(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147803
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】吸収性物品及び当該吸収性物品に使用する複合シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/512 20060101AFI20220929BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220929BHJP
A61F 13/537 20060101ALI20220929BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61F13/512 100
A61F13/511 100
A61F13/537
A61F13/15 352
A61F13/15 353
A61F13/15 357
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049211
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 彩
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA05
3B200BA08
3B200BB03
3B200CA03
3B200DB05
3B200DC05
3B200EA07
(57)【要約】
【課題】排便などを吸収体まで素早く吸収させ、かつ、表面残りしにくい肌触りの良いトップシートを使用した吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品は、肌側に複数の凹部220と凸部210を有するトップシート2と、前記トップシート2に比べて嵩高に形成されたセカンドシート3と、水分を吸収する吸収体層4と、を備え、前記吸収体層4、前記セカンドシート3、前記トップシート2の順に重ねられ、前記凹部220には、前記トップシート2と前記セカンドシート3を貫通する開孔部230が形成され、前記凸部210は、上段部と下段部との2段部から構成され、前記凸部210の先端部及び根元部の剛性が中間部の剛性より高い。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側に複数の凹部と凸部を有するトップシートと、
前記トップシートに比べて嵩高に形成されたセカンドシートと、
水分を吸収する吸収体層と、を備え、
前記吸収体層、前記セカンドシート、前記トップシートの順に重ねられ、
前記凹部には、前記トップシートと前記セカンドシートを貫通する開孔部が形成され、
前記凸部は、上段部と下段部との2段構造から構成され、前記凸部の先端部及び根元部の剛性が中間部の剛性より高いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記凸部は、前記セカンドシートに対応する内側に空間を有する請求項1に記載する吸収性物品。
【請求項3】
前記凸部の先端部が斜めになっている請求項1又は請求項2に記載する吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートは、撥水性を有する請求項1~3のいずれか一項に記載する吸収性物品。
【請求項5】
請求項1~4に記載の吸収性物品に使用するトップシート及びセカンドシートを製造する複合シートの製造方法であって、
トップシートの二段構造凸部と、凹部と、が同時に形成される第一工程と、
前記トップシートとセカンドシートを重ね合わせる積層工程及び前記トップシートと前記セカンドシートとに開孔部を形成する開孔工程を同時に実施する第二工程と、
前記開孔部に対する開孔寸法を大きくする開孔設計工程を少なくとも一回行う第三工程と、を備える、複合シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体まで素早く吸収させ、かつ、表面残りしにくい肌触りの良い吸収性物品及び当該吸収性物品に使用する複合シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟便パッドなどの吸収性物品は、尿や便の漏れ防止、排便排尿後の快適性、運動機能及び取り扱いやすさなどを考慮して設計される。一般的には、吸収性物品は、親水性のトップシートと、トップシートに比べて嵩高に形成されたセカンドシートと、水分を吸収する吸収体層と、を備え、吸収体層、セカンドシート、トップシートの順に重ねられて形成されている。排便排尿後の快適性を考慮し、トップシートには、凸部と開孔部を設けることもある。
【0003】
例えば、従来、透液性表面シート(トップシート)の肌側に多数の凸部を設計するとともに、凸部の周囲のエンボス部と開孔部とをそれぞれ独立的且つ平面的に配置する透液性表面シートを備えた吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、吸収性物品は、吸収性物品の透液性表面シートの肌側に多数の凸部を設けることで、肌面との接触面積を低減し、且つクッション性を向上させ、さらに、凸部の周囲のエンボス部と開孔部を適宜に設計することで、液体の拡散及び下層側に移行しやすくなることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された吸収性物品は、経血、おりもの、尿などの体液を吸収するための生理用ナプキンなどに適用するものであるため、開孔部のサイズが小さく、軟便パッドなどの開孔部のサイズが大きいものには適用できない。
【0007】
また、従来の軟便パッドは、開孔を形成したトップシートの下に粗いセカンドシートとサードシートが設けられており、開孔部のサイズが大きいため、セカンドシートなどの繊維が開孔部から露出することがあり、さらに、ピン開孔の熱融着で硬い部分が形成された場合は、当該硬い部分が肌にあたるため、硬さを感じやすく、肌触りがよくない。また、フラットな開孔部を有するトップシートを使用することで、排便を目詰まりさせることなく吸収体へ移行しているが、逆戻りも発生しやすい。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、排便などを吸収体まで素早く吸収させ、かつ、表面残りしにくい肌触りの良いトップシートを使用した吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、肌側に複数の凹部と凸部を有するトップシートと、前記トップシートに比べて嵩高に形成されたセカンドシートと、水分を吸収する吸収体層と、を備え、前記吸収体層、前記セカンドシート、前記トップシートの順に重ねられ、前記凹部には、前記トップシートと前記セカンドシートを貫通する開孔部が形成され、前記凸部は、上段部と下段部との2段部から構成され、前記凸部の先端部及び根元部の剛性が中間部の剛性より高いことを特徴とする吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排便などを吸収体まで素早く吸収させ、かつ、表面残りしにくい肌触りの良いトップシートを使用した吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る吸収性物品の一実施形態であるインナーパッドとインナーパッドが重ねられて組み合わされる使い捨ておむつとを示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示したインナーパッド及び使い捨ておむつを着用者に仮想的に着用させた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示したインナーパッドを内面側から見た平面図である。
【
図4】
図3におけるA-A線に沿った断面を示す断面図である。
【
図5A】実施例1に係るトップシートを使用した場合の
図4のM部分に対応する拡大図である。
【
図5B】
図5Aに示したトップシート及びセカンドシートを、トップシートの側から厚さ方向に所定間隔で圧縮荷重をかけた状態を示す、
図5Aと同様の断面図である。
【
図6】実施例1に係るトップシートの
図5Aに対応する部分の拡大平面図である。
【
図7A】実施例2に係るトップシートを使用した場合の
図4のM部分に対応する拡大図である。
【
図7B】
図7Aに示したトップシート及びセカンドシートを、トップシートの側から厚さ方向に所定間隔で圧縮荷重をかけた状態を示す、
図7Aと同様の断面図である。
【
図8】本発明に係るトップシートの製造方法の一例である5ロール法の概念図である。
【
図9】本発明に係るトップシートの凸部を製造するための凸部形成用ピンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るトップシート2を使用した吸収性物品の一実施形態であるインナーパッド1について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明に係るインナーパッド1とインナーパッド1が重ねられて組み合わされる使い捨ておむつ8とを示す分解斜視図、
図2は
図1に示したインナーパッド1及び使い捨ておむつ8を着用者Lに仮想的に着用させた状態を示す斜視図である。
【0014】
<構成>
本発明に係るトップシート2を適用したインナーパッド1は、
図1に示すように、使い捨ておむつ8の内面8A側に重ねて配置された状態で使用される。なお、インナーパッド1は、後述するように、いわゆるテープ式の使い捨ておむつに重ねて使用されるが、本発明に係る吸収性物品は、テープ式の使い捨ておむつに重ねて使用されるものに限定されず、いわゆるパンツ式の使い捨ておむつや、使い捨てではない布おむつ等に重ねて使用されるものであってもよい。
【0015】
したがって、本実施形態のインナーパッド1も、パンツ式の使い捨ておむつや布おむつ等に重ねて使用されるものであってもよい。
【0016】
使い捨ておむつ8の内面Aは、
図2に示す着用者Lに着用された状態で、着用者Lに向いて内側に隠れる面であり、使い捨ておむつ8の外面8Bは着用者Lに着用された状態で、外部に露出する面である。
【0017】
使い捨ておむつ8は、背側部810と,腹側部830と,背側部810と腹側部830との間の股部820とが一体に連なって形成されている。なお、使い捨ておむつ8は、背側部810と股部820との間や腹側部830と股部820との間に境界や構造的な差異があるわけではない。
【0018】
つまり、使い捨ておむつ8が着用者Lに着用された状態で、着用者Lのおおよそ背側に対応した部分を背側部810とし、着用者Lのおおよそ腹側に対応した部分を腹側部830とし、背側部810と腹側部830との間の部分を股部820として規定しているに過ぎない。なお、背側部810と股部820と腹側部830とが連なった方向を、使い捨ておむつ8の長手方向(前後方向)D、長手方向Dに直交する方向を使い捨ておむつ8の幅方向Eという。
【0019】
図1に示すように、使い捨ておむつ8の背側部810には、背側部810の幅方向Eの両端部から外側にそれぞれ突出したファスニングテープ860が固定されている。各ファスニングテープ860の、内面8Aに対応した面には、多数のフック形状を有する係止部861が設けられている。
【0020】
一方、腹側部830の外面8Bには、係止部861のフック形状と係合するループ形状を有するターゲットテープ870が設けられている。そして、
図2に示すように使い捨ておむつ8が着用者Lに着用された状態で、背側部810に固定されたファスニングテープ860が、着用者Lの胴回りに、腹側部830に回しこまれ、係止部861のフック形状がターゲットテープ870のループ形状に係合することにより、係止部861がターゲットテープ870に接合され、使い捨ておむつ8が着用者Lに装着された状態に維持される。係止部861とターゲットテープ870とは、接合と剥離とを繰り返すことが可能であり、いわゆる面ファスナを構成している。
【0021】
図1に示すように、インナーパッド1も、背側部110と,腹側部130と,背側部110と腹側部130との間の股部120と,が一体に連なって形成されている。そして、インナーパッド1も、背側部110と股部120との間や腹側部130と股部120との間に明確な境界や構造的な差異があるわけではなく、インナーパッド1が使い捨ておむつ8とともに着用者Lに着用された状態で、着用者Lのおおよそ背側に対応した部分を背側部110とし、着用者Lのおおよそ腹側に対応した部分を腹側部130とし、背側部110と腹側部130との間の部分を股部120として区分しているに過ぎない。
【0022】
背側部110と股部120と腹側部130とが連なった方向を、インナーパッド1の長手方向D、長手方向Dに直交する方向をインナーパッド1の幅方向Eという。
【0023】
図1に示すように、使い捨ておむつ8は、内面8Aの最表面側に配置されているトップシート840に被さるように,内面8Aの周囲にのみギャザーシート850が設けられている。そして、インナーパッド1の周囲の部分が、トップシート840とギャザーシート850との間に挟まれて、インナーパッド1は使い捨ておむつ8に、重ねられた状態で保持される。
【0024】
(実施例1)
まず、インナーパッド1の基本構成を説明する。
図3は、
図1に示したインナーパッド1を内面1A側からみた平面図である。
図4は、
図3におけるA-A線に沿った断面を示す断面図である。
【0025】
インナーパッド1は、
図3及び
図4に示すように、トップシート2と、セカンドシート3と、吸収体層4と、液不透過性シート5と、バックシート6と、を備える。また、インナーパッド1は、肌側からトップシート2、セカンドシート3、吸収体層4、液不透過性シート5の順に重ねられて構成される。
【0026】
トップシート2は、撥水不織布であることが好ましい。不織布を構成する素材として、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。トップシート2は、撥水性を有するものであればよく、不織布以外のもので形成されてもよい。
【0027】
図5Aは、実施例1に係るトップシート2の形状を示す、
図4のM部分に対応する拡大図である。
図6は、実施例1に係るトップシートの
図5Aに対応する部分の拡大平面図である。
【0028】
トップシート2には、
図5Aに示すように、肌側に突出する複数の凸部210とこれらの複数の凸部210に対応するように形成する複数の凹部220が設けられている。トップシート2の各凹部220には、トップシート2を貫通する孔縁部231を有する開孔部230が設けられている。即ち、トップシート2には、複数の凹部220の数量に対応する複数の開孔部230を有する。当該開孔部230は、当該箇所におけるトップシート2に対応するセカンドシート3を貫通するものである。孔縁部231は、開孔製造工程において形成するバリなど変質部であっても良い。本実施例1においては、孔縁部231はバリである。
【0029】
図5Aに示すように、トップシート2の凸部210とセカンドシート3の間には、空間部250を有する。セカンドシート3は、後述するように、トップシート2の非肌側に熱融着(後述するエンボス部240)により接合されるが、トップシート2の凸部210に対応する領域(空間部250)においては、セカンドシート3はトップシート2の非肌側と接合されない。
【0030】
凸部210は、先端部201と、中間部202と、根元部203とから構成される。凸部210は、トップシート2の肌側に配置する。そして、凸部210は、先端部201、中間部202、根元部203の順に構成されている。先端部201は凸部210の上段部211の領域内に配置され、トップシート2の肌側の最外側に位置する。凸部210は、横方向Wにおいて、先端部201の横幅201Wは小さく形成され、中間部202の横幅202Wが先端部201の横幅201Wより大きく形成され、根元部203の横幅203Wが中間部202の横幅202Wより大きく形成される。即ち、凸部210の横方向断面において、先端部201の横幅201W、中間部202の横幅202W、根元部203の横幅203Wの順に凸部210の横幅が大きくなる。先端部201の縦幅201Hの高さは短く形成され、中間部202の縦幅202Hの高さが先端部201の縦幅201Hの高さより大きく形成され、根元部203の縦幅203Hの高さが中間部202の縦幅202Hの高さより短く形成される。即ち、凸部210において、中間部202の縦幅202Hの高さは先端部201の縦幅201H及び根元部203の縦幅203Hの高さより大きく形成される。上述した凸部210の各要素の横幅及び縦幅のサイズは、本発明の一例に過ぎない。よって、本発明に係る凸部210の各要素の横幅及び縦幅の形状は上記ものに限定されるものではなく、使用用途に応じて設計変更することができる。
【0031】
本発明に係る凸部210の先端部201、中間部202、根元部203の剛性強度が異なる。先端部201の剛性強度が、中間部202の剛性強度より高く形成されている。根元部203の剛性強度が、中間部202の剛性強度より高く形成されている。すなわち、先端部201及び根元部203の剛性強度が中間部202の剛性強度より高く形成されている。
【0032】
凸部210は、上段部211と下段部212との二段構造から構成される。本実施例1においては、例えば、
図5Aに示すように、下段部212は、トップシート2の肌側面から突出した相対的に径が大きな凸状の下段凸部212aであり、上段部211は、下段凸部212aの先端部から上方に突出した相対的に小さな凸状の上段凸部211aである。
【0033】
さらに、
図6に示すように、各開孔部230の周囲には、トップシート2の肌側から圧搾した複数のエンボス部240が形成されている。即ち、トップシート2において、開孔部230とエンボス部240とが重ならないようにそれぞれ別々の領域に独立して形成されている。
【0034】
図6に示す平面視で、トップシート2に対する凸部210、凹部220、開孔部230及びエンボス部240の配置は、前記複数の凸部210と複数の凹部220が千鳥状に配置されるとともに、前記凸部210を四方向から囲む凹部220の領域の中央部に1つの前記開孔部230を配置することにより、前記開孔部230、230…が全体として千鳥状に配置され、且つ隣り合う前記開孔部230、230同士の間に、これらの開孔部230、230を結ぶ方向に沿って間欠的に複数の前記エンボス部240が配置されたパターンで形成されている。
【0035】
トップシート2において、凸部210と凸部210との間に凹部220が形成され、凹部220と凹部220との間に凸部210が形成され、凸部210と凹部220が交差して形成されている。これによって、トップシート2において、1つの凹部220の周りに数個の凸部210が配置され、1つの凸部210の周りに数個の凹部220が配置するように構成されている。本実施例1においては、1つの凹部220の周りに約四つの凸部210が配置され、1つの凸部210の周りに約四つの凹部220が配置する例について説明する。なお、本発明において、凹部220と凸部210の相対配置数量はその用途などに応じて適宜に設計することができ、四つに限定するものではない。
【0036】
セカンドシート3は、繊維間が疎に分布した(粗い隙間を有する)、液体を透過させる特性である液透過性を有する不織布により形成される。なお、繊維間が疎とは、後述するサードシート402の繊維間の分布状態に対する相対的なものである。セカンドシート3は、体液に対して親水性を有するものであればよい。具体的には、セカンドシート3を構成する素材としては、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることにより素材自体に親水性を有するものを用いるか、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることができる。セカンドシート3は、トップシート2に比べて嵩高に(自然状態(圧縮荷重をかけない状態)で厚さが厚く)形成されている。
【0037】
図5Aに示すように、吸収体層4は、吸収体401と、サードシート402と、クレープ紙403とを備えている。吸収体401は、パルプ繊維とパルプ繊維の間に分布した高吸収性ポリマー粒子とで構成されている。高吸収性ポリマー粒子は水分を吸収して膨らみ、パルプ繊維は細かい固形分を捕捉する。
【0038】
また、インナーパッド1は、幅方向Eの両側にそれぞれ、ギャザーシート7を備えている。ギャザーシート7は、トップシート2よりも、厚さ方向の内面1A側に配置されている。
【0039】
吸収体401は、サードシート402側に配置された、高吸収性ポリマー粒子を含まないパルプ繊維のみからなる第1吸収体と、クレープ紙403側に配置された、高吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維とからなる第2吸収体とを備えた2層構造になっている。なお、本実施形態における吸収体401は2層構造であるが、これは例示に過ぎず、単一の吸収体のみで構成された1層構造であってもよいし、3層以上の構造であってもよい。
【0040】
サードシート402とクレープ紙403は、吸収体401を厚さ方向の上下から挟んで吸収体401を包んでいる。サードシート402は、吸収体401を包んで吸収体層4の形状を保持する等のために一般的に用いられているクレープ紙(クレープ紙403と同じ)やコアラップの代わりに設けられている。
【0041】
サードシート402は、吸収体401よりもセカンドシート3に近い側に配置されている。サードシート402は、不織布により形成されていて、繊維間がセカンドシート3よりも密に分布して形成されているのが好ましい。
【0042】
サードシート402はクレープ紙と同様に液透過性を有するが、クレープ紙とは異なり、繊維間で固形分を保持する機能を有する。
【0043】
クレープ紙403は、サードシート402とともに、吸収体401を包んで吸収体層4の形状を保持している。
【0044】
液不透過性シート5は、液不透過性を有し、例えば、樹脂フィルムで形成されている。したがって、仮に、吸収体層4により固化することができなかった水分があった場合も、液不透過性シート5よりも外面1B側に配置されたバックシート6にその水分が漏れるのを防止している。
【0045】
バックシート6は、例えば、不織布で形成されている。本実施形態のインナーパッド1は、通気性や肌触りの観点からバックシート6を備えているが、本発明に係る吸収性物品は、バックシートを備えていない構成であってもよい。
【0046】
次に、本発明に係るトップシート2の凸部210の作用について説明する。
図5Bは、
図5Aに示したトップシート2及びセカンドシート3を、トップシート2の肌側から厚さ方向に体圧Pをかけた状態を示す、
図5Aと同様の断面図である。
【0047】
(実施例1の凸部210の作用)
凸部210は、肌側(
図5Bにおける下向き矢印↓)からトップシート2が体圧P(圧縮荷重)を受ける際に、
図5Bに示すように、凸部210の中間部202が変形する。凸部210の変形は、トップシート2の肌側からトップシート2に体圧Pがかかった際に、まず、肌側に一番近い先端部201が当該体圧Pを受け、次に、先端部201はその受けた当該体圧Pを中間部202に伝達し、その後、当該体圧Pは中間部202を介して根元部203にかかるように構成されている。この時、先端部201及び根元部203の剛性強度が中間部202の剛性強度より大きく形成されているため、当該体圧Pの荷重が中間部202の剛性強度より大きい場合、当該中間部202が変形し、凸部210の形状が幅方向に沿って外側へ広がり、隣接する凹部220に形成する開孔部230の孔縁部231を覆うように変形する。その結果、凸部210の中間部202の変形部分が、開孔部230の孔縁部231におけるセカンドシート3或いは変質部(開孔加工過程などで形成したバリなどの変質部)を覆うことで、セカンドシート3或いは変質部が肌と直接的に接触することを防止することができ、肌触り感を良くすることができる。
【0048】
具体的には、凸部210の変形は以下の構成により実現される。
・ 使用者が、本発明に係る吸収性物品を着用した場合に、使用者の吸収性物品を着用した箇所における肌に一番近い位置に、先端部201が配置される。これにより、トップシート2の肌側の最外側に配置している凸部210の先端部201が、トップシート2の他の要素と比較して、肌と最初に接触する。そのため、
図5Aに示したトップシート2及びセカンドシート3を、トップシート2の肌側から厚さ方向に体圧Pをかけた場合、凸部210の先端部201が当該体圧Pを受ける。
・ そして、先端部201はその受けた当該体圧Pを中間部202に伝達し、中間部202が当該体圧Pを根元部203に伝達する。そして、当該体圧Pは根元部203を介してセカンドシート3に到達してインナーパッド1の全体で当該体圧Pを受け止める。このとき、インナーパッド1で当該体圧Pを受け止めることで、受け止め力BPが発生する。ここで、体圧Pの作用力と力BPの作用力はお互いに対向するものである。一般的には、それらの力の強さの関係は絶対値がP=BPである。
・ この場合、凸部210には、上部方向からの体圧Pと、下部方向からの力BPとが同時にかかることになる。凸部210は、上部方向からの体圧Pと、下部方向からの力BPとを同時に受けることで、その中間部202が横幅202Wに変形する。具体的には、中間部202の剛性強度が、先端部201及び根元部203の剛性強度より弱い(小さい)ため、当該体圧Pの荷重が中間部202の剛性強度より強い(大きい)とき、中間部202の形状は、その横幅202Wが増加し、縦幅202Hが減少する方向に変形する。即ち、
図5Bに示すように、中間部202の横幅202Wが根元部203の横幅203Wより大きくなるように、凸部210の形状が変形する。
・ 上述したように中間部202の横幅202Wがトップシート2の横方向に広がることによって、開孔部230の孔縁部231におけるセカンドシート3或いは変質部を覆うことで、セカンドシート3或いは変質部が肌と直接的に接触することを防止することができ、肌触り感を良くすることができる。本実施例1おいては、中間部202の横幅202Wが開孔部230の孔縁部231を覆うように凸部210の形状が変形するものである。
・ 上述した凸部210の形状の変形は、本発明の一例に過ぎず、中間部202の横幅202Wの変形幅は、必要に応じて設計することができる。
【0049】
(実施例2)
実施例2に係るトップシート2は、
図7Aに示されるように、上記実施例1に係るトップシート2と比較して、凸部210の上段部211は、斜め凸状の上段凸部211bである点が異なっている。これらの相違点は、両方とも同時に採用してもよいし、いずれか一方のみを採用してもよい。実施例2においては、斜め凸状の上段凸部211bは、同一方向に一定角度で傾斜する例について説明するが、上段凸部211bの向かう方向及び傾斜角度は、必要に応じて設計変更することができる。
【0050】
(実施例2の凸部210の作用)
図7Bは、
図7Aに示したトップシート及びセカンドシートを、トップシートの側から厚さ方向に所定間隔で圧縮荷重をかけた状態を示す、
図7Aと同様の断面図である。
【0051】
凸部210の先端部201は、斜め凸状の上段凸部211bの領域内に形成されているため、上段凸部211bの剛性強度が、凸部210の中間部202の剛性強度より大きい。その結果、インナーパッド1に体圧Pと力BPとが作用した場合に、
図7Bに示すように、凸部210において、剛性強度が弱い中間部202が上段凸部211bの斜め凸状の斜め方向に誘導されて、横幅202Wが横方向に広がり、凸部210の形状が変形する。その結果、凸部210の中間部202の変形部分が、上段凸部211bの斜め凸状の斜め方向に沿って、開孔部230の孔縁部231におけるセカンドシート3或いは変質部を覆うことができ、セカンドシート3或いは変質部が肌と直接的に接触することを防止することができる。また、凸部210の形状が潰された場合でも、上段凸部211bの斜めの形状が保たれるため、軟便は上段凸部211bの傾斜を伝って落ち、上段凸部211bの斜めの形状に軟便が残りにくい。よって、さらに肌触り感が増すことができる。また、上段凸部211bの斜め凸状の斜め方向及び角度を、所定の用途及び必要に応じて設計することができる。
【0052】
具体的には、実施例2に係る凸部210の変形は以下の構成により実現される。
・ 使用者が、本発明に係る吸収性物品を着用した場合に、使用者の吸収性物品を着用した箇所における肌に一番近い位置に、上段凸部211bが配置される。これにより、トップシート2の肌側の最外側に配置している凸部210の上段凸部211bが、トップシート2の他の要素と比較して、肌と最初に接触する。そのため、
図7Aに示したトップシート2及びセカンドシート3を、トップシート2の肌側から厚さ方向に体圧Pをかけた場合、凸部210の上段凸部211bが当該体圧Pを受ける。
・ そして、上段凸部211bはその受けた当該体圧Pを中間部202に伝達し、中間部202が当該体圧Pを根元部203に伝達する。そして、当該体圧Pは根元部203を介してセカンドシート3に到達してインナーパッド1の全体で当該体圧Pを受け止める。このとき、インナーパッド1で当該体圧Pを受け止めることで、受け止め力BPが発生する。ここで、体圧Pの作用力と受け止め力BPの作用力はお互いに対向するものである。一般的には、それらの力の強さの関係は絶対値がP=BPである。
・ この場合、凸部210には、上部方向からの体圧Pと、下部方向からの受け止め力BPとが同時にかかることになる。凸部210は、上部方向からの体圧Pと、下部方向からの受け止め力BPとを同時に受けることで、その中間部202が横幅202Wに変形する。具体的には、中間部202の剛性強度が、先端部201及び根元部203の剛性強度より弱い(小さい)ため、当該体圧Pの荷重が中間部202の剛性強度より強い(大きい)とき、中間部202の形状は、その横幅202Wが増加し、縦幅202Hが減少する方向に変形する。即ち、
図7Bに示すように、中間部202の横幅202Wが根元部203の横幅203Wより大きくなるように、凸部210の形状は「へ」の字形状に変形する。
・ 上述したように中間部202の横幅202Wがトップシート2の横方向に広がることによって、開孔部230の孔縁部231におけるセカンドシート3或いは変質部を覆うことで、セカンドシート3或いは変質部が肌と直接的に接触することを防止することができ、肌触り感を良くすることができる。本実施例2おいては、中間部202の横幅202Wが開孔部230の孔縁部231を覆うように凸部210の形状が変形するものである。
・ 上述した凸部210の形状の変形は、本発明の一例に過ぎず、中間部202の横幅202Wの変形幅は、必要に応じて設計することができる。
【0053】
本実施形態のトップシート2における凸部210の高さは、軟便と皮膚とが接触しない程度の高さであることが好ましく、少なくとも、手触りで凹凸を認識できる高さであることが必要である。凸部210の高さは、具体的には、例えば3~10[mm]が好ましく、4~7[mm]がより好ましい。なお、凸部210の高さ3~10[mm]は例示であり、凸部210の高さは3~10[mm]に限定されない。凸部210の直径は、例えば3~13[mm]が好ましく、6~10[mm]がより好ましい。なお、凸部210の直径3~13[mm]は例示であり、凸部210の直径は3~13[mm]に限定されない。
【0054】
本実施形態のインナーパッド1における開孔部230の大きさは、軟便が透過できる寸法であることを要する。具体的には、開孔部230の大きさは、3×3[mm]以上であることが好ましい。
【0055】
また、開孔部230の形状は円形、楕円形でもよい。開孔部230は、円形以外の形状の場合、相対的に長い側の寸法と、相対的に短い側の寸法とは、3:1から1:1までの比率であることが好ましい。開孔部230は、長い側の寸法が短い側の寸法の3倍を超えると、形状が細長くなって軟便が通過しにくくなる。
【0056】
本実施形態のインナーパッド1は、大人用の使い捨ておむつに重ねて使用されるインナーパッドであるが、本発明に係る吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつに重ねて使用されるインナーパッドに限定されるものではない。
【0057】
すなわち、本発明に係る吸収性物品は、使い捨ておむつに重ねて使用されるインナーパッドの他、インナーパッドが重ねられるか否かに拘わらず大人用の使い捨ておむつ自体に適用してもよい。
【0058】
また、本発明に係る吸収性物品は、大人用に比べてサイズの小さい子供(新生児、乳幼児等)用の使い捨ておむつに適用してもよい。
【0059】
さらに、本発明に係る吸収性物品は、上述した軟便を吸収するものに限定されず、他の流動的な排泄物を吸収するものであってもよい。したがって、本発明に係る吸収性物品は、使い捨ておむつやインナーパッドの他、例えば、女性用生理用品や尿失禁用吸収体等に適用することもできる。
【0060】
なお、本発明に係る吸収性物品を女性用生理用品や尿失禁用吸収体に適用した場合、本発明に係る吸収性物品における背側部は人体の背に近い側の部分、腹側部は人体の腹に近い側の部分に対応して適用される。
【0061】
<トップシート2及びセカンドシート3の製造方法>
以下、本発明に係るトップシート2及びセカンドシート3を製造する複合シートの製造方法について、その好ましい実施例で5ロール法に基づいて図面を用いて説明する。しかし、本発明に係るトップシート2及びセカンドシート3の製造方法は、5ロール法に限らず、4ロール法などのその他の製造過程にも応用することができる。
【0062】
本発明に係るトップシート2及びセカンドシート3の積層並びに凸部210及び開孔部230の形成は、例えば、
図8に示すように、5ロール法により製造される。本製造方法の製造工程において、トップシート2は、不織布である第1のシートを原材料とする。セカンドシート3の原材料は、第2のシートとする。
【0063】
トップシート2及びセカンドシート3の製造方法は、トップシート2(第1のシート)に二段構造の凸部210と、凹部220とを同時に形成する第一工程と、前記トップシート2(第1のシート)と、セカンドシート3(第1のシート)を重ね合わせる積層工程及び両シート(トップシート2及びセカンドシート3)に、開孔部230と、エンボス部240とを同時に形成する第二工程と、重ね合わせた前記両シートに前記開孔部230に対する開孔設計工程を少なくとも一回行う第三工程と、を備える。
【0064】
(製造実施例1)
5ロール法では、
図8に示すように、製造装置500は、第1ロール510と、第2ロール520と、第1アンビルロール530と、第3ロール540と、第2アンビルロール550と、を備える。
【0065】
第1ロール510は、その周面に凹部と凸部を有する。第1ロール510の凸部は、その円周面に沿って一定間隔で形成される複数の棒状の凸部形成用ピン511よって形成され、第1ロール510の凹部には、孔状の開孔ピン受け部512を備える。凸部形成用ピン511は、第1ロール510の円周面に沿って第1ロール510の外側に向かって突出する二段構造を有する棒状のピンである。開孔ピン受け部512は、第1ロール510の円周面に沿って前記凸部形成用ピン511と隣接して第1ロール510の中心に向かって形成される孔である。即ち、第1ロール510の円周面において、凸部形成用ピン511と凸部形成用ピン511との間に開孔ピン受け部512が配置し、開孔ピン受け部512と開孔ピン受け部512との間に凸部形成用ピン511が配置するように形成されている。
【0066】
第2ロール520は、その円周面に沿って一定間隔で形成される複数の凸部形成ピン受け部521と、複数の開孔を形成する開孔ピン522と、複数のエンボス形成用ピン523と、を備える。凸部形成ピン受け部521、開孔ピン522、エンボス形成用ピン523は、第2ロール520の円周面に沿って、反時計回りに凸部形成ピン受け部521、開孔ピン522、エンボス形成用ピン523の順に繰り返し形成している。凸部形成ピン受け部521は、第2ロール520の円周面に沿って第2ロール520の中心に向かって前記凸部形成用ピン511が挿入する形状を有する孔である。開孔ピン522は、第2ロール520の円周面に沿って第2ロール520の外側に向かって突出する針状のピンである。エンボス形成用ピン523は、第2ロール520の円周面に沿って第2ロール520の外側に向かって突出する高さが前記開孔ピン522の高さより短く形成される短い棒状のピンである。
【0067】
第1アンビルロール530は、その円周面に沿って一定間隔で複数の孔状の開孔ピン受け部531が形成されている。開孔ピン受け部531は、第1アンビルロール530の円周面に沿って一定間隔で第1アンビルロール530の中心に向かって形成される孔である。第2アンビルロール550は、その円周面に沿って一定間隔で複数の孔状の開孔ピン受け部551が形成されている。開孔ピン受け部551は、第2アンビルロール550の円周面に沿って一定間隔で第2アンビルロール550の中心に向かって形成される円錐状の孔である。
【0068】
第3ロール540は、その円周面に沿って一定間隔で形成される複数の開孔ピン541を備えている。開孔ピン541は、第3ロール540の円周面に沿って第3ロール540の外側に向かって突出する針状のピンである。
【0069】
(5ロール法による製造工程)
第一工程は、第1のシートを第1ロール510の周面に沿うように保持して、第1のシートを凹凸賦形して、凹凸形状に変形させる賦形工程である。本工程では、第1ロール510及び第2ロール520を互いに噛み合うように所定の速度で回転させながら、第1のシートを第1ロール510及び第2ロール520の間に供給して、第1のシートに凹凸賦形を賦すると同時に、二段構成の凸部を形成する。即ち、第一工程では、トップシート2の凸部210と、二段構成の凹部220が同時に形成される。
【0070】
第二工程~第三工程は、前記第一工程で凹凸賦形を形成した第1のシートと、新たに製造工程に送入される第2のシートと、を重ねる積層工程及び開孔工程である。
【0071】
第二工程においては、凹凸賦形された第1のシートを第2ロール520の周面に保持しつつ搬送し、第1のシートと第2のシートとを第2ロール520と第1アンビルロール530との間に重ねる。具体的には、凹凸賦形された第1のシートは、第2ロール520の開孔ピン522に刺された状態で、新たに送入された第2のシートと一緒になって、第2ロール520と第1アンビルロール530との間に送られ、第1のシート及び第2のシートの積層工程及び開孔工程が実施される。即ち、本第二工程では、原反ロール(図示せず)から繰り出された第2のシートを、搬送中の凹凸賦形された第1のシートに重ね合わせると共に、第1のシート及び第2のシートの開孔作業が実施され、開孔部230が形成される。ここでの開孔作業は、開孔部230を形成するための開孔作業である。このとき、凹凸賦形された第1のシートは、第2ロール520におけるエンボス部に対応する部位が第2のシートと接触し、エンボス部で両シートが接着される。重ね合わせた両シート(第1のシートと第2のシート)は、第1アンビルロール530及び第3ロール540との間に供給できるように搬送される。
【0072】
第三工程においては、重ね合わせた両シート(第1のシートと第2のシート)が、第1アンビルロール530及び第3ロール540との間に供給され、第一回目の開孔部230の開孔寸法を大きくするための開孔設計作業を実施した後に、当該両シートは開孔ピン541に刺された状態で第3ロール540及び第2アンビルロール550との間に供給され、第二回目の開孔部230の開孔寸法を大きくするための開孔設計作業が実施される。ここで、本発明に係る開孔設計作業とは、第二工程において実施された開孔作業により形成された開孔部230についてその開孔寸法及び形状を設計するための開孔設計工程である。本実施例においては、開孔部230の開孔寸法及び形状を設計するために、第一回目の開孔設計作業と、第二回目の開孔設計作業と、合計二回の開孔設計作業を実施する例について説明した。しかし、本発明に係る開孔設計作業は、製造実施例1に限定されるものではなく、開孔寸法及び形状を設計するためのものであればよく、必要に応じて開孔設計作業の回数及び形態を設計変更することができる。
【0073】
上記製造工程により、トップシート2の凸部210と、凹部220と、開孔部230と、エンボス部240とを同時に形成することができると共に、開孔部230に対する開孔寸法を大きくする開孔設計作業を通じて大開孔を確実に形成することが可能である。
【0074】
上記製造実施例においては、凸部形成用ピン511は、
図9(a)に示すように、2つの棒状体が合体して、上段の棒状体が下段の棒状体より長さ及び幅が小さく形成され、凸状の2段構造を有する長棒状のものである。凸部形成用ピン511の形状は、トップシート2の凸部210を形成するものであればよく、必要に応じて設計変更することができる。例えば、凸部形成用ピン511は、
図9(b)に示すように、上段の棒状体の先端が傾斜面を有するものであっても良い。
【0075】
本発明に係る凸部形成用ピン511は、上段部211と下段部212との二段構造から構成される凸部210を形成すると共に、凸部210の先端部201,中間部202,根元部203など各部位の剛性強度が異なるものを生成する。例えば、上記製造実施例において、凸部形成用ピン511は、先端部201及び根元部203の剛性強度が中間部202の剛性強度より高い凸部210を形成する例を示した。しかし、本発明の凸部形成用ピン511は、凸部210の先端部201,中間部202,根元部203など各部位の剛性強度が異なるように構成したものであればよく、使用用途に応じて設計変更ができる。
【符号の説明】
【0076】
1 インナーパッド
2 トップシート
3 セカンドシート
4 吸収体層
210 凸部
220 凹部
230 開孔部
201 先端部
202 中間部
203 根元部
8 使い捨ておむつ
D 長手方向
E 幅方向
F 着用者
P 体圧
BP 力