(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147971
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】粘着テープの貼付方法および貼付装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20220929BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20220929BHJP
B65H 41/00 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
B65H37/04 B
B25J13/00 Z
B65H41/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049465
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】518153346
【氏名又は名称】株式会社ウエーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】白子 善久
(72)【発明者】
【氏名】白子 なおみ
【テーマコード(参考)】
3C707
3F108
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707BS10
3C707ES19
3C707EV13
3C707EV23
3C707FS06
3C707MT01
3C707MT04
3C707MT09
3C707NS10
3F108GA09
3F108HA14
3F108JA02
(57)【要約】
【課題】 粘着テープを被着面から確実に剥離して、他の被着面に容易に貼り付けることができる粘着テープの貼付装置を提供する。
【解決手段】 多関節ロボットと、多関節ロボットのアーム先端に設けられた粘着テープ保持部30と、押圧部材41を有し前記アーム先端に設けられた粘着テープ押圧部40とを備え、粘着テープ保持部30により、第1の被着面に貼り付けられた粘着テープの一端側を保持して、第1の被着面から粘着テープを剥離し、軸体の外周面からなる第2の被着面に粘着テープの一端側を押し付けた後、押圧部材41を粘着テープの一端側から他端側に向けて軸体の軸周りに移動させることにより、粘着テープを第2の被着面に貼り付ける粘着テープの貼付装置1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットのアーム先端に設けられた粘着テープ保持部により、第1の被着面に貼り付けられた粘着テープの一端側を保持して、前記第1の被着面から前記粘着テープを剥離する剥離工程と、
軸体の外周面からなる第2の被着面に前記粘着テープの一端側を押し付けた後、前記アーム先端に設けられた粘着テープ押圧部が備える押圧部材を、前記粘着テープの一端側から他端側に向けて前記軸体の軸周りに移動させることにより、前記粘着テープを前記第2の被着面に貼り付ける貼付工程とを備える粘着テープの貼付方法。
【請求項2】
前記粘着テープ押圧部は、前記押圧部材を支持する支持部材と、前記支持部材が取り付けられた回転体と、前記回転体の回転軸を回転駆動する駆動部とを備え、
前記支持部材は、前記回転軸の径方向に移動可能となるように前記回転体に支持されており、前記回転軸に向けて付勢される請求項1に記載の粘着テープの貼付方法。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記支持部材に回転自在に支持されて前記粘着テープを外周面で押圧する押圧ローラである請求項1または2に記載の粘着テープの貼付方法。
【請求項4】
前記押圧ローラは、磁性を有するマグネットローラである請求項3に記載の粘着テープの貼付方法。
【請求項5】
多関節ロボットと、
前記多関節ロボットのアーム先端に設けられた粘着テープ保持部と、
押圧部材を有し前記アーム先端に設けられた粘着テープ押圧部とを備え、
前記粘着テープ保持部により、第1の被着面に貼り付けられた粘着テープの一端側を保持して、前記第1の被着面から前記粘着テープを剥離し、軸体の外周面からなる第2の被着面に前記粘着テープの一端側を押し付けた後、前記押圧部材を前記粘着テープの一端側から他端側に向けて前記軸体の軸周りに移動させることにより、前記粘着テープを前記第2の被着面に貼り付ける粘着テープの貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープの貼付方法および貼付装置し、より詳しくは、粘着テープを被着面から剥離して、軸体の外周面からなる他の被着面に貼り付けることができる粘着テープの貼付方法および貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープを台紙等の被着面から剥離して、製品等の他の被着面に貼り付ける装置として、例えば特許文献1に開示された構成が知られている。この装置は、台紙に貼り付けられたゴムシートを、ロボットハンドが備える把持爪により把持して持ち上げることにより台紙から剥離した後、電子機器の筐体底面に貼り付けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の装置は、粘着テープを平面状の被着面に貼り付けることができる一方、シャフト等の軸体の外周面に対しては、湾曲状または屈曲状の被着面に沿って粘着テープの全体を確実に貼り付けることが困難になるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、軸体の外周面に粘着テープを容易且つ確実に貼り付けることができる粘着テープの貼付方法および貼付装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、多関節ロボットのアーム先端に設けられた粘着テープ保持部により、第1の被着面に貼り付けられた粘着テープの一端側を保持して、前記第1の被着面から前記粘着テープを剥離する剥離工程と、軸体の外周面からなる第2の被着面に前記粘着テープの一端側を押し付けた後、前記アーム先端に設けられた粘着テープ押圧部が備える押圧部材を、前記粘着テープの一端側から他端側に向けて前記軸体の軸周りに移動させることにより、前記粘着テープを前記第2の被着面に貼り付ける貼付工程とを備える粘着テープの貼付方法により達成される。
【0007】
この粘着テープの貼付方法において、前記粘着テープ押圧部は、前記押圧部材を支持する支持部材と、前記支持部材が取り付けられた回転体と、前記回転体の回転軸を回転駆動する駆動部とを備えることが好ましく、前記支持部材は、前記回転軸の径方向に移動可能となるように前記回転体に支持されており、前記回転軸に向けて付勢されることが好ましい。
【0008】
前記押圧部材は、前記支持部材に回転自在に支持されて前記粘着テープを外周面で押圧する押圧ローラであることが好ましい。前記押圧ローラは、磁性を有するマグネットローラにすることができる。
【0009】
また、本発明の前記目的は、多関節ロボットと、前記多関節ロボットのアーム先端に設けられた粘着テープ保持部と、押圧部材を有し前記アーム先端に設けられた粘着テープ押圧部とを備え、前記粘着テープ保持部により、第1の被着面に貼り付けられた粘着テープの一端側を保持して、前記第1の被着面から前記粘着テープを剥離し、軸体の外周面からなる第2の被着面に前記粘着テープの一端側を押し付けた後、前記押圧部材を前記粘着テープの一端側から他端側に向けて前記軸体の軸周りに移動させることにより、前記粘着テープを前記第2の被着面に貼り付ける粘着テープの貼付装置により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸体の外周面に粘着テープを容易且つ確実に貼り付けることができる粘着テープの貼付方法および貼付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粘着テープの貼付装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す粘着テープの貼付装置に使用されるアタッチメントの正面図である。
【
図4】粘着テープの剥離工程を説明するための平面図である。
【
図5】粘着テープの貼付工程を説明するための正面図である。
【
図6】粘着テープの貼付工程を説明するための要部拡大図である。
【
図7】粘着テープの貼付工程を説明するための要部平面図である。
【
図8】粘着テープの剥離工程の変形例を説明するための側面図である。
【
図9】粘着テープの剥離工程の変形例を説明するための正面図である。
【
図10】粘着テープの剥離工程の変形例を説明するための斜視図である。
【
図11】粘着テープを軸体に貼り付けた状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、 本発明の一実施形態に係る粘着テープの貼付装置(以下、単に「貼付装置」という)の概略構成を示す正面図である。
図1に示す貼付装置1は、多関節ロボット10にアタッチメント20が装着されて構成され、第1の載置台110に載置された粘着テープ101を剥離紙から剥離して、第2の載置台120に載置された基台121が支持する軸体122に向けて搬送し、軸体122の外周面に貼り付けることができる。なお、
図1においては、アタッチメント20の具体的な構成を示さずに、装着位置を破線で示している。
【0013】
多関節ロボット10は、複数のアーム11が関節を介して回動自在に連結された多軸(例えば4軸から7軸)構造を有しており、アーム11の先端の回転機構部12に、アタッチメント20が着脱可能に装着される。多関節ロボット10およびアタッチメント20の作動は、不図示のコントローラにより制御される。
【0014】
図2は、アタッチメント20の正面図である。
図2に示すように、アタッチメント20は、
図1に示すアーム11の回転機構部12に装着される装着孔21aが形成された取付板21を備えており、回転機構部の回動軸r周りに回動可能となるように、アーム11の先端にボルトで締結固定される。このアタッチメント20は、取付板21に対して回転軸rを挟んだ両側に固定された保持用ブラケット22および押圧用ブラケット23と、保持用ブラケット22および押圧用ブラケット23にそれぞれ支持された粘着テープ保持部30および粘着テープ押圧部40とを備えている。
【0015】
粘着テープ保持部30は、保持用ブラケット22の先端部に固定される基台部31と、基台部31に取り付けられた複数(本実施形態では3つ)の支持針32とを備えている。各支持針32は、先鋭な先端側が同じ長さで突出するように互いに平行に配置されており、粘着テープの側面に突き刺すことができる。
【0016】
粘着テープ押圧部40は、押圧ローラからなる押圧部材41と、押圧部材41が回動自在となるように軸受(図示せず)を介して支持する軸状の支持部材42と、支持部材42が取り付けられた回転体43と、回転体43を回転駆動するギヤ付きのサーボモータ等からなる駆動部47とを備えており、駆動部47が押圧用ブラケット23に固定されている。
【0017】
回転体43は、駆動部47に連結された回転軸45を備えており、回転軸45の側壁から径方向に延びる筒状の取付部45aに、支持部材42の側壁から径方向に延びる挿入部42aが挿入されることにより、支持部材42が回転軸45に対して径方向に移動可能に支持されている。支持部材42と回転軸45との間には、コイルばね等からなる付勢部材48が介在されている。付勢部材48は、支持部材42を回転軸45に向けて付勢しており、
図2に示す状態では、支持部材42が取付部45aの端面に当接している。回転軸45の下端には、回転軸45の径方向に延びる帯状のガイド板46が固定されており、ガイド板46に形成された挿通孔46aに、支持部材42が挿通されている。挿通孔46aは、ガイド板46の長手方向に延びる長孔状に形成されており、支持部材42が挿通孔46aの縁部と摺動しながら移動可能とされている。
【0018】
次に、上記の構成を備える貼付装置1により粘着テープの貼付作業を行う方法を説明する。まず、多関節ロボット10のアーム11の作動により、第1の被着面に貼り付けられた粘着テープの近傍に粘着テープ保持部30を移動させた後、アーム11を更に作動させて、粘着テープ保持部30により第1の被着面から粘着テープを剥離する剥離工程を行う。
【0019】
図3は、上記の剥離工程において使用される粘着テープの一例を示す斜視図である。粘着テープ101は、平面視矩形状に形成されており、複数が一方向に帯状に連接されて、下面側の粘着面が台紙等からなる第1の被着面100により覆われている。第1の被着面100は、例えば、
図1に示す第1の載置台110の上面に固定することができる。
【0020】
粘着テープ101の材質は、粘着テープ保持部30の支持針32により突き刺し可能な軟質テープであることが好ましく、スポンジテープ、フェルトテープ、アクリルテープ、ウレタンテープ等を例示することができる。本実施形態の粘着テープ101は、予め切断されたものを一方向に複数配置しているが、アタッチメント20に切断機構を別途設けて、この切断機構により帯状の粘着テープを切断して複数に分割した後に、剥離工程を開始してもよい。
【0021】
粘着テープ101の形状や大きさは特に限定されないが、
図4に示す連接方向の長さLが幅Wよりも長い場合に、本発明の貼付方法が特に有効である。本実施形態においては、粘着テープ101の幅Wが20~30mmであることを想定して、支持針32を3本備えているが、粘着テープ101の幅Wの大きさや、支持針32の数に制限はなく、粘着テープ101を確実に保持できるようにそれぞれ設定することが好ましい。
【0022】
剥離工程においては、まず
図4(a)に平面図で示すように、連接方向Bの一方端に配置された粘着テープ101の端部側の側面102に、粘着テープ保持部30の複数の支持針32を対向させる。この後、粘着テープ保持部30を連接方向Bに移動させることにより、
図4(b)に示すように、複数の支持針32を粘着テープ101の側面102に突き刺す。支持針32を粘着テープ101に突き刺す際には、水平に配置された粘着テープ101に対して、粘着テープ保持部30を水平よりもやや下方に向けて移動させることが好ましい。これにより、粘着テープ保持部30に対して各支持針32を若干傾斜方向に突き刺すことができるので、粘着テープ101を容易且つ確実に保持することができる。この後、粘着テープ保持部30を上昇させて粘着テープ101を持ち上げ、
図1に示す第2の載置台120に向けて移動させ、粘着テープ101を軸体122の外周面に貼り付ける貼付工程を行う。
【0023】
図5に正面図で示すように、貼付工程は、軸体122の外周面からなる第2の被着面122aに対して行われる。軸体122は、例えば、金属や樹脂等からなるシャフトやスリーブ等の軸状の部材である。軸体122の断面形状は特に限定されず、円形状や楕円形状の他、矩形状等の多角形状であってもよく、軸周りに沿って湾曲または屈曲する種々の形状の軸体122に対して、粘着テープ101を貼り付けることができる。
【0024】
軸体122は、第1の載置台120に載置された基台121に起立状態で固定されている。基台121に対する軸体122の固定は、軸体122が磁性材料からなる場合には、基台121の内部に設けた永久磁石や電磁石により軸体122の下端面を磁力で吸着して行うことができる。但し、軸体122の固定方法は特に限定されるものではなく、例えば、基台121に設けたチャックにより軸体122の下部を把持する方法や、基台121に形成した凹部に軸体122の下部を嵌合する方法などであってもよい。
【0025】
貼付工程においては、まず
図5(a)に示すように、粘着テープ101を保持する粘着テープ保持部30を、軸体122の上方から矢示C方向に向けて斜め下方に移動させ、第2の被着面122aにおける予め指定された貼付箇所に接近させる。ついで、
図5(b)に示すように、第2の被着面122aに対して粘着テープ101を予め指定された向きに合わせて、粘着テープ保持部30に保持された粘着テープ101の一端側を、第2の被着面122aに押圧して貼り付ける。そして、
図5(c)に示すように、粘着テープ101の一端側を押圧して貼付状態を維持しながら、粘着テープ保持部30を矢示D方向に移動させることにより、粘着テープ保持部30の支持針32を粘着テープ101から引き抜く。
【0026】
図5(c)に示す粘着テープ保持部30の移動方向は、粘着テープ保持部30を粘着テープ101の一端側から離脱させると共に、粘着テープ押圧部40(
図2参照)を粘着テープ101の一端側に接近させる方向であることが好ましい。これにより、粘着テープ保持部30が粘着テープ101から離脱した直後に、押圧部材41の外周面を粘着テープ101の一端側に押し付けることができるので、粘着テープ101が第2の被着面122aから自重等で落下することなく、粘着テープ101を押圧部材41により確実に保持することができる。
【0027】
図6は、押圧部材41により粘着テープ101が押圧された状態を示す拡大正面図であり、粘着テープ押圧部40の一部を断面で示している。
図6(a)に示すように、押圧部材41の外周面が粘着テープ101に当接した状態から、軸体122の軸線Y1と回転軸45の軸線Y2とが一致するように、粘着テープ押圧部40を付勢部材48の付勢力に抗して矢示E方向に移動させると、
図6(b)に示すように、支持部材42が回転軸45に対して相対的に矢示F方向に移動する。これにより、付勢部材48の付勢力が増加し、押圧部材41による粘着テープ101の押圧力を高めることができる。押圧部材41は、例えば、ゴムローラ等の弾性ローラを好ましく使用することができる。
【0028】
この後、駆動部47の駆動により回転体43を回転させることにより、押圧部材41が、粘着テープ101の一端側から他端側に向けて、軸体122の軸線Y1の周りに移動する。こうして、粘着テープ101の全体を第2の被着面122aに貼り付けることができる。
【0029】
すなわち、
図7(a)に要部平面図で示すように、粘着テープ101の一端側が、押圧部材41により第2の被着面122aに押圧された状態から、回転体43を、回転軸45の周りに矢示G方向に回転させると、
図7(b)に示すように、押圧部材41が、粘着テープ101との接触摩擦によって支持部材42の軸回りに矢示H方向に自転し、粘着テープ101を延ばした状態で巻き込みながら、第2の被着面122aに沿って移動する。回転体43を矢示G方向に更に回転させると、
図7(c)に示すように、押圧部材41が粘着テープ101の他端側を第2の被着面122aに向けて押圧する。駆動部47の駆動による回転体43の回転量は、軸体122の外周長さや粘着テープ101の長さに応じて予め設定可能であり、軸体122や粘着テープ101の形状や大きさが変化しても、粘着テープ101の全体を第2の被着面122aに確実に貼り付けることができる。粘着テープ101は、第2の被着面122aに対して、二重以上の多重に巻き付けてもよい。
【0030】
こうして、貼付工程が完了した後、新たな剥離工程および貼付工程を行うことで、複数の粘着テープ101の貼り付けを連続的に行うことができる。貼付工程は、複数の軸体122を予め整列配置しておき、それぞれの軸体122に対して順次行うことができる。あるいは、複数の軸体122をコンベア等により搬送し、所定の作業位置に搬送された軸体122に対して、貼付工程を順次行うこともできる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、軸体122が磁性材料からなる金属シャフト等の場合には、磁性を有するマグネットローラを押圧部材41として使用してもよい。この構成によれば、
図6(b)に示す押圧部材41と粘着テープ101との接触状態において、支持部材42には回転軸45に向けて付勢部材48による付勢力が作用すると共に、押圧部材41および軸体122間の磁力による付勢力も作用するため、粘着テープ101の押圧をより確実に行うことができる。押圧部材41としてマグネットローラを使用する場合には、付勢部材48を設けずに、磁力のみによって支持部材42を回転軸45に向けて付勢することも可能であり、粘着テープ101の厚みが薄い場合には特に有効である。押圧部材41は、必ずしもローラに限定されるものではなく、第2の被着面122aに沿って摺動する構成であってもよい。
【0032】
また、粘着テープ保持部30は、複数が一方向に連接された粘着テープ101の剥離をより確実に行うため、保持する粘着テープ101に隣接する粘着テープ101を押圧する押さえ部を備える構成であってもよい。例えば、
図8に側面図で示す粘着テープ保持部30は、複数の支持針32の先端側に、剥離用ブラケット22に支持されたエアシリンダ33が設けられている。エアシリンダ33のポート34,35は、不図示のチューブを介して空気圧回路に接続されており、ロッドを上下に進退させることができる。ロッドの先端部には、回動軸36を介して押さえ部37が回動可能に取り付けられている。押さえ部37は、先端側に平坦な押圧面を有している。
【0033】
このように構成された粘着テープ保持部30によれば、上記の剥離工程と同様に、
図8(a)に示すように支持針32を粘着テープ101に対向させた状態から矢示I方向に移動させて、
図8(b)に示すように支持針32を粘着テープ101に突き刺した後、
図8(c)に示すように、シリンダ33の作動によりロッド38を矢示J方向に下降させて、支持針32が突き刺された粘着テープ101の連接方向に隣接する他の粘着テープ101を、押さえ部37により押圧する。
【0034】
図9(a)に正面図で示すように、押さえ部37の幅は、押圧する粘着テープ(
図9では、他の粘着テープと区別するため符号101-2としている)の幅よりも大きく形成されており、粘着テープ101-2の幅方向全体を押圧することができる。
図9(b)に示すように、押さえ部37により粘着テープ101-2を矢示K方向に押圧したまま、多関節ロボットのアームの作動によりブラケット22を矢示L方向に回動させると、粘着テープ保持部30に支持された粘着テープ(
図9では、他の粘着テープと区別するため符号101-1としている)が、粘着テープ101-2に対して回動軸36を支点として回動する。
【0035】
こうして、
図10に斜視図で示すように、粘着テープ101-1の幅方向一方側が第1の被着面100から剥離し、粘着テープ保持部30を押さえ部37に対して更に回動させることで、粘着テープ101-1の全体が第1の被着面100から剥離する。
【0036】
粘着テープ保持部30は、粘着テープ101の側面を支持針32により突き刺して保持する構成に限定されず、粘着テープ101を個別に取り出し可能な他の構成であってもよく、例えば、吸盤により真空吸着する構成や、一対のハンドで挟持する構成など、種々のピックアップユニットを使用することができる。これらのピックアップユニットに対しても、上記の押さえ部37を備える構成にすることができる。
【0037】
本発明の貼付装置1は、上記のとおり、断面円形状の軸体122に対する粘着テープ101の貼り付けだけではなく、一般には機械の自動作業による貼り付けが困難な断面多角形状の軸体122に対しても、粘着テープ101を容易且つ確実に貼り付けることができる。
図11(a)および(b)は、断面正方形状の軸体122に粘着テープ101を実際に貼り付けた状態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 粘着テープの貼付装置
10 多関節ロボット
11 アーム
20 アタッチメント
30 粘着テープ保持部
32 支持針
40 粘着テープ押圧部
41 押圧部材
42 支持部材
43 回転体
45 回転軸
47 駆動部
100 第1の被着面
101 粘着テープ
122 軸体
122a 第2の被着面