(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148012
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】フォークリフトおよび荷役システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20220929BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B66F9/075 E
B60H1/00 101H
B60H1/00 101U
B60H1/00 101Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049522
(22)【出願日】2021-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 良平
【テーマコード(参考)】
3F333
3L211
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333CA10
3F333CA19
3L211AA08
3L211BA05
3L211BA06
3L211EA04
3L211EA11
3L211FA01
3L211FB05
3L211FB09
3L211FB16
3L211GA03
3L211GA09
(57)【要約】
【課題】オペレータの温度感覚に合わせた空気調和装置の自動制御が可能なフォークリフトを提供する。
【解決手段】空気調和装置210と制御装置220とを備えるフォークリフト200であって、制御装置220は、オペレータの温度に関する第1温度データを取得する第1情報取得部221と、運転席の温度に関する第2温度データを取得する第2情報取得部222と、快適スコアを生成するように機械学習された学習モデル部223と、学習モデル部223から快適スコアを取得する処理部224と、空気調和装置210の風温および/または風量の制御を行う制御部225とを備える。制御部225は、空気調和装置210の風温および/または風量を設定する第1処理と、第1処理で設定した風温および/または風量を快適スコアに基づいて変化させる第2処理と、を実行することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席が設けられた車体と、
前記運転席の空調制御を行う空気調和装置と、
前記空気調和装置の制御を行う制御装置と、
を備え、作業場において荷役作業を行うフォークリフトであって、
前記制御装置は、
前記運転席のオペレータの温度に関する第1温度データを取得する第1情報取得部と、
前記運転席の温度に関する第2温度データを取得する第2情報取得部と、
前記第1温度データおよび前記第2温度データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、前記オペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、
前記第1情報取得部で取得した前記第1温度データおよび前記第2情報取得部で取得した前記第2温度データを前記学習モデル部に入力することで、前記学習モデル部から前記快適スコアを取得する処理部と、
前記空気調和装置の風温および/または風量の制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記空気調和装置の前記風温および/または風量を設定する第1処理と、
前記第1処理で設定した前記風温および/または風量を前記快適スコアに基づいて変化させる第2処理と、を実行する
ことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記運転席の前記オペレータの画像を撮影して画像データを生成する画像データ生成部をさらに備え、
前記学習モデル部は、前記第1温度データ、前記第2温度データおよび前記画像データに基づいて前記快適スコアを生成し、
前記処理部は、前記第1温度データ、前記第2温度データおよび前記画像データを前記学習モデル部に入力することで、前記学習モデル部から前記快適スコアを取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記制御部は、
前記画像データを所定周期で取得することで前記オペレータの連続運転時間を算出し、
前記連続運転時間が第1閾値を超える前までの第1期間は、前記第1処理を実行する一方で前記第2処理を実行することなく、
前記連続運転時間が前記第1閾値を超えてから第2閾値を超えるまでの第2期間は、前記第1処理および前記第2処理を実行し、
前記連続運転時間が前記第2閾値を超えた後の第3期間は、前記第2処理において変化させる前記風温および/または風量の変化量を大きくする
ことを特徴とする請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記制御部は、前記荷役作業のときは前記第2処理を実行しない
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のフォークリフトと、
前記フォークリフトと通信を行う管理装置と、
を含む荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトおよび荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷暖房などの空気調和装置を備えたフォークリフトが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のフォークリフトでは、オペレータが操作パネルを操作することで、冷暖房の風量等を設定することができる。
【0003】
しかしながら、フォークリフトの走行中や荷役作業中に、オペレータが操作パネルを操作することは安全面において好ましくないため、空気調和装置の自動制御が求められている。しかも、フォークリフトのオペレータは、人によって温度感覚(暑いと感じるか寒いと感じるかの感覚)が異なるため、オペレータの温度感覚に合わせた(例えば、オペレータが快適と感じるような)空気調和装置の自動制御が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、オペレータの温度感覚に合わせた空気調和装置の自動制御が可能なフォークリフトおよび荷役システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るフォークリフトは、
運転席が設けられた車体と、
前記運転席の空調制御を行う空気調和装置と、
前記空気調和装置の制御を行う制御装置と、
を備え、作業場において荷役作業を行うフォークリフトであって、
前記制御装置は、
前記運転席のオペレータの温度に関する第1温度データを取得する第1情報取得部と、
前記運転席の温度に関する第2温度データを取得する第2情報取得部と、
前記第1温度データおよび前記第2温度データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、前記オペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、
前記第1情報取得部で取得した前記第1温度データおよび前記第2情報取得部で取得した前記第2温度データを前記学習モデル部に入力することで、前記学習モデル部から前記快適スコアを取得する処理部と、
前記空気調和装置の風温および/または風量の制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記空気調和装置の前記風温および/または風量を設定する第1処理と、
前記第1処理で設定した前記風温および/または風量を前記快適スコアに基づいて変化させる第2処理と、を実行することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、制御部が空気調和装置の風温および/または風量を設定するので、空気調和装置の自動制御が可能となる。さらに、この構成によれば、学習モデル部がオペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成し、制御部が快適スコアに基づいて風温および/または風量を変化させるので、オペレータの温度感覚に合わせた自動制御が可能となる。
【0008】
前記フォークリフトは、
前記運転席の前記オペレータの画像を撮影して画像データを生成する画像データ生成部をさらに備え、
前記学習モデル部は、前記第1温度データ、前記第2温度データおよび前記画像データに基づいて前記快適スコアを生成し、
前記処理部は、前記第1温度データ、前記第2温度データおよび前記画像データを前記学習モデル部に入力することで、前記学習モデル部から前記快適スコアを取得するよう構成できる。
【0009】
前記フォークリフトにおいて、
前記制御部は、
前記画像データを所定周期で取得することで前記オペレータの連続運転時間を算出し、
前記連続運転時間が第1閾値を超える前までの第1期間は、前記第1処理を実行する一方で前記第2処理を実行することなく、
前記連続運転時間が前記第1閾値を超えてから第2閾値を超えるまでの第2期間は、前記第1処理および前記第2処理を実行し、
前記連続運転時間が前記第2閾値を超えた後の第3期間は、前記第2処理において変化させる前記風温および/または風量の変化量を大きくするよう構成できる。
【0010】
前記フォークリフトにおいて、
前記制御部は、前記荷役作業のときは前記第2処理を実行しないよう構成できる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る荷役システムは、
前記いずれかのフォークリフトと、
前記フォークリフトと通信を行う管理装置と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オペレータの温度感覚に合わせた空気調和装置の自動制御が可能なフォークリフトおよび荷役システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明に係るフォークリフトを示す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図3】本発明に係る空気調和装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るフォークリフトおよび荷役システムの実施形態について説明する。
【0015】
図1に、本発明の一実施形態に係る荷役システム1のブロック図を示す。荷役システム1は、管理装置100と、少なくとも1台のフォークリフト200(本発明の「フォークリフト」に相当)とを備える。
【0016】
管理装置100は、通信部101と、統括制御部102と、表示部103とを備える。管理装置100は、フォークリフト200が走行する作業場(例えば、複数のラックを有する倉庫)の外に設けてもよいし、作業場の中に設けてもよい。
【0017】
通信部101は、管理装置100に予め登録されたフォークリフト200と無線通信を行うよう構成されている。統括制御部102は、フォークリフト200の荷役作業を管理するよう構成されている。例えば、統括制御部102は、フォークリフト200の荷役作業のスケジュールを作成し、通信部101を介して荷役作業のスケジュールをフォークリフト200に通知する。表示部103は、例えば、液晶ディスプレイで構成されている。表示部103には、フォークリフト200の荷役作業情報(荷役作業のスケジュール)等が表示される。
【0018】
フォークリフト200は、有人運転と無人運転とを切り替え可能な有人無人フォークリフトであるが、本実施形態では、有人運転を行っているものとする。
図2に示すように、フォークリフト200は、車体201と、車体201の前部に設けられた荷役装置202と、車体201の後部に設けられた運転席203とを備える。荷役装置202は、左右一対のマストと、マストに昇降可能に取り付けられた左右一対のフォークとを含む。運転席203には、オペレータが足で操作するブレーキペダルが設けられている。
【0019】
運転席203の前方にはレバー類204が設けられており、運転席203の側方にはステアリングハンドル205が設けられている。レバー類204には、車体201を前後進させるための走行レバーと、荷役装置202を操作して荷役作業を行うための荷役レバー(リフトレバー、リーチレバー、ティルトレバー)が含まれる。
【0020】
レバー類204とステアリングハンドル205との間には、表示部206が設けられている。表示部206は、例えば、液晶ディスプレイで構成される。表示部206は、荷役作業のスケジュールや、後述する空気調和装置210の情報(例えば、風温および風量等)を表示することができる。
【0021】
運転席203の上方には、落下物からオペレータを保護するためのヘッドガード207が設けられている。なお、
図2(A)ではヘッドガード207を省略している。
【0022】
ヘッドガード207のピラーには、運転席203にいるオペレータを撮影してオペレータの画像データ(静止画および/または動画)を取得する撮影手段208が設けられている。撮影手段208は、本発明の「画像データ生成部」に相当し、例えば、赤外線カメラおよびカラーカメラ(もしくは、カラー画像を取得可能な赤外線カメラ)で構成される。
【0023】
ヘッドガード207の天板には、空気調和装置210が設けられており、車体201の内部には、制御装置220が設けられている。空気調和装置210は、温風と冷風とを切り替えて運転席203に供給することで、運転席203の空調制御を行うことが可能な冷暖房装置である。空気調和装置210は、制御装置220の制御下で、風温および風量が自動調整される。
【0024】
制御装置220は、
図1に示すように、第1情報取得部221と、第2情報取得部222と、学習モデル部223と、処理部224と、制御部225とを備える。
【0025】
第1情報取得部221は、撮影手段208が取得したオペレータの画像データに対して所定の画像処理を行うことにより、運転席203のオペレータの温度(例えば、体表温度)に関する第1温度データを取得する。第1情報取得部221は、例えば、撮影手段208が取得したオペレータの画像データに基づいて、オペレータの体表温度(皮膚温度)を算出できる。
【0026】
第2情報取得部222は、運転席203の温度に関する第2温度データを取得する。第2情報取得部222は、例えば、運転席203に設けられた温度センサ(図示せず)から第2温度データを取得してもよいし、撮影手段208が取得したオペレータの画像データに基づいてオペレータの周囲の温度を算出することにより第2温度データを取得してもよい。
【0027】
学習モデル部223は、オペレータの画像データ、第1温度データおよび第2温度データが入力されると、所定のパラメータを有するニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いて、オペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成するように機械学習された学習済みモデルである。学習済みモデルの機械学習では、上記のとおりニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いて、教師データを大量に入力する。教師データは、オペレータの画像データ、第1温度データおよび第2温度データに所定の快適スコアを紐付けしたデータを含む。
【0028】
快適スコアとしては、数値パラメータ(例えば、1~5の数値パラメータ)を用いる。数値パラメータの設定は、人またはコンピュータが行う。例えば、オペレータの画像データから推定したオペレータの性別、年齢等のバイオメトリック情報と、第2温度データに含まれる運転席203の温度とに基づいて所定の閾値を決定し、当該閾値と第1温度データに含まれるオペレータの体表温度とを比較する。
【0029】
体表温度が閾値よりもはるかに大きい場合(例えば、+7℃以上)を快適スコア5(不快な暑さを感じる状態)とし、体表温度が閾値よりも大きい場合(例えば、+7℃から+3℃)を快適スコア4(暑さを感じる状態)とし、体表温度が閾値と同じか閾値近傍の場合(例えば、+3℃から-3℃)を快適スコア3(快適な状態)とし、体表温度が閾値よりも小さい場合(例えば、-3℃から-7℃)を快適スコア2(寒さを感じる状態)とし、体表温度が閾値よりもはるかに小さい場合(例えば、-7℃以下)を快適スコア1(不快な寒さを感じる状態)とする。バイオメトリック情報、運転席203の温度およびオペレータの体表温度とオペレータの快適さの程度との間には、相関関係等の一定の関係が存在することを推認できる。
【0030】
処理部224は、オペレータの画像データ、第1情報取得部221から取得した第1温度データ、および第2情報取得部222から取得した第2温度データを学習モデル部223に入力することで、学習モデル部223から快適スコアを取得するよう構成されている。処理部224は、取得した快適スコアを制御部225と共有する。
【0031】
制御部225は、空気調和装置210の風温および風量の自動制御に関する第1処理および第2処理を実行するよう構成される。制御部225は、第1処理において、空気調和装置210の風温および風量を設定し、第2処理において、第1処理で設定した風温および風量の少なくとも一方を快適スコアに基づいて変化させる。
【0032】
制御部225および処理部224は、例えば、少なくとも1つのマイコンで構成され、マイコンのCPUが所定のプログラムを実行すること等によって制御部225および処理部224の各種機能が実現される。
【0033】
図3に、制御部225が行う空気調和装置210の制御方法のフローチャートを示す。制御部225は、空気調和装置210の制御を開始すると、オペレータの連続運転時間の算出を開始する(S1)。制御部225は、タイマー機能を有し、例えば、オペレータの画像データに基づいてオペレータを特定し、特定したオペレータの連続運転時間を算出する。オペレータが別のオペレータと変わった場合、制御部225は、オペレータの連続運転時間をリセットする。
【0034】
次いで、制御部225は、オペレータの連続運転時間が所定の第1閾値以下か否かを判定する(S2)。オペレータの連続運転時間が所定の第1閾値以下の場合(S2でYES)、制御部225は、第1期間モードで動作する(S3)。
【0035】
第1期間モードの制御部225は、第1処理を実行する一方で第2処理を実行しない。第1期間モードの制御部225は、第1処理において、外気温(本実施形態では、作業場の温度)に基づいて、空気調和装置210の風温および風量を設定する。制御部225は、図示しない温度センサから外気温を取得してもよいし、管理装置100との通信により外気温を取得してもよい。
【0036】
オペレータの連続運転時間が所定の第1閾値を超えている場合(S2でNO)、制御部225は、オペレータの連続運転時間が所定の第2閾値以下か否かを判定する(S4)。第2閾値は、第1閾値よりも大きな値に設定される。
【0037】
オペレータの連続運転時間が所定の第2閾値以下の場合(S4でYES)、制御部225は、第2期間モードで動作する(S5)。第2期間モードの制御部225は、第1処理および第2処理を実行する。
【0038】
すなわち、第2期間モードの制御部225は、第1処理において、外気温に基づいて空気調和装置210の風温および風量を設定した後、第2処理において、第1処理で設定した風温および風量の少なくとも一方を快適スコアに基づいて変化させる。
【0039】
例えば、第2期間モードの制御部225は、風温の基準変化量をA[℃](ただし、Aは正の数値)とする。第2期間モードの制御部225は、快適スコア5の場合に風温を(1.2×A)[℃]下げるとともに風量を強くし、快適スコア4の場合に風温をA[℃]下げ、快適スコア3の場合には風温および風量を変化させず、快適スコア2の場合に風温をA[℃]上げ、快適スコア1の場合に風温を(1.2×A)[℃]上げるとともに風量を強くする。
【0040】
オペレータの連続運転時間が所定の第2閾値を超えている場合(S4でNO)、制御部225は、第3期間モードで動作する(S6)。第3期間モードの制御部225は、第1処理および第2処理を実行し、かつ第2処理において変化させる風温および/または風量の変化量を大きくする。
【0041】
例えば、第3期間モードの制御部225は、第2処理において、風温の基準変化量をB[℃](ただし、B=1.2×A)として、第2期間モードと同様に風温および風量の少なくとも一方を快適スコアに基づいて変化させる。
【0042】
例えば、第3期間モードの制御部225は、快適スコア5の場合に風温を(1.2×B)[℃]下げるとともに風量を強くし、快適スコア4の場合に風温をB[℃]下げ、快適スコア3の場合には風温および風量を変化させず、快適スコア2の場合に風温をB[℃]上げ、快適スコア1の場合に風温を(1.2×B)[℃]上げるとともに風量を強くする。第3期間モードでは、第2期間モードよりも風温の基準変化量を大きくしているので、第2期間モードよりも短時間で風温を変化させることができる。
【0043】
本実施形態に係るフォークリフト200によれば、連続運転時間が第1閾値を超える前までの第1期間において、第2処理を実行しないので、オペレータの運転開始時に風温および風量が急に変化してオペレータの体にストレスがかかるのを抑制できる。
【0044】
一方で、本実施形態に係るフォークリフト200によれば、連続運転時間が第1閾値を超えてから第2閾値を超えるまでの第2期間、および連続運転時間が第2閾値を超えた後の第3期間においては、学習モデル部223がオペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成し、制御部225が快適スコアに基づいて風温および/または風量を変化させるので、オペレータの温度感覚に合わせた空気調和装置210の自動制御が可能となる。
【0045】
[変形例]
以上、本発明に係るフォークリフトおよび荷役システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0046】
本発明に係るフォークリフトは、運転席が設けられた車体と、運転席の空調制御を行う空気調和装置と、空気調和装置の制御を行う制御装置とを備え、制御装置が、運転席のオペレータの温度に関する第1温度データを取得する第1情報取得部と、運転席の温度に関する第2温度データを取得する第2情報取得部と、第1温度データおよび第2温度データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、オペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、第1情報取得部で取得した第1温度データおよび第2情報取得部で取得した第2温度データを学習モデル部に入力することで、学習モデル部から快適スコアを取得する処理部と、空気調和装置の風温および/または風量の制御を行う制御部と、を備える。そして、制御部が、空気調和装置の風温および/または風量を設定する第1処理と、第1処理で設定した風温および/または風量を、快適スコアに基づいて変化させる第2処理と、を実行するのであれば、適宜構成を変更できる。
【0047】
例えば、本発明の学習モデル部では、第2温度データに含まれる運転席の温度に基づいて所定の閾値を決定し、当該閾値と第1温度データに含まれるオペレータの体表温度とを比較することで、快適スコアの数値パラメータを設定してもよい。数値パラメータは、上記実施形態では1~5の範囲で設定しているが、当該範囲は適宜変更できる。
【0048】
本発明の制御部は、荷役作業のときは第2処理を実行しないよう構成できる。荷役作業中か否かは、例えば、オペレータが荷役レバー(リフトレバー、リーチレバー、ティルトレバー)を操作しているか否かで判断できる。すなわち、制御部は、荷役レバーの操作量に応じて荷役作業中か否かを判定できる。この構成によれば、オペレータの荷役作業中に風温および風量が急に変化して、オペレータの集中力が乱れるのを抑制できる。
【0049】
本発明のフォークリフトは、有人運転と無人運転とを切り替え可能な有人無人フォークリフトに限定されるものではなく、有人運転のみを行う有人フォークリフトでもよい。有人フォークリフトは、リーチタイプ、カウンターバランスタイプ、ピッキングリフト、またはラックフォークタイプ等を含む。
【0050】
本発明の空気調和装置は、温風および冷風の少なくとも一方を運転席に供給するのであれば、適宜構成を変更でき、設置場所も適宜変更できる。空気調和装置として、任意の蓄熱手段および/または蓄冷手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 荷役システム
100 管理装置
101 通信部
102 統括制御部
103 表示部
200 フォークリフト
201 車体
202 荷役装置
203 運転席
204 レバー類
205 ステアリングハンドル
206 表示部
207 ヘッドガード
208 撮影手段
210 空気調和装置
220 制御装置
221 第1情報取得部
222 第2情報取得部
223 学習モデル部
224 処理部
225 制御部
【手続補正書】
【提出日】2022-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席が設けられた車体と、
前記運転席の空調制御を行う空気調和装置と、
前記空気調和装置の制御を行う制御装置と、
を備え、作業場において荷役作業を行うフォークリフトであって、
前記制御装置は、
前記運転席のオペレータの温度に関する第1温度データを取得する第1情報取得部と、
前記運転席の温度に関する第2温度データを取得する第2情報取得部と、
前記第1温度データおよび前記第2温度データが入力されると、所定のパラメータを有する機械学習アルゴリズムを用いて、前記オペレータの快適さの程度を示す快適スコアを生成するように機械学習された学習モデル部と、
前記第1情報取得部で取得した前記第1温度データおよび前記第2情報取得部で取得した前記第2温度データを前記学習モデル部に入力することで、前記学習モデル部から前記快適スコアを取得する処理部と、
前記空気調和装置の風温および/または風量の制御を行う制御部と、
前記運転席の前記オペレータの画像を撮影して画像データを生成する画像データ生成部と、を備え、
前記制御部は、
前記空気調和装置の前記風温および/または風量を設定する第1処理と、
前記第1処理で設定した前記風温および/または風量を前記快適スコアに基づいて変化させる第2処理と、を実行し、
前記学習モデル部は、前記第1温度データ、前記第2温度データおよび前記画像データに基づいて前記快適スコアを生成し、
前記処理部は、前記第1温度データ、前記第2温度データおよび前記画像データを前記学習モデル部に入力することで、前記学習モデル部から前記快適スコアを取得する
ことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記制御部は、
前記画像データを所定周期で取得することで前記オペレータの連続運転時間を算出し、
前記連続運転時間が第1閾値を超える前までの第1期間は、前記第1処理を実行する一方で前記第2処理を実行することなく、
前記連続運転時間が前記第1閾値を超えてから第2閾値を超えるまでの第2期間は、前記第1処理および前記第2処理を実行し、
前記連続運転時間が前記第2閾値を超えた後の第3期間は、前記第2処理において変化させる前記風温および/または風量の変化量を大きくする
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記制御部は、前記荷役作業のときは前記第2処理を実行しない
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のフォークリフトと、
前記フォークリフトと通信を行う管理装置と、
を含む荷役システム。