し、溶媒を乾燥して中間層を形成することが生産性に優れることから好ましい。かかる溶媒は特に限定されず、前述の感熱記録層形成用塗液が含有可能な溶媒を用いることができる。
【0039】
中間層形成用塗液中の溶媒の含有量は特に限定されず、後述する塗布方法に適した粘度、固形分濃度になるように含有量を調節することができる。
【0040】
本発明において、中間層形成用塗液の塗布に用いられる塗布方式は限定されず、前述した感熱記録層形成用塗液の塗布方式として例示した塗布方式を用いることができる。
【0041】
中間層形成用塗液の塗布量は特に限定されず、溶媒乾燥後に感熱記録層上に形成される中間層が目的の厚みになるように調節すればよい。
【0042】
塗布した中間層形成用塗液の溶媒の乾燥方法は特に限定されず、ヒーター、熱媒による加熱、赤外線等のエネルギー線の照射、熱風、電磁誘導加熱、自然乾燥等、公知の方法を例示できる。乾燥温度は特に限定されないが、高温で乾燥すると感熱記録層中の有機銀塩の還元反応が進行する場合があるので、乾燥温度は90℃以下であることが好ましい。
【0043】
中間層形成用塗液は上記した成分以外に、酸化防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、軟化剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
【0044】
中間層の膜厚は、用いる石油樹脂の種類や求められる感熱感度、サーマルヘッドとのマッチング性等により広範に変化しうるが、0.1~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~5μmの範囲から選ばれる。
【0045】
本発明の感熱記録材料は、前述した中間層上に紫外線硬化樹脂を含有する保護層を有する。
【0046】
本発明において紫外線硬化樹脂とは、樹脂前駆体が光重合開始剤および紫外線照射により重合して硬化した樹脂を意味する。樹脂前駆体は特に限定されず、各種樹脂のモノマーやオリゴマーを用いることができる。中でも(メタ)アクリル系モノマーおよび(メタ)アクリル系オリゴマーは、重合により得られる紫外線硬化樹脂が透明性に優れ、かつ硬度に優れるためヘッドカスの発生が低減できることから、特に好ましい。従って本発明において紫外線硬化樹脂はアクリル樹脂であることが特に好ましい。樹脂前駆体として単一の(メタ)アクリル系モノマーおよび/または(メタ)アクリル系オリゴマーを用いてもよく、2種類以上の(メタ)アクリル系モノマーおよび/または(メタ)アクリル系オリゴマーを併用してもよい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を表し、他も同様である。また、本発明における(メタ)アクリル系オリゴマーとは、(メタ)アクリル基を少なくとも1つ以上有するオリゴマーを意味する。
【0047】
本発明においては、ヘッドカスの発生を低減できることから、樹脂前駆体として(メタ)アクリル系オリゴマーおよび多官能(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも用いることが好ましい。
【0048】
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等の公知の(メタ)アクリル系オリゴマーが例示できる。
【0049】
上記(メタ)アクリル系オリゴマーは市販されており、いずれも好ましく用いることができる。ウレタンアクリレートとしては三菱ケミカル(株)製UV-1700B、UV-7640B等、ダイセル・オルネクス(株)製EBECRYL(登録商標)220、EBECRYL1290、KRM(登録商標)8200、KRM8530等、荒川化学工業(株)製ビームセット(登録商標)575、ビームセット577、DIC(株)製ルクシディア(登録商標)17-806、17-824-9、V-4025等が例示できる。エポキシアクリレートとしてはDIC(株)製ルクシディアV-5500、ルクシディアV-5502等、荒川化学工業(株)製ビームセット371、ビームセット381、ビームセット1200、ビームセット3702等、ダイセル・オルネクス(株)製EBECRYL600、EBECRYL3700、EBECRYL3703等が例示できる。ポリエステルアクリレートとしてはダイセル・オルネクス(株)製EBECRYL1830、EBECRYL870等が例示できる。上記した(メタ)アクリル系オリゴマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル基を少なくとも2つ以上有するモノマーであれば特に限定されず、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の公知の多官能(メタ)アクリル系モノマーが例示できる。
【0051】
上記多官能(メタ)アクリル系モノマーは市販されており、いずれも好ましく用いることができる。例えば大阪有機化学工業(株)製ビスコート#260、ビスコート#300、ビスコート#802等、荒川化学工業(株)製ビームセット700、ビームセット710等、新中村化学工業(株)製A-TMPT、A-TMPT-6PO、A-TMM-3、A-DPH、TPOA-50等が挙げられる。上記した多官能(メタ)アクリル系モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
樹脂前駆体として、上記した(メタ)アクリル系オリゴマーおよび多官能(メタ)アクリル系モノマー以外に、保護層の硬度等の物性調整や硬化反応の速度の調整を目的として、単官能(メタ)アクリル系モノマーを用いることもできる。かかるモノマーは特に限定されず、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性アクリレート、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、N-ビニルカプロラクトン、N-ビニルホルムアミド等の公知のモノマーが例示できる。
【0053】
光重合開始剤は特に限定されず、紫外線の照射により上記樹脂前駆体の重合反応を開始させる公知の化合物を用いることができる。光重合開始剤としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン化合物等が例示できる。
【0054】
上記重合開始剤は市販されており、いずれも好ましく用いることができる。具体的にはIGM RESINS製Omnirad(登録商標)127、Omnirad184、Omnirad369、Omnirad500、Omnirad651、Omnirad754、Omnirad819、Omnirad907、Omnirad2959、Omnirad1173等が例示できる。上記した光重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
樹脂前駆体に対する光重合開始剤の質量比は特に限定されないが、重合速度の観点から、0.05~10質量%が好ましく、0.1~7質量%が特に好ましい。
【0056】
本発明において保護層は、上記した紫外線硬化樹脂以外に、無機微粒子を含有することがヘッドカスの発生を低減できることから好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ等の微粒子が例示できる。水、メタノール、2-プロパノール、2-ブタノン等の公知の分散媒に無機微粒子が分散した無機微粒子分散液を用いてもよい。
【0057】
上記無機微粒子は市販されており、いずれも好ましく用いることができる。例えばシリカ微粒子としてはAGCエスアイテック(株)製サンスフェア(登録商標)H-31、H-51、NP-30等、日産化学(株)製スノーテックス(登録商標)ST-30、ST-O等、日産化学(株)製オルガノシリカゾルMA-ST-L、IPA-ST-L、MEK-ST-L、MEK-ST-UP等が挙げられ、タルク微粒子としては日本タルク(株)製ナノエース(登録商標)D-600、D-800、D-1000等が挙げられる。上記した無機微粒子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機微粒子をボールミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー等により、より小さい粒径に粉砕して用いることもまた、好ましい態様の一つである。
【0058】
保護層が含有する無機微粒子の含有量は特に限定されないが、紫外線硬化樹脂100質量部に対して5~100質量部であることが、感熱記録材料の非画像部の透明性に優れることから好ましく、より好ましくは10~80質量部である。
【0059】
本発明において保護層の形成方法は特に限定されないが、上記した樹脂前駆体、光重合開始剤、および必要に応じて用いられる無機微粒子を溶媒に含有せしめた保護層形成用塗液を作製し、該塗液を中間層上に塗布し、溶媒を乾燥後、紫外線を照射して保護層を形成することが生産性に優れることから好ましい。かかる溶媒は特に限定されず、前述の感熱記録層形成用塗液が含有可能な溶媒を用いることができる。
【0060】
保護層形成用塗液中の溶媒の含有量は特に限定されず、後述する塗布方法に適した粘度、固形分濃度になるように含有量を調節することができる。
【0061】
本発明において、保護層形成用塗液の塗布に用いられる塗布方式は限定されず、前述した感熱記録層形成用塗液の塗布方式として例示した塗布方式を用いることができる。
【0062】
保護層形成用塗液の塗布量は特に限定されず、溶媒乾燥および紫外線照射後に中間層上に形成される保護層が目的の厚みになるように調節すればよい。
【0063】
塗布した保護層形成用塗液の溶媒の乾燥方法は特に限定されず、ヒーター、熱媒による加熱、赤外線等のエネルギー線の照射、熱風、電磁誘導加熱、自然乾燥等、公知の方法を例示できる。乾燥温度は特に限定されないが、高温で乾燥すると感熱記録層中の有機銀塩の還元反応が進行する場合があるので、乾燥温度は90℃以下であることが好ましい。
【0064】
紫外線照射方法は特に限定されず、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ブラックライト、UV-LEDランプ等の光源を用いて紫外線を照射する方法が例示できる。
【0065】
保護層が無機微粒子を含有する場合、保護層中に無機微粒子が分散していることがヘッドカスの発生を低減できることから好ましい。保護層中に無機微粒子を分散せしめる方法は特に限定されないが、保護層形成用塗液中に無機微粒子を撹拌機等により撹拌、分散させた上で、該保護層形成用塗液を中間層上に塗布する方法が生産性に優れることから好ましい。
【0066】
保護層形成用塗液は上記した成分以外に、酸化防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、界面活性剤(カチオン系、アニオン系、ノニオン系等)、消泡剤、増粘剤、軟化剤、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
【0067】
保護層の膜厚は、用いる紫外線硬化樹脂の種類や求められる感熱感度、サーマルヘッドとのマッチング性等により広範に変化しうるが、0.1~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~5μmの範囲から選ばれる。
【0068】
本発明の感熱記録材料は光透過性支持体上に近い方から、前述した感熱記録層、中間層、および保護層をこの順に有し、さらに光透過性支持体と感熱記録層の間、中間層と保護層の間、保護層上、あるいは感熱記録層を有する側とは反対側の光透過性支持体上等の任意の位置に、種々目的に応じて帯電防止層、反射防止層等の公知の層を有してもよいが、ヘッドカスの発生を効率的に低減するには、感熱記録層と中間層の間、および中間層と保護層の間には他の層が存在せずに感熱記録層、中間層、および保護層が積層されていることが好ましい。
【実施例0069】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、この記述により本発明が限定されるものではない。
【0070】
<感熱記録材料1の作製>
<ベヘン酸銀分散液の調製>
ベヘン酸銀結晶20g、Butvar(登録商標)B-79(イーストマンケミカルジャパン(株)製ポリビニルブチラール)20gを180gの2-ブタノンに加え、ビーズミルを用いて分散しベヘン酸銀分散液を得た。
【0071】
<感熱記録層形成用塗液の作製および塗布>
2-ブタノン10gに、Butvar B-79を0.5g、上記ベヘン酸銀分散液を10g、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチルを0.3g、テトラクロロフタル酸無水物を0.1g、フタラゾンを0.2g加えて混合し、感熱記録層形成用塗液を作製した。光透過性支持体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(全光線透過率89%)を用意し、その一方の面に感熱記録層形成用塗液を銀換算量として1.5g/mとなるように塗布し、80℃にて乾燥させ感熱記録層を形成した。形成した感熱記録層の乾燥後塗布厚みは18μmであった。
【0072】
<中間層形成用塗液の作製および塗布>
2-ブタノン10gに、Butvar B-79を1.0g溶解し、中間層形成用塗液1を作製した。この中間層形成用塗液1を上記した感熱記録層上に乾燥後の厚みが2μmになるように塗布し、80℃にて乾燥させ中間層1を形成した。
【0073】
<保護層形成用塗液の作製および塗布>
2-ブタノン6.9gに、ルクシディアV-5500(DIC(株)製エポキシアクリレート)2.0g、ビスコート#300(大阪有機化学工業(株)製多官能アクリレート)1.0g、Omnirad184(IGM RESINS製光重合開始剤)0.10gを加え、サンスフェアNP-30(AGCエスアイテック(株)製シリカ微粒子)を1.0g添加し、撹拌機(新東科学(株)製スリーワンモーター(登録商標))にて300rpm、3時間撹拌、分散して保護層形成用塗液とした。この保護層形成用塗液を上記した中間層上に乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、80℃にて乾燥後、高圧水銀ランプを照射距離10cm、搬送速度5m/minの条件で照射して硬化させ保護層を形成した。このようにして感熱記録材料1を作製した。
【0074】
<感熱記録材料2の作製>
中間層形成用塗液1に代わって、トルエン10gに、Quintone U185(日本ゼオン(株)製脂肪族/芳香族系石油樹脂、軟化点86℃)1.0gを溶解した中間層形成用塗液2を用いた以外は感熱記録材料1の作製と同様にして、感熱記録材料2を得た。
【0075】
<感熱記録材料3の作製>
中間層形成用塗液1に代わって、トルエン10gに、Quintone S195(日本ゼオン(株)製脂肪族/芳香族系石油樹脂、軟化点94℃)1.0gを溶解した中間層形成用塗液3を用いた以外は感熱記録材料1の作製と同様にして、感熱記録材料3を得た。
【0076】
<感熱記録材料4の作製>
中間層形成用塗液1に代わって、トルエン10gに、Quintone D200(日本ゼオン(株)製脂肪族/芳香族系石油樹脂、軟化点102℃)1.0gを溶解した中間層形成用塗液4を用いた以外は感熱記録材料1の作製と同様にして、感熱記録材料4を得た。
【0077】
<感熱記録材料5の作製>
中間層形成用塗液1に代わって、トルエン10gに、Quintone G115(日本ゼオン(株)製脂肪族/芳香族系石油樹脂、軟化点115℃)1.0gを溶解した中間層形成用塗液5を用いた以外は感熱記録材料1の作製と同様にして、感熱記録材料5を得た。
【0078】
<感熱記録材料6の作製>
中間層形成用塗液1に代わって、2-ブタノン10gに、ネオポリマー120(ENEOS(株)製芳香族系石油樹脂、軟化点120℃)1.0gを溶解した中間層形成用塗液6を用いた以外は感熱記録材料1の作製と同様にして、感熱記録材料6を得た。
【0079】
<感熱記録材料7の作製>
中間層形成用塗液1に代わって、2-ブタノン10gに、Quintone 1920(日本ゼオン(株)製脂環族系石油樹脂、軟化点120℃)1.0gを溶解した中間層形成用塗液7を用いた以外は感熱記録材料1の作製と同様にして、感熱記録材料7を得た。
【0080】
<ヘッドカス評価その1>
このようにして得られた感熱記録材料1~7を360mm幅に裁断し、サーマルデジタルプリンター(三菱製紙(株)製TDP-459:1200dpi/120lpi、ラインヘッド)により、印字速度1msec/lineとして、画像サイズ350mm(幅)×400mm(長さ)の塗りつぶし画像の出力(記録エネルギー密度120mJ/mm、電気容量350W)を連続して75回、画像長さとして30m行った。下記の基準でヘッドカス評価を行った結果を表1に示す。
【0081】
<ヘッドカス評価基準>
優:最後に出力した感熱記録材料の表面にヘッドカスに由来する擦傷が生じていない
良:最後に出力した感熱記録材料の表面に擦傷が生じているものの、画像に異常は無く、版下原稿として実用上の問題がない
可:最後に出力した感熱記録材料の表面に擦傷が生じ、画像にも意図しない非発色部が発生しており、版下原稿として実用上の問題がある。ただし、サーマルヘッドの簡単な拭き掃除後に追加出力した感熱記録材料には擦傷や意図しない非発色部は発生しない。
不可:最後に出力した感熱記録材料の表面に擦傷が生じ、画像にも意図しない非発色部が発生しており、版下原稿として実用上の問題がある。さらに、サーマルヘッドの簡単な拭き掃除後に追加出力した感熱記録材料にも擦傷や意図しない非発色部が引き続き発生する。
【0082】
【表1】
【0083】
<ヘッドカス評価その2>
塗りつぶし画像の出力を連続して150回、画像長さとして60m行った以外はヘッドカス評価その1と同様にして、ヘッドカス評価その2を行った。上記の基準でヘッドカス評価を行った結果を表1に示す。
【0084】
表1の結果から、本発明によりヘッドカスの発生が低減された感熱記録材料が得られることが判る。