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特開2022-147877イオンゲルの製造方法、イオンゲル、固体電解質、及び、アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147877
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】イオンゲルの製造方法、イオンゲル、固体電解質、及び、アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20220929BHJP
   H01B 1/12 20060101ALI20220929BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20220929BHJP
   H01B 1/06 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
C08F2/44 B
H01B1/12 Z
H01B13/00 Z
H01B1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049327
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】上山 祐史
(72)【発明者】
【氏名】玉手 亮多
(72)【発明者】
【氏名】上木 岳士
【テーマコード(参考)】
4J011
5G301
【Fターム(参考)】
4J011HA04
4J011PA36
4J011PA39
4J011PA43
4J011PA44
4J011PA45
4J011PA50
4J011PB40
5G301CD01
(57)【要約】
【課題】 優れた成形性と、優れた均一性とを併せ持つイオンゲルを製造する方法の提供。
【解決手段】 ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、イオン液体(C)とを含有し、上記ラジカル重合性化合物の含有量に対する、上記ラジカル重合開始剤の含有量の質量基準の比B/Aが5×10-5~5×10-3であり、上記イオン液体の含有量に対する、上記ラジカル重合性化合物の含有量の質量基準の比A/Cが0.15以上、2.00未満である組成物中で、上記ラジカル重合性化合物を重合させて、数平均分子量が450,000~10,000,000である高分子化合物を生成し、上記高分子化合物と、上記イオン液体とを含有するイオンゲルを得ることを含む、イオンゲルの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、イオン液体(C)とを含有し、前記ラジカル重合性化合物の含有量に対する、前記ラジカル重合開始剤の含有量の質量基準の比B/Aが5×10-5~5×10-3であり、前記イオン液体の含有量に対する、前記ラジカル重合性化合物の含有量の質量基準の比A/Cが0.15以上、2.00未満である組成物中で、前記ラジカル重合性化合物を重合させて、数平均分子量が450,000~10,000,000である高分子化合物を生成し、前記高分子化合物と、前記イオン液体とを含有するイオンゲルを得ることを含む、イオンゲルの製造方法。
【請求項2】
前記B/Aが、3×10-3未満である、請求項1に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項3】
前記B/Aが、5×10-4未満である、請求項1に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項4】
前記ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項5】
前記ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、又は、(メタ)アクリル酸エステルである、請求項4に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項6】
前記ラジカル重合性化合物が、メタクリル酸、又は、メタクリル酸エステルである、請求項4に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項7】
前記イオン液体が、以下の式8で表されるイオン液体である、請求項5又は6に記載のイオンゲルの製造方法。
【化1】

(式1中、R81、及び、R82はそれぞれ独立に、炭素数が1~10のアルキル基を表し、R83、及び、R84は、それぞれ独立に1価の有機基を表す)
【請求項8】
前記式8中のR83、及び、R84がそれぞれ独立に、パーフルオロアルキル基である、請求項7に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項9】
前記式8中のR83、及び、R84が、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基、及び、ペンタフルオロエチル基からなる群より選択される基である、請求項7に記載のイオンゲルの製造方法。
【請求項10】
ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、イオン液体とを含有し、前記ラジカル重合性化合物の含有量に対する、前記ラジカル重合開始剤の含有量の質量基準の比が5×10-5~5×10-3である組成物を硬化させて得られるイオンゲル。
【請求項11】
前記ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、又は、(メタ)アクリル酸エステルである、請求項10に記載のイオンゲル。
【請求項12】
前記イオン液体が、以下の式8で表されるイオン液体である、請求項10又は11に記載のイオンゲル。
【化2】

(式1中、R81、及び、R82はそれぞれ独立に、炭素数が1~10のアルキル基を表し、R83、及び、R84は、それぞれ独立に1価の有機基を表す)
【請求項13】
式8中のR83、及び、R84が、それぞれ独立に、パーフルオロアルキル基である、請求項12に記載のイオンゲル。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載のイオンゲルを有する固体電解質。
【請求項15】
請求項14に記載の固体電解質を有するアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンゲルの製造方法、イオンゲル、固体電解質、及び、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体を溶媒とし、高分子化合物を膨潤させた高分子ゲル(イオンゲル)が知られている。特許文献1には、「イオン性液体と高分子を含有する高分子複合体において、該複合体がイオン性液体とモノマーを含有する組成物の活性エネルギー線による硬化物であることを特徴とする高分子複合体。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-80236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載されたような従来の方法では、得られるイオンゲルの成形性が悪かったり、成形できたとしても内部に気泡が生ずる等して、均一な成形物が得られない場合があることを知見している。
【0005】
そこで本発明は、優れた成形性と、優れた均一性とを併せ持つイオンゲルを製造する方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、イオンゲル、固体電解質、及び、アクチュエータを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0007】
[1] ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、イオン液体(C)とを含有し、上記ラジカル重合性化合物の含有量に対する、上記ラジカル重合開始剤の含有量の質量基準の比B/Aが5×10-5~5×10-3であり、上記イオン液体の含有量に対する、上記ラジカル重合性化合物の含有量の質量基準の比A/Cが0.15以上、2.00未満である組成物中で、上記ラジカル重合性化合物を重合させて、数平均分子量が450,000~10,000,000である高分子化合物を生成し、上記高分子化合物と、上記イオン液体とを含有するイオンゲルを得ることを含む、イオンゲルの製造方法。
[2] 上記B/Aが、3×10-3未満である、[1]に記載のイオンゲルの製造方法。
[3] 上記B/Aが、5×10-4未満である、[1]に記載のイオンゲルの製造方法。
[4] 上記ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載のイオンゲルの製造方法。
[5] 上記ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、又は、(メタ)アクリル酸エステルである、[4]に記載のイオンゲルの製造方法。
[6] 上記ラジカル重合性化合物が、メタクリル酸、又は、メタクリル酸エステルである、[4]に記載のイオンゲルの製造方法。
[7] 上記イオン液体が、後述する式8で表されるイオン液体である、[5]又は[6]に記載のイオンゲルの製造方法。
[8] 上記式8中のR83、及び、R84がそれぞれ独立に、パーフルオロアルキル基である、[7]に記載のイオンゲルの製造方法。
[9] 上記式8中のR83、及び、R84がそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基、及び、ペンタフルオロエチル基からなる群より選択される基である、[7]に記載のイオンゲルの製造方法。
[10] ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、イオン液体とを含有し、上記ラジカル重合性化合物の含有量に対する、上記ラジカル重合開始剤の含有量の質量基準の比が5×10-5~5×10-3である組成物を硬化させて得られるイオンゲル。
[11] 上記ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、又は、(メタ)アクリル酸エステルである、[10」に記載のイオンゲル。
[12] 上記イオン液体が、後述する式8で表されるイオン液体である、[10]又は[11]に記載のイオンゲル。
[13] 式8中のR83、及び、R84がそれぞれ独立にパーフルオロアルキル基である、[12]に記載のイオンゲル。
[14] [10]~[13]のいずれかに記載のイオンゲルを有する固体電解質。
[15] [14]に記載の固体電解質を有するアクチュエータ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた成形性を有するイオンゲルを製造できる。また、本発明によれば、イオンゲル、固体電解質、及び、アクチュエータも提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0010】
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクロイルの双方、又は、いずれかを表す。
【0011】
[イオンゲルの製造方法]
イオンゲルはこれまで、イオン液体と高分子化合物とを直接混合する方法で調製されてきた。しかし、イオン液体の粘度が高いこと等に起因して、調製に多大な時間が必要となり、また、得られるイオンゲルも不均一となりやすいという問題があった。
また、高分子化合物を溶媒に溶解させ、それをイオン液体(又は、イオン液体と溶媒の混合物)と混合する方法もあるが、この場合、得られた混合物から溶媒を留去する必要がある。溶媒を完全に留去できない場合、残留した溶媒が熱成形時に揮発して、成形物に気泡を生じさせる場合があった。
【0012】
これに対し、特許文献1に記載された方法によれば、ある程度均一なイオンゲルが得られると期待されるが、本発明者らの検討によれば、依然として成形性、及び、均一性に改善すべき点があった。
【0013】
本発明者らは、イオンゲルの成形性、及び、均一性に影響を与える要因を探索した。その結果、イオンゲルに含有される高分子化合物の数平均分子量が低い場合、得られるイオンゲルが流動的となり、結果、成形性が悪くなりやすいことを知見した。
【0014】
また、ラジカル重合性化合物の転化率(conversion)が十分でない場合、イオンゲル中にラジカル重合性化合物が残留する。この場合、得られたイオンゲルを熱成形しようとすると、ラジカル重合性化合物が気化してイオンゲル中に気泡を生じさせ、イオンゲルが、見た目上も、機械特性上も不均一になりやすいことを知見した。
【0015】
そこで、本発明者らは、高分子化合物の分子量と、ラジカル重合性化合物の転化率とを双方とも向上させることができれば、優れた成形性、及び、優れた均一性を有するイオンゲルが得られる可能性があると考えた。
【0016】
一般的なラジカル重合開始剤を用いた溶液ラジカル重合においては、ラジカル重合性化合物に対するラジカル重合開始剤の量を調整することで、得られる高分子化合物の分子量やラジカル重合性化合物の転化率が変化することが知られている。
【0017】
しかし、従来、得られる高分子化合物の分子量と、ラジカル重合性化合部物の転化率とには、トレードオフの関係があると考えられてきた。
例えば、得られる高分子化合物の分子量をより大きくするためには、ラジカル重合性化合物を含む組成物中に含まれるラジカル重合開始剤の含有量を低下させればよい。しかし、組成物中のラジカル重合開始剤の含有量を低下させるとラジカル重合性化合物の転化率が下がるため、結果として意図した高分子量の化合物を得ることは難しいと考えられてきた。
【0018】
つまり、高分子化合物の分子量と、ラジカル重合性化合物の転化率とはトレードオフの関係にあるため、ラジカル重合開始剤の含有量をいくら調整し(減少させ)ても、分子量と転化率を双方とも向上させることは困難だと考えられてきた。
【0019】
しかし、本発明者らは上記の常識にとらわれず鋭意検討を続けた。その結果、驚くべきことに、ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、イオン液体(C)とを含有する組成物中におけるB/A比を5×10-5~5×10-3とすることによれば、転化率を高く維持しつつ、得られるポリマーの数平均分子量を450,000~10,000,000とすることができることを知見した。
上記の事実は、技術常識からすると予想外の結果であり、本発明者らが常識にとらわれず、探索の努力を続けたことにより、本発明は完成されたものである。
【0020】
<組成物>
本製造方法に用いる組成物は、ラジカル重合性化合物(A)、ラジカル重合性化合物(B)、及び、イオン液体(C)を含有する。以下では、組成物が含有する各成分について詳述する。
【0021】
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物(A)は、分子内に少なくとも1つのラジカル重合性基を有する化合物であって、分子内に1つのラジカル重合性基を有する化合物が好ましい。
【0022】
ラジカル重合性基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、及び、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0023】
ラジカル重合性化合物の分子量としては特に制限されないが、一般に50以上が好ましく、1000以下が好ましい。
【0024】
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及び、クロトン酸等のカルボキシ基含有化合物、並びに、そのエステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、及び、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のアミド系化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ(メタ)アクリレート系化合物;等が挙げられる。
【0025】
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸、又は、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
【0026】
得られるイオンゲルがより優れた成形性、特に、加熱による軟化と冷却による硬化を繰り返すことが容易である観点では、得られる高分子化合物の分子鎖に分岐が生じにくいメタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、メタアクリルアミド、及び、メタアクリロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、メタアクリル酸、又は、メタアクリル酸エステルがより好ましい。
【0027】
組成物におけるラジカル重合性化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)の含有量に対する、後述するラジカル重合開始剤(B)の含有量の質量基準の比(B/A)が、5×10-5~5×10-3となるよう調整される。B/Aは、3×10-3未満が好ましく、5×10-4未満がより好ましく、3×10-4未満が更に好ましい。なお、B/A比は、有効数字1桁で丸めるものとする。
【0028】
B/Aが5×10-5未満だとラジカル重合性化合物の転化率が低くなる。転化率が低下すると、イオンゲル中にラジカル重合性化合物が残留し、イオンゲルを熱成形する際にラジカル重合性化合物が揮発して気泡が形成される等して、優れた均一性を有するイオンゲルが得られなくなる。
一方、B/Aが5×10-3を超えると、重合度が低くなり、得られるイオンゲルが流動的となり、優れた成形性を有するイオンゲルが得られない。
【0029】
なお、B/Aが3×10-3未満であると、高分子化合物の数平均分子量が大きくなりやすい点で好ましく、5×10-4未満であると、高分子化合物の数平均分子量がより大きくなりやすい点で好ましい。
【0030】
なお、組成物は、重合性化合物の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。組成物が、2種以上の重合性化合物を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
【0031】
(ラジカル重合開始剤)
本組成物が含有するラジカル重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤、及び、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0032】
熱ラジカル重合開始剤としては、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、及び、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物;等が挙げられる。
【0033】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、及び、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0034】
組成物中におけるラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物との質量基準の比(B/A)が所定の範囲内となるよう調整されるが、組成物中におけるラジカル重合性化合物の含有量とイオン液体の含有量の合計を100質量部とした場合、0.0001~3質量部が好ましい。
なお、組成物は、ラジカル重合開始剤の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。組成物が、2種以上のラジカル重合開始剤を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
【0035】
(イオン液体)
本明細書において、イオン液体とは、カチオンとアニオンとの組合せにより形成される、大気圧下における融点が25℃以下である不揮発性の塩を意味する。
【0036】
イオン液体を構成するカチオンは、有機カチオン、及び、金属錯体カチオンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、有機カチオンを含有することが好ましく、有機カチオンからなることが好ましい。なお、本明細書において、有機カチオンとは、金属原子を含有せず、炭素原子を少なくとも1つ有するカチオンを意味する。
【0037】
有機カチオンとしては特に制限されないが、例えば、オニウム等が挙げらえる。より具体的には、アンモニウムイオン(例えば、R )、イミニウムイオン(例えば、R C=N )、スルホニウムイオン(例えば、R )、オキソニウムイオン(例えば、R )、ホスホニウムイオン(代表構造:R )、及び、ヨードニウムイオン(例えば、R )等が挙げられる。
なお、上記各式中、Rはアルキル基、アリール基、及び、ヘテロ環基等の置換基を表す。Rは水素原子、又は、1価の置換基を表す。分子中の複数のR、分子中の複数のR、又は、分子中のRとRは、互いに結合して環を形成してもよい。また、分子中の2つのR、又は、2つのRが共同して二重結合の基(例えば、=O、=S、=NR)を形成してもよい。
【0038】
金属錯体カチオンとしては特に制限されないが、フェロセン系、コバルトセン系、ルテニウム系、並びに、リチウム、及び、ナトリウム等の高ルイス酸性をクラウンエーテル等の配位によって下げた溶媒和イオン等が挙げられる。
【0039】
カチオンの他の形態としては、アンモニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、オキサゾリウムイオン、オキサゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、チアゾリウムイオン、及び、ホスホニウムイオン等が挙げられる。
【0040】
・アンモニウムイオン
アンモニウムイオンとしては、例えば、以下の式1で表されるカチオンが挙げられる。
【化1】
【0041】
式1中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は、一価の置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rの一価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~15の置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。
【0042】
・ピロリジニウムイオン
ピロリジニウムイオンとしては、例えば、以下の式2で表されるカチオンが挙げられる。
【化2】
【0043】
式2中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は、一価の置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rの一価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~15の置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。
【0044】
・ピペリジニウムイオン
ピペリジニウムイオンとしては、例えば、以下の式3で表されるカチオンが挙げられる。
【化3】
【0045】
式3中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は、一価の置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rの一価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~15の置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。
【0046】
・ピリジニウムイオン
ピリジニウムイオンとしては、例えば、以下の式4で表されるカチオンが挙げられる。
【化4】
【0047】
式4中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は、一価の置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rの一価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~15の置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。
【0048】
・イミダゾリウムイオン
イミダゾリウムイオンとしては、例えば、以下の式5で表されるカチオンが挙げられる。
【化5】
【0049】
式5中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は、一価の置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rの一価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~15の置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。
【0050】
・ホスホニウムイオンとしては、例えば、以下の式6で表されるカチオンが挙げられる。
【化6】
【0051】
式6中、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は、一価の置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rの一価の置換基としては特に制限されないが、例えば、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1~15の置換又は無置換の炭化水素基が挙げられる。
【0052】
イオン液体を構成するアニオンとしては特に制限されず、公知のアニオンが使用できる。なかでも、アニオンとしては、ハロゲン原子を含有するアニオンが好ましい。ハロゲン原子としては特に制限されないが、フッ素、又は、臭素が好ましく、フッ素がより好ましい。
【0053】
ハロゲン原子を含有するアニオンとしては特に制限されないが、例えば、以下の式7で表されるアニオンが挙げられる。
【化7】
【0054】
式7中、Rはハロゲン化アルキル基を表し、フッ化アルキル基がより好ましい。複数あるRは同一でも異なってもよい。また、Rは互いに連結して環を形成してもよい。
【0055】
上記アニオンの具体例としては、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(BETI)、N,N-ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド(NFSI)、及び、N,N-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホニルイミド(cTFSI)等が挙げられる。
【0056】
イオン液体としては、より優れた成形性及び均一性を有するイオンゲルが得られる点で、以下の式8で表されるイオン液体が好ましい。
【0057】
【化8】
【0058】
式8中、R81、及び、R82はそれぞれ独立に、炭素数が1~10のアルキル基を表し、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。R81のアルキル基が有する炭素数と、R82が有する炭素数は同一でも異なってもよいが、異なることが好ましい。
【0059】
83、及び、R84は、それぞれ独立に1価の有機基を表し、同一でも異なってもよい。すなわち、アニオンの構造は、対称であっても、非対称であってもよい。
【0060】
1価の有機基としては、例えば、ヘテロ原子を有してもよい置換又は無置換の炭化水素基が好ましく、より優れた本発明の効果を有するイオンゲルが得られる点で、R83、及び、R84は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましく、パーフルオロアルキル基が好ましい。
なお、ハロゲン化アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10個が好ましく、1~8個がより好ましく、1~6個が更に好ましい。
【0061】
パーフルオロアルキル基としては、-C、-C、-C、及び、-CFからなる群より選択される少なくとも1種の基が好ましく、イオンゲルがより優れた成形性を有する観点では、-C(ペンタフルオロエチル基)、又は、-CF(トリフルオロメチル基)が好ましく、-CFがより好ましい。
【0062】
組成物中におけるイオンゲルの含有量は、組成物中におけるイオン液体(C)の含有量に対するラジカル重合性化合物(A)の含有量の質量基準の比(A/C)が0.15以上、2.00未満でとなるよう調整される。
A/Cが0.15未満だと、得られるイオンゲルの流動性が高くなり過ぎて、十分な成形性を有するイオンゲルが得られない。A/Cが2.00以上だと、イオンゲルの流動性が低くなりすぎて、十分な成形性を有するイオンゲルがが得られない。
【0063】
A/Cは、より優れた本発明の効果を有するイオンゲルが得られる点で、1.0以下が好ましく、1.0未満がより好ましい。
A/Cが0.60以下であると、得られるイオンゲルはより優れた成形性を有する。また、A/Cが0.40以下であると、得られるイオンゲルはより優れた成形性と、より優れた均一性を有する。
【0064】
組成物は各成分を混合することにより調製可能である。混合の方法、及び、順番は特に制限されないが、例えば、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを混合し、その後、イオン液体を混合する方法等が挙げられる。
【0065】
組成物中で、ラジカル重合性化合物を重合させ、数平均分子量が450,000~10,000,000である高分子化合物を生成する方法としては特に制限されず、ラジカル重合開始剤の種類に応じて公知の方法を適宜選択すればよい。
例えば、組成物が熱ラジカル重合開始剤を含有する場合には、不活性ガス雰囲気下で、室温~130℃の温度で、1~72時間加熱すればよい。
【0066】
ラジカル重合性化合物の転化率(%)としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有するイオンゲルが得られる観点で、70%以上であることが好ましく、70%を超えることがより好ましく、90%以上が更に好ましく、90%を超えることが特に好ましい。上限は、一般的に100%以下である。
なお、ラジカル重合性化合物の転化率は、実施例に記載の方法により求められれる値を意味する。
【0067】
ラジカル重合によって得られる高分子化合物の数平均分子量は450,000~10,000,000である。分子量が450,000未満であると、十分な成形性と均一性とを併せ持つイオンゲルが得られない。
より優れた本発明の効果を有するイオンゲルが得られる観点では、高分子化合物の数平均分子量は900,000以上が好ましく、1,350,000以上がより好ましい。なお、高分子化合物の数平均分子量は、実施例に記載された方法により測定される値を意味する。
【0068】
高分子化合物の重合度は特に制限されないが、4,500以上が好ましく、9,000以上がより好ましく、14,000以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100,000以下が好ましい。
【0069】
ラジカル重合性化合物を重合させると、高分子化合物が生成し、高分子化合物とイオン液体とを含有するイオンゲルが得られる。
本製造方法によれば、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、イオン液体とを含有する均一な組成物中でラジカル重合性化合物を重合させるために、得られるイオンゲルは優れた均一性を有する。また、B/Aを所定の範囲としたとことで、分子量と転化率という従来はトレードオフの関係にあると考えられてきた2つのパラメータを併せて向上させることができる。そのため、得られるイオンゲルは優れた成形性と、優れた均一性とを併せ持っている。
【0070】
本製造方法により得られるイオンゲルは、イオン伝導性を有し、かつ、容易に熱成形が可能であるため、例えば、シート状に成形して、固体電解質として使用できる。また、この固体電解質を電極対で挟持すれば、アクチュエータ素子としても利用できる。
【実施例0071】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
[実施例1:イオンゲルの調製]
メタクリル酸メチル(MMA、関東化学製)を活性アルミナのショートカラムに通して重合防止剤のヒドロキノンを取り除いて精製した。次に、5mLバイアル瓶にα,α′-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)粉末(0.1質量部)と精製したMMA(30質量部)を加えて完全に溶解させた。次に、得られた溶解液に、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド([C2mIm][TFSI]、Iolitec製)(70質量部)を加え、均一透明なプレゲル溶液を得た。
【0073】
次に、バイアル瓶の口をシリコーン製ダブルキャップで密閉し、シリンジ針を用いてアルゴンで10分間バブリングした。次に、80℃に加熱したオーブンにバブリング済みのバイアル瓶を入れ、攪拌せずに24時間加熱して、イオンゲルを得た。
【0074】
[実施例2~10、比較例1~7]
プレゲル溶液の各成分の種類、及び、含有量を表1に記載したとおりとしたことを除いては実施例1と同様にして、実施例2~10、及び、比較例1~7のイオンゲルを調製した。
【0075】
なお、表1中の各略号の意味は以下のとおりである。
MMA:メチルメタクリレート
EMA:エチルメタクリレート
[C2mIm][BETI]:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド
[C2mIm][NFSI]:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム N,N-ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド
[C2mIm][OTf]:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホナート
【0076】
[コンバージョン]
ラジカル重合性化合物のコンバージョン(単位:%、転化率)は以下の手順で測定した。なお、以下の説明は、ラジカル重合性化合物としてMMAを用いた場合について説明したものであるが、EMAを用いた場合も同様である。
【0077】
まず、イオンゲルをクロロホルム-d(ACROS ORGANICS社製、品番46402-0075)に完全に溶解させ、溶液を得た。次に、得られた溶液をNMRサンプルチューブに導入し、25℃においてNMR測定(JEOL,ECZ 400S)を行った。
得られたNMRスペクトルからイオンゲル中の残留モノマー(ラジカル重合性化合物)数とポリマーのMMAユニット数の比を算出し、以下の式によりコンバージョンを得た。
【0078】
【数1】
【0079】
[数平均分子量]
得られたイオンゲルの数平均分子量をGPCで測定した。測定手順の詳細は以下のとおりである。
【0080】
(前処理)
各イオンゲルを再沈殿精製した。具体的には、イオンゲルを1質量%になるようアセトンに溶解させた。次に、その溶液を多量のメタノール(体積比で20倍)に滴下し、ポリマー(高分子化合物)を沈殿させた。吸引濾過によりポリマー粉末を得た。
【0081】
同様の手順で再びアセトンに溶解、沈殿、濾過をし、得られたポリマー粉末を60℃で24時間真空乾燥した。次にポリマー粉末を0.1質量%になるよう溶離液(10mM LiBr/DMF)に溶解させ、0.45μmのシリンジフィルターを通してから測定に用いた。
【0082】
(GPC測定)
装置構成
・デガッサー/日本分光(DG-2080-53)
・ポンプ/日本分光(PU-2080)
・インターフェイスボックス/日本分光(LC-Net II/ADC)
・カラムオーブン/日本分光(CO-4060)
・RI検出器/日本分光(RI-4030)
・カラム/Shodex(登録商標) SB-806M HQを2本直結
・ガードカラム/Shodex(登録商標) SB-G 6B
【0083】
標準試料
・種類: ポリメチルメタクリレート(PMMA)
・メーカー: Shodex(登録商標)
・製品: STANDARD M-75
・分子量範囲: 2,870~965,000 (7点)
【0084】
測定条件
・カラム温度: 40℃
・流速: 1mL/min
・溶離相: 10mM LiBr/DMF
・検出: RI
【0085】
解析
標準試料7点に対して三次式の線形回帰(最小二乗法)により検量線を作成した。分子量が965,000を超えるものは、上記検量線を用いて外挿した。
【0086】
【表1】
【0087】
[成形性]
イオンゲルの成形性は以下の方法により評価した。調製したイオンゲルを、中心に5cm×5cmの開口部を有する高さ2mmのシリコーンスペーサーの中に置き、その上下を離型フィルムではさみ、さらに外側をステンレス板ではさみ、130℃に加熱した小型プレス機(ASONE、H300-15)を用いて圧縮した。圧縮時の状態を以下の基準で評価した。結果は表2に記載のとおりである。
【0088】
AA:きれいに成型できた。
A:圧縮速度を遅くすれば成型可能だが、圧縮速度が速い場合、縁にヒビが発生した。
B:形が維持できず、成型できなかった。
【0089】
[成形物の均一性]
得られた成形物の均一性について、以下の基準により評価した。また、併せて、成形物の臭気についても評価した。結果は表2に記載のとおりである。
【0090】
AA:10mm四方に目視できる気泡が一つもなく均一だった。更に、無臭だった。
A:10mm四方に目視できる気泡が1~3個あったが、透明性は維持され、文字が掛れた紙の上に置いたとき、下の文字を読むことができた。わずかにモノマー臭がした。
B:10mm四方に目視できる気泡が4個以上あり、一部の文字は読めなかった。モノマー臭がより強かった。
【0091】
【表2】
【0092】
表2中、「90<」とは90%超を表し、「~70」は70%以下を表し、「-」は試験ができなかったことを表す。
表1、及び、表2の結果から、実施例1~10の製造方法で得られたイオンゲルは優れた成形性を有し、かつ、優れた均一性を有していた。一方、比較例1~3、及び、比較例5~7の製造方法で得られたイオンゲルは成形性が悪く、所望の成形物が得られなかった。また、比較例4の製造方法では、所望の均一性を有するイオンゲルが得られなかった。
【0093】
B/Aが3×10-3未満である組成物を用いた実施例3の製造方法は、実施例1の製造方法と比較して、得られる高分子化合物の数平均分子量がより高かった。
また、B/Aが5×10-4未満である組成物を用いた実施例3の製造方法は、実施例2の製造方法と比較して、得られる高分子化合物の数平均分子量が更に高かった。
また、A/Cが0.60以下である組成物を用いた実施例4の製造方法は、実施例5の製造方法と比較して、得られるイオンゲルがより優れた成形性を有していた。
また、A/Cが0.40以下である組成物を用いた実施例4の製造方法は、実施例3の製造方法と比較して、得られるイオンゲルがより優れた均一性を有していた。
【0094】
また、イオンゲルが式8で表される構造を有し、アニオンのR83がそれぞれトリフルオロメチル基、及び、ペンタフルオロエチル基である組成物を用いた実施例3、及び、実施例6の製造方法は、実施例7の製造方法と比較して、得られるイオンゲルがより優れた成形性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のイオンゲルの製造方法により製造されるイオンゲルは優れた成形性と、優れた均一性を併せ持っている。そのため、加熱により容易に成形可能なため固体電解質、及び、アクチュエータ素子等として利用可能である。