(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147983
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報開示システム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049479
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】321004644
【氏名又は名称】一般社団法人シニアらいふサポートセンター
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 春洋
(72)【発明者】
【氏名】今尾 有佑
(72)【発明者】
【氏名】吉川 寿一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】利用者に関わる者に対して利用者の個人情報を適切に開示する。
【解決手段】本発明は、記憶装置10、サーバ20、電話装置30、不特定の関係者の端末40及び利用者が携帯する第1物品60を備える情報開示システムを提供する。本発明では、不特定の関係者が、利用者が携帯する第1物品60に表示された二次元コード62を用いてサーバ20から取得できる利用者の個人情報は、利用者を特定できる情報に制限される。一方、利用者を救急搬送する場面では、サーバ20が不特定の関係者の端末40に対して利用者を特定できる情報に加えて救急救命士用医療情報を送信することができる。したがって、本発明によれば、利用者の状況に応じて利用者の個人情報を適切に開示することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を他者と識別するための情報(以下、「第1識別情報」という。)と、第1識別情報に関連付けされた利用者の個人情報を記憶する記憶装置、
前記記憶装置に接続され、かつ利用者に関わる不特定の者(以下、「不特定の関係者」という。)の端末と通信回線を介して接続されるサーバ、
前記サーバに接続され、かつ不特定の関係者の端末と通信回線を介して接続される電話装置、並びに
利用者が携帯し、第1識別情報と、第1識別情報及び前記サーバに接続するための情報(以下、「第1接続情報」という。)を記録した二次元コードと、前記電話装置に接続するための情報(以下、「第2接続情報」という。)を表示する物品(以下、「第1物品」という。)を備え、
前記サーバが、
第1物品に表示された二次元コードを用いて前記サーバに接続した不特定の関係者の端末に対して、当該端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報を抽出し、抽出した情報を送信する第1情報送信手段、
第1物品に表示された第2接続情報を用いて前記電話装置に接続した不特定の関係者の端末に対して、前記電話装置を介して、第1物品に表示された第1識別情報の入力を要求する情報を送信する第1要求送信手段、
その後に不特定の関係者の端末から前記電話装置を介して受信した第1識別情報を前記記憶装置に記憶された第1識別情報と照合し、それらが一致する場合に第1情報送信手段の作動を解除する解除手段、及び
前記解除手段による解除の後に前記サーバに接続された不特定の関係者の端末に対して、当該端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報と、救急搬送時の救急救命処置に有用な医療情報を抽出し、抽出した情報を送信する第2情報送信手段を備える情報開示システム。
【請求項2】
前記サーバが、前記解除手段による解除時刻から所定時間経過した後に第1情報送信手段の作動を設定する設定手段をさらに備える請求項1に記載の情報開示システム。
【請求項3】
前記記憶装置が、第1識別情報に関連付けされた通知先と、第1通知情報を記憶し、
前記サーバが、不特定の関係者の端末から前記電話装置を介して受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された通知先を抽出し、抽出した通知先に前記記憶装置に記憶された第1通知情報を送信する第1通知手段をさらに備える請求項1に記載の情報開示システム。
【請求項4】
前記記憶装置が、任意に登録される者(以下、「任意登録者」という。)を他者と識別するための情報(以下、「第3識別情報」という。)と、任意登録者を認証するための情報(以下、「認証情報」という。)を記憶し、
前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報が第3識別情報と関連付けされ、
前記サーバが、
任意登録者の端末と通信回線を介して接続され、
前記サーバに接続した任意登録者の端末に対して、第3識別情報及び認証情報の入力を要求する情報を送信する第3要求送信手段、
任意登録者の端末から受信した第3識別情報及び認証情報を前記記憶装置に記憶された第3識別情報及び認証情報と照合し、それらが一致する場合に第3識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を当該端末に送信する第4情報送信手段、及び
不特定の関係者の端末から前記電話装置を介して受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を更新し、更新した情報を前記記憶装置に記憶させる第1更新手段をさらに備える請求項1に記載の情報開示システム。
【請求項5】
利用者に関わる特定の者(以下、「特定の関係者」という。)に配布され、特定の関係者を他者と識別するための情報(以下、「第2識別情報」という。)及び第1接続情報を記録した二次元コードを表示する物品(以下、「第2物品」という。)をさらに備え、
前記記憶装置が、第2識別情報を記憶し、
前記サーバが、
特定の関係者の端末と通信回線を介して接続され、
第2物品に表示された二次元コードを用いて前記サーバに接続した特定の関係者の端末から受信した第2識別情報を前記記憶装置に記憶された第2識別情報と照合することによって当該関係者を他者と識別する識別手段、
特定の関係者の端末に対して、前記サーバに第1識別情報を送信することを要求する情報を送信する第2要求送信手段、及び
その後に特定の関係者の端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報と、救急医の医療処置に有用な医療情報を抽出し、抽出した情報を当該端末に送信する第3情報送信手段をさらに備える請求項1に記載の情報開示システム。
【請求項6】
前記記憶装置が、第2識別情報に関連付けされた第2通知情報を記憶し、
前記サーバが、特定の関係者の端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された通知先を抽出し、特定の関係者の端末から受信した第2識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された第2通知情報を抽出し、抽出した通知先に抽出した第2通知情報を送信する第2通知手段をさらに備える請求項5に記載の情報開示システム。
【請求項7】
前記記憶装置が、任意に登録される者(以下、「任意登録者」という。)を他者と識別するための情報(以下、「第3識別情報」という。)と、任意登録者を認証するための情報(以下、「認証情報」という。)を記憶し、
前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報が第3識別情報と関連付けされ、
前記サーバが、任意登録者の端末と通信回線を介して接続され、
前記サーバに接続した任意登録者の端末に対して、第3識別情報及び認証情報の入力を要求する情報を送信する第3要求送信手段、
任意登録者の端末から受信した第3識別情報及び認証情報を前記記憶装置に記憶された第3識別情報及び認証情報と照合し、それらが一致する場合に第3識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を当該端末に送信する第4情報送信手段、及び
特定の関係者の端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を更新し、更新した情報を前記記憶装置に記憶させる第2更新手段をさらに備える請求項5に記載の情報開示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の個人情報を開示するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、利用者の端末から受信した利用者の医療データを二次元コードに変換し、変換された二次元コードを利用者の端末に送信するサーバを備えるシステムを開示している。
【0003】
このシステムによれば、利用者の救助、保護又は介護を要する場面で利用者に関わる不特定の者(以下、「不特定の関係者」という。この場面では、救急救命士、警察官又は介護福祉士等が該当する。)が利用者の端末に記憶された二次元コードを用いて利用者の医療データを取得することができる。
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、利用者が意識不明の状態である場合に、利用者の端末に二次元コードが記憶されていることを知らない不特定の関係者が利用者の端末を操作して二次元コードを読み出すことは不可能である。したがって、不特定の関係者は利用者の医療データを取得できない。
【0005】
また、従来技術では、例えば、認知症の利用者を保護する場面で、利用者を保護する警察官に対して、利用者を救助する場面で救急救命士が取得する医療データと同じ医療データが開示されるという不具合がある。
【0006】
すなわち、従来技術では、不特定の関係者が利用者に提供する役務にかかわらず、すべての不特定の関係者が共通の医療データを取得できるため、不特定の関係者に対して利用者の個人情報が不適切に開示されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、利用者に関わる者に対して利用者の個人情報を適切に開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、
利用者を他者と識別するための情報(以下、「第1識別情報」という。)と、第1識別情報に関連付けされた利用者の個人情報を記憶する記憶装置、
前記記憶装置に接続され、かつ利用者に関わる不特定の者(以下、「不特定の関係者」という。)の端末と通信回線を介して接続されるサーバ、
前記サーバに接続され、かつ不特定の関係者の端末と通信回線を介して接続される電話装置、並びに
利用者が携帯し、第1識別情報と、第1識別情報及び前記サーバに接続するための情報(以下、「第1接続情報」という。)を記録した二次元コードと、前記電話装置に接続するための情報(以下、「第2接続情報」という。)を表示する物品(以下、「第1物品」という。)を備え、
前記サーバが、
第1物品に表示された二次元コードを用いて前記サーバに接続した不特定の関係者の端末に対して、当該端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報を抽出し、抽出した情報を送信する第1情報送信手段、
第1物品に表示された第2接続情報を用いて前記電話装置に接続した不特定の関係者の端末に対して、前記電話装置を介して、第1物品に表示された第1識別情報の入力を要求する情報を送信する第1要求送信手段、
その後に不特定の関係者の端末から前記電話装置を介して受信した第1識別情報を前記記憶装置に記憶された第1識別情報と照合し、それらが一致する場合に第1情報送信手段の作動を解除する解除手段、及び
前記解除手段による解除の後に前記サーバに接続された不特定の関係者の端末に対して、当該端末から受信した第1識別情報に基づいて前記記憶装置に記憶された情報を検索し、前記記憶装置に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報と、救急搬送時の救急救命処置に有用な医療情報を抽出し、抽出した情報を送信する第2情報送信手段を備える情報開示システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、不特定の関係者は、利用者が携帯する第1物品に表示された二次元コードを用いて自己の端末をサーバに接続することができるため、利用者の端末を操作する必要がない。したがって、本発明では、たとえ利用者が意識不明の状態であってもシステムを動作させることができる。
また、本発明によれば、不特定の関係者が第1物品に表示された二次元コードを用いてサーバから取得し得る利用者の個人情報は、利用者を特定できる情報に限られる。一方、利用者を救急搬送する場面では、救急救命士に対して利用者を特定できる情報に加えて救急搬送時の救急救命処置に有用な医療情報を提供することができる。したがって、本発明では、利用者の状況に応じて利用者の個人情報を適切に開示することができる。
さらに、本発明によれば、不特定の関係者が取得し得る利用者の個人情報の内容を切り替えるために、サーバに直接接続するための行為とは異なる行為、すなわち、電話を掛ける行為を不特定の関係者に要求するため、利用者の個人情報を適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に係る情報開示システムの構成を示すブロック図
【
図2】実施例で採用した記憶装置に記憶された情報を示すブロック図
【
図5】実施例に係る情報開示システムによる情報開示の第1段階を示すフロー図
【
図6】実施例に係る情報開示システムによる情報開示の第2段階を示すフロー図
【
図7】実施例に係る情報開示システムによる情報開示の第3段階を示すフロー図
【
図8】実施例に係る情報開示システムを利用した任意登録者に対する情報開示の流れを示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例0013】
図1に示したように、実施例に係る情報開示システムは、記憶装置10、サーバ20、電話装置30、不特定の関係者の端末40、利用者に関わる特定の者(以下、「特定の関係者」という。)の端末50、任意に登録される者(以下、「任意登録者」という。)の端末80、第1物品60及び第2物品70を備えて構成される。
【0014】
記憶装置10は、コンピュータによって処理される情報を記憶する装置であり、サーバ20に接続されている。なお、記憶装置10は、サーバ20に搭載されてもよいし、サーバ20に通信回線を介して接続されてもよい。
【0015】
図2に示したように、記憶装置10は、第1識別情報、第1識別情報に関連付けされた利用者の個人情報、第1識別情報に関連付けされた通知先、第1通知情報、第2識別情報、第2識別情報に関連付けされた第2通知情報、第3識別情報及び認証情報を記憶している。
【0016】
第1識別情報は、利用者を他者と識別するための情報である。第1識別情報の例としては、利用者に割り当てられる識別番号が挙げられるがこれに限定されない。
【0017】
利用者の個人情報には、利用者を特定できる情報、救急救命士用医療情報、救急医用医療情報及び利用者の状態に関する情報が含まれている。
【0018】
利用者を特定できる情報の例としては、氏名、住所、生年月日、性別、顔の画像が挙げられるがこれらに限定されない。利用者を特定できる情報には、利用者の配偶者、子、親などの親族や利用者を介護する施設などの連絡先を含めてもよい。
【0019】
救急救命士用医療情報は、救急搬送時の救急救命処置に有用な医療情報である。
【0020】
救急救命士用医療情報の例としては、既往歴に関する情報、現病歴に関する情報、薬剤に関する情報、アレルギーに関する情報、主治医に関する情報、先行医療指示書(アドバンス・ケア・ディレクティブ、以下、「ACD」という。)の有無及び尊厳死宣言書の有無が挙げられるがこれらに限定されない。ACDとは、治療又は手術などの医療行為に対する利用者の意思表示を事前に記載した書面をいう。
【0021】
救急救命士用医療情報には、搬送先が含まれることが好ましい。搬送先とは、利用者が事前に登録した医療機関であって、利用者を受け入れることを事前に承諾している医療機関をいう。
【0022】
救急医用医療情報は、救急医の医療処置に有用な医療情報である。
【0023】
救急医用医療情報の例としては、既往歴に関する情報、現病歴に関する情報、薬剤に関する情報、アレルギーに関する情報、主治医に関する情報、ACDの写し及び尊厳死宣言書の写しが挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
利用者の個人情報を適切に開示し、それにより、救急医の医療行為を円滑にするという観点から、救急医用医療情報には、ACDの写しや尊厳死宣言書の写しといった医療行為に対する利用者の意思表示の具体的内容が含まれている。救急救命士用医療情報は、そのような情報の有無しか開示しない点で、救急医用医療情報と異なる。
【0025】
利用者の状態に関する情報は、利用者の現状を表示する言葉、記号、色彩又は図若しくはそれらの組み合わせである。実施例では、利用者の状態に関する情報を「通常」、「搬送中」、「院内」という3つの言葉で表示するように設定されている。初期設定は「通常」である。「搬送中」は、利用者が救急搬送されている状態を表す。「院内」は、利用者が医療機関で治療を受けている状態を表す。
【0026】
通知先は、利用者等が予め登録する情報である。通知先の例としては、利用者等によって登録される者(例えば、利用者の配偶者、子、親などの親族、後見人、主治医、医療機関が挙げられるがこれらに限定されない。)の電子メールアドレスや電話番号が挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
第1通知情報は、通知先に送信される定型化された文字情報又は音声情報である。
【0028】
第2識別情報は、特定の関係者を他者と識別するための情報である。第2識別情報の例としては、特定の関係者に割り当てられる識別番号が挙げられるがこれに限定されない。
【0029】
第2通知情報は、第1通知情報と同様に、通知先に送信される定型化された文字情報又は音声情報である。
【0030】
第3識別情報は、任意登録者を他者と識別するための情報である。第3識別情報の例としては、任意登録者に割り当てられる識別番号が挙げられるがこれに限定されない。記憶装置10に記憶された利用者の個人情報は、第3識別情報に関連付けされている。
【0031】
任意登録者は、利用者等によって予め登録される者である。任意登録者の例としては、利用者の配偶者、子、親などの親族、後見人、主治医、医療機関が挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
認証情報は、任意登録者を認証するための情報である。認証情報の例としては、任意登録者によって設定されるパスワードが挙げられるがこれに限定されない。
【0033】
サーバ20は、コンピュータであり、不特定の関係者の端末40、特定の関係者の端末50及び任意登録者の端末80と通信回線を介して接続される。実施例で採用したサーバ20は、インターネットに接続する機能を有する。また、実施例で採用したサーバ20には、不特定の関係者の端末40、特定の関係者の端末50及び任意登録者の端末80がインターネットを介してサーバ20に接続できるように、URL(ユニフォーム リソース ロケータ)が設定されている。
【0034】
電話装置30は、サーバ20に接続され、かつ不特定の関係者の端末40と通信回線を介して接続される。電話装置30は、サーバに搭載されていてもよい。電話装置30に接続される不特定の関係者の端末40には、電話機が含まれる。
【0035】
不特定の関係者の端末40、特定の関係者の端末50及び任意登録者の端末80の例としては、スマートフォン、タブレット及びパーソナルコンピュータが挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
第1物品60は、利用者が携帯する物品である。第1物品60の例としては、カードが挙げられるがこれに限定されない。実施例で採用した第1物品60は、カードである。
【0037】
図3に示したように、第1物品60には、第1識別情報61と、二次元コード62と、第2接続情報63が表示されている。
【0038】
第1物品60に表示される第1識別情報61は、利用者を他者と識別するための情報である。第1識別情報61の例としては、利用者に割り当てられる識別番号が挙げられるがこれに限定されない。
図3に示したように、実施例で採用した第1物品60には、識別番号が第1識別情報61として表示されている。
【0039】
第1物品60に表示される二次元コード62には、第1識別情報及び第1接続情報が記録されている。二次元コード62に記録される第1識別情報は、利用者を他者と識別するための情報である。二次元コード62に記録される第1接続情報は、サーバ20に接続するための情報である。実施例では、第1識別情報及び第1接続情報が記述されたURLが二次元コード62に記録されている。
【0040】
第1物品60に表示される第2接続情報63は、電話装置30に接続するための情報である。
図3に示したように、実施例で採用した第1物品60には、電話番号が第2接続情報63として表示されている。
【0041】
第2物品70は、特定の関係者に配布される物品である。第2物品70の例としては、カードが挙げられるがこれに限定されない。実施例で採用した第2物品70は、カードである。
【0042】
図4に示したように、第2物品70には、第2識別情報及び第1接続情報を記録した二次元コード71が表示されている。二次元コード71に記録される第2識別情報は、特定の関係者を他者と識別するための情報である。第2識別情報の例としては、特定の関係者に割り当てられる識別番号が挙げられるがこれに限定されない。二次元コード71に記録される第1接続情報は、サーバ20に接続するための情報である。実施例では、第2識別情報及び第1接続情報が記述されたURLが二次元コード71に記録されている。
【0043】
実施例に係る情報開示システムは、サーバ20にインストールされたソフトウェアに従って動作する。
【0044】
すなわち、サーバ20は、サーバ20の機能を実現するためのソフトウェアとして、第1情報送信手段、第1要求送信手段、解除手段、第2情報送信手段、設定手段、第1通知手段、識別手段、第2要求送信手段、第3情報送信手段、第2通知手段、第3要求送信手段、第4情報送信手段、第1更新手段及び第2更新手段を備えている。
【0045】
第1情報送信手段は、第1物品60に表示された二次元コード62を用いてサーバ20に接続した不特定の関係者の端末40に対して、当該端末から受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報を抽出し、抽出した情報を送信するようにプログラムされている。
【0046】
第1要求送信手段は、第1物品60に表示された第2接続情報63を用いて電話装置30に接続した不特定の関係者の端末40に対して、電話装置30を介して、第1物品60に表示された第1識別情報61の入力を要求する情報を送信するようにプログラムされている。
【0047】
解除手段は、第1要求送信手段の作動後に作動するプログラムであり、不特定の関係者の端末40から電話装置30を介して受信した第1識別情報を記憶装置10に記憶された第1識別情報と照合し、それらが一致する場合に第1情報送信手段の作動を解除するようにプログラムされている。
【0048】
第2情報送信手段は、解除手段による解除の後にサーバ20に接続された不特定の関係者の端末40に対して、当該端末から受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報と、救急搬送時の救急救命処置に有用な医療情報を抽出し、抽出した情報を送信するようにプログラムされている。
【0049】
設定手段は、解除手段による解除時刻から所定時間経過した後に第1情報送信手段の作動を設定するようにプログラムされている。
【0050】
第1通知手段は、不特定の関係者の端末40から電話装置30を介して受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された通知先を抽出し、抽出した通知先に記憶装置10に記憶された第1通知情報を送信するようにプログラムされている。
【0051】
識別手段は、第2物品70に表示された二次元コード71を用いてサーバ20に接続した特定の関係者の端末50から受信した第2識別情報を記憶装置10に記憶された第2識別情報と照合することによって当該関係者を他者と識別するようにプログラムされている。
【0052】
第2要求送信手段は、特定の関係者の端末50に対して、サーバ20に第1識別情報を送信することを要求する情報を送信するようにプログラムされている。
【0053】
第3情報送信手段は、第2要求送信手段の作動後に作動するプログラムであり、特定の関係者の端末50から受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された利用者の個人情報の中から利用者を特定できる情報と、救急医の医療処置に有用な医療情報を抽出し、抽出した情報を当該端末に送信するようにプログラムされている。
【0054】
第2通知手段は、特定の関係者の端末50から受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された通知先を抽出し、特定の関係者の端末50から受信した第2識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された第2通知情報を抽出し、抽出した通知先に抽出した第2通知情報を送信するようにプログラムされている。
【0055】
第3要求送信手段は、サーバ20に接続した任意登録者の端末80に対して、第3識別情報及び認証情報の入力を要求する情報を送信するようにプログラムされている。
【0056】
第4情報送信手段は、任意登録者の端末80から受信した第3識別情報及び認証情報を記憶装置10に記憶された第3識別情報及び認証情報と照合し、それらが一致する場合に第3識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を当該端末に送信するようにプログラムされている。
【0057】
第1更新手段は、不特定の関係者の端末40から電話装置30を介して受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を更新し、更新した情報を記憶装置10に記憶させるようにプログラムされている。
【0058】
第2更新手段は、特定の関係者の端末50から受信した第1識別情報に基づいて記憶装置10に記憶された情報を検索し、記憶装置10に記憶された利用者の個人情報の中から利用者の状態に関する情報を抽出し、抽出した情報を更新し、更新した情報を記憶装置10に記憶させるようにプログラムされている。
【0059】
上記のように構成される情報開示システムは、以下のように動作する。
【0060】
(1)情報開示の第1段階
例えば、認知症の利用者を保護する場面では、不特定の関係者である警察官は、利用者が携帯しているカード(第1物品60)に表示された二次元コード62を自己のスマートフォン(不特定の関係者の端末40)で読み取ることによって、第1接続情報を取得することができ、かつ取得した第1接続情報を用いて自己のスマートフォンをサーバ20に接続することができる。
【0061】
カードに表示された二次元コード62には、第1識別情報が記録されているため、
図5に示したように、警察官のスマートフォンがサーバ20に接続するときに、サーバ20が第1識別情報を受信する。そして、サーバ20が第1識別情報を受信すると、第1情報送信手段が作動する。それにより、警察官のスマートフォンには、利用者を特定できる情報が表示されるので、警察官は、その情報に基づいて利用者を特定し得る。
【0062】
本発明では、上記のように、不特定の関係者が、利用者が携帯する第1物品60に表示された二次元コード62を用いて自己の端末をサーバ20に接続することができるため、利用者の端末を操作する必要がない。したがって、本発明では、たとえ利用者が意識不明の状態であってもシステムを動作させることができる。
【0063】
本発明では、上記のように、不特定の関係者が、利用者が携帯する第1物品60に表示された二次元コード62を用いてサーバ20から取得する利用者の個人情報は、利用者を特定できる情報に限られている。したがって、本発明は、利用者の個人情報を適切に保護することができる。
【0064】
(2)情報開示の第2段階
一方、例えば、利用者を救急搬送する場面では、不特定の関係者である救急救命士は、利用者が携帯しているカード(第1物品60)に表示された第2接続情報63を用いて自己のスマートフォン(不特定の関係者の端末40)から電話装置30に電話を掛けることによって、自己のスマートフォンを電話装置30に接続することができる。
【0065】
図6に示したように、救急救命士のスマートフォンが電話装置30に接続すると、第1要求送信手段が作動する。それにより、救急救命士のスマートフォンには、利用者が携帯しているカードに表示された第1識別情報61の入力を要求する音声案内(すなわち、サーバ20から電話装置30を介して送信される第1物品60に表示された第1識別情報61の入力を要求する情報)が流れる。救急救命士は、この音声案内に従って第1識別情報を入力し、電話装置30に送信する。
【0066】
図6に示したように、サーバ20が電話装置30を介して救急救命士のスマートフォンから第1識別情報を受信すると、解除手段が作動する。それにより、第1情報送信手段の作動が解除される。
【0067】
図6に示したように、解除手段による解除の後に利用者が携帯しているカードに表示された二次元コード62を用いて救急救命士のスマートフォンがサーバ20に接続したときには、サーバ20が第1識別情報を受信して第2情報送信手段が作動する。それにより、救急救命士のスマートフォンには、利用者を特定できる情報及び救急救命士用医療情報が表示されるので、救急救命士は、利用者を特定できると共に、救急救命処置を円滑に行うことが可能になる。また、実施例では、救急救命士用医療情報に搬送先が含まれているため、利用者を医療機関に迅速に搬送することが可能である。
【0068】
一方、解除手段によって第1情報送信手段の作動が解除されると、設定手段が作動する。それにより、解除手段による解除時刻から所定時間経過した後に利用者が携帯しているカードに表示された二次元コード62を用いて不特定の関係者の端末40がサーバ20に接続したときには、サーバ20が第1識別情報を受信して第1情報送信手段が作動する。それにより、不特定の関係者の端末40には、利用者を特定できる情報が表示されるが、救急救命士用医療情報は表示されない。
【0069】
図6に示したように、サーバ20が電話装置30を介して救急救命士のスマートフォンから第1識別情報を受信すると、第1通知手段が作動する。それにより、サーバ20から通知先として登録された者の端末(この端末の例としては、スマートフォン、タブレット及びパーソナルコンピュータが挙げられるがこれらに限定されない。)に第1通知情報が送信される。
【0070】
第1通知情報の例としては、利用者が救急搬送中であることを知らせる電子メールが挙げられるがこれに限定されない。
【0071】
また、
図6に示したように、サーバ20が電話装置30を介して救急救命士のスマートフォンから第1識別情報を受信すると、第1更新手段が作動する。それにより、記憶手段10に記憶された利用者の状態に関する情報が「通常」という表示から「搬送中」という表示に更新される。
【0072】
本発明では、上記のように、解除手段によって第1情報送信手段の作動が解除されるため、利用者を救急搬送する場面では、サーバ20が不特定の関係者の端末40に対して利用者を特定できる情報に加えて救急救命士用医療情報を送信することができる。したがって、本発明では、利用者の状況に応じて利用者の個人情報を適切に開示することができる。
【0073】
本発明では、上記のように、設定手段によって解除手段による解除時刻から所定時間経過した後に第1情報送信手段の作動が設定されるため、救急救命士用医療情報が救急救命士以外の者に漏洩することを防止することができる。
【0074】
本発明では、上記のように、不特定の関係者が取得し得る利用者の個人情報の内容を切り替えるために、サーバ20に直接接続するための行為とは異なる行為、すなわち、電話を掛ける行為を不特定の関係者に要求するため、利用者の個人情報を適切に保護することができる。
【0075】
本発明では、上記のように、救急救命士が利用者に最初に接触した段階で通知先として登録された者に対して利用者が救急搬送されていることが通知されるため、その者の対処を容易にすることができる。
【0076】
本発明では、上記のように、救急救命士が利用者に最初に接触した段階で記憶装置10に記憶された利用者の状態に関する情報が更新されるため、後述するように、任意登録者は、利用者が救急搬送されていることを自己の端末で確認することができる。
【0077】
なお、実施例では、救急救命士が電話装置30に電話を掛けているが、この電話は、何人も掛けることができる。例えば、利用者が自宅で突然倒れた場合に、例えば、利用者の配偶者が救急車の到着を待っている間に自己のスマートフォンから電話装置30に電話を掛けてもよい。
【0078】
(3)情報開示の第3段階
実施例では、特定の関係者である医療機関に第2物品70を配布している。例えば、医療機関に搬送された利用者が救急医の医療処置を受ける場面では、救急医等の医療従事者は、カード(第2物品70)に表示された二次元コード71を自己のタブレット(特定の関係者の端末50)で読み取ることによって、第1接続情報を取得することができ、かつ取得した第1接続情報を用いて自己のタブレットをサーバ20に接続することができる。
【0079】
カードに表示された二次元コード71には、第2識別情報が記録されているため、
図7に示したように、医療従事者のタブレットがサーバ20に接続するときに、サーバ20は、医療従事者のタブレットから第2識別情報を受信する。
【0080】
図7に示したように、サーバ20が第2識別情報を受信すると、識別手段が作動する。それにより、利用者が搬送された医療機関が他者と識別される。
【0081】
図7に示したように、識別手段の作動後、第2要求送信手段が作動する。それにより、医療従事者のタブレットには、利用者が携帯しているカードに表示された第1識別情報の入力を要求する情報が表示される。医療従事者は、この情報に従って利用者が携帯しているカード(第1物品60)に表示された第1識別情報61を入力し、サーバ20に送信するか、又は利用者が携帯しているカードに表示された二次元コード62を自己のタブレットで読み取ることによって第1識別情報を取得し、取得した第1識別情報をサーバ20に送信する。
【0082】
図7に示したように、サーバ20が医療従事者のタブレットから第1識別情報を受信すると、第3情報送信手段が作動する。それにより、医療従事者のタブレットには、利用者を特定できる情報及び救急医用医療情報が表示されるので、救急医は、利用者を特定できると共に、医療処置を円滑に行うことが可能になる。また、実施例では、救急医用医療情報にACDの写し及び尊厳死宣言書の写しが含まれているため、救急医は、利用者にとって最適な治療又は手術を行うために、事前に利用者の意思を確認することが可能である。
【0083】
また、
図7に示したように、サーバ20が医療従事者のタブレットから第1識別情報を受信すると、第2通知手段が作動する。それにより、サーバ20から通知先として登録された者の端末(この端末の例としては、スマートフォン、タブレット及びパーソナルコンピュータが挙げられるがこれらに限定されない。)に第2通知情報が送信される。
【0084】
第2通知情報の例としては、利用者が搬送された医療機関及び救急医による医療処置が開始されたことを知らせる電子メールが挙げられるがこれに限定されない。
【0085】
また、
図7に示したように、サーバ20が医療従事者のタブレットから第1識別情報を受信すると、第2更新手段が作動する。それにより、記憶手段10に記憶された利用者の状態に関する情報が「搬送中」という表示から「院内」という表示に更新される。
【0086】
本発明では、上記のように、第2物品70に表示された二次元コード71を用いて救急医等の医療従事者の端末50とサーバ20が接続される仕組みであるため、救急医用医療情報が救急医等の医療従事者以外の者に漏洩することを防止することができる。
【0087】
本発明では、上記のように、特定の関係者が取得し得る利用者の個人情報の内容を不特定の関係者が取得し得る利用者の個人情報の内容と異ならせるために、不特定の関係者の端末40がサーバ20に接続するための行為とは異なる行為、すなわち、第2物品70に表示された二次元コード71を読み取る行為を特定の関係者に要求するため、利用者の個人情報を適切に保護することができる。
【0088】
本発明では、上記のように、利用者が医療機関に搬送された段階で通知先として登録された者に対して利用者が搬送された医療機関及び救急医による医療処置が開始されたことが通知されるため、その者の対処を容易にすることができる。
【0089】
本発明では、上記のように、利用者が医療機関に搬送された段階で記憶装置10に記憶された利用者の状態に関する情報が更新されるため、後述するように、任意登録者は、利用者が医療機関で治療を受けていることを自己の端末で確認することができる。
【0090】
(4)任意登録者に対する情報開示
任意登録者にはサーバ20に接続するための情報が与えられており、任意登録者の端末80は、サーバ20に何時でも接続できる。
【0091】
図8に示したように、例えば、任意登録者のパーソナルコンピュータ(任意登録者の端末80)がサーバ20に接続すると、第3要求送信手段が作動する。それにより、任意登録者のパーソナルコンピュータには、第3識別情報及び認証情報の入力を要求する情報が表示される。任意登録者は、この情報に従って、例えば予め付与された自己の識別番号を第3識別情報として入力すると共に、例えば予め設定したパスワードを認証情報として入力し、サーバ20に送信する。
【0092】
図8に示したように、サーバ20が任意登録者のパーソナルコンピュータから第3識別情報及び認証情報を受信すると、第4情報送信手段が作動する。それにより、任意登録者のパーソナルコンピュータには、利用者の状態に関する情報が表示されるので、任意登録者は利用者の状態を確認することができる。
【0093】
本発明では、上記のように、任意登録者が何時でも利用者の状態を確認することができる。また、利用者の状態に関する情報は、第1更新手段及び第2更新手段によって更新されるため、任意登録者は利用者の状態をリアルタイムで確認することができる。さらに、第4情報送信手段は、任意登録者の端末80に利用者の状態に関する情報を送信する前に、任意登録者の端末80から受信した第3識別情報及び認証情報を記憶装置10に記憶された第3識別情報及び認証情報と照合するため、利用者の状態に関する情報が任意登録者以外の者に開示されることを防ぐことができる。