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特開2022-147975無線通信システム、無線データ生成装置及び無線通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147975
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線データ生成装置及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/021 20180101AFI20220929BHJP
   H04W 4/42 20180101ALI20220929BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20220929BHJP
   H04W 4/12 20090101ALI20220929BHJP
【FI】
H04W4/021
H04W4/42
H04W88/18 130
H04W4/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049471
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 弘征
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD18
5K067DD53
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE44
5K067FF23
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】情報を特定エリアに位置する移動局のみに提供できる無線通信システムを提供する。
【解決手段】軌道に沿って配置された複数の基地局20を介して、地上局10と、軌道を走行する列車に搭載された移動局30とが無線通信を行う無線通信システムであって、地上局10は、移動局30に通告する通告文の入力を受け付ける通告文受付部111と、通告文を出力する設定区間を受け付ける区間受付部112と、設定区間を無線エリアとする基地局20を特定区間とし、通告文と特定区間とを含む通告情報80を生成する通告情報生成部113と、通告情報80を基地局20経由で移動局30に送信する通信部と、を具備し、移動局30は、通告情報80を記憶する記憶部33と、受信した無線データに基づいて判別した基地局20が、特定区間である場合にのみ通告文を出力する通告文出力判定部322とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動経路に沿って配置された複数の基地局を介して、地上局と、前記移動経路を走行する移動体に搭載された移動局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記地上局は、
前記移動局に通告する通告文の入力を受け付ける通告文受付部と、
前記通告文を出力する設定区間を受け付ける区間受付部と、
前記設定区間を無線エリアとする前記基地局を特定区間とし、前記通告文と前記特定区間とを含む通告情報を生成する通告情報生成部と、
前記基地局を介して前記通告情報を前記移動局に送信する通信部と、を具備し、
前記移動局は、
前記通告情報を記憶する記憶部と、
受信した無線データに基づいて判別した前記基地局が、前記特定区間である場合にのみ前記通告文を出力する通告文出力判定部と、を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記区間受付部は、前記設定区間の手前側と向こう側とのいずれかを出力範囲とする設定を受け付け、
前記通告情報生成部は、前記出力範囲を含む前記通告情報を生成し、
前記通告文出力判定部は、前記出力範囲が前記設定区間の手前側である場合、判別した前記基地局が前記特定区間に対して進行方向の手前であっても前記通告文を出力し、前記出力範囲が前記設定区間の向こう側である場合、判別した前記基地局が前記特定区間に対して前記進行方向の向こう前であっても前記通告文を出力することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動経路は、複数のゾーンに区分けされており、
前記区間受付部は、前記ゾーンと前記基地局とのいずれかを出力単位とする設定を受け付け、
前記通告情報生成部は、前記出力単位が前記ゾーンである場合、前記設定区間を含む前記ゾーンを前記無線エリアとする前記基地局を特定区間とし、前記出力単位が前記基地局である場合、前記設定区間を前記無線エリアとする前記基地局を特定区間とすることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】
移動経路に沿って配置された複数の基地局から、前記移動経路を走行する移動体に搭載された移動局に無線通信する無線データを生成する無線データ生成装置であって、
前記移動局に通告する通告文の入力を受け付ける通告文受付部と、
前記通告文を出力する設定区間を受け付ける区間受付部と、
前記設定区間を無線エリアとする前記基地局を特定区間とし、前記通告文と前記特定区間とを含む通告情報を生成する通告情報生成部と、
前記基地局を介して前記通告情報を前記無線データとして前記移動局に送信する通信部と、を具備することを特徴とする無線データ生成装置。
【請求項5】
移動経路を走行する移動体に搭載され、前記移動経路に沿って配置された複数の基地局と無線通信を行う無線通信装置であって、
通告文と共に通告者によって設定された区間を無線エリアとする前記基地局を特定区間として含む通告情報を受信する無線部と、
受信した前記通告情報を記憶する記憶部と、
受信した無線データに基づいて判別した前記基地局が、前記特定区間である場合にのみ前記通告文を出力する通告文出力判定部と、を具備することを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局から無線エリア内の移動局に発令情報を送信する無線通信システム、無線データ生成装置及び無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車無線システム等の無線通信システム(例えば、FDMA方式やTDMA方式)は、線路等を無線エリアとし、無線エリアに沿って複数の基地局が配置されて構築されている。そして、無線エリア内に位置する列車等の移動体に通知する情報がある場合、複数の基地局から移動体に搭載されている無線通信装置(以下、移動局と称す)に対して制御チャネルを使用し、同一の情報を送出する方式をとっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-108009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体に通知する情報は、全ての移動体に必要なものであるとは限らない。従って、線路の特定区間等の特定エリアに位置する移動局のみに必要な情報であっても、無線エリア内に位置する全ての移動体にデータを送信されてしまうため、情報を必要としない移動体のユーザ(例えば、列車にて業務を行う乗務員や乗客)を余計な情報で惑わせることになる。
【0005】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、情報を特定エリアに位置する移動局のみに提供できる無線通信システム、無線データ生成装置及び無線通信装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線通信システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
請求項1記載の無線通信システムは、移動経路に沿って配置された複数の基地局を介して、地上局と、前記移動経路を走行する移動体に搭載された移動局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記地上局は、前記移動局に通告する通告文の入力を受け付ける通告文受付部と、前記通告文を出力する設定区間を受け付ける区間受付部と、前記設定区間を無線エリアとする前記基地局を特定区間とし、前記通告文と前記特定区間とを含む通告情報を生成する通告情報生成部と、前記通告情報を前記基地局経由で前記移動局に送信する通信部と、を具備し、前記移動局は、前記通告情報を記憶する記憶部と、受信した無線データに基づいて判別した前記基地局が、前記特定区間である場合にのみ前記通告文を出力する通告文出力判定部と、を具備することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の無線通信システムは、前記区間受付部は、前記設定区間の手前側と向こう側とのいずれかを出力範囲とする設定を受け付け、前記通告情報生成部は、前記出力範囲を含む前記通告情報を生成し、前記通告文出力判定部は、前記出力範囲が前記設定区間の手前側である場合、判別した前記基地局が前記特定区間に対して進行方向の手前であっても前記通告文を出力し、前記出力範囲が前記設定区間の向こう側である場合、判別した前記基地局が前記特定区間に対して進行方向の向こう前であっても前記通告文を出力することを特徴とする。
さらに、請求項3記載の無線通信システムは、前記移動経路は、複数のゾーンに区分けされており、前記区間受付部は、前記ゾーンと前記基地局とのいずれかを出力単位とする設定を受け付け、前記通告情報生成部は、前記出力単位が前記ゾーンである場合、前記設定区間を含むゾーンを前記無線エリアとする前記基地局を特定区間とし、前記出力単位が前記基地局である場合、前記設定区間を前記無線エリアとする前記基地局を特定区間とすることを特徴とする。
また、請求項4記載の無線データ生成装置は、移動経路に沿って配置された複数の基地局から、前記移動経路を走行する移動体に搭載された移動局に無線通信する無線データを生成する無線データ生成装置であって、前記移動局に通告する通告文の入力を受け付ける通告文受付部と、前記通告文を出力する設定区間を受け付ける区間受付部と、前記設定区間を無線エリアとする前記基地局を特定区間とし、前記通告文と前記特定区間とを含む通告情報を生成する通告情報生成部と、前記通告情報を前記無線データとして前記基地局経由で前記移動局に送信する通信部と、を具備することを特徴とする。
また、請求項5記載の無線通信装置は、移動経路を走行する移動体に搭載され、前記移動経路に沿って配置された複数の基地局無線通信を行う無線通信装置であって、通告文と共に通告者によって設定された区間を無線エリアとする前記基地局を特定区間として含む通告情報を受信する無線部と、受信した前記通告情報を記憶する記憶部と、受信した無線データに基づいて判別した前記基地局が、前記特定区間である場合にのみ前記通告文を出力する通告文出力判定部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の無線通信システムは、発令文が特定区間でのみ表示されることにより、情報を特定区間に位置する移動局のみに提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る無線通信システムの実施の形態の構成を示すシステム構成図である。
図2図1に示す無線通信システムのブロック図である。
図3図2に示す操作部への表示例を示す図である。
図4図2に示す区間情報テーブルの例を示す図である。
図5図2に示す通告情報生成部によって生成される通告情報の例を示す図である。
図6図2に示す移動局における通告情報登録動作を説明するフローチャートである。
図7図2に示す移動局における通告文表示動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
本実施の形態の無線通信システム1は、図1を参照すると、地上局10と、移動経路である軌道2に沿って配置された複数の基地局20と、軌道2を走行する移動体である列車3に搭載された移動局30とを備えた列車無線システムである。
【0011】
軌道2は、複数のゾーンに区分けされている。図1に示す例では、ゾーンBに8つの駅4B1~4B8が存在し、ゾーンBが基地局20B1~20B4のそれぞれの無線エリアよってカバーされている。なお、駅4と基地局20の添え字「〇×」は、ゾーン〇の×番目を意味する。そして、駅4及び基地局20を区別する場合に、駅4〇×及び基地局20〇×として説明する。
【0012】
地上局10は、移動局30に無線送信する無線データを生成する無線データ生成装置であり、図2を参照すると、地上局制御部11と、操作部12と、記憶部13と、通信部14とを備えている。
【0013】
地上局制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには地上局10の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。地上局制御部11は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、通告文受付部111、区間受付部112、通告情報生成部113として機能する。
【0014】
操作部12は、各種入力を受け付けるキーボード等で実現される入力機能と、各種画面を表示する液晶ディスプレイ等で実現される表示機能とを備えている。
【0015】
通告文受付部111は、通告発令者によって操作部12から通告情報生成指示を受け付けると、図3(a)に示す通告文受付画面50を操作部12に表示させ、移動局30に通告する通告文の入力を受け付ける。通告文受付画面50には、通告文入力欄51と、送信指示キー52と、区間設定キー53とが配置されている。
【0016】
通告文受付画面50において、通告文入力欄51に移動局30に通告する通告文が入力され、送信指示キー52が操作されると、通告情報生成部113は、通告文入力欄51に入力された通告文に基づく通告情報80を生成する。
【0017】
通告文受付画面50において、通告文入力欄51に移動局30に通告する通告文が入力され、区間設定キー53が操作されると、区間受付部112は、図3(b)に示す区間設定画面60を操作部12に表示させ、通告文を出力させる区間の設定を受け付ける。区間設定画面60は、区間設定受付欄61と、出力範囲設定欄62と、出力単位設定欄63と、通告文受付画面50の通告文入力欄51に入力された通告文が表示される通告文表示欄64と、送信キー65とが配置されている。
【0018】
区間設定受付欄61は、通告文を出力させる区間の設定を受け付ける。図3(b)に示す例では、駅4B2~駅4B5が設定区間となっている。
【0019】
出力範囲設定欄62は、通告文の出力範囲として「設定区間」、「設定区間+手前側」、「設定区間+向こう側」のいずれかの選択を受け付ける。「設定区間+手前側」は、進行方向に「設定区間」がある移動局30を出力範囲に含める設定であり、「設定区間+向こう側」は、「設定区間」を通過した移動局30を出力範囲に含める設定である。
【0020】
出力単位設定欄63と、出力単位の基準を「ゾーン」、「基地局」のいずれかの選択を受け付ける。「ゾーン」は、区間設定受付欄61で受け付けた設定区間の含むゾーンを出力単位とする設定であり、「基地局」は、区間設定受付欄61で受け付けた設定区間を無線エリアとする基地局20を出力単位とする設定である。
【0021】
区間設定画面60において、設定区間(含む出力範囲、出力単位)を受け付け、送信キー65が操作されると、通告情報生成部113は、通告文表示欄64に表示された通告文と、設定区間とに基づく通告情報80を生成する。
【0022】
通告情報生成部113は、記憶部13に記憶されている図4に示す区分情報テーブル70を参照することで、設定区間(含む出力単位)を無線エリアに含む基地局20を特定区間として設定し、図5に示すような通告情報80を生成する。
【0023】
区分情報テーブル70は、図4を参照すると、駅4とゾーンと基地局20との対応関係を示すテーブルである。図4に示す例では、ゾーンBに駅4B1~駅4B8が存在すること、ゾーンBに基地局20B1~基地局20B4が配置されていること、基地局20B1の無線エリアに駅4B1~駅4B3が、基地局20B2の無線エリアに駅4B4が、基地局20B3の無線エリアに駅4B5~駅4B6が、基地局20B4の無線エリアに駅4B7~駅4B8がそれぞれ存在することが分かる。
【0024】
図3(b)の通告文受付画面50のように、「設定区間」が駅4B2~駅4B5であり、出力単位の設定が「基地局」である場合、通告情報生成部113は、図4に示すように、駅4B2~駅4B5を無線エリアに含む基地局20B1~基地局20B3を特定区間とする。なお、出力単位の設定が「ゾーン」である場合、通告情報生成部113は、駅4B2~駅4B5を含むゾーンを無線エリアとする基地局20B1~基地局20B4が特定区間とする。
【0025】
通告情報80は、図5を参照すると、「通告番号」、「登録フラグ」、「通告文」、「特定区間情報」を有する。「通告番号」は、通告情報80に付与される固有番号である。「登録フラグ」は、「1」で通告情報80の登録を指示し、「0」で通告情報80の削除を指示する。「通告文」は、通告文受付画面50の通告文入力欄51で入力された通告文である。
【0026】
「特定区間情報」は、「使用フラグ」、「手前側フラグ」、「向こう側フラグ」、各ゾーンに配置されている基地局20それぞれに対応した「出力フラグ」を有する。「使用フラグ」は、「1」で「特定区間情報」を使用した通告文の出力を指示し、「0」で全区間での通告文の出力を指示する。「手前側フラグ」は、「1」で進行方向に「特定区間」がある移動局30に通告文の出力を指示する。「向こう側フラグ」は、「1」で「設定区間」を通過した移動局30に通告文の出力を指示する。
【0027】
通告情報生成部113は、通告情報80の生成時に「通告番号」を自動生成し、「登録フラグ」を「1」に設定する。そして、通告情報生成部113は、区間が設定されている場合、「特定区間情報」の「使用フラグ」を「1」に設定し、区間が設定されていない場合、「特定区間情報」の「使用フラグ」を「0」に設定する。
【0028】
また、通告情報生成部113は、出力範囲の設定が「設定区間」である場合、「手前側フラグ」及び「向こう側フラグ」をいずれも「0」に設定した上で、特定区間の基地局20に対応した「出力フラグ」を「1」に設定する。そして、通告情報生成部113は、出力範囲の設定が「設定区間+手前側」である場合、「手前側フラグ」を「1」に設定し、出力範囲の設定が「設定区間+向こう側」である場合、「向こう側フラグ」を「1」に設定する。
【0029】
図5に示す通告情報80の例では、「特定区間情報」において、「ゾーンB」の基地局20B1~基地局20B3が特定区間して「出力フラグ」が「1」に設定され、それ以外の基地局20の「出力フラグ」が「0」に設定されている。
【0030】
通信部14は、LAN等の各種ネットワークを介して接続された複数の基地局20と情報の送受信を行う機能を有し、通告情報生成部113によって生成された通告情報80を複数の基地局20にそれぞれ送信する。
【0031】
基地局20は、移動局30との間で無線通信によって情報の送受信を行う機能を有し、地上局10から送信された通告情報80は、複数の基地局20によって軌道2を走行する全ての列車3にそれぞれ搭載された移動局30に同報される。なお、基地局20と移動局30との間の無線方式は、本発明において限定されるものではなく、LTE(Long Term Evolution)、WiMAX、無線LANなどの無線回線が適宜採用される。
【0032】
基地局20は、通告情報80以外の各種無線データも移動局30との間で定期的もしくは不定期で無線通信を行っている。そして、基地局20は、自局を判別する固有の基地局コードを付与した無線データの移動局30に送信する。
【0033】
移動局30は、基地局20との間で無線通信を行う無線通信装置であり、図2に参照すると、無線部31と、移動局制御部32と、記憶部33と、表示部34とを備えている。
【0034】
無線部31は、基地局20との間で各種情報を無線通信で送受信する機能を備えている。
【0035】
移動局制御部32は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには移動局30の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。移動局制御部32は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、通告情報管理部321、通告文表示判定部322として機能する。
【0036】
図6を参照すると、通告情報管理部321は、無線部31による通告情報80の受信を監視している(ステップS101)。そして、ステップS101で通告情報80が受信されると、通告情報管理部321は、「登録フラグ」が「1」であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0037】
ステップS102で「登録フラグ」が「1」である場合、通告情報管理部321は、記憶部33に通告情報80を記憶させる(ステップS103)。
【0038】
次に、通告情報管理部321は、「使用フラグ」が「0」であるか否かを判断する(ステップS104)。そして、ステップS104で「使用フラグ」が「0」である場合、通告情報管理部321は、「通告文」を表示部34に表示させ(ステップS105)、ステップS101に戻って通告情報80の受信を監視する。
【0039】
ステップS104で「使用フラグ」が「1」である場合、後述する通告文表示判定部322によって「通告文」の表示が判定されることになり、通告情報管理部321は、ステップS101に戻って通告情報80の受信を監視する。
【0040】
ステップS102で「登録フラグ」が「0」である場合、記憶部33に記憶されている同じ「通告番号」の通告情報80を削除し(ステップS106)、ステップS101に戻って通告情報80の受信を監視する。なお、ステップS106において、削除する通告情報80の「通告文」が表示中の場合、表示を停止させた後に通告情報80が削除される。
【0041】
図7を参照すると、通告文表示判定部322は、無線部31による無線データの受信を監視している(ステップS201)。そして、ステップS201で無線データが受信されると、通告文表示判定部322は、変数nに1をセットし(ステップS202)、記憶部33に記憶されているn番目の通告情報80の「使用フラグ」が「1」であるか否かを判断する(ステップS203)。
【0042】
ステップS203で「使用フラグ」が「1」である場合、通告文表示判定部322は、ステップS201で受信された無線データに付与された基地局コードに基づいて、発信元の基地局20を判別する(ステップS204)。
【0043】
次に、通告文表示判定部322は、通告情報80の「特定区間情報」を参照して、ステップS204で判別した発信元の基地局20の「出力フラグ」が「1」であるか否か、すなわち特定区間であるか否かを判断する(ステップS205)。なお、「手前側フラグ」が「1」に設定されている場合、通告文表示判定部322は、ステップS204で判別した発信元の基地局20が特定区間に対して進行方向の手前側に位置している場合、「出力フラグ」が「0」であっても特定区間であると判断する。また、「向こう側フラグ」が「1」に設定されている場合、通告文表示判定部322は、ステップS204で判別した発信元の基地局20が特定区間に対して進行方向の向こう側に位置している場合、「出力フラグ」が「0」であっても特定区間であると判断する。
【0044】
ステップS205で特定区間である場合、通告文表示判定部322は、「通告文」を表示部34に表示させる(ステップS206)。これにより、特定区間に位置する移動局30では、表示部34に「通告文」が表示されることになる。
【0045】
次に、通告文表示判定部322は、(n+1)番目の通告情報80が記憶部33に記憶されているか否かを判断する(ステップS207)。
【0046】
ステップS207で(n+1)番目の通告情報80がある場合、通告文表示判定部322は、変数nをインクリメント(n=n+1)し(ステップS208)、ステップS203に戻ってn番目の通告情報80の「使用フラグ」が「1」であるか否かを判断する。
【0047】
ステップS207で(n+1)番目の通告情報80がない場合、通告文表示判定部322は、ステップS201に戻って無線データの受信を監視する。
【0048】
ステップS205で特定区間でない場合、通告文表示判定部322は、「通告文」を表示部34に表示中か否かを判断する(ステップS209)。そして、ステップS209で「通告文」が表示部34に表示中である場合、通告文表示判定部322は、「通告文」の表示を停止させ(ステップS210)、ステップS207に至って(n+1)番目の通告情報80があるか否かを判断する。これにより、特定区間を通過した移動局30では、表示部34への「通告文」の表示が停止されることになる。
【0049】
ステップS203で「使用フラグ」が「1」である場合、通告文表示判定部322は、ステップS207に至って(n+1)番目の通告情報80があるか否かを判断する。この場合、「使用フラグ」が「0」であるため、すでに「通告文」は表示部34に表示された状態になっている。
【0050】
ステップS209で「通告文」が表示部34に表示中でない場合、通告文表示判定部322は、ステップS207に至って(n+1)番目の通告情報80があるか否かを判断する。これにより、特定区間でない移動局30では、表示部34への「通告文」の表示が行われないことになる。
【0051】
なお、本発明は、列車無線システムのみでなく、移動経路であるバス路線を走行するバスに搭載された移動局30と無線通信を行うバス無線システムにも適用できる。この場合、複数の基地局20は、バス路線に沿って配置され、設定区間を駅4の代わりにバス停や交差点等の目印地点に基づいて受け付けることができる。
【0052】
さらに、本発明は、移動経路である高速道路や幹線道路を走行する自動車に搭載された移動局30と無線通信を行う自動車無線システムにも適用できる。この場合、複数の基地局20は、高速道路や幹線道路に沿って配置され、設定区間をインターチェンジやサービスエリア等の目印地点に基づいて受け付けることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態では、表示部34への表示によって「通告文」を出力する構成を採用したが、「通告文」を音声や電文(乗客が所持する携帯機器へのメッセージ)として出力することもできる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態は、移動経路である軌道2に配置された複数の基地局20を介して、地上局10と、軌道2を走行する移動体である列車3に搭載された移動局30とが無線通信を行う無線通信システム1であって、地上局10は、移動局30に通告する通告文の入力を受け付ける通告文受付部111と、通告文を出力する設定区間を受け付ける区間受付部112と、設定区間を無線エリアとする基地局20を特定区間とし、通告文と特定区間とを含む通告情報80を生成する通告情報生成部113と、通告情報80を基地局20経由で移動局30に送信する通信部14と、を具備し、移動局30は、通告情報80を記憶する記憶部33と、受信した無線データに基づいて判別した基地局20が、特定区間である場合にのみ通告文を出力する通告文出力判定部(通告文表示判定部322)とを備える。
この構成により、発令文が特定区間でのみ表示されることにより、情報を特定区間に位置する移動局30のみに提供でき、移動局30のユーザ(例えば、車両にて業務を行う乗務員)に対し、効率的に情報伝達を行うことができる。また、鉄道などでは事故発生時や強風等で最重要注意区間に差し掛かった時に注意喚起を行うことができるため、車両事故を未然に防ぐことにつながると考える。
【0055】
さらに、本実施形態において、区間受付部112は、設定区間の手前側と向こう側とのいずれかを出力範囲とする設定を受け付け、通告情報生成部113は、出力範囲を含む通告情報80を生成し、通告文表示判定部322は、出力範囲が前記設定区間の手前側である場合、判別した基地局20が特定区間に対して進行方向の手前であっても通告文を出力し、出力範囲が前記設定区間の向こう側である場合、判別した基地局20が特定区間に対して進行方向の向こう前であっても通告文を出力する。
この構成により、通告文を表示する範囲を特定区間を含んだ手前側と向こう側とに選択的に設定することができ、状況に応じた情報伝達を効率的に行うことができる。
【0056】
さらに、本実施形態において、軌道2は、複数のゾーンに区分けされており、区間受付部112は、ゾーンと基地局20とのいずれかを出力単位とする設定を受け付け、通告情報生成部113は、出力単位がゾーンである場合、前記設定区間を含むゾーンを前記無線エリアとする基地局20を特定区間とし、出力単位が基地局20である場合、設定区間を無線エリアとする基地局20を特定区間とする。
この構成により、通告文を表示する単位をゾーンと基地局20とに選択的に設定することができ、状況に応じた情報伝達を効率的に行うことができる。
【0057】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0058】
1 無線通信システム
2 軌道
3 列車
4 駅
10 地上局
11 地上局制御部
12 操作部
13 記憶部
14 通信部
20 基地局
30 移動局
31 無線部
32 移動局制御部
33 記憶部
34 表示部
50 通告文受付画面
51 通告文入力欄
52 送信指示キー
53 区間設定キー
60 区間設定画面
61 区間設定受付欄
62 出力範囲設定欄
63 出力単位設定欄
64 通告文表示欄
65 送信キー
70 区分情報テーブル
80 通告情報
111 通告文受付部
112 区間受付部
113 通告情報生成部
321 通告情報管理部
322 通告文表示判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7