(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147831
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】監視装置およびリモコン装置
(51)【国際特許分類】
H04H 20/12 20080101AFI20220929BHJP
H04H 20/02 20080101ALI20220929BHJP
H04H 60/29 20080101ALI20220929BHJP
【FI】
H04H20/12
H04H20/02
H04H60/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049257
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 良太
(72)【発明者】
【氏名】阿部 淳
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 武司
(72)【発明者】
【氏名】西村 亮祐
(57)【要約】
【課題】異常状況がどこにあるのかを明確に判断可能にする表示形式を有する監視装置を提供することにある。
【解決手段】複数の放送送信装置を監視し、各装置の状態が表示される表示部を備え、異常検出時に当該異常検出を保存するログ機能を備えた監視装置は、前記各装置を構成する複数のユニットの接続状態に関連付けて当該装置毎の複数のユニットのうちの所定のユニット単位の共通するコードが割り当てられ、異常状況を検出したログを表示する場合に、当該ログのユニットに共通するコードが割り当てられた他のユニットの状態を当該ユニットと同時に強調表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送送信装置を監視し、各装置の状態が表示される表示部を備え、異常検出時に当該異常検出を保存するログ機能を備えた監視装置において、
前記各装置を構成する複数のユニットの接続状態に関連付けて当該装置毎の複数のユニットのうちの所定のユニット単位の共通するコードが割り当てられ、
異常状況を検出したログを表示する場合に、当該ログのユニットに共通するコードが割り当てられた他のユニットの状態を当該ユニットと同時に強調表示することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置であって、
複数の異常状況が所定の範囲の時間帯に検出したログを表示する場合に、当該複数の異常のログの各ユニットに共通するコードを比較し、同じコードの場合は上位の装置のみを強調表示することを特徴とする監視装置。
【請求項3】
請求項1に記載の監視装置であって、
異常状況を検出したログを表示する場合に、当該ログのユニットの上位装置における信号状態を表示する、監視装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の監視装置を備えた地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置および送信機のリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置およびリモコン装置に関し、複数の放送送信装置や放送中継装置を監視する監視装置、および、監視装置を備えた地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置および送信機のリモコン装置(遠隔制御装置)に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置および送信機において、それらを構成する複数の放送送信装置や放送中継装置の異常を監視する技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特開2011-097503号公報は、音声信号のように、無音状態の良否判別が難しい本線信号を伝送する音声STL装置において、前段装置の異常の有無を後段の放送所で確認可能なデジタル伝送装置を開示する。特開2010-087948号公報は、デジタルFPU受信基地局を含む放送システムにおいて、アラーム発生時のシステム全体の状態を把握しやすくする技術を開示する。特開2003-333627号公報は、中継放送所のカバーエリア内での送信状態を把握できるようにする技術を開示する。特開2020-080483号公報は、中継放送装置が故障した時に、迅速にかつ精確に故障機器の特定、原因を突き止めることが容易にできる中継放送装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-097503号公報
【特許文献2】特開2010-087948号公報
【特許文献3】特開2003-333627号公報
【特許文献4】特開2020-080483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らも、複数の放送送信装置や放送中継装置を監視する監視装置およびその監視装置を有する遠隔制御装置(以下、リモコン装置という)の開発を行っている。このリモコン装置はアラーム発生項目、アラーム発生時刻、アラーム復帰項目、アラーム復帰時刻を記憶するログ機能を備えたロギング機能を有し、リモコン装置の表示画面には、ログを表示するログ表示部を有している。
【0006】
しかしながら、実際にアラームが発生した時、非常にたくさんのアラームが発生し、実際にリモコン装置を使用するエンドユーザではログを見ても何が起きているのかを解析することが難しく、アラームに係る故障解析が容易に行えないことが分かった。
【0007】
例えば、地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置および送信機において、装置Bと装置Gとが故障し、後段に信号が流れない状況を考えてみる。なお、装置Bと装置Gとの間には、複数の装置(設備)が接続されているものとする。装置Bは自身の異常で検知されることは勿論だが、装置Bの出力信号を受ける装置B以降の複数の装置は装置Bからの信号が到達していないことを検知して異常を出すことがある。そのようにして、異常がつながっていくと、結局、装置B以降の全装置が異常発生のように見えてしまう。この状況を経験の浅いユーザが監視装置またはリモコン装置の操作手段(操作端末とも言う)の表示画面上で確認した場合、本来の異常はどこから発生しているのか、判別が全くつかない。特に、装置Gは、信号が来ないという異常状態の発報に埋もれ、本来自律的に異常状態の発報していることがすぐに判別できない恐れがある。
【0008】
本開示の課題は、異常状況がどこにあるのかを明確に判断可能にする表示形式を有する監視装置を提供することにある。
【0009】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
一実施の形態の監視装置は、複数の放送送信装置を監視し、各装置の状態が表示される表示部を備え、異常検出時に当該異常検出を保存するログ機能を備えた監視装置であって、各装置を構成する複数のユニットの接続状態に関連付けて当該装置毎の複数のユニットのうちの所定のユニット単位の共通するコードが割り当てられ、異常状況を検出したログを表示する場合に、当該ログのユニットに共通するコードが割り当てられた他のユニットの状態を当該ユニットと同時に強調表示する。
【発明の効果】
【0012】
上記一実施の形態に係る監視装置によれば、異常状況がどこにあるのかを明確に判断可能にできる。これにより、監視装置のユーザインターフェースを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施例係る全体的な地上デジタル放送システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例係る全体的な地上デジタル放送システムの他の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、ユニット番号、アラーム項目および従属アラームコードを説明する図である。
【
図4】
図4は、装置Bおよび装置G1で異常状態が発生した場合の表示画面上での表示例1を示す図である。
【
図5】
図5は、装置Bおよび装置G1で異常状態が発生した場合の表示画面上での表示例2を示す図である。
【
図6】
図6は、操作手段の表示画面の構成例を説明する図である。
【
図7】
図7は、表示部25に表示される系統表示の表示例1を概念的に説明する図である。
【
図8】
図8は、表示部25に表示される系統表示の表示例2を概念的に説明する図である。
【
図9】
図9は、
図7および
図8の場合の表示部24におけるログ履歴の表示例を説明する図である。
【
図10】
図10は、操作手段の表示画面の他の構成例を説明する図である。
【
図11】
図11は、表示部25に表示される表示例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態、および、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例0015】
まず、理解を容易とするために、
図1、
図2を用いて地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置および送信機と、それに備えられたリモコン装置の構成例および問題点について説明する。
【0016】
図1は、実施例に係る全体的な放送システムの構成例を示すブロック図である。
図2は、実施例に係る全体的な放送システムの他の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図1に、地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置、送信機およびリモコン装置の全体的な地上デジタル放送システム(以下、放送システムとも言う)100の構成例を示す。放送局は、一般的に、本社1以外に放送用無線伝送の拠点2となる送信所や中継局、基地局等の社外拠点を持っている。これらは一般に山の頂上やビルの屋上に存在し、地域周辺から見通しの良い場所に設置される。この拠点2には、放送用無線設備が配備される。それら設備の状態を本社1で常時把握するために、リモコン装置(
図1では、リモコン端局1、操作手段(操作端末)1、リモコン端局2、操作手段(操作端末とも言う)2)が用いられる。放送システム100は本社1と社外2にある拠点の2カ所で構成され、本社1、拠点2それぞれに放送向け無線伝送を行うための複数の放送送信装置が存在する。また、遠隔制御(以降、リモコンと称する)したい放送送信装置がある本社1や拠点2に、その場所の装置群をまとめて管理するリモコン端局1、2を配置することが多い。例えば、装置のリモコンインターフェースがIP(インターネットプロトコル)であって、別地点とIP回線がつながっている場合は、別地点にあるリモコン端局で集中管理するという方法もありえる。
【0018】
リモコン端局1、操作手段1、リモコン端局2、操作手段2は、監視装置MEを含む構成とされている。また、リモコン装置1,2は、異常検出時に当該異常検出を、アラーム発生項目、アラーム発生時刻、アラーム復帰項目、アラーム復帰時刻のデータとして記憶装置MMに記憶または保存するログ機能を備えたロギング機能を有している。操作手段1,2の表示画面には、ログを表示するログ表示部を有している。
【0019】
リモコン端局1、2は、その地点(本社1や拠点2)の放送送信装置それぞれと放送送信装置がもつリモコンインターフェース(例えば、接点、シリアル通信、IP通信、アナログ電圧渡しなど)を使用して情報をやりとりし、制御および監視を行う。ここで制御とは、リモコン端局1、2から各放送送信装置に対して指示・設定を与えることであり、監視とは、各放送送信装置から状態や設定をリモコン端局1、2が取得することである。これらの制御監視のリモコン情報は、その場所(本社1や拠点2)の操作手段1、2と共有される。一般的には、操作手段1、2の表示画面にユーザインターフェースが具備される。操作手段1、2における制御としては、例えば、ユーザからの操作手段1,2の表示画面上でのマウスクリックやキーボード押下によって発行される。操作手段1、2における監視としては、例えば、操作手段1、2の表示画面上のGUI(グラフィックユーザーインターフェース)として、釦や表示画面上の文字、色、線、などの様態によりその装置の動作状態(異常状態、正常状態)を示す。
【0020】
操作手段1、2は必ずしも同一地点のリモコン端局1、2から取得しなければならないわけではなく、例えば、別地点とIP回線がつながっている場合は、別地点にあるリモコン端局から情報を取得するという方法もある。これを使用すれば、例えば、本社1には操作手段1のみ設置し、拠点2側には装置群とリモコン端局2、操作手段2とを設置する構成すれば、
図2のような全体システム構成にすることも可能となる。
【0021】
ここで、それぞれの地点(本社1や拠点2)のリモコン端局1とリモコン端局2(
図1)、または、操作手段1とリモコン端局2(
図2)は、本社1-拠点2間で用意された制御監視回線を経由して情報を渡し合うことができるように構成される。この制御監視回線としては、例えば4W(4線)専用線,2W(2線)専用線、2W公衆回線、STL(Studio To Transmitter Link)/TSL(Transmitter To Studio Link)等の無線伝送装置への音声重畳、シリアル重畳、IP回線などを利用することできる。
【0022】
図1、
図2の放送システム100の構成対象となる複数の放送送信装置の装置群は、
図1のように、装置から次の装置へ伝送すべき素材を送信していくという信号の流れ(以降、系統という)が存在することが多い。
図1で説明すれば、装置Aから送信された信号が装置Bへ、装置Bから装置C1および装置C2へ送られる、といった矢印の方向に情報が伝達されるというものである。ここで、装置Bは1系統から信号を受信し、2系統に対して信号を送信しており、信号の分割や分配(同一の信号を複数に渡す)を行っている。装置Eは、2系統から信号を受信し、1系統に対して信号を送信しており、信号の共用(合成)や、選択(入力いずれかの信号を後段へ出力)を行っている。
【0023】
この例では、本社1には、複数の放送送信装置として装置A、B、C1、C2、D1、D2、Eが設けられ、拠点2には、複数の放送送信装置として装置F、G1、G2、H、I、J1、J2、K1、K2、Lが設けられている。装置Eと装置Fとの間はマイクロ波による送受信が行われている。装置Lの出力は、地上デジタル放送波の送信アンテナに接続される。
【0024】
図1、
図2の放送システム100では、例えば、装置A、B、C1、C2、D1、D2、Eは放送内容を演奏所(スタジオ)から送信するためのSTL回線(Studio to Transmitter Link)側の送信装置(STL送信装置STLTX)と見なすことができ、装置F、G1、G2、H、IはSTL回線側の受信装置(STL受信装置STLRX)と見なすことができ、装置J1、J2、K1、K2、Lは送信機(TX)と見なすことができる。また、この例では、装置C1、D1を含む信号系統は第1STL送信系統STLTX1とし、装置C2、D2を含む信号系統は第2STL送信系統STLTX2とする。装置G1を含む信号系統は第1STL受信系統STLRX1とし、装置G2を含む信号系統は第2STL受信系統STLRX21とする。また、装置J1、K1を含む信号系統は第1送信系統TX1とし、装置J2、K2を含む信号系統は第2送信系統TX2とする。
【0025】
操作手段1、2としては、ユーザに対して、放送システム100の状態を分かりやすく表現することが重要である。この表現の大きなポイントとなるのが系統表示である。たとえば、系統表示では、操作手段1、2の表示画面上において、
図1や
図2のように、素材信号の流れを左から右に模擬し、伝送する順番に装置を左から右に配置して表示させたり、あるいは、各装置を矢印でつないで、素材信号がどの装置に流れるのかを明示したりする。
【0026】
また、操作手段1、2の表示画面において重要となるのが、装置の異常をいかに分かりやすく表現するかということである。異常状態の表示方法としては、異常が発生した場合に、表示画面上のパネルや釦の色や文字、線種、点滅などを利用して、正常時と異なる様態にすることで気づかせたり、操作手段1、2上から警告音を鳴動させたりするのが良い。これにより、ユーザが放送システム100上の異常を早期に発見できるようにするのが良い。
【0027】
次に、上記の異常状態の表示方法の問題点を説明する。
【0028】
図1、
図2の放送システム100において、例えば、装置B、装置G1が故障し、後段に信号が流れない状況を考えてみる。装置Bは自身の異常で検知されることは勿論だが、それ以降の設備は信号が到達していないことを検知して異常を出すことがある。そのようにして、異常がつながっていくと、結局、装置B以降の全装置が異常発生のように見えてしまう。この状況を経験の浅いユーザが操作手段1、2の表示画面上で確認した場合、本来の異常はどこから発生しているのか、判別が全くつかない。特に、装置G1は、信号が来ないという異常状態の発報(異常発報)に埋もれ、本来装置Gが自律的に異常発報していることがすぐに判別できない恐れがある。
【0029】
次に、
図3を用いて、ユニット番号、アラーム項目および従属アラームコードを説明する。
図3は、ユニット番号、アラーム項目および従属アラームコードを説明する図である。なお、
図3は理解を容易とするために、代表的な例を説明するものである。実際には、1つの装置に対するアラーム項目は複数存在している。
【0030】
ユニット番号は、複数の放送送信装置(A、B、C1、C2、D1、D2、E、F、G1、G2、H、I、J1、J2、K1、K2、L)のおのおのに割り当てられている。つまり、監視するユニット毎にユニット番号をつけ、ユニット番号の小さいユニットを上位のユニットとする。この例では、ユニット番号1が割り当てられた装置Aが最上位のユニットであり、ユニット番号12が割り当てられた装置Lが最下位のユニットである。なお、逆に、ユニット番号の大きいユニットを上位のユニットとしてもよい。
【0031】
信号が分割や分配されている場合、対応する2つの装置には同一のユニット番号が割り当てられている。つまり、装置C1、C2は同一のユニット番号3が割り当てられ、装置D1、D2は同一のユニット番号4が割り当てられる。同様に、装置G1、G2のそれぞれ、装置J1、J2のそれぞれ、および、装置K1、K2のそれぞれも、同一のユニット番号が割り当てられる。
【0032】
アラーム項目は、各装置のアラーム項目が示されている。ここで、装置Bのアラーム項目Bについて異常状態が監視装置MEで検出されると、各装置(C1、C2、D1、D2、E、F、G1、G2、H、I、J1、J2、K1、K2、L)のアラーム項目B1-B10が必然的に発生するとわかっているものとする。つまり、後段のアラーム項目B1-B10について、前段(装置B)の特定アラームBが発生すれば必ず発生ということが分かっている。そのため、各装置(B、C1、C2、D1、D2、E、F、G1、G2、H、I、J1、J2、K1、K2、L)の各従属アラームコードとして、コード1が割り当てられている。
【0033】
一方、装置G1、G2のアラーム項目Gは、本来装置G1、G2が自律的に異常状態を発報する装置G1、G2に固有のアラーム項目である。つまり、装置G1、G2のアラーム項目Gの異常状態が、アラーム項目B5の異常状態とは別に、監視装置MEで検出される。そのため、装置G1、G2の各従属アラームコードとして、コード2が割り当てられている。
【0034】
ここで、装置B、装置G1が故障し、後段に信号が流れない状況を考えてみる。装置Bは自身の異常状態で監視装置MEにより検知されることは勿論だが、それ以降の後段の各装置は信号が到達していないことを検知して同様に異常状態を監視装置MEにより検知される。つまり、従属アラームコードのコード1が割り当てられた各装置(B、C1、C2、D1、D2、E、F、G1、G2、H、I、J1、J2、K1、K2、L)が異常状態と判断されることになる。ここで、ユニット番号を参照し、従属アラームコードのコード1が割り当てられた各装置(B、C1、C2、D1、D2、E、F、G1、G2、H、I、J1、J2、K1、K2、L)の各ユニット番号から最上位のユニット番号を有する装置(この例では、装置Bに対応する)を、異常の発生原因の装置として特定することできる。したがって、装置Bの異常状態に起因する装置G1の異常状態を、装置G1、G2に固有のアラーム項目Gと区別ないし判別することできるようになる。したがって、本来の異常はどこから発生しているのかを判別することができる。
【0035】
次に、
図4,
図5を用いて、操作手段1、2の表示画面上での表示例を説明する。
図4は、装置Bおよび装置G1で異常状態が発生した場合の表示画面上での表示例1を示す図である。
図5は、装置Bおよび装置G1で異常状態が発生した場合の表示画面上での表示例2を示す図である。
図4、
図5において、各装置の異常状態は、太い枠で示している。
【0036】
図4を参照し、装置Bがアラーム項目Bに起因にして異常状態を発報した場合、
図3で説明したように、装置Bの後段の装置(C1、D1、E、F、G1、H、I、J1、K1、L)も異常状態を発報する。ここで、装置G1がアラーム項目Gに起因して個別の異常状態を発報しているにもかかわらず、装置Bの異常状態により、装置G1の個別の異常状態の発報の見逃されてしまうことになる。
【0037】
一方、
図5では、操作手段1、2の表示画面に要素特定ボタン211を設けたもので、要素特定ボタン211をマウスでクリックまたは選択すると、
図4の表示例1から
図5の表示例2へ表示が変更されるように構成されている。もう一度、要素特定ボタン211をマウスでクリックまたは選択すると、
図5の表示例2から
図4の表示例1へ変更されるように構成されている。
図5の表示例2では、装置Bと装置Gの異常状態が表示され、他の装置(C1、D1、E、F、H、I、J1、K1、L)の異常状態は非表示の表示状態とされる。
【0038】
なお、カラー表示の場合、異常状態を例えば赤色で表示し、異常状態ではない正常状態は例えば緑色で表示するものとする。ここで、
図5において、要素特定ボタン211のクリックまたは選択で、
図4の表示例1から
図5の表示例2へ変更された場合、他の装置(C1、D1、E、F、H、I、J1、K1、L)の色を、赤色や青色と異なる色、例えば、黄色にすることができる。
【0039】
要素特定ボタン211は異常状態の原因または要素とされる装置を、特定するためのボタンおよび、特定を解除するためのボタンと見なすことができる。要素特定ボタン211をクリックまたは選択して、異常状態の原因または要素とされる装置の特定を行う場合、
図3のユニット番号と従属アラームコードとがリモコン端局1、2(または、監視装置ME)により参照される。従属アラームコードが”1”の各装置で、ユニット番号は最上位の装置(この例では、装置B)が異常状態の原因または要素とされる装置と、リモコン端局1、2が判断する。これにより、異常状態の原因または要素とされる装置(この例では、装置B)の異常状態の表示を継続する(赤色で表示する)。個別の従属アラームコードが”2”の装置(この例では、装置G1)の異常状態の表示も、同様に、継続する(赤色で表示する)。異常状態の原因または要素とされる装置(この例では、装置B、装置G1)以外の異常状態の原因または要素とされる装置(この例では、装置B)の後段の装置(C1、D1、E、F、H、I、J1、K1、L)の異常状態は非表示の表示状態へと変更する(赤色から黄色へ変更する)。これにより、ユーザは、操作手段1、2の表示画面上において、異常状態の原因または要素とされる装置(この例では、装置B、装置G1)を比較的容易に特定できる。
【0040】
操作作手段1,2の表示画面に
図5に示す表示例2を表示した際、操作作手段1,2の表示画面のログ表示部においても、装置Bの後段の装置(C1、D1、E、F、H、I、J1、K1、L)の異常状態を非表示の表示状態へと変更することに基づいて、装置(C1、D1、E、F、H、I、J1、K1、L)の異常状態の表示を割愛するのが良い。これのより、本来の異常履歴が分かりやすくなる。つまり、
図4に示す表示例1の場合、ログ表示部には、各装置(B、C1、D1、E、F、G1、H、I、J1、K1、L)の合計11の異常状態がログとして表示される。一方、
図5に示す表示例2の場合、ログ表示部には、各装置(B、G1)の合計2の異常状態がログとして表示される。
【0041】
また、異常検知されていなかったとしても、操作手段1、2の表示画面において、装置Bの信号が異常と判定された場合にも、
図5と同様な表示とすることで、サイレント故障またはサイレント異常を目視可能に表示および抽出することができる。このように異常未検出かつ表示画面で信号の異常であれば、サイレント故障である旨を目視可能に通知することが可能である。
【0042】
つまり、複数の放送送信装置の各装置を構成する複数のユニット(ユニット番号が付けられた単位を1つのユニットとする。)の接続状態に関連付けて当該装置毎の複数のユニット番号のうちの所定のユニット番号単位に共通するコード(従属アラームコード)が割り当てられている。そして、異常状況を検出したログを操作手段1、2の表示画面に表示する場合に、当該ログのユニット番号に共通するコード(従属アラームコードが”1”)が割り当てられた他のユニット番号の状態を当該ユニット番号と同時に強調表示する(
図4参照)。そして、複数の異常状況が所定の範囲の時間帯に検出したログを表示する場合に、当該複数の異常のログの各ユニット番号に共通するコード(従属アラームコードが”1”)を比較し、同じ共通するコード(従属アラームコードが”1”)の場合はユニット番号の上位の装置のみを強調表示する(
図5参照)。
【0043】
また、信号の異常状況を検出したログを表示する場合、当該ログのユニット番号の上位装置(ここでは、装置B)における信号状態を表示するように構成することで(
図5参照)、サイレント異常を比較的容易に抽出および判別することができる。
【0044】
次に、
図6を用いて、操作手段1,2の表示画面の構成例を説明する。
図6は、操作手段の表示画面の構成例を説明する図である。
【0045】
図6に示すように、操作手段1,2の表示画面20は、機能制御ボタンが配置される表示部21、表示部分選択ボタンが配置される表示部22、ログ表示制御ボタンが配置される表示部23、ログデータ(ログの履歴)が表示される表示部24、および、表示部25、を有している。表示部25に表示される表示内容は、表示部21に配置された機能制御ボタンの選択(押下)状態、および、表示部22に配置された表示部分選択ボタンの選択(押下)状態により、その表示が切り替わるように構成することができる。
【0046】
表示部21に配置された機能制御ボタンは、たとえば、「監視制御」、「ログデータ」、「要素特定」などの機能制御ボタンを含む。表示部22に配置される表示部分選択ボタンは、例えば、「全体」、「STL TX」、「STL RX」、「TX1」、「TX2」、「監視データ一覧」の表示部分選択ボタンを含む。表示部23に配置されるログ表示制御ボタンは、例えば、装置選択ボタン、非表示条件を指定する各ボタン(「注意」、「警報」、「制御」など)を有する。
【0047】
図6には、表示部21に配置された「要素特定」ボタン211を拡大して示している。なお、「要素特定」ボタン211は、この例では、表示部21に設けているが、「要素特定」ボタンの配置場所は表示画面20の画面内のどこの部分に設けてもよい。
【0048】
「監視制御」ボタンと「全体」ボタンとを選択すると、表示部25に系統表示を行うことができる。
図7を用いて、表示部25に表示される系統表示の表示状態を概念的に説明する。
図7は、表示部に表示される系統表示の表示例1を概念的に説明する図である。
図8は、表示部に表示される系統表示の表示例2を概念的に説明する図である。
図7、
図8では、一例として、
図1および
図2の第1STL送信系統STLTX1、第2STL送信系統STLTX2、第1STL受信系統STLRX1、第2STL受信系統STLRX21、第1送信系統TX1、第2送信系統TX2を用いて系統表示を表現している。第1STL送信系統STLTX1と、第1STL受信系統STLRX1および第1送信系統TX1とにより第1系統が構成され、第2STL送信系統STLTX2と、第2STL受信系統STLRX2および第2送信系統TX2とにより第2系統が構成されている。各系統下側には、異常状態を表示する「異常」表示領域が付加されている。また、
図7、
図8には、「要素特定」ボタン211の状態も、合わせて記載している。また、「要素特定」ボタン211をクリックや選択した場合は、
図5で説明したように、
図3のユニット番号と従属アラームコードとが参照される。
【0049】
図7では、第1STL送信系統STLTX1に異常状態が発生した状態であり、第1STL送信系統STLTX1の後段の第1STL受信系統STLRX1および第1送信系統TX1にも、第1STL送信系統STLTX1の異常状態に起因して、異常状態が発生している状態である。
図7は、
図4の表示例1と同様である。各系統下側の「異常」表示領域は、異常を示す状態(太い枠:強調表示の状態)である。この時は、「要素特定」ボタン211はクリックや選択されていない状態である。ここで、第1STL受信系統STLRX1および第1送信系統TX1は、個別のアラーム項目において、異常が発生していないものとする。
【0050】
図8では、「要素特定」ボタン211がクリックや選択された状態(太い枠)である。
図8は、
図5の表示例2と同様である。「要素特定」ボタン211のクリックや選択に基づいて、第1STL送信系統STLTX1の下側の「異常」表示領域は異常を示す状態(太い枠)を維持する。一方、第1STL受信系統STLRX1および第1送信系統TX1の下側の「異常」表示領域は異常以外の状態(細い枠:非強調表示の状態)に変更される。これにより、
図5で説明したように、異常状態の第1STL送信系統STLTX1のみが、異常状態の原因または要素とされる装置として、抽出できる。
【0051】
サイレント故障の表示も、
図8と同様に表示できるので、サイレント故障である旨を目視可能に表示部25に表示ないし通知することが可能である。
【0052】
図9は、
図7および
図8の場合の表示部24におけるログ履歴の表示例を説明する図である。
図9において、上側のログ履歴RG1は、
図7の表示状態の時のログの履歴を示し、下側のログ履歴RG2は、
図8の表示状態の時のログの履歴を示している。ログ履歴RG1では、異常状態の第1STL送信系統STLTX1、第1STL受信系統STLRX1および第1送信系統TX1の3つの履歴が表示されている。一方、履歴RG2では、異常状態の第1STL送信系統STLTX1のみの履歴が表示されているので、本来の異常の履歴が分かりやすくなる。「要素特定」ボタン211のクリックや選択に基づいて、表示部24の表示がログ履歴RG1からログ履歴RG2へ切り替わる。「要素特定」ボタン211を、もう一度クリックまたは非選択の状態とすると、表示部24の表示がログ履歴RG2からログ履歴RG1へ切り替わる。
【0053】
次に、
図10、
図11を用いて、表示部25に表示される表示例3を説明する図である。
図10は、操作手段の表示画面の他の構成例を説明する図である。
図11は、表示部25に表示される表示例3を説明する図である。
【0054】
まず、表示部24に表示されるログ履歴の課題について説明する。表示部24に表示されるログ履歴は、アラーム発生項目、アラーム発生時刻、アラーム復帰項目、アラーム復帰時刻を時系列で表示しているので、異常発報時間とどの装置や機能が異常を発報していたかをログ履歴の表示から目視できる。地上デジタル放送のマイクロ波伝送装置および送信機の放送システム100全体の異常が時系列に並んで表示されているものの、ユニット別(ユニット番号)、機能別に表示されず、信号データを伝達する順番のどこが異常原因なのか把握できず、問題究明に時間を要する問題が有った。
【0055】
本実施例では、データを伝達するための送受信電力の時系列変化と共に、放送システム100全体全体、装置別、ユニット別、機能別に発報している異常を時系列に、表示画面20の表示部25に表示するように構成されている。これにより、異常の原因がどこなのかを容易に把握することができるようなる。
【0056】
図10が
図6と異なる点は、
図10の表示部21に「時系列表示」ボタン212が設けられている点である。
図10の他の構成および機能は、
図6と同じであり、説明を省略する。
【0057】
「時系列表示」ボタン212を押下すると、放送システム100の全体の異常を時系列に表示する表示部位に遷移する。「時系列表示」ボタン212の配置は表示画面20上のどこに配置してよい。
【0058】
次に「時系列表示」ボタン212を押した後の表示例を、
図11に示す。
【0059】
図11に示すように、表示部25には、「システム全体」ボタン251と、「日時指定部」252と、「時系列データ指定部」253と、が表示される。「日時指定部」252により、時系列に表示したい日時を指定する。「時系列データ指定部」253により、時系列に表示したい時系列データを指定する。「システム全体」ボタン251とともに、「ユニット別」ボタン261、「機能別」ボタン262を設けてもよい。「日時指定部」252とともに、「月表示」ボタン、「日表示」ボタン、「週表示」ボタン、「60分」ボタンなど表示範囲を細かく指定するための表示範囲指定ボタンを設けても良い。
【0060】
本実施例では、「時系列データ指定部」253により、送受信電力の時系列データを指定し、「日時指定部」252により、例えば、2XXX年8月8日の1日を指定したものとする。そして、「システム全体」ボタン251を押すと、表示部25の画面に、受信電力RPおよび送信電力TPを時系列的に表示している表示部位254と共に、システム全体の構成物(ここでは、MOD、TH、RH、DEM、MODEX、PA、ANTとしている。)と異常発報の状態を時系列的に表示する表示部位255とが表示されるように構成されている。上記システム構成としてSTL装置における構成物は、MOD(Modulator)変調器、TH(Transmitter-Head)送信高周波部、RH(Receiver-Head)受信高周波部、DEM(Demodulator)復調器、MODEX(Modulation-Exciter)送信機の変調励振器、PA(Power-Amplifier)送信機の電力増幅器、ANT(Antenna)送信アンテナ、を示している。
【0061】
本実施例では、送信電力TPが変動してないが、受信電力RPのみが変動しているので、送信側の状態変化はないが受信側のみ変動が発生していることが分かる。
【0062】
表示部位255では、RHとDEMだけが異常発報していた時間帯が存在し、表示部位254の受信電力RPの変動した時間帯と一致していることが分かる。つまり、送信側までは問題なく、伝搬路において問題が発生していたことが把握できる。伝搬路において異常があったために受信側で異常発報していたことが把握できる。これにより、単に時系列で表示していた表示部24のログ履歴とは異なり、どこに異常原因があったのかを容易に特定可能となる。その結果、原因究明へより早くたどり着くことが可能となる。表示部25に、「システム全体」ボタン251、「ユニット別」ボタン261、「機能別」ボタン262を設け、各テーマ別に時系列データを表示可能な構成としている。これのより、任意に故障部位の時系列発報時間をテーマ別に視認可能となる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。