(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147774
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20220929BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20220929BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20220929BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K3/50 A
H02K15/04 E
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049163
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】三好 洋一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智也
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義忠
(72)【発明者】
【氏名】武田 健
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
5H605
5H615
【Fターム(参考)】
5H603AA03
5H603AA09
5H603CA01
5H603CA05
5H603CA10
5H603CB12
5H603CB18
5H603EE01
5H603EE06
5H604AA05
5H604AA08
5H604CC01
5H604DB01
5H604PC03
5H604QB03
5H605AA07
5H605AA08
5H605EA14
5H605EC05
5H605GG02
5H605GG06
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP15
5H615RR07
5H615SS16
5H615SS20
(57)【要約】
【課題】電力供給導体の形状(寸法など)が機種毎に異なっていても、ステータと外部電気機器との間を電気的に接続するための作業を比較的容易に行うことが可能なステータを提供する。
【解決手段】このステータ100(200、300、400、500)は、スロット13を含むステータコア10と、スロット13に収容されるスロット収容部21と、ステータコア10の軸方向(Z方向)における端面10aから突出するコイルエンド部22と、外部からの電力が供給されるリード線部23と、を含むコイル20と、リード線部23の先端部23aに接合されるとともに、外部からの電力をコイル20に供給するための電力供給導体40を締結固定可能な締結部分31(231、331、431)を含む端子部30(230、330、430、530)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットを含むステータコアと、
前記スロットに収容されるスロット収容部と、前記ステータコアの軸方向における端面から突出するコイルエンド部と、外部からの電力が供給されるリード線部と、を含むコイルと、
前記リード線部の先端部に接合されるとともに、前記外部からの電力を前記コイルに供給するための電力供給導体を締結固定可能な締結部分を含む端子部と、を備える、ステータ。
【請求項2】
前記端子部は、前記リード線部と溶接により接合されている接合部分を含む、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記締結部分は、ボルトおよびナットの一方を含む、請求項1または2に記載のステータ。
【請求項4】
前記リード線部のうちの少なくとも前記先端部と、前記端子部のうちの少なくとも前記リード線部と溶接により接合されている接合部分とを絶縁封止する絶縁封止部材をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項5】
前記接合部分は、前記ステータコアに対して前記軸方向における一方側に設けられており、
前記締結部分のうちの少なくとも一部は、前記電力供給導体と接続可能なように、前記絶縁封止部材から前記軸方向における他方側に露出した露出部分を含む、請求項4に記載のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部からの電力が供給されるリード線部を含むコイルを備えるステータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ステータコアと、ステータコアに配置されたコイルと、コイルに電気的に接続された動力線と、を備えるステータが開示されている。上記特許文献1に記載のステータでは、コイルの一端部に設けられた引出線(リード線部)の先端部は、動力線(電力供給導体)の一端部と溶接により接合されている。また、上記特許文献1に記載のステータでは、動力線の他端部には、インバータ等の外部電気機器が電気的に接続される端子が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載のような従来のステータが用いられる製品(たとえば、自動車)では、ステータとインバータ等の外部電気機器との相対位置が機種毎に異なる。したがって、ステータと外部電気機器との間を電気的に接続するために、機種毎に電力供給導体の形状(寸法など)を変える必要がある。この場合、機種毎に形状(寸法など)の異なる電力供給導体の各々に対応するように、電力供給導体の一端部のリード線部の先端部への溶接を行う必要がある。このため、ステータと外部電気機器との間を電気的に接続するための作業に比較的手間がかかるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電力供給導体の形状(寸法など)が機種毎に異なっていても、ステータと外部電気機器との間を電気的に接続するための作業を比較的容易に行うことが可能なステータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるステータは、スロットを含むステータコアと、スロットに収容されるスロット収容部と、ステータコアの軸方向における端面から突出するコイルエンド部と、外部からの電力が供給されるリード線部と、を含むコイルと、リード線部の先端部に接合されるとともに、外部からの電力をコイルに供給するための電力供給導体を締結固定可能な締結部分を含む端子部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面におけるステータでは、上記のように、リード線部の先端部に接合されるとともに、外部からの電力をコイルに供給するための電力供給導体を締結固定可能な締結部分を含む端子部を備える。これにより、リード線部の先端部に接合された端子部の締結部分に電力供給導体を締結固定することによって、電力供給導体を介して外部からの電力をコイルに供給することができる。その結果、電力供給導体をリード線部の先端部に溶接する必要がないので、電力供給導体の形状(寸法など)が機種毎に異なっていても、ステータと外部電気機器との間を電気的に接続するための作業を比較的容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、電力供給導体の形状(寸法など)が機種毎に異なっていても、ステータと外部電気機器との間を電気的に接続するための作業を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態によるステータを備える回転電機の平面図である。
【
図2】第1実施形態によるステータの一部を切り出した斜視図である。
【
図3】第1実施形態によるステータの周方向から見た断面図である。
【
図4】第1実施形態の変形例によるステータの周方向から見た断面図である。
【
図5】第2実施形態によるステータの一部を切り出した斜視図。
【
図6】第2実施形態によるステータの周方向から見た断面図である。
【
図7】第2実施形態の第1変形例によるステータの周方向から見た断面図である。
【
図8】第2実施形態の第2変形例によるステータの周方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。なお、以下の説明では、ステータ100が備えるステータコア10(
図1参照)の軸方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、軸方向(Z方向)の一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、径方向(R方向)の内側および外側を、それぞれ、R1側およびR2側とする。
【0013】
図1に示すように、ステータ100は、ロータ110と共に、回転電機120の一部を構成する。回転電機120は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。ロータ110は、ステータ100のR1側において、ロータ110の外周面110aが、ステータ100の内周面100aとR方向に対向するように配置されている。すなわち、ステータ100は、インナーロータ型の回転電機120の一部として構成されている。なお、
図1では、後述する端子部30(
図3参照)の図示を省略している。
【0014】
ステータ100は、ステータコア10を備える。ステータコア10は、Z方向に沿った中心軸線A(ロータ110の回転軸線)を中心軸とした円筒形状を有する。ステータコア10は、複数の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)がZ方向に積層されることにより形成されている。ステータコア10は、円環状のバックヨーク11と、バックヨーク11からR1側に突出する複数のティース12と、C方向に隣接するティース12同士の間に形成される複数のスロット13と、を含む。スロット13は、Z方向に延びるように形成されている。スロット13は、Z1側およびZ2側それぞれに開口している。また、スロット13は、Z方向から見て、R1側に開口している。
【0015】
ステータ100は、コイル20を備える。
図2に示すように、コイル20は、ステータコア10に配置されている。コイル20は、3相(U相、V相およびW相)に対応するように設けられている。コイル20は、複数のセグメント導体が電気的に接続されることにより構成されている。コイル20は、略矩形形状の横断面を有する平角導線である。コイル20は、銅またはアルミニウムにより構成されている。
【0016】
図3に示すように、コイル20は、スロット収容部21と、コイルエンド部22と、リード線部23と、を含む。スロット収容部21は、スロット13内に収容されている。コイルエンド部22は、スロット収容部21と接続されるとともに、ステータコア10のZ方向における端面10aからスロット13の外に突出している。リード線部23は、後述するように、ステータ100の外部からの電力が供給されるように構成されている。リード線部23の先端部23aは、コイルエンド部22に対してR2側に設けられている。
図2に示すように、リード線部23は、3相交流電力に対応するように3つ設けられている。
【0017】
ここで、第1実施形態では、
図3に示すように、ステータ100は、端子部30を備える。端子部30は、リード線部23の先端部23aに接合されるとともに、外部からの電力をコイル20に供給する電力供給導体40を締結固定可能な締結部分31を含む。なお、外部からの電力とは、たとえば、インバータから供給される電力である。
【0018】
詳細には、端子部30は、接合部分32を含む。接合部分32は、ステータコア10に対してZ1側に設けられている。接合部分32は、リード線部23の先端部23aと溶接により接合されている。すなわち、接合部分32によって、端子部30は、リード線部23(コイル20)と電気的に接続されている。また、締結部分31は、ナット31aを含む。ナット31aは、締結部分31において、接合部分32にR方向に隣り合うように配置されている。そして、電力供給導体40の孔部にボルト50を貫通させた状態で、ナット31aとボルト50とを螺合することによって、締結部分31に電力供給導体40が締結固定される。そして、締結部分31に電力供給導体40を締結固定することによって、電力供給導体40に供給された外部からの電力を、端子部30を介して、コイル20に供給することができる。電力供給導体40は、たとえば、バスバー、丸端子付き銅線、等である。なお、
図3では、電力供給導体40をバスバーとして図示している。
【0019】
第1実施形態では、締結部分31は、リード線部23の先端部23aに直接的に接合されている。具体的には、接合部分32は、締結部分31のナット31aに設けられている。すなわち、端子部30において、締結部分31は、電力供給導体40を締結固定する役割と、リード線部23の先端部23aに接合される役割とを兼ねている。なお、
図2に示すように、端子部30は、3つのリード線部23に対応するように3つ設けられている。
【0020】
また、第1実施形態では、
図3に示すように、ステータ100は、絶縁封止部材60を備える。絶縁封止部材60は、リード線部23のうちの少なくとも先端部23aと、端子部30のうちの少なくとも接合部分32とを絶縁封止するように構成されている。
【0021】
詳細には、絶縁封止部材60は、絶縁性を有する樹脂部材である。絶縁封止部材60は、封止する部分を、液体状の樹脂材料に浸漬させ、樹脂材料を熱硬化させることによって形成されている。絶縁封止部材60は、外側部分61と内側部分62とを含む。外側部分61および内側部分62は、それぞれ、R2側およびR1側に設けられている。外側部分61は、リード線部23の先端部23aと、締結部分31の(接合部分32が設けられた部分を含む)大部分とを封止している。内側部分62は、コイルエンド部22を封止している。外側部分61と内側部分62とは、一体的に形成されている。すなわち、絶縁封止部材60は、R方向において、コイルエンド部22に対応する位置P1から接合部分32(締結部分31)に対応する位置P2まで延びるように(亘るように)形成されている。なお、
図2に示すように、3つの端子部30は、絶縁封止部材60により一体的に封止されている。
【0022】
第1実施形態では、締結部分31のうちの一部は、電力供給導体40と接続可能なように、絶縁封止部材60からZ2側に露出した露出部分31cを含む。具体的には、締結部分31は、絶縁封止部材60からZ2側に突出している。これにより、締結部分31の露出部分31c(絶縁封止部材60から突出した部分)に電力供給導体40を締結固定することができる。
【0023】
(第1実施形態の変形例)
次に、
図4を参照して、第1実施形態の変形例によるステータ200の構造について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0024】
図4に示すように、ステータ200は、端子部230を備える。端子部230は、締結部分231を含む。締結部分231は、接合部分32にR方向に隣り合うように配置されている。締結部分231は、ボルト231aを含む。ボルト231aは、締結部分231からZ2側に突出するスタッドボルトである。そして、電力供給導体40の孔部にボルト231aを貫通させた状態で、ナット250とボルト231aとを螺合することによって、締結部分231に電力供給導体40が締結固定される。
【0025】
なお、第1実施形態の変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0026】
[第2実施形態]
次に、
図5および
図6を参照して、第2実施形態によるステータ300の構造について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0027】
図5に示すように、ステータ300は、端子部330を備える。
図6に示すように、端子部330は、第1実施形態のステータ100と同様に、リード線部23の先端部23aに接合されるとともに、外部からの電力をコイル20に供給する電力供給導体40を締結固定可能な締結部分331を含む。
【0028】
ここで、第2実施形態では、端子部330は、一方側の端部333aがリード線部23の先端部23aに接合されるとともに、他方側の端部333bが締結部分331に隣接して配置される板状金属部材333を含む。そして、板状金属部材333の締結部分331が配置される側の部分(第2部分)333dの少なくとも一部は、板状金属部材333の他方側の端部333bが露出されるように、締結部分331とともに固定樹脂部材334に埋め込まれている。なお、第2部分333dの少なくとも一部および締結部分331は、たとえば、インサート成形により固定樹脂部材334に埋め込まれている。
【0029】
詳細には、板状金属部材333は、第1部分333cと第2部分333dとを含む。第1部分333cは、Z方向に延びるように形成されている。第1部分333cのZ1側の端部(板状金属部材333の一方側の端部333a)は、リード線部23の先端部23aに接合(溶接)されている。第1部分333cのZ2側の端部は、絶縁封止部材50からZ2側に突出している。第2部分333dは、R方向に延びるように形成されている。第2部分333dのR1側の端部は、第1部分333cのZ2側の端部と接続されている。すなわち、板状金属部材333は、C方向から見て略L字形状を有する。また、板状金属部材333は、第2部分333dがR方向に延びる屈曲形状を有している。第2部分333dの一部は、締結部分331とともに固定樹脂部材334に埋め込まれている。締結部分331は、板状金属部材333の他方側の端部333bに隣接するように固定樹脂部材334に埋め込まれている。締結部分331は、ナット331aを含む。これにより、締結部分331に電力供給導体40を締結固定することによって、電力供給導体40に供給された外部からの電力を、端子部330の板状金属部材333を介して、コイル20に供給することができる。
【0030】
なお、第2実施形態では、締結部分331には、Z1側から電力供給導体40が締結固定可能に構成されている。具体的には、第2部分333dのR2側の端部(板状金属部材333の他方側の端部333b)は、固定樹脂部材334からZ1側に露出している。また、第2部分333dのR2側の端部のZ2側において、締結部分331のナット331aが固定樹脂部材334に埋め込まれている。これにより、第2部分333dのR2側の端部のZ1側において、電力供給導体40の孔部にボルト350を貫通させた状態で、ナット331aとボルト350とを螺号することにより、締結部分331に電力供給導体40が締結固定される。
【0031】
また、第2実施形態では、固定樹脂部材334は、絶縁封止部材60に向かって突出するとともに、絶縁封止部材60に封止された突出部分334aを含む。具体的には、固定樹脂部材334には、Z1側に向かって突出する突出部分334aが形成されている。突出部分334aのZ1側の部分は、絶縁封止部材60に封止されている。なお、突出部分334aは、一体成型された固定樹脂部材334の一部として構成されている。
【0032】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0033】
(第2実施形態の第1変形例)
次に、
図7を参照して、第2実施形態の第1変形例によるステータ400の構造について説明する。なお、図中において、上記第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0034】
図7に示すように、ステータ400は、端子部430を備える。端子部430は、固定樹脂部材434を含む。固定樹脂部材434には、締結部分431が埋め込まれている。締結部分431は、ボルト431aを含む。ボルト431aは、締結部分431からZ1側に突出するスタッドボルトである。そして、電力供給導体40の孔部にボルト431aを貫通させた状態で、ナット450とボルト431aとを螺合することによって、締結部分431に電力供給導体40が締結固定される。
【0035】
なお、第2実施形態の第1変形例のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0036】
(第2実施形態の第2変形例)
次に、
図8を参照して、第2実施形態の第2変形例によるステータ500の構造について説明する。なお、図中において、上記第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0037】
図8に示すように、ステータ500は、端子部530を備える。端子部530は、板状金属部材533と、固定樹脂部材534と、を含む。
【0038】
ここで、第2実施形態の第2変形例では、板状金属部材533が、絶縁封止部材60に向かって突出するように湾曲するとともに、絶縁封止部材60に封止された湾曲部分533eを含む。具体的には、板状金属部材533は、第2部分533dのR方向における中央部からZ1側に向かって突出するように湾曲している。そして、この湾曲している部分(湾曲部分533e)のZ1側の部分は、絶縁封止部材60に封止されている。
【0039】
なお、固定樹脂部材534は、第2実施形態のステータ300と異なり、固定樹脂部材534は、絶縁封止部材60に向かって突出するとともに、絶縁封止部材60に封止された突出部分334a(
図6参照)を含まない。
【0040】
なお、第2実施形態の第2変形例のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0041】
[実施形態の効果]
上記第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0042】
第1および第2実施形態では、上記のように、リード線部(23)の先端部(23a)に接合されるとともに、外部からの電力をコイル(20)に供給するための電力供給導体(40)を締結固定可能な締結部分(31、231、331、431)を含む端子部(30、230、330、430、530)を備える。これにより、リード線部(23)の先端部(23a)に接合された端子部(30、230、330、430、530)の締結部分(31、231、331、431)に電力供給導体(40)を締結固定することによって、電力供給導体(40)を介して外部からの電力をコイル(20)に供給することができる。その結果、電力供給導体(40)をリード線部(23)の先端部(23a)に溶接する必要がないので、電力供給導体(40)の形状(寸法など)が機種毎に異なっていても、ステータ(100、200、300、400、500)と外部電気機器との間を電気的に接続するための作業を比較的容易に行うことができる。
【0043】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、端子部(30、230、330、430、530)は、リード線部(23)と溶接により接合されている接合部分(32)を含む。このように構成すれば、端子部(30、230、330、430、530)をリード線部(23)と容易に接合することができる。
【0044】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、締結部分(31、231、331、431)は、ボルト(231a、431a)およびナット(31a、331a)の一方を含む。このように構成すれば、ボルト(231a、431a)をナット(31a、331a)に螺合するだけで、電力供給導体(40)を締結部分(31、231、331、431)に容易に締結固定することができる。
【0045】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、リード線部(23)のうちの少なくとも先端部(23a)と、端子部(30、230、330、430、530)のうちの少なくともリード線部(23)と溶接により接合されている接合部分(32)とを絶縁封止する絶縁封止部材(60)をさらに備える。このように構成すれば、互いに溶接により接合されているリード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが、絶縁封止部材(60)により封止されているので、ステータ(100、200、300、400、500)の振動等によって、互いに溶接により接合されているリード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが分離してしまうのを防止することができる。また、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが接合されている部分が、絶縁封止部材(60)により絶縁封止されているので、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが接合されている部分を、容易に絶縁することができる。
【0046】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、接合部分(32)は、ステータコア(10)に対して軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)に設けられており、締結部分(31)のうちの少なくとも一部は、電力供給導体(40)と接続可能なように、絶縁封止部材(60)から軸方向(Z方向)における他方側(Z2側)に露出した露出部分(31c)を含む。このように構成すれば、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが接合されている部分が絶縁封止部材(60)により封止されている場合でも、締結部分(31、231、331、431)の露出部分(31c)によって、電力供給導体(40)を締結部分(31、231、331、431)に締結固定することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、締結部分(31、231)は、リード線部(23)の先端部(23a)に直接的に接合されている。このように構成すれば、締結部分(31、231)が、電力供給導体(40)を締結固定する役割と、リード線部(23)の先端部(23a)に接合される役割とを兼ねるので、端子部(30、230)を締結部分(31、231)のみで構成することができる。その結果、端子部(30、230)の構成を簡素化することができるとともに、部品点数が増加するのを防止することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、リード線部(23)のうちの少なくとも先端部(23a)と、端子部(30、230)のうちの少なくともリード線部(23)と接合されている接合部分(32)とを封止する絶縁性を有する絶縁封止部材(60)をさらに備え、接合部分(32)は、ステータコア(10)に対して軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)に設けられており、締結部分(31、231)は、絶縁封止部材(60)から軸方向(Z方向)における他方側(Z2側)に突出している。このように構成すれば、締結部分(31、231)が、絶縁封止部材(60)から軸方向(Z方向)における他方側(Z2側)に突出しているので、ステータ(100、200)の製造工程において、ステータコア(10)に対して接合部分(32)が設けられた軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)から、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230)の接合部分(32)とを絶縁封止部材(60)による絶縁封止を行う場合でも、締結部分(31、231)を絶縁封止部材(60)から容易に露出させることができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、リード線部(23)は、3相交流電力に対応するように3つ設けられており、端子部(30、230)は、3つのリード線部(23)に対応するように3つ設けられており、3つの端子部(30、230)は、絶縁封止部材(60)により一体的に封止されている。このように構成すれば、3つの端子部(30、230)それぞれに専用の絶縁封止部材が設けられる場合と比較して、部品点数が増加するのを防止することができる。
【0050】
また、第2実施形態では、上記のように、端子部(330、430、530)は、一方側の端部(333a)が、リード線部(23)の先端部(23a)に接合されるとともに、他方側の端部(333b)が、締結部分(331、431)に隣接して配置される板状金属部材(333、533)を含み、板状金属部材(333、533)の締結部分(331、431)が配置される側の部分(第2部分)(333d)の少なくとも一部は、板状金属部材(333、533)の他方側の端部(333b)が露出されるように、締結部分(331、431)とともに固定樹脂部材(334、434、534)に埋め込まれている。このように構成すれば、板状金属部材(333、533)の形状を調整することによって、電力供給導体(40)を締結固定する締結部分(331、431)の配置の自由度を向上させることができる。また、板状金属部材(333、533)の締結部分(331、431)が配置される側の部分(第2部分)(333d)が、締結部分(331、431)とともに固定樹脂部材(334、434、534)に埋め込まれているので、板状金属部材(333、533)の他方側の端部(333b)が締結部分(331、431)に隣接して配置された状態を容易に維持することができる。
【0051】
また、第2実施形態では、上記のように、リード線部(23)のうちの少なくとも先端部(23a)と、板状金属部材(333、533)のうちの少なくとも一方側の端部(333a)のリード線部(23)の先端部(23a)と接合されている接合部分(32)とを絶縁封止する絶縁封止部材(60)をさらに備え、接合部分(32)は、ステータコア(10)に対して軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)に設けられており、板状金属部材(333、533)は、締結部分(331、431)が配置される側の部分(第2部分)(333d)が軸方向(Z方向)に直交する直交方向(R方向)に延びる屈曲形状を有しており、締結部分(331、431)には、軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)から電力供給導体(40)が締結固定可能に構成されている。このように構成すれば、ステータ(300、400、500)の製造工程において、接合部分(32)等が設けられた軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)を上側として配置した状態で、締結部分(331、431)に、上側から電力供給導体(40)を容易に締結固定することができる。
【0052】
また、第2実施形態では、上記のように、固定樹脂部材(334)は、絶縁封止部材(60)に向かって突出するとともに、絶縁封止部材(60)に封止された突出部分(334a)を含む。このように構成すれば、端子部(330、430)のうち、板状金属部材(333)の一方側の端部(333a)のみが絶縁封止部材(60)に封止されている場合と比較して、突出部分(334a)によって、端子部(330、430)を絶縁封止部材(60)に対して強固に固定することができる。
【0053】
また、第2実施形態の第2変形例では、上記のように、板状金属部材(533)は、絶縁封止部材(60)に向かって突出するように湾曲するとともに、絶縁封止部材(60)に封止された湾曲部分(533e)を含む。このように構成すれば、端子部(530)のうち、板状金属部材(533)の一方側の端部(333a)のみが絶縁封止部材(60)に封止されている場合と比較して、湾曲部分(533e)によって、端子部(530)を絶縁封止部材(60)に対して強固に固定することができる。
【0054】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、リード線部(23)のうちの少なくとも先端部(23a)と、端子部(30、230、330、430、530)のうちの少なくともリード線部(23)と接合されている接合部分(32)とを絶縁封止する絶縁封止部材(60)をさらに備え、絶縁封止部材(60)は、樹脂部材を含む。このように構成すれば、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが接合されている部分を、樹脂部材により強固に絶縁封止することができる。
【0055】
また、第1および第2実施形態では、上記のように、リード線部(23)の先端部(23a)は、コイルエンド部(22)に対してステータコア(10)の径方向(R方向)における外側(R2側)に設けられており、樹脂部材(絶縁封止部材(60))は、リード線部(23)のうちの少なくとも先端部(23a)と、締結部分(31、231、331、431)のうちの少なくとも接合部分(32)とを封止するとともに、コイルエンド部(22)も封止するように、径方向(R方向)において、コイルエンド部(22)に対応する位置(P1)から接合部分(32)に対応する位置(P2)まで延びるように形成されている。このように構成すれば、コイルエンド部(22)を絶縁封止するための部材と、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが接合されている部分を絶縁封止するための樹脂部材(絶縁封止部材(60))とを、それぞれ別個に設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができる。また、リード線部(23)の先端部(23a)が、コイルエンド部(22)に対してステータコア(10)の径方向(R方向)における外側(R2側)に設けられているので、コイルエンド部(22)、および、リード線部(23)の先端部(23a)と端子部(30、230、330、430、530)の接合部分(32)とが接合されている部分を、たとえば、軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)から、樹脂部材(絶縁封止部材(60))に浸漬することにより、容易に絶縁封止することができる。
【0056】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0057】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、樹脂部材(絶縁封止部材60)は、リード線部23のうちの少なくとも先端部23aと、締結部分31(231、331、431)のうちの少なくとも接合部分32とを封止するとともに、コイルエンド部22も封止するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂部材(絶縁封止部材)は、コイルエンド部を封止しないように構成してもよい。すなわち、リード線部のうちの少なくとも先端部と、締結部分のうちの少なくとも接合部分とを封止する樹脂部材(絶縁封止部材)と、コイルエンド部を絶縁封止するための部材とを、別個に設けてもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、絶縁封止部材60が、封止する部分を、液体状の樹脂材料に浸漬させ、樹脂材料を熱硬化させることによって形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、絶縁封止部材は、たとえば、封止する部分に、粉末状の絶縁材料を吹き付けて塗装することによって形成されてもよいし、ワニスを塗布することによって形成されてもよい。
【0059】
また、上記第2実施形態では、突出部分334aが、一体成型された固定樹脂部材334(434)の一部として構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突出部分が、インサート成形により固定樹脂部材の内部に埋め込まれてもよい。その場合、突出部分は、樹脂製でも金属製でもよい。
【0060】
また、上記第2実施形態では、固定樹脂部材334(434)が、絶縁封止部材60に向かって突出するとともに、絶縁封止部材60に封止された突出部分334aを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、固定樹脂部材が、絶縁封止部材に向かって突出するとともに、絶縁封止部材に封止された突出部分を含まなくてもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態の変形例では、板状金属部材533が、絶縁封止部材60に向かって突出するように湾曲するとともに、絶縁封止部材60に封止された湾曲部分533eを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、板状金属部材が、絶縁封止部材に向かって突出するように湾曲するとともに、絶縁封止部材に封止された湾曲部分を含まなくてもよい。
【0062】
また、上記第2実施形態では、締結部分331(431)に、軸方向(Z方向)における一方側(Z1側)から電力供給導体40が締結固定可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部分に、軸方向における一方側以外の方向(たとえば、軸方向における他方側、周方向、径方向、等)から電力供給導体が締結固定可能に構成されてもよい。
【0063】
また、上記第1実施形態では、3つの端子部30(230)が、絶縁封止部材60により一体的に封止されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つの端子部が、それぞれ、別個に設けられた絶縁封止部材により封止されてもよい。
【0064】
また、上記第1実施形態では、締結部分31(231)が、絶縁封止部材60から軸方向(Z方向)における他方側(Z2側)に突出している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部分が、絶縁封止部材から軸方向における他方側に突出してもよい。
【0065】
また、上記第1および第2実施形態では、締結部分31(231、331、431)が、ボルト231a(431a)およびナット31a(331a)の一方を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部分が、ボルトおよびナットのいずれも含まないように構成してもよい。その場合、たとえば、電力供給導体が、締結部分に対して、カシメ加工によって接合されることにより、締結部分に電力供給導体が締結固定されるように構成してもよい。
【0066】
また、上記第1および第2実施形態では、端子部30(230、330、430、530)が、リード線部23と溶接により接合されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、端子部が、リード線部と溶接以外の方法(抵抗ろう付け、カシメ等)により接合されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 ステータコア
10a (ステータコアの)軸方向における端面
13 スロット
20 コイル
21 スロット収容部
22 コイルエンド部
23 リード線部
23a (リード線部の)先端部
30、230、330、430、530 端子部
31、231、331、431 締結部分
231a、431a ボルト
31a、331a ナット
31c 露出部分
32 接合部分
40 電力供給導体
60 絶縁封止部材
100、200、300、400、500 ステータ