(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147685
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】リサイクル原料の破砕縮分装置及びこれを用いた破砕縮分方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G01N1/04 C
G01N1/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049042
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】503404707
【氏名又は名称】大口電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】大久保 将宗
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA11
2G052AD12
2G052AD32
2G052BA03
2G052BA15
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA41
2G052EC02
2G052JA07
(57)【要約】
【課題】分析対象のリサイクル原料からその特性を正確に代表する分析試料を得ることが可能な縮分方法を提供する。
【解決手段】分析対象のリサイクル原料に対して、連続する第1破砕機1及び第2破砕機6で段階的に粒度を細かくしながらこれら第1破砕機1及び第2破砕機6のそれぞれ直ぐ後段に設けた第1縮分機4及び第2縮分機8で順次縮分を行なう破砕縮分方法であって、第1破砕機1及び第2破砕機6の各々から排出される破砕物は、その直ぐ後段の第1縮分機4又は第2縮分機8で縮分されるまで連続的に搬送される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象のリサイクル原料に対して、連続する複数の破砕機で段階的に粒度を細かくしながら該複数の破砕機のそれぞれ直ぐ後段に設けた複数の縮分機で順次縮分を行なう破砕縮分方法であって、前記複数の破砕機の各々から排出される破砕物は、その直ぐ後段の縮分機で縮分されるまで連続的に搬送されることを特徴とするリサイクル原料の破砕縮分方法。
【請求項2】
前記複数の縮分機がスナイダー型縮分機であることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル原料の破砕縮分方法。
【請求項3】
前記リサイクル原料がスクラップ基板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリサイクル原料の破砕縮分方法。
【請求項4】
前記複数の破砕機が二軸破砕機又は一軸破砕機であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のリサイクル原料の破砕縮分方法。
【請求項5】
分析対象のリサイクル原料に対して段階的に粒度を細かくする複数台の破砕機と、該複数の破砕機のそれぞれ直ぐ後段に位置する複数の縮分機とから構成される破砕縮分装置であって、前記複数の破砕機の各々から排出される破砕物は、その直ぐ後段の縮分機で縮分を行なうまで滞留させることなく搬送手段によって連続的に搬送させることを特徴とするリサイクル原料の破砕縮分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラップ基板に代表されるリサイクル原料の破砕縮分装置及びこれを用いた破砕縮分方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの電子機器から廃棄されるスクラップ基板には、金、銀、銅、プラチナ、パラジウム等の有価金属が含まれている。また、非鉄金属製錬工場や、金属加工、金属メッキ処理等を行なう工場からも、有価金属を含む金属スクラップが発生することがある。これらスクラップ材は、一般的に資源の有効利用のためリサイクル原料として回収され、処理工場においてスクリーニング等の選別を行なった後に乾式法又は湿式法により濃縮することで有価金属を高品位にして再生する処理が行なわれている。
【0003】
上記の有価金属の再生を効率的に行なうには、上記再生処理の条件を最適化するのが望ましく、そのためにはリサイクル原料に含まれている回収対象の有価金属の含有量をあらかじめ正確に分析しておくことが重要である。また、リサイクル原料を社外から購入したり、逆に社外に売却したりする場合は、当該売買対象となるリサイクル原料に含まれる有価金属の含有率を正確に定量分析する必要がある。
【0004】
上記のように、リサイクル原料に含まれる有価金属の含有量を正確に定量分析するには、分析対象となるリサイクル原料の1ロットの中から、その特性を正確に代表する少量の分析試料を採取して調製する必要がある。そのため、従来は例えば非特許文献1に従って分析対象の1ロットから採取器等を用いてランダムに採取し、この採取した1単位量のインクリメントに対して定量分析に必要な適切な分量まで減らすために、インクリメント縮分法や円錐四分法等を用いて縮分したり、縮分装置を用いて縮分したりすることが行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の縮分では、例えば1ロットの質量が100kgを超えるようなスクラップ基板が分析対象である場合は、インクリメント縮分法や円錐四分法等で縮分したり、縮分装置を1台用いて縮分したりする場合は、縮分作業を繰り返し行う必要があるため、作業に多大な手間と時間がかかっていた。また、スクラップ基板に代表されるリサイクル原料は、液体や粉体とは異なり不均一であるため組成等の特性のばらつきが大きく、分析対象のロットの特性を正確に反映した分析試料の調製を行うのは困難であった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、分析対象のリサイクル原料のロットからその特性を正確に代表する分析試料を多大な手間や時間をかけることなく得ることが可能な縮分方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るリサイクル原料の破砕縮分方法は、分析対象のリサイクル原料に対して、連続する複数の破砕機で段階的に粒度を細かくしながら該複数の破砕機のそれぞれ直ぐ後段に設けた複数の縮分機で順次縮分を行なう破砕縮分方法であって、前記複数の破砕機の各々から排出される破砕物は、その直ぐ後段の縮分機で縮分されるまで連続的に搬送されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るリサイクル原料の破砕縮分装置は、分析対象のリサイクル原料に対して段階的に粒度を細かくする複数台の破砕機と、該複数の破砕機のそれぞれ直ぐ後段に位置する複数の縮分機とから構成される破砕縮分装置であって、前記複数の破砕機の各々から排出される破砕物は、その直ぐ後段の縮分機で縮分を行なうまで滞留させることなく搬送手段によって連続的に搬送させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分析対象のリサイクル原料のロットからその特性を正確に代表する信頼性の高い分析試料を多大な手間や時間をかけることなく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るスクラップ基板の破砕縮分方法に好適に使用される破砕縮分装置の模式的フロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るリサイクル原料の破砕縮分方法について、リサイクル原料がスクラップ基板である場合を例に挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る破砕縮分方法は、連続する4台の破砕機を用いて分析対象のリサイクル原料としてのスクラップ基板を破砕することで段階的に粒度を細かくしながら、これら4台の破砕機のそれぞれ直ぐ後段に設けた4台の縮分機によって順次縮分を行なうものであり、これら4台の破砕機のうち上流側の2台の破砕機においては、それらの各々から排出される破砕物を、その直ぐ後段の縮分機で縮分するまで滞留させることなくベルトコンベアによって連続的に搬送を行なう。
【0012】
具体的に説明すると、1ロット全てのスクラップ基板のインクリメントは、先ず最も上流側に位置する第1破砕機1のホッパー1aに投入される。この第1破砕機1には、所定の粒度まで安定的に破砕できる二軸破砕機を用いるのが好ましい。二軸破砕機は、水平方向に延在する互いに平行な2本の回転軸を内側に回転させることで、これら回転軸の間を通過する被破砕物を各回転軸に設けた複数枚の略円板状のカッターによって破砕するものである。各カッターには、その周方向に等間隔にフック状の刃先が形成されており、これらフック状の刃先の個数及び幅によって被破砕物の破砕後の粒度が定まる。この第1破砕機1では、粒度30~80mm程度まで細かく破砕するのが好ましく、粒度50mm程度まで細かく破砕するのがより好ましい。
【0013】
上記の第1破砕機1で1次破砕された破砕物としてのスクラップ基板は、第1破砕機1の底部排出口から排出されてその直ぐ後段の第1縮分機4で縮分されるまで第1ベルトコンベア2で連続的に搬送される。具体的には、第1破砕機1の底部排出口の下方には、第1ベルトコンベア2の上流側端部が設けられており、第1破砕機1で破砕されたスクラップ基板は、この第1ベルトコンベア2によって後段の第1縮分機4に向けて連続的に搬送される。この第1ベルトコンベア2の搬送経路の途中には、磁選機3を設けるのが好ましく、これにより、スクラップ基板に含まれる不純物の鉄分を除去することができる。
【0014】
第1ベルトコンベア2で連続的に搬送されたスクラップ基板は、次に第1縮分機4のシュート4a内に投入される。この第1縮分機4には、その縮分比を約1/5~1/3を超える大きな縮分比まで無段階で変更することが可能なスナイダー型縮分機(Snyder Type Sampler)を用いるのが好ましい。スナイダー型縮分機は、1又は複数の開口部が形成された略円錐形状のフランジ部が回転軸の端部に設けられた構造を有しており、シュート4aを介して上記フランジ部の内側に導入されたスクラップ基板は、一部が該開口部を通過してサンプルとして回収されると共に、残部がフランジ部の外縁部から滑り落ちてリジェクトとして排出されることで1次縮分が行われる。この第1縮分機4では縮分比を1/6~1/3程度に設定するのが好ましく、約1/4に設定するのがより好ましい。なお、この縮分比はライナーの開口面積を変更することで調整することができる。また、上記の1次縮分のように直ぐ前段の工程において破砕処理が行われる場合の縮分操作を破砕縮分と称することがある。
【0015】
第1縮分機4で1次縮分されたスクラップ基板は、サンプル側排出口4bから排出され、その下方に設けられている第2ベルトコンベア5の上流側端部のコンベア面上に落下する。これにより、1次縮分されたスクラップ基板は、2次破砕を行なう後段の第2破砕機6に向けて第2ベルトコンベア5によって搬送される。他方、第1縮分機4でリジェクトされた白矢印で示すスクラップ基板は、リジェクト側排出口4cから排出される。なお、このリジェクトされたスクラップ基板は、好適には搬送手段(図示せず)によって自動で母体のロットに戻される。
【0016】
第2ベルトコンベア5によって搬送されたスクラップ基板は、次に第2破砕機6のホッパー6a内に投入される。この第2破砕機6のタイプも前述した第1破砕機1と同様に二軸破砕機を採用するのが好ましい。これにより、スクラップ基板は更に細かく破砕される。この第2破砕機6では、第1破砕機1に比べて粒度が約半分程度になるように破砕するのが好ましい。すなわち、第1破砕機1で例えば粒度約50mmまで1次破砕した場合は、この第2破砕機6では粒度約25mmまで2次破砕するのが好ましい。
【0017】
第2破砕機6で2次破砕された破砕物としてのスクラップ基板は、底部排出口から排出されてその直ぐ後段の第2縮分機8で縮分されるまで第3ベルトコンベア7で連続的に搬送される。具体的には、2次破砕された破砕物は、第2破砕機6の下方に設けられている第3ベルトコンベア7の上流側端部のコンベア面上に落下する。これにより、2次破砕されたスクラップ基板は、2次縮分を行なう後段の第2縮分機8のシュート8a内に第3ベルトコンベア7を介して投入される。この第2縮分機8のタイプも、前述した第1縮分機4と同様にスナイダー型縮分機を採用するのが好ましい。一方、縮分比は1/6~1/3程度が好ましく、約1/5がより好ましい。
【0018】
第2縮分機8で2次縮分されたスクラップ基板は、サンプル側排出口8bから排出され、その下方に設けられている第4ベルトコンベア9の上流側端部のコンベア面上に落下する。これにより、2次縮分されたスクラップ基板は、3次破砕を行なう後段の第3破砕機10に向けて第4ベルトコンベア9によって搬送される。他方、第2縮分機8でリジェクトされた白矢印で示すスクラップ基板は、リジェクト側排出口8cから排出される。なお、このリジェクトされたスクラップ基板は、好適には搬送手段(図示せず)によって自動で母体のロットに戻される。
【0019】
第4ベルトコンベア9によって搬送されたスクラップ基板は、次に第3破砕機10のホッパー10a内に投入される。この第3破砕機10には、一軸破砕機を用いるのが好ましい。一軸破砕機は、水平方向に延在する回転軸に設けた回転刃と、本体に取り付けた固定刃とによって切断するように破砕するものであり、破砕されたスクラップ基板は所定の目開きを有するスクリーンを通過して本体下部の排出口から排出される。このため、該スクリーンを通過できる粒度までスクラップ基板を破砕することができる。この第3破砕機10では、第2破砕機6に比べて粒度が、好適には6~8割程度、より好適には約7割程度まで細かくなるように破砕するのが好ましい。すなわち、第2破砕機6で例えば粒度約25mmまで2次破砕する場合は、この第3破砕機10では粒度約15~20mm程度まで破砕するのが好ましく、粒度約18mmまで破砕するのがより好ましい。
【0020】
第3破砕機10で3次破砕されたスクラップ基板は、底部排出口から排出され、その真下に設けられている第3縮分機11のホッパー11a内に直接投入される。この第3縮分機11にはロータリーコンテナ型縮分機を用いるのが好ましい。ロータリーコンテナ型縮分機は、ホッパーの底部に設けたフィーダーを介して一定量で落下する粉粒体を、周方向に等間隔に支切られた回転する円型容器に受け取ることで縮分するものである。この第3縮分機11では、縮分比を1/6~1/3程度に設定するのが好ましく、約1/5がより好ましい。
【0021】
第3縮分機11で3次縮分されたスクラップ基板は、サンプル側排出口11bから排出され、その下方に設けられている第5ベルトコンベア12の上流側端部のコンベア面上に落下する。これにより、3次縮分されたスクラップ基板は、4次破砕を行なう後段の第4破砕機に向けて第5ベルトコンベア12によって搬送される。他方、第3縮分機11でリジェクトされた白矢印で示すスクラップ基板は、リジェクト側排出口11cから排出される。なお、このリジェクトされたスクラップ基板は、好適には搬送手段(図示せず)によって自動で母体のロットに戻される。
【0022】
第5ベルトコンベア12によって搬送されたスクラップ基板は、次に第4破砕機13のホッパー13a内に投入される。この第4破砕機13のタイプは、第1及び第2破砕機1、6と同様に二軸破砕機を採用するのが好ましい。この第4破砕機13は最終段の破砕機となるので、スクラップ基板の分析試料に一般的に適した粒度である10mm程度まで破砕するのが好ましい。
【0023】
第4破砕機13で4次破砕されたスクラップ基板は、底部排出口から排出され、その下方に設けられている容器に回収される。この容器に回収された4次破砕後のスクラップ基板は、人手を介して運搬され、最終段の第4縮分機14のホッパー14a内に投入される。この第4縮分機14のタイプは、前段の第3縮分機11と同様にロータリーコンテナ型縮分機を用いるのが好ましい。特に、第4縮分機14は、各インクリメントが独立し、それらの中から任意の個数を選択することで、縮分率を調整できる構造であることが望ましい。具体的には、自動的に8個の容器に8等分で振り分ける場合は、n個の容器を選択することでn/8に縮分したサンプルを回収できる構造であるのが望ましく、これにより例えば1個の容器を選択することで1/8に縮分したサンプルを回収でき、2個の容器を選択することで2/8に縮分したサンプルを回収でき、3個の容器を選択することで3/8に縮分したサンプルを回収できる。
【0024】
この第4縮分機14は最終段の縮分機であるため、スクラップ基板の分析試料に適した量になるように上記の方法で縮分比が調整される。なお、上記の第1~3縮分機4、8、11で行なう破砕縮分に対して、この第4縮分機14で行なう縮分比の最終調整のための縮分操作をサンプル縮分と称することがある。上記の第4縮分機14を用いた1回のサンプル縮分では所望の縮分比が得られない場合は、この第4縮分機14でのサンプル縮分が2回以上繰り返される。例えば、分析試料に適した量は一般的に500~1000gであるので、第3縮分機11で3次縮分された後のスクラップ基板が5kgの場合は、第4縮分機14において上記の8等分された8個の容器の内の1個を選択する縮分比1/8のサンプル縮分を1回だけ行なうことで625gまで縮分することが可能になる。また、第3縮分機11で3次縮分された後のスクラップ基板が10kgの場合は、第4縮分機14において上記の8等分された8個の容器の内の1個を選択する1回目の縮分比1/8のサンプル縮分を行なった後、これを第4縮分機14に再度投入して8個の容器の内の4個を選択する2回目の縮分比4/8のサンプル縮分を行なうことで625gまで縮分することが可能になる。
【0025】
以上説明したように、本発明の実施形態の破砕縮分装置においては、各縮分機での1回の縮分によりスクラップ基板の量を1/6~1/3程度まで減らすことができるので(縮分率17~33%と表現することがある)、入荷したロットサイズや分析試料に必要なサンプルサイズを考慮して縮分率を1%程度以下に抑えることが求められる場合は、縮分機3台をベルトコンベアを介して連続的に接続し、これら縮分機に上流側から下流側に向けてスクラップ基板を順次導入して縮分することで、自動的に縮分率1%以下に縮分することが可能になる。更に、これら縮分機それぞれの前段には、粒度をそれぞれ約50mm、約25mm、及び約18mmまで破砕する破砕機が設けられており、最終段には粒度約10mmまで破砕する破砕機が設けられているので、複数段の縮合機による段階的な縮分によりスクラップ基板の量が徐々に減少しても、これに応じて粒度を段階的に細かくできるので、縮分による誤差を抑えることができる。
【0026】
また、第1破砕機1及び第2破砕機から排出される破砕物は、それぞれ直ぐ後段の第1縮分機4及び第2縮分機8で縮分されるまでベルトコンベア等の搬送手段で連続的に搬送されるので、撹拌機やフィーダーを備えた貯留槽等の機器が破砕機とその直ぐ後段の縮分機との間に不要になり、その結果、破砕縮分装置を簡素化できるうえ、その保全のためのコストや手間も不要になる。更に、連続する複数の縮分機で順次縮分を行なう場合は、上流側の縮分機では比較的大量のサンプルを取り扱うので処理に時間がかかるが、上記のように上流側の第1破砕機1及び第2破砕機の各々は、その直ぐ後段の縮分機との間に貯留槽等の破砕物を滞留させる機器が存在していないので、分析用サンプルをより短時間で得ることが可能になる。
【0027】
なお、破砕機の種類や台数、各縮分機で設定する縮分比は上記実施形態に限定されるものではなく、分析試料に必要なサンプルサイズやロットサイズ等に応じて適宜定めることができる。例えば、分析試料に必要なサンプルサイズが500gの場合は、上記の実施形態の構成では、第1縮分機4、第2縮分機8、及び第3縮分機11での破砕縮分の縮分比をそれぞれ1/4、1/5、及び1/5とすることで、全体として1/100の縮分比を達成できる。従って、更に縮分比1/8の第4縮分機14でのサンプル縮分まで含めると、該破砕縮分装置を用いた1回の縮分により50~400kgの入荷ロットサイズに対応でき、第4縮分機14でのサンプル縮分を更に1回繰り返すことにより、最大3200kgの入荷ロットサイズまで対応できる。次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。また、破砕縮分装置を構成する全ての破砕機、あるいは最下流側の破砕機を除く全ての破砕機において、それらの各々から排出される破砕物を、その直ぐ後段の縮分機で縮分するまで滞留させることなく連続的に搬送を行なうように破砕縮分装置を構成してもよい。
【実施例0028】
図1に示すような破砕縮分装置を用いた本発明の実施例の破砕縮分方法により、粒度が約300mmのスクラップ基板を破砕縮分し、その結果を比較例としての従来の破砕縮分方法と比較した。具体的には、比較例の破砕縮分方法では、粒度約300mmのスクラップ基板に対して、先ず株式会社プラントシステムの二軸破砕機(NC-B15、刃厚50mm)と、MTB社のシュレッダー(BD645)とを用いて粒度18mm未満までの破砕を行なった。その後、ベルトコンベアで搬送してその下流側端部から落下したときに、水平方向で且つ該ベルトコンベアの搬送方向に直交する方向に往復動するカッターバケットで採取することで縮分比2/100(縮分率2%)の破砕縮分を行なった。得られた粒度18mm未満のスクラップ基板に対して、サンプル縮分として株式会社吉田製作所の二分器(型式:1035、20号)を用いて第1サンプル縮分(縮分比1/2)、第2サンプル縮分(縮分比1/2)、第3サンプル縮分(縮分比1/2)、第4サンプル縮分(縮分比1/2)、及び第5サンプル縮分(縮分比1/2)を行なった。
【0029】
一方、本発明の実施例の破砕縮分方法として、比較例と同じロットの粒度約300mmのスクラップ基板に対して、第1破砕機として株式会社プラントシステムの二軸破砕機(NC-B15、刃厚50mm)を用いた粒度50mm未満になるまでの1次破砕、第1縮分機4としてスナイダー型縮分機を用いた1次縮分(縮分比1/4)、第2破砕機6として株式会社プラントシステムの二軸破砕機(NC-B15-EP、刃厚25mm)を用いた粒度25mm未満になるまでの2次破砕、第2縮分機8としてスナイダー型縮分機を用いた2次縮分(縮分比1/5)、第3破砕機10として株式会社プラントシステムの一軸破砕機(NC-B5.5-EP、スクリーン目開き径18mm)を用いた粒度18mm未満になるまでの3次破砕、第3縮分機11としてロータリーコンテナ型縮分機を用いた3次縮分(縮分比1/5)、第4破砕機13として株式会社氏家製作所の二軸破砕機(UG165-10-240、刃厚10mm)を用いた粒度10mm未満になるまでの4次破砕を順次行なって1%の縮分率を達成した。その後、サンプル縮分のため、ロータリーコンテナ型縮分機を用いて第1サンプル縮分(縮分比1/8)及び第2サンプル縮分(縮分比4/8)を行なった。
【0030】
上記の比較例では、破砕縮分後のスクラップ基板の量が20kgと多かったため、サンプルサイズ625gを達成するためにサンプル縮分において2分器による縮分を5回繰り返す必要があった。一方、本発明の実施例の縮分では、破砕縮分後のスクラップ基板の量が10kgであったため、サンプル縮分で8分器を2回繰り返す(縮分比1/8×縮分比4/8)だけでサンプルサイズ625gを達成することができた。そのため、実施例は比較例に比べてサンプル縮分の時間を85分短縮することができた。なお、サンプル縮分以外の破砕及び縮分に要した時間は実施例及び比較例のいずれも120分でほぼ同じであった。
【0031】
このように、本発明の実施例の破砕縮分方法は段階的に破砕と縮分を行なうため、比較例の破砕縮分方法に比べて効率が良いことが分かる。これは、破砕縮分処理の律速は粉砕作業であるため、縮分されたスクラップ基板のみをその後段で破砕することによって段階的に破砕していくので、余分なスクラップ基板の破砕処理が不要になるからである。なお、比較例では破砕後にカッターバケットを用いて縮分率2%に縮分し、その後2分器で所望のサンプルサイズまで縮分を繰り返すため、カッターバケットによる縮分の縮分率が2%より大きくなれば2分器での縮分に更に手間がかかり、処理時間がより多くかかることになる。また、実施例では、破砕後の粒径が比較例に比べて56%(18mmから10mm)に細かくなったので、後工程の分析作業での粉砕作業が楽になるという利点も得られる。
【0032】
上記の実施例及び比較例の破砕縮分方法を用いた分析試料の調製を3ロットのスクラップ基板に対して行い、得られた分析試料のCu品位をICP発光分析装置により測定した。その測定結果を比較したところ、下記表1に示すように、比較例の破砕縮分方法のCu品位を100%とした場合、本発明の実施例の破砕縮分方法のCu品位は±3%以内で平均100.9%となり、比較例の縮分方法と同等の数値となった。
【0033】