(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147815
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 27/20 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A41D27/20 C
A41D27/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049229
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐古 かがり
(72)【発明者】
【氏名】柳内 隆佑
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA02
3B035AB05
3B035AB08
3B035AB09
3B035AB14
3B035AC03
3B035AC08
(57)【要約】
【課題】ポケットに収納した物品の脱落を防止できる衣服を提供すること。
【解決手段】後身頃31に設けられた内ポケット33を有する衣服10であって、内ポケット33は、所定の方向をポケット口43として周縁部が後身頃31に固定される第1ポケット布41と、第1ポケット布41の内側に設けられ、ポケット口43の開放方向に対して直交する方向に開放する内側ポケット口44を有する内側ポケット空間Pを、第1ポケット布41との間に形成する第2ポケット布42と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身頃生地に設けられたポケットを有する衣服であって、
前記ポケットは、所定の方向をポケット口として周縁部が前記身頃生地に固定される第1ポケット布と、
前記第1ポケット布の内側に設けられ、前記ポケット口の開放方向に対して直交する方向に開放する内側ポケット口を有する内側ポケット空間を、前記第1ポケット布との間に形成する第2ポケット布と、を備える
ことを特徴とする衣服。
【請求項2】
請求項1に記載された衣服において、
前記第1ポケット布は、上縁部及び下縁部が前記身頃生地に縫着され、前記ポケット口が身幅方向の両側に開放し、
前記第2ポケット布は、下縁部及び両側縁部が前記第1ポケット布に縫着され、前記内側ポケット口が身丈方向の上方に開放する
ことを特徴とする衣服。
【請求項3】
請求項2に記載された衣服において、
前記内側ポケット口は、身丈方向の下方にへこむ円弧状に湾曲している
ことを特徴とする衣服。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された衣服において、
前記内側ポケット口は、伸縮性を有する
ことを特徴とする衣服。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された衣服において、
前記第2ポケット布は、前記身頃生地よりも高い伸縮性を有している
ことを特徴とする衣服。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された衣服において、
前記第1ポケット布は、前記身頃生地よりも高い通気性を有している
ことを特徴とする衣服。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された衣服において、
前記ポケットは、後身頃の中央部下側位置の内側に配置されている
ことを特徴とする衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポケット布の周縁部を身頃生地に縫着することで、上方に開放したポケットが設けられた衣服において、ポケット布の内側に、上縁部及び両側部が縫い付けられた内布を設けた衣服が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-123241号公報
【特許文献2】特許第6370973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の衣服では、内布の下縁部がポケット布に縫い付けられていないため、内布とポケット布の間に生じる隙間が、下方に開放している。つまり、内布とポケットの間に生じる隙間の開放方向と、ポケット自体の開放方向とは、逆向きであるものの、双方ともに上下方向に沿って開放している。そのため、内布とポケットの間に生じる隙間に物品を収納した際、着用者の上下方向の動きによって、収納物品が脱落するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ポケットに収納した物品の脱落を防止できる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、身頃生地に設けられたポケットを有する衣服であって、前記ポケットは、所定の方向をポケット口として周縁部が前記身頃生地に固定される第1ポケット布と、前記第1ポケット布の内側に設けられ、前記ポケット口の開放方向に対して直交する方向に開放する内側ポケット口を有するポケット空間を、前記第1ポケット布との間に形成する第2ポケット布と、を備えた構成とした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明の衣服は、ポケットに収納した物品の脱落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例1の衣服において前面部を開いた状態での正面図である。
【
図4】実施例1の内ポケットの分解斜視図であり、(a)は第1ポケット布と第2ポケット布とパイピングテープを示し、(b)は後身頃と第1ポケット布と第2ポケット布とパイピングテープを示す。
【
図5】
図3に示すB-B線で破断した斜視図である。
【
図6】実施例1の衣服に送風ファンを取り付けた状態を示す説明図である。
【
図7】実施例1の内ポケットにバッテリを収納する際の説明図である。
【
図8】
図7に示すC-C線で破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の衣服を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。なお、以下の説明では、衣服10を着用する着用者を基準として「上下」「左右」「前後」等の用語を用いる。
【0010】
実施例1の衣服10は、着用者が上半身に着る上衣(ジャンパー)である。衣服10は、
図1及び
図2に示すように、着用者の胴体の前側(胸部及び腹部)を覆う前面部20と、着用者の胴体の後側(背中)を覆う背面部30と、着用者の腕を覆う一対の袖11、11と、襟12と、裾13と、を有している。
【0011】
なお、実施例1では、袖11は着用者の腕を全て覆う長袖であるが、半袖や七分袖、五分袖等であってもよいし、袖11を設けないベストタイプであってもよい。さらに、袖11は、胴衣に対して着脱自在であってもよい。また、襟12は、スタンドタイプであってもよいし、襟12を設けなくてもよい。さらに、裾13は、衣服10を着用者に密着させ、衣服10内の空気が漏れることを防止するため、伸縮性を有するゴムや、ドローコード等を設けてもよい。なお、ゴム等を設ける以外にも、裾13にシャーリングやギャザーを形成することで、裾13と着用者との隙間を抑えてもよい。
【0012】
前面部20は、
図1に示すように、身幅方向の中央部から左右に分かれる左前身頃21及び右前身頃22と、左前身頃21と右前身頃22の間を開閉自在に係止する線ファスナー23と、を備えている。なお、左前身頃21及び右前身頃22は、綿や化繊等で織られた布や不織布等からなる生地によって形成されている。左前身頃21や右前身頃22を形成する生地は、伸縮性や難燃性等の任意の性質を有していてもよい。
【0013】
なお、前面部20は、腰ポケットや胸ポケット等、任意の位置に設けられたポケットを有していてもよい。また、前面部20には、無線機のコード等を通すための貫通孔等を形成してもよい。
【0014】
背面部30は、
図2に示すように、複数のパーツを縫い合わせて形成された後身頃31と、後身頃31に形成された一対の取付孔32と、後身頃31に設けられた内ポケット33(ポケット)と、を有している。
【0015】
後身頃31は、伸縮性や難燃性等の任意の性質を有する身頃生地によって形成されている、なお、後身頃31は、一枚の生地によって形成してもよい。
【0016】
取付孔32は、送風ファン100(
図6参照)を衣服10に装着するための円形の貫通孔である。ここで、送風ファン100は、衣服10の内部に空気を送り込み、衣服10内の温度調節を図る温度調節器である。送風ファン100は、バッテリ101(
図6参照)から電力が供給されることで駆動する。一対の取付孔32は、後身頃31の左右方向中央部を挟んで対称となる位置に形成されている。
【0017】
また、ここでは、後身頃31に、一対の補強部材34と、複数(ここでは四個)の保持部材35と、一対のテープ部材36と、が設けられている。
【0018】
補強部材34は、取付孔32に重複する貫通孔が形成された合成樹脂等で形成された板部材であり、取付孔32の周縁部を補強する。補強部材34は、後身頃31に直接縫着されてもよいし、後身頃31とは異なる別の布で覆い、当該別の布を後身頃31に縫着することにより、補強部材34を後身頃31に取り付けてもよい。なお、取付孔32の開口縁に沿ってパイピングテープ32aが設けられ、補強部材34と共に取付孔32の開口縁を覆っている。
【0019】
保持部材35は、上下方向に折り畳み自在に設けられており、送風ファン100とバッテリ101とを電気的に接続するコード102a(
図8参照)や、バッテリ101と送風ファン100を操作するためのスイッチ装置103(
図8参照)とを電気的に接続するコード102bを挟み込んで適宜保持する。保持部材35は、ここでは、折り畳まれた際、内側面が互いに係合する面ファスナーによって形成されている。複数の保持部材35は、内ポケット33を中心にして、上下方向及び左右方向に、それぞれ対称となる位置に設けられている。
【0020】
テープ部材36は、左右方向に長い帯状を呈し、両端部が後身頃31に縫着されており、スイッチ装置103が適宜引っ掛けられる。一対のテープ部材36は、一対の取付孔32の下側に、内ポケット33を挟んで対称となる位置に設けられている。
【0021】
内ポケット33は、バッテリ101を収納するポケットであり、後身頃31の左右方向中央部の下側位置であって、衣服10の内側に配置されている。すなわち、内ポケット33は、一対の取付孔32の間に設けられている。そして、内ポケット33は、周縁部の一部が後身頃31に固定された第1ポケット布41と、第1ポケット布41の内側、すなわち後身頃31に臨む面に設けられた第2ポケット布42と、を備えている。
【0022】
第1ポケット布41は、
図3及び
図4(a)、(b)等に示すように、矩形状の布材である。第1ポケット布41は、
図4(b)及び
図5に示すように、上縁部41a及び下縁部41bが、それぞれ後身頃31と、裾13とに縫着されている。これにより、第1ポケット布41と後身頃31との間には、身幅方向に沿って左右両側に開放する一対のポケット口43を有する筒状の内ポケット33が形成される。なお、各ポケット口43には、パイピングテープ43aが設けられている。ここで、パイピングテープ43aは、第1ポケット布41及び第2ポケット布42の布端をまとめて覆っている。なお、パイピングテープ43aの内部にゴムを配置し、ポケット口43に伸縮性を持たせてもよい。
【0023】
さらに、第1ポケット布41は、ここでは、メッシュ生地等の後身頃31の身頃生地よりも通気性が高い素材によって形成されている。また、第1ポケット布41の伸縮性は、任意に設定することができ、後身頃31の身頃生地よりも伸縮性が高い素材によって形成されていてもよい。
【0024】
第2ポケット布42は、
図3及び
図4(a)等に示すように、第1ポケット布41とほぼ同等の大きさの布材であり、上縁部に、下方にへこむ円弧状に湾曲した内側ポケット口44が形成されている。なお、内側ポケット口44には、パイピングテープ44aが設けられている。ここでは、パイピングテープ44aの内部に図示しないゴムが配置され、内側ポケット口44は、伸縮性を有している。
【0025】
そして、第2ポケット布42は、
図4(a)に示すように、下縁部42b及び両側縁部42c及び内側ポケット口44の両側部42dが、それぞれ第1ポケット布41に縫着されている。これにより、第1ポケット布41と第2ポケット布42との間には、
図5に示すように、上方に開放した内側ポケット口44を有する内側ポケット空間Pが形成される。
【0026】
さらに、第2ポケット布42は、ここでは、ニット生地等の後身頃31の身頃生地よりも伸縮性が高い素材によって形成されている。また、第2ポケット布42の伸縮性は、第1ポケット布41の伸縮性に対して任意に設定することができ、第1ポケット布41の伸縮性と同程度であってもよいし、第1ポケット布41の伸縮性よりも高くても低くてもよい。また、第2ポケット布42は、第1ポケット布41と同様に、後身頃31の身頃生地よりも通気性が高い素材によって形成されていてもよい。
【0027】
そして、内側ポケット空間Pは、内ポケット33の内部に形成される空間(隙間)であり、内側ポケット口44を介して内ポケット33の内部空間に連通している。一方、内ポケット33は、一対のポケット口43を介して外部空間に連通しているが、一対のポケット口43は、身幅方向の両側に開放している。そのため、内側ポケット口44の開放方向と、ポケット口43の開放方向とは、直交している。
【0028】
以下、
図6~
図8に基づいて、実施例1の衣服10の作用を説明する。
【0029】
実施例1の衣服10では、
図6に示すように、一対の取付孔32にそれぞれ送風ファン100を装着し、内ポケット33にバッテリ101を収納する。
【0030】
ここで、内ポケット33は、第1ポケット布41と、第2ポケット布42と、を備えている。第1ポケット布41は、身幅方向の両側方向をポケット口43として周縁部(上縁部41a及び下縁部41b)が後身頃31に固定される。また、第2ポケット布42は、第1ポケット布41の内側に設けられ、ポケット口43の開放方向に対して直交する方向(上方)に開放する内側ポケット口44を有する内側ポケット空間Pを、第1ポケット布41との間に形成する。
【0031】
すなわち、内ポケット33は、第1ポケット布41と第2ポケット布42とで二重構造になっており、内側に形成された内側ポケット空間Pの内側ポケット口44の開放方向と、内ポケット33自体のポケット口43の開放方向とが直交している。
【0032】
このような内ポケット33にバッテリ101を収納する場合、まず、
図7の矢印Xで示すように、内ポケット33の側方から、身幅方向に沿ってバッテリ101を移動させ、ポケット口43を介して内ポケット33の内部にバッテリ101を挿入する。続いて、内ポケット33の内部に挿入されたバッテリ101を、
図7の矢印Yで示すように、内側ポケット口44を乗り越えさせてから下方に移動させ、内側ポケット口44を介して内側ポケット空間Pに挿入する。
【0033】
これにより、
図8に示すように、バッテリ101は、内側ポケット空間P内に収納される。ここで、内側ポケット空間Pは、上方に開放した内側ポケット口44を介して、内ポケット33の内部に連通している。これに対し、内ポケット33は、左右両側に開放した筒形状であり、上部(第1ポケット布41の上縁部41a)は、閉鎖されている。そのため、着用者の上下方向の動きによってバッテリ101が内側ポケット空間P内で動いても、バッテリ101が脱落することを防止できる。
【0034】
また、内ポケット33が左右両側に開放しているものの、第2ポケット布42の両側縁部42cが第1ポケット布41に縫着されている(
図4(a)、(b)参照)。つまり、内側ポケット空間Pは、左右の両側が閉鎖されている。そのため、着用者の左右方向の動きによってバッテリ101が内側ポケット空間P内で動いても、バッテリ101が脱落することを防止できる。
【0035】
このように、実施例1の衣服10では、着用者が動いても、内ポケット33に収納したバッテリ101の脱落を防止することができる。特に、着用者の動きが、ゴルフのスイングのような体をひねる複雑な動きであっても、第1ポケット布41と第2ポケット布42によってバッテリ101を保持することができ、脱落を防止できる。
【0036】
また、実施例1の衣服10では、第1ポケット布41の上縁部41a及び下縁部41bが後身頃31に縫着され、ポケット口43が身幅方向に沿って左右両側に開放している。また、第2ポケット布42の下縁部42b及び両側縁部42cが第1ポケット布41に縫着され、内側ポケット口44が上方に開放している。
【0037】
これにより、
図6に示すように、内ポケット33に収納したバッテリ101から左右両側に、それぞれコード102a、102bを配策することができる。また、二本のコード102a、102bを内ポケット33の左右両側からそれぞれ配索可能であることから、コード102a、102bは、
図6に示す状態とは逆向きに配策することも可能である。つまり、バッテリ101の収納向きに拘らず、二本のコード102a、102bを配策できる。
【0038】
しかも、ここでは、複数の保持部材35及び一対のテープ部材36が、いずれも内ポケット33を中心にして対称となる位置に設けられている。そのため、例えば、着用者のゴルフのスイング方向に応じて、バッテリ101の収納向きや、スイッチ装置103を引っ掛けるテープ部材36を設定することができる。
【0039】
また、実施例1の衣服10では、第2ポケット布42に形成された内側ポケット口44が、身丈方向の下方にへこむ円弧状に湾曲している。そのため、内ポケット33に挿入したバッテリ101を内側ポケット空間Pに挿入する際、内側ポケット口44を乗り越えさせやすくでき、容易に収納することができる。
【0040】
さらに、実施例1の衣服10では、内側ポケット口44に設けられたパイピングテープ44aの内部にゴムが配置され、内側ポケット口44が伸縮性を有している。これにより、内側ポケット口44をバッテリ101等の収納物品に沿わせることができ、内側ポケット口44が収納物品の重みで開いてしまうことを抑制できる。このため、収納物品の脱落をさらに抑えることができる。
【0041】
しかも、実施例1の衣服10では、第2ポケット布42が、後身頃31よりも高い伸縮性を有している。そのため、内側ポケット口44だけでなく、第2ポケット布42の生地をバッテリ101等の収納物品に沿わせることができる。そのため、第2ポケット布42により、内側ポケット空間P内での収納物品の移動を抑えることができて、さらに収納物品の脱落を抑制することができる。
【0042】
また、実施例1の衣服10では、第1ポケット布41が、後身頃31よりも高い通気性を有している。そのため、収納物品であるバッテリ101の熱が内ポケット33内にこもってしまうことを防止できる。
【0043】
そして、実施例1の衣服10では、内ポケット33が、後身頃31の内側の中央部下側位置に配置されている。これにより、内ポケット33に収納した収納物品が着用者の動きを阻害せず、収納物品が邪魔にならない。また、収納物品の重みを分散して後身頃31で支持することができる。さらに、後身頃31と着用者との間に収納物品を挟み込むことができ、収納物品の脱落をさらに抑えることができる。
【0044】
以上、本発明の衣服10を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0045】
実施例1の衣服10では、第1ポケット布41の上縁部41a及び下縁部41bを後身頃31に縫着し、ポケット口43が身幅方向に沿って左右両側に開放すると共に、第2ポケット布42の下縁部42b及び両側縁部42cを第1ポケット布41に縫着し、内側ポケット口44が上方に開放している例を示した。しかしながら、これに限らず、ポケット口43の開放方向と、内側ポケット口44の開放方向とが直交していればよい。そのため、例えば、第1ポケット布41の両側縁部及び下縁部41bを後身頃31に縫着し、ポケット口43を上方に開放させ、第2ポケット布42の上縁部及び下縁部42bを第1ポケット布41に縫着し、内側ポケット口44を左右方向に開放させてもよい。また、実施例1では、ポケット口43が左右両側に開放しているが、左右いずれか一方のみに開放するものであってもよい。
【0046】
また、実施例1の衣服10では、内側ポケット口44が下方にへこむ円弧状に湾曲している例を示したが、これに限らない。内側ポケット口44の形状は任意に設定することができる。また、内側ポケット口44の伸縮性や、第2ポケット布42の伸縮性、第1ポケット布41の通気性は、いずれも内ポケット33の大きさや、収納予定の物品等に応じて任意に設定することができ、必ずしも身頃生地よりも高い伸縮性や通気性は必要ではない。
【0047】
さらに、ポケット口43や内側ポケット口44には、面ファスナーやスナップボタンのような着脱自在な係合部材を設け、適宜閉鎖できるようにしてもよい。
【0048】
そして、実施例1の衣服10では、内ポケット33を後身頃31の中央部下側位置であって衣服10の内側に配置する例を示したが、内ポケット33を設ける位置は任意に設定することができる。すなわち、例えば、左前身頃21や右前身頃22の内側や、後身頃31の上部内側等に内ポケット33を設けてもよい。また、内ポケット33を衣服10の表側に設けてもよい。
【0049】
また、実施例1の衣服10では、内ポケット33に送風ファン100に電力を供給するバッテリ101を収納する例を示したが、これに限らない。内ポケット33には、例えば保温用の発熱体や、スマートフォン等の携帯端末等任意の物品を収納することができる。なお、発熱体等を収納する場合には、必ずしも衣服10に送風ファン100を装着するための取付孔32を形成する必要はない。
【0050】
そして、実施例1では、衣服10が、着用者が上半身に着る上衣である例を示したが、これに限らない。衣服10は、下衣であってもよいし、上衣と下衣とが接続したツナギ服であってもよい。これらの場合であっても、内ポケット33を設ける位置や、ポケット口43及び内側ポケット口44の開放方向は任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 衣服
31 後身頃(身頃生地)
33 内ポケット(ポケット)
41 第1ポケット布
41a 上縁部
41b 下縁部
42 第2ポケット布
42b 下縁部
42c 側縁部
43 ポケット口
44 内側ポケット口
P 内側ポケット空間