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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147776
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20220929BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20220929BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20220929BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K3/50 A
H02K5/22
H02K15/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049166
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 景介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宗裕
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義忠
(72)【発明者】
【氏名】武田 健
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
5H605
5H615
【Fターム(参考)】
5H603AA03
5H603AA09
5H603CA01
5H603CA05
5H603CA10
5H603CB12
5H603CB18
5H603EE06
5H604AA05
5H604AA08
5H604CC01
5H604DB01
5H604PC03
5H604QB03
5H605AA08
5H605EA14
5H605EB05
5H605GG06
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP15
5H615SS20
(57)【要約】
【課題】リード線部が大型化するのを抑制しながら、リード線部の先端部と端子部とが締結固定される際の締付けトルクに起因してリード線部の変形が生じるのを防止することが可能な回転電機を提供する。
【解決手段】この回転電機100は、リード線部12bの先端部12cと端子部21とを締結固定して、リード線部12bの先端部12cと端子部21とを電気的に接続するための締結部材30と、リード線部12bの先端部12cと締結部材30との間に設けられるワッシャ部材40と、を備える。リード線部12b、端子部21、ワッシャ部材40および締結部材30は、各々、複数相に対応するように複数設けられている。複数のワッシャ部材40のうちの少なくとも2つは、樹脂部材60を介して互いに固定されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
外部から電力が供給されるリード線部を含み、前記ステータコアに配置されるコイルと、
前記リード線部と接続される端子部が設けられた端子台と、
前記リード線部の先端部と前記端子部とを締結固定して、前記リード線部の前記先端部と前記端子部とを電気的に接続するための締結部材と、
前記リード線部の前記先端部と前記締結部材との間に設けられるワッシャ部材と、を備え、
前記リード線部、前記端子部、前記ワッシャ部材および前記締結部材は、各々、複数相に対応するように複数設けられており、
前記複数のワッシャ部材のうちの少なくとも2つは、樹脂部材を介して互いに固定されている、回転電機。
【請求項2】
前記リード線部、前記端子部、前記ワッシャ部材および前記締結部材は、各々、3相に対応するように3つ設けられており、
前記3つのワッシャ部材は、前記樹脂部材を介して互いに固定されている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記3つのワッシャ部材は、前記樹脂部材と一体成形されている、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記樹脂部材は、前記締結部材により前記リード線部の前記先端部と前記端子部とを締結固定する際の前記締結部材の回転軸線に沿った軸方向と直交する面内方向において前記端子台または前記端子台が固定される筐体に当接する当接部を含む、請求項2または3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記3つのリード線部の前記先端部、前記3つの端子部、前記3つのワッシャ部材および前記3つの締結部材は、前記面内方向における整列方向に並ぶように配置されており、
前記当接部は、前記3つの端子部のうちの前記整列方向における最も一方側に配置された前記端子部の前記整列方向における一方側の面に当接する第1当接部と、前記3つの端子部のうちの前記整列方向における最も他方側に配置された前記端子部の前記整列方向における他方側の面に当接する第2当接部と、を含む、請求項4に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関し、コイルのリード線部と接続される端子台を備える回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルのリード線部と接続される端子台を備える回転電機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ステータコアと、ステータコアに配置されるコイルと、コイルの端部側の部分である動力線部(リード線部)に接続される端子台と、を備える回転電機が開示されている。上記特許文献1に記載の回転電機では、動力線部の先端部には、ボルト(締結部材)の軸部が貫通する貫通孔が形成されている。また、端子台のステータコア側の端部(端子部)には、ボルト(締結部材)の脚部(雄ねじ部)に螺合可能な雌ねじ部が形成されている。そして、動力線部の先端部の貫通孔を介して、ボルトの脚部と端子台の雌ねじ部とを螺合することにより、動力線部の先端部と端子部とがボルトにより締結固定されるとともに電気的に接続されている。なお、ボルトの頭部と動力線部の先端部との間には、ボルトの脚部が貫通するようにワッシャが設けられている。また、動力線部、端子台、ボルトよびワッシャは、3相に対応するように3つずつ設けられている。また、ワッシャは、ボルトの脚部に対して回転可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-278678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている回転電機では、上記のように、ボルト(締結部材)の頭部と動力線部(リード線部)の先端部との間に3相の各々に設けられたワッシャがボルトの脚部に対して回転可能に設けられているため、動力線部の先端部と端子台のステータコア側の端部(端子部)とがボルトにより締結固定される際に、ボルトとともにワッシャが回転する。このため、ボルトの締付けトルクが、ワッシャを介して、動力線部に対して伝達される場合がある。この場合、ボルトの締付けトルクが伝達されることにより動力線部に発生する応力によって、動力線部の変形が生じる場合がある。したがって、動力線部の変形が生じるのを防止するために、動力線部を大型化して動力線部の強度を高める必要がある。このため、上記特許文献1に記載されているような従来の回転電機では、動力線部(リード線部)の先端部と端子台のステータコア側の端部(端子部)とが締結固定される際の締付けトルクに起因して動力線部の変形が生じるのを防止するために動力線部が大型化してしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、リード線部が大型化するのを抑制しながら、リード線部の先端部と端子部とが締結固定される際の締付けトルクに起因して動力線部の変形が生じるのを防止することが可能な回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における回転電機は、ステータコアと、外部から電力が供給されるリード線部を含み、ステータコアに配置されるコイルと、リード線部と接続される端子部が設けられた端子台と、リード線部の先端部と端子部とを締結固定して、リード線部の先端部と端子部とを電気的に接続するための締結部材と、リード線部の先端部と締結部材との間に設けられるワッシャ部材と、を備え、リード線部、端子部、ワッシャ部材および締結部材は、各々、複数相に対応するように複数設けられており、複数のワッシャ部材のうちの少なくとも2つは、樹脂部材を介して互いに固定されている。
【0008】
この発明の一の局面における回転電機では、上記のように、複数のワッシャ部材のうちの少なくとも2つは、樹脂部材を介して互いに固定されている。これにより、樹脂部材を介して互いに固定されている少なくとも2つのワッシャ部材のうちの一のワッシャ部材に対応するリード線部の先端部と端子部とが締結部材により既に締結固定された状態においては、樹脂部材を介して互いに固定されている少なくとも2つのワッシャ部材のうちの他のワッシャ部材が、樹脂部材および一のワッシャ部材を介して、既に締結固定されたリード線部の先端部および端子部に対して固定された状態となる。これにより、他のワッシャ部材に対応するリード線部の先端部と端子部とを締結部材により締結固定する際に、他のワッシャ部材が、締結部材の締付けトルクにより回転するのを防止することができる。すなわち、締結部材とリード線部の先端部との間に設けられたワッシャ部材により、締結部材の締付けトルクがリード線部の先端部に伝達されるのを防止することができるので、リード線部の強度を高めるためにリード線部を大型化することなく、リード線部の変形が生じるのを防止することができる。その結果、リード線部が大型化するのを抑制しながら、リード線部の先端部と端子部とが締結固定される際の締付けトルクに起因してリード線部の変形が生じるのを防止することが可能な回転電機を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように、リード線部が大型化するのを抑制しながら、リード線部の先端部と端子部とが締結固定される際の締付けトルクに起因してリード線部の変形が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態による回転電機の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による回転電機におけるリード線部と端子部との締結部分を示した斜視図である。
図3】第1実施形態による回転電機におけるリード線部と端子部との締結部分をY方向に沿って見た断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による回転電機におけるリード線部と端子部との締結部分をX方向に沿って見た断面図である。
図5】本発明の第1実施形態による回転電機の連結ワッシャ部材を示した斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態による回転電機の連結ワッシャ部材を示した平面図である。
図7】本発明の第1実施形態による回転電機のワッシャ部材を示した斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態による回転電機の樹脂部材を示した斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態による回転電機におけるリード線部と端子部との締結部分をY方向に沿って見た断面図である。
図10】本発明の第2実施形態による回転電機におけるリード線部と端子部との締結部分をX方向に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1図8を参照して、本発明の第1実施形態による回転電機100の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、回転電機100は、ステータ10と、ロータ(図示しない)と、を備える。回転電機100は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。
【0014】
ステータ10は、ステータコア11を備える。ステータコア11は、Z方向に沿ったロータの回転軸線91を中心軸とした円筒形状を有する。ステータコア11は、複数の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)がZ方向に積層されることにより形成されている。ステータコア11は、円環状のバックヨーク11aと、バックヨーク11aから内径側に突出する複数のティース11bと、ステータコア11の周方向に隣接するティース11b同士の間に形成される複数のスロット11cと、を含む。
【0015】
ステータ10は、コイル12を備える。コイル12は、ステータコア11に配置されている。コイル12は、3相(U相、V相およびW相)に対応するように設けられている。コイル12は、スロット収容部(図示しない)と、コイルエンド部12aと、リード線部12bと、を含む。スロット収容部は、スロット11c内に収容されている。コイルエンド部12aは、スロット収容部と接続されるとともに、ステータコア11のZ方向における端面11dからスロット11cの外に突出している。コイルエンド部12aは、絶縁部材13により覆われている。
【0016】
リード線部12bは、ステータコア11のZ方向における端面11dからスロット11cの外に突出するとともに、ステータコア11に対して外径側に延びるように配置されている。なお、リード線部12bの先端部12cには、締結部材30(後述する)が貫通する貫通孔12d(図3参照)が形成されている。
【0017】
図2に示すように、回転電機100は、端子台20と、締結部材30と、ワッシャ部材40と、を備える。
【0018】
端子台20は、一方側(Y1側)の端部にリード線部12bと接続される端子部21が設けられている。端子部21には、締結部材30(後述する)と螺合する雌ねじ21a(図3参照)が形成されている。また、図4に示すように、端子台20は、他方側(Y2側)の端部が、接続線51を介してインバータ装置(図示しない)等と接続されている。すなわち、リード線部12bは、外部から電力が供給されるように構成されている。なお、端子台20は、回転電機100やインバータ装置が収納される筐体52に対して固定されている。
【0019】
締結部材30は、リード線部12bの先端部12cと端子部21とを締結固定するための締結部材である。締結部材30は、金属製である。締結部材30は、たとえば、ボルトである。すなわち、締結部材30は、リード線部12bの先端部12cと端子部21とを電気的に接続するための締結部材である。
【0020】
ワッシャ部材40は、リード線部12bの先端部12cと締結部材30との間に設けられている。ワッシャ部材40は、締結部材30の軸部が貫通する貫通孔40aが形成されている。
【0021】
以上の構成により、リード線部12bの先端部12cの貫通孔12dを介して、締結部材30の軸部と端子台の端子部21に形成された雌ねじ21aとを螺合することにより、リード線部12bの先端部12cと端子部21とが締結部材30により締結固定されるとともに電気的に接続されている。なお、リード線部12bの先端部12cと端子部21とは、締結部材30の回転軸線92に沿った軸方向(Z方向)に、締結部材30により締結固定されている。
【0022】
図3に示すように、回転電機100では、リード線部12b、端子部21、ワッシャ部材40および締結部材30は、各々、複数相に対応するように複数設けられている。具体的には、回転電機100では、リード線部12b、端子部21、ワッシャ部材40および締結部材30は、各々、3相に対応するように3つ設けられている。そして、3つのリード線部12bの先端部12c、3つの端子部21、3つのワッシャ部材40および3つの締結部材30は、整列方向(X方向)に並ぶように配置されている。
【0023】
以下の説明では、締結部材30によりリード線部12bの先端部12cと端子部21とを締結固定する際の締結部材30の回転軸線92に沿った軸方向を、Z方向とする。そして、締結部材30の回転軸線92に沿った軸方向(Z方向)において、端子部21が配置される側および締結部材30の頭部が配置される側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、3つのリード線部12bの先端部12c、3つの端子部21、3つのワッシャ部材40および3つの締結部材30が並ぶ整列方向を、X方向とする。そして、整列方向(X方向)の一方側および他方側を、それぞれ、X1側およびX2側とする。また、Z方向およびX方向と直交する方向を、Y方向とする。そして、Y方向において、端子台20の端子部21が設けられている側および端子台20のインバータ装置等と接続されている側を、それぞれ、Y1側およびY2側とする。
【0024】
ここで、図5に示すように、第1実施形態では、複数のワッシャ部材40のうちの少なくとも2つは、樹脂部材60を介して互いに固定されている。具体的には、3つのワッシャ部材40は、樹脂部材60を介して互いに固定されている。また、図6に示すように、3つのワッシャ部材40は、樹脂部材60と一体成形されている。これにより、回転電機100では、3つのワッシャ部材40と樹脂部材60とが一体成形されることにより、3つのワッシャ部材40が樹脂部材60を介して互いに固定された連結ワッシャ部材70が形成されている。なお、3つのワッシャ部材40と樹脂部材60とは、インサート成形により一体成形されている。
【0025】
また、図8に示すように、第1実施形態では、樹脂部材60は、X方向に延びる本体部61と、Z方向と直交する面内方向(XY平面内方向)において端子台20に当接する当接部62と、本体部61からリード線部12bの先端部12c同士の間に突出する突出部63と、を含む。
【0026】
本体部61は、3つの端子部21のうちの最もX1側の端子部21よりもX1側から、3つの端子部21のうちの最もX2側の端子部21に渡って、X方向に延びている。
【0027】
当接部62は、第1当接部62aと、第2当接部62bと、を含む。
【0028】
図3に示すように、第1当接部62aは、3つの端子部21のうちの最もX1側に配置された端子部21のX1側の面21bに当接している。具体的には、第1当接部62aは、本体部61のX1側の端部61aからZ2側に突出している。第1当接部62aは、Z方向において、3つの端子部21のうちの最もX1側の端子部21よりもX1側に配置されている。そして、第1当接部62aのX2側の面62cが、3つの端子部21のうちの最もX1側の端子部21のX1側の面21bと面接触している。
【0029】
また、第2当接部62bは、3つの端子部21のうちの最もX2側に配置された端子部21のX2側の面21cに当接している。具体的には、第2当接部62bは、本体部61のX2側の端部61bからZ2側に突出している。第2当接部62bは、Z方向において、3つの端子部21のうちの最もX2側の端子部21よりもX2側に配置されている。そして、第2当接部62bのX1側の面62dが、3つの端子部21のうちの最もX2側の端子部21のX2側の面21cと面接触している。
【0030】
図8に示すように、突出部63は、本体部61から、リード線部12bの先端部12c同士の間に、X方向と直交する面内方向(YZ平面内方向)に延びるように突出している。具体的には、突出部63は、本体部61から、Y1側に突出している。また、図5に示すように、突出部63は、X方向において、リード線部12bの先端部12c同士の間の略中央部に配置されている。そして、突出部63は、Z方向およびY方向に延びるように形成されている。なお、突出部63のY1側への突出量は、リード線部12bの先端部12c同士の間の絶縁沿面距離が確保されるように設定される。
【0031】
図7に示すように、3つのワッシャ部材40は、各々、略同一形状を有する。ワッシャ部材40は、締結用部分41と、固定用部分42と、を含む。図5に示すように、締結用部分41は、締結部材30が貫通する貫通方向(Z方向)における両側(Z1側およびZ2側)の面40bが樹脂部材60から少なくとも環状に露出している。また、図6に示すように、固定用部分42は、締結用部分41と連続するようにY2側に形成されている。固定用部分42は、少なくとも一部が樹脂部材60に覆われた状態で樹脂部材60に対して固定されている。すなわち、ワッシャ部材40の固定用部分42の少なくとも一部が樹脂部材60に覆われた状態で、3つのワッシャ部材40と樹脂部材60とがインサート成形されることにより、3つのワッシャ部材40は、樹脂部材60を介して互いに固定されている。
【0032】
[第2実施形態]
図9および図10を参照して、本発明の第2実施形態による回転電機200の構成について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0033】
図9に示すように、回転電機200は、上記第1実施形態の回転電機100と同様に、複数のワッシャ部材40のうちの少なくとも2つは、樹脂部材260を介して互いに固定されている。具体的には、3つのワッシャ部材40は、樹脂部材260を介して互いに固定されている。また、3つのワッシャ部材40は、樹脂部材260と一体成形されている。すなわち、回転電機200では、3つのワッシャ部材40と樹脂部材260とが一体成形されることにより、3つのワッシャ部材40が樹脂部材260を介して互いに固定された連結ワッシャ部材270が形成されている。
【0034】
図10に示すように、第2実施形態では、樹脂部材260は、Z方向と直交する面内方向(XY平面内方向)において端子台20が固定される筐体52に当接する当接部262を含む。具体的には、当接部262は、本体部61からY2側に突出するように形成されている。当接部262のY2側の面262aは、筐体52の側面52aと面接触している。なお、図9に示すように、樹脂部材260は、上記第1実施形態の樹脂部材60と異なり、軸方向(Z方向)と直交する面内方向(XY平面内方向)において端子台20に当接する当接部62は含まない。
【0035】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0036】
[実施形態の効果]
上記第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、複数のワッシャ部材(40)のうちの少なくとも2つは、樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている。これにより、樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている少なくとも2つのワッシャ部材(40)のうちの一のワッシャ部材(40)に対応するリード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とが締結部材(30)により既に締結固定された状態においては、樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている少なくとも2つのワッシャ部材(40)のうちの他のワッシャ部材(40)が、樹脂部材(60、260)および一のワッシャ部材(40)を介して、既に締結固定されたリード線部(12b)の先端部(12c)および端子部(21)に対して固定された状態となる。これにより、他のワッシャ部材(40)に対応するリード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結部材(30)により締結固定する際に、他のワッシャ部材(40)が、締結部材(30)の締付けトルクにより回転するのを防止することができる。すなわち、締結部材(30)とリード線部(12b)の先端部(12c)との間に設けられたワッシャ部材(40)により、締結部材(30)の締付けトルクがリード線部(12b)の先端部(12c)に伝達されるのを防止することができるので、リード線部(12b)の強度を高めるためにリード線部(12b)を大型化することなく、リード線部(12b)の変形が生じるのを防止することができる。その結果、リード線部(12b)が大型化するのを抑制しながら、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とが締結固定される際の締付けトルクに起因してリード線部12bの変形が生じるのを防止することができる。
【0038】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、リード線部(12b)、端子部(21)、ワッシャ部材(40)および締結部材(30)は、各々、3相に対応するように3つ設けられおり、3つのワッシャ部材(40)は、樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている。このように構成すれば、3相に対応するように設けられた3つのワッシャ部材(40)のうちの2つのみが樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている場合と比較して、締結部材(30)の締付けトルクにより回転するのを防止しながら、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結固定することができる箇所を増加させることができる。その結果、3相に対応するように設けられた3つのワッシャ部材(40)のうちの2つのみが樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている場合と比較して、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結固定する作業の作業性を向上させることができる。
【0039】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、3つのワッシャ部材(40)は、樹脂部材(60、260)と一体成形されている。このように構成すれば、3相に対応するように設けられた3つのワッシャ部材(40)が樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている状態を容易に実現することができる。
【0040】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、樹脂部材(60、260)は、締結部材(30)によりリード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結固定する際の締結部材(30)の回転軸線(92)に沿った軸方向(Z方向)と直交する面内方向(XY平面内方向)において端子台20または端子台20が固定される筐体(52)に当接する当接部(62、262)を含む。このように構成すれば、当接部(62、262)が締結部材(30)の回転軸線(92)に沿った軸方向(Z方向)と直交する面内方向(XY平面内方向)において端子台(20)または端子台(20)が固定される筐体(52)に当接することによって、締結部材(30)の締付けトルクによりワッシャ部材(40)が回転するのを防止することができる。すなわち、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とが1つも締結固定されていない場合でも、締結部材(30)の締付けトルクによりワッシャ部材(40)が回転しない。これにより、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とが1つも締結固定されていない状態において、ワッシャ部材(40)が回転しないようにワッシャ部材(40)を固定するための治具を用いることなく、締結部材(30)の締付けトルクによりワッシャ部材(40)が回転するのを防止することができる。その結果、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結固定する作業の作業性をより向上させることができる。また、当接部(62、262)が端子台(20)または端子台(20)が固定される筐体(52)に当接することによって、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結固定する箇所に対して、樹脂部材(60、260)を容易に位置決めすることができる。
【0041】
上記第1実施形態では、上記のように、3つのリード線部(12b)の先端部(12c)、3つの端子部(21)、3つのワッシャ部材(40)および3つの締結部材(30)は、面内方向(XY平面内方向)における整列方向(X方向)に並ぶように配置されており、当接部(62)は、3つの端子部(21)のうちの整列方向(X方向)における最も一方側(X1側)に配置された端子部(21)の整列方向(X方向)における一方側(X1側)の面(21b)に当接する第1当接部(62a)と、3つの端子部(21)のうちの整列方向(X方向)における最も他方側(X2側)に配置された端子部(21)の整列方向(X方向)における他方側(X2側)の面(21c)に当接する第2当接部(62b)と、を含む。このように構成すれば、第1当接部(62a)および第2当接部(62b)により樹脂部材(60)が面内方向(XY平面内方向)における整列方向(X方向)に挟まれるので、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とが1つも締結固定されていない場合でも、締結部材(30)の締付けトルクによりワッシャ部材(40)が回転するのを確実に防止することができる。
【0042】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、樹脂部材(60、260)は、本体部(61)と、本体部(61)からリード線部(12b)の先端部(12c)同士の間に突出する突出部(63)と、を含む。このように構成すれば、ワッシャ部材(40)が樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されていることによりリード線部(12b)の先端部(12c)同士がワッシャ部材(40)および樹脂部材(60、260)を介して繋がっている場合でも、本体部(61)からリード線部(12b)の先端部(12c)同士の間に突出する突出部(63)により、リード線部(12b)の先端部(12c)同士の絶縁沿面距離を容易に確保することができる。また、突出部(63)の突出量を比較的大きくした場合、リード線部(12b)の先端部(12c)同士の間隔を小さくしても、リード線部(12b)の先端部(12c)同士の絶縁沿面距離を確保することができる。これにより、突出部(63)の突出量を大きくすることにより、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とが締結固定される箇所全体を小型化することができる。
【0043】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、3つのリード線部(12b)の先端部(12c)、3つの端子部(21)、3つのワッシャ部材(40)および3つの締結部材(30)は、整列方向(X方向)に並ぶように配置されており、突出部(63)は、整列方向(X方向)に延びる本体部(61)から、リード線部(12b)の先端部(12c)同士の間に、整列方向(X方向)と直交する面内方向(YZ平面内方向)に延びるように突出する。このように構成すれば、整列方向(X方向)と直交する面内方向(YZ平面内方向)に延びるように突出する突出部(63)が、整列方向(X方向)に並ぶように配置されたリード線部(12b)の先端部(12c)同士の間に確実に配置されるので、リード線部(12b)の先端部(12c)同士の絶縁沿面距離を確実に確保することができるとともに、リード線部(12b)の先端部(12c)同士の間に異物が入り込んでリード線部(12b)同士が短絡するのを防止することができる。
【0044】
上記第1および第2実施形態では、上記のように、3つのワッシャ部材(40)は、各々、締結部材(30)が貫通する貫通孔(40a)が形成されるとともに、締結部材(30)が貫通する貫通方向(Z方向)における両側(Z1側およびZ2側)の面(40b)が樹脂部材(60、260)から少なくとも環状に露出した締結用部分(41)と、締結用部分(41)と連続するとともに、少なくとも一部が樹脂部材(60、260)に覆われた状態で樹脂部材(60、260)に対して固定された固定用部分(42)と、を含む。このように構成すれば、締結用部分(41)により、ワッシャ部材(40)を、リード線部(12b)の先端部(12c)と端子部(21)とを締結固定する際のワッシャとして確実に機能させることができる。また、固定用部分(42)により、3つのワッシャ部材(40)が樹脂部材(60、260)を介して互いに固定されている状態を確実に実現することができる。
【0045】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0046】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、3つのワッシャ部材40が、各々、締結部材30が貫通する貫通方向(Z方向)における両側(Z1側およびZ2側)の面40bが樹脂部材60(260)から少なくとも環状に露出した締結用部分41と、締結用部分41と連続するとともに、少なくとも一部が樹脂部材60(260)に覆われた状態で樹脂部材60(260)に対して固定された固定用部分42と、を含むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つのワッシャ部材の少なくともいずれかが、締結用部分と、締結用部分と連続するとともに、樹脂部材に覆われていない状態で樹脂部材に対して固定された固定用部分と、を含むよう構成してもよい。
【0047】
また、上記第1および第2実施形態では、樹脂部材60(260)が、本体部61と、本体部61からリード線部12bの先端部12c同士の間に突出する突出部63と、を含むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂部材が、本体部からリード線部の先端部同士の間に突出する突出部を含まないように構成してもよい。
【0048】
また、上記第1実施形態では、当接部62が、3つの端子部21のうちの整列方向(X方向)における最も一方側(X1側)に配置された端子部21の整列方向(X方向)における一方側(X1側)の面21bに当接する第1当接部62aと、3つの端子部21のうちの整列方向(X方向)における最も他方側(X2側)に配置された端子部21の整列方向(X方向)における他方側(X2側)の面21cに当接する第2当接部62bと、を含むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、当接部が、上記第1当接部および上記第2当接部のいずれか一方のみを含むように構成してもよい。また、当接部が、上記第1当接部および上記第2当接部以外の当接部を含むようにしてもよい。上記第1当接部および上記第2当接部以外の当接部としては、たとえば、3つの端子部のうちの整列方向における最も一方側に配置された端子部の整列方向における他方側の面に当接する当接部、3つの端子部のうちの整列方向における最も他方側に配置された端子部の整列方向における一方側の面に当接する当接部、3つの端子部のうちの整列方向における中央の端子部の整列方向における一方側の面または他方側の面に当接する当接部、等が考えられる。
【0049】
また、上記第2実施形態では、樹脂部材260が、締結部材30によりリード線部12bの先端部12cと端子部21とを締結固定する際の締結部材30の回転軸線92に沿った軸方向(Z方向)と直交する面内方向(XY平面内方向)において、端子台20が固定される筐体52に当接する当接部262を含み、端子台20に当接する当接部62を含まないように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂部材が、締結部材によりリード線部の先端部と端子部とを締結固定する際の締結部材の回転軸線に沿った軸方向と直交する面内方向において、端子台に当接する当接部、および、端子台が固定される筐体に当接する当接部の両方を含むように構成してもよい。
【0050】
また、上記第1および2実施形態では、樹脂部材60(260)が、締結部材30によりリード線部12bの先端部12cと端子部21とを締結固定する際の締結部材30の回転軸線92に沿った軸方向(Z方向)と直交する面内方向(XY平面内方向)において当接する当接部62(262)を含むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂部材が、締結部材によりリード線部の先端部と端子部とを締結固定する際の締結部材の回転軸線に沿った軸方向と直交する面内方向において当接する当接部を含まないように構成してもよい。この場合、既に締結固定されたリード線部の先端部と端子部とがない状態においては、リード線部の先端部と端子部とを締結部材により締結固定する際には、複数のワッシャ部材を固定する樹脂部材を治具により固定した状態(ワッシャ部材が回転しないように固定した状態)で、リード線部の先端部と端子部とを締結部材により締結固定することによって、締結固定するリード線部の先端部および端子部に対応するワッシャ部材が、締結部材の締付けトルクにより回転するのを防止することができる。
【0051】
また、上記第1および第2実施形態では、3つのワッシャ部材40が、樹脂部材60(260)と一体成形されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つのワッシャ部材が、樹脂部材と一体成形以外の方法(たとえば、締結部材による締結固定、接着剤による接着、係合構造による係合等)によって固定されていてもよい。
【0052】
また、上記第1および第2実施形態では、3つのワッシャ部材40が、樹脂部材60(260)を介して互いに固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つのワッシャ部材のうちの2つのみが、樹脂部材を介して互いに固定されていてもよい。
【0053】
また、上記第1および第2実施形態では、締結部材30によりリード線部12bの先端部12cと端子部21とを締結固定する際の締結部材30の回転軸線92に沿った軸方向を、ステータコア11の複数の電磁鋼板積層される方向と同じZ方向として構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、締結部材によりリード線部の先端部と端子部とを締結固定する際の締結部材の回転軸線に沿った軸方向を、ステータコアの複数の電磁鋼板積層される方向と異なる方向として構成してもよい。
【0054】
また、上記第1および第2実施形態では、コイルエンド部12aが、絶縁部材13により覆われている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コイルエンド部が、絶縁部材により覆われていなくてもよい。
【0055】
また、上記第1および第2実施形態では、リード線部12bが、ステータコア11に対して外径側に延びるように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リード線部が、ステータコアの周方向に沿って延びるように配置されていてもよいし、ステータコアの軸方向に沿って延びるように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
11 ステータコア
12 コイル
12b リード線部
12c (リード線部の)先端部
20 端子台
21 端子部
21b (整列方向における最も一方側に配置された端子部の)整列方向における一方側の面
21c (整列方向における最も他方側に配置された端子部の)整列方向における他方側の面
30 締結部材
40 ワッシャ部材
52 筐体
60、260 樹脂部材
62、262 当接部
62a 第1当接部
62b 第2当接部
92 (締結部材の)回転軸線
100、200 回転電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10