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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147715
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】電極埋設部材、および基板保持部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220929BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20220929BHJP
   H02N 13/00 20060101ALN20220929BHJP
   C04B 35/00 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 C
H01L21/316 X
C23C16/458
H02N13/00 D
C04B35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049092
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100208605
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 龍一
(72)【発明者】
【氏名】檜野 誠
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
5F131
【Fターム(参考)】
4K030BA44
4K030FA01
4K030GA02
5F045AA08
5F045AB32
5F045AD08
5F045BB02
5F045EM02
5F045EM09
5F058BA06
5F058BC02
5F058BF07
5F058BF25
5F058BG01
5F058BG10
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA12
5F131EA04
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB85
5F131EB89
(57)【要約】
【課題】圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる電極埋設部材、その製造方法、および基板保持部材を提供する。
【解決手段】電極埋設部材であって、セラミックス焼結体からなり、一方の主面に載置面を有する平板状の基体と、前記基体に埋設された電極と、を備え、前記基体は、内部に前記載置面に平行な少なくとも2層に形成されたガス溝と、隣接する層の前記ガス溝を連通する連通孔と、前記載置面に最も近い第1層ガス溝からガスを外部に排出する複数の排出孔と、前記載置面から最も遠い第2層ガス溝にガスを外部から供給する供給孔とを有し、前記第1層ガス溝は、それぞれの前記排出孔から前記第1層ガス溝に沿って最も近い前記連通孔までの前記ガス溝を通る最短距離の前記第1層ガス溝の経由形状がそれぞれ略同一に形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極埋設部材であって、
セラミックス焼結体からなり、一方の主面に載置面を有する平板状の基体と、
前記基体に埋設された電極と、を備え、
前記基体は、内部に前記載置面に平行な少なくとも2層に形成されたガス溝と、隣接する層の前記ガス溝を連通する連通孔と、前記載置面に最も近い第1層ガス溝からガスを外部に排出する複数の排出孔と、前記載置面から最も遠い第2層ガス溝にガスを外部から供給する供給孔とを有し、
前記第1層ガス溝は、それぞれの前記排出孔から前記第1層ガス溝に沿って最も近い前記連通孔までの前記ガス溝を通る最短距離の前記第1層ガス溝の経由形状がそれぞれ略同一に形成されることを特徴とする電極埋設部材。
【請求項2】
前記第2層ガス溝は、前記連通孔が複数形成され、
前記第2層ガス溝は、線対称な形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電極埋設部材。
【請求項3】
前記排出孔のガス出口は、前記載置面に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極埋設部材。
【請求項4】
前記第1層ガス溝または前記第2層ガス溝は、円周状の溝を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電極埋設部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電極埋設部材と、
セラミックス焼結体からなり、前記電極埋設部材を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、一方の端面から他方の端面に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔は、前記供給孔と連通することを特徴とする基板保持部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極埋設部材、および基板保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスで利用されるCVDなどの製膜プロセスでは、基板外縁部の腐食性ガスによる堆積の防止および基板を支持する載置台の腐食を抑制するために、不活性ガスによるパージが行われ、特に基板と基板載置台の隙間にガスが滞留しやすいため、基板外周部にパージガスを流すことが行われている。そこでは、基板載置面の基板外縁部に相当する位置に、パージ溝とパージ溝の中に複数の貫通孔が設けられている。そして複数の貫通孔は基体内部に設けられた分配溝により分配され、分配溝へは基体に接合されたシャフトに設けられた貫通孔を介して接続されている。
【0003】
パージガスを基板(ウェハ)の外周部周辺からチャンバーに噴き出すように流す場合であって、特にヒータープレートをシャフトで支持するシャフト付きヒーターの場合、ヒータープレートまでは集約されたガス供給路(シャフト内の縦穴や配管)で供給され、ヒータープレート内に外周部に分岐する溝が形成された層を設けていた。そしてその溝が形成された層の外周部からパージガスを流していた(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献2では、サセプターと平板状部との間で内周側突起と前記外周側突起によってリング状空隙部が形成され、その空隙部が、バックサイドガスまたはパージガスを流すためのガス供給路となり、サセプターの背面に対して固相接合する工程を有する、支持部材の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-256789号公報
【特許文献2】特許第4386606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス溝を一平面に対称的に設ける設計により、ヒーター外周部に設けたガス出口のガス流量は、均等になるものと考えられていた。しかし、特許文献1のように設計をしても、実際にはヒーターにはリフトピンや各種電極の端子、熱電対など回避する必要がある領域が散在し、溝のパターンを完全に対称になるように配置することに制約があった。
【0007】
また、対称に配置できたとしても製作時の溝寸法のバラツキ、さらにヒータープレート内部の電極と溝との配置位置の関係により、各ガス出口のパージガス流量はばらつき、その結果としてプロセスの不均一が生じていた。
【0008】
また、特許文献2のように内部に広い空間を設けることによりガスの圧力は均一化され、ガス流量は安定するものと思われるものの、これをヒーターのような高温で使用する場合、広い空間が伝熱の障害となる。また空間が大きいため接合が困難になり接合不良を生じやすい構造であった。
【0009】
またシャフト付きヒーターではガス配管をシャフトの内壁に設けるなど、ヒータープレートのガス入口が中心に設けることが困難な場合が多い。そのため、シャフトに設けられたガス入口から出口まで完全に対称に配置することができない場合であっても、よりパージガス流量のバラツキが抑制されるシャフト付きヒーターが要望されていた。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる電極埋設部材、その製造方法、および基板保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の電極埋設部材は、電極埋設部材であって、セラミックス焼結体からなり、一方の主面に載置面を有する平板状の基体と、前記基体に埋設された電極と、を備え、前記基体は、内部に前記載置面に平行な少なくとも2層に形成されたガス溝と、隣接する層の前記ガス溝を連通する連通孔と、前記載置面に最も近い第1層ガス溝からガスを外部に排出する複数の排出孔と、前記載置面から最も遠い第2層ガス溝にガスを外部から供給する供給孔とを有し、前記第1層ガス溝は、それぞれの前記排出孔から前記第1層ガス溝に沿って最も近い前記連通孔までの前記ガス溝を通る最短距離の前記第1層ガス溝の経由形状がそれぞれ略同一に形成されることを特徴としている。
【0012】
このように、ガス溝を複数の層に形成することで、第1層ガス溝を電極埋設部材の様々な構成要素(リフトピン、電極の端子、熱電対等)をそれほど考慮しなくてもよい位置に配置することができ、それぞれの排出孔についてのガス溝の経由形状を略同一にすることができる。その結果、ガス圧を均一にすることができ、それぞれの排出孔からガスを均一に排出することができる。これにより、例えば、電極埋設部材を使用した製膜プロセス等で、製膜分布等を改善することができる。
【0013】
(2)また、本発明の電極埋設部材において、前記第2層ガス溝は、前記連通孔が複数形成され、前記第2層ガス溝は、線対称な形状に形成されることを特徴としている。
【0014】
これにより、第2層においてもガス圧が均一になるように調整されるので、それぞれの排出孔からガスをより均一に排出することができる。
【0015】
(3)また、本発明の電極埋設部材において、前記排出孔のガス出口は、前記載置面に設けられることを特徴としている。
【0016】
これにより、載置面と基板の裏面との間に滞留するガスを効率よくパージでき、基板の裏面へのパーティクル付着を抑制することができる。
【0017】
(4)また、本発明の電極埋設部材において、前記第1層ガス溝または前記第2層ガス溝は、円周状の溝を含むことを特徴としている。
【0018】
これにより、円周状のガス溝が形成された層のガス圧はより均一になるように調整されるので、それぞれの排出孔からガスをより均一に排出することができる。なお、第1層ガス溝および第2層ガス溝の両方のガス溝に円周状のガス溝が含まれていてもよい。
【0019】
(5)また、本発明の基板保持部材は、上記(1)から(4)のいずれかに記載の電極埋設部材と、セラミックス焼結体からなり、前記電極埋設部材を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、一方の端面から他方の端面に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔は、前記供給孔と連通することを特徴としている。
【0020】
これにより、シャフト付きの基板保持部材においても、ガス圧を均一にすることができ、それぞれの排出孔からガスを均一に排出することができる。これにより、例えば、基板保持部材を使用した製膜プロセス等で、製膜分布等を改善することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電極埋設部材および基板保持部材によれば、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の一例を示す模式的な断面図である。
図2】(a)、(b)、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の第1層ガス溝および第2層ガス溝の形状の一例を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の変形例を示す模式的な断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の変形例を示す模式的な平面図である。
図5】(a)、(b)、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の第1層ガス溝および第2層ガス溝の形状の変形例を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の第1層ガス溝の形状の変形例を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る基板保持部材の一例を示す模式的な断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る基板保持部材の変形例を示す模式的な断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。
図12】本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。
図13】(a)、(d)、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造に使用される複数のセラミックス焼結体の模式的な平面図である。
図14】(a)~(c)、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。
図15】本発明の実施形態に係る基板保持部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図16】(a)~(c)は、それぞれ本発明の実施形態に係る基板保持部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。
図17】比較例のガス溝を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
【0024】
[実施形態]
[電極埋設部材の構成]
まず、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の一例を示す模式的な断面図である。また、図2(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の第1層ガス溝および第2層ガス溝の形状の一例を示す模式図である。本発明の実施形態に係る電極埋設部材100は、基体110と、電極130と、を備える。電極埋設部材100は、ヒーター、静電チャック等に適用される。
【0025】
基体110は、セラミックス焼結体からなり、平板状に形成され、一方の主面に基板を載置する載置面112を有する。基体110の材質は、用途に応じて様々な材料を使用することができる。例えば、AlN、Al23、Si34、SiCなどを使用することができる。また、基体110の形状は、円板状、多角形板状、楕円板状など、様々な形状にすることができるが、円板状であることが好ましい。
【0026】
基体110は、内部に載置面112に平行な少なくとも2層に形成されたガス溝120と、隣接する層のガス溝120を連通する連通孔114と、載置面112に最も近い第1層ガス溝121からガスを外部に排出する複数の排出孔116と、載置面112から最も遠い第2層ガス溝122にガスを外部から供給する供給孔118とを有する。載置面112に平行に形成されたガス溝120は、3層以上あってもよいが、その場合も、載置面112に最も近いガス溝120を第1層ガス溝121、載置面112から最も遠いガス溝120を第2層ガス溝122という。
【0027】
このように、ガス溝120を複数の層に形成することで、第1層ガス溝121を電極埋設部材100の様々な構成要素(リフトピン、電極の端子、熱電対、真空吸着する場合のガスの流路等)をそれほど考慮しなくてもよい位置に配置することができる。また、電極埋設部材100の様々な構成要素を1層のガス溝で回避しようとすると、その層に形成されるガス溝の長さが長くなり、他の層との接合面積が小さくなるため、接合不良が生じやすくなる。本発明のようにガス溝を複数の層に分けて配置することで、各層のガス溝の長さを短くすることができ、接合不良を抑制できる。
【0028】
ガス溝120は、断面として様々な形状をとることができるが、ガスのスムーズな流れを考慮すると、円形状、楕円形状、矩形状、半円形状、半楕円形状であることが好ましく、作製容易性を考慮すると、矩形状、半円形状、半楕円形状であることがより好ましい。また、ガス溝120の断面の大きさは、幅が1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、深さが1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0029】
第1層ガス溝121は、それぞれの排出孔116から第1層ガス溝121に沿って最も近い連通孔114までのガス溝120を通る最短距離の第1層ガス溝121の経由形状がそれぞれ略同一に形成されることが好ましい。このように、それぞれの排出孔116についてのガス溝120の経由形状を略同一にすることで、ガス圧を均一にすることができ、それぞれの排出孔116からガスを均一に排出することができる。これにより、例えば、電極埋設部材100を使用した製膜プロセス等で、製膜分布等を改善することができる。
【0030】
なお、ガス溝120の経由形状が略同一であるとは、それぞれの排出孔116から最も近い連通孔114までの最短距離で経由するガス溝120の経路を部分に分割したときの、各部分の形状、大きさ、および隣接部分の連結角度が、それぞれの排出孔116について製造工程等で生じる不可避の誤差を除いて同一であるとみなせることをいう。
【0031】
例として、図2(a)に示した第1層ガス溝121は、4つの連通孔114のそれぞれに対して分岐がある同一形状の第1層ガス溝121が接続され、8つの排出孔116からガスを排出している。図2(a)に示した例によると、それぞれの排出孔116から最も近い連通孔114までの最短距離で経由するガス溝120の経路を部分に分割したときの、各部分の形状、大きさ、および隣接部分の連結角度が、それぞれの排出孔116について同一であるとみなせる。すなわち、図2(a)に示した第1層ガス溝121は、それぞれの排出孔116から第1層ガス溝121に沿って最も近い連通孔114までのガス溝120を通る最短距離の第1層ガス溝121の経由形状がそれぞれ略同一に形成されている。なお、第1層ガス溝121は、線対称または点対称に形成されてもよい。
【0032】
第2層ガス溝122は、連通孔114が複数形成され、第2層ガス溝122は、線対称な形状に形成されることが好ましい。これにより、第2層においてもガス圧が均一になるように調整されるので、それぞれの排出孔116からガスをより均一に排出することができる。
【0033】
例として、図2(b)に示した第2層ガス溝122は、4つの連通孔114が設けられ、1つの供給孔118を含めて、線対称な形状に形成されている。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の変形例を示す模式的な断面図である。また、図4は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の変形例を示す模式的な平面図である。また、図5(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の第1層ガス溝および第2層ガス溝の形状の変形例を示す模式図である。
【0035】
図3および図4に示されるように、排出孔116のガス出口は、載置面112に設けられることが好ましい。これにより、載置面112と基板の裏面との間に滞留するガスを効率よくパージでき、基板の裏面へのパーティクル付着を抑制することができる。
【0036】
図6は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の第1層ガス溝の形状の変形例を示す模式図である。図2(b)、図5(b)、および図6に示されるように、第1層ガス溝121または第2層ガス溝122は、円周状の溝を含むことが好ましい。これにより、円周状のガス溝が形成された層のガス圧はより均一になるように調整されるので、それぞれの排出孔116からガスをより均一に排出することができる。第1層ガス溝121および第2層ガス溝122の両方のガス溝120に円周状の溝が含まれていてもよい。なお、図2(b)、および図5(b)の第2層ガス溝122は、いずれも円周状の溝が含まれている例を示しているが、第2層ガス溝122は、円周状の溝を含むものに限られるわけではない。
【0037】
複数の排出孔116は、基体110に均等に配置されることが好ましい。また、排出孔116の数は、8以上であることが好ましい。これにより、ガスを均等にパージできる。
【0038】
第1層ガス溝121は、集約できるガス溝は集約して構成することが好ましい。すなわち、第1層ガス溝121とその直下の層のガス溝120とを連通する連通孔114の数は、排出孔116の数と比較して小さいことが好ましい。さらに言い換えると、第1層ガス溝121は、分岐を有することが好ましい。これにより、電極埋設部材100の様々な構成要素を避けつつ、第1層ガス溝121の経由形状を略同一に構成しやすくなる。また、ガス溝120による熱伝導の阻害の影響を低減できる。
【0039】
電極130は、基体110の内部に埋設される。電極130の形状は、メッシュ状や箔状など、様々な形状とすることができる。また、材質も、モリブデン、タングステンなど、様々な材質とすることができる。電極130は、ヒーター用電極、静電吸着用電極、およびRF電極等とすることができる。
【0040】
図1では、電極130は、第1層ガス溝121の上部に埋設されているが、電極130の埋設位置はこれに限られない。すなわち、電極130は、第1層ガス溝121と第2層ガス溝122との間の層に埋設されてもよいし、第2層ガス溝122の下部に埋設されてもよい。また、電極130の形状、ガス溝120の形状、およびその他の条件に適合する場合は、ガス溝120と同一の層に埋設されてもよい。
【0041】
基体110は、複数の電極130を備えていてもよい。例えば、ヒーター用電極と静電吸着用電極を備えることで、電極埋設部材100は、ヒーター付静電チャックとして使用できる。基体110は、複数の電極130を備える場合の電極130の埋設位置も、設計等に応じて、様々な位置にできる。
【0042】
電極埋設部材100は、上記以外に必要な端子140および端子穴142を備える。これにより、電極130に給電することができる。
【0043】
本発明の電極埋設部材は、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる。
【0044】
[基板保持部材の構成]
図7は、本発明の実施形態に係る基板保持部材の一例を示す模式的な断面図である。本発明の実施形態に係る基板保持部材200は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材100と、支持部材210とを備える。
【0045】
支持部材210は、基体110の載置面112に対向する下面に接合され、電極埋設部材100を支持する。支持部材210は、一方の端面212から他方の端面214に貫通する貫通孔216を有し、貫通孔216は、供給孔118と連通する。これにより、支持部材210を通る貫通孔216から供給孔118にガスを供給することができる。支持部材210は、円筒状に形成されることが好ましい。
【0046】
図8は、本発明の実施形態に係る基板保持部材の変形例を示す模式的な断面図である。基板保持部材200は、電極埋設部材100と支持部材210との界面の上側、下側、または両側に第2層ガス溝122が設けられていてもよい。このようにすることで、電極埋設部材100を製造する際の部材の数を削減でき、製造コストを低減できる。この場合、支持部材210は、有底開口筒状で底部と電極埋設部材100との間に第2層ガス溝122が設けられてもよいし、筒状で接合面と電極埋設部材100との間に第2層ガス溝122が設けられてもよい。
【0047】
基板保持部材200は、支持部材210の外径より内側に第2層ガス溝122が収まっていることが好ましい。これにより、電極埋設部材100と支持部材210との間の伝熱を抑制することができる。
【0048】
本発明の基板保持部材は、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる。また、基板保持部材は、電極埋設部材に支持部材と接合されていることから、電極埋設部材と支持部材との間で伝熱が生じる。本発明の電極埋設部材は、ガス溝等の位置や形状をこれまでよりも柔軟に設計できることから、基板保持部材において、ガス溝等の位置や形状を電極埋設部材と支持部材との間の伝熱を考慮した位置や形状等にすることもできる。
【0049】
[電極埋設部材の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造方法を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造方法は、図9に示すように、焼結体準備工程STEP1、ガス溝等加工工程STEP2、焼結体接合工程STEP3を備えている。なお、以下では特許6148845号にあるような成形体を積層して製造する成形体ホットプレス法による製造方法を説明するが、型に詰めた粉末原料および電極をホットプレス焼成する粉末ホットプレス法であってもよく、本発明はガス溝を2層以上に適切な形状に作製できる方法であれば、どのような方法に置き換えてもよい。
【0050】
図10図11、および図12は、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。図13(a)、(b)は、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造に使用される複数のセラミックス焼結体42、43の模式的な平面図である。また、図14(a)~(c)は、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。図10図14は、図1の電極埋設部材を製造する場合について示している。
【0051】
焼結体準備工程STEP1では、セラミックス原料粉から複数のセラミックス成形体11、12、13、および14を形成し、脱脂や凹部の加工など必要な加工を行なう。なお、図10ではセラミックス成形体は4の部材に分かれているが、設計に応じて3であってもよいし、5以上であってもよい。例えば、セラミックス原料粉末にバインダ、可塑剤、分散剤などの添加剤を適宜添加して混合して、スラリーを作製し、スプレードライ法等により顆粒(セラミックス原料粉)を造粒後、加圧成形して複数のセラミックス成形体11、12、13、および14を形成することができる。セラミックス原料粉には、必要に応じて焼結助剤となる粉末が添加されてもよい。
【0052】
セラミックス原料粉末は、高純度であることが好ましく、その純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは98%以上である。また、セラミックス原料粉末の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。
【0053】
混合方法は、湿式、乾式の何れであってもよく、例えばボールミル、振動ミルなどの混合器を用いることができる。また、成形方法としては、例えば、一軸加圧成形や冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法などの公知の方法を用いればよい。なお、セラミックス成形体を形成する方法は、加圧成形に限らず、例えば、グリーンシート積層、または鋳込み成形であっても適用が可能であり、これらを適宜脱脂、またはさらに仮焼する工程により、セラミックス成形体を製造することができる。複数のセラミックス成形体11、12、13、および14は、成形後、機械加工により成形体の形状および電極を収納する凹部、電極と端子を接続するための接続端子を収納する凹部、溝や穴があらかじめ整えられてもよい。
【0054】
脱脂は、複数のセラミックス成形体11、12、13、および14を所定の温度以上、所定の時間以上脱脂処理して複数のセラミックス脱脂体21、22、23、および24を作製する。セラミックス成形体11、12、13、および14は、例えば、400℃以上800℃以下の温度で熱処理され、それぞれセラミックス脱脂体21、22、23、および24となる。脱脂時間は、1時間以上120時間以下であることが好ましい。脱脂には、大気炉または窒素雰囲気炉を用いることができるが、大気炉の方が好ましい。
【0055】
次に、所定の形状に裁断された電極130を準備する。電極130の形状は、メッシュ状や箔状など、様々な形状とすることができる。また、材質も、モリブデン、タングステンなど、様々な材質とすることができる。また、図示していないが、必要に応じて、セラミックス焼結体に埋設する1または複数の接続部材を準備してもよい。接続部材は、電極埋設部材100の設計に応じた形状に加工されたものを準備する。
【0056】
次に、準備した電極130、および複数のセラミックス脱脂体21、22を組み合わせて、平板状に形成され、セラミックス焼結体前駆体30を形成する。このとき、必要であれば電極130に端子140を接続するための接続部材も同時に組み合わせて埋設する。
【0057】
そして、形成されたセラミックス焼結体前駆体30、および複数のセラミックス脱脂体23、24を、主面に垂直方向に一軸加圧焼成して複数のセラミックス焼結体41、43、および44を得る。加圧する力は、1MPa以上であることが好ましい。また、焼成温度は、1500℃以上大きく2000℃以下であることが好ましい。焼成時間は、1時間以上12時間以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、例えば、窒素や不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。これにより、セラミックス焼結体前駆体30、および複数のセラミックス脱脂体23、24が焼結して複数のセラミックス焼結体41、43、および44となる。焼成は、連続して温度を上げることで行なってもよい。
【0058】
ガス溝等加工工程STEP2では、例えば、図13(a)に示されるように、セラミックス焼結体43の片面(セラミックス焼結体41との接合面)に、第1層ガス溝121、排出孔116が形成され、セラミックス焼結体43を貫通する連通孔114が形成される。また、図13(b)に示されるように、セラミックス焼結体44の片面(セラミックス焼結体43との接合面)に、第2層ガス溝122が形成され、セラミックス焼結体44を貫通する供給孔118が形成される。これらが組み合わさることで、他方のセラミックス焼結体の接合面が蓋となり、それぞれのガス溝120(第1層ガス溝121、および第2層ガス溝122)が、セラミックス焼結体の内部に形成される。
【0059】
なお、接合する他方のセラミックス焼結体の面にガス溝120が形成されてもよいし、両方のセラミックス焼結体にそれぞれガス溝120の一部が形成され、組み合わさることでガス溝120となるように構成してもよい。また、これらのガス溝120等の機械加工は、成形体の脱脂の前後に行なってもよいが、焼結後に行なうことで寸法精度が非常に高くなり、接合時のガス溝120等の変形も抑制できるので、焼結後に行なうことが好適である。
【0060】
焼結体接合工程STEP3では、準備し、必要に応じてガス溝等加工をしたセラミックス焼結体を組み合わせて、主面(載置面)に垂直方向に加圧しつつ加熱する。これにより、複数のセラミックス焼結体41、43、および44が接合して、内部に少なくとも2層のガス溝120を有する電極埋設部材100を得ることができる。接合は、接合材を用いた接合方法、および接合材を用いない接合方法のいずれかを用いることができる。この焼結体接合工程には、接合前のセラミックス焼結体41、43、および44の接合面を所定の表面粗さ、平坦度に調整する工程を含む場合がある。
【0061】
接合された電極埋設部材100の埋設された電極130の位置に応じて、電極埋設部材100に端子穴142を加工して、電極130または接続部材の一部を露出させ、露出させた電極130または接続部材にロウ材等で端子140を接続する工程を設けてもよい。端子140は、Ni等を用いることができる。また、ロウ材はAu系またはAg系のロウ材を用いることができる。電極130または接続部材と端子140との間にコバールなどで形成された中間部材150を配置して、ロウ付けしてもよい。
【0062】
このようにすることで、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる電極埋設部材を製造することができる。
【0063】
なお、焼結体準備工程STEP1において、セラミックス仮焼体作製工程を設けてもよい。セラミックス仮焼体作製工程を設ける場合、セラミックス脱脂体を1200℃以上1700℃以下の温度で仮焼してセラミックス仮焼体を作製する。仮焼時間は、0.5時間以上12時間以下であることが好ましい。仮焼雰囲気は、窒素や不活性ガス雰囲気であることが好ましいが、真空などの雰囲気であってもよい。仮焼体作製工程を設ける場合、ガス溝等を形成する機械加工は仮焼体作製工程の後に行なってもよい。この段階で加工を行なうことで、脱脂体に加工を行なうよりも寸法精度をよくすることができ、焼結後に加工を行なうよりも加工がしやすくなるとのメリットがある。
【0064】
[基板保持部材の製造方法]
次に、本発明の実施形態に係る基板保持部材の製造方法を説明する。図15は、本発明の実施形態に係る基板保持部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る基板保持部材の製造方法は、図15に示すように、焼結体準備工程STEP1、ガス溝等加工工程STEP2、焼結体接合工程STEP3、支持部材準備工程STEP4、および接合工程STEP5を備えている。STEP1からSTEP3までは、上述した電極埋設部材100の製造方法と同様であるので、STEP4から説明をする。
【0065】
図16(a)~(c)は、それぞれ本発明の実施形態に係る基板保持部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。図16(a)~(c)は、図7の基板保持部材を製造する場合について示している。
【0066】
支持部材準備工程STEP4では、第2のセラミックス原料粉から第2のセラミックス成形体15を形成する。第2のセラミックス原料粉は、電極埋設部材100のセラミックス原料粉と同一の原料を主成分として、焼結助剤を含まないことが好ましい。そして、第2のセラミックス成形体15を所定の温度以上、所定の時間以上脱脂処理して第2のセラミックス脱脂体25を作製する。第2のセラミックス原料粉の作製方法や第2のセラミックス成形体15の成形方法、第2のセラミックス成形体の脱脂条件の数値範囲等は、焼結体準備工程STEP1と同じでよい。なお、支持部材準備工程STEP4の脱脂を、焼結体準備工程STEP1の脱脂と同時に行ってもよい。
【0067】
次に、第2のセラミックス脱脂体25を焼成して電極埋設部材100を支持する支持部材210を焼成する。支持部材210の焼成は、常圧焼成であることが好ましい。また、焼成温度は、1500℃以上2000℃以下であることが好ましい。焼成時間は、1時間以上12時間以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、例えば、窒素や不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。
【0068】
そして、電極埋設部材100の供給孔118と連通する位置に、支持部材210の一方の端面212から他方の端面214に貫通する貫通孔216を形成する。貫通孔216の形成は、脱脂後に行なってもよい。
【0069】
接合工程STEP5では、電極埋設部材100の基体110の下面の接合位置に支持部材210を接合する。接合は、接合材を用いた接合方法、および接合材を用いない接合方法のいずれかを用いることができる。この接合工程には、接合前の下面および支持部材210の接合面を所定の表面粗さ、平坦度に調整する工程を含む場合がある。なお、電極埋設部材100に支持部材210を接合して基板保持部材200とする場合は、電極埋設部材100の端子穴142の加工や端子140のロウ付けは、接合後に行なってもよい。
【0070】
このようにすることで、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができる基板保持部材200を製造することができる。
【0071】
[実施例および比較例]
(実施例1)
まず、各セラミックス焼結体を作製した。5wt%Y23を添加したAlNを主成分とするセラミックス原料粉を用いて、4つの成形体を形成した。これに電極を収めるための凹部や電極と端子を接続するための接続端子を収納する凹部を所定の位置に加工して設けた。それらを脱脂、焼結することで、直径φ340mm、厚さ2mmの第1のセラミックス焼結体、直径φ340mm、厚さ10mmの第2のセラミックス焼結体、および直径φ340mm、厚さ10mmの第3のセラミックス焼結体を作製した。また、焼結助剤を添加していないAlNを主成分とする第2のセラミックス原料粉を用いて、1つのセラミックス成形体を形成した。それを脱脂、焼結することで、内径50mm、外径70mm、長さ150mm、上端部と下端部に外径90mm厚さ15mmの拡径部を有する支持部材を作製した。
【0072】
各成形体の脱脂は、大気雰囲気で550℃、12時間とした。また、第1から第3のセラミックス焼結体の焼成は、窒素雰囲気で1800℃、2時間、1MPaの圧力で1軸ホットプレス焼成した。また、支持部材の焼成は、窒素雰囲気で1850℃、2時間常圧焼成した。なお、第1のセラミックス焼結体は、電極として、直径290mmのモリブデン製のモリブデンメッシュ(線径0.1mm、目開き50メッシュ)を所定の形状に切断した電極を埋設して焼結した。
【0073】
次に、溝および連通孔等の加工をした。第1のセラミックス焼結体は、PCD280mm、8等配の位置に、Φ5mmの排出孔を設けた。第2のセラミックス焼結体は、PCD120mm、4等配の位置に、Φ5mmの連通孔を設けた。また、一方の面に、図5(a)に示すような、連通孔を端部として外周部に向かい、溝幅5mm、溝深さ5mmの対称的な形状の第1層ガス溝を設けた。第1層ガス溝の他方の端部は外周部PCD280mm、8等配の位置とし、第1のセラミックス焼結体の排出孔の位置と一致させた。第3のセラミックス焼結体は、中心線がΦ120mmとなる溝幅5mm、溝深さ5mmの円周状溝を設けた。また、円周状溝から支持部材の貫通孔と連通する位置まで溝幅5mm、溝深さ5mmの溝を設けた。また、支持部材の貫通孔と連通する位置にΦ5mmの供給孔を設けた。支持部材は、支持部材の円筒部の壁内であって、円筒部の中心から60mmの位置に支持部材の一方の端面から他方の端面まで貫通する貫通孔をΦ5mmで設けた。
【0074】
次に、第1から第3のセラミックス焼結体を溝や孔が正確に連通するように調整して重ね合わせ、載置面に垂直な方向に10MPaの力を加えつつ、1850℃、2時間、1軸ホットプレス焼成した。このようにして、電極埋設部材を焼成した。
【0075】
そして、電極埋設部材と支持部材を、載置面に垂直な方向に1MPaの力を加えつつ、1700℃、1時間加熱し接合した。また、必要な端子穴を穿設し、Ni端子をAuロウでロウ付けした。このようにして、実施例1の基板保持部材を作製した。
【0076】
(実施例2)
実施例2は、第2のセラミックス焼結体に設けた第1層ガス溝を、図6に示されるような円周状の溝を含む形状にしたことを除き、実施例1と同じ条件およびサイズで基板保持部材を作製した。
【0077】
(比較例)
比較例は、直径φ340mm、厚さ12mmの第1のセラミックス焼結体、および直径φ340mm、厚さ10mmの第2のセラミックス焼結体を作製した。そして、第1のセラミックス焼結体は、PCD280mm、8等配の位置に、Φ5mmの排出孔を設けた。第2のセラミックス焼結体は、一方の面に、図17に示すような形状の溝幅5mm、溝深さ5mm形状のガス溝を設けた。また、支持部材の貫通孔と連通する位置にΦ5mmの供給孔を設けた。これを接合して、比較例1の電極埋設部材を作製した。そして、これに実施例1と同一の支持部材を接合して、比較例1の基板保持部材を作製した。図17は、比較例のガス溝を示す模式図である。
【0078】
すなわち、比較例は、1層のガス溝を有する基板保持部材である。なお、図17のガス溝は、電極埋設部材の様々な構成要素を避けることを想定した形状であるが、実際の構成要素の位置や形状に即した形状ではない。
【0079】
(製膜分布の測定)
実施例および比較例の基板保持部材を用いて、400℃のTEOS原料を用いたSiO2膜のプラズマCVD製膜プロセスに使用した。そのときの基板全体の製膜分布を、分光式膜厚計を使用して測定した。
【0080】
実施例1の基板保持部材は、製膜分布が10000±500nmであった。また、実施例2の基板保持部材は、製膜分布が10000±400nmであった。これに対し、比較例の基板保持部材は、製膜分布が10000±900nmであった。これにより、本発明の基板保持部材は、排出孔からパージガスが均等に噴出されることにより、製膜分布が従来品に比べ改善されていることが確かめられた。
【0081】
以上により、本発明の電極埋設部材および基板保持部材は、圧力均一性と製作容易性とを同時に解決することができることが確かめられた。また、本発明の製造方法は、そのような電極埋設部材を製造できることが確かめられた。
【0082】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形および均等物に及ぶことはいうまでもない。また、各図面に示された構成要素の構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
【符号の説明】
【0083】
11、12、13、14 セラミックス成形体
21、22、23、24 セラミックス脱脂体
30 セラミックス焼結体前駆体30
41、43、44 セラミックス焼結体
100 電極埋設部材
110 基体
112 載置面
114 連通孔
116 排出孔
118 供給孔
120 ガス溝
121 第1層ガス溝
122 第2層ガス溝
130 電極
140 端子
142 端子穴
200 基板保持部材
210 支持部材
212 一方の端面
214 他方の端面
216 貫通孔

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17