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特開2022-147968配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器
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  • 特開-配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器 図1
  • 特開-配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器 図2
  • 特開-配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器 図3
  • 特開-配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147968
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H02J13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049462
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 崇志
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC03
5G064AC06
5G064AC09
5G064CA02
5G064CA08
5G064CB02
5G064DA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通信線が通信不良または通信不能となった場合に、配電サーバと自動開閉器との間の通信をバックアップすることができる配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器を提供する。
【解決手段】配電自動化システム5において、配電サーバ51と、複数の遠方監視制御用故障区間自動検出装置DM1~3と、共用型自動開閉器AS11~33と、配電サーバ51とDM1~3及びAS11~33を通信可能に接続する通信線53と、を備える。配電サーバ51により通信線53を介してDM1~3及びAS11~33を監視・制御する際に、スマートメータの通信網4に接続されている通信バックアップ装置54は、通信線53が通信不良となった場合に、配電サーバ51とDM1~3及びAS11~33の間の通信を、DM1~3、AS11~33と、スマートメータの通信網4と、を利用して行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電サーバと、高圧配電線に設置されている複数の開閉器と、前記配電サーバと前記開閉器とを通信可能に接続する通信線とを備え、前記配電サーバにより前記通信線を介して前記開閉器を監視・制御する配電自動システムであって、
前記開閉器は、前記高圧配電線から分岐された低圧配電線に接続されているスマートメータの通信網を利用して通信を行う通信部を備えており、
前記通信線が通信不良となった場合に、前記配電サーバと前記開閉器との間の通信を、前記開閉器の通信部と、前記スマートメータの通信網とを利用して行う通信バックアップ装置を備えることを特徴とする配電自動化システム。
【請求項2】
前記開閉器は、前記高圧配電線に接続されている変電所に電源が投入されてから、電力が到達するまでの電力到達時間を計測する計測部を備えており、
前記配電サーバは、前記高圧配電線の停電区間にある前記開閉器に電力が到達して、前記変電所の遮断器が開放されるまでの遮断時間を計測し、前記遮断時間と、前記電力到達時間とに基づいて、停電区間を特定することを特徴とする請求項1に記載の配電自動化システム。
【請求項3】
配電サーバと、高圧配電線に設置されている複数の開閉器と、前記配電サーバと前記開閉器とを通信可能に接続する通信線とを備え、前記配電サーバにより前記通信線を介して前記開閉器を監視・制御する配電自動システムの通信制御方法であって、
前記開閉器は、前記高圧配電線から分岐された低圧配電線に接続されているスマートメータの通信網を利用して通信を行う通信部を備えており、
前記スマートメータの通信網に接続されている通信バックアップ装置は、前記通信線が通信不良となった場合に、前記配電サーバと前記開閉器との間の通信を、前記開閉器の通信部と、前記スマートメータの通信網とを利用して行うことを特徴とする配電自動化システムの通信制御方法。
【請求項4】
高圧配電線に設置され、通信線を介して配電サーバと通信可能に接続されている開閉器であって、
前記開閉器は、前記高圧配電線から分岐された低圧配電線に接続されているスマートメータの通信網を利用して通信を行う通信部を備えており、
前記通信線が通信不良となった場合に、前記配電サーバと前記開閉器との間の通信を、前記開閉器の通信部と、前記スマートメータの通信網とを利用して行うことを特徴とする開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法、および配電自動化システムで用いられる開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所で発電された電気は、高圧配電線、配電線設備、地中化設備、低圧配電線などの電気設備が設置された配電系統を経由して需要家宅へ供給されている。また、電力会社では、配電自動化システムを利用して、停電時の事故点の検出、停電区間への送電の停止、健全区間への送電の再開などの効率化を図っている。配電自動化システムは、電力会社の営業所などに設置された配電サーバおよび通信装置と、高圧配電線に設置された複数の自動開閉器(遠方監視制御用故障区間自動検出装置、共用型自動開閉器など)と、通信装置と各自動開閉器とを通信可能に接続する通信線とを備えている。配電サーバは、通信装置および通信線を介して各自動開閉器と通信を行うことにより、自動開閉器の監視・制御を行い、事故点に応じて自動開閉器を開閉することによって、配電制御を行っている。
【0003】
ところで、需要家宅の電力使用量を計測する電力量計として、通信機能を備えたスマートメータが普及している。このスマートメータは、通信事業者が提供している通信回線や、スマートメータ間で相互に無線通信を行ってデータを送受信する無線マルチホップ方式などを利用して、電力会社と通信を行う。また、スマートメータと、このスマートメータの通信網とを利用して、事故点の検出を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-150647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の配電自動化システムでは、通信線を利用して配電サーバと自動開閉器との間の通信を行っているが、自然災害や経年劣化などにより通信線が断線などした場合には、配電サーバと自動開閉器との間の通信が行えなくなるという問題がある。また、特許文献1に記載の発明では、スマートメータの通信網を利用して事故点の検出を行うことはできるが、配電サーバと自動開閉器との間の通信を行うことはできない。
【0006】
そこで、この発明は、通信線が通信不良または通信不能となった場合に、配電サーバと自動開閉器との間の通信をバックアップすることができる配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、配電サーバと、高圧配電線に設置されている複数の開閉器と、前記配電サーバと前記開閉器とを通信可能に接続する通信線とを備え、前記配電サーバにより前記通信線を介して前記開閉器を監視・制御する配電自動システムであって、前記開閉器は、前記高圧配電線から分岐された低圧配電線に接続されているスマートメータの通信網を利用して通信を行う通信部を備えており、前記通信線が通信不良となった場合に、前記配電サーバと前記開閉器との間の通信を、前記開閉器の通信部と、前記スマートメータの通信網とを利用して行う通信バックアップ装置を備えることを特徴とする配電自動化システムである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の配電自動化システムにおいて、前記開閉器は、前記高圧配電線に接続されている変電所に電源が投入されてから、電力が到達するまでの電力到達時間を計測する計測部を備えており、前記配電サーバは、前記高圧配電線の停電区間にある前記開閉器に電力が到達して、前記変電所の遮断器が開放されるまでの遮断時間を計測し、前記遮断時間と、前記電力到達時間とに基づいて、停電区間を特定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、配電サーバと、高圧配電線に設置されている複数の開閉器と、前記配電サーバと前記開閉器とを通信可能に接続する通信線とを備え、前記配電サーバにより前記通信線を介して前記開閉器を監視・制御する配電自動システムの通信制御方法であって、前記開閉器は、前記高圧配電線から分岐された低圧配電線に接続されているスマートメータの通信網を利用して通信を行う通信部を備えており、前記スマートメータの通信網に接続されている通信バックアップ装置は、前記通信線が通信不良となった場合に、前記配電サーバと前記開閉器との間の通信を、前記開閉器の通信部と、前記スマートメータの通信網とを利用して行うことを特徴とする配電自動化システムの通信制御方法である。
【0010】
請求項4の発明は、高圧配電線に設置され、通信線を介して配電サーバと通信可能に接続されている開閉器であって、前記開閉器は、前記高圧配電線から分岐された低圧配電線に接続されているスマートメータの通信網を利用して通信を行う通信部を備えており、
前記通信線が通信不良となった場合に、前記配電サーバと前記開閉器との間の通信を、前記開閉器の通信部と、前記スマートメータの通信網とを利用して行うことを特徴とする開閉器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項3および請求項4の発明によれば、開閉器や通信線などの通信状況を監視し、通信不良が発生した場合に通信ルートのバックアップを行うことが可能となる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、開閉器の間にある停電区間の特定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態に係る配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器を適用した配電系統の概略構成図である。
図2図1に示す配電自動化システムの各開閉器の構成を含む概略構成図である。
図3図2に示す配電自動化システムで通信不良が発生している状態を示す概略構成図である。
図4図3に示す配電自動化システムでSM通信網を利用して通信のバックアップを行っている状態を示す概略構成図である。
図5】停電区間を特定するために遮断器が閉じられて各開閉器に電源が投入される順序と、各開閉器に電力が到達するまでの電力到達時間と、各開閉器の電源投入からの積算値とを示す説明図である。
図6図5に示す配電系統において、停電が発生している状態を示す説明図である。
図7】配電自動化システムにおいて、通信バックアップを行う手順を示すフローチャートである。
図8】配電自動化システムにおいて、電源投入時間を利用して停電区間を特定する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態に係る配電自動化システム、配電自動化システムの通信制御方法および開閉器を適用した配電系統PSの概略構成図である。配電系統PSは、変電所SSと、変電所SSに接続された高圧配電線HLとを備えている。変電所SSには、配電系統PSで事故が発生した場合に、高圧配電線HLへの電力の供給を遮断する遮断器CBが設置されている。高圧配電線HLには、第1の遠方監視制御用故障区間自動検出装置(以下、遠方監視制御用故障区間自動検出装置をDMともいう)1と、第2のDM2および第3のDM3とが設置されている。遠方監視制御用故障区間自動検出装置は、高圧配電線HLを区画する自動開閉器であり、故障区間の自動検出機能を備えている。遠方監視制御用故障区間自動検出装置は、本発明の開閉器の一例に相当する。
【0016】
第1のDM1と第2のDM2との間の高圧配電線HLには、第1の共用型自動開閉器(以下、共用型自動開閉器をASともいう)11と、第2のAS12と、第3のAS13とが設置されている。共用型自動開閉器は、遠方監視制御用故障区間自動検出装置により区画された高圧配電線HLをさらに区分する自動開閉器である。共用型自動開閉器は、本発明の開閉器の一例に相当する。
【0017】
第1のDM1と、第1のDM1の区間内に設置されている第1のAS11と、第2のAS12と、第3のAS13と、第2のDM2との間の高圧配電線HLには、それぞれ変圧器(以下、変圧器をTrともいう)T11、T12、T13、T14が設置されている。各変圧器T11~T14には、それぞれ低圧配電線LLを介してスマートメータ(以下、スマートメータをSMともいう)M11、M12、M13、M14が接続されている。
【0018】
第2のDM2と第3のDM3との間の高圧配電線HLには、第1のDM1と第2のDM2との間と同様に、第1のAS21と、第2のAS22と、第3のAS23とが設置されている。また、第2のDM2と、第1のAS21と、第2のAS22と、第3のAS23と、第3のDM3との間の高圧配電線HLには、それぞれ変圧器T21、T22、T23、T24が設置されている。各変圧器T21~T24には、それぞれ低圧配電線LLを介してスマートメータM21、M22、M23、M24が接続されている。
【0019】
第3のDM3に接続されている高圧配電線HLには、第1のDM1と第2のDM2との間と同様に、第1のAS31と、第2のAS32と、第3のAS33とが設置されている。また、第3のDM3と、第1のAS31と、第2のAS32と、第3のAS33との間と、第3のAS33の下流側には、それぞれ変圧器T31、T32、T33、T34が設置されている。各変圧器T31~T34には、それぞれ低圧配電線LLを介してスマートメータM31、M32、M33、M34が接続されている。
【0020】
スマートメータM11~M14、スマートメータM21~M24およびスマートメータM31~M34は、電力使用量を計測して電力会社へ送信する電力量計であり、電力会社と電力供給の契約が行われている需要家宅に設置されている。スマートメータM11~M14、スマートメータM21~M24およびスマートメータM31~M34は、通信事業者が提供している通信回線や、スマートメータ間で相互に無線通信を行ってデータを送受信する無線マルチホップ方式などのスマートメータ通信網(以下、SM通信網ともいう)4を利用して、電力会社と通信を行う。SM通信網4は、2点鎖線によって図示されている。なお、配電系統PSに設置されるDM、AS、変圧器およびスマートメータは、図1に図示されている設置数に限定されるものではない。
【0021】
配電系統PSには、停電などの事故発生時に各開閉器(DM、ASなど)を開閉して配電区間を制御する配電自動化システム5が設置されている。配電自動化システム5は、電力会社の営業所などに設置されている配電サーバ51および通信装置52と、通信装置52に接続されている通信線53と、配電サーバ51と同様に営業所などに設置されている
通信バックアップ装置54および通信装置55とを備えている。通信バックアップ装置54は、通信装置55を介してSM通信網4に接続されている。
【0022】
通信線53は、例えば、光ファイバなどを用いた通信ケーブルである。通信線53は、第1のDM1と、第1のAS11、第2のAS12および第3のAS13と、第2のDM2と、第1のAS21、第2のAS22および第3のAS23と、第3のDM3と、第1のAS31、第2のAS32および第3のAS33とに通信可能に接続されている。配電サーバ51は、通信装置52および通信線53を介して第1のDM1などと通信を行い、第1のDM1などの監視・制御を行う。なお、通信線53は、1点鎖線によって図示されている。
【0023】
第1のDM1と、第1のAS11、第2のAS12および第3のAS13と、第2のDM2と、第1のAS21、第2のAS22および第3のAS23と、第3のDM3と、第1のAS31、第2のAS32および第3のAS33は、通信線53を介して配電サーバ51と通信を行う機能の他に、SM通信網4を介して通信を行う機能を備えている。第1のDM1などが備えるSM通信網4を介した通信機能は、通信線53による通信のバックアップを行うために設けられている。
【0024】
図2に示すように、第1のDM1と、第1のAS11、第2のAS12および第3のAS13と、第2のDM2と、第1のAS21、第2のAS22および第3のAS23と、第3のDM3と、第1のAS31、第2のAS32および第3のAS33は、通信線53を介して配電サーバ51と通信を行う通信部1a、通信部11a、通信部12a、通信部13a、通信部2a、通信部21a、通信部22a、通信部23a、通信部3a、通信部31a、通信部32a、通信部33aをそれぞれ備えている。また、通信部1a、通信部11a、通信部12a、通信部13a、通信部2a、通信部21a、通信部22a、通信部23a、通信部3a、通信部31a、通信部32a、通信部33aは、通信線53に断線などが発生した場合に、SM通信網4を介して通信を行うために、通信線53を介して送受信された通信信号を変換する変換部1b、変換部11b、変換部12b、変換部13b、変換部2b、変換部21b、変換部22b、変換部23b、変換部3b、変換部31b、変換部32b、変換部33bをそれぞれ備えている。
【0025】
通信バックアップ装置54は、配電サーバ51と通信可能となるように接続されている。配電サーバ51は、第1のDM1と、第1のAS11、第2のAS12および第3のAS13と、第2のDM2と、第1のAS21、第2のAS22および第3のAS23と、第3のDM3と、第1のAS31、第2のAS32および第3のAS33の通信状況を監視する。配電サーバ51は、通信線53による通信に通信不良が発生した場合に、通信バックアップ装置54へ通信が通信不良区間を含む通信不良通知を送信する。通信バックアップ装置54は、配電サーバ51から通信不良通知を受信すると、通信不良通知に含まれる通信不良区間の通信部の変換部を動作させる。これにより、通信線53を介して送受信されていた通信信号は、変換部により信号形式が変換されてSM通信網4を介して通信される。
【0026】
例えば、図3に示すように、第1のDM1の区間に設置されている第2のAS12と第3のAS13との間で通信線53が断線などして通信不良が発生した場合、配電サーバ51は、その通信不良区間を含む通信不良通知を通信バックアップ装置54へ送信する。通信バックアップ装置54は、図4に示すように、第2のAS12の変換部12bと、第3のAS13の変換部13bとを動作させ、通信線53を介して送受信されていた通信信号の信号形式を変換し、SM通信網4により通信をバックアップする。
【0027】
図2および図5に示すように、第1のDM1と、第1のAS11、第2のAS12およ
び第3のAS13と、第2のDM2と、第1のAS21、第2のAS22および第3のAS23と、第3のDM3と、第1のAS31、第2のAS32および第3のAS33は、計測部1cと、計測部11c、計測部12cおよび計測部13cと、計測部2cと、計測部21c、計測部22cおよび計測部23cと、計測部3cと、計測部31c、計測部32cおよび計測部33cとを備えている。計測部1c~33cは、配電系統PSの停電時に高圧配電線HLの停電区間を特定するために、変電所SSの遮断器CBが閉じられて電源が投入されてから、各開閉器に電力が到達するまでの電力到達時間を計測する。計測された電力到達時間は、配電サーバ51に送信される。
【0028】
図5は、配電系統PSの停電時に高圧配電線HLの停電区間を特定するために、変電所SSの遮断器CBが閉じられて各開閉器に電源が投入される順序と、各開閉器に電力が到達するまでの電力到達時間(区間タイムおよび累積タイム)と、各開閉器の電源投入からの積算値とを示している。配電サーバ51は、配電系統PSの停電時に高圧配電線HLの停電区間を特定するために、変電所SSの遮断器CBが閉じて各開閉器に電源を投入し、停電区間にある開閉器に電力が到達して、遮断器CBが開放されるまでの遮断時間を計測し、その遮断時間と、電力到達時間とに基づいて、停電区間を特定する。
【0029】
例えば、図6に示すように、第2のDM2と、この第2のDM2の区間内の第1のAS21との間で高圧配電線HLに事故が発生した場合、遮断器CBは第2のDM2に電力が到達した時点で遮断される。この場合、遮断時間は、第2のDM2に電力が到達する電力到達時間(108.45秒)と同じになるので、配電サーバ51は、第2のDM2の下流側で高圧配電線HLに事故が発生していると判定することができる。
【0030】
次に上記実施の形態の作用について説明する。配電サーバ51は、通信装置52および通信線53を介して第1のDM1と、第1のAS11、第2のAS12および第3のAS13と、第2のDM2と、第1のAS21、第2のAS22および第3のAS23と、第3のDM3と、第1のAS31、第2のAS32および第3のAS33などと通信を行い、これらの開閉器の監視・制御を行う。
【0031】
図7のフローチャートに示すように、配電サーバ51は、通信線53に断線などによる通信不良が発生すると(ステップS1)、通信不良区間を含む通信不良通知を通信バックアップ装置54に送信する(ステップS2)。通信バックアップ装置54は、通信不良通知を受信すると、通信不良通知に含まれる通信不良区間の開閉器の変換部を動作させ、通信線53を介して送受信されていた通信信号の信号形式を変換する(ステップS3)。通信バックアップ装置54は、SM通信網4を介して変換された通信信号の通信を行う(ステップS4)。
【0032】
これにより、遠方監視制御用故障区間自動検出装置(DM)や、共用型自動開閉器(AS)、通信線53などの通信状況を監視し、通信不良が発生した場合に通信ルートのバックアップを行うことが可能となる。
【0033】
また、図8のフローチャートに示すように、配電系統SPで停電が発生し(ステップS21)、停電区間を特定するために、変電所SSの遮断器CBが閉じられて電源が再投入された場合には(ステップS22)、各開閉器に設けられている計測部1cと、計測部11c、計測部12cおよび計測部13cと、計測部2cと、計測部21c、計測部22cおよび計測部23cと、計測部3cと、計測部31c、計測部32cおよび計測部33cによって、各開閉器に電力が到達するまでの電力到達時間を計測する(ステップS23)。また、配電サーバ51は、電源が再投入されてから、停電区間にある開閉器に電力が到達して、遮断器CBが開放されるまでの遮断時間を計測し、その遮断時間と、電力到達時間とに基づいて、停電区間を特定する(ステップS24)。
【0034】
これにより、遠方監視制御用故障区間自動検出装置(DM)と、共用型自動開閉器(AS)との間にある停電区間の特定が可能となる。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、配電サーバ51の制御によって自動的に通信のバックアップや停電区間の特定などを行うように説明したが、例えば、操作権限を有する操作オペレータが、配電サーバ51に接続されている操作端末などを操作して通信のバックアップや停電区間の特定などを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 第1の遠方監視制御用故障区間自動検出装置
11 第1の共用型自動開閉器
12 第2の共用型自動開閉器
13 第3の共用型自動開閉器
M11~M14 スマートメータ
2 第2の遠方監視制御用故障区間自動検出装置
21 第1の共用型自動開閉器
22 第2の共用型自動開閉器
23 第3の共用型自動開閉器
M21~M24 スマートメータ
3 第2の遠方監視制御用故障区間自動検出装置
31 第1の共用型自動開閉器
32 第2の共用型自動開閉器
33 第3の共用型自動開閉器
M31~M34 スマートメータ
4 スマートメータ通信網
5 配電自動化システム
51 配電サーバ
52 通信装置
53 通信線
54 通信バックアップ装置
55 通信装置
SS 変電所
CB 遮断機
TH 高圧配電線
LL 低圧配電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8