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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147984
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220929BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049480
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】美濃島 祐佳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】電動カートの回収を自動的に判断する技術の提供。
【解決手段】電動カートの現在地を取得するカート位置取得部と、前記電動カートを使用するためのキーの現在地を取得するキー位置取得部と、前記キーと前記電動カートとが第1距離以上離間した場合に前記電動カートの回収を指示する車両管理部と、を備える車両管理システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動カートの現在地を取得するカート位置取得部と、
前記電動カートを使用するためのキーの現在地を取得するキー位置取得部と、
前記キーと前記電動カートとが第1距離以上離間した場合に前記電動カートの回収を指示する車両管理部と、
を備える車両管理システム。
【請求項2】
前記車両管理部は、前記電動カートの利用者の住所と前記キーの現在地とが一致しており、且つ、前記電動カートが第1時間以上停車している場合に、前記電動カートの回収を指示する、
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記車両管理部は、前記電動カートが停車しており、且つ、当日における前記電動カートの利用開始からの経過時間が1日の最大利用可能時間を超えたか又は当日におけるサービス終了時刻を越えた場合に、前記電動カートの回収を指示する、
請求項1または請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記車両管理部は、前記電動カートを回収した回収地点を取得し、前記回収地点に前記キーが第2距離以内に接近した場合に、前記電動カートの前記回収地点への配達を指示する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記車両管理部は、前記キーを携帯している利用者が前記電動カートを停車させた後、公共交通機関を利用していると判定した場合に、前記電動カートの回収を指示する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者がレンタカーの利用を終了する際に、レンタカーを駐車した駐車場を業者に連絡し、連絡を受けた業者がレンタカーを回収することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-33614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シニアカー等の電動カートのレンタルサービスやシェアリングサービスを提供するにあたって、電動カートを回収するタイミングを自動的に判断できることが望まれる。しかし、電動カートは駐車場以外の場所にも駐車可能である。例えば、バス停に停車している電動カートにおいて、知人との会話等のために一時的に停車している場合や、利用者がバスに乗り換えたため回収されるべきである場合が考えられる。そのため、電動カートの回収タイミングの判断が困難であった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、電動カートの回収を自動的に判断する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、車両管理システムは、電動カートの現在地を取得するカート位置取得部と、電動カートを使用するためのキーの現在地を取得するキー位置取得部と、キーと電動カートとが第1距離以上離間した場合に電動カートの回収を指示する車両管理部と、を備える。
【0006】
電動カートの利用を終了した後、利用者はキーを携帯したまま電動カートから離れることが想定される。そのため車両管理システムにおいては、キーと電動カートの位置をそれぞれ取得し、両者の距離が第1距離以上離間した場合に、キーを携帯している利用者が電動カートの利用を終了したと見なし、回収を指示する。従ってこの車両管理システムによれば、電動カートの回収を自動的に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】車両管理システムの構成を示すブロック図。
図2】回収通知処理のフローチャート。
図3】再配達通知処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)車両管理システムの構成:
(2)回収通知処理:
(3)再配達通知処理:
(4)他の実施形態:
【0009】
(1)車両管理システムの構成:
図1は、本発明にかかる車両管理システム10の構成を示すブロック図である。車両管理システム10は、電動カートのシェアリングサービスを利用する複数の利用者に電動カートを配達したり、利用者が使用した後の電動カートを回収したりするためのシステムであり、電動カート60と、電動カートを使用するための電子キー50と、車両管理業者で使用される端末70と、協働する。本実施形態では、シニアカー等と呼ばれる、高齢者向けの電動カートのシェアリングサービスを想定している。従って本実施形態において、このサービスの利用者は高齢者であることを想定している。
【0010】
利用者は、シェアリングサービス用のWEBサイトやアプリケーションプログラム等を、携帯端末やパーソナルコンピュータを操作して利用し、電動カート60を予約することができる。なお、利用者は電話でオペレータと会話することにより利用予約することができてもよい。本実施形態においては予約時に、利用開始時刻と利用開始地点を入力することができる。車両管理システム10は、利用者が利用開始時刻に利用開始地点から電動カート60を利用できるように、車両管理業者に配車センタから電動カートを配達するように通知する。利用開始地点は、例えば利用者の自宅を想定してよい。もちろん、自宅以外の場所であってもよい。なお本実施形態において、利用者は、予約時に利用終了時刻を指定しなくてもよく、1日の最大利用時間内であれば、予め利用終了時刻を決めることなく電動カート60を利用することができる。
【0011】
電子キー50は、電動カートのシェアリングサービスを利用する各利用者に対して、それぞれ割り当てられる。従って電子キーは複数存在するが図1ではそのうちの1個を図示している。シェアされる電動カートも複数存在するが、図1ではそのうちの1台を図示している。電子キー50は、シェアリングサービスにおいて利用される複数の電動カートに対して共通して使用可能なキーである。端末70は、車両管理システム10からの通知を受けて、電動カートの配達や回収を行う車両管理業者の担当者が使用する端末である。
【0012】
電子キー50は、電動カートを使用するためのキーであり、通信部50aとGNSS受信部50bと制御部50cを備えている。制御部50cは、CPU,ROM,RAM,記録媒体等を備えており、ROMや記録媒体等に記録された制御プログラムをCPUで実行することができる。また、記録媒体には電子キー50を識別するためのキーIDが記録されている。通信部50aは、電動カート60との無線通信を行う回路を含む。電子キー50と電動カート60との距離が既定距離内である場合に、電子キー50は通信部50aを介して電動カート60と通信可能である。制御部50cは、通信部50aを介して電動カート60から受信した情報に基づいて電動カート60がシェアリングサービスの対象車両であると判定した場合に、電子キー50のキーIDを電動カート60に送信する。
【0013】
さらに通信部50aは、他の装置と無線通信を行う回路を含んでいる。制御部50cは、通信部50aを介して、車両管理システム10と通信することができる。制御部50cは、GNSS(global navigation satellite system)受信部50bが受信した信号に基づいて電子キー50の現在地を取得することができる。また、制御部20は図示しない計時部から現在時刻を取得することができる。制御部50cは、一定期間毎に現在地を取得し、通信部50aを介して、車両管理システム10に電子キー50の現在地と現在時刻を電子キー50のキーIDとともに通知するように構成されている。
【0014】
電動カート60は、バッテリ(不図示)に蓄積された電力を駆動源とするモータ(不図示)によって駆動される1人乗りの電動車両である。電動カート60は、通信部60aとGNSS受信部60bと制御部60cとユーザI/F部60dを備えている。ユーザI/F部60dは、電源スイッチや、電動カート60を運転するための各種操作部(例えば、ハンドル、速度調整ダイヤル、アクセルレバー、駐車ブレーキレバー等)、バッテリ残量表示部等を含む。
【0015】
制御部60cは、CPU,ROM,RAM,記録媒体等を備えており、ROMや記録媒体等に記録された制御プログラムをCPUで実行することができる。また、記録媒体には電動カート60を識別するためのカートIDが記録されている。通信部60aは、電子キー50と無線通信を行う回路を含む。電子キー50と電動カート60との距離が既定距離内である場合に、制御部60cは、通信部60aを介して電子キー50と通信可能である。制御部60cは、電子キー50からキーIDを取得すると、このシェアリングサービスで利用されている電子キーのキーIDに該当するか否かを判定する。該当する場合であって、電動カート60の電源スイッチがONされたことを検出すると、制御部60cは、電動カート60を起動する。また、通信部60aは他の装置と無線通信を行う回路を備えている。制御部60cは、電動カート60を起動すると、通信部60aを介して、カートIDとキーIDを車両管理システム10に送信する。
【0016】
また、制御部60cは、電動カート60が電源ON状態である間、GNSS受信部60bが受信した信号に基づいて一定時間毎に電動カート60の現在地を取得する。そして制御部60cは、通信部60aを介して、電動カート60の現在地と現在時刻を、カートIDとともに車両管理システム10に送信する。また、制御部60cは、電動カートを停車した場合に、停車したことを示す停車通知と停車時刻と停車地点とを、通信部60aを介して、車両管理システム10に送信する。停車したと見なす条件として各種の条件を想定可能であるが、本実施形態において、制御部60cは、電動カート60の電源スイッチがOFFされたの場合に電動カート60が停車したと判定する。なお、例えば駐車ブレーキが作動したことや、速度が0になったこと、等を判定条件としてもよい。
【0017】
端末70は、通信部70aと制御部70cとユーザI/F部70dを備えている。端末70は、パーソナルコンピュータや携帯型の端末等、どのような装置であってもよいが、本実施形態においては、タブレット端末であるとして説明を続ける。制御部70cは、CPU,RAM,ROM、記録媒体などを備えており、ROMや記録媒体に記録された各種のプログラムをCPUで実行することができる。通信部70aは、他の装置と通信するための回路を備えており、制御部70cは、通信部70aを介して、車両管理システム10と通信することができる。ユーザI/F部70dは、スピーカやタッチパネル式のディスプレイを備えている。
【0018】
制御部70cは通信部70aを介して車両管理システム10から様々な通知を受信することができる。車両管理システム10から電動カートの回収通知を受信すると、制御部70cは、回収通知を示す情報をディスプレイに表示し、スピーカから音を発生させる。車両管理業者の担当者は、回収通知を受信したことを認識すると、回収通知の詳細を確認し、回収地点や回収対象の電動カートのカートID等を把握する。そして、担当者は貨物車両を運転して回収地点に向かい、回収地点にて回収対象の電動カート(カートIDで判別可能である)を回収する。回収した電動カートは、他の利用者へ割り当てられることもあり得る。本実施形態においては、電動カートを回収する際、担当者が端末70に回収した電動カートのカートIDを入力する。なお端末70は、電動カート60との通信によってカートIDを自動的に取得する構成であってもよいし、電動カート60に添付されたカートIDを示すバーコード等を読み取ることによってカートIDを取得する構成であってもよい。制御部70cは、入力されたカートIDを入力時刻(回収時刻)とともに、通信部70aを介して車両管理システム10に送信する。また、車両管理システム10から再配達通知を受信すると、制御部70cは、再配達通知に含まれる再配達地点を取得しユーザI/F部70dのディスプレイに表示し、スピーカから音声を発生させる。担当者は、当該再配達地点に電動カートを配達する。
【0019】
車両管理システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部41を備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして車両管理プログラム21を実行可能である。通信部41は、他の装置と通信を行う回路を備えており、制御部20は通信部41を介して電子キー50、電動カート60、端末70と通信を行うことができる。
【0020】
記録媒体30には、利用者情報30aが記録されている。利用者情報30aは、利用者を識別するための利用者IDに対応付けて、利用者の氏名、住所、住所を示す領域内の座標、連絡先等を含んでいる。また利用者情報30aにおいて、利用者IDが示す利用者に割り当てられている電子キーのキーIDが利用者IDに対応付けられている。また、電動カートを利用中の利用者については、利用者IDに対応付けて利用中の電動カートのカートIDと予約時に指定された利用開始時刻が記録媒体30に記録される。
【0021】
制御部20は車両管理プログラム21を実行することにより、制御部20をカート位置取得部21a、キー位置取得部21b、車両管理部21cとして機能させることができる。制御部20は、カート位置取得部21aの機能により、電動カート60の現在地を取得する。具体的には、制御部20は、電動カート60から送信されたカートIDと現在地と現在地取得時刻を、通信部41を介して取得する。また、制御部20は、キー位置取得部21bの機能により、電子キー50の位置を取得する。具体的には、制御部20は、電子キー50のキーIDと現在地と現在地取得時刻を、通信部41を介して取得する。また、電動カート60の電源スイッチがONされた場合に、制御部20は当該電動カートのカートIDと、電動カートを利用中の利用者が所持している電子キー50のキーIDとを電動カート60から取得することができ、制御部20は電動カートを利用中の利用者を特定できる。
【0022】
制御部20は、車両管理部21cの機能により、電子キー50と電動カート60とが第1距離以上離間した場合に電動カート60の回収を指示する。すなわち、制御部20は、利用中の電動カートについて、当該電動カートを利用中の利用者が所持している電子キーと電動カートとの距離を定期的に算出する。両者の距離が第1距離未満であった状態から第1距離以上の状態に変化した場合、制御部20は利用者が電子キー50を携帯したまま電動カート60から離れた、すなわち利用者が電動カート60の利用を終了したと判断する。そして、制御部20は、端末70に電動カート60を回収するように、回収通知を送信する。回収通知には、電動カート60のカートIDと停車地点が含まれる。本実施形態において停車地点は、電動カートの回収地点として扱われる。端末70が回収通知を受信すると担当者に回収通知があったことを案内し、担当者が回収地点にて電動カート60を回収する。このように、本実施形態によれば、電動カートの回収のタイミングを自動的に判断することができる。その結果、利用者の手を煩わせることなく利用されていない電動カートが放置される時間を短縮でき、シェアリングシステムの効率的な運用に寄与できる。
【0023】
回収の判断は、他にも次のような場合になされる。制御部20は、車両管理部21cの機能により、電動カート60の利用者の住所と電子キー50の現在地とが一致しており、且つ、電動カート60が第1時間以上停車している場合に、電動カート60の回収を指示する。すなわち、制御部20は、利用者情報30aを参照し、利用者の住所を示す座標を取得する。制御部20は、電子キー50の現在地と、利用者の住所を示す座標とが閾値以内である場合に、電子キー50の現在地と利用者の住所が一致すると見なす。電子キー50の現在地と利用者の住所とが一致する場合、制御部20は、利用者が自宅にいると見なす。さらに、この状態で電動カート60が停車してから停車状態のまま第1時間以上経過している場合に、制御部20は、端末70に電動カート60を回収するように回収通知を送信する。
【0024】
また、制御部20は、車両管理部21cの機能により、電動カート60が停車しており、且つ、当日における電動カート60の利用開始からの経過時間が1日の最大利用可能時間を超えた場合に、電動カート60の回収を指示する。本実施形態においては、利用者が1日のうち電動カート60を利用できる最大利用可能時間が決められている。制御部20は、利用開始時刻を基準として1日の最大利用可能時間経過後の時刻を算出し、電動カート60が停車されたまま当該時刻に至った場合に、端末70に、電動カート60を回収するように回収通知を送信する。
【0025】
このように車両管理システム10で回収のタイミングが判断され、回収通知が送信されると、車両管理業者の担当者は回収地点まで貨物車両で出向き、電動カート60を回収する。担当者が電動カート60を回収したことを、端末70を操作して入力すると、制御部20は、車両管理部21cの機能により、電動カート60を回収した回収地点を取得する。そして制御部20は、車両管理部21cの機能により、回収地点に電子キー50が第2距離以内に接近した場合に、電動カート60の回収地点への配達を指示する。すなわち、制御部20は、電子キー50の位置の履歴に基づいて電子キーを所持している利用者が回収地点から第2距離以内の位置に来たか否かを判定する。例えば、利用者が自宅の最寄りの駅で電動カートの利用を一旦終了し電車に乗って移動すると、上述したように電動カートが回収される。利用者が最寄り駅方向に電車で移動し回収地点から第2距離以内となった場合、利用者が再び電動カート60を利用することが予想される。そのため、制御部20は、回収地点に再び電動カート60を配達するように、再配達通知を端末70に送信する。再配達通知には、電動カートの再配達地点が含まれる。車両管理業者の担当者は、回収地点に再び電動カート60を配達する。このように、この構成によれば、電動カート60が利用終了地点で放置され続けることを防止できる。また、利用者は明示的に再配達を指示する必要がないため、利用者にとっての利便性を向上させることができる。
【0026】
(2)回収通知処理:
次に、制御部20が実行する回収通知処理を、図2を参照しながら説明する。回収通知処理は、電源ON通知を電動カート60から受信した場合に実行される。制御部20は、カート位置取得部21aの機能により、電源ONされた電動カートのカートIDと電子キーのキーIDを取得する(ステップS100)。
【0027】
続いて、制御部20は、車両管理部21cの機能により、キーIDから利用者の住所を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、利用者情報30aを参照し、利用者の住所を示す座標を取得する。続いて、制御部20は、カート位置取得部21aの機能により、電動カート60の現在地を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、電動カート60からカートIDとともに定期的に送信される現在地を取得する。
【0028】
続いて、制御部20は、車両管理部21cの機能により、停車通知を受信したか否かを判定し(ステップS115)、停車通知を受信していない場合は、ステップS110の処理に戻る。上述したように、本実施形態においては、電動カート60の電源スイッチがOFFされた場合に停車通知と停車時刻と停車地点が送信されるように構成されている。ステップS115において、停車通知有りと判定された場合、制御部20は、車両管理部21cの機能により、電動カートの停車時刻と現在地を取得する(ステップS120)。すなわち制御部20は、停車通知とともに送信された停車時刻と停車地点を取得する。
【0029】
続いて、制御部20は、キー位置取得部21bの機能により、電子キーの現在地を取得する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、電子キー50からキーIDとともに定期的に送信される電子キー50の現在地を取得する。続いて、制御部20は、車両管理部21cの機能により、電動カートと電子キーとの距離が第1距離以上となったか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130において両者の距離が第1距離以上離れていると判定された場合、制御部20は車両管理部21cの機能により、電動カート60の回収を業者に通知する(ステップS135)。
【0030】
ステップS130において、両者の距離が第1距離以上であると判定されなかった場合、制御部20は、車両管理部21cの機能により、利用者の住所と電子キーの位置が一致しているか否かを判定する(ステップS140)。すなわち、ステップS105で取得した利用者の住所を示す座標と電子キー50の現在地との距離が閾値以下であるか否かを判定する。
【0031】
ステップS140において両者が一致していると判定された場合、制御部20は、車両管理部21cの機能により、停車から第1時間以上経過したか否かを判定する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、ステップS120で取得した停車時刻から第1時間以上が経過したか否かを判定する。なお、停車から第1時間以上経過する前に、再び電動カート60の電源スイッチがONされた場合、回収通知処理がステップS100から再実行される。
【0032】
ステップS145において停車から第1時間以上経過したと判定された場合、制御部20は、電動カートの回収を業者に通知する(ステップS135)。ステップS145において停車から第1時間以上経過したと判定されなかった場合、制御部20はステップS125の処理を行う。ステップS140において、利用者の住所と電子キーの位置とが一致したと判定されなかった場合、制御部20は、車両管理部21cの機能により、最大利用時間が経過したか否かを判定する(ステップS150)。すなわち制御部20は、予約時に利用者が指定した利用開始時刻から最大利用時間が経過したか否かを判定する。ステップS150において、最大利用時間が経過したと判定された場合、制御部20は、電動カートの回収を業者に通知する(ステップS135)。
【0033】
ステップS150において最大利用時間が経過したと判定されなかった場合、制御部20はステップS125の処理を実行する。ステップS135で送信された回収通知を受信すると、端末70の制御部70cは、停車地点に向かい、停車地点にて電動カートを回収する。
【0034】
(3)再配達通知処理:
図3は、車両管理システム10の制御部20が実行する再配達通知処理のフローチャートである。図3の再配達通知処理は、電動カートが回収されたことを示す情報(本実施形態においては、回収した電動カートのカートID)を端末70から受信したことに応じて開始される。再配達通知処理が開始されると、制御部20は、車両管理部21cの機能により、回収地点の位置を取得する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、図2の回収通知処理において回収すると判断した場合の停車地点(ステップS120を参照)を回収地点として取得する。
【0035】
続いて、制御部20は、車両管理部21cの機能により、回収地点で回収された電動カートの前利用者の電子キーの位置を取得する(ステップS205)。すなわち、回収地点にて電動カートを停車した前利用者に対応付けられたキーIDの電子キー50から定期的に送信される現在地を取得する。
【0036】
続いて、制御部20は、車両管理部21cの機能により、回収地点と電子キーとが第2距離以内に接近したか否かを判定する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、電子キー50の位置の履歴から、電子キー50が回収地点から第2距離以内の範囲に再び入ったか否かを判定する。
【0037】
ステップS210において第2距離以内に接近したと判定されない場合、制御部20は、ステップS205の処理に戻る。ステップS210において第2距離以内に接近したと判定された場合、制御部20は、車両管理部21cの機能により、再配達を業者に通知する(ステップS215)。すなわち、制御部20は、回収地点に電動カート60を配達するように、端末70に再配達通知を送信する。
【0038】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、車両管理システムは複数の装置(例えばサーバとクライアント)によって実現される装置であっても良い。車両管理業者の端末に車両管理システムの機能が搭載されていてもよい。車両管理部21cの機能の一部が端末70で実現されてもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0039】
電動カートを使用するためのキーは、GNSSが内蔵された電子キーとして構成されてもよいし、機械的なキーとGNSS受信装置や通信装置を備えた装置で構成されてもよい。また、キーはスマートフォン等の携帯端末で構成されてもよい。
【0040】
車両管理部は、キーを携帯している利用者が電動カートを停車させた後、公共交通機関を利用していると判定した場合に、電動カートの回収を指示する構成を採用してもよい。キーの移動軌跡が鉄道やバス等の公共交通機関の路線と一致し、なおかつ、キーの移動速度が公共交通機関による移動速度に相当する場合に、キーを所持している利用者が公共交通機関を利用して移動していると判定してもよい。
【0041】
回収地点は、電動カートを回収した地点であればよい。上記実施形態においては、電動カートの停車地点を回収地点としてそのまま採用する構成であったが、例えば、回収作業時の貨物車両の位置や、回収作業時に回収作業を行った担当者が端末を操作した位置を、回収地点とする構成であってもよい。
【0042】
電動カートの利用開始時刻は、上記実施形態のように、予約時に利用者が指定した時刻であってもよいし、利用者が電動カートの電源をONにした時刻であってもよいし、配車センタから利用開始地点に向けて配達が開始される時刻であってもよい。1日の最大利用可能時間は、利用者が同一の電動カートを利用できる最大時間であってもよいし、電動カートが同一か否かに関わらず同一の利用者が同一の日に利用できる最大時間であってもよい。
また、車両管理部は、電動カートが停車しており、且つ、当日におけるサービス終了時刻を越えた場合に、電動カートの回収を指示する構成であってもよい。例えばシェアリングサービスのサービス提供時刻が午前10時から午後6時までと決められている場合、電動カートが停車しており且つサービス終了時刻である午後6時を過ぎている場合に、回収が指示されてもよい。
【0043】
シニアカー等と呼ばれる高齢者向けの電動カート以外の様々な電動カートを用いた様々なサービスに本発明を適用可能である。例えば、遊戯施設で貸し出される電動カートを想定してもよい。
また、上記実施形態においては、1個の電子キーとシェアリングサービスで提供される任意の電動カートを利用可能であったが、電動カートと電子キーとは1:1に対応付けられる構成であってもよい。利用予約した利用者の電子キーと当該利用者に割り当てられた電動カートとが、少なくとも当該利用者が利用を終了するまでは1:1に対応付けられる構成であってもよい。
また、上記実施形態においては、電動カートが停車したと判定された後、回収まで電動カートが移動されないことを想定しているが、停車中にも定期的に電動カートの位置が取得され車両管理システムに送信されてもよい。その場合、電動カートと電子キーとの距離は、最新の電動カートの位置と最新の電子キーの位置とから算出されてもよい。
【0044】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0045】
10…車両管理システム、20…制御部、21…車両管理プログラム、21a…カート位置取得部、21b…キー位置取得部、21c…車両管理部、30…記録媒体、30a…利用者情報、41…通信部、50…電子キー、50a…通信部、50b…GNSS受信部、50c…制御部、60…電動カート、60a…通信部、60b…GNSS受信部、60c…制御部、60d…ユーザI/F部、70…端末、70a…通信部、70c…制御部、70d…ユーザI/F部
図1
図2
図3