(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147922
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】冷凍冷蔵施設の外壁システム
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20220929BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20220929BHJP
E04B 1/682 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
E04B1/76 500F
E04B1/80 100B
E04B1/682 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049391
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513002441
【氏名又は名称】株式会社サドル
(71)【出願人】
【識別番号】516043317
【氏名又は名称】株式会社青和
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岸田 猛
(72)【発明者】
【氏名】奥山 誠司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚樹
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA04
2E001FA26
2E001GA12
2E001HF02
2E001HF11
(57)【要約】
【課題】冷凍施設の外壁の縦目地廻り及び横目地廻りに高度な断熱性能及び防湿、防水性能を備えた冷凍冷蔵施設の外壁システムを提供する。
【解決手段】左右方向に隣接する断熱パネル2の縦目地3aの表面及び裏面にそれぞれ緊結用ハット形鋼8aを取付け、表面及び裏面の緊結用ハット形鋼8a同士を緊結用ボルト21により緊結し、隣接する断熱パネル2により形成される縦目地3aの隙間に縦目地間断熱材4bを充填する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に隣接する断熱パネルの縦目地の表面及び裏面にそれぞれ緊結用ハット形鋼を取付け、前記表面及び裏面の前記緊結用ハット形鋼同士を緊結用ボルトにより緊結することを特徴とする冷凍冷蔵施設の外壁システム。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍冷蔵施設の外壁システムであって、前記表面及び裏面の前記緊結用ハット形鋼と前記左右方向に隣接する断熱パネルとに囲まれた間隙に縦目地間断熱材を充填することを特徴とする冷凍冷蔵施設の外壁システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の冷凍冷蔵施設の外壁システムであって、前記断熱パネルは、少なくとも片刃付きアングル又はワッシャのいずれか一方により縦胴縁に締結されることを特徴とする冷凍冷蔵施設の外壁システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷凍冷蔵施設の外壁システムであって、上下方向に配置された前記断熱パネルには、それぞれ上方凹部及び下方凹部が設けられ、前記上方凹部及び前記下方凹部の間には、直方体の断熱ブロックが嵌入されることを特徴とする冷凍冷蔵施設の外壁システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷凍冷蔵施設の外壁システムであって、上下方向に隣接した断熱パネルの横目地に設けられた断熱ブロックは、少なくとも防水シート又は防水シールのいずれか一方を介して前記断熱パネルに接続することを特徴とする冷凍冷蔵施設の外壁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵施設の外壁システムに係り、特に、断熱性能及び防湿・防水性能を備えた断熱パネルによる縦目地廻り及び横目地廻りの外壁システムに関する。本発明は、主として冷凍倉庫や冷蔵倉庫等の低温に管理された冷凍冷蔵施設に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍冷蔵施設の外壁断熱システムは、コンクリート躯体またはスパンクリートを下地とし、この表面に断熱材を貼り付けるか、又は吹き付けるかにより断熱性能等を確保していた。
【0003】
特許文献1には、冷凍冷蔵庫の断熱材に、発泡樹脂層の少なくとも片面が表面材で覆われたパネルを使用し、これを横に並べて支持材に取り付けることにより一体化する工法において、内側のみから施工でき、しかも、パネルの位置調整や一部の破損パネルの取り替えが容易な施工工法が開示されている。ここでは、発泡樹脂層が端面より露出したパネルを端面がパネル支持材前面にて離隔対向するように配置して、隣接パネルの間に隙間を形成するとともに、パネル前面にハット形鋼のような目地板を配置して、この目地板を着脱自在な連結手段でパネル支持材に連結することにより隣接パネルの端部を挟持させた後、発泡性樹脂をパネル支持材と目地板とにより閉鎖された隙間に注入することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、パネル組立時にいずれのパネル側端部を対向させても接合することができる冷凍倉庫用パネル組立体及び冷蔵倉庫用パネルが開示されている。ここでは、接合溝部には、連結部材の一部が嵌入可能となっているため、パネルの端部同士を隣接させ、対向する接合溝部の両方に連結部材を嵌入すれば、2個のパネルを隣接して接合することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-88684号公報
【特許文献2】特開2005-155071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の冷凍冷蔵施設の外壁の断熱方法は、外壁コンクリート躯体やスパンクリート等を使用するため現場での施工量が多く、現場施工者の人工が増すという問題があった。また、建物の重量が増すため建物全体の構造的な負担が大きくなってしまう等の問題があった。
【0007】
近年、高度な断熱性能及び防湿・防水性能が要求される冷凍冷蔵施設の外壁には、コンクリート下地やスパンクリート下地等を用いない縦張り断熱パネルによる断熱システムが採用されるケースが増えている。この断熱システムでは、胴縁等の下地のない縦張り断熱パネルには風圧、地震力に対しての強度が不足しているため、断熱層の屋外側に断熱層保護用の外装材が必要になり、より荷重が増し、構造的な負担が増え、コスト負担も増えるという問題があった。そのため、外壁断熱の強度を向上させ、屋外側の保護層としての外装材を省きたいという課題があった。
【0008】
高度な断熱性能及び防湿・防水性能が要求される冷凍冷蔵施設の外壁には、屋外と屋内との温度差を保持する断熱性能が要求される。一方、冷凍冷蔵施設の大型化に伴い、断熱パネルの支持材も重厚化の傾向がある。しかし、断熱性能に劣る鋼材が用いられる支持材は、特にパネル目地部に用いる支持材の断熱材貫通部分が断熱パネル目地部分の結露等のリスクとなっていた。断熱性能が向上した冷凍冷蔵施設の外壁目地システムの開発が課題となっている。
【0009】
また、冷凍冷蔵施設の外壁システムには、断熱パネルの目地の施工精度を向上させ、施工誤差による断熱パネルの目地の隙間を最小とするディテールを実現させることが課題となる。
【0010】
さらに、冷凍冷蔵施設の外壁システムは、目地回りのディテールが簡易であり、施工が容易であることが課題となる。
【0011】
本願の目的は、かかる課題を解決し、冷凍冷蔵施設の外壁の縦目地廻り、及び、横目地廻りに高度な断熱性能及び防湿・防水性能を備えた冷凍冷蔵施設の外壁システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る冷凍冷蔵施設の外壁システムは、左右方向に隣接する断熱パネルの縦目地の表面及び裏面にそれぞれ緊結用ハット形鋼を取付け、表面及び裏面の緊結用ハット形鋼同士を緊結用ボルトにより緊結することを特徴とする。また、表面及び裏面の緊結用ハット形鋼と左右方向に隣接する断熱パネルとに囲まれた間隙に縦目地間断熱材を充填することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、冷凍冷蔵施設の外壁システムは、左右方向に隣接する断熱パネルの縦目地に緊結用ハット形鋼を断熱パネルの表面及び裏面にそれぞれ取付ける。そして、それらの緊結用ハット形鋼同士を緊結用ボルトにより緊結する。これにより、断熱パネル同士が緊結用ハット形鋼により所定の間隔を維持しながら緊結される。また、断熱パネルの両端部の表面材がビスにより緊結用ハット形鋼に固定されることで、端部が欠損することなく保持される。また、断熱パネルにより形成される縦目地の隙間に縦目地間断熱材を充填することで、冷凍冷蔵施設の外壁システムの断熱欠損が生じやすい縦目地において、所望の断熱性能が確保される。このように、断熱パネルの縦目地において、表裏の緊結用ハット形鋼を緊結用ボルトにより緊結し、表面材と緊結用ハット形鋼とをビスで固定することで剥がれ易い表面材端部を押さえ付け、断熱パネルの端部において断熱性能及び防湿・防水性能を高めることができる。
【0014】
また、断熱パネルの端部で左右方向に隣接する縦胴縁同士はカバープレートにより接続され、縦胴縁とカバープレートとにより形成される間隙には縦胴縁間断熱材が充填され、縦目地間断熱材を冷凍冷蔵施設内部から覆うことが好ましい。このように、縦胴縁間断熱材が、縦目地間断熱材を冷凍冷蔵施設の内側から覆うように充填されることでより確実に断熱効果を高めることができる。
【0015】
また、断熱パネルは、所定の間隔に配置された複数の縦胴縁により支持され、前記縦胴縁は、それぞれ固定用ハット形鋼により断熱パネルに連結されることが好ましい。これにより、縦胴縁に断熱パネルをより強固に緊結することができる。
【0016】
また、断熱パネルは、少なくとも片刃付きアングル又はワッシャのいずれか一方により縦胴縁に締結されることが好ましい。これにより、安定して断熱パネルを縦胴縁に固定することができる。
【0017】
また、上下方向に配置された断熱パネル同士は、ビスを介して少なくとも片刃付きアングル又は両刃付きC形鋼のいずれか一方により締結されることが好ましい。これにより、上下方向に配置された断熱パネル同士を安定して固定することができる。
【0018】
また、上下方向に配置された断熱パネルには、それぞれ上方凹部及び下方凹部が設けられ、上方凹部及び下方凹部の間には、直方体の断熱ブロックが嵌入されることが好ましい。これにより、上下方向に隣接した断熱パネルは、安定して固定されることができる。
【0019】
また、上下方向に隣接した断熱パネルの横目地に設けられた断熱ブロックは、少なくとも防水シート又は防水シールのいずれか一方を介して断熱パネルに接続することが好ましい。これにより、上下方向に隣接する断熱パネルの横目地廻りの断熱性能および施工性誤差の低減を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る冷凍冷蔵施設の外壁システムによれば、冷凍冷蔵施設の外壁の縦目地廻り及び横目地廻りに高度な断熱性能、及び、防湿・防水性能を発揮する冷凍施設の外壁システムを提供することができる。
【0021】
また、冷凍冷蔵施設の外壁システムにおいて、冷凍冷蔵施設の外壁の断熱パネルを精度良く施工することで、高品質な断熱性能及び防湿・防水性能を発揮させることができる。
【0022】
さらに、冷凍冷蔵施設における、断熱パネルの施工手間が余りかからず、地震や風などの外力に対しても構造上安全で外壁の変形や割れが生じない冷凍冷蔵施設の外壁システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る冷凍施設の外壁システムの縦目地廻りの一つの実施形態の概略構成を上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1の縦目地廻りの概略構成を示す断面図及び分解図である。
図2(a)には、縦胴縁が固定用ハット形鋼とビスとにより固定された実施例を示す。
図2(b)には、縦胴縁がカバープレートと表面材とビスとにより固定された実施例を示す。
【
図3】
図1の縦胴縁及び固定用ハット形鋼の詳細断面図である。なお、
図3は、固定用ハット形鋼を介して縦胴縁を断熱パネルに固定する
図2(a)の場合の実施例を示す。
【
図4】
図1の緊結用ハット形鋼の詳細断面図である。
【
図5】横目地廻りの片刃付きアングル(または両刃付きC形鋼)による断熱パネルの締結方法を示す斜視図である。
【
図6】
図5の断熱パネルの上方凹部と下法凹部との間に差し込まれた断熱ブロックを示す詳細断面図である。
【
図7】片刃付きアングル及び両刃付きC形鋼による断熱パネルの締結方法を示す断面図である。
【
図8】横目地における片刃付きアングル及び両刃付きC形鋼の配置を示す説明図である。
【
図9】
図6の片刃付きアングル及び両刃付きC形鋼、凹型ワッシャ、及び皿ビスの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(冷凍施設の外壁システムの構成)
以下に、図面を用いて本発明に係る冷凍冷蔵施設の外壁システム1の縦目地廻り3aの構成について詳細に説明する。
図1に、本外壁システム1の縦目地廻り3aの一つの実施形態の概略構成を上方から見た斜視図で示す。また、
図2に
図1の縦目地廻り3aの概略構成を断面図及び分解図で示す。本外壁システム1では、冷凍冷蔵施設の外周を断熱パネル2により囲うことで断熱し、冷凍冷蔵施設の室温を所定の温度に保持する。断熱パネル2は、その表面及び裏面が表面材22で覆われて上下方向に積層される。この断熱パネル2は、複数の縦胴縁6により支持される。また、本実施例では、
図2(a)に示すように、縦胴縁6は、それぞれ固定用ハット形鋼8bにより断熱パネル2に固定される。この縦胴縁6はリップ溝形鋼であるが他の胴縁であっても良い。また、縦胴縁6のピッチは冷凍冷蔵施設の立地条件及び形状により、都度算出決定される。なお、
図2(a)には、縦胴縁6が固定用ハット形鋼8bとビス13により断熱パネル2に強固に固定された実施例を示す。
図2(b)には、縦胴縁6がカバープレート25と表面材22と、ビス13により固定された実施例を示す。
【0025】
(縦目地廻りの構成)
図2に示すように、本外壁システム1では、左右方向に隣接する断熱パネル2の縦目地3aの表面及び裏面にそれぞれ緊結用ハット形鋼8aが取付けられる。この緊結用ハット形鋼8a同士は、緊結用ボルト10aにより緊結され、断熱パネル2により形成される縦目地3aの隙間に縦目地間断熱材4bが充填される。この緊結用ハット形鋼8aは、L型の緊結用ハット形鋼フランジ部14a(以下、単にフランジ部14aとする。)がI型の緊結用ハット形鋼ウェブ部14b(以下、単にウェッブ部14bとする。)の両側に取り付く形状の断面を有している。そして、フランジ部14aのL型の形状にパッキン7aが挿入され、ビス13により断熱パネル2に固定される。このように、左右方向に隣接する断熱パネル2は、ウェブ部14bの幅により所定の間隔に設定される。ウェブ部14bの中央には、孔が設けられ、表面と裏面との緊結用ハット形鋼8aは、緊結用ボルト10aにより接続される。各断熱パネル2の端面は、パネル製作時にいわゆる「切り放し」面であり、表面材22等が芯材から「剥がれ」やすいという欠点を有している。そこで、断熱パネル2の両端部において緊結用ハット形鋼8aにより緊結することで、この「剥がれ」を阻止することができる。
【0026】
緊結用ハット形鋼8aは、雨水の浸入を防ぐシール材9や熱の伝達を防ぐパッキン7a等を介して断熱パネル2に接触する。
図1に、緊結用ハット形鋼8aの裏側に取り付けられたパッキング7aを示す。これにより、断熱性が向上するとともに防水性も向上する。例えば、
図2のシール材9は、屋外側から雨水及び結露水が緊結用ハット形鋼8aの裏を通って充填された縦胴縁間断熱材4aに浸水するのを回避するために設置される。緊結用ボルト10aは、ワッシャ11を介してナット10bに接続される。この緊結用ハット形鋼8aは、ボルト10a、ナット10b、及び、ワッシャ11により緊結される。この緊結により、断熱パネル2の端部、特にコーナ部が欠損しないように保護されて断熱性が高められる。緊結用ボルト10aのピッチは風及び地震の力に耐えられる範囲内の任意のピッチで良い。さらに、
図1及び
図2に示すように、断熱パネル2は、端部で隣接する縦胴縁6同士がビス止めされたカバープレート25により固定される。このカバープレート25により冷凍冷蔵施設内部に断熱材が露出することを防ぐことができる。本実施例では、
図2(a)に示すように、左右方向に隣接した断熱パネル2を固定する縦胴縁6同士により形成される間隙には、縦胴縁間断熱材4aが充填される。このように、隣接する断熱パネル2間には、
図1に示す縦胴縁間断熱材4a及び
図2に示す縦目地間断熱材4bの2種類の断熱材が形成され、断熱パネル2の目地部の断熱性能等が確保される。
【0027】
図3には、
図1の縦胴縁6及び固定用ハット形鋼8bの詳細断面図を示す。なお、
図3は、固定用ハット形鋼8bを介して縦胴縁6を断熱パネル2に固定する
図2(a)の場合の実施例を示す。
図3(a)には、縦胴縁6が固定用ハット形鋼8bとビス13により断熱パネル2に固定される詳細図を示す。ビス13は3面又は4面に設けられる。
図3(b)には、固定用ハット形鋼8b単体と、そのA-A断面図及びB-B断面図を示す。
図2に示すように、隣り合う縦胴縁6は1200mm程度のピッチで設けられて断熱パネル2を支持する。また、固定用ハット形鋼8bは高さ方向に450mm程度のピッチで断熱パネル2に固定される。そして、左右方向に隣接する断熱パネル2同士の間隙には縦目地間断熱材4bが充填され、断熱パネル2の断熱性能を補完する。なお、縦胴縁6及び固定用ハット形鋼8bのピッチは他のピッチであっても良い。
【0028】
図4に、
図1の緊結用ハット形鋼8aの詳細断面図を示す。
図4(a)は、緊結用ハット形鋼8aの断面図、及び、そのC-C側面図とD-D側面図を示す。この緊結用ハット形鋼8aは、C-C側面図の示すように、緊結用ハット型鋼ウェブ部14bの中央部に緊結用ボルト10aを貫通させる貫通孔15が設けられる。
【0029】
(片刃付きアングル及び両刃付きC形鋼の役割)
以下に、図面を用いて本発明に係る冷凍冷蔵施設の外壁システム1の横目地廻り3bの構成について詳細に説明する。
図5に、冷凍冷蔵施設の外壁システム1の横目地廻り3bの一つの実施形態の概略構成を斜視図で示す。なお、
図5~
図9に示す片刃付きアングル12a及び両刃付きC形鋼12b(
図9参照)は、2つの役割を持っている。すなわち、上下方向に隣接する断熱パネル2を接続する役割と、各断熱パネル2を縦胴縁6に固定する役割である。さらに、この片刃付きアングル12a及び両刃付きC形鋼12b(
図9参照)は、上下の断熱パネル2の間に嵌入された断熱ブロック23を断熱パネル2に固定する。
【0030】
図6に示すように、外壁システム1の上下方向に隣接する断熱パネル2同士は横目地3bを形成する。この横目地3bにおける防湿・防水性能、及び、断熱性能を確保するために断熱ブロック23が嵌入される。この断熱ブロック23は、断熱材からなる直方体のブロックであり、上下方向に隣接する断熱パネル2の
図6に示す上方凹部18a及び下方凹部18bの間隙に嵌入される。また、
図7(a)及び(b)に示すように、この断熱ブロック23は、防水シート(または防水シール)11を介して断熱パネル2に接続する。この防水シート(または防水シール)11により、上下方向に隣接する断熱パネル2同士の横目地3bにおいて、防湿・防水性能と共に断熱性能が確保される。なお、縦胴縁6は、固定用ハット形鋼8bにより断熱パネル2に接続されても良く、固定用ハット形鋼8bを用いずに直接断熱パネル2にビス13で接続されても良い。
【0031】
(横目地廻りの構成)
図7に、片刃付きアングル12a及び両刃付きC形鋼12bによる断熱パネル2の締結方法を断面図で示す。また、
図8に、
図7の横目地3bにおける片刃付きアングル12a及び両刃付きC形鋼12bの配置を示す。
図6に示すように、断熱パネル2には、断熱ブロック23が嵌入される大きさに調整された上方凹部18a及び下方凹部18bがそれぞれ設けられる。そして、この上方凹部18a及び下方凹部18bには断熱ブロック23が嵌入され、上下方向に隣接する断熱パネル2が施工される。すなわち、断熱ブロック23は、上方凹部18a及び下方凹部18bを接合する役割と、接合の際の位置出しをする役割を担っている。これらの上方凹部18a及び下方凹部18bと断熱ブロック23のクリアランスが断熱パネル2の施工の際の精度に関係する。
【0032】
図7に示すように、片刃付きアングル12a又は両刃付きC形鋼12bには、一つのフランジ部14aからなる「L字」型をした片刃付きアングル12aと、二つのフランジ部14aからなり逆向きの「コの字」型をした両刃付きC形鋼12bとがある。そして、
図7に示すように、片刃付きアングル12aは断熱パネル2を縦胴縁6に固定する。ここで、片刃付きアングル12aは、その鋸型の刃型により、断熱パネル2を縦胴縁6に止める際に、より強固に緊結することができる。この片刃付きアングル12aは、留め付け強度が確保できればワッシャ11でも良い。
【0033】
一方、両刃付きC形鋼12bは、縦胴縁6が設けられない中間点において、ビス13bを打つための下地材として設けられる。この両刃付きC形鋼12bは、片刃付きアングル12aであっても良い。この片刃付きアングル12a又は両刃付きC形鋼12bは、上下方向に隣接する断熱パネル2同士を締結する。
【0034】
図7に、片刃付きアングル12a及び両刃付きC形鋼12bによる縦胴縁6への断熱パネル2の締結方法及び断熱パネル同士の締結方法を断面図で示す。
図7(a)は、片刃付きアングル12aを用い、凹型ワッシャ27を介し、皿ビス13aにより断熱パネル2を縦胴縁6に固定する場合に用いられる。この片刃付きアングル12aは、ワッシャであっても良い。一方、
図7(b)は、両刃付きC形鋼12bを用い、ビス13bにより断熱パネル2同士を緊結する場合に用いられる。この両刃付きC形鋼12bは、片刃付きアングル12aであっても良い。
【0035】
図8に、片刃付きアングル12a及び両刃付きC形鋼12bによる断熱ブロック23の締結方法を正面図で示す。そして、横目地廻り3bにおける片刃付きアングル12a又は両刃付きC形鋼12bと、縦胴縁6との関係を説明図で示す。両刃付きC形鋼12bは、縦胴縁6同士の間隔内の任意の位置に設けられ、片刃付きアングル12aは、縦胴縁6のピッチに設けられる。両刃付きC形鋼12bは、上下方向に隣接する断熱パネル2同士を接続する。一方、片刃付きアングル12aは、断熱パネル2を縦胴縁6に固定する。
【0036】
図9に、
図7(a)の片刃付きアングル(またはC形鋼)12、
図7(b)の両刃付きC形鋼12b、凹型ワッシャ27及び皿ビス13aの詳細図を示す。
図9(a)は、片刃付きアングル(またはC形鋼)12の平面図、及び、そのA-A断面図、B-B断面図である。
図9(b)は、両刃付きC形鋼12bの平面図、及び、そのC-C断面図、D-D断面図である。片刃付きアングル(またはC形鋼)12は、鋸状の歯型である鋸状係止部17を備え、その歯形が断熱パネル2に強固に食い込む。片刃付きアングル(またはC形鋼)12は、歯形が両側に取り付く両刃付きC形鋼12bと、歯形が片側に取り付く片刃付きアングル12aとがある。
図9(c)は、凹型ワッシャ27、両刃付きC形鋼12b、及び、皿ビス13aである。
図9(d)は、凹型ワッシャ27の平面図、及びE-E断面図である。凹型ワッシャ27は、皿ビス13aにより断熱パネル2を縦胴縁6に留め付ける際に使われる。
【0037】
以上の実施形態で説明された冷凍冷蔵施設の外壁システム1の構成、形状、大きさ、及び配置関係については、本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 (冷凍冷蔵施設の)外壁システム、2 断熱パネル、3a 縦目地(又は縦目地廻り),3b 横目地(又は横目地廻り)、4a 縦胴縁間断熱材,4b 縦目地間断熱材、6 縦胴縁、7a パッキン、8a 緊結用ハット形鋼,8b 固定用ハット形鋼、9 シール材、10a 緊結用ボルト,10b ナット、11 ワッシャ、12 片刃付きアングル(またはC形鋼)、12a 片刃付きアングル(又はワッシャ)、12b 両刃付きC形鋼(又は片刃付きアングル)、13 ビス(短尺)、13a 皿ビス,13b ビス(長尺)、14a 緊結用ハット形鋼フランジ部,14b 緊結用ハット形鋼ウェブ部、15 貫通孔、17 鋸状係止部、18a 上方凹部,18b 下方凹部、19 傾斜部、20 防水シート(または防水シール)、22 表面材、23 断熱ブロック、25 カバープレート、26 パネル目地、27 凹型ワッシャ、28 プレートワッシャ、29 目地シール。