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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147828
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】撮像光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220929BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220929BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20220929BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20220929BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B7/02 B
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G03B15/00 T
G03B19/07
G03B35/08
H04N5/225 400
H04N5/225 800
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049253
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】畑下 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】中沼 寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健祐
(72)【発明者】
【氏名】荻野 心平
【テーマコード(参考)】
2H044
2H054
2H059
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AA04
2H044AA17
2H044AB10
2H054BB05
2H054BB07
2H059AA07
5C122DA11
5C122DA12
5C122DA14
5C122FA04
5C122FA18
5C122FB03
5C122FB08
(57)【要約】
【課題】口径を小さくすることなく、レンズシフト及びレンズチルトによるレンズ偏芯を抑制可能な撮像光学系及び撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像光学系1は、複数のレンズL1,L12,L13,L14,L15,L16と、前記複数のレンズを内部に保持する筒状の支持構造体2と、を具備し、前記複数のレンズは、前記支持構造体2の内周面の第1の内径部2aの内部に配置され、該第1の内径部2aとの間に径方向の隙間Sを有する大径部11Aと、前記内周面の第2の内径部2bに保持され、前記支持構造体2に対して径方向に位置決めされ、前記大径部11Aより径の小さい小径部11Bと、有する第1のレンズL11を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズと、
前記複数のレンズを内部に保持する筒状の支持構造体と、を具備し、
前記複数のレンズは、
前記支持構造体の内周面の第1の内径部の内部に配置され、該第1の内径部との間に径方向の隙間を有する大径部と、
前記内周面の第2の内径部に保持され、前記支持構造体に対して径方向に位置決めされ、前記大径部より径の小さい小径部と、有する第1のレンズを備える、
撮像光学系。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像光学系において、
前記大径部の外周面と前記小径部の外周面との間に段差が設けられている、
撮像光学系。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像光学系において、
前記大径部の外径φAと前記小径部の外径φBとは、
φB/φA<0.9
の関係を有する撮像光学系。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の撮像光学系において、
前記複数のレンズはそれぞれ、
物体側光学面と、
前記物体側光学面の外側に設けられた光軸と直交する方向に延びる物体側平坦面と、
像側光学面と、
前記像側光学面の外側に設けられた前記光軸と直交する方向に延びる像側平坦面と、を有し、
前記物体側平坦面及び前記像側平坦面は、前記支持構造体又は前記支持構造体に保持された他部材によって光軸方向に押圧されることにより、前記支持構造体に対して前記光軸方向に位置決めされて保持される、
撮像光学系。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像光学系において、
前記第1のレンズの前記物体側平坦面又は前記像側平坦面のうちの、前記大径部に設けられている平坦面における、前記他部材と当接している領域内で前記光軸に最も近い部分は、前記小径部の外周面よりも前記光軸から離れている、
撮像光学系。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像光学系において、
前記第1のレンズは、前記複数のレンズのうち、最も物体側に位置する、
撮像光学系。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の撮像光学系において、
前記第1のレンズは、非接合レンズである凸レンズ又はメニスカスレンズである、
撮像光学系。
【請求項8】
複数のレンズと、
前記複数のレンズの光軸を略一致させてレンズを保持する支持構造体と、
を有し、
前記複数のレンズのうち少なくとも光軸方向において最も物体側のレンズは、像側の第2側面の径が物体側の第1側面の径よりも小さいガラスレンズである、
撮像光学系。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像光学系を含む撮像装置。
【請求項10】
撮影用のカメラ装置、検査用カメラ装置、ステレオカメラ装置、車載カメラ装置、監視用カメラ装置の何れかである、
請求項9に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像光学系を用いた撮像装置として、撮影用のカメラ装置のみならず、車載カメラ装置やステレオカメラ装置、検査用カメラ装置、監視用カメラ装置等、広範な種類のものが実用化されている。これらの撮像装置に搭載される撮像光学系としては、一般に、高解像度、低ディストーションであることに加え、小さなFナンバ及び広い視野角を得るために口径が大きなレンズが求められている。
【0003】
これらの撮像装置において、使用される環境(「使用環境」という)が非常に広範囲となるものがある。例えば、車載カメラ装置の場合、サファリラリーのように炎熱地域で使用されることもあれば、高緯度の厳寒地域で使用される場合もあり、使用環境における環境温度は-30℃~70℃のように広い。
環境温度が変化すると、撮像光学系を構成する複数のレンズには、光軸直交方向に変位するレンズシフトが発生するとともに、光軸に直交する方向を回転軸として変位するレンズチルトが発生する。そして、これらのレンズシフト及びレンズチルトが発生すると、レンズ偏芯が生じる。
【0004】
レンズ偏芯は、レンズの口径が大きくなると大きくなる傾向があり、レンズ偏芯が生じると、撮像光学系による像の結像位置に光軸ずれが発生する。撮像光学系が、例えば、車載カメラ装置や検査用カメラ装置に用いられる場合、像の光軸ずれは、撮像対象物の位置情報や形状情報に対する精度の低下をもたらす。
【0005】
このため、従来、環境温度が繰り返し変化する場合に、レンズシフトを低減する撮像光学系として、樹脂間隔環や偏芯抑制部材にレンズを圧入する方法がとられている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019‐020505号公報
【特許文献2】特開2018‐197784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術によると、レンズを圧入する際に、樹脂間隔環や偏芯抑制部材の表面が削れ、異物・ゴミが発生し、異物・ゴミにより、フレアが発生する可能性がある。フレアは物体認識においてはノイズや誤認識の原因となるため、センシング対象となる物体の大きさや、形状等の情報を正確に得られなくなる。
また、レンズを圧入することにより、レンズに外力が加わり続けるので、環境変動耐性及び経年変化耐性が低下し、レンズクラックが発生しやすくなる。
さらに、従来技術は、レンズシフトを抑制することを目的としているが、像の光軸ずれを防止するには、レンズシフトを抑制するだけでは不十分で、レンズチルトも抑制する必要がある。
【0008】
本発明は、口径を小さくすることなく、レンズシフト及びレンズチルトによるレンズ偏芯を抑制可能な撮像光学系及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のレンズと、前記複数のレンズを内部に保持する筒状の支持構造体と、を具備し、前記複数のレンズは、前記支持構造体の内周面の第1の内径部の内部に配置され、該第1の内径部との間に径方向の隙間を有する大径部と、前記内周面の第2の内径部に保持され、前記支持構造体に対して径方向に位置決めされ、前記大径部より径の小さい小径部と、有する第1のレンズを備える、撮像光学系を提供する。
【0010】
前記大径部の外周面と前記小径部の外周面との間に段差が設けられていてもよい。
【0011】
前記大径部の外径φAと前記小径部の外径φBとは、φB/φA<0.9の関係を有していてもよい。
【0012】
前記複数のレンズはそれぞれ、物体側光学面と、前記物体側光学面の外側に設けられた光軸と直交する方向に延びる物体側平坦面と、像側光学面と、前記像側光学面の外側に設けられた前記光軸と直交する方向に延びる像側平坦面と、を有し、前記物体側平坦面及び前記像側平坦面は、前記支持構造体又は前記支持構造体に保持された他部材によって光軸方向に押圧されることにより、前記支持構造体に対して前記光軸方向に位置決めされて保持されていてもよい。
【0013】
前記第1のレンズの前記物体側平坦面又は前記像側平坦面のうちの、前記大径部に設けられている平坦面における、前記他部材と当接している領域内で前記光軸に最も近い部分は、前記小径部の外周面よりも前記光軸から離れていてもよい。
【0014】
前記第1のレンズは、前記複数のレンズのうち、最も物体側に位置していてもよい。
【0015】
前記第1のレンズは、非接合レンズである凸レンズ又はメニスカスレンズであってもよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の他の態様は、複数のレンズと、前記複数のレンズの光軸を略一致させてレンズを保持する支持構造体と、を有し、前記複数のレンズのうち少なくとも光軸方向において最も物体側のレンズは、像側の第2側面の径が物体側の第1側面の径よりも小さいガラスレンズである、撮像光学系を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記課題を解決するために、上記の撮像光学系を含む撮像装置を提供する。
【0018】
さらに、撮像装置は、撮影用のカメラ装置、検査用カメラ装置、ステレオカメラ装置、車載カメラ装置、監視用カメラ装置の何れであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、口径を小さくすることなく、レンズシフト及びレンズチルトによるレンズ偏芯を抑制可能な撮像光学系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の撮像光学系1の構成を説明する図である。
図2】レンズシフトを説明する図である。
図3】レンズチルトを説明する図である。
図4】第2実施形態の撮像光学系1Bの構成を説明する図である。
図5】第3実施形態の撮像光学系1Cの構成を説明する図である。
図6】第4実施形態の撮像光学系1Dの構成を説明する図である。
図7】第5実施形態のカメラ装置50の外観を示す概略図であり、(a)は前面側斜視図、(b)は背面側斜視図である。
図8】第5実施形態のカメラ装置50のブロック図である。
図9】第6実施形態の検査カメラ装置60を説明する図である。
図10】第6実施形態の検査カメラ装置60を用いた製品検査のフローチャートである。
図11】第7実施形態のステレオカメラ装置70を説明する図である。
図12】第8実施形態の車載カメラ装置80を説明する図であり、(a)は車載カメラ装置80が搭載された車両AUを示す概略図、(b)は車載カメラ装置80のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態である撮像光学系1について説明する。実施形態の撮像光学系1は、撮像装置として各種カメラやビデオカメラ等に用いられる、被写体像を結像させるための単焦点の撮像光学系1であり、特にデジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等のように電子的撮像手段を用いた撮像装置の撮像光学系1である。
【0022】
図1は、第1実施形態の撮像光学系1の構成を説明する図である。図中左方が物体側、右方が像側である。撮像光学系1は、支持構造体2を備える。支持構造体2は、本体筒2Aと、本体筒2Aの先端に装着される押え環2Bとを有する。
【0023】
(支持構造体2)
(押え環2B)
支持構造体2の押え環2Bは、本体筒2Aの像側先端に装着される環状部材で、本体筒2Aの像側先端部の内径である第2内径部2bよりも大径の第1内径部2aを有する押え環筒部2Baと、押え環筒部2Baの先端より内径側に張り出した張出部2Bbとを有し、張出部2Bbの像側面は平坦な像側平坦面2Bcとなっている。
【0024】
(本体筒2A)
本体筒2Aは、内径部の径が段階的に異なる筒部材である。
【0025】
(支持構造体2)
本体筒2Aと押え環2Bとを備える支持構造体2の内部には、物体側から像側に向かって順に、第1群G11、第2群G12、間隔環3、第3群G13、第4群G14、間隔環4、第5群G15、間隔環5、フィルター6及び押え環7が配置されている。第1群G11、第2群G12、第3群G13、第4群G14及び第5群G15は、それぞれガラス製のレンズを備える。フィルター6は、赤外線カットフィルタ、ローパスフィルタ等の各種フィルターであり、図中、これらと光学的に等価な透明平行平板(ガラス板)として示している。
【0026】
支持構造体2は内面に、物体側から像側に向かって、押え環2Bに設けられた第1内径部2a、本体筒2Aに設けられた第2内径部2b、第3内径部2c、第4内径部2d、第5内径部2e、第6内径部2f、第7内径部2g、第8内径部2h及び第9内径部2iを備える。また、第5内径部2eには、内径方向に突出した突部2jが設けられている。それぞれの内径部は隣接する内径部間で互いに径が異なり、間に段部が設けられている。
第5内径部2eは最も小径で、第5内径部2eから物体側に向かって、第4内径部2d、第3内径部2c、第2内径部2b、第1内径部2aと内径が大きくなっている。また、第5内径部2eから像側に向かって、第6内径部2f、第7内径部2g、第8内径部2h、第9内径部2iと内径が大きくなっている。
【0027】
第1群G11は物体側に凸面を有するメニスカス状の第1レンズL11を備える。
第2群G12は像側に凸面を有するメニスカス状の第2レンズL12を備える。
第3群G13は物体側及び像側に凸面を有する正の第3レンズL13を備える。
第4群G14は接合レンズで、物体側に配置された物体側及び像側に凸面を有する正の第4レンズL14と、第4レンズL14の像側に配置され、且つ像側に凹面を有する負の第5レンズL15とを備える。
第5群G15は物体側及び像側に凸面を有する正の第6レンズL16を備える。
【0028】
(第1群G11)
第1群G11の第1レンズL11(第1のレンズ)は、最も物体側にあり、物体側に凸面を有する非接合のメニスカスレンズである。第1レンズL11は、物体側に設けられた大径部11Aと、像側に設けられた、大径部11Aより小径の小径部11Bとを備える。
【0029】
大径部11Aの外周部と小径部11Bの外周部とは、それぞれが光軸OAと略平行に延びる円周面で、大径部11Aと小径部11Bとの間には、段差が設けられている。ただし、これに限らず、大径部11Aの外周部と小径部11Bの外周部とは、連続した斜面であり、間に段差が設けられていないものであってもよい。
大径部11Aは、第1内径部(第1の内径部)2aとの間に径方向に隙間Sを有し、第1内径部2aと当接せずに離間している。
小径部11Bの外径は、第2内径部(第2の内径部)2bと略等しく、第2内径部2bに嵌め込まれて第2内径部2bに保持され、第2内径部2bと接触している。
【0030】
大径部11Aの径φ11A(φA)と小径部11Bの径φ11B(φB)とは、
φ11B/φ11A<0.9
を満たすことが望ましく、第1実施形態でφ11B/φ11Aは0.87である。
【0031】
第1レンズL11は、物体側に凸面である物体側光学面11aと、物体側光学面11aの外周に設けられた、光軸OAと直交する方向(本明細書において、「光軸直交方向」という)に延びる物体側平坦面11bと、像側に凹面である像側光学面11cと、像側光学面11cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面11dとを備える。物体側光学面11aは、像側光学面11cより大径である。
【0032】
物体側平坦面11bは、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって、光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえられている。物体側平坦面11bにおける、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって押さえられている最も内径側の位置(接地位置)11eの、光軸OAからの距離は、小径部11Bの外周面の光軸OAからの距離よりも、距離dだけ外径側にある。すなわち、接地位置11eは小径部11Bの外周面よりも距離dだけ径方向外側にある。
【0033】
(第2群G12)
第2群G12の第2レンズL12は、像側に凸面を有するメニスカスレンズである。第2レンズL12の外径は、本体筒2Aに設けられた第3内径部2cの内径と略等しく、第2レンズL12は第3内径部2cに嵌め込まれている。
【0034】
第2レンズL12は、物体側に、凹面である物体側光学面12aと、物体側光学面12aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面12bと、像側に、凸面である像側光学面12cと、像側光学面12cの外周に設けられた光軸直交方向に延びる像側平坦面12dと、を備える。
第2レンズL12の物体側平坦面12bは、第1レンズの像側平坦面11dと当接している。第2レンズL12の像側平坦面12dは、間隔環3の物体側平坦面3aと当接している。
【0035】
(間隔環3)
間隔環3は、筒状部材で、物体側に光軸直交方向に延びる物体側平坦面3a、像側に光軸直交方向に延び且つ物体側平坦面3aより小径の像側平坦面3bが設けられている。間隔環3の外径は、本体筒2Aに設けられた第3内径部2cの内径と略等しく、間隔環3は第3内径部2cに嵌め込まれている。
間隔環3の物体側平坦面13bは、第2レンズL12の像側平坦面12dと当接している。間隔環3の像側平坦面13dは、第3レンズL13の物体側平坦面13bと当接している。
【0036】
(第3群G13)
第3群G13の第3レンズL13は、物体側及び像側に凸面を有する正のレンズである。第3レンズL13の外径は、本体筒2Aに設けられた第4内径部2dの内径と略等しく、第3レンズL13は第4内径部2dに嵌め込まれている。
第3レンズL13は、物体側に、凹面である物体側光学面13aと、物体側光学面13aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面13bと、像側に、凸面である像側光学面13cと、像側光学面13cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面13dと、を備える。
第3レンズL13の物体側平坦面13bは、間隔環3の像側平坦面3bと当接している。第3レンズL13の像側平坦面13dは、第4内径部2dと第5内径部2eとの間の段部と当接している。
【0037】
(第4群G14)
第4群G14は接合レンズで、物体側に配置された物体側及び像側に凸面を有する正の第4レンズL14と、第4レンズL14の像側に配置され、像側に凹面を有する負の第5レンズL15とを備える。
第4レンズL14の外径は、本体筒2Aに設けられた第5内径部2eの内径より小さく、第5レンズL15の外径は、本体筒2Aに設けられた第6内径部2fの内径と略等しい。
第4レンズL14は第5内径部2eの内部に配置されているが第5内径部2eと非接触で、第5レンズL15は第6内径部2fに嵌め込まれている。また、第4レンズL14は、物体側に、凸面である物体側光学面14aと、像側に凸面である像側光学面14bとを備える。
第5レンズL15は、物体側に、凹面である物体側光学面15aと、物体側光学面15aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面15bと、像側に、凹面である像側光学面15cと、像側光学面15cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面15dとを備える。
第4レンズL14の像側光学面14bと第5レンズL15の物体側光学面15aとは接合されている。第5レンズL15の物体側平坦面15bは、第5内径部2eと第6内径部2fとの間の段部と当接している。第5レンズL15の像側平坦面15dは、間隔環4の物体側平坦面4aと当接している。
【0038】
(間隔環4)
間隔環4は、円環部材で、物体側に光軸直交方向に延びる物体側平坦面4a、像側に光軸直交方向に延びる像側平坦面4bが設けられている。間隔環4の外径は、本体筒2Aに設けられた第7内径部2gの内径と略等しく、間隔環4は第7内径部2gに嵌め込まれている。
間隔環4の物体側平坦面4aは、第5レンズL15の像側平坦面15dと当接している。間隔環4の像側平坦面4bは、第6レンズL16の物体側平坦面16bと当接している。
【0039】
(第5群G15)
第5群G15の第6レンズL16は、物体側及び像側に凸面を有する正のレンズである。第6レンズL16の外径は、本体筒2Aに設けられた第7内径部2gの内径と略等しく、第6レンズL16は第7内径部2gに嵌め込まれている。
第6レンズL16は、物体側に、凸面である物体側光学面16aと、物体側光学面16aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面16bと、像側に、凸面である像側光学面16cと、像側光学面16cの外周に設けられた光軸直交方向に延びる像側平坦面16dと、を備える。
第6レンズL16の物体側平坦面16bは、間隔環4の像側平坦面4bと当接している。第6レンズL16の像側平坦面13dは、間隔環5の物体側平坦面5aと当接している。
【0040】
(間隔環5)
間隔環5は円環部材で、物体側に光軸直交方向に延びる物体側平坦面5a、像側に光軸直交方向に延びる像側平坦面5bが設けられている。外径は、本体筒2Aに設けられた第8内径部2hの内径と略等しく、間隔環5は第8内径部2hに嵌め込まれている。
間隔環5の物体側平坦面5aは、第6レンズL16の像側平坦面16dと当接している。間隔環5の像側平坦面5bは、フィルター6の物体側平坦面6aと当接している。
【0041】
(フィルター6)
フィルター6は、光軸直交方向に延びる物体側平坦面6aと像側平坦面6bとを備える。
フィルター6の物体側平坦面6aは、間隔環5の像側平坦面5bと当接している。フィルター6の像側平坦面6bは、押え環7の物体側平坦面7aと当接している。
【0042】
(押え環7)
押え環7は円環部材で、本体筒2Aの像側の端部に装着され、光軸直交方向に延びる物体側平坦面7aを備える。
押え環7の物体側平坦面7aはフィルター6の像側平坦面6bと当接している。
【0043】
本実施形態によれば、押え環2Bが本体筒2Aの物体側の外周面に装着されると、押え環2Bの張出部2Bbの像側平坦面2Bcは、第1レンズL11の物体側平坦面11bと当接して、第1レンズL11を光軸OA方向像側に押圧する。第1レンズL11の像側平坦面11dは、第2レンズL12の物体側平坦面12bと当接して第2レンズL12を光軸OA方向像側に押圧する。第2レンズL12の像側平坦面12dは、間隔環3の物体側平坦面3aと当接して間隔環3を光軸OA方向像側に押圧する。間隔環3の像側平坦面3bは、第3レンズL13の物体側平坦面13bと当接して第3レンズL13を光軸OA方向像側に押圧する。第3レンズL13の物体側平坦面13bは、第4内径部2dと第5内径部2eとの間の段部に押圧される。
これにより、第1レンズL11、第2レンズL12、第3レンズL13は、光軸OA方向像側に押圧されて位置決めされる。
【0044】
また、押え環7が本体筒2Aの像側の内周面に装着されると、押え環7の物体側平坦面7aがフィルター6の像側平坦面6bと当接して、フィルター6を光軸OA方向物体側に押圧する。フィルター6の物体側平坦面6aが間隔環5の像側平坦面5bと当接して、間隔環5を光軸OA方向物体側に押圧する。間隔環5の物体側平坦面5aが第6レンズL16の像側平坦面16dと当接して、第6レンズL16を光軸OA方向物体側に押圧する。第6レンズL16の物体側平坦面16bが間隔環4の像側平坦面4bと当接して、間隔環4を光軸OA方向物体側に押圧する。間隔環4の物体側平坦面4aが第5レンズL15の像側平坦面15dと当接して、第5レンズL15を光軸OA方向物体側に押圧する。第5レンズL15の物体側平坦面15bは、第5内径部2eと第6内径部2fとの間の段部に押圧される。
これにより、フィルター6、第6レンズL16、第5レンズL15及び第4レンズL14は、光軸OA方向物体側に押圧されて位置決めされる。
【0045】
次に、実施形態の効果を説明する前に、レンズ偏芯について説明する。
複数のレンズを備える撮像光学系において、環境温度が変化すると、光軸直交方向に変位するレンズシフトが発生するとともに、光軸直交方向の延びる軸を回転軸として変位するレンズチルトが発生する。
そして、これらのレンズシフト及びレンズチルトにより、複数のレンズの相対的な位置関係の変化(本明細書において、「レンズ偏芯」という)が生じる。
【0046】
(レンズシフト)
図2は、レンズシフトを説明する図である。図示する撮像光学系は、比較形態としての一般的な撮像光学系であり、支持構造体102及びレンズL101を備える。レンズL101は、支持構造体102の内周面102aの径より僅かに小径で、支持構造体102の内部に保持されている。
【0047】
図2(a)は、支持構造体102の内周面102aが位置Xc0にある初期状態を示す。
初期状態において、レンズL101の外周面の図中右側に示す一方は、支持構造体102の図中右側に示す内周面102aと当接しており、レンズL101の外周面の図中左側に示す他方は、支持構造体102の図中左側に示す内周面102bとの間に隙間がある。
支持構造体102の内径をφcとすると、支持構造体102の内周面102aの支持構造体102の軸線Aからの位置Xc0は、
Xc0=φc/2・・・(1)
となる。
【0048】
図2(b)は、温度がT1変化したときの支持構造体102の内周面102aの軸線Aからの位置Xctを示す。支持構造体102の線膨張率をγcとすると、位置Xctは、
Xct=φc/2+φc/2×γc×T1・・・(2)
となる。
【0049】
図2(c)は、温度がT1変化したときのレンズL101の外周面101aの軸線Aからの位置XLtを示す。レンズL101の線膨張率γLとし、レンズL101の外径φLとする、支持構造体102の位置XLtは、
XLt≒φc/2+φL/2×γL×T1・・・(3)
となる。
【0050】
レンズの線膨張率γLが、支持構造体102の線膨張率γcよりも小さい場合には、T1がマイナスとなる温度変化をする際には、Xct<XLtとなる。そうすると、支持構造体102の内周面102aが、レンズL101の外周面101aよりも軸線A側に移動し、図2(d)に示すようにレンズL101の外周面101aは支持構造体102の内周面102aに押されて、レンズL101にレンズシフトが発生する。
【0051】
このときのシフト量Xは、式(3)-式(2)であり、
X=XLt-Xct=φL/2×γL×T1-φc/2×γc×T1・・・(4)
となる。
ここで、レンズL101の径φLと支持構造体102の内周面102aの径φcとの差は小さいため、φc=φLと置き換えることができ、(4)式は、
X=XLt-Xct=φL/2×(γL-γc)×T1・・・(5)
となる。
つまり、レンズL101のシフト量は、レンズL101の径φL(支持構造体102の内径をφc)に比例する。
【0052】
したがって、レンズシフトを抑制するためには、支持構造体102に保持されるレンズL101の径φLをなるべく小径とすることが有効となる。
【0053】
(レンズチルトの説明)
次に、温度変化時にレンズのチルトが発生する仕組みを説明する。
図3は、レンズチルトを説明する図である。図示する撮像光学系は、比較形態としての一般的な撮像光学系であり、支持構造体202及びレンズL201を備える。レンズL201は、一例として両凸レンズで、レンズL201の第1凸面と第2凸面の頂点をそれぞれ、LC1、LC2とする。
【0054】
支持構造体202は、レンズL201の外周を保持する筒部202aと、レンズL201の凸面の外周面201aを保持するように筒部202aから内径側に張り出した張出部202bとを有する。レンズL201は、支持構造体202の内周面202cの径より小径で、支持構造体202の内部に保持されている。
【0055】
図3(a)は、レンズL201の外周面201aが、支持構造体202の内周面202cと当接して、レンズL201の第1凸面が、支持構造体202の張出部202bの一方の角部ARに接触した状態を模式的に示した図である。
【0056】
このとき、レンズL201は、支持構造体202の内周面202cより小径なので、レンズL201の第1凸面の頂点LC1及び第2凸面の頂点LC2は、支持構造体202の軸線Aから図中右側にずれた位置にある。
この状態で支持構造体202の張出部202bの他方の角部ALとレンズL201の間には隙間S201がある。このため、レンズL201はチルトし、第1凸面が、図3(b)に示すように一方の角部ARだけでなく他方の角部ALにも当接するように傾く。
このとき、図中左側である支持構造体202の他方の内周面202dとのレンズL201の外周面201aとの間には隙間S202がある。これを初期状態とする。
【0057】
初期状態において、レンズL201はチルトしているため、レンズL201の頂点LC1は、支持構造体202の軸線Aからずれた位置にあり、レンズL201の頂点LC1と頂点LC2とを通るレンズL201の光軸OAは支持構造体101の軸線Aに対して傾いている。
図3(b)に示す断面において、角部ALから光軸OAまでの距離el、角部ARから光軸OAまでの距離er、頂点LC1を通り光軸OAと直交する直線L1から角部ALまでの距離hl、直線L1から角部ARまでの距離hr、としたときに、距離erと距離eLとの間に差が生じ、距離hrと距離hlにも差が生じているので、光軸OAは軸線Aに対してチルト角taだけ傾いた状態で保持されている。
【0058】
温度がT1変化し、レンズL201と支持構造体202とが、例えば収縮すると、図3(c)に示すように、レンズL201と支持構造体202との収縮量の違いにより、レンズL201の外周面201aが支持構造体202の内周面202cに押される。
このとき、レンズL201の外周面201aが支持構造体202の内周面202cに押され、図3(c)の状態から、レンズL201の第1凸面が角部AR及び角部AL上を滑りながら移動し、光軸OAの軸線Aに対する傾きが変化して図3(d)に示す状態となる。
図3(d)に示す断面において、角部ALから光軸OAまでの距離el´、角部ARから光軸OAまでの距離er´、角部ALから直線L1までの距離hl´、角部ARから直線L1までの距離hr´、とすると、レンズL201の第1凸面が支持構造体202と接触する角部ARと角部ALに対する距離er’と距離el’との差及び距離hr’と距離hl’との差は、それぞれ、図3(b)で示した初期状態の距離erと距離elとの差及び距離hrと距離hlとの差と比べて小さくなる。このため、光軸OAの軸線Aに対するチルト角ta´は、初期状態のチルト角taと比べて小さくなる。
【0059】
このような、レンズL201の光軸OAの軸線Aに対するチルト角の変化は、撮像光学系による像の結像位置の像面上における光軸直交方向の変位(本明細書において「光軸ずれ」という)を発生させるため、撮像対象物の位置情報や形状情報に対する精度の低下をもたらす。したがって、像の光軸ずれを抑制するためには、レンズシフトに加えて、レンズチルトを抑制することも必要である。
【0060】
なお、図2図3ではレンズL101又はレンズL201を支持構造体102又は支持構造体202で保持されている場合で説明したが、レンズL101又はレンズL201が間隔環や押え環に保持される場合であっても、同様にレンズ偏芯が発生する。
【0061】
以上のように、支持構造体と接触するレンズの外径を小さくすることが、レンズシフトを抑制することに有効である。
しかし、一方で、レンズL101の径φLを小さくすると、光学有効径が小さくなるので、撮像光学系に求められる広い視野を確保できなくなる。つまり、レンズシフトの抑制と広角視野との両立が困難となる。
【0062】
また、レンズチルトは、レンズL201の湾曲した面を支持構造体202と接触させて保持していることにより、温度変化の際にチルト状態が変化することにより発生する。したがって、レンズL201の光軸OA方向の保持を、光軸直交方向に延びる平坦面にすることが、レンズチルトの変化を抑制することに有効である。
【0063】
(シフト抑制)
そこで、シフト抑制のために、本実施形態において最も物体側の第1レンズL11は、支持構造体2の内周面の内部に配置され、第1内径部2aとの間に径方向の隙間Sを有する大径部11Aと、第2内径部2bに保持され、支持構造体2に対して径方向に位置決めされる小径部11Bと、備える。
すなわち、大径部11Aと比べて小径の小径部11Bが、支持構造体2の押え環2Bの第2内径部2bと接触して保持され、径方向の位置決めに寄与し、レンズシフトに影響する。
このときのシフト量は、式(5)より、
X(11B)=φ11B/2×(γL-γc)×T1 となる。
【0064】
一方、支持構造体2の押え環2Bの第1内径部2aとの間に径方向に隙間Sを有するので、支持構造体2の第1内径部2aと接触せず、ゆえに径方向の位置決めに寄与せず、レンズシフトに影響しない。
仮に、大径部11Aがレンズシフトに影響していた場合、そのシフト量は、
X(11A)=φ11A/2×(γL-γc)×T1 となる。
【0065】
ここで、φ11B<φ11Aであるので、X(11B)<X(11A)である。
すなわち、小径部の径φ11Bは大径部の径φ11Aより小さいので、実施形態のように小径部11Bが位置決めとして使用される場合のシフト量X(11B)は、実施形態と異なり大径部11Aが位置決めとして使用される場合のシフト量X(11A)と比べて小さくなる。したがって、大径部11Aが押え環2Bの第1内径部2aにより位置決め保持される場合と比較して、レンズシフトを抑えることができる。
【0066】
(大口径)
一方、撮像光学系1において、最も物体側の第1レンズL11では、光の入射側が大径部11Aで出射側が小径部11Bであり、φ11B<φ11Aであるので、広角視野を得るために必要な光学有効径、及び、光学外径は十分に確保される。
さらに、押え環2Bの張出部2Bbの像側平坦面2Bcは、第1レンズL11の物体側平坦面11bを光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえ、物体側光学面11aを押さえない。そして、像側平坦面2Bcは、小径部11Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離dだけ外径側にあるので、物体側光学面11aに悪影響を与えない。
【0067】
(チルト抑制)
さらに、第1レンズL11、第2レンズL12及び第3レンズL13は、それぞれの平坦面が支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと当接することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
また、第6レンズL16、第5レンズL15及び第4レンズL14は、それぞれの平坦面が支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと当接することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
【0068】
したがって、環境温度が変化又は経年変化が生じてそれぞれのレンズが膨張又は収縮したときの、レンズチルトを抑制することができる。
【0069】
以上、本実施形態によると、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態である撮像光学系1Bについて説明する。図4は、第2実施形態の撮像光学系1Bの構成を説明する図である。第2実施形態において第1実施形態と略同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
第2実施形態の撮像光学系1Bは第1実施形態の撮像光学系1と、レンズ構成や支持構造体2の内径部の構造等が異なる。
本体筒2Aと押え環2Bとを備える支持構造体2の内部には、物体側から像側に向かって順に、第1群G21、第2群G22、間隔環3、第3群G23、第4群G44、間隔環4、第5群G25、間隔環5、フィルター6及び押え環7が配置されている。
【0072】
第1群G21は物体側に凸面を有するメニスカス状の第1レンズL21を備える。
第2群G22は接合レンズで、物体側及び像側に凹面を有する負の第2レンズL22と、第2レンズL22の像側に配置され、且つ物体側及び像側に凸面を有する正の第3レンズL23とを備える。
第3群G23は、像側に凸面を有するメニスカス状の第4レンズL24を備える。
第4群G24は接合レンズで、物体側及び像側に凸面を有する正の第5レンズL25と、像側に凸面を有するメニスカス状の第6レンズL26と、を備える。
第5群G25は、物体側及び像側に凸面を有する正の第7レンズL27を備える。
また、支持構造体2の内径部の突部2jは第4内径部2dと第5内径部2eとの間に設けられ、光軸直交方向に延びる物体側平坦面2jaを有している。
【0073】
(第1群G21)
第2実施形態においても、第1群G21の第1レンズL21は、最も物体側にあり、物体側に設けられた大径部21Aと、像側に設けられた、大径部21Aより小径の小径部21Bとを備える。大径部21Aは、第1内径部2aとの間に径方向に隙間Sを有し、第1内径部2aから離間している。大径部21Aの径をφ21A(φA)、小径部21Bの径をφ21B(φB)としたときに、φ21B<φ21Aで、φ21B/φ21Aは0.80である。
【0074】
第1レンズL21は、物体側に凸面である物体側光学面21aと、物体側光学面21aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面21bと、像側に凹面である像側光学面21cと、像側光学面21cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面21dとを備える。物体側光学面21aは、像側光学面21cより大径である。
【0075】
物体側平坦面21bは、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって、光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえられている。物体側平坦面21bにおける、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって押さえられている最も内径側の位置(接地位置)21eの、光軸OAからの距離は、小径部21Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離dだけ外径側にある。すなわち、接地位置21eは小径部21Bの外周面よりも距離dだけ径方向外側にある。
【0076】
本実施形態によれば、押え環2Bが本体筒2Aの物体側の外周面に装着されると、押え環2Bの張出部2Bbの像側平坦面2Bcは、第1レンズL21の物体側平坦面21bと当接して、第1レンズL21を光軸OA方向像側に押圧する。第1レンズL21の像側平坦面21dは、第2レンズL22の物体側平坦面22bと当接して第2レンズL22を光軸OA方向像側に押圧する。第2レンズL22の像側平坦面22dは、間隔環3の物体側平坦面3aと当接して間隔環3を光軸OA方向像側に押圧する。間隔環3の像側平坦面3bは、第4レンズL24の物体側平坦面24bと当接して第4レンズL24を光軸OA方向像側に押圧する。第4レンズL24の物体側平坦面24bは、突部2jの物体側平坦面2jaに押圧される。
これにより、第1レンズL21、第2レンズL22、第3レンズL23及び第4レンズL24は、光軸OA方向像側に押圧されて位置決めされる。
【0077】
また、押え環7が本体筒2Aの像側の内周面に装着されると、押え環7の物体側平坦面7aがフィルター6の像側平坦面6bと当接して、フィルター6を光軸OA方向物体側に押圧する。フィルター6の物体側平坦面6aが間隔環5の像側平坦面5bと当接して、間隔環5を光軸OA方向物体側に押圧する。間隔環5の物体側平坦面5aが第7レンズL27の像側平坦面27dと当接して、第7レンズL27を光軸OA方向物体側に押圧する。第7レンズL27の物体側平坦面27bが間隔環4の像側平坦面4bと当接して、間隔環4を光軸OA方向物体側に押圧する。間隔環4の物体側平坦面4aが第6レンズL26の像側平坦面26dと当接して、第6レンズL26を光軸OA方向物体側に押圧する。第6レンズL26の物体側平坦面26bは、第5内径部2eと第6内径部2fとの間の段部に押圧される。
これにより、フィルター6、第7レンズL27、第6レンズL26及び第5レンズL25は、光軸OA方向物体側に押圧されて位置決めされる。
【0078】
(シフト抑制)
本実施形態において最も物体側の第1レンズL21は、支持構造体2の内周面の内部に配置され、第1内径部2aとの間に径方向の隙間Sを有する大径部21Aと、第2内径部2bに保持され、支持構造体2に対して径方向に位置決めされる小径部21Bと、有する。
【0079】
すなわち、大径部21Aと比べて小径の小径部21Bが、支持構造体2の押え環2Bの第2内径部2bと接触して保持され、支持構造体2の第2内径部2bによる径方向の位置決めに寄与し、レンズシフトに影響する。
一方、支持構造体2の押え環2Bの第1内径部2aとの間に径方向に隙間Sを有するので、支持構造体2の第1内径部2aと接触せず、ゆえに径方向の位置決めに寄与せず、レンズシフトに影響しない。
【0080】
そして、小径部の径φ21Bは大径部の径φ21Aより小さいので、実施形態のように小径部21Bが位置決めとして使用される場合のシフト量は、実施形態と異なり大径部21Aが位置決めとして使用される場合のシフト量と比べて小さくなる。したがって、大径部21Aが押え環2Bの第1内径部2aにより位置決め保持される場合と比較し、レンズシフトを抑えることができる。
【0081】
(大口径)
一方、撮像光学系1Bにおいて、最も物体側の第1レンズL21では、光の入射側が大径部21Aで出射側が小径部21Bであり、φ21B<φ21Aであるので、広角視野を得るために必要な光学有効径、及び、光学外径は十分に確保される。
さらに、押え環2Bの張出部2Bbの像側平坦面2Bcは、第1レンズL21の物体側平坦面21bを光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえ、物体側光学面21aを押さえない。そして、像側平坦面2Bcは、小径部21Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離dだけ外径側にあるので、物体側光学面21aに悪影響を与えない。
【0082】
(チルト抑制)
さらに、第1レンズL21、第2レンズL22、第3レンズL23及び第4レンズL24は、それぞれの平坦面が、支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと当接することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
また、第7レンズL27、第6レンズL26、第5レンズL25は、それぞれの平坦面が、支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと当接することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
【0083】
したがって、環境温度が変化又は経年変化が生じてそれぞれのレンズが膨張又は収縮したときの、レンズチルトを抑制することができる。
【0084】
以上、本実施形態においても、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0085】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態である撮像光学系1Cについて説明する。図5は、第3実施形態の撮像光学系1Cの構成を説明する図である。第3実施形態において第1実施形態と略同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
第3実施形態の撮像光学系1Cは第1実施形態の撮像光学系1と、レンズ構成や支持構造体2の内径部の構造等が異なる。
本体筒2Aと押え環2Bとを備える支持構造体2の内部には、物体側から像側に向かって順に、第1群G31、間隔環3、第2群G32、第3群G33、間隔環4、第4群G34、間隔環5、フィルター6及び押え環7が配置されている。
【0087】
第1群G31(第1のレンズ)は物体側に凸面を有するメニスカス状の第1レンズL31を備える。
第2群G32は物体側及び像側に凸面を有する正の第2レンズL32を備える。
第3群G33は接合レンズで、物体側及び像側に凹面を有する負の第3レンズL33(第1のレンズ)と、物体側及び像側に凸面を有する正の第4レンズL34と、を備える。
第4群G34は物体側及び像側に凸面を有する正の第5レンズL35を備える。
また、突部2jは第5内径部2eと第6内径部2fとの間に設けられ、光軸直交方向に延びる像側平坦面3jbを有している。
【0088】
(第1群G31)
第3実施形態においても、第1群G31の第1レンズL31は、最も物体側にあり、物体側に設けられた大径部31Aと、像側に設けられた、大径部31Aより小径の小径部31Bとを備える。大径部31Aは、第1内径部2aとの間に径方向に隙間S1を有し、第1内径部2aから離間している。大径部31Aの径をφ31A(φA)、小径部31Bの径をφ31B(φB)としたときに、φ31B<φ31Aで、φ31B/φ31Aは0.84である。
【0089】
第1レンズL31は、物体側に凸面である物体側光学面31aと、物体側光学面31aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面31bとを備え、像側に凹面である像側光学面31cと、像側光学面31cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面31dとを備える。物体側光学面31aは、像側光学面31cより大径である。
【0090】
物体側平坦面31bは、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって、光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえられている。物体側平坦面31bにおける、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって押さえられている最も内径側の位置(接地位置)31eの、光軸OAからの距離は、小径部31Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離d1だけ外径側にある。すなわち、接地位置31eは小径部31Bの外周面よりも距離d1だけ径方向外側にある。
【0091】
(第3群G33)
また、第3実施形態においては、第3群G33の第3レンズL33も、像側に設けられた大径部33Aと、物体側に設けられた、大径部33Aより小径の小径部33Bとを備える。大径部33Aは、第7内径部2gとの間に径方向に隙間S2を有し、第7内径部2gから離間している。大径部33Aの径をφ33A(φA)、小径部33Bの径をφ33B(φB)としたときに、φ33B<φ33Aで、φ33B/φ33Aはφ33B/φ33Aは0.79である。
【0092】
第3レンズL33は、物体側に凹面である物体側光学面33aと、物体側光学面33aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面33bと、像側に凹面である像側光学面33cと、像側光学面33cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面33dとを備える。
像側光学面33cは、物体側光学面33aより大径である。
【0093】
像側平坦面34dは、間隔環4の物体側平坦面4aによって、光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえられている。像側平坦面34dにおける、間隔環4の物体側平坦面4aによって押さえられている最も内径側の位置(接地位置)33eの、光軸OAからの距離は、小径部33Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離d2だけ外径側にある。すなわち、接地位置33eは小径部33Bの外周面よりも距離d2だけ径方向外側にある。
【0094】
本実施形態によれば、押え環2Bが本体筒2Aの物体側の外周面に装着されると、押え環2Bの張出部2Bbの像側平坦面2Bcは、第1レンズL31の物体側平坦面31bと当接して、第1レンズL31を光軸OA方向像側に押圧する。第1レンズL31の像側平坦面31dは、間隔環3の物体側平坦面3aと当接して間隔環3を光軸OA方向像側に押圧する。間隔環3の像側平坦面3bは、第2レンズL32の物体側平坦面32bと当接して第2レンズL32を光軸OA方向像側に押圧する。第2レンズL32の像側平坦面32dは、第4内径部2dと第5内径部2eとの間の段部に押圧される。
これにより、第1レンズL31及び第2レンズL32は、光軸OA方向像側に押圧されて位置決めされる。
【0095】
また、押え環7が本体筒2Aの像側の内周面に挿入されると、押え環7の物体側平坦面7aがフィルター6の像側平坦面6bと当接して、フィルター6を光軸OA方向物体側に押圧する。フィルター6の物体側平坦面6aが間隔環5の像側平坦面5bと当接して、間隔環5を光軸OA方向物体側に押圧する。間隔環5の物体側平坦面5aが第5レンズL35の像側平坦面35dと当接して、第5レンズL35を光軸OA方向物体側に押圧する。第5レンズL35の物体側平坦面35bが間隔環4の像側平坦面4bと当接して、間隔環4を光軸OA方向物体側に押圧する。間隔環4の物体側平坦面4aが第3レンズL33の像側平坦面33dと当接して、第3レンズL33を光軸OA方向物体側に押圧する。第3レンズL33の物体側平坦面33bは、突部2jの像側平坦面3jbに押圧される。
これにより、フィルター6、第5レンズL35、第4レンズL34及び第3レンズL33は、光軸OA方向に押圧されて光軸OA方向物体側に位置決めされる。
【0096】
(シフト抑制)
本実施形態において最も物体側の第1レンズL31は、支持構造体2の内周面の第1内径部2aの内部に配置され、第1内径部2aとの間に径方向の隙間を有する大径部31Aと、第2内径部2bに保持され、支持構造体2に対して径方向に位置決めされる小径部31Bと、有する。
【0097】
すなわち、大径部31Aと比べて小径の小径部31Bが、支持構造体2の押え環2Bの第2内径部2bと接触して保持され、支持構造体2の第1内径部2aによる径方向の位置決めに寄与し、レンズシフトに影響する。
一方、支持構造体2の押え環2Bの第1内径部2aとの間に径方向に隙間S1を有するので、支持構造体2の第1内径部2aと接触せず、ゆえに径方向の位置決めに寄与せず、レンズシフトに影響しない。
【0098】
そして、小径部の径φ31Bは大径部の径φ31Aより小さいので、実施形態のように小径部31Bが位置決めとして使用される場合のシフト量は、実施形態と異なり大径部31Aが位置決めとして使用される場合のシフト量と比べて小さくなる。したがって、大径部31Aが押え環2Bの第1内径部2aにより位置決め保持される場合と比較し、レンズシフトを抑えることができる。
【0099】
また、本実施形態では、第3レンズL33は、支持構造体2の内周面の内部に配置され、第7内径部2gとの間に径方向の隙間S2を有する大径部33Aと、第6内径部2fに保持され、支持構造体2に対して径方向に位置決めされる小径部33Bと、有する。
【0100】
すなわち、大径部33Aと比べて小径の小径部33Bが、支持構造体2の押え環2Bの第6内径部2fと接触して保持され、支持構造体2の第6内径部2fによる径方向の位置決めに寄与し、レンズシフトに影響する。
一方、大径部33Aは、第7内径部2gとの間に径方向に隙間S2を有するので、第7内径部2gと接触せず、ゆえに径方向の位置決めに寄与せず、レンズシフトに影響しない。
【0101】
そして、小径部の径φ33Bは大径部の径φ33Aより小さいので、実施形態のように小径部33Bが位置決めとして使用される場合のシフト量は、実施形態と異なり大径部33Aが位置決めとして使用される場合のシフト量と比べて小さくなる。したがって、大径部33Aが押え環2Bの第7内径部2gにより位置決め保持される場合と比較し、レンズシフトを抑えることができる。
【0102】
(大口径)
一方、撮像光学系1Cにおいて、最も物体側の第1レンズL31では、光の入射側が大径部31Aで出射側が小径部31Bであり、φ31B<φ31Aであるので、広角視野を得るために必要な光学有効径、及び、光学外径は十分に確保される。
また、撮像光学系1C内で一旦縮小した光束の径を拡大する第3レンズL33では、光の入射側が小径部33Bで出射側が大径部33Aであり、φ33B<φ33Aであるので、必要な光学有効径、及び、光学外径が十分に確保される。
【0103】
(チルト抑制)
さらに、第1レンズL31及び第2レンズL32は、それぞれの平坦面が、支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと当接することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
また、第5レンズL35、第4レンズL34及び第3レンズL33は、それぞれの平坦面が、支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと当接することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
【0104】
したがって、環境温度が変化又は経年変化が生じてそれぞれのレンズが膨張又は収縮したときの、レンズチルトを抑制することができる。
【0105】
以上、本実施形態においても、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0106】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態である撮像光学系1Dについて説明する。図6は、第4実施形態の撮像光学系1Dの構成を説明する図である。第4実施形態において第1実施形態と略同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
第4実施形態の撮像光学系1Dは第1実施形態の撮像光学系1と、レンズ構成や支持構造体2の内径部の構造等が異なる。
本体筒2Aと押え環2Bとを備える支持構造体2の内部には、物体側から像側に向かって順に、第1群G41、間隔環3A、第2群G42、間隔環3B、第3群G43、第4群G44、間隔環4、第5群G45、間隔環5、フィルター6及び押え環7が配置されている。
【0108】
第1群G41は物体側に凸面を有するメニスカス状の第1レンズL41(第1のレンズ)を備える。
第2群G42は物体側に凸面を有するメニスカス状の第2レンズL42を備える。
第3群G43は物体側及び像側に凸面を有する正の第3レンズL43を備える。
第4群G44は接合レンズで、物体側に凸面を有するメニスカス状の第4レンズL44と、物体側及び像側に凸面を有する正の第5レンズL45と、を備える。
第5群G45は物体側及び像側に凸面を有する正の第6レンズL46(第1のレンズ)を備える。
また、突部2jは第4内径部2dと第5内径部2eとの間に設けられ、光軸直交方向に延びる像側平坦面3jbを有している。
【0109】
(第1群G41)
第4実施形態においても、第1群G41の第1レンズL41は、最も物体側のレンズで、物体側に設けられた大径部41Aと、像側に設けられた、大径部41Aより小径の小径部41Bとを備える。大径部41Aは、第1内径部2aとの間に径方向に隙間S1を有し、第1内径部2aから離間している。大径部41Aの径をφ41A(φA)、小径部41Bの径をφ41B(φB)としたときに、φ41B<φ41Aで、φ41B/φ41Aは0.85である。
【0110】
第1レンズL41は、物体側に凸面である物体側光学面41aと、物体側光学面41aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面41bとを備え、像側に凹面である像側光学面41cと、像側光学面41cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面41dとを備える。物体側光学面41aは、像側光学面41cより大径である。
【0111】
物体側平坦面41bは、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって、光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえられている。物体側平坦面41bにおける、張出部2Bbの像側平坦面2Bcによって押さえられている最も内径側の位置(接地位置)41eの、光軸OAからの距離は、小径部41Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離d1だけ外径側にある。すなわち、接地位置41eは小径部41Bの外周面よりも距離d1だけ径方向外側にある。
【0112】
(第5群G45)
また、第4実施形態においては、第5群G45の第6レンズL46も、像側に設けられた大径部46Aと、物体側に設けられた、大径部46Aより小径の小径部46Bとを備える。大径部46Aは、第8内径部2hとの間に径方向に隙間S2を有し、第8内径部2hから離間している。大径部46Aの径をφ46A(φA)、小径部46Bの径をφ46B(φB)としたときに、φ46B<φ46Aで、φ46B/φ46Aは0.85である。
【0113】
第6レンズL46は、物体側に凹面である物体側光学面46aと、物体側光学面46aの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる物体側平坦面46bとを備え、像側に凹面である像側光学面46cと、像側光学面46cの外周に設けられた、光軸直交方向に延びる像側平坦面46dとを備える。像側光学面46cは、物体側光学面46aより大径である。
【0114】
像側平坦面46dは、間隔環5の物体側平坦面5aによって、光軸OAに沿って物体側から像側に向かって押さえられている。像側平坦面46dにおける、間隔環5の物体側平坦面5aによって押さえられている最も内径側の位置(接地位置)46eの、光軸OAからの距離は、小径部46Bの外周面の光軸OAからの位置よりも、距離d2だけ外径側にある。すなわち、接地位置46eは小径部46Bの外周面よりも距離d2だけ径方向外側にある。
【0115】
本実施形態によれば、押え環2Bが本体筒2Aの物体側の外周面に螺合されると、押え環2Bの張出部2Bbの像側平坦面2Bcは、第1レンズL41の物体側平坦面41bと当接して、第1レンズL41を光軸OA方向像側に押圧する。
第1レンズL41の像側平坦面41dは、間隔環3Aの物体側平坦面3Aaと当接して間隔環3Aを光軸OA方向像側に押圧する。
間隔環3Aの像側平坦面3Abは、第2レンズL42の物体側平坦面42bと当接して第2レンズL42を光軸OA方向像側に押圧する。
第2レンズL42の像側平坦面42dは、間隔環3Bの物体側平坦面3Baと当接して間隔環3Bを光軸OA方向像側に押圧する。
間隔環3Bの像側平坦面3Bbは、第3レンズL43の物体側平坦面43bと当接して第3レンズL43を光軸OA方向像側に押圧する。
第3レンズL43の像側平坦面43dは、第4内径部2dと突部2jとの間の段部に押圧される。
これにより、第1レンズL41、第2レンズL42及び第3レンズL43は、光軸OA方向像側に押圧されて位置決めされる。
【0116】
また、押え環7が本体筒2Aの像側の内周面に挿入されると、押え環7の物体側平坦面7aがフィルター6の像側平坦面6bと当接して、フィルター6を光軸OA方向物体側に押圧する。
フィルター6の物体側平坦面6aが間隔環5の像側平坦面5bと当接して、間隔環5を光軸OA方向物体側に押圧する。
間隔環5の物体側平坦面5aが第6レンズL46の像側平坦面46dと当接して、第6レンズL46を光軸OA方向物体側に押圧する。
第6レンズL46の物体側平坦面46bが間隔環4の像側平坦面4bと当接して、間隔環4を光軸OA方向物体側に押圧する。
間隔環4の物体側平坦面4aが第4レンズL44の像側平坦面44dと当接して、第4レンズL44を光軸OA方向物体側に押圧する。
第4レンズL44の物体側平坦面44bは、第6内径部2fと第5内径部2eとの間の段部に押圧される。
これにより、フィルター6、第6レンズL46、第5レンズL45及び第4レンズL44は、光軸OA方向物体側に押圧されて位置決めされる。
【0117】
(シフト抑制)
本実施形態において最も物体側の第1レンズL41は、支持構造体2の内周面の第1内径部2aの内部に配置され、第1内径部2aとの間に径方向の隙間S1を有する大径部41Aと、第2内径部2bに保持され、支持構造体2に対して径方向に位置決めされる小径部41Bと、有する。
【0118】
すなわち、大径部41Aと比べて小径の小径部41Bが、支持構造体2の押え環2Bの第2内径部2bと接触して保持され、支持構造体2の第1内径部2aによる径方向の位置決めに寄与し、レンズシフトに影響する。
一方、支持構造体2の押え環2Bの第1内径部2aとの間に径方向に隙間S1を有するので、支持構造体2の第1内径部2aと接触せず、ゆえに径方向の位置決めに寄与せず、レンズシフトに影響しない。
【0119】
そして、小径部の径φ41Bは大径部の径φ41Aより小さいので、実施形態のように小径部41Bが位置決めとして使用される場合のシフト量は、実施形態と異なり大径部41Aが位置決めとして使用される場合のシフト量と比べて小さくなる。したがって、大径部41Aが押え環2Bの第1内径部2aにより位置決め保持される場合と比較し、レンズシフトを抑えることができる。
【0120】
また、本実施形態では、第6レンズL46は、支持構造体2の内周面の内部に配置され、第8内径部2hとの間に径方向の隙間S2を有する大径部46Aと、第7内径部2gに保持され、支持構造体2に対して径方向に位置決めされる小径部46Bと、有する。
【0121】
すなわち、大径部46Aと比べて小径の小径部46Bが、支持構造体2の押え環2Bの第7内径部2gと接触して保持され、支持構造体2の第7内径部2gによる径方向の位置決めに寄与し、レンズシフトに影響する。
一方、大径部46Aは、第8内径部2hとの間に径方向に隙間S2を有するので、第8内径部2hと接触せず、ゆえに径方向の位置決めに寄与せず、レンズシフトに影響しない。
【0122】
そして、小径部の径φ46Bは大径部の径φ46Aより小さいので、実施形態のように小径部46Bが位置決めとして使用される場合のシフト量は、実施形態と異なり大径部46Aが位置決めとして使用される場合のシフト量と比べて小さくなる。したがって、大径部46Aが押え環2Bの第8内径部2hにより位置決め保持される場合と比較し、レンズシフトを抑えることができる。
【0123】
(大口径)
一方、撮像光学系1Dにおいて、最も物体側の第1レンズL41では、光の入射側が大径部41Aで出射側が小径部41Bであり、φ41B<φ41Aであるので、広角視野を得るために必要な光学有効径、及び、光学外径は十分に確保される。
また、撮像光学系1D内で一旦縮小した光束の径を拡大する第6レンズL46では、光の入射側が小径部46Bで出射側が大径部46Aであり、φ46B<φ46Aであるので、必要な光学有効径、及び、光学外径が十分に確保される。
【0124】
(チルト抑制)
さらに、第1レンズL41、第2レンズL42及び第3レンズL43は、それぞれの平坦面が、支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと接触することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
また、フィルター6、第6レンズL46、第5レンズL45及び第4レンズL44は、それぞれの平坦面が、支持構造体2の内周面に設けられた段部、間隔環、押え環、もしくは、隣接するレンズと接触することによって光軸OA方向に押圧されて位置決めされる。
【0125】
したがって、環境温度が変化又は経年変化が生じてそれぞれのレンズが膨張又は収縮したときの、レンズチルトを抑制することができる。
【0126】
以上、本実施形態においても、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0127】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いたカメラ装置50である。以下、カメラ装置50の撮像光学系として、第1実施形態の撮像光学系1の符号を用いて説明するが、これに限らず第2実施形態、第3実施形態又は第4実施形態の撮像光学系1B、1C又は1Dであってもよい。
【0128】
図7は、カメラ装置50の外観を示す概略図である。図7(a)は前面側斜視図、(b)は背面側斜視図である。図7に示すように、カメラ装置50は、筐体(カメラボディ)55に、撮像光学系1、光学ファインダ52、ストロボ(電子フラッシュライト)53、シャッタボタン54、電源スイッチ56、液晶モニタ57、操作ボタン58及びメモリカードスロット59等を装備している。
【0129】
図8は、カメラ装置50のブロック図である。図8に示すように、カメラ装置50は、筐体55内に、中央演算装置(CPU)50a、画像処理装置50b、撮像素子50c、信号処理装置50d、半導体メモリ50e及び通信カード50f等を具備している。
【0130】
カメラ装置50は、撮像光学系1と、CMOS(相補型金属酸化物半導体)又はCCD(電荷結合素子)等のイメージセンサである撮像素子50cとを有し、撮像光学系1によって結像される被写体光学像を撮像素子50cによって読み取る。撮像素子50cの出力は、中央演算装置50aによって制御される信号処理装置50dによって処理され、デジタル画像情報に変換される。信号処理装置50dによってデジタル化された画像情報は、中央演算装置50aによって制御される画像処理装置50bにおいて所定の画像処理を施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ50eに記録される。半導体メモリ50eとしては、メモリカードスロット59に装填されたメモリカードや、デジタルカメラ本体にオンボードで内蔵された半導体メモリを用いることもできる。
【0131】
液晶モニタ57には、撮影中の画像を表示することもでき、半導体メモリ50eに記録されている画像を表示することもできる。半導体メモリ50eに記録した画像は、例えばメモリカードスロット59と兼用された通信カードスロットに装填した通信カード50f等を介して外部へ送信することも可能である。
【0132】
撮像光学系1は、カメラ装置50の携帯時には、その対物面が、図示しないレンズバリアにより覆われており、ユーザが電源スイッチ56を操作して電源を投入すると、レンズバリアが開き、対物面が露出する。
【0133】
半導体メモリ50eに記録した画像を液晶モニタ57に表示させたり、通信カード50f等を介して外部へ送信させたりする際には、操作ボタン58を操作する。半導体メモリ50e及び通信カード50f等は、メモリカードスロット59及び通信カードスロット等のような、それぞれ専用又は汎用のスロットに装填して使用される。
【0134】
本実施形態のカメラ装置50は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C、1Dのいずれかを用いたカメラ装置50であるので、これらの実施形態と同様に、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0135】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いた検査カメラ装置60である。以下、検査カメラ装置60の撮像光学系として、第1実施形態の撮像光学系1の符号を用いて説明するが、これに限らず第2実施形態、第3実施形態又は第4実施形態の撮像光学系1B、1C又は1Dであってもよい。
【0136】
図9は、検査カメラ装置60を説明する図である。検査カメラ装置60は、製品検査を行うための検査装置である。検査カメラ装置60が行う製品検査としては、種々の検査や検査項目があるが、簡単のために多数個が製造される製品の、傷の有無を検査する場合を例に説明する。
【0137】
図9において、符号61は撮像部、符号62は検査プロセス実行部を示し、符号63は表示部を示す。また、符号Wは製品、符号64は製品を搬送する搬送ベルトを示している。
撮像部61は、検査装置におけるカメラ機能部であり、撮像光学系1と画像処理部61Aとを有する。
検査対象としての製品Wは、搬送ベルト64上に等間隔に置かれ、搬送ベルト64により矢印方向(図の右方)へ等速で搬送される。
【0138】
撮像光学系1は、検査対象である製品Wの像を撮影して結像する。図10は、検査カメラ装置60を用いた製品検査のフローチャートである。製品検査は、準備工程S10と、検査工程S20と、結果表示工程S30とを含む。これらの工程のうち、検査工程S20と、結果表示工程S30が検査プロセスである。
【0139】
(準備工程S10)
準備工程S10では、検査条件を設定する。すなわち、搬送ベルト64により搬送される製品Wの大きさや形状、傷の有無を検査する部位等に応じて、撮像光学系1の撮影位置、撮影態位(結像レンズの向きや撮影対象との距離、すなわち、物体距離)を定める。
そして、有無を検出すべき傷の位置や大きさに応じて、撮像光学系1の位置を設定する。
【0140】
また、比較対象として、傷のないことが確認されているモデル製品を搬送ベルト64上の検査位置に置いて、これを撮像光学系1により撮影する。撮像光学系1によって撮影された画像は、画像処理部61Aに配置された撮像素子により光電変換されて画像情報とされデジタルデータ化する画像処理が行われる。画像処理されたデジタルデータは、検査プロセス実行部62に送られ、検査プロセス実行部62は、デジタルデータを、モデルデータとして記憶する。
【0141】
(検査工程S20)
検査工程S20では、製品Wが搬送ベルト64上に、モデル製品と同一態位に置かれ、搬送ベルト64により順次搬送される。搬送される個々の製品Wが、検査位置を通過する際に撮像光学系1による撮影が行われ、画像処理部61Aでデジタルデータ化されて、検査プロセス実行部62に送られる。
【0142】
検査プロセス実行部62は、コンピュータやCPUとして構成され、画像処理部61Aを制御し、また、画像処理部61Aを介して撮像光学系1の撮影を制御する。
検査プロセス実行部62は、画像処理部61Aでデジタルデータ化された製品Wの画像データを受信すると、この画像データと、記憶したモデルデータとのマッチングを行う。
【0143】
撮影された製品Wに、傷がある場合は、画像データとモデルデータとが合致しないので、この場合には、当該製品は不良品と判定する。
また、製品Wに傷が無い場合は、該製品の画像データとモデルデータが合致するので、この場合は、当該製品が良品であると判定する。
【0144】
(結果表示工程S30)
結果表示工程S30は、検査プロセス実行部62による個々の製品の良品、不良品の判定結果を、表示部24に表示する工程である。なお、装置の構成上は、検査プロセス実行部62と表示部24とが、検査プロセス実行手段を構成する。
【0145】
本実施形態の検査カメラ装置60は、製品Wの良品、不良品の判定が可能であるとともに、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いた検査カメラ装置60であるので、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0146】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いたステレオカメラ装置70である。以下、ステレオカメラ装置70の撮像光学系として、第1実施形態の撮像光学系1の符号を用いて説明するが、これに限らず第2実施形態、第3実施形態又は第4実施形態の撮像光学系1B、1C又は1Dであってもよい。
【0147】
図11はステレオカメラ装置70を説明する図である。図11において、符号1(1a)、1(1b)は撮像光学系1で、同一仕様のものである。符号72a、72bは撮像素子であり、例えばCCDセンサやCMOSセンサを用いることができる。
【0148】
撮像光学系1(1a)、1(1b)は、それぞれの光軸OAaと光軸OAbとが、所定の距離D(本明細書において基線長という)を隔して互いに平行となるように配置されている。撮像光学系1aは、物体Obの像を撮像素子72aの受光面に結像させる。撮像光学系1bは、物体Obの像を撮像素子72bの受光面に結像させる。
【0149】
撮像素子72a、72bは、撮像光学系1(1a)、1(1b)に結像した画像を撮影画像のデータとして制御演算部73に入力させる。
【0150】
コンピュータやCPUとして構成された制御演算部73は、撮像素子72a、72bから入力された画像情報をデジタル情報化する。そして、制御演算部73は、デジタル情報化された画像情報に基づき、物体Obまでの距離を演算により算出する。すなわち、制御演算部73は、撮像素子72a、72bから入力され、デジタル情報化された画像情報に対して歪曲収差の電子的な補正を行い、このように歪曲収差を補正された画像情報に基づき、物体Obまでの距離を演算算出する。
【0151】
制御演算部73では、各撮像素子72a、72bに結像する物体Obの像位置に基づき、像位置間の距離D+Δを求める。撮像光学系1の焦点距離f、基線長Dを用いると、上記の如く求められた「D+Δ」により、撮像面から物体Obまでの距離Zは、次式:
Z=f{1+(D/Δ)}
により算出される。
【0152】
このように、ステレオカメラ装置70によると、物体Obまでの距離を測定することができるとともに、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いたステレオカメラ装置70であるので、これらの実施形態と同様に、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0153】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。第8実施形態は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いた車載カメラ装置80である。以下、車載カメラ装置80の撮像光学系として、第1実施形態の撮像光学系1の符号を用いて説明するが、これに限らず第2実施形態、第3実施形態又は第4実施形態の撮像光学系1B、1C又は1Dであってもよい。
【0154】
図12は、車載カメラ装置80を説明する図である。図12(a)は車載カメラ装置80が搭載された車両AUを示す概略図であり、図12(b)は車載カメラ装置80のブロック図である。車載カメラ装置80は、図12(a)に示すように、車両AUに載置され、車両外の画像情報を取得する。車載カメラ装置80は、図12(b)に示すように、撮像系82と制御演算部83とを有する。撮像系82は撮像光学系1と撮像素子81とを有する。
【0155】
車両AUに搭載された車載カメラ装置80は、車両外の画像情報を撮像光学系1により取得して撮像素子81でデジタル情報化する。デジタル情報化された画像情報は、制御演算部83で画像処理等のデジタル処理を受け、適切な方法で表示される。
なお、車載カメラ装置80は、図12(b)における撮像系82と制御演算部83の部分を、第7実施形態のステレオカメラ装置70に代えることもできる。すなわち、第7実施形態のステレオカメラ装置70を車載カメラ装置80として車両に搭載することができる。
【0156】
本実施委形態の車載カメラ装置80によると、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態で説明した撮像光学系1、1B、1C又は1Dのいずれかを用いた車載カメラ装置80であるので、これらの実施形態と同様に、広画角化といった光学性能を確保しつつ、温度環境変化時及び経年変化時の、レンズシフト及びレンズチルトを含むレンズ偏心量を抑制して光軸ずれを押えた、良好な光学性能を確保することができる。
【0157】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0158】
例えば、カメラ装置は、動画撮影を主としたビデオカメラ、及び在来のいわゆる銀塩フィルムを用いたフィルムカメラであってもよい。また、携帯電話機や、PDA(personal data assistant)等と称される携帯情報端末装置、さらにはこれらの機能を含む、いわゆるスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置を含む種々の情報装置に、デジタルカメラ等に相当する撮像機能が組み込まれることが多い。このような情報装置にも、本発明の撮像光学系を用いることができる。
本発明の実施形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0159】
1:撮像光学系、
2:支持構造体、2Bc:像側平坦面、2a:第1内径部(第1の内径部)、2b:第2内径部(第2の内径部)、S:隙間、
L11:第1レンズ(第1のレンズ)、11A:大径部、11B:小径部、11b:物体側平坦面、11d:像側平坦面、
L12:第2レンズ、12b:物体側平坦面、12d:像側平坦面、
3:間隔環、3a:物体側平坦面、3b:像側平坦面、
L13:第3レンズ、13b:物体側平坦面、13d:像側平坦面、
L14:第4レンズ、14a:物体側光学面、14b:像側光学面、
L15:第5レンズ、15b:物体側平坦面、15d:像側平坦面、
4:間隔環、4a:物体側平坦面、4b:像側平坦面、
L16:第6レンズ、16b:物体側平坦面、16d:像側平坦面、
5:間隔環、5a:物体側平坦面、5b:像側平坦面、
6:フィルター、6a:物体側平坦面、6b:像側平坦面、
7:押え環、7a:物体側平坦面
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